【この記事の要約】
結論から言います。電気が地域まるごと止まると、どうなるか。日本で一度だけ、実際に起きました。2018年9月6日3時7分、マグニチュード6.7、最大震度7。この地震で北海道電力の管内ほぼ全域が停電し、最大およそ295万戸が電気を失いました。日本初のブラックアウトです。全面的な復旧までに、最大でおよそ45時間かかっています。そして死者43人のうち、36人が厚真町の土砂崩れによるものでした。3,000万立方メートルの土砂が崩れています。マグニチュードは東日本大震災よりはるかに小さい。それでも、これだけのことが起きました。
結論|規模が小さくても、こうなります
この地震のマグニチュードは6.7です。東日本大震災の9.0と比べれば、はるかに小さい数字です。
それでも起きたこと
| 起きたこと | 規模 |
|---|---|
| 死者 | 43人(うち厚真町で36人) |
| 停電 | 最大およそ295万戸。日本初のブラックアウト |
| 全面復旧まで | 最大でおよそ45時間 |
| 崩れた土砂 | およそ3,000万立方メートル |
| 最大震度 | 7(厚真町) |
被害を決めるのは、地震の規模だけではありません。揺れた場所に何があったか、どんな地盤だったか、どんな仕組みで電気が作られていたか。
震災ごとの死因の違いは過去の震災は何が人の命を奪ったかにまとめました。
覚えて帰ってほしいのは、二つです
一、電気は、地域ごと止まることがあります。「近所は使えているだろう」は成り立ちません。
二、斜面の下は、寝ているあいだに崩れます。深夜3時でした。
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厚真町で起きたこと
死者43人のうち、36人がこの町の方です。
3時7分、山が崩れました
深夜です。ほとんどの人が眠っていました。
厚真町の広い範囲で斜面が崩壊し、ふもとの家屋をのみ込みました。崩れた土砂は、およそ3,000万立方メートルとされています。
気づく間もなく、逃げる時間もありませんでした。
なぜ、これほど崩れたのか
この地域の地質に理由があります。
火山灰が降り積もってできた層が、斜面を覆っていました。樽前山などの噴火によるものです。
この層は、水を含むと滑りやすくなる性質を持っています。そして地震の直前、台風による雨が降っていました。
雨で緩んだ層が、強い揺れで一気に滑り落ちた。これが、広範囲の崩壊につながったと考えられています。
雨のあとの地震は、危険が増します
ここが、応用できる教訓です。
大雨のあとに地震が起きると、土砂災害の危険が跳ね上がります。逆に、地震のあとの雨も同じです。
地震で緩んだ斜面は、そのあとの雨で崩れます。本震のときは持ちこたえても、数日後の雨で崩れることがあります。
ですから、大きな地震のあとに雨の予報が出たら、斜面の近くでは早めに避難してください。
土砂の動き方は土石流とは?に、自宅が危険区域かどうかは土砂災害警戒区域とは?で調べられます。
ブラックアウト|北海道全域が止まりました
この地震を有名にしたのが、この現象です。
何が起きたのか
電気は、使う量と作る量が、常に釣り合っていなければなりません。釣り合いが崩れると、周波数が乱れます。
周波数が乱れると、発電機は自分を守るために止まります。壊れてしまうからです。
この地震では、北海道の電力の多くを担っていた苫東厚真火力発電所が、震源に近く、停止しました。
すると、作る量が急に減ります。釣り合いが崩れ、他の発電所も次々に止まりました。連鎖です。
結果として、北海道電力の管内ほぼ全域で電気が止まりました。これがブラックアウトです。
一か所に頼っていたことが響きました
この地域では、一つの大きな発電所への依存度が高い状態でした。
そこが止まれば、代わりがすぐには効きません。他の地域から電気を送る仕組みも、量に限りがありました。
これは北海道に固有の話ではなく、電力の仕組みそのものが持つ弱点です。
復旧に、最大でおよそ45時間
順次復旧が進みましたが、全面的に戻るまでには、最大でおよそ45時間を要しました。
ほぼ2日間です。その間、電気を前提としたすべてが止まりました。
電気が止まると、何が止まるのか
実際に起きたことを並べます。
