【この記事の要約】
2026年7月13日、防災庁設置法が参議院本会議で可決・成立しました。政府は2026年11月の発足を目指しています。防災庁は内閣直属の組織で、長は内閣総理大臣。実務は専任の防災大臣が担います。職員の定員は352人で、前身である内閣府防災担当の220人からおよそ1.6倍。関連経費は202億円で、こちらも約38%の増額です。最大の変化は「勧告権」で、防災大臣は各省庁へ資料の提出を求め、勧告し、報告を求められるようになります。ただし、正直に申し上げます。これで、あなたの家の耐震性が上がるわけではありません。何が変わり、何が変わらないのかを整理します。
結論|組織はできますが、家の備えは変わりません
先に、いちばん大事なことを申し上げます。
防災庁は、行政の司令塔です
変わるのは、国の側の体制です。省庁をまたぐ調整が速くなり、平時からの備えに人と予算が付きます。
これは意味のある変化です。けれど、個人の備えを肩代わりするものではありません。
変わらないことを、先に挙げます
一、あなたの家の耐震性。診断も補強も、これまでどおり自分で申請します。
二、家具が倒れるかどうか。固定するのは、住んでいる人です。
三、逃げるかどうかの判断。最終的に決めるのは、その場にいる人です。
四、備蓄があるかどうか。
五、隣に誰が住んでいるかを知っているかどうか。
阪神・淡路大震災では、生き埋めになった方の約8割を家族と近隣の住民が助け出しました。組織がどう変わっても、この構造は変わりません。経緯は阪神・淡路大震災とは?にまとめました。
何が決まったのか
経緯を整理します。
2026年7月13日に成立しました
| 時期 | できごと |
|---|---|
| 2026年3月 | 設置法案と関連法案を閣議決定 |
| 2026年5月19日 | 衆議院本会議で可決、衆議院を通過 |
| 2026年7月13日 | 参議院本会議で可決・成立 |
| 2026年11月 | 防災庁の発足を目指す |
準備は、内閣官房に置かれた防災庁設置準備室が進めています。
この記事を書いている時点
2026年8月です。法律は成立し、発足を待っている段階にあたります。
実際の発足は11月の予定なので、まだ動き出してはいません。詳細な組織や運用は、これから固まる部分があります。
どういう組織になるのか
骨格を見ていきます。
内閣直属で、長は総理大臣
防災庁は内閣の直属に置かれます。そして、組織の長は内閣総理大臣です。
実務を担うのは、新たに置かれる専任の防災大臣です。加えて、副大臣と大臣政務官が各1名、事務次官が1名配置されます。
位置づけとしては、復興庁やデジタル庁と同格とされています。
職員は352人
定員は352人。前身にあたる内閣府防災担当の220人から、およそ1.6倍になります。
| 内閣府防災担当 | 防災庁 | |
|---|---|---|
| 職員 | 220人 | 352人 |
| 予算 | 146億円(2025年度当初) | 202億円(2026年度関連経費) |
| 位置づけ | 内閣府の一部門 | 内閣直属の庁 |
| 専任の大臣 | なし(兼務) | あり(防災大臣) |
| 各省への勧告権 | なし | あり |
予算は約38%の増額です。人も金も増えます。
将来は「省」への格上げも視野にあります
もともとは「防災省」を作るという構想でした。それを、まず「庁」という形で実現したものです。
ですから、これが最終形とは限りません。運用しながら、体制が変わっていく可能性があります。
いちばん大きな変化は「勧告権」です
ここが、実質的な中身です。
三つの権限が与えられます
防災大臣は、関係する行政機関の長に対して、次のことができるようになります。
一、資料の提出を求める。
二、勧告する。
三、報告を求める。
そして、各府省庁には、その勧告を尊重する義務が課されます。
なぜ、これが重要なのか
災害への対応は、ひとつの省庁では完結しません。
道路は国土交通省、医療は厚生労働省、避難所の運営は自治体、電力は経済産業省、通信は総務省。それぞれが別々に動きます。
