災害心理学と防災心理学の違いとは?定義・研究領域・使われ方を専門家の知見でわかりやすく解説
「災害心理学と防災心理学って、同じもの?違うもの?」
「本や記事によって『災害心理学』と書いてあったり『防災心理学』と書いてあったりするけど、何が違うの?」
「どちらを学べばいいの?防災に活かせるのはどっち?」
こうした疑問を持つ方に向けて、この記事を書いています。
「災害心理学」と「防災心理学」という2つの言葉は、防災・減災の文脈でよく見かけます。
しかし「両者の違いを明確に説明できる人は少ない」というのが実情です。
この記事では「災害心理学と防災心理学の定義・歴史・研究領域・扱う主要概念・使われ方の違い・共通点」を、近畿大学・島崎敢准教授(防災科学技術研究所特別研究員歴任・博士(人間科学))・Wikipedia「災害心理学」・光華女子大学「災害心理学専攻」・東北福祉大学「災害・防災心理学」・砂防学会誌「防災のための心理学」・北海道大学「災害のリスク認知と対処行動」・日本赤十字社・総務省「災害時の心理と行動」・セーブ・ザ・チルドレン・ジャパン「子どものためのPFA」などの専門的情報をもとに徹底解説します。
【この記事の信頼性について】
本記事は近畿大学生物理工学部・島崎敢准教授(防災科学技術研究所特別研究員歴任、博士(人間科学)、心理学による災害リスク軽減専門)へのNTTフィールドテクノインタビュー記事・Wikipedia「災害心理学」・光華女子大学「災害心理学専攻」・東北福祉大学「災害・防災心理学」・砂防学会誌「防災のための心理学」(公益社団法人砂防学会)・北海道大学「災害のリスク認知と対処行動」・大妻女子大学研究者コラム・日本赤十字社「正常性バイアス・同調性バイアス」・総務省「災害時の心理と行動」・セーブ・ザ・チルドレン・ジャパン「子どものためのPFA」をもとに作成しています。防災ベース編集部が学術情報と実践的防災知識を組み合わせて解説しました。
結論:災害心理学と防災心理学の違い
「災害心理学と防災心理学は・ほぼ同義で使われることが多い・しかし厳密には焦点・強調点・使われ方に違いがある」というのが最も正確な答えです。
「どちらも応用心理学の一分野」であり「自然災害に対する人間の心理と行動を研究する」という共通の土台を持ちます。
違いを一言で表すなら「災害心理学は災害に関する人間の心理・行動全般を研究する幅広い学問」であり「防災心理学は特に災害を防ぐ・減らすための実践的な行動変容に焦点を当てた応用的な学問」です。
| 比較項目 | 災害心理学 | 防災心理学 |
|---|---|---|
| 定義 | 災害に関わる人間の心理・行動全般を研究する応用心理学の一分野 | 防災・減災のために心理学の知見を応用する実践的な分野 |
| 主な研究対象時期 | 災害前・災害発生時・災害後のすべての段階 | 主に災害前(予防・備え・行動変容)に重点を置く |
| 主要テーマ | PTSD・ASD・正常性バイアス・サイコロジカルファーストエイド・グリーフケア・避難行動・支援者のメンタルヘルス | 正常性バイアス・多数派同調バイアス・リスク認知・認知的不協和・メタ認知・行動変容・防災教育・防災啓発 |
| 活用される場面 | 臨床心理・被災者支援・心のケアチーム・精神医療・福祉 | 防災教育・防災訓練・地域防災・防災啓発・自治体・企業の防災計画 |
| 歴史・起源 | 1950年代アメリカから研究が始まり、日本では1995年阪神・淡路大震災後に発展 | 比較的新しい呼称・実践的・応用的な側面を強調する文脈で使われる |
| 代表的な概念 | PTSD・ASD・サイコロジカルファーストエイド(PFA)・グリーフ・解離・代理受傷 | リスク認知・認知的不協和・メタ認知・行動変容・対処可能性の認識・正常性バイアス |
| 資格・教育 | 臨床心理士・公認心理師・精神保健福祉士などの専門資格と関連が深い | 防災士・自治体防災担当者・学校教員・地域防災リーダーが学ぶ文脈で使われることが多い |
「ただし・この区別は絶対的なものではなく・研究者・著者・文脈によって両者の意味が重なり合う場合もある」という点は理解しておく必要があります。
「両方の知識を合わせて持つことが・最も実践的な防災力につながる」という観点から、この記事では両学問の主要な知見を体系的に解説します。