| 止まったもの | 影響 |
|---|---|
| 信号機 | 交差点が危険になり、渋滞が起きました |
| 店のレジ | 会計できず、店が開けられません |
| キャッシュカード・電子マネー | 使えません。現金だけが有効でした |
| ATM | お金を下ろせません |
| ガソリンスタンド | ポンプが動かず、給油できない店が出ました |
| 水道 | ポンプが止まり、断水した地域があります |
| 携帯電話の基地局 | 予備電源が切れると、圏外になります |
| 冷蔵庫 | 食品が傷みます |
| 信号・鉄道 | 公共交通が止まりました |
| 酪農の搾乳機 | 牛の健康に関わり、牛乳を廃棄する事態に |
「電気が止まる」の意味が、想像より広いことが分かります。
現金が、いちばん効きました
この地震で、多くの人が実感したことです。
カードも電子マネーも使えません。ATMも動きません。財布に現金がなければ、水も食べ物も買えませんでした。
そして、店が開いていても、レジが使えないため電卓と手計算になり、行列ができました。
だから、いくらか現金を用意しておいてください。小銭を含めて。公衆電話にも要ります。
情報が、取れなくなります
スマートフォンの電池は減り続けます。基地局の予備電源が切れれば、圏外になります。
このとき効くのが、電池で動くラジオです。電池さえあれば、何日でも情報が入ります。
そしてモバイルバッテリーを、ふだんから満充電にしておいてください。停電してからでは充電できません。
停電の備えは停電が長引いたときの対策にまとめました。
停電の2日間で、人はどう動いたか
記録から見えてくる、行動の教訓です。
店に、行列ができました
開いている店に人が集まり、水、パン、電池、カセットボンベが真っ先になくなりました。
そして、レジが使えないため、店員が電卓で計算し、現金でやりとりする形になりました。1人あたりの会計に時間がかかり、行列が伸びます。
これは、備蓄がある人には無縁の光景です。並ばずに済むことが、そのまま安全につながります。
ガソリンを求めて、車が並びました
給油できるスタンドが限られたため、何時間も並ぶ状況が生まれました。
そして、並んでいるあいだもガソリンは減ります。燃料を求めて燃料を使うという、無駄な循環が起きました。
だから、車の燃料を半分以下にしない習慣が効きます。満タンに近い状態を保つだけで、この行列に並ばずに済みます。
そして車は、それ自体が電源になります。スマートフォンの充電ができ、暖も取れます。
情報が、断片的にしか入りませんでした
テレビが映らず、インターネットも不安定。「いつ復旧するのか」が分からない時間が続きました。
この「見通しが立たない」という状態が、人を消耗させます。あと何時間かが分かれば、耐え方が変わるからです。
だから、電池で動くラジオが効きます。地域の情報が、確実に入ります。
ラジオの選び方はAMラジオとFMラジオの違いにまとめました。
助け合いが、機能した場所もありました
近所で発電機を持ち寄る、井戸を開放する、炊き出しをする。こうした動きが各地で起きています。
そして、その多くは、ふだんからの関係があった場所で起きました。
備蓄も装備も大事ですが、顔を知っている人が近所に何人いるかは、それらに劣らず効きます。
ブラックアウトを、もう少し詳しく
仕組みが分かると、備えの意味が変わります。
電気は、ためておけません
ここが根本です。電気は、使う瞬間に作られています。
水道なら、タンクにためておけます。けれど電気は、大量にためる手段がありません。
だから、使う量と作る量を、常に一致させ続ける必要があります。この作業が、24時間休みなく行われています。
釣り合いが崩れると、周波数が動きます
作る量が足りなくなると、周波数が下がります。逆に多すぎれば上がります。
発電機は、決まった周波数で回るように作られています。大きくずれると、機械が壊れます。
だから、危険な範囲になる前に、発電機は自動的に系統から切り離されます。自分を守るためです。
そして、連鎖します
一つが止まると、残りの発電所にかかる負担が増えます。すると、次が止まります。
ドミノのように連鎖し、最後には地域全体が止まります。これがブラックアウトです。
