暑さ指数(WBGT)とは何か【2026年版】計算式・気温との違い・熱中症リスクの見方・防災活用法を完全解説
【この記事の要約】
暑さ指数(WBGT)とは、Wet Bulb Globe Temperature(湿球黒球温度)の略であり、気温・湿度・輻射熱の3要素を組み合わせて人体が暑熱環境から受けるストレスを数値化した指標です。1950年代にアメリカ軍が熱中症予防のために開発し、現在は国際標準化機構(ISO)・日本工業規格(JIS)・環境省・気象庁・日本スポーツ協会・厚生労働省など多数の機関が採用しています。計算式はWBGT(屋外)= 0.7×湿球温度 + 0.2×黒球温度 + 0.1×乾球温度です。湿度を反映する湿球温度の重みが70%と最大であり、日本の高温多湿な夏の実態を気温のみの指標より正確に反映します。WBGTの数値別の行動指針は5段階です。21℃未満(ほぼ安全)・21〜25℃未満(注意)・25〜28℃未満(警戒)・28〜31℃未満(厳重警戒・激しい運動は中止)・31℃以上(危険・運動は原則禁止)です。熱中症警戒アラートの発令基準はWBGT33℃以上、熱中症特別警戒アラートはWBGT35℃以上です。WBGTの実況値・予測値は環境省熱中症予防情報サイト(wbgt.env.go.jp)で全国約840地点について無料で確認できます。
気象アプリや天気予報で暑さ指数(WBGT)という数値を目にする機会が増えています。
しかしWBGTが気温と何が違うのか・どの数値になったら危険なのか・どうやって確認するのかを正確に理解している方は多くありません。
WBGTは熱中症予防において世界標準の指標として採用されており、熱中症警戒アラートの発令基準にも直接使われています。
この記事では、暑さ指数(WBGT)の定義・開発背景・計算式・気温との違い・数値別の行動指針・確認方法・防災への活用法を徹底的に解説します。
【この記事の信頼性について】
本記事は環境省・気象庁・日本スポーツ協会・厚生労働省・国際標準化機構(ISO)・日本工業規格(JIS)の公式データ・ガイドラインをもとに作成しています。WBGTの実況値・予測値は環境省熱中症予防情報サイト(wbgt.env.go.jp)が一次情報源です。熱中症の診断・治療については必ず医師・医療機関にご相談ください。
暑さ指数(WBGT)とは:定義と基本的な特徴
暑さ指数(WBGT)はWet Bulb Globe Temperatureの略であり、日本語では湿球黒球温度とも呼ばれます。
単位は℃(摂氏)で表されますが、これは気温の℃と同じ単位を使っているだけで、気温そのものではありません。
WBGTは気温・湿度・輻射熱という3つの環境要素を組み合わせて、人体が暑熱環境から受けるストレスの大きさを示す総合的な指標です。
WBGTが必要な理由:気温だけでは不十分
日本の夏に熱中症が多発する最大の理由は、高温と高湿度が同時に発生することにあります。
人体は皮膚表面の汗が蒸発するときの気化熱を利用して体温を下げています。
しかし湿度が高いと汗が蒸発しにくくなり、この体温調節メカニズムが機能しなくなります。
例えば気温35℃でも湿度30%の乾燥した環境と湿度80%の蒸し暑い環境では、熱中症のリスクが大きく異なります。
気温だけを基準にした指標では、日本の夏の実際の危険度を正確に反映できません。
WBGTはこの問題を解決するために、湿度・輻射熱を組み合わせた体感的な暑熱ストレスを数値化したものです。
WBGTの採用機関
WBGTは現在、以下の多数の機関・規格が採用しています。
- 国際標準化機構(ISO7243・ISO9886)
- 日本工業規格(JIS Z 8504)
- 環境省(熱中症警戒アラートの発令基準・熱中症予防情報の配信)
- 気象庁(熱中症警戒アラートの共同発令)
- 日本スポーツ協会(スポーツ活動の熱中症予防指針)
- 厚生労働省(職場における熱中症予防基本対策要綱)
- 文部科学省(学校における熱中症対策ガイドライン)
- 日本生気象学会(生活指導温熱指標)
これだけ多くの機関が採用していることからも、WBGTが熱中症予防の世界標準指標として確立していることが分かります。
暑さ指数(WBGT)の開発背景と歴史
