洪水・内水氾濫の違いを徹底解説|外水氾濫との比較・発生メカニズム・それぞれの対策まで完全ガイド【2026年最新版】

洪水・内水氾濫の違いを徹底解説|外水氾濫との比較・発生メカニズム・それぞれの対策まで完全ガイド【2026年最新版】

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洪水・内水氾濫の違いを徹底解説|外水氾濫との比較・発生メカニズム・それぞれの対策まで完全ガイド【2026年最新版】

「洪水と内水氾濫って何が違うの?」「うちは河川から遠いから洪水の心配はない、と思っていたのに浸水した」「ハザードマップに載っていないエリアなのに浸水した、なぜ?」

こうした疑問・体験をお持ちの方は少なくありません。

「洪水」と「内水氾濫」は「水が溢れて浸水する」という現象は同じように見えますが、発生メカニズム・被害の特徴・ハザードマップへの反映・有効な対策が大きく異なります。

この違いを理解しないままでは「自分の家が実際に直面しているリスク」を正確に把握することができません。

特に注意してほしいのが「内水氾濫は河川から遠い都市部でも発生する」という事実です。

近年のゲリラ豪雨・線状降水帯による集中豪雨では「洪水ハザードマップに掲載されていないエリア」で深刻な浸水被害が続発しています。

国土交通省の資料では「水害被害全体のうち、内水被害の件数が半数以上を占める年もある」とされています。

この記事では「洪水(外水氾濫)と内水氾濫の違い」を、国土交通省・気象庁・内閣府・消防庁・ニュートン・コンサルティングの公的資料・信頼性の高い専門機関の情報をもとに徹底解説します。

  • 洪水(外水氾濫)とは何か:定義・発生メカニズム
  • 内水氾濫とは何か:定義・発生メカニズム
  • 洪水(外水氾濫)と内水氾濫の違い:徹底比較
  • 内水氾濫が特に発生しやすい場所・地形
  • ハザードマップと内水氾濫の関係:見落としやすいリスク
  • 外水氾濫・内水氾濫それぞれの被害事例
  • 複合氾濫(外水+内水の同時発生)の危険性
  • 外水氾濫・内水氾濫それぞれへの対策
  • 外水氾濫・内水氾濫を問わず共通して使える情報収集ツール

【情報の出典について】
本記事は国土交通省「洪水浸水想定区域図・洪水ハザードマップ」・同「水害発生時の避難行動について」・気象庁「洪水キキクル(洪水警報の危険度分布)」・内閣府「避難情報に関するガイドライン(令和3年5月改定)」・消防庁「防災マニュアル」・ニュートン・コンサルティング「浸水と冠水の違い・浸水害に関する解説」・同「洪水・内水」・日本防災支援機構「洪水や浸水になる要因」等の公的資料・専門機関情報をもとに作成しています。防災ベース編集部が内容をわかりやすく解説しました。

目次

洪水(外水氾濫)とは何か:定義と発生メカニズム

まず「洪水(外水氾濫)」の定義・発生メカニズムを正確に理解しましょう。

洪水(外水氾濫)の定義

洪水(外水氾濫)とは「河川・湖沼・海等の水位が上昇して堤防を越える・または堤防が決壊することで、大量の水が周辺の市街地・農地・住宅地に流れ込む現象」です。

「外水(がいすい)」とは「堤防の外側にある水、つまり河川の水」のことを指します。その外水が堤防を越えて市街地側(堤防の内側)に流れ込む現象が「外水氾濫」です。

国土交通省の分類では「洪水」はこの外水氾濫を主として指します。

外水氾濫の発生メカニズム

外水氾濫が発生するプロセスは以下の通りです。

  1. 大雨・台風・融雪等により、河川の上流・中流域に大量の降水・流入水が集中する
  2. 河川の流量が増大して水位が急上昇する
  3. 水位が堤防の高さに達して「越水(堤防を水が越える)」が起きる、または水圧・浸食・パイピング(水が堤防内部を通る現象)により「堤防が決壊する」
  4. 大量の水が堤防の内側(市街地・住宅地)に流れ込んで浸水・冠水が発生する

