【この記事の要約】
先に結論を書きます。災害でミルクがなくなったとき、牛乳や豆乳、果汁で代わりにすることはできません。乳児に必要な栄養がそろわないためです。公的機関が示しているのは、母乳が出ているなら授乳を続けること、そして母乳代替品として使えるのは乳児用の調製粉乳と調製液体乳だけということです。粉ミルクを溶かすお湯は70度以上と定められています。液体ミルクは開封したらすぐに使い、飲み残しは使わない。この記事では、厚生労働省・日本小児科学会・内閣府が公表している内容を、出典を示しながら整理しました。私は防災士であって、小児科医でも助産師でもありません。個別の判断は必ず医師・助産師・保健師に相談してください。
結論|公的機関が言っていること
まず、確認できた事実だけを並べます。
母乳代替品になるのは、乳児用の調製乳だけ
日本小児科学会は、液体ミルクについての注意点のなかで、「乳児用調製液体乳・乳児用調製粉乳は母乳代替食品である」という位置づけを示しています。
裏を返せば、それ以外のものは母乳代替食品ではないということです。牛乳、豆乳、果汁、スポーツドリンク、重湯。これらは乳児の主食にはなりません。
母乳が出ているなら、続けることが推奨されています
同じく日本小児科学会は、「平時も災害時も、乳児に推奨されるのは母乳である」と明記しています。
災害時だからミルクに切り替えるべき、という考え方ではありません。出ているなら、続ける。これが公的な立場です。
粉ミルクの調乳は70度以上のお湯で
厚生労働省は、WHOとFAOが作成した「乳児用調製粉乳の安全な調乳、保存及び取扱いに関するガイドライン」を国内向けに示しています。
そこでは、70度以上のお湯を使うことが定められています。粉ミルクに含まれうる菌を減らすためです。
そして、調乳後2時間以内に使わなかったものは廃棄することとされています。
液体ミルクは、開けたらすぐ使い、残りは捨てる
日本小児科学会が示している液体ミルクの注意点は、次の四つです。
一、保存にあたっては高温下におかないこと。
二、期限が切れていないか、破損がないかを確認すること。
三、開封したらすぐに使用し、飲み残しは使用しないこと。
四、母乳代替食品であり、平時も災害時も乳児に推奨されるのは母乳であること。
使えないもの|代用にならない理由
災害時によく候補に挙がるものを、順に見ます。
牛乳
厚生労働省の「授乳・離乳の支援ガイド」では、牛乳は1歳を過ぎてからという考え方が示されています。
理由として説明されているのは、鉄が不足することと、乳児の消化・吸収の負担になることです。
災害時に一時的に与えれば安全、という話ではありません。公的資料が想定しているのは、あくまで1歳以降です。
豆乳・アーモンドミルクなどの植物性飲料
これらは乳児用に栄養設計されていません。「ミルク」という名前がついていても、母乳代替食品ではありません。
市販の豆乳飲料には、乳児向けではない成分が含まれるものもあります。
果汁・スポーツドリンク・経口補水液
これらは栄養を補うものではありません。水分と、一部の電解質や糖分を補うものです。
これだけで日々を過ごすと、必要な栄養が入りません。
なお、脱水が疑われる状況での対応は、月齢や状態によって判断が変わります。ここは自己判断せず、医療者の指示に従ってください。
重湯・おかゆの上澄み
昔から言われる方法ですが、公的な資料がミルクの代替として推奨しているものではありません。
たんぱく質も脂質も鉄も不足します。短時間しのぐための水分としてはともかく、主食にはなりません。
母乳について、公的資料が示していること
ここは、誤った通説が広まりやすい領域です。
「ストレスで止まる」と決めつけないでください
厚生労働省の「授乳・離乳の支援ガイド」は、授乳の支援において母親の不安を軽減し、継続を支えることを重視する立場を取っています。
災害時に「もう出ないだろう」と自分で判断して、授乳をやめてしまう。ここが、公的機関が繰り返し注意を促している点です。
