過去の震災は何が人の命を奪ったか|関東大震災は火災87%、阪神・淡路は圧死77%、東日本は溺死90.6%。死因で比べる備えの決め方

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【この記事の要約】
結論から言います。震災ごとに、人は違う理由で亡くなっています。関東大震災は火事で、死者105,385人のうち91,781人が火災による死でした。阪神・淡路大震災は建物の倒壊で、窒息・圧死が77.0%。東日本大震災は津波で、溺死が90.6%。熊本地震では直接死50人に対し災害関連死が218人と、亡くなった方の約8割が地震そのものではない理由でした。北海道胆振東部地震は土砂崩れと、日本初の全道停電です。つまり「地震対策」とひとくくりにはできません。あなたが備えるべきものは、住んでいる場所で決まります。この記事は、その決め方をまとめたものです。

目次

結論|同じ地震でも、命の奪われ方が違います

防災の情報は、たいてい「地震への備え」としてひとまとめに語られます。けれど、過去の震災を並べると、それがいかに大ざっぱかが分かります。

五つの震災を、死因で並べます

震災 主な死因 そこから決まる備え
関東大震災
1923年9月1日
火災
105,385人中91,781人(約87%)
出火を防ぐ。燃え広がる街から逃げる
阪神・淡路大震災
1995年1月17日
窒息・圧死
4,224人(77.0%)
耐震補強と家具固定。逃げる時間はない
東日本大震災
2011年3月11日
溺死
90.6%
速く、高く逃げる。物では守れない
熊本地震
2016年4月
災害関連死
直接死50人/関連死218人
避難生活の質。車中泊、水分、睡眠
北海道胆振東部地震
2018年9月6日
土砂崩れと、日本初の全道停電
死者43人/最大約295万戸が停電
斜面から離れる。停電への備え
能登半島地震
2024年1月1日
倒壊と、孤立
直接死228人/関連死470人
在宅避難の備蓄日数を長く取る

