被災地に千羽鶴は迷惑なのか|熊本市が「本当に困った」と答えたもの

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【この記事の要約】
結論から書きます。被災直後の千羽鶴は、負担になります。ただし、理由はよく言われるものとは少し違います。「気持ちが無駄だから」ではありません。受け取った物を仕分け、保管し、最後は処分する作業が、被災した自治体の職員に乗るからです。そして、熊本地震のあとに熊本市が「処置に困った」と答えたのは、実は折り鶴そのものではありませんでした。避難者が減ったあとも全国から届き続けた、個人からの支援物資の量です。つまり本当の論点は「千羽鶴という物」ではなく、「量」と「タイミング」にあります。この記事では、何が問題なのか、では何を送ればよいのか、そして千羽鶴が意味を持つ場面はあるのかを整理しました。

目次

結論|負担にはなります。ただし論点がずれています

先に、この記事の立場を書きます。

被災直後に送るべきではありません

これは、はっきり書きます。災害の直後、被災地に千羽鶴を送るのは避けてください。

理由は、受け取る側に作業が発生するからです。届いた荷物は、誰かが開け、中身を確認し、置き場所を決めることになります。

その「誰か」は、被災した自治体の職員です。避難所の運営、安否の確認、罹災証明の受付に追われている人たちです。

ただし、「気持ちが無駄」という話ではありません

ネット上では、この話が送る人を嘲笑する形で語られることがあります。「自己満足だ」「ゴミだ」という言い方です。

私は、その語り方は取りません。問題は動機ではなく、仕組みだからです。

善意で送っているのは間違いありません。ただ、その善意が現場では作業に変わってしまう。そこが論点です。

そして、千羽鶴だけの問題でもありません

ここが、いちばん誤解されている点です。

実際に自治体に聞くと、千羽鶴は「困ったもの」の代表格として名前が挙がるだけで、本体ではないことが分かります。次の章で、その中身を書きます。

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熊本市が「困った」と答えたもの

ここが、この記事でいちばん伝えたい部分です。

取材の内容

2018年の西日本豪雨のとき、千羽鶴をめぐる議論がまた起きました。そのときに、ねとらぼが熊本市の復興総室に取材しています。

2016年の熊本地震を経験した自治体に、実際どうだったのかを聞いた記事です。

そこで熊本市が処置に困ったものとして挙げたのは、折り鶴や色紙ではありませんでした。

本当に困ったのは、量とタイミング

市の回答は、避難者が少なくなったあとも、日本全国から個人の支援物資が大量に届き続けたことでした。

そして、こう説明されています。被災地のニーズは、時間がたつにつれて変わってしまう。

これは、重要な指摘です。「何を送るか」より「いつ送るか」のほうが、実は効いているということだからです。

つまり、こういうことです

千羽鶴を叩けば解決する問題ではありません。役に立つはずの物資でも、時期を外せば同じことが起きます。

毛布も、食料も、衣類も。必要な時期を過ぎて届けば、置き場所を圧迫し、最後は処分することになります。

