災害時の現金はいくら必要か|停電でカードは止まる。通帳を失っても預金を引き出す方法

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【この記事の要約】
結論から書きます。停電すると、現金以外は使えません。カードも、電子マネーも、ATMも止まります。2018年の北海道胆振東部地震では、道内ほぼ全域が停電し、レジが動かず店が開けられませんでした。だから現金を、小額紙幣と小銭で持っておいてください。一万円札は釣り銭が出せず、使えないことがあります。そしてもう一つ、知られていない事実があります。通帳も印鑑もキャッシュカードも失った場合でも、預金は引き出せます。金融庁が金融機関に要請する仕組みがあり、本人確認ができれば払い戻しに応じることになっています。この記事では、いくらをどう持つか、どこに置くか、そして口座からお金を出す方法までを書きました。私は防災士であって、金融の専門家ではありません。資産運用の話は扱いません。

目次

結論|停電したら、現金しか使えません

まず、この一点を押さえてください。ここを外すと、ほかの備えが生きてきません。

止まるのは、ATMだけではありません

停電すると、次のすべてが止まります。順に見てください。

店のレジ。会計ができないので、店そのものが開けられません。

クレジットカードの決済端末。通信と電源の両方が必要です。

電子マネーとコード決済。スマートフォンが生きていても、店側の端末と通信が止まれば使えません。

ATM。お金を下ろせません。

だから、現金を持っておいてください

災害時に確実な支払い手段は、現金だけです。これは実際の災害で、繰り返し確認されてきた事実です。

ただし、持ち方に条件があります

一万円札だけでは、使えないことがあります。停電下では釣り銭が出せません。

千円札と小銭で持ってください。詳しくは後で書きます。

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北海道胆振東部地震で、何が起きたか

実例で見るのが、いちばん分かりやすいと思います。北海道で実際に起きたことを書きます。

道内ほぼ全域が停電しました

2018年9月6日の北海道胆振東部地震では、北海道のほぼ全域が停電しました。ブラックアウトと呼ばれる状態です。

そこで何が使えなくなったかは、北海道胆振東部地震の記事に整理しました。

もの 何が起きたか
店のレジ 会計できず、店が開けられない
カード・電子マネー 使えない。現金だけが有効
ATM お金を下ろせない
信号機 交差点が危険になり渋滞
ガソリンスタンド ポンプが動かず給油できない
水道 ポンプが止まり断水する建物も

