【この記事の要約】
渇水の節水と、断水への備えはまったく違う作業です。断水は「出ない」ことへの備え。渇水は「出るけれど減らせと言われる」状況への対応です。だから必要な道具も、やることも変わります。この記事では、減らす順番をはっきりさせます。結論から書くと、減らすのは洗う水と流す水だけです。飲む水は、節約の対象にしません。渇水は夏に起きやすく、熱中症の季節と重なるからです。そのうえで、トイレ・風呂・洗濯・炊事の順に、具体的な減らし方を書きました。やってはいけない節水も載せています。よかれと思ってやると、設備を壊したり、体調を崩したりするものがあります。
渇水のニュースが出ると、「節水しましょう」と言われます。
しかし、何から減らせばいいのかまでは、あまり説明されません。
私は防災士として、災害時の水について書いてきました。そして気づいたことがあります。
節水の情報は、たいてい「水道代を安くする」という文脈で書かれています。
渇水の節水は、目的が違います。限られた水を、いちばん大事なところへ回すための配分の話です。
だから、順番が要ります。手当たり次第に減らすと、減らしてはいけないところまで減らしてしまいます。
結論|減らすのは、洗う水と流す水だけです
先に答えを書きます。
| 扱い | |
|---|---|
| 飲む水 | 減らさない |
| 料理に使う水 | 工夫で減らす |
| 洗う水 | 減らす |
| 流す水 | 置き換える |
この4行が、この記事の全部です。
なぜ飲む水を減らしてはいけないのか
ここを最初に書いておきます。
渇水は、夏に起きやすい災害です。雨が降らない年は、晴れて気温が上がる年だからです。
つまり渇水と猛暑は、同時に来ます。
この状況で水分を控えると、脱水や熱中症につながります。節水のつもりが、健康を削ることになります。
そして、実際の量を考えてみてください。
1人が1日に飲む水は、せいぜい1.5リットル程度です。家庭で使う水全体から見れば、ごくわずかです。
ここを削っても、効果はほとんどありません。にもかかわらず、失うものが大きい。割に合わない節約です。
効果が大きいのは、どこか
東京都水道局の「令和3年度 一般家庭水使用目的別実態調査」では、家庭で使う水の内訳は風呂がおよそ4割で最も多く、次いでトイレが約2割と報告されています。洗濯と炊事が、それぞれ1割台で続きます。
つまり風呂とトイレで、家庭の水の6割前後を占めます。
ここに手をつけないかぎり、節水は進みません。逆に言えば、この二つだけで大きく変わります。
渇水の節水と、断水の備えは違います
ここを整理しておきます。混同すると、要らないものを買うことになります。
| 断水(地震など) | 渇水の節水 | |
|---|---|---|
| 水は | 出ない | 出る(量や時間が限られる) |
| 下水は | 壊れている可能性 | 使える |
| トイレ | 携帯トイレ | 浴槽の水で流す |
| 必要なもの | 備蓄した水 | 汲み置きの容器 |
| 買い物 | 店も被災 | 店は普通に開いている |
| 期間 | 数日〜数週間 | 数週間〜数か月 |
いちばん大きな違いは、トイレです
地震のあとは、排水管が壊れている可能性があります。だから流してはいけません。携帯トイレを使います。
渇水では、そこは無事です。下水道は普通に機能しています。
つまり水さえあれば、流して構いません。
これは大きな救いです。渇水のために携帯トイレを大量に買う必要はありません。浴槽に水を溜めておけば済みます。
地震の断水に備える方法は断水したらどうする?発生直後から復旧までの行動にまとめました。渇水とは別の準備が要ります。
もう一つの違いは、時間の長さです
断水は、数日から数週間で復旧します。「耐える」ことで乗り切れます。
渇水は、数週間から数か月続きます。耐えるのではなく、生活のやり方を変える必要があります。
だから、無理のない方法を選んでください。3日で嫌になる方法は、渇水には向きません。
トイレ|置き換えができる、唯一の場所
量では風呂が上ですが、最初に手をつけるべきはトイレです。
理由は、丸ごと置き換えられるからです
風呂は、減らせてもゼロにはできません。体は洗う必要があります。