だから、この記事の結論は「千羽鶴はやめろ」ではありません。「求められる前に、物を送らない」です。

なぜ物が負担になるのか

工程を分解すると分かります。

一、開けて、中身を確認する

荷物が届けば、まず開けます。外から中身は分かりません。

食品なのか、衣類なのか、日用品なのか。一つずつ確認する必要があります。

二、仕分けて、分類する

種類ごとに分ける。衣類ならサイズと季節でさらに分ける。食品なら期限を確認する。

この作業は、人の手でしかできません。そして、まとまった人数と場所が要ります。

三、置く場所を確保する

仕分けたものは、どこかに置くことになります。体育館、公民館、倉庫。

ところが、その場所の多くは避難所として使われています。物資が増えれば、人の居場所が減ります。

四、配れなければ、最後は処分する

ここが、いちばん重い工程です。

使えないもの、時期を外したもの、サイズが合わないもの。これらは、最終的に処分されます。

そして、被災地では、そのごみを出す手段自体が滞っています。収集が止まり、処理場も動いていないことがあります。

災害ごみの扱いについては災害ごみの出し方にまとめました。

そして、この作業をする人も被災者です

忘れられがちな点です。自治体の職員自身が、家を失っていることがあります。

家族の安否を気にしながら、避難所を運営し、そこに届いた荷物を仕分ける。そういう状況で、この工程が回っています。

議論は、何度も繰り返されてきました

この話は、今回に始まったものではありません。何度も同じことが起きています。

災害のたびに再燃します

2010年のハイチ地震、2011年の東日本大震災、2016年の熊本地震、2018年の西日本豪雨。そして2022年、ウクライナへの千羽鶴が話題になりました。

そのたびに、同じ議論が起こります。「自己満足だ」という声と、「善意を否定するな」という声。

なぜ噛み合わないのか

話している対象が違うからだと考えています。

批判する側は「現場で何が起きるか」を語っています。仕分けの手間、置き場所、処分。

擁護する側は「送る人の気持ち」を語っています。心配している、何かしたい、祈っている。

どちらも間違っていません。ただ、別の話をしています。

だから、問い方を変えたほうがよい

「千羽鶴は是か非か」ではなく、「その気持ちを、どうすれば相手の役に立つ形にできるか」と考えたほうが前に進みます。

答えは、次の章にあります。

では、何を送ればよいのか

ここが、この記事のもう一つの本題です。

いちばん確実なのは、お金です

身も蓋もない答えですが、これが事実です。

お金には、仕分けの手間がありません。置き場所も要りません。そして、必要なものを、必要な量だけ、必要な時期に買えます。

輸送のコストもかかりません。被災地の店で使われれば、地域の経済も回ります。

義援金と支援金は、別のものです

混同されやすいので、整理します。

義援金 支援金
届く先 被災した人へ直接 現地で活動する団体へ
使われ方 公平に分配される 活動の資金になる
速さ 配分の手続きを経る 比較的早く使われる
窓口 日本赤十字社、自治体など NPO、支援団体など

