熱中症対策の義務化【2026年版】熱中症対策強化法の内容・事業者の義務・罰則・クーリングシェルターを完全解説
【この記事の要約】
熱中症対策の義務化は主に2つの法律を軸に構成されています。1つ目は労働安全衛生法に基づく職場での熱中症対策(WBGT管理・水分塩分補給の実施・熱中症対応マニュアルの整備等)で、これは以前から事業者の義務とされてきました。2つ目は2023年5月に成立・同年10月施行の熱中症対策強化法(気候変動適応法改正法)により、新たに義務化・制度化された内容です。熱中症対策強化法の主な内容は①熱中症特別警戒アラートの創設(都道府県内全地点でWBGT35℃以上予測時に発令)、②市区町村による暑熱避難施設(クーリングシェルター)の指定制度の創設、③特別警戒アラート発令時のクーリングシェルター開放義務化、④国・地方公共団体・事業者・国民それぞれの熱中症対策の責務の明確化です。職場での熱中症対策は労働安全衛生法・職場における熱中症予防基本対策要綱(厚生労働省)により、WBGT値の管理・水分塩分補給の確保・作業計画の策定・健康診断の実施・熱中症対応マニュアルの整備などが事業者の義務または強く推奨される措置として定められています。違反した場合の罰則は労働安全衛生法違反として6か月以下の懲役または50万円以下の罰金の可能性があります。
近年の記録的な猛暑を背景に、熱中症対策の法的義務化が進んでいます。
2023年の熱中症対策強化法成立により、国・地方公共団体・事業者・国民それぞれの責務が法律上明確化されました。
事業者・学校・イベント主催者にとっては、どこまでが法的義務でどこからが努力義務なのかを正確に把握することが重要です。
この記事では、熱中症対策の義務化の根拠となる法律・具体的な義務の内容・罰則・クーリングシェルターの制度・職場での具体的な対応策を体系的に解説します。
【この記事の信頼性について】
本記事は環境省・厚生労働省・気象庁の公式資料・法令をもとに作成しています。法令の解釈・適用については、専門の弁護士・社会保険労務士・行政機関にご確認ください。本記事は法的アドバイスを提供するものではありません。最新の法令・ガイドライン情報は各省庁の公式ウェブサイトで確認してください。
熱中症対策の義務化を定める2つの法律
熱中症対策の義務化の根拠は主に2つの法律に基づいています。
それぞれの法律が対象とする場面・義務の内容が異なります。
① 労働安全衛生法(職場での熱中症対策)
労働安全衛生法は、職場における労働者の安全・健康を守るために事業者に義務を課す法律です。
第65条では事業者に作業環境の管理義務を課しており、熱中症を引き起こすような高温環境での労働は適切な管理が義務付けられています。
第66条では事業者に労働者の健康診断実施義務を定めており、高温作業に従事する労働者への配慮が求められます。
これらの条文を具体化したものが、厚生労働省が定める職場における熱中症予防基本対策要綱(最新改訂:2021年)です。
② 熱中症対策強化法(気候変動適応法改正法)
2023年5月に成立し同年10月に施行された法律が、気候変動適応法の改正法(通称:熱中症対策強化法)です。
正式名称は気候変動適応法及び独立行政法人環境再生保全機構法の一部を改正する法律です。
この法律により、職場以外の場面(屋外イベント・公共空間・地域社会全体)での熱中症対策が国・地方公共団体・事業者・国民の責務として法律上明確化されました。
熱中症特別警戒アラートの創設・クーリングシェルターの指定制度・特別警戒アラート発令時の開放義務化はこの法律によるものです。
熱中症対策強化法の主な内容
2023年に施行された熱中症対策強化法の主な内容を詳しく解説します。
熱中症特別警戒アラートの法制化