この地震では、震源に近い大規模な発電所が停止したことが、引き金になりました。
復旧にも、順番があります
止まった電力系統を戻すのは、簡単ではありません。
発電所を動かすにも、電気が要ります。だから、まず自力で起動できる発電所から立ち上げ、少しずつ範囲を広げていきます。
この作業が、数十時間かかった理由です。スイッチを入れれば戻るというものではありません。
斜面の近くに住んでいる方へ
厚真町で起きたことを、自分の場所に当てはめます。
まず、区域を調べてください
土砂災害警戒区域と、特別警戒区域。この二つが指定されています。
都道府県が地図で公開しており、住所から調べられます。不動産の取引でも説明義務がある項目です。
調べ方は土砂災害警戒区域とは?にまとめました。
指定されていなくても、崩れます
ここが重要です。厚真町の崩壊は、広い範囲で同時に起きました。
区域の指定は、主に大雨による土砂災害を想定して行われています。地震による大規模な崩壊は、想定の外側で起きることがあります。
ですから、「指定されていないから安全」とは考えないでください。斜面が近ければ、危険はあります。
寝る場所を、斜面から遠ざける
深夜3時に崩れました。気づいて逃げることは、現実的ではありません。
できることがあるとすれば、寝室を、斜面から遠い側の部屋にすることです。そして、できれば2階に。
これは、費用のかからない対策です。部屋の使い方を変えるだけです。
雨のあとは、特に警戒してください
くり返しますが、これがこの地震の核心です。
雨で水を含んだ斜面は、揺れに弱くなります。台風のあと、大雨のあとの数日間は、地震への警戒も上げてください。
そして逆も同じです。地震で緩んだ斜面は、そのあとの雨で崩れます。
9月でよかった、という事実
これは、はっきり申し上げておきたいことです。
もし1月だったら
9月上旬の北海道は、まだ寒くありません。暖房がなくても、命に関わりませんでした。
けれど、これが1月だったら、まったく違います。
ほとんどの暖房器具は、電気がなければ動きません。石油ストーブも、ファンヒーターは電気を使います。
氷点下の室内で、2日間。それは、命に関わる状況です。
冬に備えるなら、電気を使わない暖房を
寒冷地にお住まいなら、電気がなくても使える暖房を一つ持っておいてください。
反射式の石油ストーブは、電気を使わずに点火して使えるものがあります。カセットガスのストーブも選択肢です。
ただし、必ず換気してください。閉め切って使うと、一酸化炭素中毒が起きます。
仕組みは災害時の一酸化炭素中毒とは?に、冬の停電への備えは停電対策【冬編】にまとめました。
灯油の残量を切らさないでください
冬の初めに満タンにしておく。そして、寒波の予報が出たら残量を見る。
停電すると、ガソリンスタンドも動かなくなります。買い足せません。
停電の備えを、時間で組み立てる
何時間止まるかで、必要なものが変わります。段階で考えると、無駄がありません。
時間別に、要るもの
| 停電の長さ | 必要になるもの |
|---|---|
| 数時間 | 懐中電灯かランタン。それだけで足ります |
| 半日 | モバイルバッテリー。冷蔵庫は開けない |
| 1日 | 電池式ラジオ、カセットこんろ、現金 |
| 2〜3日 | 飲み水、ポータブル電源、携帯トイレ |
| 1週間以上 | 燃料、冬なら暖房、そして避難の判断 |
胆振東部地震は、2日間の停電でした。この表でいえば、4段目にあたります。
つまり、飲み水と携帯トイレまでが必要になる長さです。ライトだけでは足りません。
まず、光を確保してください
深夜3時の地震でした。停電した部屋は、本当に何も見えません。
スマートフォンのライトは使えますが、電池を消費します。連絡と情報のために残しておきたいところです。
だから、電池式のライトを、手の届く場所に置いてください。ヘッドライトなら両手が空きます。
そして、停電時に自動で点灯するタイプの足元灯があると、コンセントに挿しておくだけで済みます。
次に、情報と連絡です
モバイルバッテリーは、ふだんから満充電に。使ったら、その日のうちに充電し直す習慣をつけてください。
そして、スマートフォンは省電力モードにして、画面を暗くしてください。使わないときは機内モードにすると、大幅にもちます。