これまでの内閣府防災担当は、調整役ではあっても、各省に対して強い権限を持っていませんでした。
勧告権があれば、「この件はそちらでやってください」と正面から求められます。これが、司令塔としての実効性を支えます。
ただし、強制力ではありません
正確に理解してください。勧告は命令ではありません。
各省庁に課されるのは「尊重する義務」であって、従わなければ罰があるという性質のものではありません。
どこまで実効性が出るかは、運用にかかっています。ここは、発足してから見ていく部分です。
なぜ、いま必要とされたのか
背景には、過去の災害があります。
助かったあとに、人が亡くなっています
これが、近年いちばん重い課題です。
熊本地震では、直接死50人に対し、災害関連死が228人。亡くなった方の約8割が、地震そのものではなく、その後の避難生活で命を落としました。
能登半島地震でも、災害関連死470人が直接死228人の2倍を超えています。
避難所の環境、車中泊、水とトイレ、医療の継続。これらは、複数の省庁と自治体にまたがる問題です。だから、まとめて担当する組織が必要とされました。
関連死の詳細は熊本地震と災害関連死と災害関連死はどう認定されるのかにまとめました。
平時の備えに、人が割けていませんでした
災害が起きれば、対応に全力を注ぎます。けれど、起きていないときの備えは後回しになりがちです。
人員が220人では、災害対応と並行して平時の政策を進めるのが難しいという指摘がありました。
352人体制は、この「平時の備え」に人を回すための増員でもあります。
司令塔が曖昧でした
大規模な災害では、判断が遅れることが致命的になります。誰が決めるのかが曖昧だと、その分だけ時間が失われます。
能登半島地震では、道路が寸断されて孤立した集落へ、支援がなかなか届きませんでした。この経験も、体制の見直しにつながっています。
経緯は能登半島地震とは?にまとめました。
いまの防災体制は、どうなっているのか
何が変わるかを理解するには、いまの形を知っておく必要があります。
三つの層で動いています
| 層 | 担うところ | 役割 |
|---|---|---|
| 国 | 内閣府防災担当、各省庁 | 制度づくり、大規模災害での支援、財政措置 |
| 都道府県 | 防災部局 | 市町村の支援、広域の調整、自衛隊への派遣要請 |
| 市区町村 | 防災担当課 | 避難情報の発令、避難所の開設、罹災証明書 |
住民にいちばん近いのは、市区町村です。避難指示を出すのも、避難所を開けるのも、ここです。
そして防災庁ができても、この役割分担は変わりません。避難情報は、引き続き市区町村が出します。
だから、窓口は変わりません
罹災証明書の申請も、被災者生活再建支援金も、災害弔慰金も、市区町村の窓口です。
手続きの流れは被災した後にやることと罹災証明書の申請方法にまとめました。
問題は、国の側の縦割りでした
災害が起きると、関わる省庁は一気に増えます。
道路と河川は国土交通省。医療は厚生労働省。学校は文部科学省。電力は経済産業省。通信は総務省。農地は農林水産省。
それぞれが自分の所管で動きます。その全体をまとめる立場が、これまで弱かったのです。
災害対策基本法も、あわせて改正されます
防災庁の設置と同時に、関連する法律も見直されました。
被災者の生活環境への配慮が明記されます
これまでの災害対策は、命を守ることに重点が置かれてきました。それは当然です。
ただ、近年の課題は「助かったあと」に移っています。避難生活の質が、そのまま生死を分けるようになったためです。
そこで、被災者が良好な生活環境を享受できるよう配慮するという考え方が、法律の上に置かれることになりました。
これが意味すること
避難所の環境は、これまで「我慢するもの」として扱われてきた面があります。体育館の床、間仕切りのない空間、足りないトイレ。
それが法律に位置づけられれば、予算をつける根拠になります。自治体が備蓄を増やす理由にもなります。
段ボールベッド、簡易な間仕切り、仮設トイレ。こうしたものを、あらかじめ確保しておく動きが強まると考えられます。
ただし、時間はかかります
法律が変わっても、全国の避難所が一斉に良くなるわけではありません。
