【この記事の要約】
結論から言います。冬支度は、寒くなってからでは間に合いません。灯油も除雪の道具もスタッドレスタイヤも、必要になった時点で品薄になります。期限は10月末です。そして、冬の災害で怖いのは雪そのものではありません。動けなくなること、暖房が止まること、水道が凍ることです。2021年1月には北陸自動車道で100台以上が立ち往生し、除雪中の事故ではある年に74人が亡くなり、その9割超が65歳以上でした。この記事は、10月までにやることを順番に並べたチェックリストです。雪の降らない地域の方にも、停電と乾燥の項目は当てはまります。
結論|10月末までに、五つ
やることを絞ります。全部をやろうとすると、かえって動けなくなります。ここでは、優先度の高いものだけを並べます。
優先順位の高い五つ
一、暖房器具を一度動かす。去年から使っていないものは、壊れていることがあります。
二、灯油を確保する。寒くなると値上がりし、品薄になります。
三、停電しても使える暖房を一つ持つ。エアコンもファンヒーターも、電気が止まれば動きません。
四、水道管の凍結対策を確認する。破裂すると、修理に数万円かかります。
五、車の冬支度。タイヤ交換と、積んでおくもの。
雪の降らない地域でも、三つは当てはまります
停電したときの暖房。水道管の凍結。そして乾燥による火災。
雪が降らない地域ほど、寒さへの備えが薄くなります。そして、めったに降らない雪で交通が止まります。
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冬の災害で、実際に何が起きているか
備えの話の前に、何を防ぎたいのかを整理します。
一、動けなくなる
大雪でいちばん多い被害は、建物が壊れることではありません。移動ができなくなることです。
2021年1月、北陸自動車道と国道8号で1,000台を超える車が立ち往生しました。解消までに3日近くかかった区間があります。
車の中で、暖房と食料と水が尽きていく。トイレにも行けません。そして、燃料が切れれば低体温症の危険が出ます。
この形の被害は、雪国だけで起きているわけではありません。数センチの雪で高速道路が閉鎖され、一般道が詰まる。除雪の体制がない地域ほど、少ない雪で止まります。
二、暖房が止まる
冬の停電は、夏の停電とは危険度が違います。
2018年9月の北海道胆振東部地震では、全域が停電しました。9月でしたが、北海道の朝は冷え込みます。これが1月だったらどうなっていたかと、当時多くの人が語っていました。
電気が止まると、エアコンも石油ファンヒーターも動きません。石油ファンヒーターは灯油で燃やしますが、送風と点火に電気を使うためです。
ここを知らない方が多い。灯油があるから大丈夫、とはならないのです。
三、水が使えなくなる
水道管が凍る。あるいは破裂する。
凍るだけなら解ければ戻ります。けれど破裂すると、修理費が数万円かかり、業者の順番待ちになります。
寒波のあとは、水道工事が数日から数週間待ちになることがあります。その間、水が使えません。
四、火事が増える
冬は火災の多い季節です。
空気が乾き、暖房を使い、電力の使用が増える。この三つが同時に起きます。
そして、雪で消防車の到着が遅れることがあります。消火栓が雪に埋まっていることもあります。
この四つを、それぞれ防ぎます
ここから先のチェックリストは、この四つに対応しています。
| 防ぎたいこと | 対応する備え | 期限 |
|---|---|---|
| 動けなくなる | タイヤ交換。車載品。備蓄 | 10月末 |
| 暖房が止まる | 電気を使わない暖房。灯油 | 10月末 |
| 水が使えない | 水道管の保温。給湯器の電源 | 11月上旬 |
| 火事 | 暖房まわりの掃除。コンセント点検 | 暖房を出すとき |
なぜ、10月末が期限なのか
なぜ10月末なのか。理由が三つあります。
一、寒くなると品薄になります
灯油、除雪用のスコップ、スタッドレスタイヤ、防寒具。どれも、必要になってから買おうとすると手に入りません。
とくにタイヤは、交換の予約が取れなくなります。初雪の予報が出た週は、どこも満杯です。
二、点検には時間が要ります