ラジオは、手回し式より電池式のほうが確実です。手回しは、聞き続けるには疲れます。予備の電池を用意してください。
そして、水と食事です
停電で断水する地域があります。特に、ポンプで水を上げている集合住宅です。
調理は、カセットこんろがあれば、たいていのことができます。ボンベは多めに。ただし換気を忘れずに。
冷蔵庫は開けないでください。そして、傷みやすいものから食べてください。
保冷の考え方は保冷剤にタオルを巻くと長持ちする理由にまとめました。
北海道に住んでいて、思うこと
ここからは、私の考えです。
「またあるかもしれない」が、消えました
この地震のあと、道内の多くの家庭で備えが見直されました。懐中電灯、電池、カセットボンベ、現金。
けれど、数年が経つと、電池は切れ、ボンベは使われ、現金は財布から消えていきます。
これは、誰かが怠けているという話ではありません。人は忘れるようにできています。忘れなければ、日常を送れません。
だから、日付を決めてください
9月6日でも、防災の日でも構いません。年に一度、点検する日を決めておくことです。
見るのは四つだけで足ります。電池、水、ボンベ、現金。
この四つが揃っていれば、2日間の停電は乗り切れます。10分で確認できます。
点検の日の使い方は防災用品点検の日は年4回にまとめました。
冬に来ることを、想定してください
これが、北海道に住む者としていちばん申し上げたいことです。
9月の停電と、1月の停電は、まったく別の災害です。
9月なら、暗くて不便なだけで済みます。1月なら、暖房が止まった時点で命の問題になります。
そして、冬は水道管も凍ります。停電で暖房が止まれば、家の中で配管が凍り、破裂します。
凍結の防ぎ方は水道管が凍結したときの対処法に、給湯器の扱いは給湯器が止まる冬にまとめました。
雪国以外の方にも、関係があります
「北海道の話でしょう」と思われるかもしれません。けれど、電力の仕組みは全国共通です。
そして、大規模な停電は、台風でも起きています。2019年の台風では、千葉県で長期の停電が発生しました。
地域全体が止まるという想定は、どこに住んでいても持っておく価値があります。
その後、何が変わったのか
この地震は、電力の仕組みそのものを見直させました。
一か所に頼らない体制へ
一つの大きな発電所に依存していたことが、連鎖の引き金になりました。そこで、供給源を分散させる取り組みが進められています。
また、本州と電気をやりとりする設備の容量も増強されました。不足したときに、外から融通できる量を増やすためです。
それでも、限界はあります
正直に申し上げます。どれだけ備えても、大規模な停電の可能性は残ります。
台風で送電線が倒れれば、地域は止まります。2019年には、千葉県で長期にわたる停電が起きました。
そして、復旧の順番は決まっています。病院や避難所のような重要施設、そして多くの世帯がつながる幹線から。戸数の少ない地域は、どうしても後になります。
だから、「自分の家は最後になるかもしれない」という前提で備えてください。
電力会社の情報を、確認できるようにしておく
各電力会社が、停電の状況と復旧の見込みをインターネットで公開しています。
停電してから探すのでは遅くなります。いまのうちに、自分の地域の電力会社の停電情報のページを、ブックマークしておいてください。
そして、電話番号も紙に控えておいてください。スマートフォンの電池が切れると、何も分からなくなります。
在宅で医療機器を使っている方へ
ここは、他のどの話より優先されます。
停電が、そのまま命に関わります
在宅酸素、人工呼吸器、たん吸引、電動ベッド。これらは、止まれば命に直結します。
2日間の停電は、この方々にとっては極めて重い状況です。
設備より先に、やるべきことがあります
一、電力会社に事前登録してください。医療機器を使用している世帯として登録すると、復旧の際に配慮される場合があります。
二、機器のメーカーに、停電時の対応を確認してください。予備のバッテリーの持続時間や、手動での代替手段があるかどうかです。
三、かかりつけ医と、避難先を相談してください。停電が長引いたときに、どこへ行くのか。