外水氾濫には大きく分けて「越水型」と「決壊型」があります。

  • 越水型:堤防の高さを超えて水が溢れ出すタイプ。水位上昇から氾濫まで「ある程度の時間的余裕」がある場合が多い。ただし水位上昇が急激な場合は時間的余裕がない
  • 決壊型:堤防が水圧・侵食・パイピング等により一部または全体が崩壊するタイプ。決壊すると「一瞬で大量の濁流が流れ込む」ため、命の危険が極めて高い。逃げる時間がほぼない

外水氾濫は「流域面積が大きな大河川・中規模河川」でも「流域が小さな中小河川・急流河川」でも発生します。

特に「山地から平野部に出る急流河川」では「降雨から氾濫まで数十分〜数時間」という短時間で発生するため、迅速な避難判断が命を守ります。

外水氾濫が発生しやすい条件・地域

  • 台風・前線による長時間の集中豪雨が降った場合(流域全体の雨量が多い場合)
  • 河川の流量調節機能(ダム・遊水地等)が限界に達した場合
  • 河川が合流する地点・川幅が狭くなる地点・川が曲がっている地点(水圧が集中しやすい)
  • 老朽化した堤防・整備が不十分な堤防がある河川沿い
  • 扇状地・後背湿地・氾濫原(かつて河川が氾濫していた低地)

内水氾濫とは何か:定義と発生メカニズム

次に「内水氾濫」の定義・発生メカニズムを解説します。内水氾濫は「外水氾濫と混同されやすい」ですが、発生メカニズムは根本的に異なります。

内水氾濫の定義

内水氾濫とは「市街地・住宅地に降った雨水が下水道・排水路・水路の排水処理能力を超えて、道路・住宅地・地下空間等に溢れ出す現象」です。

「内水(ないすい)」とは「堤防の内側(市街地側)にある水、つまり市街地に降った雨水・排水」のことを指します。

その内水が「排水しきれずに地表に溢れ出す」のが内水氾濫です。「都市型水害」「浸水害」とも呼ばれます。

内水氾濫の発生メカニズム

内水氾濫が発生するプロセスは以下の通りです。

  1. 市街地・住宅地に短時間で大量の降雨(ゲリラ豪雨・局地的大雨等)が発生する
  2. 下水道・排水路・水路の排水処理能力(多くの都市で時間あたり50mm相当)を超える雨水が流れ込む
  3. 下水道・排水路が満水になり、雨水が地表・道路・住宅内に逆流・溢れ出す
  4. 道路・住宅地・地下空間が浸水・冠水する

ニュートン・コンサルティングの解説によると「都市の排水能力は一般的に時間あたり約50mm相当」です。

近年のゲリラ豪雨・線状降水帯では「1時間に100mm超」の降雨が発生するケースもあり、都市の排水能力をはるかに超えています。

また下水道が内水で満水になった状態で外水氾濫も同時発生すると「河川の水が逆流して下水道から市街地に流れ込む」という現象も起きます。

これを「下水道の逆流」といい、宅内のトイレ・排水口から汚水が逆流するという被害につながります。

内水氾濫が発生しやすい条件・地域

  • アスファルト・コンクリートの面積が多い都市部(雨水が地中に浸透せず下水道に集中する)
  • 整備が古い・容量が小さい下水道が残っている地域
  • 周囲より地面が低い地点・アンダーパス・地下空間
  • 河川の水位上昇に伴い「排水ポンプが能力限界に達した」場合
  • 短時間に局地的な大雨(ゲリラ豪雨)が降った地域

