地震本部とは何か【2026年版】役割・組織・全国地震動予測地図・防災への活用法を徹底解説
【この記事の要約】
地震本部とは、地震調査研究推進本部の通称です。1995年1月17日の阪神・淡路大震災を受けて同年7月に制定された地震防災対策特別措置法に基づき、政府の特別な機関として設置されました。文部科学省が事務局を担い、気象庁・国土地理院・防災科学技術研究所・大学など関係機関が連携して地震に関する調査研究を政府として一元的に推進する組織です。地震本部の主な役割は5つです。①総合的な施策の立案、②関係行政機関の地震調査研究予算の調整、③総合的な調査観測計画の策定、④関係機関のデータの収集・整理・分析・総合評価、⑤評価に基づく広報です。具体的な成果として、全国約7,000地点に上る世界最高水準の地震観測網の整備・活断層と海溝型地震の長期評価・全国地震動予測地図(J-SHIS)の作成・緊急地震速報の技術開発への貢献が挙げられます。2025年に設立30周年を迎えた地震本部は、南海トラフ巨大地震・千島海溝型地震への対策強化のため、新たな海底観測システム(N-net)の整備など次世代の地震観測・評価体制の構築を進めています。
ニュースで大きな地震が発生するたびに、地震本部という名前が登場します。
しかし地震本部がどんな組織で、何をしているのか、正確に理解している方はまだ多くありません。
地震本部が公表する長期評価・全国地震動予測地図・活断層の評価は、移住先の選定・建物の耐震化・防災計画の策定に直接役立つ重要な公的情報です。
この記事では、地震本部の設立背景・組織体制・5つの役割・具体的な成果・防災への活用方法を詳しく解説します。
【この記事の信頼性について】
本記事は地震調査研究推進本部(地震本部)の公式サイト(jishin.go.jp)・文部科学省・内閣府防災情報・防災科学技術研究所の公式データをもとに作成しています。地震評価の最新情報・活断層評価は地震本部公式サイト(jishin.go.jp)で必ずご確認ください。
地震本部が設立された背景:阪神・淡路大震災が示した課題
地震本部の設立を理解するには、1995年1月17日に発生した阪神・淡路大震災(兵庫県南部地震・M7.3・最大震度7)の経験を知ることが出発点です。
震災前の地震調査研究体制の問題点
阪神・淡路大震災以前、日本では地震に関する調査研究が気象庁・国土地理院・大学・研究機関などの各機関でバラバラに実施されていました。
各機関が独自に観測データを収集・分析していましたが、それらを政府として一元的に収集・整理・評価し、防災に役立てる体制が存在していませんでした。
さらに調査研究の成果が国民や防災担当機関に十分伝達・活用される仕組みも整っていませんでした。
震源となった野島断層(淡路島北部)は活断層として知られていましたが、当時の国の評価では危険性が十分に周知されておらず、行政の防災計画にも十分反映されていなかったのです。
6,437名の犠牲が変えた日本の地震防災体制
阪神・淡路大震災では死者・行方不明者6,437名という戦後最大規模の地震被害が発生しました。
建物の倒壊・火災・インフラの壊滅的な損壊により、神戸市・西宮市・芦屋市などの市街地が壊滅的な被害を受けました。
この震災は、地震調査研究の成果を社会に届ける体制の整備が急務であることを日本社会に突きつけました。
国会では議員立法により地震防災対策特別措置法が審議・可決され、同年7月に施行されました。
この法律に基づいて同年7月に設置されたのが、地震調査研究推進本部(地震本部)です。
地震本部とは:正式名称・位置づけ・所管
地震本部は地震調査研究推進本部の通称であり、略称として広く使われています。
正式な位置づけ
地震本部は地震防災対策特別措置法第2条に基づき設置された政府の特別な機関です。
文部科学省に設置されており、事務局は文部科学省研究開発局地震火山防災研究課が担当しています。
単なる研究機関ではなく、政府の一元的な地震調査研究推進機関という位置づけです。
気象庁・国土地理院・防災科学技術研究所・産業技術総合研究所・海洋研究開発機構・大学など多数の関係機関が地震本部のもとで連携しています。
地震本部の基本的な目標
地震本部の基本目標は、地震防災対策の強化・特に地震による被害の軽減に資する地震調査研究の推進です。
研究成果を学術論文として発表するだけでなく、国民・自治体・防災機関が防災対策に活用できる形で情報を提供することを使命としています。
