【この記事の要約】
結論から言います。冬の避難所で怖いのは、寒さと感染症です。体育館の床は冷たく、暖房は行き渡らず、人が密集します。そして、冬はインフルエンザとノロウイルスの季節と重なります。2024年1月の能登半島地震では、避難所で感染症が広がりました。だから持っていくものが、夏とは変わります。床に敷くもの、寝袋か毛布、上履き、マスク、そしてアルコール消毒とビニール袋。この記事では、冬の避難所で実際に起きること、持ち物、そして「避難所に行かない」という選択が成立する条件までをまとめました。避難先は、避難所だけではありません。
結論|冬に持っていくもの、五つ
細かい話の前に、先に答えを書きます。
一、床に敷くもの
これが最優先です。体温を最も奪うのは、空気ではなく床です。
銀マット、キャンプ用のマット、段ボール。一枚あるだけで、眠れるかどうかが変わります。
二、寝袋か毛布
避難所の毛布は、数が足りないことがあります。そして、届くまでに時間がかかります。
三、上履き
見落とされがちですが、大きい。
体育館の床は、靴下では冷たすぎます。そして、土足の場所と分ける必要があります。
四、マスクとアルコール消毒
冬の避難所は、感染症が広がりやすい環境です。密集し、換気しづらく、水が出ないことがある。
五、ビニール袋と携帯トイレ
断水すると、トイレが最初に問題になります。そして、汚物の処理が感染の原因になります。
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冬の避難所で、何が起きるのか
冬の避難所で起きることを、順に見ていきます。
体育館は、暖まりません
天井が高く、容積が大きい。ストーブを置いても、暖かい空気は上に行きます。
そして、床が冷えています。コンクリートの上に板を張った構造なので、下から冷えが上がってきます。
だから、床対策をした人としなかった人で、体感が大きく違います。
停電すれば、暖房も止まります
冬の災害では、停電が同時に起きることが多い。
エアコンも電気ストーブも動きません。石油ストーブがあっても、灯油の在庫には限りがあります。
そして、燃焼式の暖房を使えば、換気が必要になります。寒い中で窓を開けることになります。
感染症が広がりやすい
条件が揃ってしまいます。
| 条件 | 結果 |
|---|---|
| 密集 | 距離が取れません |
| 換気しにくい | 寒いので窓を閉めます |
| 断水 | 手が洗えません |
| 共用のトイレ | 接触の機会が増えます |
| 体力の低下 | 寒さと睡眠不足で抵抗力が落ちます |
| 季節性の流行 | インフルエンザとノロウイルスの時期と重なります |
2024年の能登半島地震で、実際に起きました
1月1日に発生した地震です。真冬の被災でした。
断水が長期化し、避難所で感染症が広がったことが報じられました。そして、災害関連死が直接死を上回りました。
建物の下敷きになって亡くなった方より、避難生活のなかで体調を崩して亡くなった方のほうが多い。
これが、冬の災害の現実です。詳しくは能登半島地震とは?にまとめました。
冬の持ち出し袋|中身を入れ替えてください
季節ごとに見直すのが理想ですが、年に二回でも十分です。春と秋。
防寒として、足すもの
| もの | 理由 | 優先度 |
|---|---|---|
| アルミ製の保温シート | 軽く、小さく、体に巻けます | 高 |
| 使い捨てカイロ | 10個入れても軽い | 高 |
| ニット帽 | 頭から熱が逃げます | 高 |
| 手袋 | 作業にも使えます | 高 |
| 厚手の靴下 | 足元の冷えが体温を奪います | 高 |
| ネックウォーマー | 首を守ると体感が変わります | 中 |
| 上履き・室内履き | 体育館の床は冷たい | 高 |
| 着替え(下着・靴下) | 濡れたら着替える | 高 |
アルミの保温シートは、使い方があります
持っている方は多いのですが、正しく使えていないことがあります。
体に巻いて、隙間を作らないこと。熱を反射して閉じ込める仕組みなので、開いていると効きません。