WBGTがどのように生まれたかを知ることで、この指標の本質をより深く理解できます。
1950年代:アメリカ軍での開発
WBGTは1950年代にアメリカ軍が熱中症予防のために開発した指標です。
当時のアメリカ軍では、野外訓練中の兵士が熱中症で死亡・重症化する事故が頻発していました。
1950〜52年の朝鮮戦争時の訓練・1955〜57年の南部での訓練で特に問題が深刻化しました。
単純な気温や湿度だけでは野外訓練の安全管理ができないという問題意識から、気温・湿度・輻射熱(日射・地面や装備からの熱放射)を統合した指標の開発が進められました。
1957年にYaglou・MinardらによってWBGTが提唱され、アメリカ軍の野外訓練管理に採用されました。
国際標準化から日本への普及
WBGTはその後、国際標準化機構(ISO)が1982年に熱的環境の評価基準として採用(ISO7243)しました。
日本では日本工業規格(JIS Z 8504・1999年制定)として標準化されました。
日本スポーツ協会(旧日本体育協会)は1994年に熱中症予防のための運動指針にWBGTを採用し、スポーツ現場での普及が進みました。
環境省は2006年頃からWBGTの一般への普及啓発を開始し、2021年には熱中症警戒アラートの発令基準としてWBGTを採用しました。
暑さ指数(WBGT)の計算式と3つの要素
WBGTの計算式と3つの構成要素を詳しく解説します。
屋外(日射がある環境)のWBGT計算式
WBGT(屋外)= 0.7 × 湿球温度 + 0.2 × 黒球温度 + 0.1 × 乾球温度
屋内(日射がない環境)のWBGT計算式
WBGT(屋内)= 0.7 × 湿球温度 + 0.3 × 黒球温度
屋内環境では乾球温度(気温)の影響を除外し、湿球温度と黒球温度(輻射熱)の2要素で計算します。
日射がある屋外と日射がない屋内では計算式が異なりますが、どちらも湿球温度の重みが最も大きい点は共通しています。
要素①:湿球温度(重み70%)
湿球温度は、濡らしたガーゼを巻いた温度計(湿球温度計)で測定した温度です。
湿球温度計の表面からは水が蒸発し、この気化熱で温度計が冷やされます。
湿度が高い(水蒸気が多い)環境では蒸発が起きにくいため、湿球温度が高くなります。
湿度が低い(乾燥した)環境では蒸発が活発に起きるため、湿球温度が低くなります。
つまり湿球温度は、人体の汗の蒸発による体温冷却がどの程度機能するかを反映した指標です。
WBGTにおける重みが70%と最大である理由は、熱中症の発生において湿度(発汗冷却の効率)が最も大きな影響を持つからです。
要素②:黒球温度(重み20%)
黒球温度は、黒く塗られた中空の金属球(直径15cm程度)の中心に入れた温度計で測定した温度です。
黒い球体は太陽の直射日光・地面・周囲の建物・アスファルトなどからの輻射熱を最大限に吸収します。
黒球温度の高さは、直射日光や輻射熱による体への熱負荷の大きさを反映しています。
同じ気温・湿度でも、直射日光の下と日陰では黒球温度が大きく異なります。
アスファルトが多い都市部・競技場・工場の屋外では黒球温度が特に高くなる傾向があります。
重みが20%である理由は、輻射熱が体への熱負荷として重要ではあるものの、湿度(汗の蒸発効率)ほど直接的ではないためです。
要素③:乾球温度(重み10%)
乾球温度は通常の温度計で測定した気温そのものです。
私たちが日常的に耳にする最高気温・最低気温はこの乾球温度です。
WBGTにおける重みが10%と最も小さい理由は、乾球温度(気温)単独では熱中症リスクを正確に反映しないためです。
気温はあくまでも環境の基本的な温度水準を示す参考値として組み込まれています。
なぜ湿球温度の重みが最大(70%)なのか
人体は体温が上昇すると汗をかき、汗が蒸発する際の気化熱で体温を下げる仕組みを持っています。
この発汗冷却は、人体の体温調節メカニズムの中で最も重要な機能です。
湿度が高い環境(湿球温度が高い状態)では汗の蒸発が妨げられ、この冷却機能が著しく低下します。
発汗冷却が機能しなくなると、体温が上昇し続けて熱中症が発生します。