すべてが「大地震」です。それでも、命を奪ったものは違います。

だから、備えの優先順位が変わります

海沿いの平地に住む方にとって、いちばん大事なのは速く高いところへ逃げることです。家具を固定しても、津波は防げません。

内陸の古い木造住宅に住む方にとっては、逆です。建物が保たなければ、逃げる時間そのものがありません。

山あいの集落なら、斜面と、道路が塞がれたときの孤立が問題になります。

同じ「地震の備え」という言葉で、まったく違うことをすべきなのです。

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関東大震災|死者の約87%は、火事でした

1923年9月1日11時58分。マグニチュード7.9。

地震で亡くなったのではありません

死者・行方不明者は105,385人。そのうち火災による死者が91,781人です。

割合にして、およそ87%。つまり、揺れそのものではなく、そのあとの火事が人を殺した震災でした。

東京だけで火災による死者は6万6千人を超え、神奈川県でも約2万5千人にのぼっています。

なぜ、それほど燃えたのか

発生は、昼の食事の支度をしている時間帯でした。各家庭で火が使われていた時刻です。

木造の家が密集し、水道も断たれ、消防は機能しませんでした。火は、消せないまま広がりました。

そして、当時は台風が日本海側にあり、強い風が吹いていました。風が火を運びます。

逃げた先で亡くなった方が大勢いました

陸軍被服廠の跡地という広い空き地に、多くの人が家財道具を持って避難しました。安全だと思われた場所です。

そこへ、四方から火が押し寄せました。火災旋風と呼ばれる、炎を巻き上げる渦です。

この一か所で、およそ38,000人が亡くなっています。

「広い場所へ逃げれば安全」とは限らない。これが、この震災が残した最も重い教訓のひとつです。

いま何をすべきか

一、揺れたら火を消すより、まず身を守る。いまのガス機器は揺れで自動的に止まります。無理に火元へ向かうほうが危険です。

二、避難するときはブレーカーを落とす。停電が復旧したときに起きる通電火災を防ぎます。

三、感震ブレーカーを検討する。揺れを感知して自動で電気を止めます。

四、逃げる場所を、二つ以上決めておく。一つが使えないことがあります。

火災の備えは火事から身を守る方法電気火災とは?にまとめました。

阪神・淡路大震災|77.0%が、窒息・圧死でした

1995年1月17日5時46分。マグニチュード7.3。

建物が、人を殺しました

亡くなった方の死因で最も多いのが窒息・圧死で、4,224人。全体の77.0%にあたります。

倒れた建物と、家具の下敷きです。火事でも、津波でもありません。

そして、時間がありませんでした

これが、この震災のいちばん重要な点です。

亡くなった方の多くが、地震の当日に亡くなっています。それも、発生から短い時間のうちに。

つまり、「揺れてから逃げる」という発想が成り立たなかったということです。救助が来る前に、すでに助からない状態でした。

この震災に関しては、備えのすべてが「揺れる前」に決まっています。

いま何をすべきか

やることは、はっきりしています。

一、建物の耐震性を確かめる。1981年6月と2000年6月に基準が変わっています。それ以前の建物は診断を受けてください。補助金があります。

二、家具を固定する。倒れた家具は、人を押しつぶし、逃げ道を塞ぎます。

三、寝る場所の上と周りを見直す。発生は明け方でした。多くの方が寝ていました。

四、寝室に靴を置く。割れたガラスの上を歩くことになります。

診断と補助金の受け方は耐震診断と補助金にまとめました。これは、この記事で紹介する中で最も費用のかかる対策ですが、最も確実でもあります。

東日本大震災|溺死が90.6%でした

2011年3月11日14時46分。マグニチュード9.0。

津波が、ほぼすべてでした

警察庁の検視結果によると、死因は溺死が90.6%。焼死が0.9%、圧死・損傷死などが4.2%、不詳が4.3%です。

10人のうち9人が、水によって亡くなっています。

逃げ遅れが指摘されています

年齢が判明した方のうち、65.2%が60歳以上でした。

高齢化の進んだ地域を、津波が一気に襲ったことが背景にあります。移動に時間のかかる方が、間に合わなかった。

備えの性質が、まったく違います

ここが重要です。津波に対して、物を買う対策はほとんど効きません。

耐震補強をしても、家具を固定しても、備蓄を積んでも、津波が来る場所にいれば助かりません。

効くのは、この三つだけです。

一、そこが津波の来る場所かを知っておく。

二、逃げる場所と経路を、事前に決めておく。

三、揺れたら、確かめずに逃げる。

「警報を待たない」ことが、いちばん大事です。強い揺れを感じたら、それが合図です。

津波の備えは津波への備えに、自宅の危険はハザードマップの見方で確認できます。

熊本地震|亡くなった方の約8割が、災害関連死

2016年4月14日と16日。震度7が、二度起きた地震です。

直接死50人に対し、関連死218人

この数字が、すべてを語っています。

地震そのもので亡くなった方が50人。それに対して、災害関連死として自治体に認定された方が218人。

つまり、亡くなった方の約8割が、地震で直接亡くなったのではありません。一度は助かった命が、そのあとで失われています。

災害関連死とは何か

避難生活での体調の悪化、持病の悪化、過労、精神的な負担。こうした理由で亡くなった場合に認定されます。

熊本地震では、車中泊が広く行われました。余震が続き、建物の中で眠るのが怖かったためです。

狭い座席で足を動かさずにいると、血の塊ができ、それが肺に詰まることがあります。エコノミークラス症候群です。

いま何をすべきか

この震災の教訓は、「助かったあと」に関するものです。

一、車中泊をするなら、足を伸ばせるようにする。そして、こまめに歩き、水を飲んでください。

二、水分を控えない。トイレを我慢するために飲まない方がいます。これが最も危険です。

三、携帯トイレを備える。トイレの不安が、水分を控える原因になります。だから携帯トイレは、命を守る道具です。

四、持病の薬を、多めに持ち出せるようにする。お薬手帳の写しも。

五、眠れる環境を作る。耳栓、アイマスク、マット。睡眠不足が体を壊します。

車中泊で起きる血栓の危険は災害時のエコノミークラス症候群に、携帯トイレの必要数は防災用携帯トイレの選び方にまとめました。避難所へ行くか自宅に残るかの判断は避難所へ行くべきか自宅に残るべきかをご覧ください。