そして、床に敷くのにも使えます。下からの冷えを遮ります。
欠点は、音がすることです。避難所で夜中に動くと、まわりに響きます。気になる方は、静音タイプを選んでください。
カイロの貼る場所
効率のよい場所があります。
首の後ろ、肩甲骨の間、腰、お腹。太い血管が通っている場所を温めると、血液が全身を巡って体全体が温まります。
足先が冷たいときも、足首やふくらはぎを温めるほうが効果的です。
ただし、低温やけどに注意してください。肌に直接貼らず、衣類の上から。そして、貼ったまま眠らないでください。
減らしてよいもの
荷物には限りがあります。
虫よけ、冷却シート、経口補水の粉末を大量に。夏に必要だったものは、冬は優先度が下がります。
ただし、水分補給そのものは冬も必要です。あとで書きます。
重さの上限を、決めてください
持ち出し袋は、実際に背負って歩けなければ意味がありません。
雪道や、がれきの上を歩くことになります。一度背負って、家の周りを5分歩いてみてください。
重すぎると感じたら、減らしてください。持って出られない袋は、置いていくことになります。
低体温症を、防ぐ
寒さの影響は、思っているより早く出ます。
濡れたものを、着続けないでください
これが最も危険です。
濡れた衣服は、乾いた状態の何倍もの速さで体温を奪います。雪や雨の中を避難してきた場合、まずここです。
だから、着替えを持っていってください。とくに靴下と下着です。
三つの層で考えてください
一、肌に触れる層。汗を吸って乾きやすいもの。綿は乾きにくいので不向きです。
二、中間の層。空気をためて保温する。フリースなど。
三、外側の層。風と水を防ぐ。
厚手の一枚より、薄手を重ねるほうが暖かく、調節もできます。
頭、首、手首、足首を守る
体温が逃げやすい場所です。
ニット帽、ネックウォーマー、手袋、厚手の靴下。どれも小さくて軽い。持ち出し袋に入れておいてください。
温かい飲み物が、効きます
体の中から温めるのがいちばん早い。
カセットコンロがあれば、お湯が沸かせます。そして、温かい食事は気持ちの面でも大きい。
ただし、アルコールは避けてください。一時的に温かく感じますが、血管が広がって熱が逃げます。
感染症を、防ぐ
感染症は、冬の避難所で最も現実的な脅威です。
手を清潔にすることが、基本です
断水していると、手が洗えません。
だから、アルコール消毒を持っていってください。そして、ウェットティッシュも。
ただし、ノロウイルスにはアルコールが効きにくいとされています。この場合は、石けんと流水で洗い流すことが基本になります。水が使えるなら、洗ってください。
マスクを、複数枚
咳やくしゃみによる広がりを抑えます。
そして、粉じん対策にもなります。地震のあとは、崩れた建材の粉が舞います。
ビニール袋が、想像以上に役立ちます
汚物の処理、ごみの分別、濡れたものの隔離。感染対策の多くが、ビニール袋で成り立ちます。
そして、体に巻けば防寒にもなります。大きめのごみ袋を数枚、入れておいてください。
体調が悪くなったら、必ず伝えてください
ここは大事な点です。
「迷惑をかけたくない」と考えて、黙っている方がいます。けれど、それが広がる原因になります。
発熱、嘔吐、下痢。避難所の運営者に伝えてください。別の場所を用意してもらえることがあります。
そして、自分の治療のためにも早いほうがよい。我慢して悪化するのが、いちばん危険です。
持病の薬を、忘れないでください
避難所で最も困るのが、常用薬が手元にないことです。
お薬手帳のコピーか、写真を持っていてください。何を飲んでいるかが分かれば、医療班が対応しやすくなります。
薬の量や種類の変更は、必ず医師や薬剤師に相談してください。自己判断で減らしたり止めたりしないでください。
トイレと水が、感染の分かれ目です
ここが、冬の避難生活で最も現実的な問題になってきます。
断水すると、トイレが最初に止まります
水が出なければ、流せません。使えないトイレに、使い続けられた結果が、避難所で起きます。
そして、汚物が残った空間は、感染の温床になります。ノロウイルスは、乾燥した汚物から空気中に舞い上がって広がることがあります。
