【この記事の要約】
結論から言います。「昔はこんなに暑くなかった」は、記録の上でも事実です。気象庁が都市化の影響が小さい全国13地点で調べた結果、猛暑日は100年あたり4日、真夏日は12日、熱帯夜は21日増えています。そして、大都市の増加幅はこれをさらに上回ります。福岡の熱帯夜は100年あたり53日、京都の猛暑日は20日。つまり、地球全体の気温上昇に加えて、都市化の影響が重なっています。最も増えているのが熱帯夜だという点が重要です。夜に気温が下がらなければ、体が回復しません。この記事では、気象庁の観測記録が示していることと、それが備えにどう関わるかをまとめました。
結論|記録は、増加を示しています
先に、この記事の要点をまとめておきます。
13地点平均で見た、100年あたりの増加
| 区分 | 基準 | 100年あたりの増加 |
|---|---|---|
| 熱帯夜 | 夜間の最低気温25℃以上 | 21日 |
| 真夏日 | 最高気温30℃以上 | 12日 |
| 猛暑日 | 最高気温35℃以上 | 4日 |
この13地点は、都市化の影響が比較的小さいとされる場所が選ばれています。つまり、都市の熱をできるだけ除いた数字です。
大都市では、さらに大きく増えています
| 都市 | 熱帯夜 | 真夏日 | 猛暑日 |
|---|---|---|---|
| 福岡 | 53日 | 19日 | 15日 |
| 名古屋 | 44日 | 18日 | 15日 |
| 京都 | 44日 | 18日 | 20日 |
| 横浜 | 38日 | 27日 | 5日 |
| 13地点平均 | 21日 | 12日 | 4日 |
いずれも100年あたりの増加日数です。13地点平均を、どの都市も上回っています。
気象庁は、この差について「都市化による気温上昇の影響が現れている」としています。
いちばん増えているのは、熱帯夜です
ここが、この記事でいちばん伝えたい点です。
昼の暑さより、夜の暑さのほうが大きく増えています。13地点平均で、猛暑日の4日に対し、熱帯夜は21日。5倍の差です。
そして、夜に気温が下がらないことが、体にとっては深刻です。理由はあとで書きます。
気象庁の統計を、どう読むか
数字の背景を知っておくと、その意味が正確に分かります。
なぜ13地点なのか
この点を疑問に思う方がいると思います。
気象庁は、都市化の影響が比較的小さいとみられる観測地点を選んで、長期変化を見ています。
理由は、都市の観測所の数字には、ヒートアイランドの影響が混ざるからです。周りにビルが建ち、アスファルトが増えれば、それだけで気温は上がります。
だから、都市化の影響をできるだけ除いた形で、長期の傾向を見るために13地点が使われています。
だから、二つの数字を並べる意味があります
この記事で、13地点平均と大都市の両方を示したのはそのためです。
13地点平均は、都市化以外の要因による変化に近い数字。大都市の数字は、そこに都市化が上乗せされた、実際に人が体感している変化です。
そして、多くの人が住んでいるのは大都市のほうです。だから、体感としては大都市の数字が現実になります。
統計的に意味のある変化とされています
気象庁の資料では、この増加傾向が統計的に有意であると示されています。
つまり、たまたまそういう年が続いたという偶然では説明がつかないということです。
年ごとの上下は、大きい
ここも正確に押さえておいてください。
「毎年、去年より暑くなる」わけではありません。涼しい夏もあれば、記録的な猛暑の年もあります。
長期の傾向として増えている、というのが正しい理解です。だから、「今年は涼しかったから、温暖化は嘘だ」という言い方も、「今年が暑かったから証明された」という言い方も、どちらも正確ではありません。
見るべきなのは、100年という単位での変化です。
ヒートアイランドという、もう一つの要因
都市の暑さについて、もう少し詳しく書きます。
都市が暑くなる仕組み
いくつかの要因が重なっています。
一、地面が舗装されている。アスファルトやコンクリートは熱をため込み、夜まで放出し続けます。