北海道胆振東部地震|土砂崩れと、日本初のブラックアウト

2018年9月6日3時7分。マグニチュード6.7。最大震度7。

斜面が崩れました

死者は43人。その多くが、厚真町を中心とした土砂崩れによるものです。

深夜3時すぎ、寝ている時間帯に、山の斜面が崩れて家をのみ込みました。

この地域には火山灰が降り積もった層があり、それが雨を含んで滑りやすくなっていたことが指摘されています。

そして、北海道全域が停電しました

発電所が停止したことをきっかけに、電力の需給の均衡が崩れ、北海道電力の管内ほぼ全域で電気が止まりました。

最大でおよそ295万戸。日本で初めての「ブラックアウト」です。

信号が消え、店のレジが止まり、キャッシュカードも電子マネーも使えなくなりました。水道もポンプが止まって出なくなった地域があります。

いま何をすべきか

一、斜面の近くに住んでいるかを確認する。土砂災害警戒区域は、地図で公開されています。

二、停電を前提に備える。電気が止まれば、暖房も、水も、情報も止まります。

三、現金を用意しておく。停電するとカードも電子マネーも使えません。小銭を含めて。

四、電池と、電池で動くラジオ・ライトを持つ。

停電の備えは停電が長引いたときの対策に、自宅が斜面の危険区域かどうかは土砂災害警戒区域とは?で調べられます。土砂の動き方は土石流とは?にまとめました。

能登半島地震|倒壊と、孤立

2024年1月1日16時10分。マグニチュード7.6。最大震度7。

直接死228人、関連死470人

ここでも、災害関連死が直接死の2倍を超えています。熊本地震と同じ構図です。

※認定は続いており、数字は今後も変わります。この記事の数値は報道された時点のものです。

道路が寸断され、集落が孤立しました

半島という地形が、事態を難しくしました。幹線道路が土砂崩れや隆起で寸断され、支援が入れなくなったのです。

孤立した集落では、数日から一週間以上、外部からの物資が届きませんでした。

そして、発生は元日の夕方でした。帰省や旅行で、ふだんと違う場所にいた人が大勢いました。

いま何をすべきか

この震災が突きつけたのは、「助けはすぐ来ない」という現実です。

一、備蓄を長めに取る。3日分では足りない地域があります。山あいや半島、島では1週間以上を考えてください。

二、水とトイレを最優先に。食料より先に困るのがこの二つです。

三、旅行先や帰省先でも、逃げる場所を確認する。ふだんいない場所で被災することがあります。

四、冬の被災を想定する。1月1日でした。暖房が止まれば、低体温症の危険があります。

備蓄の考え方はローリングストックとは?に、冬の停電は停電対策【冬編】にまとめています。

時刻と季節が、被害を変えています

死因と同じくらい、見落とされている要素があります。いつ起きたか、です。

発生した時刻を並べると

震災 発生時刻 時刻がもたらしたもの
関東大震災 11時58分 昼食の支度で、各家庭が火を使っていた
阪神・淡路 5時46分 多くが就寝中。逃げる態勢になかった
東日本 14時46分 平日の日中。学校・職場にいた人が多い
熊本(本震) 1時25分 深夜。前震で避難していた人もいた
胆振東部 3時7分 深夜。土砂崩れに気づけなかった
能登 16時10分 元日。帰省・旅行で不慣れな場所にいた