したがって熱中症リスクの評価において、湿度(湿球温度)の影響を最も大きく反映させることが科学的に正当化されます。
WBGTと気温・湿度・暑さ体感の関係
WBGTが気温とどのように異なるかを、具体的な数値で理解することが重要です。
同じ気温でもWBGTが大きく変わる例
以下の表は、同じ気温35℃でも湿度によってWBGTがどれだけ変わるかを示しています(目安値)。
| 気温(℃) | 湿度(%) | WBGT(℃)の目安 | 熱中症リスク水準 |
|---|---|---|---|
| 35℃ | 20%(乾燥) | 約24〜26℃ | 警戒水準 |
| 35℃ | 40% | 約27〜29℃ | 厳重警戒水準 |
| 35℃ | 60% | 約30〜32℃ | 危険水準 |
| 35℃ | 80% | 約33〜35℃ | 警戒アラート〜特別警戒アラート水準 |
気温が同じ35℃(猛暑日)でも、湿度によってWBGTは約24℃から35℃以上まで大きく変わることが分かります。
日本の夏は湿度60〜80%を超える日が多いため、WBGTは単純な気温より熱中症リスクを正確に反映します。
WBGTが気温より高い場合・低い場合
WBGTは通常、気温よりも低い数値を示します。
しかし高湿度・強い日射がある環境では、WBGTが体感温度よりも相対的に過酷な状況を示すことがあります。
気温33℃・湿度70%・強い日射がある屋外では、WBGTが30〜33℃に達することがあります。
このような状況では、最高気温33℃という数値だけを見て安全と判断すると危険です。
WBGTと体感温度(不快指数・熱中症指数)との違い
WBGTと混同されやすい指標として、体感温度・不快指数・熱中症指数があります。
| 指標 | 考慮する要素 | 主な用途 | 特徴 |
|---|---|---|---|
| WBGT(暑さ指数) | 気温・湿度・輻射熱 | 熱中症予防・労働安全・スポーツ | 国際標準・法的・行政的な基準として使用 |
| 体感温度(体感気温) | 気温・湿度・風速 | 天気予報の補足情報 | 体が感じる温度の目安。複数の計算式がある |
| 不快指数 | 気温・湿度 | 不快感の目安 | 輻射熱を考慮しない。熱中症リスクの指標としては不十分 |
| 熱中症指数(UTCI等) | 気温・湿度・輻射熱・風速 | 都市気候・環境評価 | WBGTより多くの要素を考慮するが、行政基準としての普及度はWBGTより低い |
WBGTは体感温度・不快指数より多くの要素を考慮し、かつ国際標準・行政基準として広く採用されている点で、熱中症予防において最も実用的な指標です。
WBGTの数値別:熱中症リスクと行動指針
WBGTの数値を見たときにどう行動すべきかを、各機関の指針をもとに解説します。
日本スポーツ協会の運動指針(5段階)
日本スポーツ協会は、WBGTを基準としたスポーツ活動における熱中症予防指針を5段階で定めています。
| WBGT(℃) | リスク区分 | 運動指針 | 気温の目安(湿度60%程度の場合) |
|---|---|---|---|
| 21℃未満 | ほぼ安全(白) | 通常の運動活動可。水分補給に留意 | 気温約24℃以下 |
| 21〜25℃未満 | 注意(黄) | 積極的に水分補給。体調が悪い場合は運動を中断 | 気温約24〜28℃程度 |
| 25〜28℃未満 | 警戒(橙) | 積極的に休憩・水分補給。激しい運動は中断を考慮 | 気温約28〜31℃程度 |
| 28〜31℃未満 | 厳重警戒(赤) | 激しい運動・持久走などは原則中止。体力の低い人は運動中止 | 気温約31〜35℃程度 |
| 31℃以上 | 危険(黒) | 運動は原則禁止。特別な場合以外は中止 | 気温約35℃以上(猛暑日水準) |
WBGT31℃以上での運動原則禁止が、熱中症予防における国内の標準的な基準として広く採用されています。
環境省の生活指導温熱指標(日常生活での目安)
日本生気象学会・環境省は、スポーツではなく日常生活における行動指針としてのWBGT目安を以下のように定めています。
| WBGT(℃) | リスク区分 | 日常生活での注意事項 |
|---|---|---|