四、自治体の避難行動要支援者名簿に登録してください。地域の支援が届きやすくなります。
これらは、設備を買うより先にやるべきことです。そして、費用がかかりません。
そのうえで、電源を用意する
ポータブル電源や、車から電気を取る装置が候補になります。ただし、機器が必要とする電力に足りるかを、必ず確認してください。
選び方はポータブル電源のおすすめと選び方にまとめました。
そして、予備は二重に持ってください。一つが壊れることを想定してください。
酪農と農業への影響
あまり語られませんが、大きな被害が出ました。
搾乳ができなくなりました
いまの酪農では、搾乳機を使います。電気がなければ動きません。
牛は、決まった時間に搾らないと乳房炎などを起こします。健康に直接関わるため、放置できません。
そして、搾れても冷やせなければ出荷できません。集乳車も動けませんでした。
結果として、大量の生乳が廃棄されました。
食べ物は、電気で作られています
これは、消費する側にとっての教訓です。
生産にも、加工にも、輸送にも、保管にも電気が要ります。停電は、その全部を止めます。
だから、停電から数日経つと、店の棚が戻りません。地域が停電すれば、供給そのものが止まるのです。
備蓄が必要な理由は、ここにもあります。「買いに行けばいい」は、地域全体が止まったときには成り立ちません。
この地震から、何を持ち帰るか
五つです。
一、現金を用意する。電子決済は、停電すると全部止まります。
二、電池と、電池で動くラジオ・ライト。単三と単四を多めに。
三、モバイルバッテリーを、常に充電しておく。
四、斜面の近くかどうかを確認する。特に、雨のあとの地震に注意してください。
五、電気を使わない暖房と、調理の手段。寒冷地では必須です。
よくある質問
Q. ブラックアウトは、また起きますか
可能性は下がりましたが、ゼロではありません。
この地震のあと、電力の供給を一か所に頼らない体制づくりや、他地域との連系の強化が進められています。
ただし、電力が需給の均衡の上に成り立っている仕組みそのものは変わりません。大規模な発電所が同時に止まれば、同じことが起こりえます。
だから、「地域全体が停電する」という想定を捨てないでください。
Q. 太陽光パネルがあれば、停電しても使えますか
そのままでは使えません。手動で自立運転に切り替える必要があります。
切り替えても、使えるのは専用コンセント1つ、最大1,500Wまでです。そして、夜と雨の日は発電しません。
切り替えの手順は太陽光があっても停電では使えませんにまとめました。
Q. 発電機を買えば安心ですか
使い方を誤ると、命に関わります。
発電機を屋内やガレージで使わないでください。一酸化炭素中毒で亡くなる事故が、実際に起きています。
必ず屋外で、建物の窓や換気口から離して使ってください。そして、燃料の保管にも注意が要ります。
多くの家庭では、ポータブル電源のほうが扱いやすく、安全です。選び方はポータブル電源のおすすめと選び方にまとめました。
Q. マンションでは、何が起きますか
停電すると、水も止まることがあります。ポンプで水を上げている建物では、電気が止まれば水も出ません。
そして、エレベーターが止まります。高層階では、階段で水を運ぶことになります。
仕組みと備えはマンションの断水は停電で起きるにまとめました。
Q. 深夜に地震が来たら、何ができますか
眠っているときにできることは、ほとんどありません。だから、事前の準備がすべてになります。
一、寝室に背の高い家具を置かない。
二、頭の上に落ちてくるものをなくす。
三、手の届く場所に、靴とライトを置く。
四、窓に飛散防止フィルムを貼る。
この地震は3時7分でした。深夜と明け方に起きる地震は、決して珍しくありません。
Q. 停電中、ブレーカーは落としたほうがよいですか
避難するなら、落としてください。復旧したときの通電火災を防ぐためです。
家にとどまる場合でも、倒れた電気製品や、水に濡れた家電のプラグは抜いておいてください。
そして、復旧したら、一度に全部の電源を入れないでください。使うものから順に入れます。
通電火災の仕組みは電気火災とは?にまとめました。
Q. 信号が消えた交差点は、どう通ればよいですか
止まれの標識があるものとして扱ってください。一時停止し、左右を確認してから進みます。