義援金は、被災した都道府県が設置する義援金配分委員会を通じて配分されます。日本赤十字社によれば、寄せられた義援金は全額この委員会へ送金されます。

公平に分けるための手続きなので、被災者の手元に届くまでには段階があります。

一方、支援金は現地で動いている団体の活動費になります。炊き出し、物資の輸送、ボランティアの受け入れ。すぐに使われます。

どちらが優れているという話ではありません。目的が違うので、選んで送ってください。

それぞれの窓口や、届くまでの流れは被災地への物資の送り方に詳しく書きました。

ふるさと納税という方法もあります

被災した自治体へ、返礼品なしの災害支援寄附ができる仕組みがあります。

そして、代理寄付という形もあります。被災していない自治体が、被災自治体の代わりに寄付の受付事務を引き受けるものです。

これなら、被災自治体に事務の負担がかかりません。よくできた仕組みだと思います。

今すぐでなくてもよい、という選択

物資は、時期を外すと負担になります。お金は、そうなりません。

報道が落ち着いたころ、支援は細っていきます。その時期に送るほうが、かえって効くことがあります。

物資が現場に届くまでの流れ

なぜ個人の荷物が扱いにくいのかは、流れを見ると分かります。

公的な物資は、まとまって動きます

国や都道府県から送られる物資は、同じものが、同じ規格で、まとまった数で届きます。

パレットに載り、トラックで運ばれ、集積所に降ろされる。数を数えれば把握できます。

そして、何が届くかが事前に分かっています。だから、受け入れの準備ができます。

個人の荷物は、一つずつ違います

宅配便で、ばらばらに届きます。大きさも、中身も、送り主も、すべて違います。

外から中身が分からないので、一つずつ開けて確認することになります。

そして、いつ、どれだけ届くかが読めません。準備のしようがありません。

集積所は、無限ではありません

届いた物資を置く場所には限りがあります。体育館、公民館、市の倉庫。

そこが埋まると、次に来る公的な物資を受け入れられなくなります。

これが、個人からの荷物が問題になるいちばん実務的な理由です。善意が、必要な物資の入り口を塞いでしまう。

配るところまでが「支援」です

届いただけでは、支援は完結しません。避難所まで運び、そこで配って、初めて人の手に渡ります。

この工程にも、人と車が要ります。そして、その人手も限られています。

「頭おかしい」と言いたくなる気持ちについて

この記事を読んでいる方のなかには、強い言葉で検索した方もいると思います。

その苛立ちには、理由があります

被災地が大変な状況にあるときに、役に立たないものが送られている。そう見えれば、腹が立つのは自然です。

そして、実際に現場の負担になっているのも事実です。その怒りが、まったくの的外れというわけではありません。

ただ、それを言葉にする相手を間違えないでください

千羽鶴を折った子どもや、それを企画した人を叩いても、状況は改善しません。

むしろ、「支援なんてしないほうがマシだ」という空気を作ってしまう危険があります。それは、被災地にとって損です。

効くのは、非難ではなく置き換えです

「送るな」で終わらせず、「送るなら、こちらへ」と示す。

義援金の窓口、支援金を受け付けている団体、ふるさと納税の災害支援寄附。具体的な行き先を示せば、気持ちはそちらに流れます。

この記事が、その役に立てばと思って書いています。

報道と支援のずれ

もう一つ、構造的な問題を書いておきます。

支援は、報道の量に連動します

大きく報じられているあいだは、寄付も物資も集まります。報道が減ると、急速に細ります。

ところが、被災地の困りごとは、そこから何年も続きます。住まいの再建、仕事、健康。

つまり、支援が最も集まる時期と、最も必要な時期がずれています。

だから、時間差で動く価値があります

すぐに何かをしなければ、と焦る必要はありません。

むしろ、報道が落ち着いたころに送るお金のほうが、貴重になることがあります。

そして、その時期なら何が必要かも明らかになっています。無駄になりません。

覚えていることも、支援の一つです

数年後に、その地域を訪ねる。産品を買う。これも支援になります。

観光や消費は、寄付とは違って相手の負担がゼロです。むしろ喜ばれます。

ただし、受け入れ体制が整ってからにしてください。復旧作業の最中に観光客が増えれば、それは負担になります。

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送り先の選び方

「お金を送る」と決めたあと、どこへ送るかです。

義援金を送るなら

日本赤十字社、被災した都道府県、中央共同募金会、報道機関の窓口。いずれも公的な受け皿です。