災害心理学とは:定義・歴史・研究領域
「災害心理学(さいがいしんりがく)」は「応用心理学(おうようしんりがく)」の一分野です。
「応用心理学とは・基礎心理学(人間の心の原理・仕組みを研究する分野)の知識・技法を・実際の社会問題の解決に活用する学問分野」のことです。
「教育心理学・産業心理学・犯罪心理学・臨床心理学などと並ぶ応用心理学の一分野」として位置づけられます。
大妻女子大学の研究者は「この研究の目的は・災害の予防や人的要因による二次被害の防止」と説明しています。
災害心理学の歴史:アメリカから日本へ
「災害心理学は1950年ごろからアメリカで研究が進められてきた」という歴史があります。
「心理学の視点から災害意識や避難行動を捉えて・災害対策に役立てようとする取り組み」がアメリカから始まりました。
「日本で災害心理学が大きく注目されるようになったのは・1995年の阪神・淡路大震災以降」です。
「阪神・淡路大震災では多数の被災者がPTSDや急性ストレス障害を発症した」という事実が明らかになり「被災後の心理的ケアの重要性」が社会的に広く認識されました。
「2011年の東日本大震災では・サイコロジカルファーストエイド(PFA)や『こころのケア』という概念がニュースなどで広く取り上げられた」という背景もあります。
災害心理学が扱う4つの研究領域
「災害心理学が扱うテーマ」は大きく4つの時期に対応しています。
- 災害前の心理:「なぜ人は防災備蓄をしないのか・なぜ避難訓練に参加しないのか・防災意識を高める心理的アプローチとは何か」
- 災害発生時の心理・行動:「なぜ危険な状況でも逃げないのか・正常性バイアスや同調性バイアスが避難を妨げるメカニズム・集団パニックはなぜ起きるか」
- 災害後の心理的変化:「急性ストレス障害(ASD)・PTSD(心的外傷後ストレス障害)・悲哀(グリーフ)・無力感・抑うつ・コミュニティの変化」
- 回復・支援の方法:「サイコロジカルファーストエイド(PFA)・心理的支援の方法・コミュニティの回復プロセス・支援者のメンタルヘルスケア」
「つまり災害心理学は・災害の発生前・発生時・発生後のすべての段階において・人の心理と行動を研究し・被害を最小化するための実践的な知見を提供する学問」です。
防災心理学とは:定義・特徴・登場の背景
「防災心理学(ぼうさいしんりがく)」は「災害心理学の応用的・実践的な側面を特に強調した呼称」として使われることが多い学問です。
近畿大学の島崎敢准教授(防災科学技術研究所特別研究員歴任・博士(人間科学))は「実証的な防災心理学を応用して・危ない行動をやめてもらう・安全な行動を増やしてもらうことを目的に研究を続けています」と述べています。
「防災心理学は頭の中の知識を増やすためだけの学問ではなく・実際に人の行動を変え・被害を減らすための科学」という実践的な目的が強調されています。
防災心理学が登場した背景
「防災心理学が注目されるようになった重要な背景」があります。
島崎准教授はこう述べています。
「日本は建築など、防災の工学的対策は世界でも群を抜いている。そうした中、私は心理学や人間工学の視点から災害のリスク軽減にアプローチしている。今まであまりスポットライトが当たってこなかった領域です」
(近畿大学生物理工学部 島崎敢准教授)
「工学的対策(耐震工事・防潮堤・ハザードマップ整備)が世界最高水準に達しても・逃げ遅れ・備蓄不足・避難指示無視などの人的要因による被害はなくならない」という現実があります。
「この人的要因・つまり人間の心理と行動に正面から向き合うのが防災心理学の役割」です。
「工学的防災対策の限界が認識された結果・人の心と行動を変えることに特化した防災心理学が・より独立した分野として注目されるようになった」という経緯があります。
防災心理学の主な研究テーマ
「防災心理学が特に重点的に扱う研究テーマ」は以下の通りです。
- なぜ備えないのか:「楽観性バイアス・現在バイアス・認知的不協和など・防災行動を妨げる心理的要因の解明」
- なぜ逃げないのか:「正常性バイアス・多数派同調バイアス・リスク認知の歪みなど・避難行動を妨げる心理的メカニズムの解明」
- どうすれば行動が変わるか:「叱るより褒める・怖がらせるより楽しむ・小さな行動から始める・メタ認知を活用するという行動変容アプローチの実証研究」
