洪水の対策・対処法完全ガイド|事前準備・発生中の行動・発生後の復旧まで時系列で徹底解説【2026年最新版】
「洪水が来たら、どうすればいいの?」「事前に何を準備しておけばいいの?「逃げるタイミングがわからない」
こうした不安や疑問を持っている方は少なくありません。洪水は日本で毎年発生する「最も身近な自然災害のひとつ」です。
国土交通省の資料によると、日本の国土の約10%が洪水氾濫区域に含まれており、そこに全人口の約50%・資産の約75%が集中しています。
つまり「洪水は他人事ではない」のです。洪水対策・対処法で最も重要なのは「時系列で正しい行動をとること」です。
「事前に何を準備するか」「洪水が迫ってきたらどう動くか」「洪水発生中にどう行動するか」「洪水が引いた後にどう対処するか」この4つのフェーズで正しい行動をとることが、命と財産を守ることに直結します。
この記事では「洪水の対策と対処法」を国土交通省・気象庁・内閣府・消防庁・東京消防庁・政府広報オンラインなどの公的資料をもとに、時系列に沿って徹底解説します。
- 洪水の種類と発生メカニズム(基礎知識)
- 【フェーズ1:平時の対策】ハザードマップ・備蓄・家の強化
- 【フェーズ2:洪水直前の対処法】情報収集・止水・避難判断
- 【フェーズ3:洪水発生中の対処法】避難行動・垂直避難・車中での注意
- 【フェーズ4:洪水後の対処法】安全確認・清掃・感染症予防・生活再建
- NG行動・やってはいけないこと
- 要配慮者(高齢者・子ども・ペット)の対策
- マイ・タイムラインの作り方
【情報の出典について】
本記事は国土交通省「水害発生時の避難行動について」・同「水害から身を守る(カワナビ)」・気象庁「自分で行う災害への備え」・内閣府「避難情報に関するガイドライン(令和3年5月改定)」・消防庁「防災マニュアル」・東京消防庁「水害に備えよう」・政府広報オンライン「水害に備える一人ひとりができること」等の公的資料をもとにしています。防災ベース編集部が内容をわかりやすく解説しました。
洪水の種類と発生メカニズム:対策の前に知っておく基礎知識
対策を考える前に「どんな洪水が・なぜ起きるか」を理解することが重要です。洪水の種類を知ることで「自分の家がどのタイプのリスクにさらされているか」が明確になります。
外水氾濫(がいすいはんらん)
外水氾濫とは「河川の水位が上昇して堤防を越える・または堤防が決壊することで、大量の水が周辺の市街地・住宅地に流れ込む」現象です。
大雨・台風による集中的な降雨が短時間に流域に降り注ぐことで発生します。
2019年台風19号(令和元年東日本台風)では関東・東北を中心に各地の河川が氾濫・決壊し、床上浸水約2万5千棟・床下浸水約3万棟以上の被害をもたらしました。
外水氾濫は「水位上昇から氾濫まで比較的時間がある場合」と「堤防決壊で一瞬で大量の水が流れ込む場合」があります。
内水氾濫(ないすいはんらん)・都市型水害
内水氾濫とは「下水道・排水路の処理能力を超える大雨が短時間に降り、道路・住宅地が浸水する」現象です。
「ゲリラ豪雨・局地的大雨」で特に発生しやすく「河川から離れた都市部でも発生する」という特徴があります。
外水氾濫と違い「ハザードマップに表示されないエリアでも発生する」ため「うちは河川から遠いから大丈夫」という思い込みが被害につながります。
高潮(たかしお)
高潮とは「台風・発達した低気圧による気圧低下・強風によって海面が異常に上昇し、沿岸部に海水が流れ込む」現象です。
沿岸部・ゼロメートル地帯(海抜ゼロメートル以下の地域)に住んでいる場合は「洪水ハザードマップ」に加えて「高潮ハザードマップ」も必ず確認してください。
山地・丘陵地での鉄砲水・土石流
山地・丘陵地に近い地域では「短時間の集中豪雨による鉄砲水(山地から急激に流れ出す大量の水)」や「土石流」が発生することがあります。
この場合は「洪水ハザードマップ」と「土砂災害警戒区域マップ」の両方を確認してください。
