【この記事の要約】
AMとFMの違いは、電波に音を乗せる方法の違いです。AMは電波の強さを変えて音を伝え、FMは周波数を変えて伝えます。この一点の違いから、すべての性質が枝分かれします。AMは遠くまで届きますが、雑音を拾いやすい。FMは音がきれいで雑音に強い一方、届く範囲は狭い。周波数帯も違い、AMは531〜1602kHz、FMは76〜95MHzを使います。防災の観点では、この違いが情報を得られるかどうかを左右します。停電した家の中ではFMが有利で、地元局が停止したときはAMが遠くの放送を運んでくれます。この記事では、仕組みから災害時の使い分けまでを、専門用語をかみ砕いて整理します。
結論:電波に音を乗せる方法が違います
先に結論をお伝えします。
AMとFMの違いは、たったひとつです。電波に音の情報を乗せる方法が違う、それだけです。
AMは、電波の「強さ」を音に合わせて変化させます。FMは、電波の「周波数」を変化させます。
この違いから、次のような差が生まれます。
| 比較する点 | AM | FM |
|---|---|---|
| 届く距離 | 遠くまで届く | 比較的近い範囲 |
| 雑音への強さ | 弱い | 強い |
| 音質 | こもりやすい | クリア |
| 周波数帯 | 531〜1602kHz | 76〜95MHz |
| 建物の中 | 入りにくいことがある | 比較的入りやすい |
| 必要な送信設備 | 大がかり | 比較的小さい |
防災の観点では、どちらが優れているという話ではありません。場面によって、有利なほうが変わります。
だからこそ、両方聴けるラジオを持っておくことをおすすめしています。
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AMとFMは何の略なのか
まずは名前の意味から見ていきましょう。ここが分かると、このあとの話がぐっと理解しやすくなります。
AMは「振幅変調」
AMは、日本語では振幅変調と呼ばれます。
振幅とは、波の大きさのことです。電波の波の大きさを、音に合わせて変化させる方式です。
音が大きいときは電波を強く、小さいときは弱くする。受け取る側は、その強弱を読み取って音に戻します。
FMは「周波数変調」
FMは、周波数変調と呼ばれます。
周波数とは、1秒間に波が何回振動するかを表す数値です。この振動の回数を、音に合わせて変化させる方式です。
波の大きさは変えず、細かさだけを変える。そう考えると分かりやすいかもしれません。
この違いが決定的です
ここから、すべての性質が導かれます。
雑音というのは、電波の強さが乱れる現象です。雷、電子機器、送電線。こうしたものが、電波の強さに影響を与えます。
AMは強さで音を伝えているため、この乱れがそのまま雑音として聞こえます。
一方FMは、周波数で音を伝えています。強さが多少乱れても、周波数の情報は保たれます。だから雑音に強いのです。
この理屈さえ押さえておけば、あとの話はすべて応用です。専門的に見える性質の違いも、たどればここに行き着きます。
逆に言えば、覚えることはこの一点だけです。あとは自然に導けます。
周波数帯の違いを数値で押さえる
次に、使っている電波の帯域を見ましょう。
| 区分 | 周波数の範囲 | 電波の呼び名 |
|---|---|---|
| AM放送 | 531〜1602kHz | 中波 |
| FM放送(従来) | 76.1〜89.9MHz | 超短波 |
| ワイドFM | 90.1〜95MHz | 超短波 |
単位に注目してください。AMはkHz、FMはMHzです。
1MHzは1000kHzにあたります。つまりFMは、AMのおよそ100倍も細かく振動する電波を使っています。
周波数と波長の関係
周波数が低いほど、波は長くなります。
AM放送で使う中波の波長は、数百メートルに及びます。一方、FMで使う超短波は数メートルです。
この波長の差が、そのまま届き方の違いを生み出しています。
長い波は障害物を回り込みます
波長が長い電波には、障害物の裏側へ回り込む性質があります。
山や建物があっても、その向こうへ届きやすい。これがAMの強みです。