分泌の仕組みについて詳しく述べるのは私の役割ではありません。ただ、やめる前に助産師や保健師に相談してほしい、ということは書けます。
避難所には、相談できる人が入ります
内閣府の「避難所における良好な生活環境の確保に向けた取組指針」では、授乳スペースの確保や保健師等による支援が想定されています。
実際に、多くの避難所には保健師が巡回します。授乳の相談は、その場でできます。
他の人の母乳をもらうことについて
災害時に話題になることがありますが、感染症の伝播などの観点から、個人間でのやりとりは推奨されていません。
国内には、医療機関を通じた母乳バンクの仕組みがありますが、これは主に極低出生体重児などを対象とした医療的な枠組みです。
個別の状況については、医療者に相談してください。
備えておくもの
ここからは、防災の話です。
液体ミルクは、災害時に強い
お湯も、水も、消毒した哺乳瓶も要りません。開けて、飲ませられます。
断水・停電の状況では、これが決定的な差になります。常温で保存でき、そのまま飲ませられる。
ただし、紙パックや缶に直接口をつけさせる形は想定されていません。使い捨ての紙コップや、アタッチメントつきの哺乳瓶を一緒に備えてください。
粉ミルクには、お湯が要ります
70度以上のお湯が必要ですから、カセットコンロと水がセットで要るということになります。
停電・断水していると、これがすぐには用意できません。だから、液体ミルクを併せて持っておく意味があります。
使い捨て哺乳瓶と、紙コップ
断水すると、哺乳瓶が洗えません。消毒もできません。
使い捨ての哺乳瓶、あるいは清潔な紙コップが代わりになります。コップから少しずつ飲ませる方法は、新生児にも用いられることがあります。
ただし、やり方を知らないままぶっつけ本番でやるのは避けてください。気になる場合は、平時に助産師や保健師に聞いておくのが確実です。
粉ミルクの調乳|手順と、その根拠
「70度以上」がどこから来ているのかを含めて書きます。
なぜ70度以上なのか
粉ミルクは、製造の過程で完全な無菌にはなりません。ごくまれに菌が残ることがあるという前提でガイドラインが作られています。
厚生労働省が示すガイドラインでは、70度以上のお湯で調乳することで、その菌を減らせるという考え方が説明されています。
だから、ぬるま湯で溶かす方法は想定されていません。時間の節約のために温度を下げることは、目的そのものを外すことになります。
手順
一、手を洗う。断水しているならウェットティッシュで拭き、アルコールで消毒します。
二、お湯を沸かし、70度以上まで冷ます。沸騰させたあと、30分以内であれば70度を保っていると説明されています。
三、規定の量の粉を入れ、お湯を注いで溶かす。濃度は製品の表示どおりにしてください。
四、流水か冷水につけて、飲める温度まで冷ます。熱いまま飲ませないでください。
五、腕の内側に垂らして温度を確かめる。熱く感じなければ大丈夫です。
調乳後は2時間以内
ガイドラインでは、調乳後2時間以内に使わなかったものは廃棄することとされています。
作り置きは、災害時であっても避けてください。常温に置かれた時間が長いほど、菌が増えます。
断水しているときの水
調乳に使う水は、飲用に適した水である必要があります。
備蓄のペットボトル水を使う場合、硬度の高いミネラルウォーターは避け、軟水を選ぶという説明が製品側にもよく書かれています。国内で市販されている水の多くは軟水です。
そして、どのみち沸かす必要があります。そのままの水で溶かす方法は想定されていません。
哺乳瓶が洗えないとき
断水時の、いちばん現実的な問題です。
使い捨てを用意しておく
使い捨ての哺乳瓶が市販されています。乳首と袋がセットになったもので、使ったら捨てられます。
断水下では、洗浄も消毒もできません。同じ瓶を使い回すと、衛生上の危険が出ます。
備蓄に数個入れておくと、最初の数日を乗り切れます。
紙コップという方法
清潔な紙コップから少しずつ飲ませる方法があります。使い捨てにできるという点が、災害時に向いています。