予算にも、備蓄する倉庫にも限りがあります。そして、実際に運営するのは避難してきた住民です。
だから、個人が持ち出すものの重要性は変わりません。マット、耳栓、常用薬、携帯トイレ。これらは、避難所には用意されていません。
持ち出し袋の中身は非常持ち出し袋の中身にまとめました。
諸外国には、どういう仕組みがあるのか
参考として、比較しておきます。
アメリカには専門の機関があります
アメリカでは、災害対応を専門に担う連邦の機関が置かれています。独自の職員と予算を持ち、州を越えて支援します。
日本の防災庁は、これに近い発想で構想されました。ただし、規模も権限も同じではありません。
日本の特徴は、自治体が主役であることです
日本では、避難情報を出すのも避難所を開くのも市区町村です。国が直接、住民に指示することはありません。
これは、地域の実情を知っている人が判断するという利点があります。一方で、小さな市町村では人手が足りないという課題もあります。
防災庁に期待されているのは、この自治体を後ろから支える機能でもあります。
そして、共助の比重が大きい国です
阪神・淡路大震災の数字が示すとおり、日本では近隣の住民が多くの命を救ってきました。
自主防災組織、消防団、民生委員。こうした仕組みが機能してきたことが、日本の防災の土台にあります。
国の組織が強化されても、この土台の重要性は変わりません。むしろ、担い手が減っていることのほうが深刻な課題です。
発足したら、何を見ればよいか
11月以降の話です。
三つに注目してください
一、勧告権が実際に使われるか。権限があっても、使われなければ意味がありません。最初の大きな災害での動きが、試金石になります。
二、避難所の環境に予算がつくか。法律に配慮が明記されても、実際の備蓄が増えなければ変わりません。
三、自治体への支援が具体化するか。特に、小規模な市町村への人的な支援です。
私たちが確認できること
難しく考える必要はありません。自分の市区町村で、何が変わったかを見てください。
避難所に何が備えられているか。段ボールベッドはあるか。仮設トイレの数は足りるか。
これは、防災訓練に一度参加すれば分かります。あるいは、市区町村の防災担当に聞けば教えてもらえます。
訓練の使い方は防災訓練の種類とやり方にまとめました。
制度が変わっても、順番は同じです
この記事の結論を、もう一度書いておきます。
まず自分の家の危険を知る。次に建物と家具。そして備蓄。最後に、近所の人を知っておく。
この順番は、防災庁ができても変わりません。そして、どれも今日から始められます。
私たちの生活は、どう変わるのか
正直にお答えします。
短期的には、ほとんど変わりません
11月に発足しても、翌日から何かが変わるわけではありません。組織を立ち上げ、人を配置し、方針を作る段階が続きます。
避難所の設備が急に良くなることも、支援金が増えることも、当面はないと考えてください。
中期的に、期待できること
数年の単位で見れば、変化が出てくる可能性があります。
一、避難所の環境の底上げ。トイレ、食事、寝床。関連死を減らすための投資です。
二、支援の速さ。省庁間の調整が早くなれば、物資や人の派遣も早まります。
三、被災者支援の手続きの簡素化。いまは制度ごとに申請が要ります。
四、自治体への支援。小さな市町村ほど、災害時の人手が足りません。
五、平時の啓発や訓練の充実。
変わらないことも、はっきりしています
くり返しになりますが、これが記事の要点です。
建物の耐震化は、所有者が申請します。補助金の仕組みも、いまと同じです。手順は耐震診断・耐震改修の補助金にまとめました。
家具の固定も、備蓄も、避難の判断も、個人の側にあります。
そして、大災害の最初の数時間、公助は届きません。これは組織の問題ではなく、物理的な制約です。
その時間を埋めるのが、自助と共助です。仕組みは自主防災組織とは?にまとめました。
災害関連死を、どう減らすのか
防災庁が向き合う課題の中心です。もう少し具体的に見ていきます。
数字が示していること
| 震災 | 直接死 | 災害関連死 |
|---|---|---|