現金が、いちばん効きました

この地震で多くの人が実感したことです。手元に現金があるかどうかで、その日の食料が買えるかどうかが決まりました。

東日本大震災でも、「現金を持っていない、ATMが使えない」という問題が数多く報告されています。

キャッシュレスが進んだぶん、危うくなっています

ここは、年々深刻になっている点です。

普段の買い物をすべてカードやコード決済で済ませていると、財布に現金がありません。停電した瞬間に、支払い手段がゼロになります。

便利さと引き換えに、災害時の脆さが増しています。

いくら持つか

ここからは、金額の考え方を書きます。ただし、一律の正解はありません。

「何日分の何を買うか」から逆算してください

一律の正解はありません。家族の人数と、想定する日数で変わります。

目安として、次の費目を考えてください。

一、食料と飲み物。備蓄が尽きた場合、あるいは温かいものを買いたい場合。

二、日用品。電池、おむつ、生理用品など、備蓄から漏れたもの。

三、移動費。公共交通が動き出したときの運賃、タクシー代。

四、公衆電話。10円玉と100円玉が要ります。

持ち出し袋に入れる分と、家に置く分を分けてください

持ち出し袋には、数千円分を小銭と千円札で。避難所へ向かう途中や、避難所での当座の支払いに使います。

家に置く分は、それより多めに。在宅避難が長引く場合を想定してください。

持ち出し袋の中身全体は防災ポーチの中身にもまとめました。

多すぎても困ります

大金を持ち歩けば、紛失と盗難の危険が出ます。避難所では、貴重品の管理が難しい。

「数日をしのぐ額」で十分です。それ以上は、口座から引き出す手段を確保しておくほうが安全です。その方法は後で書きます。

どう持つか|札の種類が重要です

金額より、こちらのほうが実務的に効きます。

一万円札は、使えないことがあります

停電下の店は、レジが開かず、釣り銭が出せません。電卓で計算し、手持ちの現金で釣りを渡す形になります。

そこに一万円札を出されても、釣り銭がありません。断られることがあります。

千円札を、多めに

これが最も使いやすい単位です。数千円を千円札で持っておいてください。

小銭も、必ず

理由は二つあります。

一、釣り銭を出させないため。ぴったり払えれば、相手の負担になりません。

二、公衆電話のため。ここが見落とされます。

公衆電話には、10円玉と100円玉が要ります

携帯電話がつながらないときの連絡手段です。公衆電話は、災害時に優先的につながる回線として扱われます。

そして、硬貨かテレホンカードでしか使えません。電子マネーは使えません。

停電時でも、多くの公衆電話は使えます。10円玉と100円玉を、まとめて持ち出し袋に入れておいてください。

通帳も印鑑もカードも失ったとき

ここが、この記事でいちばん伝えたい部分です。知っているかどうかで、被災後の動き方が変わります。

それでも、預金は引き出せます

家が流された、燃えた、通帳もカードも印鑑も手元にない。その状態でも、預金を引き出す方法があります。

金融庁は、災害が起きると金融機関に対して「金融上の措置」を要請します。そのなかに、次の内容が含まれています。

預金証書、通帳、届出の印鑑等を紛失した場合等でも、被災状況等を踏まえた確認方法をもって、預金者本人の申出であることを確認して払戻しに応ずること。

本人確認書類も失った場合

運転免許証も保険証も流された。その場合でも、対応があります。

全国銀行協会は、住所・氏名等を確認し、登録内容との一致を確かめたうえで払い戻しを行うなど、柔軟な対応に努めていると説明しています。

つまり、「何も持っていないから無理だ」とあきらめる必要はありません。

この仕組みは、いまも動いています

過去の話ではありません。災害が起きるたびに、その災害に対する措置要請が出されています。

2026年8月にも、千葉と栃木で発生した災害に対して、財務局と日本銀行が金融機関へ要請を出しています。

ただし、窓口に行く必要があります

この措置は、金融機関の窓口での対応です。ATMで自動的に引き出せるわけではありません。