二、緑地と水面が少ない。植物の蒸散や水の蒸発による冷却が働きません。
三、人工の排熱がある。エアコンの室外機、車、工場。これらが直接、熱を出します。
四、建物が風をさえぎる。熱がたまったまま、流れていきません。
だから、夜に効いてきます
熱帯夜が最も増えている理由が、ここにあります。
昼にため込んだ熱が、夜になって放出されます。地面や建物が、巨大な蓄熱体になっているということです。
自然の地面であれば、夜には放射冷却で気温が下がります。舗装された都市では、それが起きにくい。
同じ市内でも、差があります
ここは実感しやすいと思います。
川沿い、公園の周り、緑の多い住宅街。これらは、駅前や幹線道路沿いより涼しいことが多い。
そして、ビルの谷間や、風の通らない路地は、周囲より高温になります。
自分の住む地域の中でも、どこが暑くなりやすいかを知っておくと、日中の移動経路を変えられます。
エアコンを使うと、外は暑くなる
ここは、率直に書いておきます。
エアコンは、室内の熱を外へ出す機械です。室外機からは熱風が出ます。
都市全体で見れば、これがヒートアイランドの一因になっています。
とはいえ、使うなという話ではありません。熱中症で人が亡くなることのほうが、はるかに深刻な問題です。
できるのは、効率よく使うことです。室外機の周りをふさがない、日陰にする、フィルターを掃除する。同じ涼しさを、少ない電力で得られます。
言葉が増えたこと自体が、変化の証拠です
数字だけでなく、使われる言葉の変化にも表れています。
「猛暑日」は、2007年からの言葉です
気象庁が正式に定めた予報用語です。最高気温35℃以上の日を指します。
それ以前は、30℃以上の「真夏日」が暑さの最上位でした。35℃を超える日が増えたため、新しい区分が必要になったということです。
「酷暑日」という言葉も生まれました
こちらは気象庁の正式な用語ではありません。報道などで使われている表現で、40℃以上を指すことが多い。
正式な用語ではないものが定着しつつあるのは、35℃という区分では足りなくなってきたということでもあります。
言葉の整理は猛暑日・酷暑日・夏日・真夏日・熱帯夜の違いと酷暑日は最高気温40℃以上にまとめました。
熱中症警戒アラートも、新しい仕組みです
暑さそのものに対して、警報のような情報を出す仕組みができました。
台風や大雨と同じように、暑さが「警戒すべき気象現象」として扱われるようになったということです。
詳しくは熱中症警戒アラートが出たら何をやめるかにまとめました。
なぜ、夜の暑さが問題なのか
熱帯夜の増加がいちばん大きい、その理由を説明します。
体は、夜に回復します
昼に暑さで消耗した体は、夜に気温が下がることで回復します。
ところが、夜も25℃を下回らなければ、その回復が起きません。翌朝、疲れが残ったまま次の暑い一日が始まります。
これが数日続くと、疲労が積み重なっていきます。暑さに対する耐性が落ち、体調を崩しやすくなります。
就寝中の熱中症があります
ここは知っておいてほしい点です。
寝ているあいだに熱中症になることがあります。眠っていると、喉の渇きにも暑さにも気づけません。
そして、汗をかいた分の水分が補給されません。寝る前と起きたあとに水を飲むことが、対策になります。
エアコンを切らないでください
電気代を気にして、寝るときにエアコンを切る方がいます。
けれど、熱帯夜が増えているということは、切れば室温が下がらないということです。昔の夏とは前提が違います。
タイマーで切る設定にしている場合、切れたあとに室温が上がります。つけたままのほうが安全な夜があります。
「昔はなかった」という感覚について
よく聞く言い方を、記録と照らし合わせて整理します。
「昔は熱中症なんてなかった」
言葉としては、昔から存在しました。日射病、熱射病といった呼び方がされていました。
変わったのは、件数と、社会の扱い方です。救急搬送される人数が増え、統計が取られ、警報の仕組みができました。
つまり、「なかった」のではなく「これほど多くはなかった」というのが正確です。
「昔はエアコンなしで過ごせた」
