【この記事の要約】
津波で覚えておくべき数字は、10メートルではありません。30センチです。この深さで、人は立っていられなくなります。だから「腰まで来たら逃げよう」は成り立ちません。気象庁の区分では、予想される高さが0.2メートルから1メートルで津波注意報、1メートルを超えて3メートルまでで津波警報、3メートルを超えると大津波警報です。第一報は地震発生から3分を目標に発表されます。そして11月5日は世界津波の日であり、津波防災の日。1854年のこの日、和歌山県の広村で濱口梧陵が稲むらに火をつけ、村人を高台へ導いた「稲むらの火」に由来します。この記事では、逃げるべき高さ、逃げ方、そして津波にまつわる誤解をまとめます。
津波の記事を書くとき、いつも迷うことがあります。
数字を大きく書くべきか、小さく書くべきか。
10メートルの津波、20メートルの遡上。こうした数字は記憶に残ります。しかし同時に、「そこまで大きくなければ大丈夫」という誤解も生みます。
だからこの記事は、小さい数字から始めます。
結論|30センチで、人は動けなくなります
まず、この一点を覚えてください。
浸水の深さが30センチに達すると、大人でも流されます。膝にも届かない高さです。
津波は、普通の波とは動き方が違います。海岸に打ち寄せてすぐ引く波ではなく、海面全体が持ち上がったまま、押し寄せ続けます。だから水の量が桁違いで、勢いが止まりません。
この性質から、次のことが言えます。
「腰まで来たら逃げよう」は成り立ちません。その時点で、もう歩けないからです。
| 浸水の深さ | 起きること |
|---|---|
| 30センチ | 立っていられない。歩行が困難になる |
| 50センチ | 木造の建物に被害が出始める |
| 1メートル | 木造家屋の部分的な破壊。死亡の危険が大きく上がる |
| 2メートル | 木造家屋が全面的に破壊されるとされる |
| 4メートル以上 | 2階建ての住宅が水没する |
数値は状況によって変わりますが、目安として、この順で被害が進みます。 50センチと1メートルの違いを詳しく知りたい方は50cm・1mの津波は本当に危険?をご覧ください。
あわせて読みたい
土地だけは、あとから変えられません。2020年8月28日から水害ハザードマップ上の位置の説明が義務になりましたが、液状化と地盤には説明義務がありません。内見で見るところと契約前に調べる5つは防災で選ぶ引っ越し先にまとめました。
あわせて読みたい
震災ごとに、人は違う理由で亡くなっています。関東大震災は火災87%、阪神・淡路は圧死77%、東日本は溺死90.6%。死因で比べた備えの決め方は過去の震災は何が人の命を奪ったかにまとめました。
あわせて読みたい
東日本大震災で亡くなった方の死因は溺死が90.6%でした。津波は物では守れません。避難三原則と津波てんでんこの意味は東日本大震災とは?にまとめました。
津波は、普通の波とどう違うのか
仕組みを知ると、なぜ30センチで流されるのかが腑に落ちます。
海面全体が動いています
風で起きる波は、海の表面だけが揺れている状態です。水そのものはあまり移動せず、その場で上下しています。だから波打ち際で立っていられます。
津波は違います。海底が動くことで、海面から海底までの水全体が持ち上がります。そしてその塊が、丸ごと移動してきます。
だから、同じ高さでも含まれる水の量が桁違いです。30センチでも、その背後に膨大な水が続いています。押し寄せる力が止まりません。
浅くなると、高くなります
沖では、津波の高さは数十センチということもあります。船の上では気づかないほどです。
ところが海岸に近づき、水深が浅くなると、進む速さが落ちる一方で、後ろから来る水が追いついて積み重なります。その結果、高さが一気に増します。
湾の奥や、V字に狭まった地形では、この効果がさらに強まります。同じ津波でも、地形によって高さが何倍も変わるのはこのためです。
沖では、飛行機ほどの速さで進みます
津波の速さは、水深で決まります。深い外洋では、旅客機に匹敵する速さで進みます。
浅い沿岸部では遅くなりますが、それでも人が走って逃げ切れる速さではありません。「見えてから逃げる」が成り立たない理由です。
だから、引き波も危険です