学術研究と社会実装を一体的に推進するという点が、一般の研究機関とは異なる地震本部の特徴です。
地震本部の組織構造:本部・政策委員会・地震調査委員会
地震本部の組織を正確に理解するために、内部構造を整理します。
文部科学省
└ 地震調査研究推進本部(地震本部)
├ 本部長:文部科学大臣
├ 政策委員会(地震調査研究の推進に関する政策方針の審議)
└ 地震調査委員会(地震の専門的・科学的評価)
本部長と本部員
地震本部の本部長は文部科学大臣が務めます。
本部員には内閣官房長官・防災担当大臣・国土交通大臣・農林水産大臣・気象庁長官など関係省庁の大臣・長官が名を連ねています。
省庁横断の政府機関として位置づけられているため、複数の省庁が連携して地震防災行政を推進する体制が整っています。
政策委員会
政策委員会は、地震調査研究の推進に関する政策的な方針・計画の審議を行う機関です。
2026年現在、委員長は福和伸夫氏(名古屋大学名誉教授)が務めています。
地震本部が取り組む調査研究の優先順位・予算配分の方向性・社会への情報発信のあり方などを審議します。
地震調査委員会
地震調査委員会は、地震の科学的・専門的な評価を担う機関です。
2026年現在、委員長は小原一成氏(防災科学技術研究所フェロー・東京大学名誉教授)が務めています。
毎月の定例会で全国の地震活動の現状評価を行うほか、大地震発生時には臨時会を開催して緊急評価を公表します。
主要活断層帯・海溝型地震の長期評価・全国地震動予測地図の作成も地震調査委員会が主体となって実施しています。
地震本部の5つの役割
地震防災対策特別措置法・文部科学省の公式情報に基づき、地震本部の5つの役割を解説します。
役割①:総合的かつ基本的な施策の立案
地震に関する観測・測量・調査・研究の推進について、政府全体の総合的かつ基本的な施策を立案します。
個別の省庁・研究機関ではなく、政府全体の視点から地震調査研究の方向性を定める役割です。
総合基本施策に基づき、観測網の整備・評価体制の強化・国際連携などの具体的な計画が実施されます。
役割②:関係行政機関の予算等の事務の調整
気象庁・国土地理院・防災科学技術研究所など、地震調査研究に関わる複数の行政機関の予算・業務を横断的に調整します。
各機関が独立して動くのではなく、地震本部が司令塔となって重複投資を避けながら効率的に調査研究を推進する仕組みです。
阪神・淡路大震災前の各機関バラバラ体制の反省から生まれた機能です。
役割③:総合的な調査観測計画の策定
地震に関する総合的な調査観測計画を策定します。
どの地域にどんな観測機器を設置するか・どのデータをどの機関が収集・管理するかという観測体制全体の設計を担っています。
この計画のもとで、日本全国に世界最高水準の密度を誇る地震観測網が整備されてきました。
役割④:関係機関のデータの収集・整理・分析・総合的な評価
気象庁・国土地理院・大学・研究機関など関係機関の調査結果・観測データを収集・整理・分析し、政府として総合的に評価します。
個々の機関が持つデータを一元化し、より精度の高い評価を行うことができるのが地震本部の強みです。
この評価業務を実際に担っているのが地震調査委員会です。
役割⑤:評価に基づく広報
総合評価の結果を国民・自治体・防災担当機関に広く発信します。
地震本部公式サイト(jishin.go.jp)での情報公開・報道機関への情報提供・地域講演会の実施・教育機関への情報提供などが広報活動の柱です。
研究成果が社会の防災行動に直結するよう、わかりやすい情報発信に力を入れていることが特徴です。
地震本部の具体的な成果:30年間で何が変わったか
1995年の設立から2025年に30周年を迎えた地震本部は、日本の地震防災に多くの具体的な成果をもたらしました。
成果①:世界最高水準の地震観測網の整備
地震本部の推進のもと、日本全国に約7,000地点(2026年現在)の地震計が整備されています。
内訳は文部科学省(防災科学技術研究所)・気象庁・大学などが設置・管理する観測点です。
この観測密度は世界でも類を見ない高密度であり、地震の発生場所・深さ・規模を極めて精度高く決定することが可能になっています。
陸域の高密度地震観測網に加え、海底地震・津波観測網(S-net・DONET等)の整備も推進されており、海域での地震活動の監視体制も強化されています。
成果②:活断層の長期評価の実施
地震本部は設立以来、日本全国の主要活断層帯について長期評価を実施してきました。