暖房器具が壊れていた場合、修理や買い替えに日数がかかります。
10月に確認すれば、間に合います。12月に気づいたら、寒い部屋で待つことになります。
三、雪は予報より早く来ます
北海道では10月に初雪が降ることがあります。東北や北陸でも、11月には備えが要ります。
「まだ早い」と思っているうちに、朝起きたら積もっている。これが毎年繰り返されています。
チェックリスト|暖房
ここからは暖房です。順番に確認してください。
一度、実際に動かしてください
見た目や年数では分かりません。スイッチを入れて、暖かい風が出るかを確かめてください。
エアコンなら、フィルターの掃除もこの時期に。詰まっていると効率が落ち、電気代が上がります。
石油ファンヒーターは、去年の灯油が残っていないかを見てください。古い灯油は、故障の原因になります。
去年の灯油は使わないでください
ここは、意外と知られていない重要な点です。
灯油は変質します。色が変わったもの、においが違うものは使わないでください。不完全燃焼や故障の原因になります。
処分は、買った店やガソリンスタンドに相談してください。地面や排水口に流すのは絶対にやめてください。
停電しても使える暖房を、一つ持ってください
ここが、防災としていちばん大事な点です。
| 暖房 | 停電時 | 注意 |
|---|---|---|
| エアコン | 使えません | 電気が必要 |
| 石油ファンヒーター | 使えません | 送風に電気を使います |
| 反射式の石油ストーブ | 使えます | 換気が必須。一酸化炭素中毒に注意 |
| カセットガスストーブ | 使えます | 換気が必須。ボンベの備蓄も |
| 電気ストーブ | 使えません | — |
| 寝袋・毛布 | 使えます | 最も確実。電気も燃料も不要 |
電気を使わない暖房が一つもない家は、停電すると暖を取る手段がありません。
詳しくは停電しても使える暖房はどれかにまとめました。
燃焼式を使うなら、換気は必須です
石油ストーブもカセットガスストーブも、締め切った部屋では一酸化炭素中毒を起こします。
一酸化炭素は無色無臭です。気づいたときには動けなくなっています。
1時間に1回、数分の換気。これを守ってください。仕組みは災害時の一酸化炭素中毒とは?にまとめました。
チェックリスト|停電への備え
冬の停電は、命に関わります。ここを厚く書きます。
暖房、明かり、通信、水。この四つです
優先順位ははっきりしています。冬はまず暖房です。
| 用途 | 用意するもの | 備考 |
|---|---|---|
| 暖房 | 反射式石油ストーブ/カセットガスストーブ/寝袋 | 燃焼式は換気が必須 |
| 明かり | LEDランタン。ヘッドライト | ろうそくは火災の危険。避けてください |
| 通信 | モバイルバッテリー。ポータブル電源 | 低温で容量が落ちます |
| 水 | 飲料水。生活用水 | 断水と凍結の両方に備えます |
| 調理 | カセットコンロとボンベ | 温かい食事が体温を保ちます |
冬は、電池とバッテリーの性能が落ちます
見落とされやすい点です。
リチウムイオン電池は低温で容量が落ちます。モバイルバッテリーもポータブル電源も、寒い場所に置くと本来の性能が出ません。
対策は単純です。使うときは、服の内側や寝袋の中に入れて温めてください。そして、冬は玄関や物置ではなく、室内に保管してください。
ポータブル電源の低温での挙動はポータブル電源は寒いと性能が下がる?にまとめました。
灯油ストーブは、電池も一緒に
反射式の石油ストーブは、点火に乾電池を使う機種があります。
本体があっても、電池が切れていれば点きません。予備の乾電池を、ストーブと同じ場所に置いてください。
寝袋は、冬の防災用品として優秀です
電気も燃料も要りません。
停電しても、着ているものの上から入れば体温を保てます。そして、車に積んでおけば立ち往生でも使えます。
選ぶなら、使用可能温度ではなく「快適使用温度」を見てください。使用可能温度は「生存できる限界」であって、快適に眠れる温度ではありません。
床の冷えを止めてください
体温を奪うのは、空気より床です。
段ボール、銀マット、新聞紙。床との間に一枚あるだけで、体感が変わります。