トイレは違います。浴槽に張った水で、水道の水を使わずに流せます。
量が2番目でも、削減できる割合がいちばん大きい。ここから始めるのが効率的です。
やり方は、バケツで流すだけです
難しいことはありません。
バケツに浴槽の水を汲む。便器に一気に流し込む。それだけです。
ポイントは「一気に」です。ちょろちょろ入れても流れません。勢いが必要です。
目安として、6リットルから8リットル程度を一度に入れます。ふつうのバケツ1杯分です。
ただし、注意があります
タンクにペットボトルを入れる方法は、おすすめしません。
昔からよく紹介される方法です。しかし、メーカーが想定していない使い方です。
流す水が足りず、詰まりの原因になることがあります。ボトルが動いて、内部の部品を傷めることもあります。
詰まりを直す作業には、大量の水が要ります。節水のつもりが、逆になります。
バケツで流すほうが、確実で安全です。
「小」で流す習慣をつける
これは今日からできます。
「大」と「小」では、使う水の量が違います。用を足した内容に合わせて使い分けるだけで、変わります。
そしてティッシュを流さない。詰まりの原因になり、結果的に大量の水が必要になります。
風呂|いちばん量が多い場所です
家庭の水の約4割を占めます。ここを減らせば、効果は最大です。
まず、湯を溜めるか、シャワーだけにするか
これは一概には言えません。家族の人数で逆転します。
| 状況 | 有利なほう |
|---|---|
| 一人暮らし | シャワーのみ |
| 2人 | 使い方しだい |
| 3人以上 | 湯を溜めて共有 |
浴槽に湯を溜めると、200リットル前後になります。一人で使うなら、シャワーのほうが少なく済みます。
しかし家族3人が長めにシャワーを浴びれば、溜めたほうが少なくなります。
渇水では、溜めるほうを選ぶ理由があります
ここが渇水ならではの考え方です。
浴槽の湯は、そのあとトイレを流す水になります。
シャワーだけにすると、この水が手に入りません。結果として、トイレを流すために別に水を汲むことになります。
つまり浴槽の湯は、二度使えます。捨てずに残しておいてください。
ただし、小さなお子さんがいる家庭では浴槽に水を張ったままにすると事故の危険があります。必ず蓋をして、風呂場の扉に鍵をかけてください。
シャワーで減らす方法
三つあります。
一、こまめに止める。体を洗っている間、髪に泡をつけている間は止めます。これだけで大きく変わります。
二、節水シャワーヘッドに替える。一度替えれば、意識しなくても減ります。
三、浴びる時間を決める。「5分」と決めるだけで、行動が変わります。
とくに一つ目が効きます。出しっぱなしの時間が、そのまま使用量です。
手元でお湯を止められる節水シャワーヘッドなら、止める動作が楽になります。面倒だと、人は止めません。
洗髪の頻度を落とす
渇水が長引いたら、これも選択肢です。
ドライシャンプーを使えば、洗わない日を作れます。
災害時によく使われる道具ですが、渇水でも同じように使えます。スプレー式やシート式があります。
ただし、毎日これで済ませ続けるのは現実的ではありません。「週に何日か減らす」くらいの使い方が続きます。
洗濯|まとめ洗いが基本です
3番目に水を使う場所です。
回数を減らすのが、いちばん効きます
洗濯機は、洗濯物の量が半分でも、水はあまり減りません。
つまり2回に分けて洗うと、ほぼ2倍の水を使います。
だから、まとめて洗う。これだけで、洗濯の水は半分近くになります。
すすぎの回数を見直す
最近の洗剤には、すすぎ1回で済むものがあります。
すすぎを1回減らせば、そのぶんの水がまるごと浮きます。効果は大きい。
ただし、洗剤の指示に従ってください。すすぎ2回が前提の洗剤で1回にすると、洗剤が残ります。
肌が弱い方、乳児の衣類を洗う場合は、すすぎを減らさないでください。
お風呂の残り湯を使う
洗いの工程には、残り湯が使えます。
ただし、すすぎには使わないでください。汚れが戻ります。
「洗いは残り湯、すすぎは水道水」。これが基本の使い分けです。
残り湯を使うポンプが付いている洗濯機なら、そのまま使えます。
炊事|工夫の余地がいちばん大きい場所