ただし、やり方があります。むせさせずに飲ませるには慣れが要ります。
知らないままその場でやるより、平時に助産師や保健師、小児科で聞いておくほうが確実です。乳児健診の場でも相談できます。
ラップを使う方法
哺乳瓶の内側にラップを敷き、ミルクが瓶に直接触れないようにするという方法が紹介されることがあります。
使ったらラップだけ捨てます。乳首の部分は洗えないので、これだけで解決するわけではありません。
あくまで、他に手がないときの工夫として知っておいてください。
月齢によって、話が変わります
ひとくくりにできない部分です。
離乳食が始まる前
母乳かミルクが、栄養のすべてです。代わりになるものがありません。
だから、この時期の子がいる家庭は、備蓄の優先順位がまったく違います。水より先にミルクを考えてよいくらいです。
離乳食が始まっている時期
厚生労働省の「授乳・離乳の支援ガイド」では、離乳の開始はおおむね生後5〜6か月ごろという目安が示されています。
この時期以降は、ベビーフードが選択肢に入ります。常温で保存でき、開けてすぐ食べられるものがあります。
ただし、ミルクが不要になるわけではありません。並行して続く時期です。
1歳を過ぎている場合
牛乳が使えるようになる時期です。ここで、選択肢が一気に広がります。
ただし、アレルギーの有無は別の問題です。普段の様子を知っている人が判断してください。
年齢ごとの食事の考え方は乳幼児向け年齢別完全ガイドに整理しています。
備蓄リスト|乳児のいる家庭
何をどれだけ置くか、具体的に書きます。
優先度の高いもの
| もの | なぜ要るか | 目安 |
|---|---|---|
| 液体ミルク | お湯も水も哺乳瓶の消毒も要りません | 1週間分 |
| 粉ミルク | 長期保存でき、量あたりが安い | 普段使う分+1缶 |
| 使い捨て哺乳瓶 | 断水すると洗えません | 10個程度 |
| 紙コップ | 使い捨てで飲ませられます | 1パック |
| 飲用に適した水 | 調乳と、親の水分 | 1人1日3リットル |
| カセットコンロとボンベ | 70度以上のお湯を沸かすため | ボンベ6本以上 |
| ベビーフード | 離乳が始まっていれば主力になります | 1週間分 |
液体ミルクと粉ミルクは、両方持ってください
役割が違います。
液体ミルクは直後の混乱期に強い。停電・断水していても使えます。ただし、保存期間は粉ほど長くありません。
粉ミルクは長く持ち、量あたりが安い。ただし、お湯と清潔な哺乳瓶が要ります。
だから、最初の数日を液体で、その後を粉でという組み合わせが現実的です。
期限の管理を、忘れないでください
備蓄の失敗でいちばん多いのが、気づいたら期限切れです。
液体ミルクは、粉より期限が短い製品が多い。しまい込まず、普段の棚に置いて回していくほうが確実です。
使ったら買い足す。この方法なら、期限切れは起きません。
持ち出し袋に入れる分
家の備蓄とは別に、すぐ持ち出せる分を分けてください。
液体ミルクを数本、使い捨て哺乳瓶を数個。これだけで、最初の半日がまったく違います。
重くなりますが、乳児がいる家庭では、ここを削らないでください。他のものは現地で何とかなることがありますが、ミルクは代わりが利きません。
避難所と、車中泊での注意
場所によって、気をつける点が変わります。
液体ミルクを、高温下に置かない
日本小児科学会が示す注意点の一つ目が、これです。「保存にあたっては高温下におかないこと」
夏場の車内は、短時間で高温になります。車に積んだままにしないでください。
持ち出し袋も、直射日光の当たる場所に置かないほうがよい。玄関の日陰や、室内の涼しい場所を選んでください。
破損の確認
注意点の二つ目は、「期限が切れていないか、破損がないかを確認すること」です。
災害時は、物が落ちたり、押しつぶされたりします。缶がへこんでいる、紙パックがふくらんでいる。こうしたものは使わないでください。
取り出したときに、いちど見る。この一手間を省かないでください。
飲み残しは使わない