長期評価では、活断層の位置・長さ・ずれの速度・最新活動時期・平均活動間隔・次の地震の発生確率(今後30年・50年・100年以内)を推定しています。
2026年現在、100以上の主要活断層帯について長期評価が公表されており、評価結果は地震本部公式サイトで都道府県別・断層名で検索・閲覧できます。
代表的な活断層の評価例は以下の通りです。
| 活断層帯名 | 所在地 | 評価された地震規模 | 今後30年以内の発生確率(目安) |
|---|---|---|---|
| 糸魚川-静岡構造線断層帯(北部・中部・南部) | 長野県・山梨県・静岡県 | M7.7〜8.0程度 | 14〜30%程度(区間による) |
| 中央構造線断層帯 | 三重県〜愛媛県・大分県 | M7.5〜8.0程度 | ほぼ0%〜数%程度(区間による) |
| 有馬-高槻断層帯 | 大阪府・兵庫県 | M7.5程度 | ほぼ0%〜1%程度 |
| 立川断層帯 | 東京都・埼玉県 | M7.4程度 | 0.5〜2%程度 |
| 花折断層帯 | 京都府 | M7.3〜7.4程度 | ほぼ0%〜0.09%程度 |
これらの数値はあくまでも目安です。
最新の評価値は地震本部公式サイトで確認することを推奨します。
成果③:海溝型地震の長期評価
活断層だけでなく、プレート境界で発生する海溝型地震(M8〜M9クラスの巨大地震)の長期評価も実施しています。
主要な評価対象と最新の発生確率は以下の通りです。
| 地震名 | 対象海溝 | 想定規模 | 今後30年以内の発生確率 |
|---|---|---|---|
| 南海トラフ地震 | 南海トラフ | M8〜M9クラス | 70〜80%程度 |
| 首都直下地震(M7クラス) | 相模トラフ・南関東直下 | M7クラス | 70%程度 |
| 千島海溝沿いの巨大地震 | 千島海溝 | M8.8前後またはM9.3程度 | 7〜40%程度(区間・規模シナリオによる) |
| 日本海溝沿いの巨大地震 | 日本海溝 | M9.1程度 | 数%〜40%程度(区間による) |
成果④:全国地震動予測地図の作成と毎年更新
長期評価と強震動評価の成果を統合した全国地震動予測地図を作成し、毎年更新・公開しています。
日本全国の任意の地点において、今後30年以内に震度6弱以上(または震度5弱以上等)の揺れが発生する確率を色分けした地図です。
この地図は防災科学技術研究所が運営するJ-SHIS(地震ハザードステーション・j-shis.bosai.go.jp)でWeb上から誰でも無料で閲覧できます。
成果⑤:緊急地震速報の技術開発への貢献
現在気象庁が運用する緊急地震速報は、地震本部が推進した高密度地震観測網の整備と観測データの高速処理技術の開発なくしては実現しなかった技術です。
地震のP波(縦波・先に到達する揺れの小さい波)を検知して、破壊的なS波(横波・後から到達する強い揺れ)の到達前に警報を発するこの技術は、日本が世界に誇る地震防災技術のひとつです。
2007年の本運用開始から現在まで、多くの地震での事前警報発令を通じて人命保護に貢献しています。
成果⑥:南海トラフ対策のための新たな海底観測網(N-net)
2025年に南海トラフ巨大地震対策のため、四国〜九州沖の海底に新たな観測システムN-net(Nankai Trough Seafloor Observation Network for Earthquakes and Tsunamis)が整備されました。
N-netは海底地震計・水圧計・水中マイクロフォン(ハイドロフォン)を備えた観測システムで、南海トラフの地震・津波活動をリアルタイムで監視します。
既存の海底観測システム(DONET)と合わせ、南海トラフ全域をカバーする観測体制が整いつつあります。
N-netのデータは緊急地震速報の高度化・津波警報の精度向上・スロースリップ(ゆっくり滑り)の早期検知に活用されます。
地震本部が提供する主要情報と入手方法
地震本部・地震調査委員会が公表する情報の種類と入手先を整理します。
| 情報の種類 | 内容 | 入手先・URL |
|---|---|---|
| 毎月の地震活動現状評価 | 全国の地震活動の月次評価。大地震発生時は臨時評価も公表 | jishin.go.jp(新着情報・地震評価) |
| 活断層の長期評価一覧 | 全国100以上の主要活断層帯の評価結果(位置・規模・発生確率) | jishin.go.jp(評価結果→活断層の長期評価) |