押し寄せるときだけでなく、引くときにも人や物が海へ運ばれます。建物や車が沖へ流されるのは、この引き波によるものです。
そして、押しては引きを何時間も繰り返します。一度で終わりません。
情報をどこで受け取るか
逃げる判断のためには、情報が届いている必要があります。
複数の経路を持ってください
一、緊急速報メール。スマートフォンに自動で届きます。設定を切っていないか、一度確認してください。
二、防災行政無線。屋外のスピーカーです。ただし雨や風の日は聞き取れません。これだけに頼らないでください。
三、テレビとラジオ。停電すればテレビは使えません。電池で動くラジオが最後の手段になります。
四、自治体の戸別受信機。対象者には無料や低額で貸し出す自治体があります。戸別受信機の対象者と申請方法にまとめました。
ラジオの選び方は防災ラジオはいらない?選ぶべき3つの条件、受信できる放送についてはワイドFMとは?をご覧ください。
アプリという選択肢
津波警報を通知するアプリがあります。ただし、通信が生きていることが前提です。基地局が被災すれば届きません。
アプリの比較はNERVアプリとは?にまとめました。
それでも、最後は自分の感覚です
情報が届く前に揺れます。強い揺れ、あるいは長くゆっくりした揺れを感じたら、それが最初の合図です。
警報を確認してから逃げるのではありません。逃げながら確認してください。
11月5日が、津波の日である理由
毎年11月5日は「津波防災の日」であり、「世界津波の日」です。
この日付には、由来があります。
稲むらの火
1854年(安政元年)11月5日、安政南海地震が起こりました。
和歌山県の広村、いまの広川町でのことです。濱口梧陵という人物が、収穫した稲の束に火をつけました。
暗闇のなか、その火を目印にして村人が高台へ集まり、津波から逃れたと伝えられています。自分の財産を燃やして、人の命を救ったという話です。
この逸話は「稲むらの火」として語り継がれ、防災教育の題材になってきました。
二つの記念日
日本では、東日本大震災を受けて2011年6月に「津波対策の推進に関する法律」が制定され、11月5日が津波防災の日と定められました。
そして2015年12月の国連総会で、日本を含む142か国の共同提案により、11月5日が「世界津波の日」となりました。日本の逸話に由来する日付が、国際的な記念日になったということです。
この日を、点検の日にしてください。沿岸部にお住まいなら、避難先と経路を家族で確認する。それだけで、記念日が意味を持ちます。
警報の区分と、その意味
津波の情報は、予想される高さで三つに分かれます。
| 種類 | 予想される高さ | とるべき行動 |
|---|---|---|
| 大津波警報 | 3メートル超(3〜5m、5〜10m、10m超の3区分で発表) | ただちに、できるだけ高い場所へ |
| 津波警報 | 1メートル超〜3メートル | ただちに高台か避難ビルへ |
| 津波注意報 | 0.2メートル〜1メートル | 海から離れる。海水浴や磯釣りは中止 |
注意報でも、海には近づかないでください
「注意報だから大丈夫」と考える方がいます。しかし、予想される高さの上限は1メートルです。
先ほどの表を思い出してください。30センチで人は流されます。注意報の範囲は、その3倍以上に及びます。
第一報は、3分を目標に出ます
大津波警報、津波警報、津波注意報の第一報は、地震発生からおよそ3分を目標に発表されます。
ただし、この3分を待つ必要はありません。強い揺れや、長くゆっくりとした揺れを感じたら、警報を待たずに逃げてください。
そして、最初の発表が最終ではありません。観測が進むにつれ、予想される高さは上に修正されることがあります。注意報が警報に、警報が大津波警報に変わることは実際に起きています。
どこへ逃げるか
津波からの避難で決定的なのは、方向ではなく高さです。
基本は「より高く、より遠く」
ただし優先順位があります。時間がないなら、遠くより高くです。
海から離れようと平地を走るより、近くの高い建物へ上がるほうが、間に合う可能性が高くなります。
どのくらいの高さが必要か
自治体が想定している津波の高さを、まず確認してください。そのうえで、想定より高い場所を選びます。