量は多くありませんが、減らせる割合が大きいのがここです。
無洗米に替える
これが最も簡単で、効果が確実です。
米を研ぐ水が、まるごと不要になります。1回あたり数リットルです。
そして手間も減ります。普段の食事は何も変わりません。
渇水が始まってから買うのではなく、普段から無洗米にしておくのが理想です。備蓄ではなく置き換えなので、負担がありません。
普段の米を無洗米にしておけば、渇水のときに何もしなくて済みます。
皿にラップを敷く
食べ終わったらラップだけ捨てます。皿を洗う水が要りません。
紙皿を使う方法もあります。ごみは増えますが、渇水では店が開いているので補充できます。
どちらを選ぶかは、ごみの出し方しだいです。
ポリ袋で調理する
耐熱のポリ袋に食材を入れ、鍋の湯で加熱する方法です。
鍋が汚れないので、洗う水が要りません。そして同じ湯で、何度も調理できます。
詳しいやり方は災害時の料理はレシピより「何が止まったか」にまとめました。
ただし耐熱温度の表示があるポリ袋を使ってください。普通のポリ袋を加熱に使うのは危険です。
ゆで汁を捨てない
麺をゆでた湯、野菜をゆでた湯。そのまま捨てると、もったいない。
次の調理に使う。あるいは冷ましてから、食器の予洗いに使う。
ただし、油や塩分が多いものはそのまま流すと排水管によくありません。使い道を選んでください。
野菜は、まとめて洗う
流しっぱなしで一つずつ洗うと、水が出続けます。
ボウルに水を溜めて、まとめて洗う。それだけで大きく減ります。
そしてその水は、捨てずに植木や掃除に回せます。
洗面・手洗い|量は少ないが、回数が多い
ここは、習慣の問題です。
出しっぱなしをやめる
歯みがきのときに流し続ける。これがいちばんの無駄です。
コップに汲んでください。それだけで、1回あたり数リットルが浮きます。
手洗いも同じです。石けんをつけている間は、止める。
ただし、手洗いそのものは減らさないでください
ここは注意が必要です。
回数を減らすのではなく、1回あたりの量を減らしてください。
衛生を落とすと、体調を崩します。渇水が長引くほど、この差が効いてきます。
水を節約したいなら、ウェットティッシュやアルコールの手指消毒を併用するほうが安全です。
汲み置きの技術|時間給水になったときの本番
減圧給水や時間給水まで進むと、「出るときに溜める」生活になります。
何に、どれだけ溜めるか
| 容器 | 用途 | 目安 |
|---|---|---|
| 浴槽 | トイレ・掃除 | 満水時で約200リットル |
| ポリタンク・給水袋 | 炊事・洗面 | 10リットル以下が扱いやすい |
| ふた付きバケツ | 予洗い・掃除 | 数個あると回る |
| ペットボトル | 飲用の小分け | 冷蔵庫に入る本数 |
容器は、大きすぎないほうがいいです
20リットルのポリタンクは、満水にすると20キロになります。
これは持てません。とくに階段のある家や、高齢の方には無理です。
10リットル以下を複数用意するほうが、実際には回ります。
容器の選び方は給水車・給水所の使い方|容器は10リットル以下、水は3日で使い切るにまとめました。
汲んだ水は、3日で使い切る
これは守ってください。
水道水には消毒の効果が残っていますが、時間とともに薄れます。
汲み置きした水を飲用にするなら、3日を目安にしてください。それを過ぎたら、掃除や植木に回します。
そしてふたをして、直射日光の当たらない場所に置いてください。
飲用と生活用は、必ず分ける
ここを混ぜると危険です。
浴槽の水は、飲めません。いくらきれいに見えても、飲用には使わないでください。
容器に「飲用」「トイレ用」とテープで書いておく。家族が間違えなくなります。
やってはいけない節水
よかれと思ってやると、逆効果になるものがあります。
飲む量を減らす
繰り返します。これがいちばんいけません。
渇水は夏に起きやすく、熱中症の季節と重なります。水分を控えれば、脱水につながります。
そして節水としての効果は、ほとんどありません。失うものだけが大きい。
トイレのタンクにペットボトルを入れる
前に書いたとおりです。詰まりや故障の原因になります。
直すために、かえって大量の水と費用がかかります。