深夜と明け方が、四つあります。寝ているときに来る確率は、決して低くありません。

寝ているあいだの備えが、いちばん手薄です

昼間なら、揺れを感じて机の下に入れます。けれど眠っていれば、揺れが収まってから目を覚ますこともあります。

だから、寝室だけは「何もしなくても安全な部屋」にしておく必要があります。

一、背の高い家具を置かない。置くなら、倒れても体に届かない向きに。

二、頭の上に物がない配置にする。照明、額、棚。

三、窓ガラスに飛散防止フィルムを貼る。暗い中で破片の上を歩くことになります。

四、枕元ではなく、手の届く床に靴を置く。枕元だと、落下物で埋まることがあります。

五、ライトを、必ず手の届く場所に。停電した部屋は、本当に何も見えません。

窓ガラスの対策は台風の窓ガラス対策にまとめました。地震でも同じフィルムが効きます。

季節も、その後を左右します

阪神・淡路は1月。能登は1月1日。胆振東部は9月。

冬に電気と暖房が止まれば、低体温症の危険があります。夏なら、熱中症と食中毒が問題になります。

備蓄を考えるときは、「いま被災したら」ではなく「真冬に被災したら」「真夏に被災したら」で考えてください。足りないものが見えてきます。

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助かったあとに、なぜ人が亡くなるのか

災害関連死は、この記事でいちばんお伝えしたい部分です。そして、いちばん防げる部分でもあります。

起きていることは、こういうことです

きっかけ 何が起きるか
トイレが使えない 水分を控える → 脱水、血栓、腎機能の悪化
車中泊が続く 足を動かさない → 血栓が肺に詰まる
眠れない 体力と免疫が落ちる。持病が悪化する
薬が手元にない 持病が悪化する。特に心臓・血圧・糖尿
寒い・暑い 低体温症、熱中症
ほこりと不衛生 肺炎、感染症
人に頼れない 孤立。特に高齢の単身者

起点をたどると、多くがトイレに行き着きます。

トイレが使えない、または並ぶ。だから水を飲まない。だから血が濃くなる。その先に、血栓と脱水があります。

だから、携帯トイレは命の道具です

防災グッズの中で、携帯トイレは地味な存在です。けれど、災害関連死の入口をふさぐという意味で、最も効く備えのひとつです。

目安として、1人1日5回、家族の人数分×日数で考えてください。3日分でも、4人家族なら60回分になります。

詳しい必要数は防災用携帯トイレの選び方にまとめました。

持病のある方は、薬が最優先です

血圧、心臓、糖尿病、透析。これらは、数日途切れるだけで命に関わります。

やっておくことは三つです。

一、お薬手帳の写しを、持ち出し袋に入れる。写真でも構いません。

二、常用薬を数日分、持ち出せる形にしておく。

三、かかりつけ医と、災害時の受診先を確認しておく。

予測できる地震と、できない地震

過去を見たあとは、これからの話です。

大きな被害が想定されているもの

南海トラフ地震首都直下地震は、国が被害想定を公表し、対策を進めています。

ただし、「いつ起きるか」は分かりません。分かっているのは、起きる可能性が高いということだけです。

南海トラフについては南海トラフ地震の備えで何をすべきかにまとめました。

想定されていない場所でも起きます

ここが重要です。阪神・淡路も、熊本も、胆振東部も、能登も、「そこで大地震が起きる」と広く認識されていた場所ではありませんでした。

日本には多数の活断層があり、そのすべてが調べ尽くされているわけではありません。知られていない断層で起きた地震もあります。

ですから、「うちの地域は地震が少ないから」は、備えない理由になりません。

自宅の近くの断層は地震本部とは?で紹介した予測地図から調べられます。

それでも、揺れやすさには差があります

同じ地震でも、地盤が軟らかい場所ほど揺れが大きくなります。埋立地、旧河道、川が作った低地です。

多くの自治体が、地域ごとの揺れやすさの地図を公開しています。建物の強さと合わせて考えてください。

土地の選び方は防災で選ぶ引っ越し先にまとめています。

並べて分かる、三つのこと

六つの震災を通して見ると、共通することが見えてきます。

一、時代とともに、死因が変わってきました

関東大震災は火災、阪神・淡路は建物の倒壊、東日本は津波。そして近年は、災害関連死が中心になっています。

これは、建物が丈夫になり、消防が発達し、津波の警報が届くようになった結果でもあります。対策が効いてきた、ということです。

だからこそ、いま最も伸びしろがあるのは「助かったあとの生活」の部分です。

二、防げた死が、確かにあります

災害関連死は、一度は助かった命です。

水を飲めていたら。眠れていたら。トイレを我慢しなくてよかったら。薬が手元にあったら。失われずに済んだかもしれない命が、数百人単位で存在します。

ここは、個人の備えで確実に変えられる部分です。

三、住む場所で、やるべきことが決まります

住んでいる場所 最優先ですべきこと
海沿いの低地 逃げる経路と高台の確認。速さがすべて
古い木造住宅 耐震診断と家具固定
木造の密集した市街地 出火を防ぐ。感震ブレーカー。二方向の避難路
斜面の近く 土砂災害警戒区域の確認。早めの避難
山あい・半島・島 備蓄を1週間以上。孤立を前提に
高層マンション 停電と断水。エレベーター停止を前提に
寒冷地 冬の停電。暖房と、水道の凍結