そして、金融機関自体が被災していることもあります。営業状況を確認してから向かってください。

普段からできる準備

口座番号を、控えておいてください。手続きが早くなります。

通帳の見開きページを撮影して、クラウドに保存しておく方法もあります。紙の控えを持ち出し袋に入れておくのも有効です。

ただし、暗証番号は書き残さないでください。紛失や盗難のときに、危険が大きくなります。

金融上の措置には、ほかにもあります

預金の払い戻し以外にも、被災者向けの措置が要請されます。

返済の猶予

住宅ローンや事業性の借入について、返済猶予などの条件変更に柔軟に応じることが要請されます。

収入が止まっているのに返済期日が来る。この状況は、相談すれば対応の余地があります。

そして、住宅ローンには被災ローン減免制度という別の枠組みもあります。詳しくは災害で住宅ローンが残ったらにまとめました。

保険金の支払い

保険会社に対しても、保険金の迅速な支払いや、保険料の払込猶予などが要請されます。

証券を失っていても手続きは進みます。契約している会社が分かれば、相談してください。

手形・小切手の取り扱い

事業をされている方向けですが、不渡り処分の猶予などの措置もあります。

営業時間の延長・休日営業

被災地の金融機関は、通常より長く窓口を開けたり、休日に営業したりすることがあります。

災害の直後は、各金融機関の発表を確認してください。店舗が閉まっていても、近隣の店舗や移動店舗で対応する場合があります。

どこで確認するか

金融庁のサイトに、災害ごとの措置要請が掲載されます。そして、各金融機関が自社の対応を発表します。

被災した直後は情報を追う余裕がありません。「そういう仕組みがある」ということだけ、いま覚えておいてください。必要になったときに思い出せれば十分です。

通信が止まると、決済も止まります

停電だけが原因ではありません。

電気があっても、通信が切れれば使えません

カード決済もコード決済も、決済のたびに外部と通信しています。その回線が切れれば、承認が取れません。

そして、災害時は通信が混み合います。基地局が被災すれば、その地域全体が圏外になります。

基地局には、非常用電源があります

停電しても、しばらくは通信が維持されます。ただし、無限ではありません。

長時間の停電では、非常用電源が尽きて通信が止まることがあります。胆振東部地震でも、時間の経過とともに圏外になる地域が広がりました。

スマートフォンの電池も、有限です

電子マネーは、自分の端末の電池が切れれば使えません。

現金には電池が要りません。これは、災害時に決定的な差になります。

だから、二重に備えてください

キャッシュレスを使うなとは言いません。普段は便利ですし、それでよいのです。

ただ、止まったときのための現金を、別に持っておいてください。両方あることが備えです。

被災したあと、お金は何に消えるか

いくら備えるかを考える材料として、支出の全体像を書きます。

最初の数日|当座の生活費

食料、飲み物、日用品、そして移動費。ここに現金が要ります。

備蓄があれば、この段階の支出は抑えられます。現金の備えと物の備えは、互いを補い合う関係です。

数週間|仮の住まいと生活の立て直し

宿泊費、衣類、家財の買い直し。この段階から、金額が大きくなります。

この時期には、電気と通信が戻っていることが多い。カードや振込が使えるようになります。現金だけで乗り切る必要はありません。

数か月から数年|住まいの再建

ここが最も大きい支出です。修繕、建て替え、引っ越し。

そして、収入が止まっている可能性があります。職場が被災すれば、給与も止まります。

受け取れるお金もあります

支出だけではありません。公的な支援と保険があります。

制度 内容 窓口
被災者生活再建支援金 住宅の被害程度に応じた給付 市区町村
災害弔慰金・障害見舞金 死亡・障害が残った場合 市区町村
災害援護資金 生活再建のための貸付 市区町村
義援金 寄せられた寄付の配分 市区町村
地震保険・火災保険 契約内容に応じた保険金 保険会社
雑損控除・災害減免法 税の軽減 税務署