【フェーズ1:平時の対策】事前準備が命を守る
洪水対策で最も効果が高いのは「洪水が来る前の平時の準備」です。洪水が近づいてから初めて準備しようとしても、多くの場合は時間が足りません。「晴れているうちに嵐に備える」という防災の基本原則が、洪水対策でも最重要です。
対策①:ハザードマップで自宅のリスクを把握する
平時の洪水対策の最初のステップは「自宅がどんな洪水リスクにさらされているかを正確に把握すること」です。
国土交通省が運営する「ハザードマップポータルサイト(https://disaportal.gsi.go.jp/)」で自宅の住所を入力するだけで確認できます。
確認すべき項目は以下の通りです。
- 洪水浸水想定区域と想定浸水深:自宅が「0.5m未満・0.5〜1m・1〜3m・3m以上」のどの浸水深ゾーンに入るかを確認する
- 浸水継続時間:浸水が「数時間で引く地域」か「数日継続する地域」かで必要な備蓄量・対策内容が変わる
- 指定緊急避難場所・指定避難所の位置:洪水時に使える避難場所を確認する(地震の避難場所と洪水の避難場所は異なることがある)
- 避難経路上の危険箇所:避難経路上に「浸水する道路・アンダーパス・土砂崩れリスクがある道路」がないかを確認する
確認したハザードマップは「紙に印刷して自宅に保管する」ことが重要です。
洪水発生時は「停電・通信障害」でスマートフォンが使えなくなる可能性があります。
市区町村が配布している「紙のハザードマップ」を役所・コンビニ(行政サービス端末)で入手してください。
対策②:マイ・タイムラインを作成する
「マイ・タイムライン」とは「洪水が発生した際に、自分・家族がいつ・何をするかを事前に決めておいた行動計画」です。
国土交通省が推進している防災の取り組みで、家族ごとに作成します。
マイ・タイムラインを作ることで「いざとなったときにパニックにならずに行動できる」という大きなメリットがあります。
マイ・タイムラインに記載すべき主な内容は以下の通りです。
- 避難の開始基準:「警戒レベル3(高齢者等避難)が発令されたら避難を開始する」など、具体的な避難トリガーを決める
- 避難先(第1・第2)と避難ルート:ハザードマップで確認した指定避難場所と、安全な複数の避難ルートを記載する
- 各家族メンバーの役割:「誰がどの荷物を持つか」「誰が高齢者・子どもの手を引くか」を決めておく
- 連絡方法:家族がバラバラになった場合の連絡方法(NTT災害用伝言ダイヤル「171」の使い方等)
- ペットの避難計画:ペットの避難先・輸送方法を事前に調べておく
国土交通省のウェブサイトから「マイ・タイムライン作成シート」を無料でダウンロードできます。
家族全員が集まる機会(お盆・正月・防災の日前後)に「防災会議」として一緒に作成することをおすすめします。
対策③:防災備蓄を「洪水を想定して」準備する
地震用の防災セットを準備している方でも「洪水特有のリスク」に対応した備蓄が不足しているケースが多くあります。
内閣府は「最低3日分・できれば7日分以上の備蓄」を推奨しています。
洪水対策として特に重要な備蓄品は以下の通りです。
- 飲料水(1人1日3L×最低3日分、できれば7日分):洪水後の断水に備える。2Lペットボトルが保管しやすい
- ライフジャケット(家族全員分):洪水避難中の転倒・溺水を防ぐ最重要の安全用具。特に子ども・高齢者は必須
- 防水長靴・防水手袋:洪水後の汚染された泥水の道を歩くために必須。折りたたみ式はコンパクトに保管できる
- 防水バッグ・ドライバッグ:避難中に重要書類・電子機器が濡れないようにする
- ヘッドライト(IPX4以上の防水性・200ルーメン以上):夜間・停電時の避難に両手が使えるライトが必須
- 携帯トイレ(1人35枚以上):洪水後の断水・下水道使用不能時に備える
- 大容量モバイルバッテリー(ソーラー充電対応):長期停電時のスマートフォン充電用
