【この記事の要約】
台風22号(アータウ)と23号(バンラン)は、日本に接近しません。どちらもウェーク島近海で発生し、日本のはるか東を北上する予想です。備える必要はありません。ただし、この2つには見ておく価値のある点が三つあります。一つは記録です。8月の発生数が10個に達し、1966年8月以来60年ぶりとなりました。二つ目は藤原の効果です。近接した2つの台風が影響し合い、23号が22号を追い越す予想が出ています。三つ目は「発生数が多い=危険が多い」ではないということ。10個のうち日本に大きな影響を与えたものは限られます。この記事では、この2つの現況と記録の意味、そして本当に警戒すべき時期はこれからだという理由を書きます。
【8月29日 更新】消滅の予想まで出ました
この記事は8月28日、23号が発生した直後に書きました。その後、進路の予想が具体的になっています。
28日21時時点の実況
| 台風22号(アータウ) | 台風23号(バンラン) | |
|---|---|---|
| 位置 | 北緯25度05分・東経166度30分 | 北緯19度35分・東経165度50分 |
| 中心気圧 | 996hPa | 998hPa |
| 最大風速 | 20m/s(瞬間30m/s) | 20m/s(瞬間30m/s) |
| 進行 | 北西へ 毎時15キロ | 北北東へ 毎時15キロ |
どちらも、日本に近づかずに消えます
| 日本のはるか東に到達 | 熱帯低気圧に変わる | |
|---|---|---|
| 22号 | 8月30日15時 | 9月2日15時・アリューシャンの南 |
| 23号 | 8月31日15時 | 9月2日15時・アリューシャンの南 |
備える必要は、引き続きありません。
ただし台風周辺の海域と、進路にあたる海域はしけになります。船舶や、海に関わる仕事をされている方は注意してください。
藤原の効果について、記述を訂正します
この記事の後半で、私はこう書きました。
23号は、はじめのうち22号を追って北上します。そのあと、22号の東側を回り込むように追い越します。
これは8月28日時点の予想を引用したものです。
しかし28日21時の実況では、22号が北西、23号が北北東へ進んでいます。方向が分かれており、追い越しの形になるとは限りません。
この点について、私は断定すべきではありませんでした。2つの台風が近接したときの動きは、予想が難しい部分です。
言えるのは「近接した台風は互いに影響し合い、進路の予想が難しくなる」という原則までです。
ここに、学ぶ価値があります
今回は日本に影響しないので、実害はありません。しかし、これがまさに藤原の効果の怖さです。
予想が出ても、そのとおりに動くとは限らない。
もし同じことが日本の南で起きていたら、「東へ逸れる」という予想を信じて備えなかった地域が、直撃を受けていたかもしれません。
複数の台風が出ているときは、予想を一度見て終わりにしないでください。1日に何度か更新されます。
8月の台風は、10個で確定しました
8月29日時点で、新たな台風は発生していません。
2026年8月の発生数は10個。1966年8月以来、60年ぶりの記録です。
そして9月からが、本州にとっての本番です。この記事の後半に書いた準備を、いまのうちに済ませておいてください。
台風の番号が20を超えると、たいてい同じ質問を受けます。
「こんなに出ているけど、大丈夫なのか」。
私は防災士として、台風のたびに記事を書いてきました。そのうえで、先に答えを書きます。
22号も23号も、日本には来ません。備えを始める必要はありません。
ただ、それだけで終わらせるのはもったいない状況です。2026年8月は、統計に残る月になりました。
結論|どちらも日本に接近しません
まず現況を整理します。
| 台風22号 | 台風23号 | |
|---|---|---|
| 名前 | アータウ | バンラン |
| 発生 | 8月27日15時 | 8月28日12時 |
| 発生場所 | ウェーク島近海 | ウェーク島近海 |
| 進路 | 日本のはるか東を北上 | 日本のはるか東を北上 |