これらを受け取るには、罹災証明書が起点になります。手続きの順番は被災した後にやること全ガイドにまとめました。

ただし、届くまでに時間がかかります

ここが重要な点です。支援金も保険金も、申請してすぐには入りません。

罹災証明の申請、被害の認定、審査。いくつもの段階を経ます。

だから、その間をつなぐ手元の資金が要ります。現金の備えは、この空白を埋めるためのものです。

税の軽減も使えます

家財が壊れた場合、雑損控除災害減免法で税が戻ることがあります。

どちらを使うかで金額が変わるので、災害で家財が壊れたら税金が戻るを確認してください。

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保険と現金は、役割が違います

この二つは混同されやすいので、役割の違いを整理しておきます。

保険は「大きな損失」に備えるもの

住宅が壊れた、家財を失った。自力では負担しきれない規模の損失を、保険で移します。

ただし、すぐには入りません。手続きと審査の時間がかかります。

現金は「今日の支払い」に備えるもの

停電した今日、水と食料を買う。この用途に保険は使えません。

金額は小さくても、手元にあることが条件です。

どちらか一方では足りません

保険だけでは、今日の買い物ができません。現金だけでは、家の再建に届きません。

役割が違うので、両方が要ります。

地震保険については地震保険とは?、火災保険の見直しは火災保険の見直し方にまとめました。

停電した店で、買い物はどうなるか

実際の場面を想像しておくと、備え方が決まります。

店が開いていても、様子が違います

照明が落ちているので、店内は暗い。自動ドアは手動になり、入口が限られます。

レジが動かないので、電卓で計算し、手書きの伝票を切ることになります。

入場が制限されます

暗い店内に大勢が入ると危険なので、一度に入れる人数を絞ることがあります。

店の外に列ができます。買い物に時間がかかることを、前提にしてください。

買える点数が制限されます

品物が限られるので、一人あたりの購入点数に上限が設けられることがあります。

まとめ買いはできません。だから、大金は必要ありません。

釣り銭が、本当に足りません

レジが開かないので、店員は手持ちの現金で釣りを渡します。

その手持ちには限りがあります。一万円札を出す人が続けば、すぐ底をつきます。

ぴったり払える小銭があると、自分も店も助かります。

レシートが出ないことがあります

手書きの伝票になるか、そもそも発行されないことがあります。

あとで経費や保険の手続きに使う可能性があるなら、自分でメモを残しておくと安心です。

家族で決めておくこと

一人で備えても、家族がばらばらの状態では効きません。ここは共有が要ります。

誰がいくら持っているかを共有してください

災害時に家族が別々の場所にいることは、十分にあります。それぞれが手元に持っていることが大事です。

子どもにも、公衆電話用の10円玉と100円玉を持たせておいてください。学校や外出先で連絡が必要になります。

置き場所を共有してください

家に置いた現金の場所を、家族の誰もが言えるようにしておいてください。

持ち出し袋も同じです。知らなければ、持って出られません。

連絡手段を決めておいてください

携帯がつながらないときに、どうするか。災害用伝言ダイヤル、集合場所、遠方の親戚を中継役にする。

方法を決めて、一度試しておいてください。本番で初めて使うのは避けたい。

高齢の家族には、特に伝えてください

キャッシュレスに慣れていない方は、もともと現金を持っていることが多い。そちらは心配が少ない部類です。

むしろ、通帳と印鑑を失ったときの制度を伝えておいてください。「もうお金が下ろせない」と思い込んでしまう方がいます。

やってはいけないこと

備えのつもりでやったことが、かえって危険になる場合があります。

暗証番号を書き残さない

通帳やカードと一緒にメモを置くのは、紛失と盗難のときに危険です。

口座番号までにとどめてください。暗証番号がなくても、窓口での手続きは可能です。

一か所にまとめない

家の一室に全部を置くと、その部屋が使えなくなったときに全部を失います。

浸水、火災、家具の転倒。数か所に分けてください。

外から見える場所に置かない

被災地では、空き家を狙った窃盗が問題になることがあります。

避難で家を空けることも考えて、置き場所を選んでください。

大金を持ち歩かない

避難所では貴重品の管理が難しく、紛失や盗難の危険があります。

手元は数日分にとどめ、それ以上は口座から引き出すほうが安全です。

現金があるからと、備蓄を怠らない

これがいちばん大事な点です。お金があっても、売っていなければ買えません。

災害の直後は、店の棚が空になります。物流も止まります。