これは避難所でも同じです。床に直接寝ると、眠れず、体調を崩します。
チェックリスト|通勤・通学の日
雪の日の朝、判断が要ります。
前日の夜に、明日の判断を決めてください
朝になってからでは、遅い。
大雪の予報が出ている日は、前の晩に「明日どうするか」を決めておいてください。公共交通を使うのか、そもそも出かけないのか。
雪の日の朝は、電車が止まり、道路が詰まり、判断する時間がありません。
歩く日の装備
雪道の転倒は、骨折につながります。とくに高齢の方です。
靴の裏を見てください。すり減った靴は、圧雪の上で滑ります。
そして、手袋をしてください。ポケットに手を入れて歩くと、転んだときに受け身が取れません。頭を打ちます。
雪道で危ないのは、雪そのものより踏み固められて磨かれた氷の面です。横断歩道の白線の上、建物の出入り口、地下鉄の階段の上。ここが最も滑ります。
車で出るなら、時間に余裕を
雪の日の移動時間は、普段の2倍から3倍を見てください。
急いで運転することが、事故の原因になります。間に合わないなら、行かない判断のほうが安全です。
チェックリスト|水道
次は水道です。凍結は、そのまま破裂につながります。
凍りやすい場所を知っておいてください
屋外に露出している管、北向きの壁沿い、風の当たる場所。そして、使っていない部屋の水回りです。
保温材が巻かれているか、劣化していないか。10月のうちに見てください。
給湯器は、電源プラグを抜かないでください
見落とされやすい点です。
多くのガス給湯器には凍結防止のヒーターが入っています。これは電気で動きます。
節電のつもりでプラグを抜くと、凍結して破裂します。冬のあいだは抜かないでください。
そして、停電するとこの機能も止まります。詳しくは給湯器が止まる冬にまとめました。
凍ったら、熱湯をかけないでください
急激な温度差で、管が割れます。
正しいのは、タオルを巻いて、ぬるま湯をゆっくりかける方法です。あるいは、自然に解けるのを待ちます。
対処は水道管が凍結したときの対処法にまとめました。
チェックリスト|車
ここからは車です。雪の降る地域では、そのまま命に関わります。
タイヤ交換は、初雪の前に
目安は、最低気温が7度を下回るころです。ノーマルタイヤのゴムは、この温度で硬くなり始めます。
そして、予約は早いほうが確実です。雪が降ってからでは、どこも取れません。
積んでおくもの
| もの | なぜ要るか |
|---|---|
| スコップ | マフラーの除雪に使います |
| 毛布か寝袋 | 燃料が尽きたあとの低体温症を防ぎます |
| カイロ | 手足の末端を温めます |
| 飲み水と食べ物 | 立ち往生は数十時間に及ぶことがあります |
| 携帯トイレ | 車から出られません |
| 牽引ロープ・スタックからの脱出用具 | 自力で抜け出せることがあります |
燃料は、半分を切ったら入れてください
これは冬の鉄則です。夏とは考え方が違います。
立ち往生したとき、燃料が暖房そのものになります。そして、雪でスタンドまで行けなくなることもあります。
マフラーが埋まると、一酸化炭素中毒になります
これが、雪の立ち往生で最も多い死因になっています。必ず覚えておいてください。
排気ガスが車内に入り込みます。エンジンをかけたまま眠ると、そのまま亡くなります。
止まったら、まずマフラーの周りを除雪してください。それだけで濃度は大きく下がります。詳しくは雪で車が埋まると一酸化炭素中毒ににまとめました。
チェックリスト|除雪と屋根
ここは雪国の方向けの項目です。該当しない方は読み飛ばしてください。
除雪中の事故が、最も多い死因です
ある年の集計では、除雪中の事故で74人が亡くなり、その9割超が65歳以上でした。
内訳は、屋根からの転落が40.5%、屋根からの落雪が16.8%。半分以上が屋根に関わる事故です。
だから、屋根に登る回数を減らしてください
一、一人でやらない。下に見張りを置くだけで、結果が変わります。
二、命綱とヘルメットを使う。
三、はしごを固定する。転落の多くが、はしごからです。
四、業者や地域の支援を使う。費用の補助を出す自治体があります。
詳しくは屋根の雪下ろしと落雪事故の対策にまとめました。