| 新潟県中越地震(2004年) | 16人 | 52人(死者68人の4分の3) |
| 東日本大震災(2011年) | — | 3,775人 |
| 熊本地震(2016年) | 50人 | 228人(約8割) |
| 能登半島地震(2024年) | 228人 | 470人(2倍超) |
※認定は続いており、数値は時点によって変わります。
建物が丈夫になり、津波の警報も届くようになりました。その結果、直接死は確実に減っています。
一方で、避難生活で失われる命は減っていません。ここが、いま最も伸びしろのある部分です。
減らすには、三つが要ります
災害の現場で重要とされるのが、トイレ、食事、寝床です。
トイレ。数が足りず、汚れていれば、人は水を控えます。そこから脱水と血栓が始まります。
食事。おにぎりとパンが続けば、栄養が偏ります。持病のある方には深刻です。
寝床。床で寝れば体が冷え、ほこりを吸い、眠れません。
この三つは、個人ではどうにもならない部分を含みます。だから、行政の体制が問われます。
そして、個人にできる部分もあります
すべてを待つ必要はありません。
携帯トイレを備える。これだけで、連鎖の入口をふさげます。必要数は防災用携帯トイレの選び方にまとめました。
お薬手帳を写真に撮っておく。持病の悪化は、関連死の大きな原因です。
マットを一枚持ち出せるようにする。床からの冷えを断てます。
制度が整うのを待つより、この三つのほうが早く、確実です。
準備室が、いま何をしているか
発足までの動きです。
内閣官房に置かれています
防災庁設置準備室が、組織の立ち上げに向けた作業を進めています。
やっているのは、組織の設計、人の確保、各省庁との調整、そして業務の引き継ぎです。いまの内閣府防災担当が担っている仕事を、どう移すかという作業でもあります。
発足までに決まること
一、具体的な組織の構成。どういう部署を置くか。
二、人の配置。352人をどこから集め、どう配置するか。
三、各省庁との役割分担。どこまでを防災庁が担うか。
四、当面の重点課題。何から手をつけるか。
これらは、発足の前後に順次示されると考えられます。
情報の出どころが変わります
いま防災の情報は、内閣府の防災情報のページで公開されています。白書、ガイドライン、被害の想定、支援制度の解説。
発足後は、これらの多くが防災庁から出されることになると考えられます。
この記事も、発足後の状況が分かった時点で更新します。
期待と、見ておくべき限界
公平に書いておきます。
期待できること
一、判断が速くなる。司令塔がはっきりすれば、初動の遅れが減ります。
二、平時の備えが進む。人と予算が増えたぶん、災害が起きていないときの政策に手が回ります。
三、避難所の質が上がる。法律に配慮が明記され、予算の根拠ができました。
四、省庁間の壁が下がる。勧告権が、その手段になります。
限界として、見ておくべきこと
一、352人は、大きな組織ではありません。自ら現場を動かすというより、各省庁を動かす立場です。
二、勧告に強制力はありません。各省庁に課されるのは「尊重する義務」です。
三、実務の主役は、いまも市区町村です。そして、小さな自治体ほど人手が足りません。
四、組織を作ることと、機能することは別です。実際の災害で試されるまで、評価はできません。
だから、期待しつつ、備えは自分で進めてください
これが結論です。
制度が良くなることと、自分の家が倒れないことは、別の問題です。
そして後者は、誰かがやってくれるのを待っていても進みません。
1981年6月より前に建った家に住んでいるなら、今日できるのは耐震診断の補助を調べることです。手順は耐震診断とは?費用の目安と補助金の実額にまとめました。
これまでの災害が、制度を作ってきました
防災庁も、その延長線上にあります。
災害のたびに、仕組みが生まれています
| 災害 | そのあとに生まれたもの |
|---|---|
| 関東大震災(1923年) | 9月1日が防災の日に |
| 伊勢湾台風(1959年) | 災害対策基本法の制定 |
| 阪神・淡路大震災(1995年) | 地震本部の設置、耐震基準の見直し、ボランティアの広がり |