| 日本への影響 | 接近しない見通し | 接近しない見通し |
やることはありません。ニュースで番号を見かけても、備蓄を増やす必要も、予定を変える必要もありません。
ただし、台風の情報を見る習慣そのものは、この時期に作っておく価値があります。9月に入れば、本州に直撃する台風が増えるからです。
影響のない台風は、練習台として最適です。実際に危険が迫っているときには、落ち着いて情報を読む余裕がありません。
ウェーク島がどこにあるか
この場所が、答えのすべてです。
ウェーク島は太平洋のほぼ真ん中にあります。日本から見ると、はるか東の海上です。
日本に影響する台風の多くは、フィリピンの東やマリアナ諸島付近で生まれます。そこから西へ進み、進路を北東へ変えて日本に近づきます。
ウェーク島近海で生まれた台風は、そもそも日本の東側にいます。そこから北上しても、日本列島には届きません。
だから発生場所を見れば、影響の有無はある程度わかります。番号ではなく、生まれた場所を見てください。
2026年8月は、60年ぶりの記録になりました
ここからが、この2つを見る意味です。
1か月で10個
23号(バンラン)の発生で、今月の台風は10個になりました。
| 記録 | 内容 |
|---|---|
| 1か月に10個の発生 | 1966年8月以来、60年ぶり |
| 月に10個以上の発生 | 1951年以降で3回目 |
| 1か月に9個の発生 | 2018年8月以来、8年ぶり |
| 台風22号としての早さ | 統計史上2番目 |
| 8月末までに22号まで発生 | 統計史上3回目 |
| 1月〜8月の毎月発生 | 1951年以降で3回目(1965年・2015年・2026年) |
60年ぶりというのは、ほとんどの人が経験していないということです。
ただし、これは危険の指標ではありません
ここを取り違えないでください。
10個発生したからといって、10個が日本に来るわけではありません。
| 台風 | 主な影響先 |
|---|---|
| 19号(ナーラ) | 中国・ベトナム方面 |
| 20号(ガエナリ) | 台湾方面 |
| 21号(アッサニー) | 日本への影響なし |
| 22号(アータウ) | 日本のはるか東 |
| 23号(バンラン) | 日本のはるか東 |
台風の危険度は、発生した数ではなく進路で決まります。
「今月10個目」というニュースを聞いても、それだけでは自分の備えを変える理由になりません。
見るべきは一つだけです。その台風が、自分の地域に近づくかどうか。
むしろ、数が多い年には別の傾向があります
発生が多い年は、ひとつひとつが発達しきらない傾向があります。海の熱エネルギーを分け合う形になるからです。
逆に、発生数が少ない年に、ひとつが極端に発達することがあります。
「今年は台風が多いから危険」も「少ないから安心」も、どちらも成り立ちません。
数を見て安心も心配もしない。これが正しい向き合い方だと考えています。
22号と23号のあいだで、藤原の効果が起きています
この2つには、教材として見る価値があります。
何が起きているか
22号と23号は、近接した海域を北上しています。
2つの台風が接近すると、互いの渦が影響し合って、通常とは違う動きをします。これを藤原の効果と呼びます。
今回の予想はこうです。
23号は、はじめのうち22号を追って北上します。
そのあと、22号の東側を回り込むように追い越します。
後から発生した台風が、先行する台風を追い抜く。これが藤原の効果の典型的な現れ方の一つです。
なぜ、これを知っておく価値があるのか
今回は日本に影響しません。だから安心して観察できます。
しかし同じことが日本の南で起きたら、どうなるか。
進路予想が、日ごとに大きく変わります。前日に「西へ逸れる」と出ていたものが、翌日には「直撃」に変わることがあります。
2つの台風が近い位置にあるとき、予報の不確実性は跳ね上がります。
藤原の効果と、3つ同時に発生したときの考え方はトリプル台風とは?台風3つ同時の仕組みにまとめました。
複数の台風が出ているときの原則
三つあります。
一、進路予想を毎日確認する。一度見て終わりにしないでください。単独の台風より変わりやすい状態です。