一方、波長の短いFMは、直進する性質が強くなります。障害物に遮られると、その裏側には届きにくくなります。
AMの特徴を詳しく見る
ここからは、それぞれの性質を強みと弱みに分けて順に整理していきます。
強み1:遠くまで届く
AMの最大の利点です。
ひとつの送信所から、県をまたぐ広い範囲をカバーできます。山間部や離島にも届きやすい性質があります。
災害時、広い範囲に一斉に情報を届けるという点で、これは大きな意味を持ちます。
強み2:夜は遠方の放送も入る
意外に知られていない性質です。
AMの電波には、夜になると上空の層で反射して、さらに遠くまで届くという性質があります。
日中は聴けない他県の放送が、夜には入ることがあります。ときには海外の放送が混じることさえあります。
この性質は、災害時に役立つ場面があります。地元の放送局が被災して停止しても、夜であれば隣県の放送から状況をつかめる可能性があるためです。
弱み1:雑音を拾いやすい
AMの最大の弱点です。
次のようなものが、雑音の原因になります。
- テレビ、パソコン、スマートフォンの充電器
- 電子レンジ、冷蔵庫、蛍光灯
- 調光機能のある照明
- 送電線や電車の架線
- 雷
現代の家の中は、電子機器であふれています。そのためAMは、室内では聴きにくいことが少なくありません。
弱み2:鉄筋の建物に弱い
鉄筋コンクリートの建物では、AMが入りにくくなります。
マンションにお住まいの方が「AMが入らない」と感じるのは、多くの場合これが理由です。
窓際に移動する、本体の向きを変えるといった工夫で改善することがあります。
弱み3:送信設備が大がかり
これは放送局側の事情ですが、私たちにも関係します。
AMの送信所には、高い鉄塔と広い土地が必要です。維持にも費用がかかります。
さらに、海沿いの低い土地に設置されることが多く、水害に弱いという問題もあります。
この負担の大きさが、後で触れるFMへの転換の背景になっています。
FMの特徴を詳しく見る
続いてFMです。
強み1:雑音に強い
最大の利点です。仕組みの説明でも触れたとおり、電波の強さが乱れても音への影響が小さくなります。
室内、機器の近く、雷が鳴っているとき。こうした場面でも、比較的きれいに聴けます。
災害時に自宅や避難所で聴くことを考えれば、この性質は非常に重要です。
強み2:音質がよい
FMは、AMより広い帯域を使って音を送っています。そのぶん、高い音まで再現できます。
音楽番組がFMに多いのは、この理由です。
ただし防災の観点では、音質そのものより「聞き取りやすさ」が重要です。雑音が少ないぶん、アナウンサーの声も聞き取りやすくなります。
強み3:送信設備が小さくて済む
FMの送信所は、AMほど大がかりではありません。
そのため、小規模な放送局を作りやすくなります。市町村単位で運営されるコミュニティFMが成り立つのは、この理由です。
地域に密着した情報を流せる点で、これは災害時に大きな意味を持ちます。
弱み1:届く範囲が狭い
FMの弱点です。
直進する性質が強いため、山の裏側や遠方には届きにくくなります。ひとつの送信所でカバーできる範囲は、AMより狭いのが一般的です。
そのため、山間部では中継局を数多く設置する必要があります。
弱み2:地形の影響を受けやすい
山や高いビルに遮られると、受信が難しくなります。
移動しながら聴いていると、急に途切れることがあります。これは地形の影響です。
ワイドFMという仕組み
ここまでの話を踏まえると、ワイドFMの意味が理解できます。
ワイドFMとは、AM放送の内容をFMの電波でも流す仕組みです。90.1〜95MHzの帯域を使います。
なぜこの仕組みが生まれたのか
理由は2つあります。
ひとつは、AMが都市部の室内で聴きにくいという問題を解決するためです。
もうひとつは、AMの送信設備が災害に弱いという問題への備えです。海沿いの送信所が浸水すれば、放送が止まります。FMでも流しておけば、片方が止まってももう片方が残ります。
聴くには対応したラジオが必要です
注意していただきたい点です。
ワイドFMを聴くには、90MHzを超える周波数を受信できるラジオが必要です。
古いラジオの多くは、FMの上限が90MHzです。この場合、ワイドFMは聴けません。