日本赤十字社の場合、寄せられた義援金は全額が義援金配分委員会へ送金されると説明されています。手数料が差し引かれることはありません。

そして、配分委員会が被害の程度に応じた配分の基準を決め、市区町村を通じて被災した人へ届きます。

支援金を送るなら

現地で活動しているNPOや支援団体が窓口になります。

選ぶときは、その団体が実際に現地で活動しているかを確認してください。活動報告を公開している団体なら、使われ方も追えます。

災害支援を専門にしている団体は、平時から準備をしています。発災後にすぐ動けるのは、そうした組織です。

ふるさと納税を使うなら

被災自治体への返礼品なしの災害支援寄附という形があります。

そして代理寄付。被災していない自治体が、寄付の受付事務を代行する仕組みです。被災自治体に事務作業が発生しません。

寄附金控除の対象になります。領収書や受領証明書は保管してください。

迷ったときの選び方

三つの軸で考えると決まります。

一、誰に届いてほしいか。被災した人へ直接なら義援金、活動する人へなら支援金。

二、いつ効いてほしいか。すぐ動いてほしいなら支援金。

三、自分が納得できるか。使われ方が見える先を選んでください。

詐欺に注意してください

支援したい気持ちにつけ込む手口があります。

災害のあとには、必ず出ます

義援金を装った募金、実在しない団体、なりすましのサイト。災害のたびに現れます。

そして、急かしてくるのが特徴です。「いま送らないと間に合わない」という言い方をします。

確認すること

一、その団体は実在するか。公式サイトを、検索ではなく公式の入口から確認してください。

二、振込先の名義は妥当か。個人名義の口座は、まず疑ってください。

三、活動報告を公開しているか。過去の実績が見える団体を選んでください。

街頭での募金も、確認してよいものです

その場で身分証や許可を確認するのは、失礼ではありません。正規の団体なら、応じられます。

迷ったら、その場で渡さず、あとから公式サイトから送る。これで確実です。

手口の詳細は震災詐欺の手口と対策にまとめました。

ボランティアに行きたい場合

物やお金ではなく、体で支援したい方へ。

勝手に行かないでください

物資と同じ構造です。受け入れの準備ができていない場所に人が行くと、負担になります。

宿も、食事も、トイレも足りていません。その状態で人が増えれば、被災者の分が減ります。

災害ボランティアセンターを通してください

被災した市区町村の社会福祉協議会が災害ボランティアセンターを立ち上げます。

そこが、いつから、どの地域の人を、何人受け入れるかを公表します。

募集の範囲が「市内在住者のみ」に限られている時期もあります。必ず確認してから動いてください。

行くなら、自己完結が原則です

食事、水、宿、移動手段。すべて自分で用意していくのが前提です。

そして、装備も自分で持っていきます。厚手の手袋、長靴、マスク。現地で借りられると思わないでください。

片付け作業の実際は被災後の片付けと消毒に書きました。

行けない人が、劣っているわけではありません

仕事、家庭、体力。行けない事情は誰にでもあります。

お金を送ることも、産品を買うことも、忘れずにいることも、支援です。形が違うだけで、優劣はありません。

千羽鶴が意味を持つ場面はあるのか

公平を期すために、この点についても書いておきます。

受け手が明確な場合

顔の見える相手に、直接渡す場合です。知っている学校へ、交流のある団体へ。

この形なら、不特定多数から大量に届くという問題が起きません。相手も、受け取ることを了解しています。

時期が落ち着いてから

被災直後ではなく、生活が動き出した段階です。

復興のイベントや、記念の行事。そういう場で飾られる折り鶴には、意味があります。

相手が受け取ると言っている場合

いちばん確実な基準です。受け入れると公表しているなら、送ってよい。

逆に言えば、公表されていないなら送らない。これだけで、ほとんどの問題は避けられます。

ただし、原則は変わりません

被災直後、不特定の被災地へ、事前の確認なく送る。この形は避けてください。

そこだけが問題であって、折り鶴を折る行為そのものが否定されているわけではありません。

企業や学校としてなら、話が変わります

個人と組織では、できることが違います。

まとまった数を、同じ規格でそろえられる

ここが決定的な違いです。同じものが100個届けば、仕分けはほぼ不要です。

数を数えて、そのまま配れる。現場の負担が、個人からの荷物とは比べものになりません。

ただし、事前の調整が前提です

「送りたい」と申し出て、受け入れ先が「必要です」と答えて初めて成立します。