注意点の三つ目です。「開封したらすぐに使用し、飲み残しは使用しないこと」
もったいないと感じる場面ですが、ここは守ってください。開封後に常温で置かれたものは、菌が増えます。
だから、小さめの容量の製品を選ぶほうが、災害時には無駄が出にくい。
授乳する場所の確保
内閣府の取組指針では、授乳スペースの確保が想定されています。
ただし、最初の数日は用意されていないことが多い。運営者に伝えてください。段ボールとシートがあれば、その場で作れます。
大判のバスタオルやブランケットがあれば、自分でも目隠しが作れます。持ち出し袋に1枚入れておくと役に立ちます。
広まりやすい誤解を、整理します
災害のたびに、根拠のはっきりしない情報が流れます。
「災害時は母乳が出なくなるから、ミルクに切り替えるべき」
公的資料は、この立場を取っていません。日本小児科学会は、平時も災害時も推奨されるのは母乳だと示しています。
そして、厚生労働省の「授乳・離乳の支援ガイド」は、授乳を続けられるよう支えることを支援の基本に置いています。
自分で判断してやめる前に、助産師や保健師に相談してください。避難所には巡回で入ります。
「牛乳を薄めれば代わりになる」
これも、公的資料が示す方法ではありません。
薄めても、足りない栄養が足りるようにはなりません。むしろ全体の栄養が下がります。
厚生労働省の資料が牛乳の使用を想定しているのは、1歳以降です。
「ミルクを薄めて回数を増やせば持つ」
製品ごとに濃度が定められており、それを守ることが前提の設計です。
薄めれば、飲んでいるのに栄養が足りないという状態になります。量を持たせる方法ではありません。
足りないなら、入手の手段を探すほうへ力を向けてください。避難所の運営者、市区町村、開いている店。
「支援物資ですぐ届くから、備蓄はいらない」
近年の災害では、液体ミルクが早期に届いた例が報じられています。ただし、常にそうなるとは限りません。
道路が寸断されれば止まります。届いても、仕分けと配布に時間がかかります。
内閣府が最低3日分、できれば1週間分という考え方を示しているのは、その空白を自分で埋めるためです。
情報の確かめ方
災害時は、真偽の分からない情報が一気に増えます。
判断に迷ったら、厚生労働省、日本小児科学会、自治体、内閣府防災のどれかが同じことを言っているかを見てください。
そして、目の前に保健師や医療者がいるなら、その人に聞くのがいちばん早い。検索するより確実です。
親の体調も、子どもの命に関わります
見落とされやすい点です。
授乳している人は、水分と食事が要ります
授乳中は、普段より多くの水分と栄養が必要になります。
避難所では、配られる食事が偏りがちです。「自分は後でいい」と後回しにしないでください。
備蓄を考えるときも、授乳している人の分を多めに見積もってください。
眠れないことが続くとき
避難所や車中泊では、まとまって眠るのが難しい。そこに授乳が加わります。
これは、意思の力で乗り切るものではありません。交代してもらえる人がいれば、頼んでください。
体調の変化が続く場合は、保健師や医療者に相談してください。我慢すべきことではありません。
頼れる先を、先に知っておく
平時のうちに、住んでいる市区町村の子育て相談窓口を確認しておいてください。
そして、かかりつけの小児科と、産院や助産所の連絡先。手元に書いて持っておくと、通信が不安定なときにも役に立ちます。
状況別|どこで、どうするか
置かれた場所によって、できることが変わります。
自宅で被災し、在宅避難するとき
いちばん条件がよい状況です。備蓄がそのまま使えます。
停電していても、カセットコンロがあればお湯が沸かせます。粉ミルクが使えます。
断水している場合は、備蓄のペットボトル水を沸かして使ってください。そのままの水で溶かす方法は想定されていません。
そして、哺乳瓶が洗えないことを忘れないでください。使い捨てか、ラップを使う工夫が要ります。
避難所にいるとき
材料は限られますが、人がいます。これが大きい。