| 海溝型地震の長期評価 | 南海トラフ・千島海溝・相模トラフ等の評価結果 | jishin.go.jp(評価結果→海溝型地震の長期評価) |
| 全国地震動予測地図(最新版) | 地点別の30年以内の地震動確率・シナリオ地震マップ | j-shis.bosai.go.jp(J-SHIS) |
| 強震動評価 | 特定の地震が発生した際の揺れの強さの予測 | jishin.go.jp(評価結果→強震動評価) |
| 広報資料・パンフレット | 一般向けのわかりやすい地震リスク解説資料 | jishin.go.jp(資料・広報→パンフレット等) |
これらすべての情報は無料で公開されており、個人・自治体・企業・教育機関が自由に活用できます。
地震本部の情報を防災に活用する5つの方法
地震本部が発信する情報を日常の防災行動に結びつける具体的な方法を解説します。
活用法①:J-SHISで居住地・移住検討先の地震リスクを確認する
J-SHIS(j-shis.bosai.go.jp)を開き、住所を入力するだけで居住地の今後30年以内の地震リスク(震度6弱以上の発生確率)を確認できます。
同サイトでは近傍の活断層の位置・名称・評価結果も地図上で確認でき、地域の地震リスクを視覚的に把握することができます。
今後の移住先選定・賃貸物件・土地購入の際にJ-SHISを確認する習慣をつけることを推奨します。
活用法②:毎月の地震活動評価を定期的に確認する
地震本部は毎月上旬に定例会の評価結果を公表しています。
居住地や頻繁に訪問する地域の地震活動に変化がないかを毎月確認することは、地震への備えを継続するための有効な習慣です。
特に群発地震が続いている地域・スロースリップが観測されている地域は注意が必要です。
活用法③:南海トラフ・首都直下・千島海溝の最新評価を定期的に把握する
南海トラフ巨大地震・首都直下地震・千島海溝型巨大地震の長期評価は数年に一度更新されます。
更新情報を地震本部公式サイトで定期的に確認し、評価に変化があった場合は家族・職場・地域で情報を共有することを推奨します。
特に自主防災組織のリーダー・防災士・防災担当行政職員は最新評価を常に把握しておくことが求められます。
活用法④:建物の耐震化の優先度を判断する根拠にする
居住地の全国地震動予測地図・近傍活断層の評価結果は、建物の耐震診断・耐震改修の優先度判断に活用できます。
今後30年以内に震度6弱以上の発生確率が高い地域に居住している場合は、1981年以前の旧耐震基準で建てられた建物の耐震診断を早急に行うことが推奨されます。
多くの市区町村で耐震診断・耐震改修への補助金制度が設けられており、地震本部の評価を踏まえた耐震化への動機づけとして活用できます。
活用法⑤:地域防災計画・ハザードマップ策定の根拠にする
自主防災組織・市区町村の防災担当者・防災士は、地震本部の長期評価・強震動評価を地域防災計画・ハザードマップ・避難計画策定の科学的根拠として活用できます。
地震本部の広報資料・パンフレットは地域の防災勉強会・防災訓練の教材としても利用可能です。
地震本部への問い合わせ・地域講演会の開催依頼は文部科学省研究開発局地震火山防災研究課を通じて行うことができます。
地震本部の情報を読む上で知っておくべき注意点
地震本部が公表する情報は日本最高水準の科学的根拠に基づいていますが、その限界を正確に理解しておくことも重要です。
確率論的評価の本質的な限界
長期評価で示される発生確率は、過去の地震発生記録・活断層調査データ・地殻変動データから統計的に算出した推定値です。
確率が低い地域でも大地震が発生することがあります。
2024年1月の能登半島地震(M7.6)は、全国地震動予測地図で能登地方が比較的低確率と評価されていた地域で発生しました。
地震本部自身もこの限界を認識しており、予測地図はあくまでも相対的なリスクの参考情報であり、低確率地域でも地震への備えを怠らないことを強調しています。
活断層の未調査・未発見問題
日本国内には約2,000本以上の活断層が確認されていますが、詳細な長期評価が完了しているのはその一部です。
地下に埋もれた伏在断層・これまでの調査で見落とされた活断層が未評価のまま残っています。
能登半島地震でも、震源断層となった断層群の事前調査が不十分だったことが震災後の調査で明らかになっています。
評価済みの活断層のみに注目するのではなく、どの地域でも地震への基本的な備えを継続することが重要です。
揺れの予測値と実際の地震動の差異