ご自宅のラジオの周波数表示を確認してみてください。「95」や「108」まであれば対応しています。
詳しくはワイドFMとは?90.1MHz以上に対応していないラジオでは聴けませんで解説しています。
AM放送はどうなっていくのか
いま、大きな変化が進んでいます。
民放のAMラジオ47局のうち44局が、2028年秋までにFMへの転換を目指しています。
なぜ転換するのか
先ほど触れた、送信設備の負担が理由です。
AMの送信所は維持費が高く、老朽化した設備の更新にも多額の費用がかかります。FMに一本化できれば、この負担が軽くなります。
私たちへの影響
AMが停波した地域では、ワイドFM非対応のラジオで民放が聴けなくなります。
ただし、NHKのAM放送は継続される方針です。この点は押さえておいてください。
時期や範囲は地域によって異なります。詳しくはAMラジオはいつ停波する?2028年秋のFM転換と地域ごとの違いを解説にまとめています。
災害時にどう使い分けるか
ここからが本題です。防災の観点で整理します。
| 場面 | 有利なほう | 理由 |
|---|---|---|
| 自宅の室内で聴く | FM | 雑音に強く、鉄筋建物でも入りやすい |
| 避難所で聴く | FM | 人と機器が多く、雑音が出やすい |
| 山間部や離島 | AM | 回り込む性質で届きやすい |
| 地元局が停止した | AM | 遠方の放送が入る可能性がある |
| 地域の細かい情報がほしい | FM | コミュニティFMがある地域なら有効 |
| 雷が鳴っている | FM | AMは雷の雑音を強く拾う |
| 電池を長くもたせたい | AM | 機種によりAMのほうが消費が少ない |
最後の項目について補足します。
機種によっては、AM受信のほうが消費電力が小さく設定されています。ある防災ラジオでは、アルカリ乾電池でAM約100時間、FM約80時間という差が公表されています。
長期の停電では、この20時間の差が効いてくる場面もあります。
基本の使い方
私がおすすめしている手順は次のとおりです。
- まずFMで地元の放送を探す
- 入らなければAMに切り替える
- どちらも入らなければ、本体の向きや置き場所を変える
- それでも駄目なら、窓際や屋外へ移動する
- 夜間で地元局が停止していれば、AMで遠方の放送を探す
この順番で試せば、たいていは何かしら受信できます。大切なのは、一度で諦めないことです。方式と場所と向き、この3つを変えれば状況は変わります。
受信状況を良くする具体的な方法
方式ごとに、有効な工夫が違います。
AMが入らないとき
AM用のアンテナは、多くの機種で本体の内部にあります。棒状の部品で、向きによって感度が変わります。
- 本体をゆっくり水平に回して、いちばん聴こえる向きを探す
- テレビ、パソコン、充電器、電子レンジから離す
- 照明を消してみる(調光機能のあるものは特に影響が大きい)
- 窓際に移動する
- 鉄筋の建物なら、ベランダや屋外へ出る
最初の項目が特に有効です。向きを変えるだけで、ノイズが消えることがあります。
FMが入らないとき
FMは、伸びるロッドアンテナで受信します。
- アンテナをいっぱいに伸ばす
- 垂直に立てる
- それでも駄目なら、少し傾けて角度を探る
- 窓際や高い場所へ移動する
- 手で本体を持つと感度が上がることがある
最後の項目は、体がアンテナの一部として働くためです。ただし手を離すと途切れるので、恒久的な解決にはなりません。
イヤホンを使う場合
スマートフォンの内蔵ラジオでは、イヤホンのコードがアンテナの役目を果たします。
そのため、イヤホンを挿さないと受信できない機種があります。この仕組みは災害時、スマホでラジオは聴ける?仕組みと備え方を解説で詳しく説明しています。
コミュニティFMという選択肢
FMの特徴として触れた「小さな送信設備で済む」という性質が、災害時に独自の価値を生んでいます。
コミュニティFMとは、市町村などの狭い範囲を対象にした小規模なFM放送局です。全国に多数開局しています。
なぜ災害時に強いのか
県域を対象にした放送局では、どうしても情報が大まかになります。「○○地方に大雨警報」といった伝え方になりがちです。