保健師が巡回します。授乳の相談も、ミルクの入手の相談も、その場でできます。
そして、お湯は運営側で確保されていることがあります。調乳に使えるか、聞いてみてください。
足りないものは、具体的に伝えてください。「ミルクがない」より「◯か月の子に、液体ミルクを1日5本」のほうが動きます。
車中泊をしているとき
いちばん注意が要るのは、温度です。
液体ミルクを車内に置いたままにしないでください。高温下に置かないことが、公式の注意点の一つ目です。
そして、車内では火を使えません。粉ミルクを使うなら、外で沸かす場所が要ります。液体ミルクの価値が、いちばん高い場面です。
外出先で被災したとき
手持ちがいちばん少ない状況です。
まず、ドラッグストアやスーパー、コンビニを探してください。営業していれば、液体ミルクが手に入ることがあります。
そして、商業施設や駅の授乳室には、調乳用の湯せんや給湯設備があることがあります。
普段から、持ち出し用に液体ミルクを1本、かばんに入れておくという備え方もあります。重さはたいしたことがありません。
覚えておくのは、三つだけです
災害のときに、細かい手順は思い出せません。だから絞ります。
一、代わりになるのは、乳児用の調製乳だけ
牛乳、豆乳、果汁、重湯。いずれも母乳代替食品ではありません。
足りないときは、代用を探すのではなく入手の手段を探してください。
二、粉は70度以上、液体は開けたらすぐ
粉ミルクは70度以上のお湯で調乳し、2時間以内に使う。
液体ミルクは高温下に置かず、破損を確かめ、開けたらすぐ使い、飲み残しは捨てる。
三、迷ったら聞く
避難所には保健師が入ります。災害医療のチームも動きます。
相談先は、思っているよりあります。ひとりで判断して抱え込まないでください。不安に思ったことは、そのまま伝えて構いません。
よくある質問
Q. 何日分を備えればよいですか
内閣府は家庭の備蓄について、最低3日分、できれば1週間分という考え方を示しています。
乳児用のミルクも、この考え方に沿って構いません。ただし、支援物資は届くまでに時間がかかります。多めに見ておくほうが安全です。
Q. 支援物資のミルクは、すぐ届きますか
近年の災害では、液体ミルクが早期に届いた例が報じられています。ただし、確実ではありません。
道路が寸断されれば止まりますし、届いても仕分けと配布に時間がかかります。最初の数日は、自分の備えで持たせる前提で考えてください。
Q. アレルギーがある子の場合は
アレルギー用のミルクは、支援物資では手に入りにくいものです。
普段使っているものを、必ず自分で多めに備えてください。そして、避難所では運営者と保健師に、その旨を早めに伝えてください。
どの製品を使うかの判断は、主治医の指示に従ってください。
Q. ミルクを薄めて量を持たせてもよいですか
してはいけません。製品ごとに定められた濃度があり、それを守ることが前提の栄養設計になっています。
薄めれば、必要な栄養が入りません。足りないときは、薄めるのではなく入手の手段を探してください。
Q. 液体ミルクは、温めなくてよいのですか
常温のまま飲ませられる製品として作られています。温めないと飲めない、というものではありません。
ただし、冷たいものをいやがる子はいます。その場合は、湯せんで人肌程度まで温めてください。
電子レンジでの加熱は、容器の変形や、加熱むらの問題があるため、製品側で避けるよう案内されているのが一般的です。表示を確認してください。
Q. 哺乳瓶をいやがるようになりました
環境が変わると、普段どおりに飲まなくなることがあります。珍しいことではありません。
ただし、飲む量が明らかに減っている、機嫌が悪い、おしっこが少ないといった変化があるときは、様子見を続けないでください。
保健師か医療者に相談してください。災害時でも、相談の窓口は動いています。
Q. 開封した粉ミルクは、どれくらい持ちますか
製品ごとに開封後の使用期間が表示されています。缶やパッケージを確認してください。