- 吸水土のう(吸水性ポリマー入り):洪水前に家の入り口に設置する止水材。普段はコンパクトで保管しやすい
- 消毒用アルコール・石鹸:洪水後の感染症予防用。断水時の手洗い代替
- 常備薬・処方薬(7日分以上):洪水後の医療機関・薬局が使えない期間に備える
✅ 備蓄品は「2階以上・棚の上段」に保管する
洪水対策として最も見落とされがちな注意点が「備蓄品の保管場所」です。
1階の押し入れの下段・床に近い場所に備蓄品を保管していると、洪水時に備蓄品自体が浸水して使えなくなります。
食料・衣類・重要書類・薬はすべて「2階以上・棚の上段」に保管してください。
対策④:自宅の止水対策を準備する
洪水が来る前に「自宅への浸水を遅らせる・減らす」ための準備をしておくことで、被害を大幅に軽減できます。
主な止水対策の準備は以下の通りです。
- 玄関・ガレージ用の止水板の用意:市販の止水板(据え置き型)を購入して保管しておく。いざというときに素早く設置できるよう、設置方法を練習しておく
- 吸水土のう・水のう用ポリ袋の備蓄:吸水土のう(水で膨らむタイプ)か、45Lポリ袋を複数備蓄しておく
- 防水テープの準備:窓サッシ・ドア枠の隙間用の防水テープを購入しておく
- 排水口用逆流防止プラグの準備:洗面台・浴室の排水口に合ったサイズの逆流防止プラグを購入しておく
- エアコン室外機のかさ上げ:市販のかさ上げ台で室外機を地面から30〜50cm以上高くする
対策⑤:情報収集ツールを準備する
洪水対策において「正確な情報をいち早く入手する」ことは「避難の命取り」になるほど重要です。
以下の情報収集ツールを平時から準備・設定しておいてください。
- NHKニュース・防災アプリ(無料):気象警報・避難情報をプッシュ通知で受け取れる
- Yahoo!防災速報アプリ(無料):市区町村単位での避難情報・特別警報をいち早く受け取れる
- 市区町村の防災メール配信サービスへの登録:地域の避難情報をメール・SMS で受け取れる
- 気象庁「キキクル(危険度分布)」のブックマーク:洪水・土砂災害・浸水害の危険度をリアルタイムで地図確認できる
- 国土交通省「川の防災情報」のブックマーク:近隣河川の水位をリアルタイム確認できる
- 防災ラジオ(手回し充電・ソーラー対応):停電時でもNHKラジオで情報を受信できる
【フェーズ2:洪水直前の対処法】大雨警報〜避難指示までにやること
大雨警報・洪水警報が発令された段階から「避難を最優先に考えた行動」を開始してください。「まだ大丈夫」という判断が、命を危険にさらす最大の原因です。
避難情報の「警戒レベル」を正しく理解する
内閣府の「避難情報に関するガイドライン(令和3年5月改定)」では、洪水時の避難情報を「警戒レベル1〜5」で整理しています。
| 警戒レベル | 発令される情報 | 住民がとるべき行動 |
|---|---|---|
| レベル1 | 早期注意情報(気象庁) | 災害への心構えを高める。ハザードマップを再確認する |
| レベル2 | 大雨注意報・洪水注意報(気象庁) | 避難に備えて自宅周辺の状況を確認する。非常用荷物を準備する |
| レベル3 | 高齢者等避難(市区町村) | 高齢者・障害者・乳幼児がいる家庭は危険な場所から避難を開始する |
| レベル4 | 避難指示(市区町村) | 危険な場所にいる全員が避難する。これが最も重要な避難タイミング |
| レベル5 | 緊急安全確保(市区町村) | すでに災害が発生・切迫している状態。今いる場所で命を守る最善の行動をとる(建物の2階以上への垂直避難等) |
重要なのは「レベル4の避難指示が出たら必ず避難する」ことです。「レベル5の緊急安全確保が出てから逃げよう」では手遅れになる場合があります。
能登豪雨(2024年)でも「避難の遅れが命を危険にさらした」事例が多数報告されています(ピースウィンズ・ジャパン、2024年)。
避難前に自宅でやること(時間に余裕がある段階)