一方コミュニティFMは、地区名や施設名まで具体的に伝えられます。
- どの避難所が開設されたか
- 給水車がどこに何時に来るか
- どの道路が通れないか
- ごみの収集がどうなっているか
こうした生活に直結する情報は、身近な放送局でなければ流せません。
臨時災害放送局という仕組み
大きな災害が起きたとき、被災地に臨時の放送局が開設されることがあります。
既存のコミュニティFMが役割を広げる場合もあれば、新たに開設される場合もあります。いずれもFMの電波を使います。
設備が小さくて済むFMだからこそ、こうした素早い立ち上げが可能になります。
周波数を調べておく
お住まいの地域にコミュニティFMがあるかどうか、平常時に調べておいてください。
周波数を紙に書いて、ラジオと一緒に保管しておきましょう。停電時に調べる手段はありません。機種ごとの比較は防災ワンセグラジオおすすめ完全ガイド【ソーラー・手回し充電・フルセグ比較・選び方】2026年最新版にまとめています。
音の帯域という視点
もう少し踏み込んだ違いも見ておきましょう。聞き取りやすさに関わる話です。
AMは高い音が出にくい
AM放送では、送れる音の範囲が限られています。そのため、高い音が削られてこもった印象になります。
電話の声に少し似ている、と感じる方もいるでしょう。実際、伝えられる音の範囲は近い水準です。
それでも言葉は聞き取れます
ここが重要な点です。
人の声を聞き取るために必要な音の範囲は、実はそれほど広くありません。高い音が削られても、何を言っているかは十分に分かります。
音楽を楽しむには物足りませんが、情報を伝えるという目的であればAMで問題ないのです。
AM放送にニュースやトーク番組が多く、FMに音楽番組が多いのは、この性質を活かした結果です。
雑音があると聞き取りが難しくなる
ただし、雑音が乗ると話は変わります。
ザーという音にかぶさると、言葉の細かい部分が判別しにくくなります。地名や数字を聞き間違える危険が出てきます。
災害時、地名や時刻を聞き間違えるのは深刻です。この点でも、雑音の少ないFMには利点があります。
聞き取れないときの対処
雑音まじりで聞き取りにくいときは、次を試してください。
- 音量を上げすぎない(雑音も一緒に大きくなる)
- 本体の向きを変えて、いちばん雑音が少ない位置を探す
- 周囲を静かにする
- イヤホンを使う
最後の項目は有効です。周囲の音が遮られ、集中して聞き取れるようになります。
どんなラジオを選べばよいか
ここまでの話を、選び方に落とし込みます。
両方受信できることが最低条件です
まず、AMとFMの両方が聴ける機種を選んでください。
どちらか一方しか聴けない機種は、災害時の選択肢を狭めます。安価なFM専用機などもありますが、防災用には向きません。
FMの上限を必ず確認する
次に、FMの受信範囲を確認してください。
| FMの上限表示 | 判定 |
|---|---|
| 90MHzまで | ワイドFM非対応。買い替えを検討 |
| 95MHzまで | ワイドFM対応 |
| 108MHzまで | ワイドFM対応。海外向け規格も含む |
店頭でも通販でも、この数値は必ず表示されています。確認してから買ってください。すでにお持ちの機種も、この機会に見ておくことをおすすめします。
電源の系統を確認する
受信性能と同じくらい重要なのが、電源です。
乾電池が使えること、できれば手回しやソーラーも備わっていること。この条件を満たせば、停電が長引いても情報を得続けられます。
機種選びの詳細は多機能防災ラジオの選び方|手回し・ソーラー・スマホ充電まで徹底解説にまとめています。
よくある誤解を整理する
相談を受けるなかで、よく出てくる誤解があります。
「FMのほうが新しい技術だから優れている」
これは正確ではありません。
確かにFMのほうが後から普及しました。しかし、遠くまで届くという点ではAMが優れています。どちらが上ということはなく、性質が違うだけです。
「ワイドFMがあればAMは不要」
これも早計です。
ワイドFMは、FMの電波で流されています。したがって、届く範囲もFMの性質に従います。山間部などでは、依然としてAMのほうが届く地域があります。