だから、携帯トイレを持っていってください
これは、自分のためだけではありません。
使えるトイレの数が限られるなかで、自分の分を自分で処理できれば、全体の負担が減ります。
凝固剤と防臭袋がセットになったものが売られています。一人あたり、1日5回分が目安とされています。
トイレを我慢すると、別の問題が起きます
ここがつながっている点です。
トイレに行きたくないから、水を飲まなくなる。すると脱水になり、血液が濃くなります。
そして、エコノミークラス症候群のリスクが上がります。冬は、寒さで動かないことも重なります。
つまり、携帯トイレを持っていくことが、水分をきちんと取ることにつながっています。
冬でも、水分は必要です
汗をかかないので、忘れがちです。
けれど、冬は空気が乾いていて、呼吸から失われる水分が多い。そして、暖房を使えばさらに乾きます。
喉が渇いていなくても、意識して飲んでください。温かい飲み物なら、防寒にもなります。
手洗いができないときの、順番
水が貴重なとき、優先順位があります。
一、食事の前。ここが最も重要です。
二、トイレのあと。
三、共用のものに触れたあと。
水が使えるなら、石けんで洗い流すのがいちばん確実です。とくにノロウイルスは、アルコールが効きにくいとされています。
水が使えないときは、ウェットティッシュで汚れを拭き取ってから、アルコールで消毒してください。汚れが残っていると、消毒の効果が落ちます。
吐いた人が出たら、どうするか
ここは、ノロウイルスを想定した対応です。
直接触らないでください
使い捨ての手袋とマスクを着けてから処理してください。素手は避けてください。
そして、処理する人以外は、その場から離れてください。近づく人が少ないほど、広がりません。
広げないように、覆ってから
拭き取ると、ウイルスが舞い上がります。
ペーパータオルや新聞紙で上から覆って、外側から内側へ集めるように取り除きます。
取り除いたものは、すぐにビニール袋に入れて、口を縛ってください。二重にすると、より安全です。
換気を、してください
寒くても、この場面では窓を開けてください。
空気中に舞ったウイルスを外へ出すことが、次の感染を防ぎます。
そして、運営者に伝えてください
一人で処理しないでください。
避難所には、消毒用の資材が用意されていることがあります。そして、保健師や医療班が対応してくれます。
隠さないこと。これが、全体を守ります。
エコノミークラス症候群にも、注意が要ります
エコノミークラス症候群は、冬にとくに起きやすくなります。
なぜ冬に起きやすいのか
理由は三つです。
一、寒くて動かなくなる。同じ姿勢で座り続けます。
二、水分を取らなくなる。トイレを我慢するため、意識的に飲まなくなります。
三、車中泊が増える。寒さや感染を避けて車で過ごす方が増えます。狭い姿勢が続きます。
対策は、動くことと飲むことです
1時間に1回、立って歩く。足首を回すだけでも違います。
そして、水分を取ってください。トイレを我慢するために飲まないのが、最も危険な選択です。
だから、携帯トイレを持っていくことが、この予防にもつながります。
詳しくは災害時のエコノミークラス症候群にまとめました。
眠れることが、体を守ります
ここは、見落とされやすい点です。
睡眠不足が、抵抗力を下げます
避難所では、音、明かり、人の気配で眠れません。そこに寒さが加わります。
眠れない日が続くと、体調を崩しやすくなり、判断力も落ちます。
災害関連死の背景には、この積み重ねがあります。数日の避難で終わらないことを、前提に考えてください。
持っていくと、眠りやすくなるもの
小さくて軽いものばかりです。
耳栓。体育館の夜は、想像以上に音が響きます。
アイマスク。照明が消えないことがあります。
使い慣れた小さなタオルや枕カバー。環境が変わっても、感触が同じだと眠りやすい。
そして、床に敷くもの。結局ここに戻ります。硬さと冷たさが、眠れない最大の理由です。
子どもには、いつものものを
お気に入りのぬいぐるみや、いつも読んでいる本。荷物としては無駄に見えますが、意味があります。