これは、記録から見るとそのとおりです。
13地点平均で猛暑日が100年に4日、大都市では15〜20日増えています。過ごしやすさが変わったのは、気のせいではありません。
だから、「自分が若いころは大丈夫だった」を基準にしないでください。環境そのものが変わっています。
「都会だけの話だろう」
ここは、半分正しく半分違います。
都市化の影響があるのは事実です。大都市の増加幅は、13地点平均を大きく上回っています。
けれど、都市化の影響が小さい13地点でも、確実に増えています。猛暑日4日、真夏日12日、熱帯夜21日。
つまり、都市化と、それ以外の要因の両方が働いているということです。
この変化が、備えに何を意味するか
防災の記事なので、ここから備えの話につなげます。
暑さは、災害として扱われるようになりました
熱中症による救急搬送は、毎年多数にのぼります。これは、他の自然災害と比べても大きい数字です。
だから、暑さへの備えは、防災の一部だと考えてください。台風や地震と同じ列に置くべきものです。
停電したときの暑さが、より危険になります
ここが、私が最も心配している点です。
気温が上がるということは、停電してエアコンが止まったときの危険も上がるということです。
台風で停電し、猛暑日が続く。この組み合わせは、実際に起きています。
だから、夏の停電対策を用意しておいてください。ポータブル電源、保冷剤、そして涼しい場所への避難という選択肢です。
親世代の基準を、更新してもらう必要があります
これが実務的にいちばん難しい部分です。
「自分が若いころは、エアコンなしで平気だった」という記憶は、本人にとっては事実です。
けれど、そのころの夏と、いまの夏は違います。この記事の数字が、その説明に使えます。
「気象庁の記録で、熱帯夜が100年に21日増えている」と伝えるほうが、「暑いからエアコンをつけて」より届くことがあります。
変わったのは、気温だけではありません
暑さと同時に、他の気象現象にも変化が見られます。
短時間の強い雨が増えています
気温が上がると、空気が抱えられる水蒸気の量が増えます。これは物理的な性質です。
抱えられる量が増えれば、一度に降る雨の量も増え得るということになります。
実際、1時間に50ミリを超えるような強い雨の発生回数は、長期的に増加傾向にあるとされています。
だから、暑さと大雨は別の話ではありません
この記事は暑さを扱っていますが、同じ変化の別の側面として、大雨があります。
「ゲリラ豪雨は昔はなかった」という言い方も、感覚としては根拠のあるものです。
大雨への備えはキキクルの紫と黒は何が違う?やハザードマップの色は3つだけ覚えるにまとめました。
台風の性質にも、議論があります
ここは慎重に書きます。
台風の発生数そのものが増えているかどうかについては、はっきりした傾向が見えていません。年ごとの変動が大きいためです。
一方で、強い台風の割合や、日本付近まで強い勢力を保ったまま来るかどうかについては、研究が続けられています。
断定的なことは書けませんが、備える側としては「強い台風が来る前提」で用意しておくのが安全だと考えています。
冬の変化も、単純ではありません
暖冬が増えているという話がある一方で、短時間に大量の雪が降る現象も起きています。
平均気温が上がることと、個別の大雪が起きないことは、別の話です。実際、記録的な大雪は近年も発生しています。
冬の備えは雪害とは?読み方は「せつがい」にまとめました。
暑さへの備えを、更新してください
記録が変わったのなら、備えも変える必要があります。
一、エアコンは、生活必需品として扱う
かつては贅沢品と見なされた時期がありました。いまは、命を守る設備です。
そして、設置していても、使わなければ意味がありません。電気代を気にして我慢することが、最も危険です。
自治体によっては、エアコンの設置や電気代への補助制度があります。「市区町村名 エアコン 補助」で調べてみてください。
二、夜の対策を、昼と同じくらい重視する
熱帯夜が最も増えているので、夜の備えの優先度が上がっています。