自分がどれに当てはまるかを決めるところから始めてください。全部をやる必要はありません。

数字の裏にある、もうひとつの被害

死者の数だけでは見えないものがあります。

生活が止まる期間

止まるもの 過去の震災で起きたこと
電気 胆振東部では全道停電。復旧には地域差がありました
水道 電気より復旧が遅れます。管を掘り起こす必要があるためです
ガス 安全確認のため、一軒ずつ点検が必要。最も遅い
道路 能登では寸断され、集落が孤立しました
通信 基地局の電源が切れると、携帯が使えなくなります
住まい 仮設住宅に移るまで数か月。戻るまで数年

電気・水道・ガスの順に復旧するのが一般的です。ガスは最後になります。

ですから、「電気が戻れば元通り」ではありません。水が出ず、風呂に入れない期間が続きます。

お金の問題も、あとから来ます

家が壊れれば、直す費用が要ります。そしてローンが残っていれば、住めない家の返済が続きます。

この負担を軽くする制度があります。ただし、申請しなければ受け取れません。

一、罹災証明書。すべての支援の入口になります。まずこれを取ってください。

二、被災者生活再建支援金。住宅の被害の程度に応じて支給されます。

三、災害弔慰金。亡くなった方の遺族に支給されます。関連死も対象です。

四、自然災害債務整理ガイドライン。住宅ローンの負担を、破産によらず整理できる仕組みです。

被災後の手続きは被災した後にやること罹災証明書の申請方法にまとめました。

心の負担も、被害のうちです

災害のあとには、眠れない、落ち着かない、音に驚くといった反応が現れることがあります。これは異常なことではありません。

そして、被害の大きかった方ほど、自分のつらさを口にしません。「もっと大変な人がいるから」と考えるためです。

災害のときの心の動きは災害心理学とは?にまとめました。知っておくだけで、自分と周りを楽にできます。

教訓は、制度になって残っています

過去の震災は、いまの仕組みを作ってきました。

震災が変えたもの

震災 そのあとに生まれたもの
関東大震災 9月1日が「防災の日」になりました
阪神・淡路 地震本部の設置。ボランティア活動の広がり。耐震基準の見直し(2000年)
東日本 津波警報の伝え方の改善。緊急速報メールの普及
熊本 災害関連死への注目。避難所環境の見直し
胆振東部 電力の需給バランスと、ブラックアウトへの対策強化
能登 孤立集落への対応と、上下水道の耐震化が課題に