熱中症対策強化法により、熱中症特別警戒アラートが法律上の制度として位置付けられました。
発令基準は都道府県内のすべての暑さ指数(WBGT)観測・予測地点において翌日のWBGTが35℃以上になると予測される場合です。
特別警戒アラートは2021年から運用されている熱中症警戒アラート(WBGT33℃以上・都道府県内のいずれかの地点)より一段階上の緊急度を持つ情報です。
環境大臣が発令主体となり、気象庁長官と共同して発令されます。
クーリングシェルター(暑熱避難施設)の指定制度
熱中症対策強化法により、市区町村が暑熱避難施設(クーリングシェルター)を指定できる制度が創設されました。
クーリングシェルターとして指定できる施設は、エアコン等の冷房設備を有し、熱中症のリスクが高い方が避難できる場所です。
具体的には図書館・公民館・ショッピングモール・コンビニエンスストア・銀行のロビー・道の駅などが指定されています。
指定にあたっては市区町村と施設所有者・管理者の協定締結が必要です。
特別警戒アラート発令時の開放義務
熱中症対策強化法の最も重要な義務規定の一つが、特別警戒アラート発令時のクーリングシェルター開放義務化です。
特別警戒アラートが発令された場合、市区町村が指定したクーリングシェルターは原則として開放することが義務付けられました。
これにより、エアコンのない自宅に住む高齢者・低所得者・電気代節約のためにエアコンをつけていない方が、無料で涼める場所に確実にアクセスできる体制が整備されました。
クーリングシェルターの開放時間・対象者・利用方法は市区町村・施設ごとに異なるため、事前に確認しておくことが重要です。
国・地方公共団体・事業者・国民の責務の明確化
熱中症対策強化法は、熱中症対策に関わる各主体の責務を以下のように明確化しています。
| 主体 | 責務の内容 |
|---|---|
| 国(環境省・気象庁等) | 熱中症対策に関する情報の収集・発信・技術開発。熱中症警戒情報(アラート)の発令。地方公共団体・事業者への支援 |
| 都道府県 | 熱中症対策計画の策定・推進。市区町村・事業者への助言・支援 |
| 市区町村 | クーリングシェルターの指定・管理。地域住民への熱中症予防情報の普及・啓発。独居高齢者等の見守り活動の支援 |
| 事業者 | 従業員・顧客・利用者の熱中症予防に配慮した環境の整備。クーリングシェルターとしての施設開放への協力 |
| 国民 | 熱中症予防に関する知識の習得。自ら熱中症予防行動を実践する努力。周囲の方の熱中症予防への配慮 |
職場での熱中症対策の義務:厚生労働省のガイドライン
職場での熱中症対策は労働安全衛生法と厚生労働省の職場における熱中症予防基本対策要綱(2021年改訂)によって、事業者の義務として詳細に定められています。
WBGT値の管理(作業環境管理)
厚生労働省のガイドラインでは、屋外・高温作業が行われる職場でのWBGT値の把握・管理が求められています。
WBGT計(熱中症計)を職場に設置し、作業中のWBGTを継続的に計測・記録することが推奨されています。
WBGTの値に応じた作業強度の調整・休憩の確保・作業中止基準の設定が事業者の義務として位置づけられています。
具体的なWBGT値と作業可否の目安は以下の通りです。
| WBGT値 | 事業者が取るべき対応 |
|---|---|
| 25℃未満 | 通常作業が可能。こまめな水分補給を促す |
| 25〜28℃未満 | 水分塩分補給の徹底・定期的な休憩の確保。新入社員・暑熱順化未完了の労働者への配慮 |
| 28〜31℃未満 | 屋外の激しい作業の制限。15〜20分に1回の休憩確保。クーラーボックス等で冷たい飲料を用意する |