寝室にエアコンがあるか。タイマーで切れる設定になっていないか。そして、寝る前と起床後に水を飲む習慣があるか。
高齢の方は、暑さも喉の渇きも感じにくくなることがあります。数字で判断できるよう、温度計を置いてください。
三、停電を想定する
ここが、防災としての中心です。
台風で停電し、猛暑が続く。この組み合わせが、最も危険な状況です。
用意しておきたいのは、保冷剤、クーラーボックス、電池式の扇風機、そして涼しい場所への避難という選択肢です。
ポータブル電源があれば扇風機を回せますが、エアコンを動かすには容量が足りないことが多い。過信しないでください。
四、涼しい場所を、事前に見つけておく
自宅が暑くなったときの逃げ先です。
自治体がクーリングシェルターを指定していることがあります。公共施設や商業施設が開放されます。
そして、図書館、公民館、ショッピングセンター。停電していなければ、これらも選択肢になります。
「暑くなったらどこへ行くか」を、夏が来る前に決めておいてください。
世代によって、暑さの基準が違います
暑さをめぐって家庭内で意見が割れる、その原因を整理します。
記憶と記録は、どちらも正しい
「自分が子どものころは、扇風機で足りた」。この記憶は、おそらく事実です。
そして、いまの夏がそのころより暑いというのも、記録上の事実です。
つまり、どちらかが間違っているのではなく、環境が変わったということです。ここを共通の出発点にできると、話が進みます。
説得より、数字を見せてください
「危ないからエアコンをつけて」と言っても、本人の実感が変わらなければ動きません。
効くのは、温度計を置くことです。「いま32度あるよ」と数字で示すほうが、感覚の議論より届きます。
そして、湿度も見えるものを選んでください。同じ気温でも、湿度が高ければ体への負担が違います。
高齢になると、暑さを感じにくくなります
ここは事実として押さえておいてください。
加齢によって、暑さを感じる機能と、汗をかく機能が変化します。本人は暑いと思っていないのに、体は熱をためている。
そして、喉の渇きも感じにくくなります。水分が足りていないことに、気づけません。
だから、本人の感覚ではなく、数字で判断する仕組みが要ります。温度計と、決まった時間に水を飲む習慣です。
体調に不安がある場合や、持病がある場合は、かかりつけの医師に相談してください。
子どもは、地面に近い
逆の世代の話です。
身長が低いほど、アスファルトの照り返しを強く受けます。大人が感じている気温より、地面に近い場所は高温です。
ベビーカーの高さは、とくに地面に近い。夏の日中の移動は、時間帯を選んでください。
そして、子どもは自分で「暑い」と判断して行動を変えることが難しい。大人が止める必要があります。
この記事で扱わなかったこと
この記事が扱う範囲を、はっきりさせておきます。
原因論には踏み込んでいません
この記事で示したのは、気象庁が観測した記録です。
何がその変化を引き起こしているのか、要因の内訳がどうなっているのかについては扱っていません。
理由は二つあります。一つは、私が気象や気候の研究者ではないこと。もう一つは、備えるために必要なのは、原因より現状の把握だからです。
将来の予測も扱っていません
「今後どうなるか」については、さまざまな予測が公表されています。
ただ、予測には幅があり、前提によって結果が変わります。ここを断定的に書くことは、私にはできません。
この記事が示すのは、これまでに実際に何が起きたかまでです。
それでも、備えの方向は決まります
原因や将来が分からなくても、過去100年で暑くなったという事実だけで、やることは決まります。
エアコンを使う。夜も気を抜かない。停電に備える。涼しい場所を確保する。
これらは、原因論の結論を待たずに、今日からできることです。
職場や学校での、暑さの扱い
個人の備えだけでなく、組織の側の話にも触れておきます。
職場での熱中症対策は、義務になりました
労働安全衛生の分野で、事業者が講じるべき措置が定められています。
暑さ指数の把握、休憩の確保、水分と塩分の補給、そして体調不良者が出たときの対応手順。これらが求められています。