| 東日本大震災(2011年) | 津波警報の伝え方の改善、緊急速報メールの普及 |
| 熊本地震(2016年) | 災害関連死への注目、避難所環境の見直し |
| 能登半島地震(2024年) | 孤立集落への対応、上下水道の耐震化が課題に |
| — | そして、防災庁の設置(2026年) |
いま当たり前に使っている仕組みの多くが、誰かが亡くなったあとに作られたものです。
緊急速報メールが鳴るのも、避難所に段ボールベッドが入るようになったのも、耐震基準が二度変わったのも、すべて過去の被害の結果です。
災害対策基本法は、伊勢湾台風から生まれました
1959年の伊勢湾台風では、高潮によって5,000人を超える方が亡くなりました。
この被害を受けて、国と自治体の役割を定めた災害対策基本法が作られています。いまの防災体制の土台です。
そして今回、その法律に被災者の生活環境への配慮が加わりました。60年以上を経て、重点が「命を守る」から「助かったあとを守る」へ広がったことになります。
伊勢湾台風の経緯は台風で危険なのは風より水にまとめました。
制度が変わっても、教訓は同じです
過去の震災を並べると、共通することがあります。
関東大震災は火災、阪神・淡路は建物の倒壊、東日本は津波、そして近年は災害関連死。
死因は変わってきました。けれど、いずれも「事前に手を打てた部分があった」という点は共通しています。
比較は過去の震災は何が人の命を奪ったかにまとめました。
この記事は、発足後に更新します
最後に、この記事の性質についてお断りしておきます。
いまは、発足を待っている段階です
法律は成立しましたが、実際の組織はまだ動いていません。
具体的な部署の構成、当面の重点課題、各省庁との役割分担。これらは、発足の前後に示されます。
ですから、この記事の内容も2026年8月時点のものとしてお読みください。
更新する予定の項目
一、実際の発足日。11月の予定が、どうなったか。
二、組織の構成。どういう部署が置かれたか。
三、最初の取り組み。何から着手したか。
四、勧告権が使われた事例。実際に機能するかどうかの試金石です。
それまでにできることは、変わりません
制度の行方を追うのも大事です。けれど、それを待つ必要はありません。
ハザードマップで自宅を調べる。建築年を確かめる。家具を固定する。備蓄を数える。どれも今日できて、防災庁の発足とは関係なく効きます。
順番は防災は何から始める?最初にやること8ステップにまとめました。
よくある質問
Q. 防災庁ができると、災害が減りますか
災害そのものは減りません。地震も台風も、組織の有無とは関係なく起きます。
期待できるのは、起きたあとの被害を小さくすることです。特に、避難生活のなかで失われる命を減らす部分です。
Q. 防災省ではなく、防災庁なのはなぜですか
「庁」は、特定の分野を担当する行政機関です。復興庁やデジタル庁と同じ位置づけになります。
もともとは「防災省」という構想でしたが、まず庁として立ち上げる形が採られました。将来の格上げも視野に入っているとされています。
Q. 職員352人は、多いのですか
前身の220人からは大幅な増員です。ただし、他の省庁と比べれば小規模な組織です。
そのぶん、自ら実務をこなすより、各省庁を動かす司令塔としての役割が中心になります。勧告権が与えられたのは、そのためです。
Q. 自治体の防災担当は変わりますか
直接には変わりません。市区町村の防災担当は、これまでどおりです。
避難所の開設も、避難情報の発令も、引き続き市区町村が行います。ですから、住民にとっての窓口は変わりません。
ただし、国からの支援や情報提供の形が変わっていく可能性はあります。
Q. 何を見ていれば、動きが分かりますか
内閣官房の防災庁設置準備室のページで、準備の状況が公開されています。
そして発足後は、防災庁が情報を出す主体になります。いま内閣府防災担当が公開している資料の多くが、そちらへ移ると考えられます。
Q. 防災庁ができると、支援金は増えますか
この法律で、支援金の額が直接増えるわけではありません。