警戒レベル2〜3の段階で「避難前の準備」を行ってください。
この段階でしっかり準備することで「避難指示が出たら迷わず出発できる」状態になります。
- 非常用持ち出し袋の最終確認:水・食料・薬・重要書類・充電済みスマートフォン・モバイルバッテリーが揃っているか確認する
- 貴重品・重要書類を防水バッグに入れる:通帳・保険証書・現金・印鑑を防水バッグ・ジップロック袋に入れて非常用袋に入れる
- 家電・貴重品を2階・棚の上に移動する:テレビ・パソコン・思い出のアルバム等を高い場所に移動する
- 土のう・水のう・止水板を設置する:玄関・ガレージ・勝手口に土のう・水のう・止水板を設置する。防水テープを窓サッシ・ドア枠に貼る
- 排水口に逆流防止プラグを設置する:洗面台・浴室・トイレに逆流防止対策を施す
- ガスの元栓を閉める:避難前にガスの元栓を閉めて漏れを防ぐ
- 全ての窓・ドアを施錠する:避難後の空き巣対策のため、全施錠を確認する
避難のタイミングを逃さないための判断基準
「いつ避難するか」の判断で迷う方は多くいます。
以下の「どれかひとつでも当てはまる場合は即座に避難する」という基準を持ってください。
- 市区町村から「警戒レベル4:避難指示」が発令された
- ハザードマップで「洪水浸水想定区域」に自宅が含まれており、近くの河川の水位が「氾濫危険水位」に達した
- 自宅周辺で浸水・冠水が始まった
- 家族に「高齢者・障害者・乳幼児」がいて(警戒レベル3以上で避難)
- 「何か嫌な予感がする・川の音が怖い」という直感がある
「空振りになってもいい」という覚悟で避難してください。
「早めに避難して何も起きなかった」は恥ずかしいことではなく「正しい判断」です。
【フェーズ3:洪水発生中の対処法】安全な避難行動
洪水が実際に発生している・または切迫している状況での「正しい行動」を解説します。このフェーズでは「素早く・冷静に・安全に」行動することが最優先です。
安全な避難行動の基本ルール
東京消防庁・国土交通省・tenki.jpの資料をもとに、洪水発生時の安全な避難行動の基本ルールをまとめます。
- 浸水が始まる前に避難する:浸水が始まってからの避難は非常に危険。浸水前に避難を完了させることが基本(国土交通省)
- 明るいうちに避難する:夜間の避難は危険が増す。警戒情報が出たら暗くなる前に避難を開始する(tenki.jp)
- 単独行動を避ける:可能な限り複数人で行動する。誘導者の指示に従う(東京消防庁)
- 水の流れがある場所を避ける:流れがある浸水道路は「見た目より流速が速い」ため転倒・流される危険が高い(東京消防庁)
- アンダーパス・地下街・地下駐車場には近づかない:一瞬で水没する危険がある
- ライフジャケットを着用する:浸水地域を歩く際はライフジャケットを着用して転倒時の溺水リスクを下げる
- 傘・杖で足元を確認しながら歩く:浸水時は側溝・マンホール蓋が見えなくなる。棒状のもので足元を確認しながら進む
浸水時に歩行可能な水位の目安
浸水した道路を徒歩で避難する場合「どこまでの水位なら歩けるか」を把握しておくことが重要です。
tenki.jpの資料では「浸水時の歩行可能な水位の目安はひざ下まで(約30cm)」とされています。
| 浸水深の目安 | 状況・リスク | 行動の基準 |
|---|---|---|
| 10cm未満 | 足元が濡れる程度。マンホール・側溝の位置に注意 | 慎重に歩行可能。ゆっくり足元を確認しながら進む |
| 10〜30cm(くるぶし〜ひざ下) | 歩行が困難になり始める。流れがある場合は転倒リスクが高い | 流れがない場合は歩行可能だが慎重に。流れがある場合は避難を中止して垂直避難を検討 |
| 30〜50cm(ひざ〜腰) | 歩行が非常に困難。子ども・高齢者は溺水の危険。車のドアが開けられなくなる | 屋外避難を中止。垂直避難(建物の2階以上へ)に切り替える |