手洗いの回数を減らす
衛生が落ちると、体調を崩します。
減らすのは回数ではなく、1回あたりの量です。
洗濯物を溜めすぎる
まとめ洗いは有効です。ただし、限度があります。
洗濯機に詰め込みすぎると、汚れが落ちません。結果として、洗い直すことになります。
そして夏場は、溜めた洗濯物からにおいや雑菌が出ます。
「1回分が溜まったら洗う」。それ以上は溜めないでください。
食器を洗わずに使い回す
これは食中毒の危険があります。とくに夏場は避けてください。
洗わずに済ませたいなら、ラップか紙皿を使ってください。そのための道具です。
雨水を、確認せずに使う
雨水は、掃除や植木には使えます。
飲用や、体を洗う用途には向きません。屋根やといの汚れが混ざります。
家族の状況で、優先が変わります
小さなお子さんがいる家庭
ミルクを作る水は、減らせません。
そしておむつ替えのあとの手洗いも、減らせません。ここは衛生に直結します。
減らすなら、大人の風呂とトイレからです。
そして浴槽に水を張ったままにする場合は、必ず蓋をして、扉に鍵をかけてください。溺水事故は、浅い水でも起きます。
高齢のご家族がいる家庭
いちばん心配なのは、水分を控えてしまうことです。
「もったいないから」と飲む量を減らす方がいます。これは止めてください。
そして、バケツで水を運ぶ作業は負担が大きい。重い容器は使わせないでください。
持病がある方
人工透析を受けている方にとって、水は治療そのものに関わります。
水分摂取量に指示がある方もいます。
こうした個別の判断は、必ず主治医にご相談ください。この記事は一般的な節水の話であって、療養の指示ではありません。
ペットがいる家庭
ペットの飲み水も、減らせません。
減らせるのは、ケージの洗浄や、シャンプーの頻度です。
マンションでは、事情が変わります
高い階ほど、先に出が悪くなります
水圧が下がると、上まで押し上げる力が足りなくなります。
同じ建物でも、1階は普通で最上階は細い。そういう差が出ます。
だから高層階の方は、出ているうちに汲み置きをする必要が、戸建てより高くなります。
受水槽の点検日に注意
マンションによっては、受水槽の清掃日に一時的に水が止まります。
渇水中にこれが重なると、影響が大きくなります。
管理会社からの掲示を、いつもより注意して見てください。
マンションの水まわりの弱点はマンションの断水は停電で起きるにまとめました。
その前に、水漏れを確かめてください
節水を始める前に、これを一度やってください。努力より先に、穴を塞ぐ話です。
調べ方は簡単です
家じゅうの蛇口を閉め、洗濯機も食洗機も止めます。そのうえで、水道メーターを見てください。
メーターの中に、パイロットと呼ばれる小さな部品があります。水が流れていると、これが回ります。
全部止めているのに回っていたら、どこかで漏れています。
多いのは、トイレとパッキンです
トイレのタンクから便器へ、少しずつ流れ続けている。これがいちばん多い原因です。
音がしないこともあるので、気づきません。そして1日中続きます。
蛇口からのぽたぽたも同じです。1滴は小さくても、1日分では相当な量になります。
直せば、我慢が要らなくなります
パッキンの交換なら、部品代は数百円です。タンク内の部品も、自分で替えられるものがあります。
難しければ、水道業者に頼んでください。
漏れを止めるのは、我慢しない節水です。シャワーを1分短くするより、確実で、続きます。
自分の家が、どれだけ使っているかを知る
節水を始める前に、これをやってください。現在地が分からないと、減ったかどうかも分かりません。
検針票を見てください
2か月ごとに届く水道の検針票に、使用量が書かれています。単位は立方メートル(m³)です。
1立方メートルは、1,000リットルです。2リットルのペットボトル500本分と考えてください。
平均と比べてみる
東京都水道局が公表している「令和3年度 一般家庭水使用目的別実態調査」では、1か月あたりの平均使用水量が世帯人数別に示されています。
| 世帯人数 | 1か月の平均使用水量 |
|---|---|
| 1人 | 8.1立方メートル |
| 2人 | 14.9立方メートル |