理由があります。津波は陸地を駆け上がります。これを遡上と呼び、遡上する高さは、海岸に到達した津波の高さより大きくなることがあります。地形によっては、数倍に達することもあります。
だから「想定が5メートルだから5メートルの場所へ」では足りません。想定に余裕を上乗せしてください。
津波避難ビルと避難タワー
高台が近くにない地域では、自治体が津波避難ビルを指定していることがあります。鉄筋コンクリート造で、一定の高さがある建物です。
高い建物そのものが少ない地域では、津波避難タワーが建てられていることもあります。
大事なのは、場所を事前に知っておくことです。揺れたあとに探し始めても間に合いません。ハザードマップの見方で、自宅と職場の両方について確認しておいてください。
逃げるときの原則
徒歩で逃げてください。車は渋滞します。実際に、渋滞に巻き込まれて逃げ遅れた例があります。
ただし例外はあります。高齢の方や体の不自由な方がいる場合、避難先までの距離が長い場合。その場合は、あらかじめ車での経路を決めておき、早い段階で動いてください。
そして、戻らないでください。忘れ物を取りに、家族を探しに。この「戻る」という行動が、多くの命を奪ってきました。
津波てんでんこ
三陸地方に伝わる言葉です。
「てんでんこ」とは、めいめい、各自でという意味です。津波が来たら、家族のことは気にせず、それぞれが自分の命を守るために逃げろ、という教えです。
冷たい言葉に聞こえるかもしれません。しかし、これには続きがあります。
この教えが成り立つのは、「家族も必ず逃げている」と信じられる場合だけです。だから前提として、家族全員が同じ約束をしておく必要があります。
探しに戻れば、二人とも失うことになる。それぞれが逃げてこそ、両方が助かる。そういう合理的な教えです。
だからこそ、平常時の話し合いが要ります。どこへ逃げるか、どこで再会するか。これを決めていない家庭で「てんでんこ」を実行するのは、難しいと思います。
奥尻島が示したこと|数分で来ることがあります
津波の到達時間について、はっきりした記録があります。
1993年、北海道南西沖地震
1993年7月12日22時17分、北海道南西沖でマグニチュード7.8の地震が発生しました。日本海で起きた地震としては最大級です。
震源に近い奥尻島では、最大21メートルの津波が、地震発生直後の数分間で襲来しました。
検潮所の記録では、最も早く到達したのが江差港で、地震発生から約7分後に第一波が届いています。
この地震による死者は202人、行方不明者は28人でした。
この記録から分かること
一、警報を待つ時間がない場合があります。第一報は3分を目標に発表されますが、数分で津波が来る地域では、警報とほぼ同時か、それより後になります。揺れたら逃げる。これしかありません。
二、遡上は津波の高さを超えます。奥尻島では、津波の高さが最大21メートルだったのに対し、遡上した痕跡は最大29メートルの地点まで確認されました。海岸に到達した高さより、8メートル高い場所まで水が上がったということです。
この事実が、「想定より高い場所へ」という原則の根拠になります。想定ぴったりの高さでは、足りないことがあります。
三、夜に起きます。この地震は22時17分でした。暗闇のなか、数分で判断して逃げる必要がありました。枕元にライトと靴を置く理由は、ここにあります。
時間との勝負をどう設計するか
津波避難は、距離ではなく時間で考えます。
逆算してください
やることは単純です。
一、自治体の想定で、津波が何分で到達するかを調べる。ハザードマップや自治体の資料に書かれています。
二、自宅から避難先まで、実際に歩いて何分かかるかを測る。これは地図では分かりません。歩いてください。
三、二つを比べる。到達時間より避難時間のほうが長ければ、その避難先は使えません。別の場所を探す必要があります。
この作業を、多くの方がやっていません。しかし、これをやるかどうかで生死が分かれます。
歩く速さは、想定より遅くなります
測るときは、条件を厳しめに見てください。
夜かもしれません。停電しているかもしれません。道路には割れたガラスや倒れた塀があります。お子さんや高齢の方と一緒なら、速度はさらに落ちます。
平常時に測った時間の、1.5倍から2倍かかると考えてください。