| 31〜33℃未満 | 作業強度を下げる・作業時間を短縮する。熱中症リスクの高い労働者(持病あり・高齢等)の屋外作業を停止する |
| 33℃以上 | 危険な屋外作業は原則中止。熱中症警戒アラート発令水準。作業の中止または屋内・夜間への変更を検討する |
水分・塩分補給の確保(作業管理)
職場における熱中症予防基本対策要綱では、事業者に対して以下の水分・塩分補給環境の整備を義務または強く推奨しています。
- 作業現場・休憩場所に飲料水(スポーツドリンク・経口補水液・塩分入り飲料)を常時用意する
- 労働者が自由に水分補給できる体制を確保する(水分補給のための中断を認める)
- 20〜30分に1回・コップ1杯(200ml程度)の水分補給を促す
- 塩飴・塩タブレット等の塩分補給ができる環境を整備する
- アルコール飲料を水分補給に使用しないよう周知する
作業環境の整備(作業環境管理)
屋外作業・高温作業が行われる職場での作業環境整備として以下が求められます。
- 日よけ(遮熱シート・日差しを遮るテント・ネット等)の設置
- 休憩場所へのクーラーボックス・保冷材の設置
- 通気性・吸湿性・速乾性のある作業服・保護具の選択
- ミストシャワー・クーリングウェア(空調服等)の活用
- 屋内の高温作業場所への冷房・送風設備の設置または改善
暑熱順化(体を暑さに慣らすプロセス)の確保
暑熱順化とは、体を段階的に高温環境に慣らすことで体温調節機能を高めるプロセスです。
完全な暑熱順化には約1〜2週間かかります。
厚生労働省のガイドラインでは、新たに高温作業に従事する労働者(新入社員・職場異動者・休暇明けの労働者)については、最初の数日間は作業強度・時間を段階的に増やす暑熱順化期間を設けることが推奨されています。
梅雨明け直後など急激に気温が上昇する時期は、既存の労働者でも暑熱順化が不十分になりやすく特に注意が必要です。
健康管理(健康管理)
事業者は以下の健康管理措置を講じることが義務または強く推奨されています。
- 高温作業に従事する労働者に対する定期健康診断の実施
- 熱中症のリスクが高い疾患(心疾患・糖尿病・高血圧・腎臓病等)を持つ労働者・高齢者・肥満の労働者への配慮(作業内容・作業時間の調整)
- 当日の体調確認(体温・体重計測・水分摂取量の確認)を作業開始前に実施する仕組みの整備
- 前日の飲酒・睡眠不足・体調不良の労働者を高温作業に従事させないための管理
熱中症対応マニュアルの整備・教育
事業者は以下の対応マニュアル整備・教育を行う義務があります。
- 熱中症発症時の応急処置の手順(涼しい場所への移動・体の冷却・水分塩分補給・119番通報の判断基準)を定めた対応マニュアルの作成・周知
- 労働者全員に対する熱中症予防・応急処置の教育訓練の実施(年1回以上・夏季前に実施することが望ましい)
- 熱中症が発症した場合の報告・記録体制の整備
- 2人以上でペアになり互いの体調を観察し合うバディシステムの導入推奨
労働安全衛生法違反の罰則
労働安全衛生法の義務規定に違反した場合、以下の罰則が適用される可能性があります。
- 6か月以下の懲役または50万円以下の罰金(労働安全衛生法第119条)
- 50万円以下の罰金(同法第120条)
実際の罰則適用に際しては、労働基準監督署による指導・是正勧告が先に行われることが一般的です。
ただし重大な熱中症死亡事故が発生した場合は、安全配慮義務違反として民事損害賠償請求の対象になる可能性があります。
罰則の有無に関わらず、労働者の命を守るために事業者としての対策を徹底することが最も重要です。
屋外イベント・スポーツ大会での熱中症対策の義務
屋外イベントやスポーツ大会の主催者は、参加者・観客の熱中症予防について法的・倫理的な責任を負います。