- どう防災教育を設計するか:「対処可能性の認識を高める・地域のつながりを活かす・ゲーム化するなど効果的な防災教育の設計」
両者の共通点:応用心理学としての土台
「災害心理学と防災心理学が共有する重要な概念と知識」があります。
「どちらの文脈でも必ず登場する共通のテーマ」を理解することが「両者の違いと関係性」を把握する近道です。
正常性バイアス:両学問の最重要概念
「正常性バイアス(せいじょうせいバイアス)は・災害心理学でも防災心理学でも必ず登場する最重要概念」です。
「正常性バイアスとは・予期しない異常な事態に直面したとき・『大したことではない』『自分は大丈夫』と思い込もうとする心理的な安定機能」のことです。
日本赤十字社は「正常性バイアスは異常なことが起こった時に『大したことじゃない』と落ち着こうとする心の安定機能のようなもの」と説明しています。
島崎准教授は「むしろパニックにならないことが問題です。被災しても自分だけは大丈夫だと思い込んだり・周りの人が落ち着いているのを見て安心したりすることがよくあります。これが正常性バイアスです」と述べています。
「正常性バイアスは・災害心理学では避難行動を妨げるメカニズムとして研究される」と同時に「防災心理学では・これを克服するための行動変容アプローチの研究対象になる」という使われ方の違いがあります。
多数派同調バイアス:集団心理の二面性
「多数派同調バイアス(同調性バイアス)も・両学問が共有する重要概念」です。
日本赤十字社は「同調性バイアスとは・周囲の人と同じ行動を取ろうとする心理的傾向」と定義しています。
「災害心理学では・多数派同調バイアスが集団全体の逃げ遅れを引き起こすメカニズムとして研究される」という側面があります。
「防災心理学では・多数派同調バイアスを逆手に取り・率先避難者が周囲の人を動かすという『プラスの活用』として研究される」という側面があります。
「土木学会誌の研究によると・防災無線から流れる避難指示には応じなかった人が・近所の知り合いの説得に応じて避難した事例は多数報告されている」というデータが「多数派同調バイアスのプラス活用」の根拠として示されています。
災害心理学に特有の概念:PTSD・ASD・PFA
「災害心理学がより深く扱う概念」として「PTSD・ASD・サイコロジカルファーストエイド(PFA)・グリーフケア・支援者のメンタルヘルス」があります。
「これらは被災後の心の問題・心のケアに関わる概念」であり「主に臨床心理士・公認心理師・精神保健福祉士・医療従事者・支援者が活用する知識」です。
急性ストレス障害(ASD)とは
「急性ストレス障害(Acute Stress Disorder:ASD)とは・トラウマ体験から3日後〜1ヶ月以内に発症し・1ヶ月以内で回復する状態」と医学的に定義されています。
J-STAGEに掲載された医学論文によると「急性ストレス障害の主な症状」は以下の通りです。
- 「感情麻痺・孤立した感覚・または感情反応がないという主観的感覚」
- 「自分の周囲への注意の減弱(ぼうっとしている感覚)」
- 「現実感消失(夢の中にいるような感覚)・離人症(自分が自分でないような感覚)」
- 「フラッシュバック・悪夢・睡眠障害・易怒性・過度の警戒心」
「ASDの症状は・被災体験の直後に多くの方が体験する正常な心理反応」であることを理解することが重要です。
「ASDを経験していることは精神的に弱いことを意味しない・むしろ強い体験をした正常な反応」という認識が心理的回復を助けます。
PTSD(心的外傷後ストレス障害)とは
「PTSD(Post-Traumatic Stress Disorder:心的外傷後ストレス障害)は・ASDの症状が1ヶ月以上持続し・DSM-5(精神疾患の診断・統計マニュアル第5版)の診断基準を満たす状態」です。
「J-STAGE掲載論文によるDSM-5の主なPTSD診断基準(A〜G)」は以下の通りです。
- 基準A(体験):「実際にまたは危うく死ぬ・重症を負う・性的暴力を受ける出来事への曝露があった」こと
- 基準B(再体験症状):「フラッシュバック・悪夢・侵入的な記憶など」が繰り返し現れること
- 基準C(回避):「心的外傷的出来事に関連する刺激の持続的回避」があること
- 基準D(認知と気分の陰性変化):「自分や世界への否定的な考え・強い罪悪感・他者からの疎外感」があること