洪水(外水氾濫)と内水氾濫の違い:徹底比較

外水氾濫と内水氾濫の違いを、重要な観点から比較します。

比較項目 外水氾濫(洪水) 内水氾濫(都市型水害)
水の発生源 河川・湖沼・海(堤防の外側の水) 市街地に降った雨水(下水道・排水路から溢れた水)
主な原因 大雨・台風による河川水位上昇・堤防の越水・決壊 下水道・排水路の排水能力を超えるゲリラ豪雨・局地的大雨
発生しやすい場所 河川・湖沼・海の堤防沿い・周辺の低地・氾濫原 都市部・アスファルト面積が多い地域・河川から離れた低地・地下空間
発生の速さ 降雨から氾濫まで数時間〜数日(大河川)、または数十分〜数時間(急流中小河川) 降雨から浸水まで数十分〜数時間(ゲリラ豪雨では突発的に発生)
浸水の規模・深さ 場合によっては数m〜数十mの深い浸水・広域の浸水が起きることがある 一般に外水氾濫より浸水深は浅いが(床下〜床上数十cm程度が多い)、地下空間では深い浸水が発生する
浸水の継続時間 排水に時間がかかるケースが多い(数時間〜数日〜1週間以上) 雨が止めば比較的短時間で排水されるケースが多い(数時間〜1日程度)
洪水ハザードマップへの掲載 国土交通省・都道府県が作成する洪水浸水想定区域図に掲載される 多くの場合、洪水(外水)ハザードマップには掲載されない。内水ハザードマップが別途作成されている場合がある
濁流・流木のリスク 高い。特に堤防決壊・急流河川では濁流・流木が混入した危険な流れになる 比較的低い。ただし下水の汚水が混入した不衛生な水になることが多い
感染症リスク 高い(泥・土砂・農薬等が混入) 高い(下水・汚水が混入)。内水の方が下水汚染が深刻になりやすい
気象庁の危険度情報 「洪水キキクル(洪水警報の危険度分布)」で確認できる 「浸水キキクル(大雨警報(浸水害)の危険度分布)」で確認できる

この比較表から読み取れる最も重要な違いは「ハザードマップへの掲載有無」です。

「自宅が洪水浸水想定区域に入っていないから安全」という判断は「外水氾濫のリスク」については正しいかもしれませんが「内水氾濫のリスク」は考慮されていません。

日本中で「ハザードマップに掲載されていないエリアで被害が発生した」という事例が後を絶たないのは、この「内水氾濫が考慮されていない」ためです。

内水氾濫が特に発生しやすい場所・地形

内水氾濫のリスクを正確に把握するためには「特に発生しやすい場所・地形」を理解することが重要です。

都市部・市街地

都市部は「アスファルト・コンクリートによる舗装面積が大きく、雨水が地中に浸透せず下水道・排水路に集中する」ため、内水氾濫リスクが高い地域です。

東京・大阪・名古屋などの大都市では「整備年代が異なる下水道が混在している」ため、老朽化した部分の排水能力不足が内水氾濫の原因になることがあります。

日本防災支援機構の資料では「都市化の進展が雨水の流出量を増加させ、内水氾濫のリスクを高めている」と指摘されています。

周囲より地面が低い地点(低地・窪地・アンダーパス)

周囲より地面が低い場所は「雨水が集まりやすい・排水しにくい」という構造的な特徴から内水氾濫リスクが高くなります。

道路のアンダーパス(線路・高架下の低い部分)は「周囲より地盤が数m低い」ため、短時間で急速に浸水することがあります。

過去に「アンダーパスで車が水没して運転者が溺死する」という痛ましい事故が複数発生しています。

地下空間(地下鉄・地下街・地下駐車場・建物の地下室)

地下空間は「地表から雨水が流れ込む・排水能力が不足している」場合に急速に水没します。

地下空間への内水氾濫は「外部から見てわかりにくい」ため、地下にいる人が状況を把握しにくいという特徴があります。

2022年の台風14号上陸時には各地の地下施設で浸水被害が確認されました。

「雨が降ってきたら地下に逃げ込もう」という行動が「内水氾濫時には逆に危険になる」という逆説的なリスクを認識してください。

河川沿いの低地(外水・内水の複合リスクゾーン)