南海トラフでは、数分の地域があります
想定では、地域によって到達までの時間が大きく違います。沿岸の一部では、数分しかない場所があります。
その場合、遠くへ逃げる時間はありません。近くの高い建物へ、垂直に逃げるしかありません。だからこそ、事前に建物を決めておく必要があります。
備えの全体像は南海トラフ地震の備えで何をすべきかにまとめました。
そのとき、どこにいるか
津波は、自宅にいるときだけ来るわけではありません。場所によって、取るべき行動が変わります。
職場や学校にいるとき
組織の指示を待つことになりますが、その指示が適切とはかぎりません。
自分で、あらかじめ確認しておいてください。この建物は津波避難ビルに指定されているか。何階まで上がれば安全か。屋上に出られるか。
指定されていない木造の建物なら、とどまるという選択肢はありません。
旅行や出張で、知らない土地にいるとき
いちばん危ないのがこの状況です。地形も避難先も分かりません。
宿に着いたら、避難経路の表示を確認してください。沿岸のホテルや旅館には、たいてい掲示があります。これを見るのに30秒もかかりません。
海水浴場や釣り場では、高台がどちらの方向にあるかだけでも把握しておいてください。
車を運転しているとき
沿岸の道路を走行中に強い揺れを感じたら、車を止めて、徒歩で高い場所へ向かってください。
渋滞に巻き込まれれば、車は動けません。車の中にいることが、最も危険な状態になります。
ただし、津波避難タワーや高台まで車で数分の距離なら、そのまま向かう判断もあり得ます。これも、事前に地形を知っているかどうかで決まります。
海の近くで遊んでいるとき
海水浴、釣り、潮干狩り。この場面での判断は、いちばん遅れます。楽しんでいる最中に中断する決断は、心理的に難しいからです。
津波注意報でも、ただちに海から上がってください。0.2メートルから1メートルという予想の幅は、30センチを大きく超えています。
訓練と、事前に決めておくこと
津波避難で効くのは、道具ではなく事前の取り決めです。
家族で決める四つ
一、避難先をどこにするか。複数決めておくこと。一つが使えない場合があります。
二、そこまでの経路。川沿いを避け、狭い道や塀の多い道を避けた経路を選びます。
三、再会する場所。これが「津波てんでんこ」を成り立たせる条件です。探しに戻らないと決めるには、どこで会えるかが分かっている必要があります。
四、それぞれの持ち場での行動。子どもは学校から、親は職場から、それぞれ逃げる。迎えに行かないと決めておくことが、両方の命を守ります。
一度、歩いてみてください
地図で決めた経路を、実際に歩く。これに勝る訓練はありません。
歩くと、地図では分からないことが見えます。坂の急さ。階段の数。夜の暗さ。そして、思ったより時間がかかること。
訓練の進め方は防災訓練の種類とやり方にまとめました。11月5日を、この日にあててください。
地域の避難訓練に出る意味
形式的に見える訓練にも、価値があります。
近所にどんな人が住んでいるかが分かるからです。高齢の方がどこにいるか、手助けが要る方がいるか。これは災害が起きてから調べられません。
津波のあとに起きること
逃げ切ったあとにも、知っておくべきことがあります。
すぐには戻れません
警報が解除されるまで、数時間から半日以上かかることがあります。高台で長時間待つことになります。
だから防寒具が要ります。濡れた体は急速に冷えます。夏でも、夜になれば体温は下がります。
戻った先は、危険が残っています
浸水した建物には、ヘドロ、瓦礫、割れたガラス、そして海水に浸かった電気設備があります。
片づけの装備と手順は被災後の片付けと消毒に、感染症への注意は洪水後に感染症が増える理由にまとめました。
手続きは、写真から始まります
片づける前に、被害の記録を残してください。そのあとの順番は被災した後にやること全ガイドにまとめています。
罹災証明書の申請はこちら、保険については洪水の被害は保険で補償される?をご覧ください。ただし、地震による津波の被害は火災保険の水災補償では対象外となり、地震保険の領域になります。違いは地震保険とは?にまとめました。
よくある誤解
津波には、命に関わる誤解がいくつもあります。
「引き波が先に来る」
そうとはかぎりません。