知らない場所で、知らない人に囲まれる。子どもにとっては、大人以上に負担が大きい。
ひとつでも「いつも通り」があると、落ち着きます。
避難所に着いてから、最初にやること
やることには、順番があります。
一、受付で名前を伝える
これは、安否確認と支援の起点になります。
在宅避難や車中泊を選ぶ場合も、ここで伝えてください。名簿に載らないと、物資も情報も届きません。
二、場所を確保する
選べるなら、壁際か、隅を選んでください。荷物が置けて、人の通り道になりません。
ただし、窓のすぐ下は冷えます。冬は、窓から離れたほうが暖かい。
そして、出入り口の近くは、開閉のたびに冷気が入ります。
三、床に敷く
場所が決まったら、すぐに敷いてください。
段ボールが配られていれば、それを使ってください。持参したマットと重ねれば、さらに効果があります。
四、トイレの場所と、水の状況を確認する
暗くなる前に確認しておきます。
使えるトイレはどこか。水は出るか。そして、給水の予定はあるか。
五、体調の悪い人がいれば、伝える
自分か家族に症状があれば、この時点で伝えてください。
持病がある方、妊娠中の方、乳幼児がいる家庭も同じです。配慮してもらえることがあります。
六、情報の掲示場所を見つける
支援物資、給水、入浴、罹災証明。情報は掲示板に貼られることが多い。
そして、スマホの充電ができる場所も確認しておいてください。
避難所に行かない、という選択
避難先の選択肢についても、整理しておきます。
避難先は、四つあります
| 避難先 | 向いている場合 | 注意 |
|---|---|---|
| 指定避難所 | 自宅が危険なとき | 寒さと感染症の対策が要ります |
| 在宅避難 | 自宅が安全で、備蓄があるとき | 情報と支援が届きにくい |
| 親戚・知人宅 | 受け入れ先があるとき | 事前の相談が必要です |
| 車中泊 | 他に手段がないとき | 一酸化炭素中毒とエコノミークラス症候群 |
在宅避難が成立する条件
三つ揃えば、自宅にとどまれます。
一、建物が安全であること。倒壊の危険がなく、浸水の想定区域でないこと。
二、暖房手段があること。停電しても使えるものが一つ。
三、水と食料の備蓄があること。最低3日、できれば1週間。
この三つが揃っていれば、冬は自宅のほうが安全なことが多い。感染のリスクも下がります。
ただし、情報は取りに行ってください
在宅避難の弱点です。
支援物資、給水、罹災証明の受付。これらの情報は、避難所に集まります。
そして、自治体が「在宅避難者がいる」ことを把握していないと、支援が届きません。
だから、最寄りの避難所に顔を出して、在宅避難していることを伝えてください。名簿に載せてもらう。
車中泊を選ぶなら
条件付きです。
一、燃焼式の暖房を車内で使わない。一酸化炭素中毒で死亡します。
二、マフラーが雪で埋まっていないか確認する。同じ理由です。
三、1時間に1回は体を動かす。エコノミークラス症候群を防ぎます。
詳しくは車中泊避難に必要なもの完全リストにまとめました。
在宅避難を、冬に成立させる
条件さえ揃うなら、これがいちばん現実的な選択です。
暖房が、最大の課題です
建物が無事でも、停電すれば暖房が止まります。
そして、エアコンも石油ファンヒーターも動きません。電気を使わない暖房が一つあるかどうかで、在宅避難が成立するかが決まります。
反射式の石油ストーブ、カセットガスストーブ、そして寝袋。どれか一つは持っておいてください。
詳しくは停電しても使える暖房はどれかにまとめました。
一部屋に集まってください
家全体を暖めるのは無理です。
家族が一つの部屋に集まって、そこだけを暖める。これが最も効率がよい。
そして、窓に段ボールや厚手のカーテンを当ててください。熱の多くは窓から逃げます。
床にはマットや毛布を敷く。できれば、部屋の中にテントを張ると、さらに保温されます。
水の備えが、冬はとくに要ります
断水したとき、雪があれば溶かして生活用水にできます。ただし、飲用には向きません。
そして、水道管が凍結して断水することもあります。この場合、地域全体ではなく自宅だけが止まります。
飲料水は、一人1日3リットルを目安に、最低3日分を用意してください。