| 25℃未満 | 注意 | 一般的に危険性は少ないが、体調に応じて水分補給を行う |
| 25〜28℃未満 | 警戒 | 外出時は炎天下を避け、室内での激しい運動に気をつける |
| 28〜31℃未満 | 厳重警戒 | 外出時は炎天下を避け、室温の上昇に注意する。高齢者・乳幼児は注意 |
| 31℃以上 | 危険 | 高齢者・体の不自由な方は外出を原則回避。室内での温度管理に最大限注意する |
| 33℃以上 | 極めて危険(熱中症警戒アラート発令水準) | 不要不急の外出を控える。エアコンを積極使用。高齢者・乳幼児への見守り強化 |
| 35℃以上 | 最大限の危険(熱中症特別警戒アラート発令水準) | 外出全面中止。エアコン最大限活用。クーリングシェルターへの避難 |
厚生労働省・職場の熱中症予防基準
厚生労働省は職場における熱中症予防のための基本対策要綱でWBGTを採用しています。
主なWBGT基準値は以下の通りです。
- WBGT28℃以上:作業管理の強化が必要な水準。作業時間の短縮・休憩の増加・水分補給の徹底を義務づける
- WBGT31℃以上:危険水準。原則として屋外での重作業・中程度作業を中止または大幅に制限する
- WBGT33℃以上(熱中症警戒アラート発令水準):屋外での作業は原則全面中止を検討する
事業者は労働安全衛生法に基づき、WBGT基準値を超える環境での作業管理・熱中症予防措置を講じる義務があります。
WBGTと熱中症警戒アラート・特別警戒アラートの関係
WBGTは環境省・気象庁が共同で運用する熱中症警戒アラート・特別警戒アラートの発令基準に直接使われています。
熱中症警戒アラートの発令基準
熱中症警戒アラートの発令基準は、対象都道府県内のいずれかのWBGT観測地点において翌日または当日のWBGTが33℃以上と予測される場合です。
2021年4月から全国運用が開始されました。
熱中症特別警戒アラートの発令基準
熱中症特別警戒アラートの発令基準は、対象都道府県内のすべてのWBGT観測地点において翌日または当日のWBGTが35℃以上と予測される場合です。
2024年4月の気候変動適応法改正により創設されました。
アラート発令とWBGTの関係の整理
| WBGT(℃) | 対応する警戒情報 | 推奨行動の概要 |
|---|---|---|
| 31〜33℃未満 | アラートなし(危険水準) | 外出を控える・エアコン使用・水分補給徹底 |
| 33〜35℃未満 | 熱中症警戒アラート(いずれかの地点で33℃以上) | 不要不急の外出を控える・エアコン最大活用・高齢者見守り |
| 35℃以上 | 熱中症特別警戒アラート(全地点で35℃以上) | 外出全面中止・クーリングシェルター活用・緊急避難 |
WBGTの実測方法:どうやって計測するか
WBGTはどのような装置で実測するのかを解説します。
専用の計測装置
正確なWBGTを測定するには、以下の3種類の温度計を組み合わせた専用計測装置が必要です。
- 湿球温度計:水を含ませたガーゼ(綿球)を温度計の感温部に巻き付けたもの。気化による蒸発冷却で湿球温度を測定する
- 黒球温度計:つや消し黒色塗装した直径15cmの金属球の中心に温度センサーを設置したもの。直射日光・周囲からの輻射熱を吸収して黒球温度を測定する
- 乾球温度計:通常の温度計。気温を測定する
これらを組み合わせたWBGT計測装置は市販されており、環境省の熱中症予防情報の観測にも使われています。
簡易型WBGTメーターの普及
近年は乾球温度計・湿球温度計・黒球温度計を一体化した小型のWBGTメーター(1万円前後〜)が市販されており、学校の部活動・スポーツ団体・職場での活用が広がっています。
スマートフォンアプリでも気象データからWBGTを簡易計算して表示するものがありますが、輻射熱(黒球温度)を実測していないため、直射日光下の屋外での精度には限界があります。
最も信頼性の高いWBGT情報は、環境省熱中症予防情報サイト(wbgt.env.go.jp)で公表される全国約840地点の実測値です。
環境省の観測ネットワーク
環境省は全国約840地点(2026年現在)にWBGT観測装置を設置し、実況値・予測値を3時間ごとに更新・公表しています。