海水が引いてから津波が来る、という話は広く知られています。しかし、いきなり押し寄せる場合もあります。地震の起こり方によって変わるからです。
「潮が引いていないから大丈夫」という判断は、成り立ちません。
「第一波が最大」
これも誤りです。
第二波、第三波のほうが大きいことがあります。そして津波は、何時間にもわたって繰り返し押し寄せます。
第一波をやり過ごしたあと、様子を見に戻る。この行動で亡くなった方が、過去に何人もいます。
警報が解除されるまで、戻らないでください。
「揺れなかったから津波は来ない」
遠い場所で起きた地震の津波は、日本で揺れを感じなくても到達します。これを遠地津波と呼びます。
2010年のチリ地震では、地球の裏側で起きた地震の津波が日本に届きました。揺れは、津波の前提条件ではありません。
逆に、ゆっくりとした弱い揺れなのに大きな津波を起こす地震もあります。津波地震と呼ばれます。揺れの強さで津波の大きさを判断しないでください。
「高い建物なら何階でもよい」
建物の構造によります。木造では、津波の力に耐えられません。鉄筋コンクリート造で、想定される高さより十分に上の階を選んでください。
「川からは離れているから安全」
津波は川をさかのぼります。海から離れていても、川沿いなら危険が及びます。しかも川の中では、周囲より速く進みます。
関連する情報を、あわせて知る
後発地震注意情報
大きな地震のあと、さらに大きな地震が起きる可能性が高まったときに出る情報です。日本海溝・千島海溝沿いで運用されています。
詳しくは後発地震注意情報とは?と北海道・三陸沖の後発地震注意情報にまとめました。
2026年4月には、三陸沖でマグニチュード7.7の地震が発生し、久慈港で80センチの津波が観測されています。経緯は三陸沖でM7.7の地震にあります。
内陸の地震でも津波警報は出ます
2026年の熊本地震では、内陸の地震にもかかわらず津波警報が発表されました。その理由と、緊急地震速報との違いは熊本地震で津波警報はなぜ出た?にまとめています。
南海トラフ地震
広い範囲に津波が予想されている地震です。地域によっては、到達までの時間が数分しかありません。備えは南海トラフ地震の備えで何をすべきかをご覧ください。
都道府県ごとのリスク
お住まいの地域で警戒すべき災害の全体像は47都道府県別の災害リスク一覧に、地震そのものの仕組みは地震の仕組みとメカニズムにまとめました。
そろえるもの|津波への備え
津波の備えは、道具より先に「高さの知識」と「経路」です。そのうえで、役に立つものを挙げます。
| もの | 選ぶ基準 | 詳しく |
|---|---|---|
| 底の厚い靴 | 枕元に置く。津波避難は走ることになります。ガラスで足を切れば、そこで終わりです | 防災用の靴の選び方 |
| ヘッドライト | 夜間の避難に。両手が空くことが条件 | ヘッドライトおすすめ10選 |
| ホイッスル | 声は続きません。軽く、小さく、確実に音が出る | 忘れがちな防災グッズ30選 |
| 持ち出し袋 | 背負って走れる重さに。詰めすぎると逃げ遅れます | 防災リュックの選び方/持ち出し袋の中身 |
| モバイルバッテリー | 避難先で数日過ごす想定。20,000mAh級 | モバイルバッテリーの選び方 |
| 防寒具 | 濡れた体は急速に冷えます。高台で長時間待つことになります | 災害時の服の備え/エマージェンシーシート |
| ライフジャケット | 沿岸で活動する方向け。桜マークと股ベルトを確認 | ライフジャケットの選び方 |
ただし、荷物のために逃げ遅れては本末転倒です。津波の場合、持ち出し袋を取りに戻ることはしないでください。備え全体の順番は防災は何から始める?にまとめました。
よくある質問
津波は何センチから危険ですか
30センチで、大人でも立っていられなくなります。膝にも届かない高さです。「腰まで来たら逃げる」という判断では間に合いません。
津波注意報でも避難が必要ですか
海から離れてください。注意報でも予想される高さの上限は1メートルです。海水浴、釣り、磯遊びは中止してください。
警報はいつ出ますか
第一報は、地震発生からおよそ3分を目標に発表されます。ただし待つ必要はありません。強い揺れや長い揺れを感じたら、すぐに逃げてください。