食べ物は、温められるものを
冬は、温かい食事の価値が上がります。体温そのものに関わるからです。
カセットコンロとボンベがあれば、湯が沸かせます。これだけで、できることが大きく広がります。
ボンベは、1本で1時間ほどが目安とされています。数本まとめて備えてください。
備蓄のやり方はローリングストックとは?にまとめました。
それでも、無理をしないでください
最後にひとつ。
家が寒すぎる、体調が悪い、不安が強い。そういうときは、避難所に行ってください。
在宅避難は、できる人がすればよい選択肢であって、義務ではありません。
とくに、高齢の方や乳幼児がいる家庭では、無理をしないでください。暖房と医療が近いほうが安全な場面があります。
災害関連死という言葉を、知っておいてください
ここは、この記事の背景にある考え方です。
建物の下敷きになるだけが、死因ではありません
災害関連死とは、災害そのものではなく、避難生活のなかで体調を崩して亡くなることを指します。
寒さ、睡眠不足、感染症、持病の悪化、水分不足、そしてストレス。これらが積み重なった結果です。
能登半島地震では、関連死が直接死を上回りました
2024年1月1日に発生した地震です。真冬でした。
断水が長期化し、道路が寸断され、多くの集落が孤立しました。そして、避難生活が長期化しました。
その結果、災害関連死の数が、直接亡くなった方の数を上回りました。
これは、備え方を変えるべきだという示唆です。詳しくは能登半島地震とは?にまとめました。
だから、この記事は「避難したあと」に重点を置きました
逃げることは、もちろん大事です。けれど、逃げたあとの数日から数週間で、命が失われています。
床に敷くもの一枚。カイロ10個。携帯トイレ。どれも小さなものですが、この期間を支えます。
そして、頼ることを我慢しないでください
最後に書いておきたいことです。
体調が悪い、眠れない、不安で仕方がない。これらは、伝えてよいことです。
避難所には、保健師や医療班が入ることがあります。そして、自治体の相談窓口があります。
我慢して悪化させることが、いちばん避けたい結果です。周りに迷惑をかけることではありません。
家族で、先に決めておくこと
ものの準備と同じくらい、事前の話し合いが効きます。
どこに逃げるかを、決めておく
指定避難所がどこかを、家族全員が知っていますか。
そして、冬は道が変わります。雪で通れない道、凍って歩けない坂。夏に想定した経路が使えないことがあります。
一度、冬に歩いてみてください。それだけで、当日の判断が変わります。
連絡が取れないときの、集合場所
災害時は、電話がつながりません。
だから、「連絡が取れなければ、ここに集まる」という場所を決めておいてください。
そして、災害用伝言ダイヤルの使い方を家族で確認しておくと、安心材料になります。
離れて暮らす家族と、確認しておく
実家が雪国なら、この時期に一度話しておいてください。
暖房が停電で止まったらどうするか。近所に頼れる人はいるか。そして、どこへ避難するか。
高齢の方ほど、「これまで大丈夫だったから」と考えがちです。電話一本で、確認できます。
そして、備えは分散させてください
家に全部置いておくと、家に戻れないときに何も使えません。
車に毛布とカイロ。職場にスニーカーと防寒具。分けて置くだけで、選択肢が増えます。
よくある質問
Q. 避難所に暖房はありますか
施設によります。そして、停電すれば多くが止まります。
石油ストーブが用意されている避難所もありますが、体育館全体を暖めるには足りません。
だから、自分の分の防寒は、自分で持っていく前提で考えてください。
Q. 段ボールベッドは、どこにでもありますか
用意される避難所が増えていますが、すぐに届くとは限りません。
そして、数に限りがあります。高齢の方や体調の悪い方が優先されます。
床から離れることには、冷え対策と、ほこりを吸わない効果があります。使えるなら使ってください。
Q. ペットは連れていけますか
自治体によって対応が違います。受け入れる避難所と、受け入れない避難所があります。