道具は、10月のうちに
スコップ、スノーダンプ、雪かき用の長靴。雪が降ってからでは、店から消えます。
そして、スコップは玄関の内側に置いてください。外に置くと、雪に埋まって取れなくなります。
チェックリスト|備蓄と乾燥
この項目は、雪の降らない地域にもそのまま当てはまります。
雪国では、冬のあいだ常に数日分を
大雪で道路が塞がれると、物流が止まり、店の棚が空きます。
これは災害の備蓄というより、生活の習慣です。冬のあいだは、3日から1週間分を切らさないでください。
やり方はローリングストックとは?にまとめました。
乾燥は、火災につながります
冬は火災が増える季節です。
空気が乾き、暖房を使い、火の使用が増える。この三つが重なります。
暖房器具のまわりに、燃えるものを置かないでください。洗濯物、カーテン、新聞紙。ストーブの上に洗濯物を干すのは、非常に危険です。
電気火災にも注意してください
暖房器具は電力を多く使います。たこ足配線やコードの傷みが、火災の原因になります。
そして、コンセントにたまったほこりが湿気を吸って発火することがあります。トラッキング現象です。
暖房を出すときに、コンセントの周りを拭いてください。詳しくは電気火災とは?にまとめました。
チェックリスト|家の中の点検
暖房を出すタイミングで、一緒にやってください。
コンセントのほこりを拭く
1分で終わる作業ですが、効果はとても大きい。
プラグとコンセントの隙間にほこりがたまり、そこが湿気を吸うと電気が流れて発火します。トラッキング現象と呼ばれます。
とくに、長年挿しっぱなしのプラグが危ない。冷蔵庫の裏、テレビの裏、洗濯機の裏です。
一度抜いて、乾いた布で拭いてください。濡らさないでください。
たこ足配線を見直す
暖房器具は、電力を多く使います。
電気ストーブやオイルヒーターを延長コードやタップにつなぐと、コードが発熱します。できれば壁のコンセントに直接挿してください。
そして、コードを束ねたまま使わないでください。熱がこもります。家具の下敷きになっているコードも危険です。
暖房器具のまわりを空ける
ストーブの前に洗濯物を干す。これが、冬の住宅火災の典型的なパターンです。毎年繰り返されています。
落ちた洗濯物が、そのまま燃えます。カーテン、新聞紙、スプレー缶。ストーブの近くに置かないでください。
スプレー缶は、暖められると破裂します。これは実際に事故が起きています。
住宅用火災警報器の電池を確認する
設置から10年が交換の目安です。電池切れだけでなく、本体そのものが寿命を迎えます。
確認は簡単です。本体のボタンを押すか、ひもを引く。音が鳴れば生きています。
設置年は、本体の側面か裏に書いてあります。2016年以前なら、交換を検討してください。
消火器の期限を見る
消火器にも使用期限があります。住宅用でおおむね5年、業務用で10年が目安です。
そして、錆びた消火器は使わないでください。破裂事故が報告されています。
チェックリスト|家族と地域
ここからは人の話です。ものの備えだけでは足りません。
離れて暮らす高齢の家族へ、連絡を
10月のうちに、一度電話をしてみてください。用件はこれだけで十分です。
確認するのは三つです。暖房が動くか。灯油はあるか。除雪を一人でやっていないか。
とくに三つめです。除雪中の事故で亡くなる方の9割超が65歳以上という数字を、この記事の前半に書きました。
「危ないからやめて」だけでは止まりません。代わりの手段を用意することです。業者、自治体の支援、近所への依頼。
自治体の支援制度を調べておく
雪の多い市町村には、高齢者世帯への除雪支援があることが多い。費用の補助か、人手の派遣です。
申請に期限がある制度もあります。雪が降ってから調べるのでは、間に合わないことがあります。
「市町村名 除雪 支援 高齢者」で調べられます。
近所との関係も、備えのひとつです
雪の朝、家の前が雪の壁で塞がれていることがあります。除雪車が道路の脇に寄せていった雪です。
一人では動かせない量になることがあります。近所で声を掛け合えるかどうかで、結果が変わります。
そして、大雪で孤立したとき、安否を気にしてくれる人がいるかどうかが生死を分けることがあります。