いま当たり前に使っている仕組みの多くが、誰かが亡くなったあとに作られたものです。

緊急速報メールが鳴るのも、避難所に段ボールベッドが入るようになったのも、耐震基準が二度変わったのも、すべて過去の被害の結果です。

防災の日は、関東大震災に由来します

9月1日が防災の日と定められているのは、1923年のこの日に関東大震災が起きたためです。

祝日ではありませんが、この時期には全国で訓練が行われます。備蓄の点検をする日として使うのが、いちばん実用的です。

詳しくは防災の日は9月1日防災週間とは?にまとめました。

今日、10分でできること

ここまで読んで、何から手を付けるか迷われたと思います。この順でやってください。

一、ハザードマップで自宅を調べる。津波・洪水・土砂の三つです。5分で終わります。

二、家の建築年を確かめる。1981年6月より前なら、耐震診断を検討してください。

三、寝室を見回す。倒れてくるものが、頭の上にありませんか。

四、携帯トイレの数を数える。足りなければ、今日注文してください。

五、家族と、集合場所を決める。電話はつながりません。

この五つは、費用がほとんどかかりません。そして、過去の震災で亡くなった方の死因に、すべて対応しています。

よくある質問

Q. 結局、何から始めればよいですか

ハザードマップで、自宅の危険を確かめることからです。費用はかかりません。

そこで津波や浸水が出たなら、逃げることが最優先。何も出なければ、建物と家具の対策が最優先になります。

順番は防災は何から始める?最初にやること8ステップにまとめました。

Q. 災害関連死は、認定されると何かありますか

災害弔慰金の支給対象になります。ただし、遺族が申請し、市町村の審査を経て認定される必要があります。

自動的には認定されません。手続きの内容は災害弔慰金・障害見舞金・援護資金にまとめています。

Q. 昔の震災を知って、意味がありますか

あります。むしろ、そこにしかない情報です。

将来の地震がどうなるかは、誰にも分かりません。けれど、過去に何が人の命を奪ったかは、記録として残っています。

「広い場所へ逃げたのに亡くなった」「助かったのに避難所で亡くなった」。こうしたことは、想像では出てきません。

Q. 数字が資料によって違うのはなぜですか

集計の時点と、数え方が違うためです。

災害関連死は、認定が何年も続きます。ですから、時間が経つほど数字は増えます。

また、行方不明者の扱いや、直接死と関連死の区分でも差が出ます。この記事の数字も、参照した時点のものです。正確な最新値は、内閣府や各自治体の公表資料をご確認ください。

Q. 死者の数が多い震災ほど、危険な地震だったのですか

そうとは限りません。地震の規模と、亡くなった方の数は比例しません。

胆振東部地震はマグニチュード6.7でした。東日本大震災の9.0と比べれば、はるかに小さい。それでも43人が亡くなっています。

被害を決めるのは、規模だけでなく、揺れた場所に何があったかです。建物、地盤、時刻、人口。同じ規模でも結果はまるで違います。

Q. 家族と話すとき、どう伝えればよいですか

数字を並べても、たいてい伝わりません。「うちの場合はどうなるか」で話してください。

たとえば、こうです。「この家は1975年に建っている。阪神・淡路と同じ揺れが来たら、この寝室はどうなると思う」。

そして、結論を出そうとしないでください。一度で決まる話ではありません。まず、話題にすることです。

Q. 備えを続けられません

続けなくてよい備えから始めてください。

耐震補強も、家具の固定も、飛散防止フィルムも、一度やれば何年も効きます。意志の力を必要としません。

期限の管理が要るのは、食料と水と電池だけです。そこは、防災の日と防災用品点検の日を使ってください。年に数回、思い出せば足ります。

Q. 一人暮らしですが、何を優先すべきですか

助けが来ない前提で考えてください。閉じ込められても、気づかれるまでに時間がかかります。

ですから、優先はこの順です。建物の安全、家具の固定、玄関までの動線。この三つで、自力で外に出られる状態を作ります。

そして、大家さんや近所の方と顔を合わせておいてください。「あの部屋の人」と認識されているかどうかで、安否確認の速さが変わります。

過去の震災から学ぶ

同じ大地震でも、命の奪われ方は違います。自分の住む場所に近いものから読んでください。

まとめ

要点を並べます。

一、関東大震災は火災。105,385人のうち91,781人が火災で亡くなりました。

二、阪神・淡路は建物の倒壊。77.0%が窒息・圧死で、そのほとんどが当日でした。

三、東日本は津波。90.6%が溺死。物では守れません。

四、熊本は災害関連死。直接死50人に対し、関連死218人。

五、胆振東部は土砂崩れと、日本初の全道停電。最大およそ295万戸が止まりました。

六、能登は倒壊と、孤立。道路が寸断され、助けはすぐには来ませんでした。

七、だから「地震対策」はひとくくりにできません。住む場所で、やるべきことが変わります。

過去の震災を読むのは、暗い作業に思えるかもしれません。けれど、そこにあるのは数字ではなく、答えです。

何が人の命を奪ったのかが分かれば、自分が何をすべきかも決まります。それが、記録が残された意味だと思っています。

自宅の危険はハザードマップの見方で、備えの順番は防災は何から始める?で確認してください。

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9月1日は防災の日/8月30日〜9月5日は防災週間

1年に一度、備えを点検する日です。10分でできることから始めてください。

この記事を書いた人

北海道札幌市在住の防災・サバイバル情報発信者です。2018年の北海道胆振東部地震を機に「誰でも今日から始められる防災」をモットーに活動を開始し、実際に試した防災グッズのレビューや家族構成別の備え方をわかりやすくお伝えしています。実践的で信頼できる情報を提供できるよう、がんばっています!

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