- 基準E(過覚醒症状):「睡眠障害・易怒性・集中困難・過剰な驚愕反応」があること
- 基準F(持続期間):「上記症状の持続が1ヶ月以上」あること
- 基準G(機能的影響):「社会的・職業的・または他の重要な領域における機能の障害を引き起こしている」こと
「PTSDは意志の力でどうにかなるものではなく・適切な専門家による治療が必要」という認識を持つことが大切です。
「PTSDの症状が疑われる場合は・精神科・心療内科・または都道府県の精神保健福祉センターに早めに相談する」ことをお勧めします。
サイコロジカルファーストエイド(PFA)とは
「サイコロジカルファーストエイド(Psychological First Aid:PFA)は・災害直後の急性期に被災者の心理的苦痛を和らげ・適応的な機能回復を支援するための方法論」です。
四谷学院通信教育の解説によると「PFAは災害直後に行う心理学的緊急支援であり・長期的なPTSD等の予防を視野に入れた理論と方法として体系化されている」という位置づけです。
セーブ・ザ・チルドレン・ジャパンは「子どものためのPFAを『見る・聴く・つなぐ』という3つの行動原則で説明している」という情報があります。
- 見る(Look):「被災した方の安全・状況・ニーズ・反応を観察する」こと
- 聴く(Listen):「被災した方の話を傾聴する・感情に寄り添う・落ち着かせる・情報を提供する」こと
- つなぐ(Link):「被災した方が必要とするサポート・情報・サービスにつなぐ」こと
「PFAは主に災害心理学の文脈で扱われる概念」であり「被災後の心理的支援・ケアに関わる知識」として位置づけられます。
「PFAは専門的な精神医療・心理療法ではなく・適切な教育を受けた一般市民・支援者が行う応急的な心理的サポート」という位置づけです。
防災心理学に特有の概念:リスク認知・認知的不協和・メタ認知
「防災心理学がより深く扱う概念」として「リスク認知・認知的不協和・メタ認知・行動変容・対処可能性の認識」があります。
「これらは主に災害が起きる前の段階で・いかに人の防災行動を促進するかという研究テーマ」です。
リスク認知とは
北海道大学の研究者はリスク認知を「何らかの被害に遭う可能性の度合いに対する・素人としての主観的な判断」と定義しています。
「専門家による客観的なリスク評価と・一般市民のリスク認知(主観的なリスク判断)の間には大きなギャップがある」ということが研究で明らかになっています。
砂防学会誌「防災のための心理学」は「人々のリスク認知が低くなる理由」として「自分が生きているうちには大地震は来ないだろう・避難するほどのことはないだろう・というように甘くみてしまう傾向」を挙げています。
「この心理が・ハザードマップで危険を伝えれば住民は防災行動をとる・という安易な想定を否定する」という現実があります。
認知的不協和がリスク認知を歪める
砂防学会誌の解説によると「認知的不協和(にんちてきふきょうわ)とは・人々の考えに矛盾のある状態のこと・この矛盾は人間にとって不快なので・それを解消しようとする」という心理メカニズムです。
「洪水危険区域に住んでいる(事実)→ 危険な場所に住むべきではない(認知)」という矛盾を解消するために「去年も大丈夫だったから今年も大丈夫だろう」というリスク認知の歪みが生まれます。
「行動(引っ越し・避難)を変えることが難しい場合・人は自ら進んでリスク認知を低くしてしまう」という現象が「長年住んでいる危険区域の住民が避難しにくい心理的原因」のひとつです。
メタ認知:防災行動の鍵
島崎准教授は「心理学で自分の思考や認知活動などを客観的に捉え・調整する能力を『メタ認知』と呼ぶ。防災や災害リスクに関して・このメタ認知はとても重要」と強調しています。
「防災における『メタ認知』とは・自分が何を理解していて何を理解していないか・何ができて何ができないかを客観的に考えること」です。
「防災にはすべての人に共通した最適解はない。住んでいる場所や家族構成などで状況はまったく異なる。だからこそ各個人が冷静に状況を把握し・最善と思える行動を取ることが求められる」という指摘は、メタ認知の重要性を端的に示しています。
行動変容アプローチ:防災心理学の実践的中核
「防災心理学が最も強調する実践テーマ」が「行動変容(こうどうへんよう)」です。