これらの観測データが熱中症警戒アラートの発令判断にも使用されます。
観測地点は都市部・農村部・沿岸部・内陸部など多様な環境をカバーしており、地域ごとのWBGTの差異を把握することができます。
WBGTの確認方法:どこで調べるか
自分の居住地や活動地点のWBGTを確認するための主要な方法を解説します。
環境省熱中症予防情報サイト(wbgt.env.go.jp)
環境省が運営する熱中症予防情報サイトは、WBGTを確認するための最重要な一次情報源です。
以下の情報を無料でリアルタイムに確認できます。
- 全国約840地点のWBGT実況値(現在の値)
- 全国約840地点のWBGT予測値(3時間ごと・翌日まで)
- 全国のWBGT実況分布マップ(地図上に色分けで表示)
- 熱中症警戒アラート・特別警戒アラートの全国発令状況
- クーリングシェルターの検索機能
スマートフォンのブラウザからもアクセスできます。
ホーム画面にショートカットを追加しておき、毎朝確認する習慣をつけることを推奨します。
気象庁公式サイト(jma.go.jp)
気象庁公式サイトでは、高温注意情報・熱中症警戒アラートの発令情報と合わせてWBGTの予測情報を確認できます。
週間天気予報と合わせて数日先のWBGT傾向を把握するのに適しています。
気象アプリ
tenki.jp・weathernews・Yahoo!天気など主要な気象アプリは、WBGTの予測値表示・熱中症警戒アラートのプッシュ通知機能を備えています。
アプリの通知設定でWBGT警戒水準到達・アラート発令の通知をオンにしておくことを推奨します。
WBGTを防災・日常生活に活用する具体的な方法
WBGTを知識として知るだけでなく、実際の防災行動に結びつける方法を解説します。
活用法①:毎朝のWBGT確認を習慣にする
毎朝起床後に環境省熱中症予防情報サイト(wbgt.env.go.jp)またはお使いの気象アプリで、その日のWBGT予測値と熱中症警戒アラートの発令状況を確認する習慣をつけてください。
WBGT28℃以上(厳重警戒水準)と予測される日は、外出時の服装・水分補給の準備・外出時間帯の計画を事前に調整します。
WBGT31℃以上(危険水準)と予測される日は、屋外での激しい活動を中止・制限することを原則とします。
WBGT33℃以上(警戒アラート発令水準)と予測される日は、不要不急の外出を控え、独居高齢者への安否確認を行います。
活用法②:子どもの屋外活動・部活動の判断基準にする
学校・幼稚園・保育所・スポーツクラブでの屋外活動の可否判断にWBGTを使用することを推奨します。
日本スポーツ協会の指針では、WBGT31℃以上での運動は原則禁止とされています。
簡易型WBGTメーター(1万円前後〜)を学校・部活動に1台導入するだけで、実際の活動場所での正確なWBGTを把握し、熱中症事故を未然に防ぐことができます。
活用法③:屋外作業の安全管理に使う
農業・建設業・清掃業など屋外作業が多い職場では、WBGTを使った作業安全管理が効果的です。
厚生労働省の指針ではWBGT28℃以上での作業管理強化が推奨されており、WBGT値に応じた作業時間・休憩頻度・水分補給量の基準を職場で設定しておくことが重要です。
職場の屋外作業場所にWBGT計測装置を設置し、労働者が常にWBGTを確認できる環境を整えることが推奨されます。
活用法④:高齢者・乳幼児の見守りの判断基準にする
WBGTが高い日ほど、独居高齢者・乳幼児のいる家庭への見守り・安否確認の必要性が高まります。
WBGT28℃以上(厳重警戒水準)の日は、独居高齢者への電話確認・訪問の頻度を通常より増やすことを推奨します。
特にWBGT31℃以上(危険水準)の日には、エアコンが正常に稼働しているか・室温が適切か・水分補給ができているかを直接確認することが重要です。
活用法⑤:防災計画・地域の熱中症対策に組み込む
自主防災組織・市区町村の防災担当者は、地域の熱中症対策にWBGTを活用することができます。
地域の夏季の平均WBGT・過去の高WBGT日のデータを分析することで、特にリスクの高い地域・時間帯を特定し、集中した見守り・クーリングシェルターの開放スケジュールを計画できます。