受け入れる場合も、人と同じ空間ではないことが多い。屋外や別室になります。
だから、冬は寒さ対策が要ります。ケージ、毛布、そしてフードと水。
事前に、自分の地域の対応を調べておいてください。当日に確認するのでは間に合いません。
Q. 赤ちゃんがいます。冬の避難で気をつけることは
体温調節が難しいので、寒さの影響が早く出ます。
そして、感染症の影響も受けやすい。人の多い場所を避けられるなら、避けたほうがよい場面があります。
持ち物としては、着替えを多めに、そしておむつとおしりふき。断水すると洗えません。
体調に不安があるときは、避難所の医療班や保健師に相談してください。判断を一人で抱えないでください。
Q. 冬の持ち出し袋は、夏と何が違いますか
大きく違うのは、防寒に関わるものです。
追加するもの。床に敷くマット、寝袋か毛布、上履き、ニット帽、手袋、厚手の靴下、使い捨てカイロ、着替え。
減らしてよいもの。夏に必要だった虫よけや冷却剤。
そして、カイロは意外とかさばりません。10個入れても軽い。優先度の高い備えです。
Q. インフルエンザやコロナのワクチンは、打っておくべきですか
接種の判断は、年齢、持病、これまでの接種歴などによって変わります。ここで一律に勧めることはできません。
ただ、事実として書けるのは、冬の避難所は人が密集し、換気しづらく、感染が広がりやすい環境だということです。
接種するかどうか、いつ受けるかは、かかりつけの医師に相談してください。持病がある方、妊娠中の方、乳幼児は、とくに個別の判断が必要です。
Q. 避難所ではお風呂に入れますか
すぐには入れません。断水していれば、なおさらです。
時間が経つと、自衛隊の入浴支援や、近隣の入浴施設の開放が行われることがあります。
それまでの間は、ウェットティッシュや、体を拭くシートで対応します。ドライシャンプーもあります。
清潔を保つことは、感染予防と、気持ちの安定の両方につながります。
Q. 女性が備えておくとよいものは
生理用品を、多めに。支援物資として届きますが、時間がかかり、種類も選べません。
そして、着替えと、体を拭くシート。着替える場所が確保しづらいので、上から羽織れる大きめの布があると助かります。
避難所では、更衣室や授乳スペースが用意されることがあります。ないときは、運営者に相談してください。要望を伝えてよいことです。
Q. どのくらいの期間を想定すればよいですか
被害の規模によりますが、「数日で終わる」と考えないほうが安全です。
能登半島地震では、断水が数か月に及んだ地域がありました。
備蓄の目安として、最低3日、できれば1週間とよく言われます。これは「支援が届くまでの時間」であって、生活が元に戻るまでの時間ではありません。
Q. 冬の避難訓練は、参加する意味がありますか
あります。むしろ、冬にこそ意味があります。
雪の日に避難経路を歩いてみると、夏には気づかなかったことが分かります。坂が凍っている、歩道が雪で埋まっている、街灯が少なくて暗い。
そして、避難所までにかかる時間が、夏の倍になることがあります。
訓練がない地域でも、家族で一度歩いてみるだけで十分です。30分あればできます。
まとめ|床、寝袋、上履き、マスク、袋
最後に、あらためて整理します。
この記事の要点
一、冬の避難所で怖いのは、寒さと感染症です。
二、体温を最も奪うのは床。敷くものを一枚持っていってください。
三、断水すると手が洗えません。アルコールとウェットティッシュを。
四、体調が悪くなったら、必ず伝える。黙っていると広がります。
五、条件が揃うなら、在宅避難のほうが安全なことがあります。ただし名簿には載せてもらってください。
六、車中泊で燃焼式の暖房を使わない。死亡事故が起きています。
今日できること
持ち出し袋を開けて、冬用のものが入っているかを確認してください。
入っていなければ、使い捨てカイロと、ニット帽と手袋を足してください。軽くて、効果が大きい。
そして、床に敷くものを一つ決めてください。これが、冬の避難でいちばん効きます。
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