物の備蓄が先で、現金はそれを補うものです。順番を逆にしないでください。

場面別|どこで被災したか

どこで被災するかによって、必要な現金の形が変わります。

自宅で被災し、在宅避難する

家の備蓄が使えるので、買い物の必要は少なくて済みます。

ただし、備蓄が尽きたあとが問題です。店が再開しても、しばらくは現金しか使えません。

避難所にいる

食事は配給されますが、すべてがまかなわれるわけではありません。

足りない日用品、子どものおむつ、飲み物。近隣の店で買う場面が出ます。

そして、貴重品の管理が難しい環境です。手元は最小限にしてください。

外出先・通勤中に被災する

いちばん手持ちが少ない状況です。財布に現金がなければ、何も買えません。

帰宅困難になれば、その場で夜を明かすことになります。飲み物と食べ物を買えるかどうかが、そのまま快適さになります。

普段の財布に、千円札を数枚残しておくだけで違います。

旅行先で被災する

土地勘がなく、交通も止まります。タクシー代や延泊費が必要になることがあります。

そして、クレジットカードが使えない可能性を前提にしてください。

旅行先での対応は旅行先で被災したらにまとめました。

車で移動中に被災する

給油できないことがあります。ガソリンスタンドのポンプは電気で動きます。

そして、開いている店では現金のみの扱いになることがあります。

車にも数千円を置いておくと安心です。ただし、防犯には配慮してください。

この記事で扱わないこと

この記事の線引きを、はっきり書いておきます。

資産運用については書きません

私は防災士であって、ファイナンシャルプランナーでも金融の専門家でもありません。

どの金融商品を持つべきか、現金とリスク資産の比率をどうするか。こうした判断について書くことはしません。

関心がある方は、金融の専門家が書いたものや、金融機関の相談窓口をご利用ください。

この記事が扱うのは、実務だけです

停電したときに支払いができるか。口座からお金を出せるか。公衆電話をかけられるか。

すべて、災害時に実際に起きる場面の話です。ここは防災の領域として書けます。

制度の情報は、必ず出典を確認してください

この記事に書いた金融上の措置は、金融庁と全国銀行協会が公表している内容にもとづいています。

ただし、災害ごとに要請の内容は異なります。そして制度は変わります。

実際に手続きをするときは、金融庁のサイトと、取引先の金融機関の発表を確認してください。

覚えておくのは、三つだけです

災害のときに、細かい手順は思い出せません。だから絞ります。

一、千円札と小銭

停電すると釣り銭が出せません。一万円札は使えないことがあります。

そして、10円玉と100円玉は公衆電話に要ります。これは硬貨でしか使えません。

二、置き場所を分ける

持ち出し袋、家、車。一か所にまとめないでください。

そして、家族の誰もが場所を言えるようにしておいてください。知らなければ持ち出せません。

三、通帳を失っても引き出せる

ここが、いちばん知られていない部分です。通帳も印鑑もカードも、本人確認書類さえ失っていても、預金を引き出す道があります。

金融庁が金融機関に要請する仕組みがあり、災害が起きるたびに実際に発動されています。

「もう下ろせない」とあきらめないでください。窓口に相談してください。

そして、備蓄が先です

最後にもう一度書きます。お金があっても、売っていなければ買えません。

災害の直後は棚が空になり、物流も止まります。現金は、備蓄の代わりにはなりません。

物の備えがあったうえで、それを補うのが現金です。順番を間違えないでください。

備えの全体像は防災は何から始める?にまとめました。

よくある質問

Q. キャッシュレス決済は、災害時にまったく使えませんか

停電していなければ使えます。問題は、停電と通信障害です。

店側の端末に電源と通信が必要なので、自分のスマートフォンが生きていても支払えません。

逆に言えば、電気と通信が生きている地域では普通に使えます。被害の範囲によります。

Q. 停電が復旧すれば、ATMはすぐ使えますか

電源が戻れば動き出しますが、復旧直後は混雑します。同じことを考える人が集中するためです。

そして、ATMの現金が尽きることがあります。補充にも人と車が要ります。

Q. 家のどこに置けばよいですか

分散させてください。一か所にまとめると、その場所が使えなくなったときに全部を失います。

持ち出し袋、寝室、車。数か所に分けておくと、どれかは取り出せます。

ただし、防犯にも配慮してください。玄関や、外から見える場所は避けてください。

Q. 被災地では、値段が上がりませんか

便乗値上げは問題として指摘されることがあります。ただし、多くの店は通常価格で販売しています。

むしろ起きやすいのは、品切れです。お金があっても買えない状態になります。