実際には、譲り合いがうまくいかず、事故が起きています。急いでいても、必ず止まってください。
そして、可能なら車で出かけないでください。信号のない道路は、歩行者にとっても危険です。
Q. 冷凍庫の食品は、どれくらいもちますか
開けなければ、冷蔵室より長くもちます。凍った食品そのものが、大きな保冷剤になるためです。
食べる順番は、冷蔵室から。冷凍室は最後まで開けないでください。
溶けかけたものは、その日のうちに火を通して食べてください。再冷凍はおすすめしません。
そして、においや見た目に不安があれば、迷わず捨ててください。災害のあとに食中毒を起こすと、他のすべてが立ちゆかなくなります。
Q. オール電化の家は、停電に弱いのですか
弱くなります。調理も給湯も暖房も、すべて電気に頼っているためです。
ガスがあれば、停電してもコンロで火が使えます。オール電化では、その逃げ道がありません。
だから、カセットこんろとボンベを必ず用意してください。これだけで、調理と湯沸かしができます。
そして、エコキュートをお使いなら、貯湯タンクの中の水を生活用水として使えます。飲用には向きませんが、断水時にはたいへん役立ちます。取り出し方は給湯器が止まる冬にまとめました。
Q. 会社や学校にいるときに、こうなったら
すぐに帰ろうとしないでください。信号が消え、鉄道が止まり、道路が混乱している状態です。
建物が安全なら、そこにとどまるほうが安全なことが多くあります。
だから、職場や学校にも、最低限のものを置いておいてください。水、軽い食べ物、モバイルバッテリー、そして歩ける靴です。
Q. ペットがいる家では、何に気をつければよいですか
まず、暑さと寒さです。エアコンが止まれば、人より先に体調を崩します。
9月上旬でも、日中は気温が上がります。風の通る場所へ移し、水を切らさないでください。
そして、フードと水は、人の分とは別に備えてください。支援物資に、ペット用のものはほとんど含まれません。
暗闇と揺れに驚いて逃げ出すことがあります。ケージを、玄関の近くに置いておいてください。
過去の震災から学ぶ
同じ大地震でも、命の奪われ方は違います。自分の住む場所に近いものから読んでください。
- 死因で比べる|震災ごとに、人は違う理由で亡くなっています
- 関東大震災(1923年)|死者10万5千人のうち9万1千人が火災
- 阪神・淡路大震災(1995年)|77.0%が窒息・圧死。助けたのは近所の人でした
- 東日本大震災(2011年)|死因の90.6%は溺死。物では守れません
- 熊本地震(2016年)|震度7が二度。約8割が災害関連死
- 北海道胆振東部地震(2018年)|この記事
- 能登半島地震(2024年)|孤立と断水。3日分では足りませんでした
まとめ
要点を並べます。
一、2018年9月6日3時7分、マグニチュード6.7、厚真町で最大震度7。
二、死者43人のうち、36人が厚真町の土砂崩れによるものでした。崩れた土砂は、およそ3,000万立方メートルにのぼります。
三、火山灰が降り積もった層が、直前の雨で緩んでいたことが、広範囲の崩壊につながったとされています。
四、北海道電力の管内ほぼ全域が停電しました。最大およそ295万戸。日本で初めてのブラックアウトです。
五、全面的な復旧までに、最大でおよそ45時間かかりました。ほぼ2日間です。
六、現金だけが使えました。カードも電子マネーもATMも止まり、店のレジは電卓と手計算になりました。
七、9月上旬でした。これが真冬の氷点下なら、暖房の止まった2日間は命の問題になっていたはずです。
私は北海道に住んでいます。この地震のあと、多くの家庭で懐中電灯と電池と現金が見直されました。
けれど、時間が経てば忘れられていきます。それは、どこでも同じです。
今日、財布の中を見てください。そして、家に単三電池が何本あるかを数えてください。この二つだけで、あの2日間から受け取れるものがあります。
この地震から、電気に頼らない手段を一つ持っておくという考え方が広まりました。ライト、ラジオ、こんろ、そして現金です。どれも高価なものではありません。
備え全体の順番は防災は何から始める?最初にやること8ステップにまとめています。