そして、湿気を避けることが前提です。断水・停電で湿度が高くなる状況では、密閉に気をつけてください。
スティックタイプやキューブタイプは、1回分ずつ個包装になっています。災害時にはこちらのほうが扱いやすい。
Q. 井戸水や湧き水で調乳してよいですか
避けてください。飲用に適しているかどうかが確認できません。
災害時は、地下水の水質が変わることがあります。普段は問題のない井戸でも、同じとは限りません。
調乳には、備蓄のペットボトル水か、給水車の水を沸かして使ってください。
Q. 平時に、何をしておけばよいですか
三つあります。
一、液体ミルクを一度使ってみてください。子どもが飲むかどうかが分かります。災害時に初めて出して、いやがられると困ります。
二、使い捨て哺乳瓶を試しておいてください。組み立て方に慣れておくと、暗いなかでも扱えます。
三、相談先を書き出しておいてください。かかりつけの小児科、産院、市区町村の子育て相談窓口。紙に書いて持ち出し袋に入れておきます。
Q. 保育園や職場に預けているあいだに被災したら
すぐに引き取りに行けるとは限りません。預け先に、何がどれだけ備えられているかを聞いておいてください。
アレルギー用のミルクを使っている場合は、その旨を必ず伝え、可能なら預け先にも置かせてもらってください。
そして、連絡が取れないことを前提に、どこで落ち合うかを決めておいてください。通信は混み合います。
Q. 双子や、年子の場合はどう備えますか
単純に、人数分を掛けてください。ここを甘く見積もると、いちばん困ります。
双子で1週間分となると、量も重さもかなりのものになります。だからこそ、家に置く分と持ち出す分を分けてください。
持ち出せる量には限りがあります。まずは半日から1日分を確実に持ち出し、その先は在宅避難か、支援の受け取りで組み立てる。この前提で考えるほうが現実的です。
そして、手が足りません。避難所では、支援の申し出を断らないでください。運営者にも、状況を早めに伝えておいてください。
まとめ|迷ったら、相談してください
最後に整理します。
この記事の要点
一、母乳代替品になるのは、乳児用の調製粉乳と調製液体乳だけです。
二、牛乳・豆乳・果汁・重湯は、代わりになりません。
三、母乳が出ているなら、続けることが推奨されています。
四、粉ミルクは70度以上のお湯で調乳し、2時間以内に使ってください。
五、液体ミルクは開封したらすぐ使い、飲み残しは使いません。
ここから先は、私の役割ではありません
この記事は、公的機関が公表している内容の整理に徹しました。
どれくらい飲ませるか、いつ受診するか、この製品を使ってよいか。こうした個別の判断は、医師・助産師・保健師に相談してください。
災害時は受診をためらいがちですが、避難所には保健師が入りますし、災害医療のチームも動きます。相談先は、思っているよりあります。
この記事で参照した資料
本文中の内容は、次の公表資料に基づいています。
日本小児科学会「乳児用調製液体乳(液体ミルク)の使用に関しての注意点」。保存・期限・開封後の扱い、そして母乳代替食品としての位置づけについて。
厚生労働省「授乳・離乳の支援ガイド」(2019年改定版)。授乳の支援の考え方、離乳の開始時期の目安、牛乳の扱いについて。
厚生労働省が示す「乳児用調製粉乳の安全な調乳、保存及び取扱いに関するガイドライン」。70度以上での調乳と、調乳後2時間以内という取り扱いについて。
内閣府「避難所における良好な生活環境の確保に向けた取組指針」。授乳スペースの確保と、保健師等による支援について。
いずれも、各機関のウェブサイトで公開されています。ご自身で原典を確認していただけます。
そして、資料の内容は改定されることがあります。最新の版を確認してください。
そして、備蓄の置き場所を分散させておくと安心です。家の一か所にまとめておくと、その部屋が使えなくなったときに全部を失います。玄関、寝室、車。数か所に分けておいてください。
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