よくある疑問:Q&A
Q. WBGTと気温はどちらが大きい数値になりますか?
一般的にWBGTは気温より低い数値を示します。
例えば気温35℃・湿度50%・晴天という典型的な猛暑日でも、WBGTは28〜31℃程度になることが多いです。
ただし高湿度・強い日射が重なる条件では、WBGTが危険水準(31℃以上)に達する気温は35℃以下でも起こりえます。
気温が33℃でも湿度75%以上では、WBGTが警戒アラート発令水準(33℃以上)に達することがあります。
Q. 室内でもWBGTは高くなりますか?
なります。
屋内のWBGT(日射なし)= 0.7 × 湿球温度 + 0.3 × 黒球温度の式で計算されます。
エアコンのない室内・換気が不十分な室内では室温と湿度が上昇し、WBGT危険水準(31℃以上)に達することがあります。
熱中症死亡者の約50〜60%が自宅屋内で亡くなっているデータは、室内のWBGT管理(室温と湿度のコントロール)の重要性を示しています。
Q. 子どもや高齢者はWBGTの数値をどう使えばよいですか?
子ども・高齢者・持病のある方は、健康な成人より低いWBGT水準で熱中症リスクが高まります。
日本生気象学会の指針では、高齢者・乳幼児についてはWBGT28℃以上(厳重警戒水準)から特別な注意が必要とされています。
健常な成人のWBGT指針よりも1〜2段階厳しく適用することが推奨されます。
Q. WBGTが低くても熱中症になることはありますか?
あります。
WBGT25℃以下(注意水準)でも、体調不良・睡眠不足・飲酒・脱水状態にある方や高齢者では熱中症が発生することがあります。
WBGTは平均的な健康状態の人を基準とした指標です。
個人の体調・健康状態・暑さへの順応度(暑熱順化の程度)によって、実際のリスクはWBGTの数値だけでは決まりません。
WBGTを参考にしながら、自分の体調の変化に敏感に対応することが最も重要です。
まとめ:WBGTを理解して熱中症から命を守る
暑さ指数(WBGT)は、気温・湿度・輻射熱を組み合わせて人体への暑熱ストレスを数値化した国際標準指標です。
日本の高温多湿な夏において、気温だけよりもはるかに正確に熱中症リスクを反映します。
熱中症警戒アラート(WBGT33℃以上)・特別警戒アラート(全地点でWBGT35℃以上)の発令基準としても直接使われており、日本の公的熱中症対策の核心指標となっています。
今すぐ実践してほしいことを5つ挙げます。
- 環境省熱中症予防情報サイト(wbgt.env.go.jp)をブックマークし、毎朝WBGTの予測値と熱中症警戒アラート発令状況を確認する習慣をつける
- 気象アプリの通知設定でWBGT警戒水準到達・熱中症警戒アラートのプッシュ通知をオンにする
- 学校・部活動・職場でWBGTに基づく屋外活動の中止基準(WBGT31℃以上は原則禁止)を設定・共有する
- 独居高齢者への見守り頻度を、WBGT予測値に連動させて強化する(WBGT28℃以上の日は電話確認・31℃以上の日は訪問確認を原則とする)
- 夏前にエアコンのフィルター清掃・試運転を実施し、室内環境のWBGT管理の準備を整える
気候変動の進行によりWBGT危険水準・警戒アラート水準に達する日数は今後さらに増加することが確実視されています。
WBGTを正しく理解し、数値に応じた具体的な行動を取ることが、これからの夏に命を守る最も重要な防災行動です。