熱中症対策強化法における主催者の位置付け
熱中症対策強化法では、事業者(屋外イベント・スポーツ大会の主催者を含む)は参加者・顧客・利用者の熱中症予防に配慮した環境整備の責務を負うと定めています。
これは直接的な罰則を伴う義務規定というよりは、民事上の責任(損害賠償)および社会的責任として機能するものです。
熱中症予防措置を怠ったイベント・大会での死亡事故は、主催者への損害賠償請求訴訟につながった事例があります。
屋外イベント・スポーツ大会での推奨措置
環境省・スポーツ庁・各スポーツ競技団体は屋外イベント・スポーツ大会での熱中症対策として以下を推奨・義務化しています。
- WBGT計の設置と当日のWBGT値の継続的な計測・公表
- WBGT基準値(通常は33℃)を超えた場合の中止・延期・屋内移行の判断基準の事前設定と公表
- 会場内での給水ポイントの設置と水分(スポーツドリンク・経口補水液)の無料または低価格での提供
- 日よけ(テント・日差しを遮る構造物)の設置による休憩スペースの確保
- ミスト散布機器・冷却スプレーの設置
- 救護所の設置と熱中症応急処置(AED・保冷剤・経口補水液等)に対応した医師・看護師・救急救命士の配置
- 熱中症症状の発見から119番通報・救急搬送までの対応プロセスの整備
- 参加者・観客への熱中症予防情報の事前周知(会場アナウンス・SNS・募集要項への記載等)
学校・部活動での対応義務
文部科学省・日本スポーツ協会は学校・部活動での熱中症対策についても詳細なガイドラインを設けています。
各学校は熱中症対応マニュアルを整備することが求められており、文部科学省の通知では校長・教師に対する具体的な対応指針が定められています。
学校・部活動での主な義務・推奨措置は以下の通りです。
- WBGT測定器の全学校への整備(文部科学省は都道府県・政令市教育委員会を通じて整備を推進)
- WBGT31℃以上での屋外体育・部活動の原則中止(日本スポーツ協会ガイドライン)
- 熱中症警戒アラート発令日の屋外活動の中止・見直し
- 児童・生徒への熱中症予防教育の実施
- 運動会・体育祭などの屋外行事のWBGTに基づく中止・延期の判断基準の事前設定
- 熱中症が疑われる生徒への応急処置の手順の全教職員への周知
建設業・農業・物流業での熱中症対策の強化
熱中症による労働災害死亡者数は建設業・農業・物流業(屋内倉庫作業含む)に集中しています。
これらの業種では労働安全衛生法に基づく義務が特に重要です。
建設業
建設現場は屋外・高温・重労働という3つのリスクが重なる典型的な高リスク職場です。
国土交通省・建設業労働災害防止協会は建設現場での熱中症対策ガイドラインを定めており、元請け企業は下請け企業の労働者を含めた現場全体の熱中症対策に責任を負います。
建設現場での主な義務・推奨措置は以下の通りです。
- 現場内へのWBGT計の設置と計測結果の掲示
- 木陰・仮設テント等の休憩施設の整備
- 飲料水・スポーツドリンクの常時確保と無料提供
- 危険なWBGT水準に達した場合の作業中断・中止の判断ルールの事前設定
- 新入社員・外国人労働者・高齢労働者への熱中症教育の徹底(言語・理解度に応じた教育)
農業
農業は炎天下での長時間作業・単独作業が多く、熱中症発症時に周囲に気づかれにくいというリスクがあります。
農林水産省・農業労働安全協会は農作業での熱中症対策指針を発行しています。
農業での熱中症対策の主なポイントは以下の通りです。
- 一人での農作業中の体調急変に備え、定期的に家族・同僚と連絡を取り合う体制を整える
- 農作業用の遮熱性の高い帽子・衣服・日傘の活用
- 農業機械(トラクター等)内での熱中症(車内の高温)への注意