河川沿いの低地は「外水氾濫リスク(河川の越水・決壊)」と「内水氾濫リスク(下水道の処理能力超過・排水ポンプの能力限界)」の両方にさらされるエリアです。

大雨時には「河川水位が高くなることで下水道からの排水ができなくなり(下水道の出口が河川に水没する)、市街地側に雨水が溜まる」という状態が起きることがあります。

このような地域では「外水氾濫がなくても内水氾濫が発生する」ケースがあります。

ハザードマップと内水氾濫の関係:見落とされやすいリスク

洪水対策で「ハザードマップを確認した」という方でも「内水氾濫のリスクを見落としている」ケースが非常に多くあります。

この「ハザードマップの盲点」について正確に理解してください。

洪水ハザードマップ(外水氾濫)に掲載されないエリアでも内水氾濫は起きる

国土交通省・都道府県が作成する「洪水浸水想定区域図」は「河川の越水・決壊によって発生する外水氾濫のリスクエリア」を示しています。

この地図に「浸水想定区域外」と表示されているエリアは「外水氾濫が起きにくい」ことを意味します。

しかし「内水氾濫が起きないこと」を意味するわけではありません。

実際に「洪水浸水想定区域外」と表示されたエリアでゲリラ豪雨による内水氾濫が発生した事例は全国で数多く報告されています。

「ハザードマップに載っていないから安全」という思い込みは、内水氾濫のリスクを考慮すると危険な誤解です。

内水ハザードマップとは何か

近年、国土交通省は「内水氾濫のリスクも視覚的に確認できる内水ハザードマップ(浸水想定区域図)」の整備を市区町村に促進しています。

内水ハザードマップは「一定の降雨(10年〜30年に1度の確率で発生する降雨等)を想定した場合に、下水道・排水路の処理能力を超えて浸水する可能性があるエリアと浸水深」を示した地図です。

ただし「すべての市区町村が内水ハザードマップを整備・公開しているわけではない」のが現状です。

自宅の内水浸水リスクを確認する方法は以下の通りです。

  • 国土交通省「ハザードマップポータルサイト」(https://disaportal.gsi.go.jp/)を確認する:「洪水・浸水害」の項目から内水浸水想定区域図が掲載されている場合は確認できる
  • 市区町村のウェブサイト・窓口で「内水ハザードマップ」「浸水ハザードマップ」を確認する:洪水ハザードマップとは別に内水ハザードマップを公開している市区町村もある
  • 気象庁の「浸水キキクル(大雨警報(浸水害)の危険度分布)」(https://www.jma.go.jp/bosai/risk/#elements:surf)を確認する:降雨による浸水危険度をリアルタイムで確認できる

洪水ハザードマップだけでなく内水浸水リスクも確認する

正確な自宅の水害リスクを把握するには「外水氾濫ハザードマップ」と「内水浸水ハザードマップ(または内水浸水想定区域図)」の両方を確認することが必要です。

また「自宅周辺の道路にアンダーパスがあるか」「地下空間(地下駐車場・地下室等)があるか」も内水氾濫のリスクとして把握しておいてください。

✅ 自宅のリスク確認チェックリスト
□ 国土交通省ハザードマップポータルサイトで「洪水浸水想定区域・想定浸水深」を確認した
□ 同サイトで「内水浸水想定区域」が公開されている場合は確認した
□ 市区町村のウェブサイトで内水ハザードマップを探して確認した
□ 気象庁「浸水キキクル」をスマートフォンにブックマークした
□ 自宅から避難場所までの経路上にアンダーパスや浸水しやすい低地がないか確認した
□ 自宅・職場の地下空間(地下駐車場・地下室等)の内水氾濫リスクを確認した

外水氾濫・内水氾濫それぞれの代表的な被害事例

外水氾濫・内水氾濫それぞれの特徴をより具体的に理解するために、代表的な被害事例を紹介します。

外水氾濫の代表的な被害事例

2019年台風19号(令和元年東日本台風):多数の河川で堤防決壊・大規模外水氾濫

2019年10月に日本に上陸した台風19号(令和元年東日本台風)では、関東・東北を中心に「71河川140か所で堤防が決壊」するという大規模な外水氾濫が発生しました(国土交通省発表)。