雪の降らない地域の方へ
ここまで雪の話が続いたので、あらためて整理しておきます。
やることは、三つに絞れます
一、停電しても暖を取れる手段を一つ。寝袋か、カセットガスストーブか、湯たんぽでも構いません。
二、水道管の凍結対策。屋外の管に保温材が巻かれているか。給湯器の電源を抜かない。
三、火災の予防。暖房まわりの掃除と、コンセントのほこり。
そして、雪の日は出かけない判断を
めったに雪の降らない地域で降ったとき、いちばん安全なのは動かないことです。
夏タイヤの車が坂で止まり、後続が詰まる。数センチの雪で、道路が完全に機能を失います。
チェーンも冬タイヤもない状態で運転するのは、自分だけでなく周囲を巻き込みます。
月ごとの動き方
いつ、何をするか。ひと目で分かるように、カレンダーの形にしておきます。
| 時期 | やること | 理由 |
|---|---|---|
| 10月上旬 | 暖房器具を動かして確認 | 壊れていたら修理に日数が要ります |
| 10月中旬 | 灯油の確保。古い灯油の処分 | 寒くなると値上がりし品薄に |
| 10月下旬 | タイヤ交換の予約。除雪道具 | 初雪の予報が出ると予約が取れません |
| 11月上旬 | 水道管の保温。給湯器の確認 | 初霜の前に |
| 11月中 | 車載品の積み込み。備蓄の補充 | 初雪はここから |
| 12月以降 | 備蓄を切らさない。除雪は一人でやらない | 本番です |
今日やるなら、この一つ
暖房器具のスイッチを入れてください。5分で終わります。
これだけで、最悪の事態――真冬に暖房がないという状況――を避けられます。
10月の週末に、一つずつ
全部を一日でやろうとすると、動けなくなります。
10月には週末が4回あります。1回に2つずつで、十分に間に合います。
よくある質問
Q. 雪の降らない地域でも、備えは要りますか
要ります。むしろ、めったに降らない地域のほうが混乱します。
除雪車が少なく、夏タイヤの車が走り、坂道で止まる。一台が止まれば、後続が詰まって立ち往生になります。
そして、数センチの雪で交通が止まります。雪国の1メートルに相当する混乱が起きます。
Q. 灯油はどのくらい備えればよいですか
使用量は家庭によって大きく違うので、去年の消費量を目安にしてください。
大事なのは量より、切らさないことです。大雪で配達が止まることがあります。
保管は、直射日光を避け、屋内の火の気のない場所で。ポリタンクは劣化するので、古いものは交換してください。
Q. 停電したら、どのくらい部屋は冷えますか
建物の断熱によって大きく変わります。断熱の弱い住宅では、数時間で外気に近づきます。
やることは三つ。一つの部屋に集まる。窓に厚手のカーテンや段ボールを当てる。床に断熱材やマットを敷く。
床からの冷えが、いちばん体温を奪います。寝袋かマットが効きます。
Q. 高齢の親が雪下ろしをします。止められません
止めるのが難しいことは、私にもよく分かります。
現実的な提案は三つです。一人でやらせない。命綱とヘルメットを用意する。そして、自治体の支援制度を調べる。
費用の補助や、人手の派遣を行っている市町村があります。「市町村名 雪下ろし 支援」で調べられます。
Q. マンションでも、備えは要りますか
要ります。むしろ、戸建てとは別の注意点があります。
停電するとエレベーターが止まります。高層階なら、階段での上り下りになります。水も上がりません。給水ポンプが電気で動くためです。
つまり、マンションでは停電が断水を意味します。これを知らない方が多い。
そして、燃焼式の暖房が使えない物件があります。規約で禁止されていることがあるので、確認してください。使えない場合は、寝袋や防寒着で対応します。
Q. 石油ストーブは危ないと聞きました。使わないほうがよいですか
正しく使えば、停電時に最も頼りになる暖房です。
危ないのは、換気をしない場合と、周囲に燃えるものを置いた場合です。この二つを守れば、危険は大きく下がります。
具体的には、1時間に1回、数分の換気。そして、ストーブの周囲1メートルには何も置かない。
小さなお子さんやペットがいる家庭では、ストーブガードを併用してください。
Q. スタッドレスタイヤは何年使えますか