| 50cm以上 | 大人でも転倒・流される危険。車は完全に水没リスク | 屋外に出ない。建物の最上階へ垂直避難する |
垂直避難(たて避難)の判断基準と方法
洪水が迫っているのに「安全な避難場所まで移動する時間・手段がない」場合は「垂直避難(建物の上階に逃げる)」を選択します。
大阪市・矢守克也教授(京都大学防災研究所)らの見解でも「逃げ遅れた場合の最終手段として垂直避難が有効」とされています。
垂直避難の手順は以下の通りです。
- 建物内で最も高い階(2階以上)に移動する
- 非常用持ち出し袋・飲料水・食料・スマートフォンを持って移動する
- 窓・ドアを閉める(水圧で窓が割れないよう注意)
- 電力会社・ガス会社への連絡が可能であれば停電・ガス漏れを報告する
- 外部への連絡を維持する(スマートフォンのバッテリーを節約しながら状況を発信する)
- 水が引くまで安全な場所で待機する
🚨 垂直避難にも限界がある:木造1〜2階建て住宅では不十分な場合がある
能登豪雨(2024年)では「2階に垂直避難していた住民が、家ごと濁流に流された」事例が報告されています(ピースウィンズ・ジャパン、2024年)。
木造の平屋・2階建て住宅での垂直避難は「鉄筋コンクリート造の建物に比べて安全性が低い」です。
ハザードマップで「3m以上の浸水深」が想定されている地域では、垂直避難は最終手段として、「早めの水平避難(安全な場所への移動)」を強く優先してください。
車での避難・水没した車からの脱出
洪水時の車の扱いについて、以下の重要な注意点があります。
- 浸水した道路に車で進入しない:30〜50cmの浸水でも車は制御不能になることがある。エンジンが水を吸い込んで停止することがある
- アンダーパス(低架下道路)は絶対に通らない:数分で数mの水没が起きることがある。死亡事故が毎年発生している
- 車が水没し始めたら速やかに脱出する:車内外の水位差が小さいうちにドアを開ける。水位差が大きくなるとドアが開けられなくなる
- ドアが開かない場合は窓ガラスを割って脱出する:シートベルトカッター・窓ガラス破壊ハンマーを車内に備えておく。窓のサイドガラスはフロントガラスより割れやすい(コーナー部分を叩く)
【フェーズ4:洪水後の対処法】安全確認から生活再建まで
洪水が引いた後も「様々な危険・問題」が続きます。「水が引いたから安全」とは限りません。洪水後の正しい対処法を段階的に解説します。
帰宅前・立ち入り前の安全確認
洪水後に自宅に戻る前に、必ず以下の安全確認を行ってください。
- 市区町村からの帰宅許可を確認する:避難指示・避難勧告が解除されるまで自宅に戻らない
- 建物の外観から安全を確認する:建物が傾いていないか・基礎に大きな損傷がないか・ガスのにおいがしないかを外から確認する
- 電気・ガスを使う前に専門家に確認する:電力会社・ガス会社に連絡して安全確認が完了するまでブレーカーを入れない・ガスを使わない
浸水後の室内清掃・消毒の対処法
洪水後の室内には「汚染された泥・ヘドロ・下水」が入り込んでいることがほとんどです。
感染症予防のためにも、以下の正しい手順で清掃・消毒を行ってください。
- 保護具を着用してから作業開始する:長袖・長ズボン・長靴・防水手袋(ゴム・ニトリル)・N95マスク(カビ・粉塵の吸入を防ぐ)を着用する
- まず泥・ヘドロを取り除く:スコップ・ほうきで大きな泥を外に搔き出す。排水溝・側溝に流し込まない(詰まりの原因)
- 高圧洗浄・ブラシで洗い流す:水道が使える場合はホース・高圧洗浄機で泥を洗い流す。細かい部分はデッキブラシで擦り洗いする
- 消毒を行う:次亜塩素酸ナトリウム(塩素系漂白剤)を水で薄めた液(0.1%溶液:市販の塩素系漂白剤5mlを水1Lで希釈)を床・壁・家具に塗布して消毒する。厚生労働省が洪水後の消毒方法として推奨
- 十分に乾燥させる:窓を開けてできるだけ乾燥させる。カビの発生を防ぐために「乾燥が最も重要」
⚠ 清掃中の感染症リスクに注意