被災者生活再建支援金や災害弔慰金は、それぞれ別の法律で定められています。防災庁の設置と、金額の見直しは別の話です。
ただし、司令塔ができることで、制度全体を見直す議論が進む可能性はあります。
いま使える制度は災害弔慰金・障害見舞金・援護資金にまとめました。どれも、申請しなければ受け取れません。
Q. 南海トラフや首都直下への対応は変わりますか
備えの進め方に影響が出る可能性があります。これらは、複数の県にまたがる広域の災害だからです。
都道府県を越えた調整、物資の配分、避難者の受け入れ。まさに司令塔が要る場面です。
ただし、個人が備えるべきことは変わりません。南海トラフへの備えは南海トラフ地震の備えで何をすべきかにまとめました。
Q. 防災士の資格に影響はありますか
直接の影響は、現時点で示されていません。防災士は民間資格で、日本防災士機構が認定しています。
ただし、地域の防災の担い手が不足しているのは共通の課題です。今後、地域で活動する人材の育成に力が入る可能性はあります。
資格の内容は防災士とは?にまとめました。
Q. 「庁」と「省」は、何が違うのですか
「省」は、内閣の下で独立した行政機関です。大臣が置かれ、幅広い分野を所管します。
「庁」は、特定の分野を担当する機関です。復興庁やデジタル庁のように、内閣直属で置かれるものもあります。
防災庁は後者で、内閣直属という点では、通常の外局とは位置づけが異なります。そして、専任の大臣が置かれます。
Q. いつから相談窓口ができますか
住民の相談窓口は、これまでどおり市区町村です。防災庁ができても、ここは変わりません。
罹災証明書も、避難所の情報も、支援制度の申請も、お住まいの市区町村へ問い合わせてください。
防災庁は、国全体の政策を担う組織です。個別の被災者対応をする窓口ではありません。
Q. 企業や事業者への影響はありますか
直接の義務が新たに課されるわけではありません。ただ、国の方針が定まれば、事業者への要請や支援の形も変わっていきます。
とくに、電力・通信・物流・医療といった、災害時に社会を支える事業では、国との調整の窓口が明確になる利点があります。
事業者側でやるべきことは、いまと同じです。従業員の安全確保、備蓄、そして事業を続けるための計画。これらは組織が変わっても求められます。
Q. 学校の防災教育は変わりますか
すぐには変わりません。学校教育は文部科学省の所管で、そこは維持されます。
ただし、司令塔ができることで、省庁をまたいだ取り組みが進みやすくなる可能性はあります。
東日本大震災で釜石の小中学生に犠牲者が出なかったのは、数年にわたる防災教育の結果でした。経緯は東日本大震災とは?にまとめています。
Q. 結局、私は何をすればよいのですか
この記事を閉じたあと、住所をハザードマップに入れてください。5分で終わります。
そこで津波や浸水が出たなら、逃げることが最優先。何も出なければ、建物と家具の対策が最優先です。
防災庁ができても、この判断は代わりにしてもらえません。そして、いま無料でできます。
まとめ
要点を並べます。
一、2026年7月13日、防災庁設置法が参議院本会議で可決され、成立しました。
二、政府は2026年11月の発足を目指しています。
三、内閣直属の組織で、長は内閣総理大臣。実務は専任の防災大臣が担います。
四、職員352人、関連経費202億円。前身の220人・146億円から大幅に増えます。
五、最大の変化は勧告権です。資料の提出請求、勧告、報告徴求ができ、各省庁には尊重する義務が課されます。
六、背景にあるのは、災害関連死の多さです。熊本では約8割、能登では直接死の2倍を超えました。
七、それでも、家の耐震性と家具の固定は、これまでどおり住んでいる人の仕事です。ここは代わってもらえません。
制度が整うのは、良いことです。けれど、制度に期待して自分の備えを止めるのは、順序が逆になります。
防災庁ができても、揺れたときにあなたを守るのは、固定された家具と、倒れない家と、隣の人です。
備え全体の順番は防災は何から始める?最初にやること8ステップに、過去の震災が示した教訓は過去の震災は何が人の命を奪ったかにまとめています。