一般的な目安は3シーズンから4シーズンと言われています。ただし、走行距離と保管状況で変わります。
見るのは二つ。プラットフォームという段差が出ていないか。これが出たら、冬用としての性能は終わりです。
そして、ゴムが硬くなっていないか。溝が残っていても、硬化すると氷の上で効きません。
判断に迷うなら、タイヤ販売店で見てもらってください。10月なら空いています。
Q. 車に積むものは、どこに置けばよいですか
スコップは、すぐ取り出せる場所に。トランクの奥だと、雪をかき出したいときに荷物をどける手間が要ります。
毛布と携帯トイレは、車内に。トランクだと、立ち往生で外に出るのが危険な状況で取れません。
そして、飲み物は凍ります。冬の車内は氷点下になります。凍っても割れない容器を選んでください。
Q. 灯油を買いに行けなくなったら
大雪で外に出られない期間が、数日続くことがあります。
だから、ポリタンクは満タンで1本以上を常に残す形にしてください。使い切ってから買いに行くのではなく、半分になったら足す。
車の燃料と同じ考え方です。切らさないことが備えです。
Q. 湯たんぽは、防災用として使えますか
使えます。電気を使わず、燃料も要らない暖房手段として、とても優秀です。
お湯さえ沸かせれば作れます。カセットコンロがあれば、停電中でも用意できます。
置く場所は、足元ではなく、太ももかお腹です。太い血管が通る場所を温めると、全身が温まります。
ただし、低温やけどに注意してください。直接肌に当てず、必ずカバーか布で包んでください。眠っているあいだに、気づかないまま皮膚が傷むことがあります。
Q. 家族に赤ちゃんや高齢者がいます。追加で何が要りますか
いずれも、寒さの影響を最も強く受ける方たちです。
共通して言えるのは、体温調節が難しいことです。暑さも寒さも、自分で訴えにくい。
用意するなら、着るものを重ねられる形にしてください。厚手を一枚より、薄手を数枚のほうが調節できます。
そして、普段より部屋の温度を気にかけてください。温度計を一つ置くだけで、判断できるようになります。
窓の結露を拭くだけでは、カビは止まりません。結露は拭いても解決しませんにまとめました。
まとめ|10月末までのチェックリスト
最後に、やることを一覧にしておきます。
全地域
一、暖房器具を一度動かす。壊れていれば、修理に日数がかかります。
二、停電しても使える暖房を一つ持つ。寝袋でも構いません。
三、水道管の保温を確認する。給湯器のプラグは抜かない。
四、暖房まわりの掃除。コンセントのほこりを拭く。
雪の降る地域
五、タイヤ交換の予約。最低気温7度が目安です。
六、車に積むものをそろえる。スコップ、毛布、携帯トイレ。
七、灯油と除雪の道具。雪が降る前に。
八、備蓄を数日分に。冬のあいだは切らさない。
冬の備えは、地震の備えと重なります
最後に、ひとつだけ加えておきたいことがあります。
この記事で挙げたものは、冬に地震が起きたときにも、そのまま役に立ちます。
停電しても使える暖房。寝袋。数日分の備蓄。カセットコンロ。どれも、冬の地震でいちばん必要になるものです。
冬の被災で最も多い健康被害は、寒さによる体調の悪化です。避難所は暖かいとは限りません。停電すれば、暖房が止まります。
だから、冬支度をすることが、そのまま冬の防災になります。別々に考える必要はありません。
「まだ早い」と思ったときが、ちょうどよい時期です
毎年、同じことが繰り返されています。
寒くなってから慌てて灯油を買いに行き、品切れに出会う。雪が降ってからタイヤ交換を予約して、2週間待ちになる。暖房を出したら壊れていて、寒い部屋で修理を待つ。
どれも、10月に5分ずつ動いていれば避けられたことです。
この記事を読んだ今日、暖房のスイッチを一度入れてみてください。それが、いちばん確実な第一歩です。
この記事の使い方
全部を一度にやる必要はありません。10月の週末に、1つずつで十分です。
そして、いちばん上の「暖房を一度動かす」だけは、早めにやってください。壊れていたときに、対処する時間が要ります。
冬の停電全般は停電対策【冬編】に、大雪そのものは大雪で危ないのは「動けなくなること」にまとめました。