また、NHKのAM放送は継続される方針です。両方聴ける機種を持っておくのが確実です。
「デジタル放送のほうが災害に強い」
一概には言えません。
デジタル方式には、受信できるかできないかがはっきり分かれる性質があります。電波が弱くなると、途中から急に何も聞こえなくなります。
一方、アナログのラジオは、電波が弱くても雑音まじりで何とか聞き取れることがあります。ぎりぎりの場面では、この違いが効いてきます。
「スマートフォンがあればラジオは要らない」
これが最も危険な誤解です。
配信アプリは、通信が生きていなければ使えません。基地局が停電で停止すれば、圏外になります。
電波を直接受信するラジオは、放送局が送信を続けている限り聴けます。この差は、災害が長引くほど大きくなります。
私が北海道で感じていること
私は札幌に住んでいます。2018年の胆振東部地震では、全道が停電するブラックアウトを経験しました。
あのとき私が実感したのは、放送が続いていることのありがたさでした。停電でテレビは映らず、スマートフォンの電池も減っていく。そんな状況で、ラジオだけが情報を運び続けていました。
北海道ではAMの価値が高い
北海道は広く、山間部も多い土地です。FMの中継局が届かない地域が、少なからずあります。
こうした土地では、遠くまで回り込むAMの性質が、いまも重要な役割を果たしています。
都市部の感覚だけで「AMはもう古い」と考えるのは、正しくないと私は思っています。
両方持っておく意味
結局のところ、どちらか一方を選ぶ話ではありません。
室内ではFMが有利で、遠距離ではAMが有利。雷のときはFMで、地元局が止まったらAMで。使い分ければ、情報が途切れる場面は確実に減ります。
そのためには、両方聴けるラジオを1台持っておくだけでよいのです。難しいことは何もありません。
仕組みを知ると不安が減ります
私が防災の話をするとき、大切にしていることがあります。仕組みまで伝える、ということです。
「窓際に置いてください」とだけ言われても、なぜそうするのかが分からなければ応用が利きません。窓際でも入らなかったとき、次に何をすればよいか判断できないからです。
しかし「AMは鉄筋に弱く、電子機器の雑音を拾う」と知っていれば、自分で考えられます。照明を消してみよう、冷蔵庫から離してみよう、と。
災害時に起きることは、想定どおりとは限りません。だからこそ、手順の暗記ではなく理屈の理解が役に立ちます。
知識は荷物になりません
防災グッズには重さがあり、置き場所も必要です。買うにはお金もかかります。
その点、知識は違います。いくら持っていても荷物になりません。そして、道具がない場面でも使えます。
AMとFMの違いは、覚えてしまえば一生使えます。今日この記事を読んだことが、いつか役に立てば嬉しく思います。
よくある質問
Q. AMとFMの違いを一言で言うと何ですか
A. 電波に音を乗せる方法の違いです。AMは電波の強さを変えて音を伝え、FMは周波数を変えて伝えます。この一点から、届く距離や雑音への強さといった性質の違いがすべて生まれています。
Q. どちらが災害に強いですか
A. 場面によって変わります。室内や避難所で聴くならFMが有利で、雑音に強く鉄筋建物でも入りやすい性質があります。一方、山間部や離島、地元局が停止した場合はAMが有利です。両方聴ける機種を持つのが確実です。
Q. なぜAMは雑音が入りやすいのですか
A. AMは電波の強さで音を伝えているためです。雷や電子機器が電波の強さを乱すと、それがそのまま雑音として聞こえます。FMは周波数で音を伝えるので、強さが乱れても影響が小さくなります。
Q. 周波数の単位が違うのはなぜですか
A. 使っている電波の帯域が違うためです。AMは531〜1602kHz、FMは76〜95MHzを使います。1MHzは1000kHzなので、FMはAMのおよそ100倍細かく振動する電波を使っている計算になります。
Q. なぜAMは遠くまで届くのですか
A. 波長が長いためです。AMで使う中波の波長は数百メートルあり、山や建物の裏側へ回り込む性質があります。一方、FMの超短波は数メートルと短く、直進する性質が強いため障害物に遮られやすくなります。