強震動評価で予測される揺れの強さと実際の地震動の間には差異が生じる場合があります。
局所的な地盤の軟らかさ・液状化しやすい地盤・盆地形状などが揺れを増幅させるため、同じ地域でも建物の立地する地盤の質によって体験する揺れは大きく異なります。
地震動予測地図は地域全体の平均的なリスク評価であり、個別の敷地の地盤リスクは別途専門機関による地盤調査(スウェーデン式サウンディング試験・ボーリング調査等)で評価することを推奨します。
地震本部の30周年と今後の展望
2025年、地震本部は設立30周年を迎えました。
30周年特別シンポジウム(2025年10月開催)では、これまでの成果の振り返りと南海トラフ巨大地震に備えた今後の課題が議論されました。
今後の主要な取り組みとして、以下のことが掲げられています。
- 南海トラフ対策のためのN-net(新たな海底観測システム)データの活用高度化
- 光ファイバーセンシング技術による超高密度海底地震観測の実用化
- 測地データ(GPS・GNSS)を活用した活断層の長期評価精度向上
- スロースリップ(ゆっくり滑り)の観測・研究強化による南海トラフの地震活動のより詳細な把握
- AIを活用した地震動の自動評価技術の高度化
- 評価結果の一層わかりやすい社会発信・教育普及
地球温暖化が地震活動に与える影響・能登半島地震で明らかになった複雑な断層活動への対応という新たな科学的課題にも取り組んでいます。
よくある疑問:Q&A
Q. 地震本部と気象庁は何が違いますか?
気象庁は気象・地震・火山の観測・情報発信を担う国土交通省の行政機関であり、緊急地震速報・地震速報・津波警報のリアルタイム情報発信が主な役割です。
一方、地震本部(文部科学省所管)は地震調査研究の一元的推進・長期評価・全国地震動予測地図という中長期的な地震リスク評価を担っています。
両者は相互補完的な役割を果たしており、気象庁の観測データは地震本部の評価にも活用されています。
Q. 地震本部は地震を予知できますか?
現時点の科学では、地震の直前予知(特定の日時・場所・規模を数日前に予告すること)は不可能です。
地震本部が提供するのは確率論的な長期評価であり、特定の地震の発生日時を事前に予告する予知とは性質が異なります。
地震予知に関する不確実な情報やデマに惑わされないためにも、地震本部の公式情報を正確に理解することが重要です。
Q. 地震本部の情報は無料で利用できますか?
地震本部公式サイト(jishin.go.jp)・J-SHIS(j-shis.bosai.go.jp)で公開されているすべての情報は無料で利用できます。
パンフレット・広報資料のPDFダウンロード・J-SHISのGISデータのダウンロードも無料です。
自治体・学校・企業・自主防災組織が防災教育・地域防災計画に活用することが推奨されています。
Q. 能登半島地震の後、地震本部の評価は変わりましたか?
2024年1月の能登半島地震(M7.6)を受け、地震調査委員会は臨時会を開催し、震源断層の評価・余震の見通しを公表しました。
能登地方の地震活動は2020年頃からの群発地震が続いており、地震本部は能登地方の地震活動に関する評価を随時更新してきました。
能登半島地震の震源断層の詳細な評価は現在も続けられており、今後の能登地方・北陸地方の長期評価の見直しにつながることが期待されています。
まとめ:地震本部の情報を防災の起点にする
地震本部(地震調査研究推進本部)は、阪神・淡路大震災の教訓から生まれた政府の専門機関です。
1995年の設立から30年間にわたり、世界最高水準の地震観測網の整備・活断層と海溝型地震の長期評価・全国地震動予測地図の作成・緊急地震速報の技術開発貢献という多くの具体的な成果をもたらしてきました。
地震本部の情報を防災に役立てるために今すぐ実践してほしいことを3つ挙げます。
- J-SHIS(j-shis.bosai.go.jp)で居住地・移住検討先の今後30年以内の地震リスクを確認する
- 地震本部公式サイト(jishin.go.jp)をブックマークし、毎月の地震活動評価・重要な長期評価の更新情報を定期的に確認する習慣をつける
- 地震リスクの高い地域に居住している場合は、建物の耐震診断・耐震改修・備蓄の充実を優先的に進める
地震はいつ・どこで発生するか、確実に予測することはできません。
地震本部の科学的な評価情報を正しく理解した上で、日常的な備えを継続することが、地震大国・日本で命を守る最も重要な防災行動です。