「頭でわかっていても行動しない・という人の心理的特性を踏まえた・効果的な防災行動変容アプローチ」の研究が進んでいます。
島崎准教授は「人間の行動を変えるには・大きく分類して『叱る』か『褒める』か2つの方法以外ない」と述べています。
「叱ることには正しい情報が含まれていない。叱られた行動はやめるが・次に何をすればよいかが理解できず・行動をやめるという消極的な解決策になる」という指摘があります。
「一方・褒めることにはどの行動が正解なのかが含まれているので・『もっとやろう』という積極性が生まれる」という効果があります。
「島崎准教授が開発した家具固定ゲームを体験した学生の約半数が・帰宅後に実際に家具固定に取り組んだという実証データ」は「楽しむアプローチ」の有効性を示しています。
緊急時の認知特性:両学問が共有する重要知識
「緊急時の認知特性は・災害心理学でも防災心理学でも扱われる重要な知識」です。
総務省「災害時の心理と行動」資料によると「緊急時の主な認知特性」は以下の4つです。
- 情報処理範囲が狭くなる:「通常時に複数の情報を並行処理できる脳が・緊急時には1点集中モードになり・見落としや勘違いが増える」
- 注意集中による見落としや勘違いが起こる:「ひとつのことに注意が集中することで・周囲の重要な情報を見落とす可能性が高まる」
- 熟慮的思考が困難になる:「じっくり考えて判断するという思考が難しくなり・直感的・反射的な行動に頼りやすくなる」
- 家族のことが気になる:「家族と連絡を取る・家族を迎えに行くという行動を優先し・自身の安全確保が後回しになる」
北海道大学の研究者は「平常時では当たり前の判断能力が緊急時には期待できないことを十分知っておく必要がある」と強調しています。
「緊急時の認知特性への最も有効な対処法は・事前に行動をルール化・習慣化しておくこと」です。
「北海道大学の研究によると・事前に避難経路を探した経験があると・避難に要する時間が短くなるほか・避難時の不安や恐怖が低減し・実際にかかった時間を適切に認知できるようになる」という効果があります。
子どもと災害心理:両学問が共通して重視する視点
「子ども(児童・青少年)のこころの反応は大人と異なる」という点は「災害心理学・防災心理学の両方で重要視される視点」です。
「子どもは体験を言語化する能力が十分でないため・心理的苦痛が行動上の問題として現れやすい」という特性があります。
子どもに現れる災害後の主な心理的反応
子どものメンタルヘルス対策ガイドによると「災害後の子どもに現れる主な心理的反応」は以下の通りです。
- 退行(赤ちゃん返り):「おねしょが再発する・指しゃぶりが始まるなど以前できていたことができなくなる」
- 分離不安:「親・保護者から離れることを極度に恐れる・一人でいることができなくなる」
- 身体症状:「腹痛・頭痛・食欲不振など明確な身体的原因がないのに体の不調を訴えることが増える」
- トラウマティックプレイ:「災害の体験を繰り返し遊びの中で再現する」という行動が見られることがある
- 悪夢・睡眠障害:「夜中に目を覚ます・悪夢を繰り返す・眠ることを怖がる」
- 攻撃性の増加:「イライラしやすくなる・友達とのトラブルが増える・大人に反抗的になる」
「これらの反応は・子どもが強いストレス体験に対処しようとしている正常な心理的反応」として理解することが重要です。
「症状が長期間(数週間以上)続く場合や・日常生活に大きな支障が出ている場合は・小児科医・児童精神科医・臨床心理士への相談」をお勧めします。
両学問を学ぶ方法:大学・資格・書籍
「災害心理学・防災心理学を体系的に学ぶ方法」はいくつかあります。
「どちらの学問を学ぶかではなく・両者の知識を組み合わせて持つことが・最も実践的な防災力につながる」という観点で選択することをお勧めします。
大学・大学院での学び
「大学・大学院で心理学・社会福祉学・看護学を専攻し・災害心理学・防災心理学の科目を履修する」という正規教育の方法があります。
- 光華女子大学:「災害心理学専攻」が設置されており「災害に特化した心理学の専門的なカリキュラム」が提供されている
- 東北福祉大学:「災害・防災心理学」の科目が開設されており「東日本大震災の教訓を踏まえた実践的な教育」が特徴