連絡先は、被災自治体か、支援団体、あるいは業界団体です。いきなり送らないでください。

そして、いつ、どこに、どれだけ届くかを先に伝えてください。受け入れの準備ができます。

学校での取り組みを、生かす方法

千羽鶴を折ることが決まっている場合、それを募金と組み合わせる方法があります。

折り鶴は学校に飾り、集めたお金を義援金として送る。気持ちは形になり、現場には負担がかかりません。

あるいは、相手先を先に決めてから折る。受け入れの意思が確認できていれば、送っても問題は起きません。

災害を学ぶ機会として

子どもたちが「なぜ物を送ってはいけないのか」を考えること自体に、防災教育としての価値があります。

被災地で何が起きているか。誰がどんな作業をしているか。これは、自分が被災したときの想像力にもつながります。

これから災害が起きたとき、どう動くか

次に大きな災害が起きたときのために、順番を書いておきます。

一、まず何も送らない

発災直後は、現地が何を必要としているか、誰も把握していません。

この段階で動くと、ほぼ確実に外します。待つことが、最初の支援です。

二、公式の発信を探す

被災した自治体の公式サイトやSNS。そこに、受け入れの可否と必要なものが出ます。

「個人からの物資は受け付けていません」と明記されることも多い。その場合は、送らないでください。

三、お金を送る

義援金か、支援金か。目的に合わせて選んでください。

ここが、個人にできるいちばん確実な支援です。

四、しばらくしてから、もう一度考える

報道が減ったころ、支援も減ります。そのタイミングで、二度目を送る。

あるいは、その地域の産品を買う。訪ねる。長く続けられる形を探してください。

五、自分の備えを見直す

意外に思われるかもしれませんが、これも支援です。

自分が被災したときに、支援を必要としない状態を作っておく。そのぶん、限られた資源が本当に困っている人に回ります。

災害のニュースを見た日は、持ち出し袋を開ける日にしてください。

この議論から学べること

千羽鶴の話は、実は防災全体に通じます。

「よかれと思って」が、いちばん危ない

災害の現場では、善意から出た行動が問題を生むことがあります。

避難所に個人で物資を届けに行く。安否確認の電話を何度もかける。被災地へ様子を見に行く。

どれも心配から出た行動ですが、回線を圧迫し、道路を混ませ、現場の手を止めます。

相手が何を必要としているかを、先に確かめる

これが、支援の基本です。自分が何をしたいかではなく、相手が何を受け取れるか。

そして、それは時間とともに変わります。今日必要なものと、一か月後に必要なものは違います。

自分が被災する側になったときにも効きます

この構造を知っていれば、自分が被災したときに何を頼めばよいかが分かります。

「何か送って」ではなく、「Mサイズの下着を3枚」。具体的に伝えるほど、支援は届きます。

そして、支援を待たなくて済むよう備えておくことの意味も見えてきます。

備えは、いちばん確実な支援です

自分が助けを必要としない状態でいること。それは、限られた支援を他の人に回すことでもあります。

千羽鶴の議論を読んで、もし何かしたいと感じたなら。まず、自分の持ち出し袋を開けてみてください。

備え方の全体像は防災は何から始める?にまとめています。

よくある質問

Q. 千羽鶴を送る人は、非常識なのですか

そうは考えていません。多くの場合、仕組みを知らないだけです。

被災地に何が届き、誰がそれを仕分けているのか。知る機会がなければ、想像しにくいことです。

だから、必要なのは非難ではなく説明だと思っています。この記事も、そのつもりで書いています。

Q. もう送ってしまいました。どうすればよいですか

すでに送ったものは、取り戻せません。そこを悔やんでも仕方がありません。

できるのは、次から形を変えることです。同じ気持ちを、義援金や支援金という形にする。

そして、周りに伝えること。知らずに送ろうとしている人がいたら、理由を添えて話してみてください。

Q. 学校で折ることになりました。どうすればよいですか

折る行為そのものには、教育的な意味があると思います。災害を自分ごととして考えるきっかけになります。

問題は、それを被災地へ送るかどうかです。

先生や担当の方に、受け入れの意思が確認できているかを聞いてみてください。確認できていないなら、送り先を変えるか、募金と組み合わせる方法があります。

Q. 手紙やメッセージも迷惑ですか

同じ構造です。大量に届けば、仕分けの対象になります。

ただし、紙一枚は場所を取りません。そして、避難所で読まれて励みになったという話もあります。

迷ったら、物資と一緒に送らない。そして、受け入れが公表されているかを確認してください。

Q. 結局、個人にできることは何ですか