洪水後の泥・ヘドロには「レプトスピラ菌・破傷風菌・大腸菌・ノロウイルス」など多種の病原体が含まれていることがあります。
素手・素足での作業は絶対に避けてください。
作業後は必ず石鹸と流水で手・全身を洗ってください。
傷がある部位は防水絆創膏・防水手袋で保護してください。
「清掃後に発熱・強い筋肉痛が出た場合」はレプトスピラ症の可能性があります。速やかに医療機関を受診してください。
電気・ガス・水道の復旧確認
ライフラインの復旧には一定の手順を踏む必要があります。
- 電気:電力会社に連絡して安全確認を依頼する。電力会社から「安全確認完了」の連絡があってからブレーカーを入れる。浸水した電化製品は「乾燥・点検が完了するまで」使用しない
- ガス:ガス会社に連絡して安全確認を依頼する。ガス会社の係員が立会確認するまでガスは使用しない。室内でガスのにおいがする場合は窓を開けてすぐに外に出る
- 水道:市区町村の水道事業者から「飲料可能」の安全宣言が出るまで水道水を飲料・調理に使用しない。安全宣言が出るまでは市販のペットボトル水・給水所の水のみを使用する
罹災証明書の申請と各種支援の手続き
洪水被害を受けた場合は「罹災証明書(りさいしょうめいしょ)」の申請を早めに行ってください。罹災証明書は「被災したことを市区町村が証明する書類」で、以下の手続きに必要です。
- 火災保険・水災補償の申請
- 住宅の応急修理制度(被災住宅応急修理支援)の申請
- 被災者生活再建支援金の申請
- 税金の減免・猶予の申請
- 義援金の受け取り手続き
罹災証明書は「被災した家の住所を管轄する市区町村の窓口」に申請します。申請が混み合うため「できるだけ早く」申請することをおすすめします。
申請前に「被害状況の写真(浸水深・損傷箇所・家財の被害状況)」を多数撮影しておくことが重要です。
洪水時のNG行動・絶対にやってはいけないこと
洪水時に「よかれと思ってやってしまいがちだが、実は命取りになる行動」をまとめます。
NG行動①:増水した川・用水路の様子を見に行く
「川の様子が気になって見に行った」人が転落・流された事故は毎年発生しています。増水した川・用水路の縁は「足元が滑りやすく・水流で足元が崩れやすい」状態です。
川・用水路の様子を確認する必要がある場合は「スマートフォンで国土交通省の川の防災情報を確認する」というオンラインでの確認にとどめてください。
「川の様子を見に行く」というNG行動は、国土交通省・消防庁が繰り返し注意喚起しています。
NG行動②:浸水したアンダーパスに車で進入する
アンダーパス(道路が線路・高架道路の下を通る低い部分)は「周囲より地面が低い」ため、洪水時に急速に水没します。
浸水しているアンダーパスへの車での進入は、過去に多数の死亡事故につながっています。「少し浸水しているだけだから通れるだろう」という判断は非常に危険です。
浸水しているアンダーパスは「どんなに急いでいても・どんなに浅く見えても」絶対に通行しないでください。
NG行動③:逃げ遅れてから無理に屋外避難する
避難指示が発令されたにもかかわらず準備に時間がかかり「外がすでに腰まで浸水している」状態で屋外に避難しようとするのは非常に危険です。
このような状況では「屋外での避難を試みるより、現在いる建物の最上階に垂直避難する」方が生存確率が高いです。
「逃げ遅れたと感じたら、垂直避難に切り替える」という判断が重要です。
NG行動④:洪水後すぐにSNSで「〇〇が大丈夫だった・空き巣に注意」と発信する
避難中・洪水後に「今○○避難所にいます」「家が心配です」というSNS投稿は「自宅が空き家になっていることを広く知らせる」ことになります。洪水後の被災地では「空き巣・窃盗」が増加します。
SNSへの「避難中・家を空けている」とわかる投稿は、自宅に戻ってから・または信頼できる特定の人にだけ知らせるようにしてください。
NG行動⑤:洪水後の浸水した室内に素手・素足で入る