どこまで高く逃げればよいですか
自治体の想定より高い場所へ。津波は陸地を駆け上がるため、到達した高さより高い位置まで達することがあります。想定ぴったりでは足りません。
遠くへ逃げるのと、高く逃げるのはどちらが優先ですか
時間がないなら、高くです。平地を遠くまで走るより、近くの頑丈な高い建物へ上がるほうが間に合います。
車で逃げてもよいですか
原則は徒歩です。渋滞に巻き込まれると、車ごと流されます。ただし高齢の方がいる場合や距離が長い場合は、経路を事前に決めたうえで、早い段階で動いてください。
引き波が来ないので大丈夫ですか
いいえ。いきなり押し寄せる場合もあります。潮が引くかどうかで判断しないでください。
第一波が過ぎたら戻ってよいですか
いけません。第二波、第三波のほうが大きいことがあります。津波は何時間も繰り返します。警報が解除されるまで戻らないでください。
揺れを感じませんでした。津波は来ませんか
来ることがあります。遠い場所の地震による津波は、揺れを感じなくても到達します。また、弱い揺れなのに大きな津波を起こす津波地震もあります。
津波てんでんことは何ですか
三陸地方の教えで、各自がそれぞれ逃げよという意味です。探しに戻れば二人とも失う。それぞれが逃げてこそ両方助かる、という考え方です。ただし、家族全員が同じ約束をしていることが前提になります。
川の近くですが、海からは離れています
安全とはかぎりません。津波は川をさかのぼります。しかも川の中では、周囲より速く進みます。
11月5日は何の日ですか
津波防災の日であり、世界津波の日です。1854年のこの日に起きた安政南海地震での「稲むらの火」の逸話に由来します。2015年12月の国連総会で、142か国の共同提案により世界津波の日となりました。
津波はどのくらいの速さで来ますか
震源が近ければ、数分で到達します。1993年の北海道南西沖地震では、奥尻島に地震発生直後の数分で最大21メートルの津波が襲来し、江差港では約7分後に第一波が到達しました。
遡上とは何ですか
津波が陸地を駆け上がることです。奥尻島では、津波の高さが最大21メートルだったのに対し、遡上の痕跡は最大29メートルの地点まで確認されました。だから、想定の高さぴったりでは足りません。
避難先までの時間は、どう確かめますか
実際に歩いてください。そのうえで、夜間や停電、瓦礫を想定して、平常時の1.5倍から2倍かかると見てください。自治体が示す津波の到達時間と比べ、間に合わないなら別の避難先が必要です。
旅行先で地震が起きたら、どうすればよいですか
宿に着いた時点で、避難経路の掲示を確認しておいてください。沿岸の宿泊施設にはたいてい掲示があります。30秒で済みます。
津波の被害は火災保険で補償されますか
地震による津波の被害は、火災保険の水災補償では対象外です。地震保険の領域になります。詳しくは地震保険とは?をご覧ください。
まとめ
要点を整理します。
覚えるべき数字は30センチです。この深さで、人は流されます。10メートルという数字より、こちらのほうが行動を変えます。
注意報でも海に近づかないでください。予想の上限は1メートル。30センチの3倍以上です。
逃げるのは、遠くより高くです。そして想定より高い場所へ。津波は陸を駆け上がります。
戻らないでください。第一波が最大とはかぎらず、津波は何時間も繰り返します。
揺れの強さで判断しないでください。揺れを感じない津波も、弱い揺れで大きな津波を起こす地震もあります。
最後に、11月5日の話に戻ります。
濱口梧陵が燃やしたのは、その年に収穫した稲でした。暗闇のなかで、村人に道を示すためです。
いま私たちには、ハザードマップがあり、警報があり、避難ビルがあります。火をつけなくても、道はすでに示されています。
あとは、それを事前に見ておくかどうかだけです。11月5日を、その日にしてください。
地震の全体像
地震について、どこから手をつければよいか迷ったら地震の完全ガイドをご覧ください。阪神・淡路大震災の死因は、窒息・圧死が77.0%。そして94.3%の方が、その日のうちに亡くなっています。備えは揺れる前にしか効かないという結論と、震度とマグニチュードの違い、揺れる前・最中・あとの行動をまとめています。



コメント