三つあります。

一、お金を送る。義援金か支援金か、目的で選んでください。

二、公式の要請を待つ。必要なものは、自治体や団体が公表します。

三、忘れないこと。報道が減ったあとも支援は要ります。時間差で動くことに価値があります。

Q. 千羽鶴は本当に処分されているのですか

受け取ったものすべてが捨てられているわけではありません。展示されたり、保管されたりする例もあります。

ただし、量には限りがあります。すべてを飾ることはできません。

そして、処分するにも判断が要ります。「善意で送られたものを捨てる」という決断を、現場の誰かがすることになります。この心理的な負担も、見えにくいコストです。

Q. 物を送りたい気持ちは、なぜ強いのでしょうか

お金は、顔が見えないからだと思います。手を動かしたことが、そのまま相手に届く感覚がほしい。

これは自然な感情です。否定する必要はありません。

ただ、その感覚と、現場で実際に起きることは別です。相手の役に立つかどうかで判断してください。

Q. 海外の被災地に送る場合も同じですか

同じです。むしろ、より慎重に考えてください。

輸送に時間と費用がかかり、通関の手続きも要ります。現地で調達したほうが、速くて安いのが普通です。

日本赤十字社などが海外向けの救援金を受け付けています。そちらのほうが確実に届きます。

Q. 賞味期限の近い非常食を送るのはどうですか

やめてください。これも、よく起きる問題です。

期限の確認と仕分けが必要になり、期限切れが混ざれば配れません。そして、処分の手間が増えます。

期限が近い非常食は、自分で食べて、新しいものを買い足してください。それがローリングストックです。

Q. 「千羽鶴を送るな」と言うのも、押しつけではないですか

その指摘には、一理あると思います。

ただ、この記事が言っているのは「送るな」ではなく「受け入れの意思を確認してください」です。

受け入れると言っている相手に送るのは、まったく問題ありません。確認せずに送ることだけが問題です。

この基準なら、押しつけにはならないと考えています。

Q. どこで受け入れの可否を調べればよいですか

被災した市区町村と都道府県の公式サイトです。災害が起きると、支援の受付について案内が出ます。

公式のSNSでも発信されます。まとめサイトや個人の投稿ではなく、一次の発信を見てください。

案内が見当たらない段階は、まだ受け入れの体制ができていないということです。待ってください。

Q. 支援したい気持ちが空回りして、疲れてしまいました

その感覚を持つ方は、少なくないと思います。

何かしたいのに、何をしても否定されるように感じる。調べるほど、やってはいけないことばかり出てくる。

ただ、実際に否定されているのはごく一部の行動だけです。確認せずに物を送ること。準備なく現地へ行くこと。この二つが中心です。

それ以外は、ほとんど歓迎されます。お金を送る。産品を買う。訪ねる。忘れずにいる。伝える。

できることのほうが、ずっと多いのです。

まとめ|問題は「物」ではなく「量と時期」です

最後に整理します。

この記事の要点

一、被災直後の千羽鶴は、避けてください。仕分けと処分の作業が現場に乗ります。

二、熊本市が困ったのは折り鶴ではなく、時期を過ぎても届き続けた個人の物資でした。

三、だから論点は「何を送るか」より「いつ送るか」です。

四、最も確実なのはお金です。義援金は被災者へ、支援金は活動する団体へ。

五、受け入れが公表されているかを確認する。これだけで、ほとんどの問題は避けられます。

送る人を、責めないでください

最後にもう一度書きます。この話は、善意を否定するものではありません。

心配している気持ちがあるから、何かをしようとする。それ自体は、失われてほしくないものです。

必要なのは、その気持ちを、相手の役に立つ形に変える知識だけです。

知らなかっただけの人を責める必要はありません。知ったうえで、次はどうするかを決めればいい。それだけの話だと思っています。

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9月1日は防災の日/8月30日〜9月5日は防災週間

1年に一度、備えを点検する日です。10分でできることから始めてください。

この記事を書いた人

北海道札幌市在住の防災・サバイバル情報発信者です。2018年の北海道胆振東部地震を機に「誰でも今日から始められる防災」をモットーに活動を開始し、実際に試した防災グッズのレビューや家族構成別の備え方をわかりやすくお伝えしています。実践的で信頼できる情報を提供できるよう、がんばっています!

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