- 高齢農業従事者への家族による安否確認の強化
屋内倉庫・物流施設
屋内倉庫・物流施設は屋外より見過ごされやすいですが、夏季には室温が40℃以上に達することがあります。
倉庫内は太陽光の直射はないものの、建物の輻射熱・機械からの熱・換気の不足により高温・高湿度になりやすいです。
屋内高温作業場所へのスポットクーラー・送風機の設置、休憩室へのエアコンの整備が事業者の義務として求められます。
熱中症対策義務化への対応:事業者が整備すべきこと
法律・ガイドラインで求められる熱中症対策を事業者として整備するためのチェックリストを示します。
夏季前に整備すべき事項
- WBGT計の調達・設置場所の決定
- 作業中止基準(WBGT何℃で作業を中断・中止するか)の規定化と全従業員への周知
- 熱中症発症時の対応マニュアルの作成・更新(応急処置の手順・119番通報の基準・報告ルート)
- 熱中症予防教育の実施(年1回以上・夏季前に実施)
- 水分・塩分補給の環境整備(飲料水・スポーツドリンク・塩飴の準備)
- 日よけ・休憩場所の整備
- 高温作業に従事する労働者の健康診断結果の確認(熱中症高リスク疾患を持つ労働者の把握)
- 救護用品の整備(保冷剤・経口補水液・体温計・AED設置場所の確認)
夏季中に継続すべき事項
- 毎朝の熱中症警戒アラート・特別警戒アラートの発令状況の確認
- 毎朝の作業開始前の体調確認(体温計測・体調不良者の高温作業からの除外)
- 作業中のWBGT値の定期的な計測・記録
- 作業員の体調変化の継続的な観察(バディシステムの運用)
- 熱中症発症事案の記録・分析と対策の改善
事業者が見落としがちな義務:よくある不備
実際の職場での熱中症対策において見落とされやすい義務・不備を解説します。
暑熱順化を考慮していない
梅雨明け直後・季節の変わり目・新入社員・休暇明けの労働者が暑熱順化なしにいきなり高温作業に就くことは、熱中症リスクを大幅に高めます。
最初の1週間は作業強度・作業時間を段階的に上げていく管理が必要です。
水分補給を個人任せにしている
水は自分で飲んでほしいという方針では不十分です。
管理者・監督者が積極的に水分補給の声かけ・休憩取得を促す仕組みが必要です。
特に若手・新入社員は遠慮して水分補給を申し出ない場合があります。
持病のある労働者・高齢労働者への配慮が不十分
心疾患・糖尿病・高血圧・腎疾患を持つ労働者や高齢労働者は、同じ環境でも熱中症リスクが著しく高くなります。
健康診断の結果を把握し、これらの労働者を高温作業から除外するか作業時間・強度を減らす管理が求められます。
外国人労働者への教育が日本語のみ
外国人労働者に日本語のみの熱中症教育を実施しても、内容が十分に理解されない可能性があります。
母国語または理解できる言語での教育資料の用意・通訳の活用が必要です。
屋内高温作業場所を見落としている
屋外作業だけでなく、屋内でも倉庫・厨房・工場・機械室など高温になる場所での作業は熱中症対策が必要です。
屋内であれば涼しいという思い込みが重大な見落としにつながることがあります。
熱中症対策強化法による行政の義務:市区町村の対応
熱中症対策強化法は市区町村に対しても具体的な義務・推奨措置を定めています。
自治体の取り組み状況を把握することで、地域住民が利用できるリソースを理解できます。
市区町村の主な義務・推奨措置
- クーリングシェルターの指定・管理(施設一覧の公表・住民への周知)
- 特別警戒アラート発令時のクーリングシェルター開放の調整・確認
- 独居高齢者・障害者・乳幼児世帯など熱中症リスクの高い住民の把握と見守り支援
- 地域住民への熱中症予防情報の普及・啓発(広報誌・ウェブサイト・防災無線等)