詳しくは熱中症対策の義務化は2つの法律にまとめました。
「昔はこうだった」が通用しなくなっています
ここが、この記事の趣旨とつながります。
気温の記録が変わった以上、過去の慣行をそのまま続けるのは合理的ではありません。
屋外作業の時間帯、部活動の実施基準、通学路の見守り。いずれも、当時の気温を前提に作られたものがあります。
暑さ指数で判断する仕組みへ
気温だけでは、危険度は測れません。湿度と輻射熱を含めた暑さ指数で見るのが、いまの標準です。
運動の可否についても、暑さ指数31以上は原則中止という目安が示されています。
詳しくは暑さ指数31以上で運動は中止にまとめました。
学校でも、基準が変わってきました
プールの中止、運動会の時期変更、体育館への空調設置。各地で見直しが進んでいます。
体育館は、災害時の避難所にもなります。空調があるかどうかは、夏の避難生活の質に直結します。
自分の地域の避難所に空調があるか、一度調べてみる価値があります。
よくある質問
Q. 猛暑日と真夏日と熱帯夜の違いは何ですか
気象庁の定義で、次のように分かれています。
| 用語 | 基準 |
|---|---|
| 夏日 | 最高気温25℃以上 |
| 真夏日 | 最高気温30℃以上 |
| 猛暑日 | 最高気温35℃以上 |
| 熱帯夜 | 夜間の最低気温25℃以上 |
| 酷暑日 | 正式な用語ではありません。40℃以上を指すことが多い |
詳しくは猛暑日・酷暑日・夏日・真夏日・熱帯夜の違いにまとめました。
Q. 「昔の夏は涼しかった」というのは思い出補正ではないですか
思い出が美化されることは、確かにあります。けれど、この件については記録が裏づけています。
13地点平均で、猛暑日が100年に4日、熱帯夜が21日増えている。これは観測値であって、記憶ではありません。
そして、大都市では増加幅がさらに大きい。都市に住んでいる方の実感は、記録以上に変化しているはずです。
Q. 気温が上がると、何が困るのですか
直接には、熱中症のリスクです。救急搬送される人数は、暑い年ほど増えます。
そして、睡眠が妨げられます。熱帯夜が続くと、疲労が回復しません。
さらに、停電したときの危険が上がります。エアコンが止まったときに、室温がどこまで上がるか。ここが以前とは違います。
Q. 都市に住んでいます。できることはありますか
個人でできる範囲は限られますが、自宅まわりでできることはあります。
窓の外に日よけを付ける。すだれ、シェード、緑のカーテン。室内に入る熱そのものを減らせます。
そして、室外機に直射日光を当てない。効率が上がり、電気代も下がります。ただし、吹き出し口をふさがないでください。
打ち水も、限定的ですが効果があります。朝夕の涼しい時間に、日陰へ撒くのが基本です。
Q. 冬は暖かくなっているのに、大雪も降るのはなぜですか
矛盾しているように見えますが、平均と個別の現象は別のものです。
平均気温が上がっていても、寒気が流れ込む日は依然としてあります。そして、そのとき空気が多くの水蒸気を含んでいれば、大量の雪になり得ます。
だから、暖冬だから雪の備えは要らない、とはなりません。
冬の備えは冬支度チェックリストにまとめました。
自分の住む地域の記録を、調べる方法
全国平均ではなく、自分が住む場所の数字を見る方法です。
気象庁の過去の気象データで調べられます
気象庁のウェブサイトに、「過去の気象データ検索」というページがあります。
地点と期間を選ぶと、その場所の観測記録が表示されます。日ごと、月ごと、年ごとの気温を見られます。
自分が子どもだったころの夏と、去年の夏。同じ地点で比べると、実感と記録が結びつきます。
見るとよい項目
一、猛暑日と真夏日の年間日数。何日暑かったかが分かります。
二、熱帯夜の日数。この記事で繰り返した、最も増えている項目です。
三、最高気温の記録。その地点で観測された最も高い気温と、その日付。
親と一緒に見ると、話が早い
実用的な使い方です。
「お父さんが子どものころ、この町の猛暑日は年に何日だったか」を、その場で調べられます。