Q. 夜にAMで遠くの放送が入るのはなぜですか
A. AMの電波が、夜になると上空の層で反射して遠くまで届くためです。日中は聴けない他県の放送が入ることがあります。地元局が被災して停止した場合、この性質から状況をつかめる可能性があります。
Q. ワイドFMがあればAMは不要ですか
A. 不要にはなりません。ワイドFMはFMの電波で流されるため、届く範囲もFMの性質に従います。山間部などではAMのほうが届く地域が残ります。またNHKのAM放送は継続される方針です。
Q. 自分のラジオがワイドFMに対応しているか、どう調べますか
A. FMの周波数表示の上限を見てください。「90」で終わっていれば非対応です。「95」や「108」まであれば対応しています。ワイドFMは90.1〜95MHzを使うため、90MHzまでの機種では聴けません。
Q. AMが入らないときはどうすればよいですか
A. まず本体をゆっくり水平に回してください。AM用のアンテナは本体内部にあり、向きで感度が大きく変わります。あわせて、テレビや充電器、電子レンジから離し、窓際へ移動してみてください。
Q. FMが入らないときはどうすればよいですか
A. ロッドアンテナをいっぱいに伸ばし、垂直に立ててください。それでも駄目なら角度を変えたり、窓際や高い場所へ移動したりします。手で本体を持つと感度が上がることもありますが、離すと途切れます。
Q. AMとFMで電池のもちは変わりますか
A. 機種によって変わります。ある防災ラジオでは、アルカリ乾電池でAM約100時間、FM約80時間という差が公表されています。長期の停電では、この差を意識してAMを選ぶという判断もありえます。
Q. コミュニティFMとは何ですか
A. 市町村などの狭い範囲を対象にした小規模なFM放送局です。県域の放送局では流せない、避難所の開設状況や給水車の到着時刻といった具体的な情報を伝えられます。お住まいの地域にあるか調べ、周波数を控えておいてください。
Q. AMの音がこもって聞こえるのはなぜですか
A. AM放送では送れる音の範囲が限られており、高い音が削られるためです。ただし人の声を聞き取るのに必要な範囲は十分に確保されています。情報を伝える目的では問題ありません。AMにニュースが多いのは、この性質を活かした結果です。
Q. 雑音で聞き取りにくいときはどうしますか
A. 音量を上げすぎないでください。雑音も一緒に大きくなります。本体の向きを変えて雑音の少ない位置を探し、周囲を静かにしてください。イヤホンを使うと周囲の音が遮られ、集中して聞き取れるようになります。
Q. スマートフォンがあればラジオは要りませんか
A. 必要です。配信アプリは通信が生きていなければ使えず、基地局が停電で停止すれば圏外になります。電波を直接受信するラジオは、放送局が送信を続けている限り聴けます。この差は災害が長引くほど大きくなります。
まとめ
AMとFMの違いについて、要点を整理します。
- 違いは、電波に音を乗せる方法。AMは強さ、FMは周波数を変える
- AMは531〜1602kHzの中波、FMは76〜95MHzの超短波を使う
- AMは波長が長く、障害物を回り込んで遠くまで届く
- AMは電波の強さで音を伝えるため、雑音を拾いやすい
- FMは雑音に強く、室内や鉄筋建物でも比較的入りやすい
- FMは直進性が強く、山や建物に遮られると届きにくい
- ワイドFMは、AMの内容をFMの電波でも流す仕組み
- ワイドFMを聴くには90MHz超を受信できるラジオが必要
- 民放AM47局のうち44局が2028年秋までのFM転換を目指す
- NHKのAM放送は継続される方針
- 災害時は場面によって有利なほうが変わる。両方聴ける機種を持つ
仕組みを知ると、ラジオの扱い方が変わります。入らないときに、なぜ入らないのかが分かるからです。
本体を回せばよいのか、窓際へ行けばよいのか、方式を切り替えればよいのか。判断ができるようになります。
今日ひとつだけやるとすれば、ご自宅のラジオのFM表示を見てください。上限が「90」で終わっていないかどうか。それだけで、いざというときに聴ける放送の数が変わってきます。