長野県千曲川・宮城県丸森町などでは広大なエリアが深刻な外水氾濫の被害を受けました。床上浸水約2万5千棟・床下浸水約3万棟以上・死者101名という甚大な被害をもたらしました。

「川に近いエリアが広範囲かつ長期間浸水した」「堤防決壊による急激な濁流が家屋を押し流した」という外水氾濫の特徴がよく表れた災害でした。

2020年7月豪雨(令和2年7月豪雨):球磨川氾濫

2020年7月に発生した令和2年7月豪雨では、熊本県の球磨川が氾濫して大規模な外水氾濫が発生しました。

人吉市・球磨村等を中心に「球磨川支流を含む複数の河川が氾濫・堤防決壊」し、死者65名・行方不明者2名という深刻な被害が出ました(熊本県発表)。

「山間部を流れる急流河川での短時間の水位上昇と氾濫」という外水氾濫の危険性を改めて示した事例です。

2024年9月能登豪雨:洪水で建物が流失

2024年9月21日に能登半島を襲った豪雨では、石川県輪島市・珠洲市等で河川氾濫(外水氾濫)が発生しました。

「垂直避難していた木造住宅が濁流に流された」という事例が複数報告され、外水氾濫の「建物流失リスク」を改めて示した事例となりました(石川県・ピースウィンズ・ジャパン、2024年)。

内水氾濫の代表的な被害事例

都市部での突発的なゲリラ豪雨による内水氾濫(毎年各地で発生)

近年、東京・大阪・名古屋・福岡などの大都市でも「1時間70〜100mmを超えるゲリラ豪雨による内水氾濫」が毎年発生しています。

「河川からは遠い住宅街の道路が膝まで浸水した」「地下駐車場が短時間で1m以上浸水した」「地下鉄の出入口から雨水が流れ込んだ」というケースが報告されています。

アンダーパスでの車両水没事故(全国各地)

内水氾濫に伴う「アンダーパスでの車両水没・溺死事故」は全国各地で繰り返し発生しています。

「浸水しているように見えなかった・少しくらい大丈夫と思って進んだ」という状況で起きる事故が多く、内水氾濫の「急速な水位上昇」「外見上のわかりにくさ」という特徴が背景にあります。

マンション・一戸建て地下室への浸水被害

ゲリラ豪雨時に「マンションの地下駐車場・戸建て住宅の地下室が短時間で水没した」という内水氾濫の被害事例は全国で増加しています。

「洪水ハザードマップに掲載されていないエリアで発生した」という事例が多く、内水ハザードマップの整備・活用の重要性を示しています。

複合氾濫(外水+内水の同時発生)の危険性

実際の大規模水害では「外水氾濫と内水氾濫が同時に発生する複合氾濫」が起きることがあります。

複合氾濫は「単独の氾濫より浸水深・浸水範囲・被害が大幅に拡大する」という深刻な特徴があります。

複合氾濫が発生するメカニズム

複合氾濫は以下のようなメカニズムで発生します。

  1. 大雨により市街地に大量の雨水が降り注ぎ、下水道・排水路が満水になる(内水氾濫の状態)
  2. 同時に河川の水位が上昇して、下水道・排水路の「出口(吐口)」が河川水面に水没する
  3. 下水道・排水路から河川に排水できなくなり、さらに河川の水が下水道・排水路に逆流し始める
  4. 河川の越水・堤防決壊による外水氾濫も発生して、市街地が「外からの水+内側の水」の両方に浸水する

このような複合氾濫が発生した場合は「排水ポンプを稼働させても排水能力が追いつかない」という状況になることがあります。

複合氾濫は「河川の近く・かつ低地に位置する都市部」でリスクが特に高くなります。

複合氾濫への備えの重要性

複合氾濫への備えとして特に重要なのは以下の点です。

  • 「外水氾濫ハザードマップ」と「内水浸水ハザードマップ」の両方を確認して、複合リスクエリアかどうかを把握する
  • 排水口・トイレからの逆流防止対策を行う(逆流防止プラグの設置等)
  • 複合氾濫が想定される地域では「より早い段階での水平避難(立退き避難)」を優先する