そして、去年の数字と並べる。説得しなくても、数字が語ります。
エアコンを使ってほしい、水を飲んでほしい。そういう話をするときの、共通の材料になります。
地点によって、変化の大きさが違います
ここも見えてきます。
都市部の観測所と、周辺の観測所で、増え方が違うことがあります。同じ都道府県内でもです。
これが、ヒートアイランドの影響を実感できる形です。自分の住む場所が、どちらに近いかが分かります。
この記事の使い方
最後に、この記事を実際にどう使ってほしいかを書きます。
夏が来る前に、読み返してください
この記事は、夏の対策を始める前の土台として書きました。
暑くなってから読むと、対処の話が必要になります。その前に「なぜ備えるのか」を押さえておくと、行動が変わります。
数字を、誰かに伝えてください
この記事でいちばん持ち帰ってほしいのは、熱帯夜が100年で21日増えたという数字です。
大都市ではもっと大きい。福岡で53日、名古屋と京都で44日。
この数字は、「昔は大丈夫だった」という言葉への、静かな返事になります。責める形ではなく、事実として伝えられます。
そして、備えは変えられます
気温そのものを、個人が下げることはできません。
けれど、エアコンを使う、夜も気を抜かない、停電に備える、涼しい場所を決めておく。これらは今日から変えられます。
記録が変わったのだから、備えも更新する。それだけの話だと考えています。
Q. 熱帯夜が増えると、具体的に何が起きますか
三つあります。
一、睡眠の質が下がります。暑さで目が覚める、寝つけない。翌日に疲れが残ります。
二、就寝中の熱中症が起きます。眠っていると、喉の渇きにも暑さにも気づけません。
三、体が回復しないまま、次の日を迎えます。これが数日続くと、暑さへの耐性が落ちていきます。
だから、夜のエアコンを切らないでください。電気代より、体調を優先する場面です。
Q. 打ち水は効果がありますか
限定的ですが、あります。水が蒸発するときに周囲の熱を奪うという仕組みです。
ただし、やり方によっては逆効果になります。日中の直射日光が当たる場所に撒くと、すぐ蒸発して湿度だけが上がります。
効くのは、朝夕の涼しい時間に、日陰へ撒く方法です。そして、風の通り道であればなおよい。
広い範囲を冷やす力はないので、玄関先や庭の一角という規模で考えてください。
Q. この記事の数字は、どこで確認できますか
気象庁のウェブサイトに、ヒートアイランド現象や気候変動に関する資料が公開されています。
そこに、13地点平均と主要都市の長期変化が図表で示されています。
この記事の数字は、そこから引いたものです。ご自身で原典を確認していただけます。
Q. 「地球温暖化のせいだ」と言い切ってよいのですか
この記事では、そこまで書いていません。理由を説明します。
示したのは、気象庁が観測した気温の記録です。猛暑日や熱帯夜が長期的に増えている、という事実です。
一方、その変化を何がどれだけ引き起こしたかは、要因の切り分けが必要な領域です。気象庁自身が、大都市の増加には都市化の影響が含まれると説明しています。
私は気象や気候の研究者ではありません。だから、原因の内訳については断定しないという方針にしています。
そして実務的には、原因がどうであれ、備えることは同じです。エアコンを使い、夜も気を抜かず、停電に備える。ここは要因論の結論を待たずに始められます。
まとめ|記録は、感覚を裏づけています
最後に、あらためて整理します。
この記事の要点
一、猛暑日は100年あたり4日、真夏日は12日、熱帯夜は21日増えています。都市化の影響が小さい13地点の平均です。
二、大都市の増加幅は、それを上回ります。福岡の熱帯夜は53日、京都の猛暑日は20日。
三、最も増えているのは熱帯夜です。夜に回復できないことが、体には深刻です。
四、「猛暑日」は2007年からの言葉です。区分が足りなくなって作られました。
五、暑さは災害です。停電と重なったときの危険も、以前より大きくなっています。
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