だから、現金は備蓄の代わりにはなりません。物の備蓄が先で、現金はそれを補うものです。

Q. 資産運用で災害に備える方法はありますか

その分野は、私の専門ではありません。

私は防災士であって、ファイナンシャルプランナーでも金融の専門家でもありません。資産配分や投資の判断について書くことはしません。

この記事で扱うのは、停電時に支払いができるか、口座からお金を出せるかという実務だけです。運用については、金融の専門家が書いたものをご覧ください。

Q. 銀行が被災していたら、どこへ行けばよいですか

まず、取引先の金融機関の発表を確認してください。被災した店舗の業務を、近隣の店舗が引き継ぐことがあります。

過去の大きな災害では、取引先以外の金融機関でも払い戻しに応じる枠組みが設けられた例があります。全国銀行協会が調整して実現したものです。

ただし、災害ごとに扱いが違います。そのときの発表を確認してください。

Q. ゆうちょ銀行や信用金庫でも同じですか

金融庁の要請は、銀行だけでなく、信用金庫・信用組合・農協・ゆうちょ銀行なども対象になります。

保険会社や証券会社にも、それぞれの措置が要請されます。

Q. 硬貨は何円玉を用意すればよいですか

10円玉と100円玉を優先してください。公衆電話に使えます。

そのうえで、500円玉と50円玉があると支払いが楽になります。

重くなりすぎない範囲で。小銭ばかりでは、持ち出し袋が重くなります。

Q. 硬貨を大量に持っていくと迷惑になりませんか

店側の釣り銭が不足している状況では、むしろ助かります。

ただし、一度に大量の硬貨で支払うのは避けてください。数える手間がかかります。

ぴったり払える範囲で使うのが、いちばんよい使い方です。

Q. 現金をいくら持つか、結局いくらですか

一律の正解はありません。家族の人数と、想定する日数で変わります。

考え方としては、「数日分の食費と移動費」を目安にしてください。それを千円札と小銭で持つ。

金額の大きさより、札の種類と、置き場所を分けることのほうが実務では効きます。

Q. 事業をしています。何を準備すべきですか

個人の備えとは別に、事業者向けの措置があります。

手形の不渡り処分の猶予融資の返済条件の変更災害復旧のための融資など。金融庁の要請にはこうした項目が含まれます。

そして、従業員への支払いが問題になります。給与の振込日が来ても、システムが動かないことがあります。

事業継続の計画についてはBCP資格おすすめ一覧と難易度にまとめました。

Q. 貴重品は持ち出し袋に入れるべきですか

すべてを入れる必要はありません。避難所では管理が難しいためです。

優先すべきは、身につけられるものです。現金の一部、健康保険証、お薬手帳の写し。

通帳や権利証は、写真に撮ってクラウドに保存しておく方法があります。原本を持ち出せなくても、番号が分かれば手続きは進みます。

Q. 停電が長引いたら、現金も尽きます

そのとおりです。だから、金融機関の再開情報を確認してください。

被災地では、営業時間を延長したり、休日に窓口を開けたりする対応がとられます。移動店舗が出ることもあります。

手元の現金は「つなぎ」です。数日を越える分は、口座から出すことを前提に考えてください。

まとめ|現金は、停電への備えです

最後に、要点を整理します。

この記事の要点

一、停電すると、カードも電子マネーもATMも止まります。現金だけが使えます。

二、千円札と小銭で持ってください。一万円札は釣り銭が出ず、使えないことがあります。

三、10円玉と100円玉を忘れずに。公衆電話に要ります。

四、通帳も印鑑もカードも失っても、預金は引き出せます。金融庁が金融機関に要請する仕組みがあります。

五、口座番号は控えておいてください。ただし暗証番号は書き残さないこと。

今日できること

財布を開いて、千円札と小銭がいくらあるか見てください。それだけで確認は終わります。

そして、次に両替する機会があったら、千円札を数枚多めに残しておく。特別な準備は要りません。普段の買い物のついでにできることです。

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9月1日は防災の日/8月30日〜9月5日は防災週間

1年に一度、備えを点検する日です。10分でできることから始めてください。

この記事を書いた人

北海道札幌市在住の防災・サバイバル情報発信者です。2018年の北海道胆振東部地震を機に「誰でも今日から始められる防災」をモットーに活動を開始し、実際に試した防災グッズのレビューや家族構成別の備え方をわかりやすくお伝えしています。実践的で信頼できる情報を提供できるよう、がんばっています!

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