- 近畿大学生物理工学部:「島崎准教授が防災心理学の研究・教育を行っており・心理学と工学を組み合わせた防災研究が進んでいる」
資格取得を通じた学び
「正規の大学教育以外でも・資格取得を通じて災害心理学・防災心理学を学ぶ方法がある」という点も重要です。
- 防災士:「防災士の資格取得講座では・正常性バイアス・避難行動の心理・地域防災のコミュニティ設計など防災心理学の基礎知識が体系的に学べる」
- 公認心理師・臨床心理士:「公認心理師・臨床心理士の資格取得過程では・トラウマケア・PTSD・ASD・PFAなど災害心理学の専門的な知識が学べる」
- 精神保健福祉士:「精神保健福祉士の資格取得過程では・被災者支援・こころのケア・地域の精神保健など災害後の心理的支援に関する知識が学べる」
書籍・オンライン教材での学び
「書籍や公開されている研究資料・オンライン教材を活用した学習方法」も有効です。
- 防災心理学入門(書籍):「防災心理学の基礎概念を一般向けにわかりやすく解説した入門書」
- 砂防学会誌「防災のための心理学」(公開論文):「専門家向けではあるが・防災心理学の研究知見を体系的にまとめた重要資料」
- 日本赤十字社の防災啓発資料:「正常性バイアス・同調性バイアスなど防災心理学の主要概念をわかりやすく解説した公式資料」
- セーブ・ザ・チルドレン・ジャパン「子どものためのPFA」:「サイコロジカルファーストエイドを実践するための具体的なガイドライン」
- 総務省「災害時の心理と行動」:「緊急時の認知特性・集団の心理・避難行動を政府機関がまとめた公式資料」
よくある疑問:Q&A
Q:防災の勉強をしたい場合・「災害心理学」と「防災心理学」のどちらを学べばよいですか?
「どちらか一方を学べばよいというものではなく・目的に応じて組み合わせて学ぶことをお勧めします」。
「被災後の心のケア・PTSD・ASD・PFAについて学びたい場合は・『災害心理学』の知識が特に役立ちます」。
「日常の防災行動・備蓄の継続・家族への防災啓発・地域の防災訓練設計に役立てたい場合は・『防災心理学』の知識が特に役立ちます」。
「いずれにしても・正常性バイアス・多数派同調バイアス・リスク認知・緊急時の認知特性などの共通概念は・両方の文脈で活用できます」。
Q:一般市民が「災害心理学・防災心理学」の知識を身につける意義はありますか?
「はい・非常に大きな意義があります」。
「自分自身の心理バイアス(正常性バイアス・楽観性バイアス等)を認識できるようになること・緊急時に適切な行動を取れる確率が上がること・被災後に自分や家族・周囲の人の心理状態を正しく理解できること」という実践的な効果があります。
「特に防災心理学の知識は・日常の備蓄・訓練・防災への取り組みをより継続しやすくするための実践的なヒントを多く含んでいます」。
Q:子どもに「災害心理学・防災心理学」の知識をどう伝えればよいですか?
「島崎准教授の研究が示すように・子どもには『楽しい体験』を通じて防災を学ばせることが有効です」。
「防災ゲーム・クイズ・絵本・動画教材などを活用して・恐怖を煽らずに対処可能性の認識を高めるアプローチが推奨されます」。
「学校から帰宅した後に保護者が一緒に防災について話し合う機会を設けること」が「防災心理学の研究知見が示す効果的な家庭内防災教育」です。
まとめ:違いを知ったうえで両者の知見を活かす
「災害心理学と防災心理学の違いを改めて整理します」。
- 災害心理学:「災害前・発生時・発生後のすべての段階を扱う幅広い応用心理学の分野」。「PTSD・ASD・PFA・グリーフケアなど被災後の心のケアに関する専門知識が特に豊富」
- 防災心理学:「特に災害前の予防・行動変容・防災教育に焦点を当てた実践的な応用分野」。「リスク認知・認知的不協和・メタ認知・行動変容アプローチなど防災行動を促す知識が特に豊富」
- 共通概念:「正常性バイアス・多数派同調バイアス・緊急時の認知特性・避難行動の心理」など
- 共通の目的:「人の心理と行動を理解し・災害による被害を最小化すること」
「どちらの学問も・命を守るための実践的な知識を提供してくれます」。
「災害心理学・防災心理学の知見を日常の防災に活かすことが・自分と大切な人の命を守る最も確実な一歩」です。
防災ベースでは今後も「防災に役立つ心理学・科学の最新知見」をわかりやすくお届けします。