| 3人 | 19.9立方メートル |
| 4人 | 23.1立方メートル |
| 5人 | 27.8立方メートル |
| 6人以上 | 34.1立方メートル |
この表の見方で、大事な点が一つあります。
人数が増えても、比例して増えません
よく見てください。1人で8.1、2人で14.9です。2倍の16.2にはなっていません。
3人では19.9。1人あたりに直すと、6.6立方メートルまで下がります。
これは、風呂の湯を共有できるからです。そして洗濯もまとめられます。
だから渇水では、家族で使い方をそろえるほど有利になります。
一人ずつ好きな時間に風呂に入り、洗濯も別々に回す。これがいちばん水を使う形です。
一人暮らしの方は、別の考え方をしてください
共有できる相手がいません。だから浴槽に湯を溜める利点が小さくなります。
一人暮らしなら、シャワーだけにするほうが確実に減ります。
ただし、トイレを流す水が必要です。そこはバケツや給水袋で別に確保してください。
どのくらい減らせるのか
ここは正直に書きます。「何%減ります」と言い切れる数字は、私は持っていません。
家庭ごとに、元の使い方が違いすぎるからです。
それでも、考え方は示せます
家庭の水の内訳は、風呂が約4割、トイレが約2割でした。
つまりこの二つで6割前後です。
トイレを浴槽の水で完全に置き換えれば、水道から使う量の2割前後が減る計算になります。
そこに風呂の使い方を見直せば、さらに減ります。
逆に言えば、洗面や手洗いだけをどれだけ我慢しても、大きくは変わりません。
だから、順番が大事なのです
効果の小さいところから始めると、努力の割に減りません。
そして「頑張っているのに減らない」と感じて、やめてしまいます。
効果の大きいところから手をつける。これが続けるコツでもあります。
職場や学校でも、できることがあります
渇水は地域全体の問題です。家だけの話ではありません。
職場でできること
給湯室で、流しっぱなしにしない。これがいちばん基本です。
そしてマイボトルを使う。コップを毎回洗う水が減ります。
トイレは、施設の設備によるので個人ではどうにもなりません。「小」で流す使い分けだけは、意識できます。
子どもに伝えるとき
ここは、伝え方に気をつけてください。
「水を使うな」と言うと、手を洗わなくなります。
そうではなく、「出しっぱなしにしない」と伝えてください。
歯みがきのときはコップに汲む。手を洗うときは、石けんをつけている間だけ止める。
やることを具体的に一つ決めるほうが、子どもには伝わります。
地域全体で減らすと、段階が進みにくくなります
これは知っておいてよい話です。
取水制限が次の段階に進むかどうかは、ダムの水がどれだけ残っているかで決まります。
地域全体の使用量が減れば、水の減り方がゆるやかになります。
その間に雨が降れば、制限は解除されます。つまり節水は、時間を稼ぐ行為です。
一軒の努力は小さい。しかし、全員が少しずつ減らせば、段階が一つ上がるのを遅らせられます。
節水を、続けられる形にする
渇水は数か月続きます。だから、続かない方法は意味がありません。
「頑張る節水」は、続きません
シャワーを毎回3分で切り上げる。手洗いを我慢する。こういう方法は、2週間ももちません。
そして途中でやめると、「自分は続かない人間だ」という気持ちだけが残ります。
続くのは、道具で解決したものです
| やり方 | 続くか |
|---|---|
| シャワーをこまめに止める | 意識が要る |
| 節水シャワーヘッドに替える | 替えたら意識不要 |
| 米を研ぐ水を減らす | 限界がある |
| 無洗米に替える | 何もしなくていい |
| 皿を少ない水で洗う | 手間が増える |
| ラップを敷く | 洗う工程が消える |
一度替えれば、あとは何も考えなくていい。これが続く節水です。
意志の力に頼る方法は、最後に足してください。
家族で、担当を分ける
一人だけが頑張ると、その人が疲れます。
浴槽の水を汲むのは誰か。トイレを流すバケツを補充するのは誰か。
決めておくだけで、回り方が変わります。
渇水が終わったあとに、やること
汲み置きの水を処分する
長く置いた水は飲用に向きません。掃除や植木に使って、入れ替えてください。