外水氾濫・内水氾濫それぞれへの対策

外水氾濫と内水氾濫では「有効な対策」にも違いがあります。それぞれの特性に合わせた対策を講じることが重要です。

外水氾濫に有効な対策

【平時の対策】

  • 洪水ハザードマップで浸水深・浸水継続時間を確認する:国土交通省ハザードマップポータルサイト(https://disaportal.gsi.go.jp/)で自宅の外水氾濫リスクを把握する
  • 近くの河川の水位情報を「川の防災情報」(https://www.river.go.jp/)で確認する手順を覚える:大雨時にリアルタイムで近隣河川の水位を確認できる
  • 気象庁「洪水キキクル」(https://www.jma.go.jp/bosai/flood/)をブックマークする:洪水の危険度をリアルタイムで地図確認できる
  • マイ・タイムラインを作成する:「警戒レベルごとにいつ・何をするか」を家族で事前に決める
  • ライフジャケット(家族全員分)を準備する:外水氾濫による浸水時の移動の安全性を高める
  • 備蓄品を2階以上・棚の上段に保管する:外水氾濫で1階が浸水しても備蓄品が守られる

【洪水接近時・警戒情報発令時の対策】

  • 警戒レベル3(高齢者等避難)の発令で要配慮者がいる家庭は避難を開始する
  • 警戒レベル4(避難指示)の発令で全員が安全な場所へ水平避難する
  • 避難前に玄関・ガレージへの止水板・土のう・水のうを設置する
  • 家電・家財を2階以上・棚の上段に移動する
  • 水平避難が困難な場合は建物の2階以上への垂直避難を行う

内水氾濫に有効な対策

【平時の対策】

  • 市区町村の内水ハザードマップ・浸水想定区域図を確認する:外水氾濫ハザードマップとは別に、内水浸水リスクを把握する
  • 気象庁「浸水キキクル(大雨警報(浸水害)の危険度分布)」をブックマークする:内水浸水の危険度をリアルタイムで確認できる
  • 雨どい・側溝・排水口を定期的に清掃する:ゴミ・落ち葉等による目詰まりが内水氾濫を悪化させる
  • 排水口の逆流防止プラグを準備・設置する:大雨時の下水道逆流による室内への汚水浸水を防ぐ
  • 自宅・職場周辺のアンダーパスの位置を把握しておく:大雨時に通行しないルートとして把握しておく
  • 地下駐車場・地下室を使用している場合は浸水センサーや警報装置を設置する:内水氾濫の早期検知につながる

【ゲリラ豪雨・大雨時の対策】

  • 短時間の大雨予報・警報が出たら地下空間への立ち入りを避ける:地下鉄・地下街・地下駐車場・地下室からは早めに地上に出る
  • アンダーパスへの進入を避ける:浸水しているアンダーパスには絶対に進入しない
  • 窓・ドアの防水対策を施す:玄関・窓サッシの隙間に防水テープを貼る。吸水土のうを設置する
  • 排水口への逆流防止プラグを装着する:浴槽・洗面台・トイレの排水口からの逆流を防ぐ
  • 浸水が始まったら1階の電気系統のブレーカーを落とす:漏電・感電のリスクを低減する

外水・内水氾濫の両方に共通して有効な対策

  • 非常用持ち出し袋の準備(飲料水・食料・薬・重要書類・ライト・モバイルバッテリー等)
  • 防水バッグ・ドライバッグの準備(重要書類・スマートフォンを浸水から守る)
  • 携帯トイレの備蓄(断水・下水道使用不能時に対応)
  • 防水長靴・防水手袋の準備(浸水後の清掃・感染症予防)
  • 火災保険の水災補償内容の確認・必要に応じた見直し
  • 被害が出た場合に備えた家財・家電の写真撮影とクラウド保存