洪水後の浸水した室内には「汚染された泥・ヘドロ・下水・病原体(レプトスピラ菌・破傷風菌等)」が含まれています。
「早く片づけたい」という気持ちはわかりますが、素手・素足での作業は「感染症・皮膚感染症・破傷風のリスク」があります。
必ず「長袖・長ズボン・長靴・防水手袋・N95マスク」を着用してから作業を開始してください。
要配慮者(高齢者・子ども・ペット)の洪水対策
洪水時に「避難に時間がかかる・特別な配慮が必要な家族」がいる場合は、より早い段階からの準備・行動が必要です。
高齢者・障害者の洪水対策
- 警戒レベル3(高齢者等避難)が発令された時点で避難を開始する:高齢者・障害者は「移動に時間がかかる」ため、他の人より早い段階で避難を開始する
- 福祉避難所の場所を事前に確認する:高齢者・障害者には「一般の避難所より設備が整った福祉避難所」が指定されている市区町村がある。事前に場所と利用条件を確認しておく
- 地域の避難支援制度を活用する:多くの市区町村では「避難行動要支援者名簿」に登録することで、地域の支援者・自治会・民生委員から避難支援を受けられる。市区町村の福祉窓口に相談する
- 常備薬・医療機器の持ち出しリストを作成する:インスリン・透析患者の医療機器など「命に関わる医薬品・医療機器」の持ち出しリストを事前に作成しておく
乳幼児・子どもの洪水対策
- 乳幼児用ライフジャケット(PFD)を準備する:子ども用サイズのライフジャケットを事前に購入して試着・慣れさせておく
- 避難時の移動手段を確認する:抱っこ紐・ベビーカー(防水カバー付き)・リュック型キャリアなど、乳幼児を安全に移動させる手段を事前に準備する
- 子どもに警戒レベルの意味を伝える:「防災ラジオでこんな言葉が聞こえたら避難の準備をする」というルールを子どもにも教えておく
ペットの洪水対策
- ペット同行避難が可能な避難所を事前に確認する:ペットと一緒に避難できる「指定避難所」を市区町村のウェブサイト・ハザードマップで確認しておく。すべての避難所がペット可ではない
- ペット用キャリー・ケージを準備する:避難所・移動時に必要なサイズのキャリー・ケージを準備しておく
- ペットのワクチン接種記録・マイクロチップを確認する:避難所入所時にワクチン接種証明書の提示を求められる場合がある
- 1週間分のペットフード・水・薬を備蓄する:洪水後はペットフードの入手が困難になることがある
洪水対策の総まとめ:「今日からできること」
洪水の対策・対処法をフェーズごとにまとめてきました。最後に「今日からすぐに実践できること」を整理します。
今日中に実践できること(所要時間:30分〜1時間)
- □ ハザードマップポータルサイト(https://disaportal.gsi.go.jp/)で自宅の洪水リスクを確認した
- □ NHKニュース・防災アプリ・Yahoo!防災速報アプリをスマートフォンにインストールした
- □ 市区町村の防災メール配信サービスに登録した
- □ 家族全員で避難場所・避難ルートを口頭で確認した
- □ 火災保険の証券を確認し、水災補償が含まれているかチェックした
- □ 主な家財・家電の写真を撮ってクラウドに保存した
今週中にやること(所要時間:数時間〜半日)
- □ 非常用持ち出し袋を「洪水仕様」で見直した(ライフジャケット・防水バッグ・吸水土のう等の追加)
- □ 備蓄品の保管場所を「2階以上・棚の上段」に変更した
- □ 家族全員でマイ・タイムラインを作成した
- □ 雨どい・側溝の清掃・詰まりの確認をした
- □ 排水口の逆流防止プラグを購入して設置方法を確認した
「完璧な準備ができてから動く」必要はありません。「今日ひとつ、小さな準備をする」という積み重ねが、いざというときの「生死を分ける差」になります。
防災ベースでは今後も「洪水・水害から命と暮らしを守るための最新情報」をお届けします。


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