道具は、しまい込まない
渇水は、同じ水系で繰り返し起きます。
ポリタンクも給水袋も、取り出しやすい場所に置いてください。
そして無洗米と節水シャワーヘッドは、そのまま使い続けてください。戻す理由がありません。
水道料金を見比べる
節水の効果は、検針票に出ます。
前年の同じ月と比べてみてください。どのくらい減ったかが分かります。
数字で見えると、次の渇水のときに何をすればいいかが分かります。
よくある質問
Q. 節水は、どのくらいの効果がありますか
家庭により差が大きいので、一律には言えません。
ただし風呂とトイレで家庭の水の6割前後を占めます。ここに手をつければ、体感できる差が出ます。
Q. 飲む水も少しは減らすべきですか
いいえ。減らさないでください。
渇水は夏に起きやすく、熱中症の季節と重なります。そして飲用の量は、家庭全体から見ればごくわずかです。
減らす効果が小さく、危険が大きい。割に合いません。
Q. 浴槽の残り湯は、何日使えますか
トイレを流す用途なら、数日は使えます。
ただし夏場は、においや雑菌が出ます。気になったら入れ替えてください。
洗濯の「洗い」に使うなら、翌日までにしてください。
Q. 洗濯のすすぎは1回でいいですか
すすぎ1回対応の洗剤なら、可能です。
ただし肌が弱い方や、乳児の衣類は減らさないでください。洗剤が残ります。
Q. トイレのタンクにペットボトルを入れてもいいですか
おすすめしません。メーカーが想定していない使い方です。
流す水が足りずに詰まったり、内部の部品を傷めたりすることがあります。
バケツで流すほうが確実です。
Q. 雨水を溜めて使えますか
掃除や植木には使えます。
飲用や、体を洗う用途には向きません。屋根やといの汚れが混ざるからです。
Q. 井戸があります。使えますか
生活用水としてなら使えます。
飲用にするかどうかは、水質検査の結果によります。見た目や匂いでは判断できません。
Q. 食洗機と手洗い、どちらが節水になりますか
一般に、食洗機のほうが少ない水で済みます。
ただし、まとめて一度に回した場合です。少量で何度も回すと、利点がなくなります。
Q. 節水のために、風呂に入らないほうがいいですか
入らないのではなく、回数と量を調整してください。
体を清潔に保てないと、皮膚のトラブルや体調不良につながります。とくに夏場は避けてください。
Q. マンションと戸建てで、やることは違いますか
基本は同じです。
ただしマンションの高層階は、水圧が下がると先に出が悪くなります。汲み置きの優先度が上がります。
Q. いつから節水を始めればいいですか
取水制限のニュースが出た時点では、まだ急ぎません。
ただし、そこから貯水率を見始めてください。水道用水の削減率が動いたら、そのときに本格化させます。
判断の基準は渇水とは?取水制限と給水制限の違いにまとめました。
Q. この記事の情報はいつ時点のものですか
2026年8月時点で公表されていた情報をもとに書いています。
お住まいの地域の状況は、自治体・水道局の発表をご確認ください。
まとめ
渇水の節水で、覚えることは一つです。
減らすのは、洗う水と流す水だけ。飲む水は、減らしません。
渇水は夏に起きやすく、熱中症の季節と重なります。水分を控えれば、健康を削ることになります。
そして飲用の量は、家庭で使う水のごく一部です。減らしても効果がありません。
効果が大きいのは、風呂とトイレです。この二つで、家庭の水の6割前後を占めます。
最初に手をつけるのはトイレです。量は風呂が上ですが、トイレだけは浴槽の水で丸ごと置き換えられます。
そして続く節水は、道具で解決したものだけです。
無洗米に替える。節水シャワーヘッドに替える。皿にラップを敷く。一度やれば、あとは何も考えなくて済みます。
我慢に頼る方法は、数か月は続きません。
今日できることを、ひとつだけ書きます。
次に米を買うとき、無洗米にしてください。
値段はほとんど変わりません。味も変わりません。それでいて、渇水になったとき研ぎ水がまるごと不要になります。
備えるのではなく、置き換える。これがいちばん負担の少ない防災です。
断水そのものへの備えは断水対策おすすめ完全ガイドにまとめました。