外水氾濫・内水氾濫を問わず共通して使える情報収集ツール

大雨・洪水時に「外水氾濫・内水氾濫どちらのリスクが高まっているか」をリアルタイムで把握するための情報収集ツールをまとめます。

ツール名 主に確認できる情報 URL・入手方法
気象庁「洪水キキクル(洪水警報の危険度分布)」 外水氾濫(洪水)の危険度をリアルタイムで地図確認 https://www.jma.go.jp/bosai/flood/
気象庁「浸水キキクル(大雨警報(浸水害)の危険度分布)」 内水氾濫(浸水害)の危険度をリアルタイムで地図確認 https://www.jma.go.jp/bosai/risk/#elements:surf
国土交通省「川の防災情報」 近隣河川の水位・雨量をリアルタイム確認。外水氾濫の危険度把握に有効 https://www.river.go.jp/
国土交通省「ハザードマップポータルサイト」 外水氾濫・内水氾濫の浸水想定区域(平時の確認用) https://disaportal.gsi.go.jp/
NHKニュース・防災アプリ(無料) 気象警報・避難情報・洪水情報のプッシュ通知受信 App Store・Google Playから入手
Yahoo!防災速報アプリ(無料) 市区町村単位での避難情報・大雨警報・洪水警報のプッシュ通知受信 App Store・Google Playから入手
市区町村の防災メール・防災SNS 地域の避難情報・浸水情報をメール・SMS・SNSで受信 市区町村のウェブサイトから登録
防災ラジオ(手回し充電・ソーラー対応) 停電時でもNHKラジオで気象情報・避難情報を受信できる 家電量販店・防災用品店・通販で入手

「平時からこれらのツールを使い慣れておく」ことが、いざというときに素早く正確な情報を得られることにつながります。

「大雨が降り始めてから初めてアプリをダウンロードする」では、パニックの状況下での操作に手間取ることがあります。

今すぐ主要なアプリをインストール・設定しておくことをお勧めします。

「洪水と内水氾濫の違いを知る」ことが防災の出発点

「洪水(外水氾濫)」と「内水氾濫」の違いを理解することで「自分の家・地域が実際にどんな水害リスクにさらされているか」をより正確に把握できます。

この記事の重要ポイントを最後に整理します。

  • 外水氾濫(洪水):河川の越水・堤防決壊によって「外の水(河川の水)」が市街地に流れ込む。深刻な濁流・大規模浸水になることがある。河川沿い・低地のリスクが高い
  • 内水氾濫:下水道・排水路の処理能力超過によって「内側の水(雨水)」が市街地に溢れ出す。河川から遠い都市部でも発生する。洪水ハザードマップに掲載されないエリアでも起きる
  • どちらも危険:外水氾濫は「大規模・長期間・命に関わる急激な流水」が特徴。内水氾濫は「突発的な発生・地下空間での急速水没・下水汚染」が特徴
  • 対策は両方必要:「洪水ハザードマップ(外水)」と「内水ハザードマップ」の両方を確認する。外水・内水それぞれへの対策を組み合わせる
  • 情報収集ツールを使い分ける:「洪水キキクル(外水氾濫危険度)」と「浸水キキクル(内水氾濫危険度)」を両方確認する習慣をつける

「洪水ハザードマップを確認したから安心」という状態から「外水・内水両方のリスクを把握して正しく備えている」という状態へのアップデートが、あなたと家族の命を守ります。

今後も「洪水・水害から命と暮らしを守るための正確な情報」をお届けします。

Image by Pixabay,Unsplash,Freepik,写真AC

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この記事を書いた人

北海道札幌市在住の防災・サバイバル情報発信者です。2018年の北海道胆振東部地震を機に「誰でも今日から始められる防災」をモットーに活動を開始し、実際に試した防災グッズのレビューや家族構成別の備え方をわかりやすくお伝えしています。実践的で信頼できる情報を提供できるよう、がんばっています!

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