- 熱中症対策計画の策定と実施状況の公表
自分の居住市区町村のクーリングシェルターを確認する
クーリングシェルターの場所・開放時間・利用条件は市区町村によって異なります。
以下の方法で確認できます。
- 居住市区町村のウェブサイトで熱中症対策・クーリングシェルターを検索する
- 環境省の熱中症予防情報サイト(wbgt.env.go.jp)で全国のクーリングシェルター一覧を確認できる
- 市区町村の総合窓口・防災担当窓口に電話で確認する
特別警戒アラートが発令された後に初めてクーリングシェルターの場所を調べるのでは遅い場合があります。
夏前・梅雨前に自分と家族が利用できるクーリングシェルターを確認しておくことを強く推奨します。
熱中症対策の義務化に関するよくある疑問:Q&A
Q. 小規模事業者(従業員10人未満)も熱中症対策の義務はありますか?
あります。
労働安全衛生法は企業規模にかかわらず、雇用関係のある労働者がいる事業者すべてに適用されます。
ただし従業員10人未満の小規模事業者は安全委員会・衛生委員会の設置義務が免除されているなど、一部の手続き的義務が軽減されています。
しかし水分補給環境の整備・WBGT管理・熱中症教育などの実質的な安全配慮義務は規模に関わらず適用されます。
Q. フリーランス・個人事業主は熱中症対策の義務はありますか?
労働安全衛生法は雇用主・被雇用者の関係を前提としているため、純粋なフリーランス・個人事業主には直接適用されません。
ただし建設業などの現場作業においては、元請け企業が一次・二次下請けの個人事業主を含む現場全体の安全管理に責任を負うことが多いです。
フリーランス・個人事業主であっても、自身の安全のために熱中症対策を実践することは不可欠です。
Q. 熱中症で労働者が倒れた場合、事業者はどんな責任を負いますか?
熱中症による労働災害が発生した場合、事業者は以下の責任を問われる可能性があります。
- 労災補償責任:労働者災害補償保険(労災保険)の適用。治療費・休業補償・後遺障害補償・遺族補償が支給される
- 民事損害賠償責任:安全配慮義務違反(労働契約法第5条)に基づく損害賠償請求訴訟の対象になる可能性がある。特に熱中症対策を怠っていた場合は過失が認定されやすい
- 刑事責任:業務上過失致死傷罪(刑法第211条)の対象になる可能性がある。特に事前の警告・対策不備が明白な場合
- 行政処分:労働基準監督署による是正勧告・使用停止命令・送検
Q. 熱中症対策強化法に罰則はありますか?
熱中症対策強化法(気候変動適応法改正法)自体には、個別の民間事業者への直接的な罰則規定は設けられていません。
クーリングシェルターの開放義務についても、指定施設が開放しなかった場合の直接的な罰則は現時点では設けられていません。
ただし職場での熱中症対策については別途、労働安全衛生法の罰則(6か月以下の懲役または50万円以下の罰金等)が適用されます。
また民事上の損害賠償責任・社会的信頼の喪失というリスクは、直接的な罰則がない領域でも十分な動機付けになります。
まとめ:事業者・市民が今すぐ取るべきアクション
熱中症対策の義務化を踏まえて、事業者・市民が今すぐ取るべきアクションを整理します。
事業者(雇用主)が今すぐすべきこと
- 職場における熱中症予防基本対策要綱(厚生労働省)の最新版を確認し、自社の対策が要綱の基準を満たしているか点検する
- WBGT計を職場に設置し、夏季前に動作確認を行う
- 作業中止基準・熱中症発症時の対応マニュアルを作成または更新し、全従業員に周知する
- 熱中症予防教育を夏季前(5〜6月)に全従業員を対象に実施する
- 水分・塩分補給のための飲料・塩飴を調達し、作業場所・休憩場所に配備する
市民が今すぐすべきこと
- 居住市区町村のクーリングシェルター(暑熱避難施設)の場所・開放時間を確認する
- 熱中症警戒アラート・特別警戒アラートを毎朝確認する習慣をつける(スマートフォンの気象アプリの通知をオンにする)
- 独居高齢者の家族・近隣住民は、WBGT28℃以上(厳重警戒)の日・アラート発令日の安否確認体制を整える
- 経口補水液・スポーツドリンク・塩タブレットを備蓄し、夏季の応急処置に即座に使える体制を整える
熱中症対策の義務化は、社会全体で熱中症による死亡・重篤な後遺障害をゼロに近づけるための枠組みです。
法律が定める義務の最低水準を満たすだけでなく、自分の職場・家族・地域の実情に合わせたより実効的な対策を積み重ねることが、命を守ることに直結します。