二、予報円の大きさを見る。円が大きい日は、それだけ予想が定まっていません。
三、準備は早い段階で始める。「進路が決まってから」では間に合わないことがあります。
「アータウ」「バンラン」という名前について
台風の名前は、あらかじめ用意されたリストから順番に付けられます。
アータウは、パラオ語の「嵐雲」
22号の「アータウ」は米国が提案した名前で、パラオ語で嵐雲を意味します。
台風の名前は、日本を含む14の国と地域が提案したものが使われています。順番に使われ、一巡すると最初に戻ります。
名前の付け方の仕組みは台風の名前はどう決まるのかにまとめました。
名前で強さは分かりません
念のため書いておきます。
名前は発生順に機械的に付けられます。強い台風に強そうな名前が付くわけではありません。
番号も同じです。22号だから20号より強い、ということはありません。
本当に警戒すべきなのは、これからです
ここが、この記事でいちばん伝えたい部分です。
8月が終わっても、台風の季節は終わりません
むしろ本州や北日本にとっては、ここからが本番です。
| 時期 | 特徴 |
|---|---|
| 7〜8月 | 数は多いが、進路が定まらず日本に来ないものも多い |
| 9〜10月 | 本州直撃が増える。勢力を保ったまま北上しやすい |
| 10月以降 | 数は減るが、秋雨前線と重なると大雨になりやすい |
秋の台風が危ない理由
三つあります。
一、偏西風が南下してきます。台風がその流れに乗ると、速度を上げて一気に日本へ向かいます。
二、海水温が高いまま残っています。夏のあいだに温まった海が、勢力を保つ燃料になります。
三、秋雨前線と重なります。台風本体が来る前から、前線に湿った空気が流れ込んで大雨になります。
三つ目が、いちばん見落とされます。台風が遠くにいるのに大雨になるのは、この仕組みです。
秋雨前線と台風の関係は秋雨前線とは?梅雨との違いと大雨になる仕組みにまとめました。
いま、やっておくとよいこと
22号・23号への備えは不要です。ただし、9月に向けた準備なら意味があります。
一、ハザードマップで自宅を確認する。浸水想定と、土砂災害警戒区域に入っていないか。
二、側溝や雨どいの詰まりを掃除する。落ち葉や土がたまっていると、少ない雨でも溢れます。
三、停電の備えを見直す。ライトの電池、モバイルバッテリーの充電。
どれも台風が来てからでは間に合いません。影響のない台風が出ているいまが、ちょうどよい時期です。
台風への備え全体は台風対策|備えの順番と、やってはいけないことにまとめました。
台風はどこで生まれ、どこへ行くのか
発生場所で影響が読めると書きました。その理由を説明します。
生まれる場所は、だいたい決まっています
台風は、海水温がおよそ27度以上ある海域で生まれます。暖かい海から立ちのぼる水蒸気が、エネルギーになるからです。
日本に関係する台風の発生海域は、大きく三つに分かれます。
| 発生海域 | 日本への影響 |
|---|---|
| フィリピンの東 | 最も多い。西進後に北東へ向きを変え、日本へ |
| マリアナ諸島付近 | 日本の南から接近しやすい |
| 南シナ海 | 中国・ベトナム方面が中心 |
| ウェーク島近海 | 日本のはるか東。届きにくい |
22号と23号は、いちばん下の海域です。
なぜ「西へ進んでから北東へ曲がる」のか
ここを知っておくと、進路予想が読みやすくなります。
台風は自分で進路を選んでいません。まわりの風に流されています。
日本の南には、夏のあいだ太平洋高気圧が張り出しています。台風はその高気圧のふちに沿って動きます。
高気圧の南側では、東から西へ吹く風に乗って西進します。高気圧の西の端まで来ると、今度は南から北へ向かう流れに乗ります。
そして北上したところで偏西風につかまり、北東へ加速します。
これが、あの弧を描く進路の正体です。
だから、高気圧の位置で進路が変わります
太平洋高気圧が西へ強く張り出している年は、台風が西へ流され、中国や台湾へ向かいやすくなります。
逆に高気圧が東へ後退すると、台風が日本列島へ乗り上げるコースになります。
今年の8月に発生した台風の多くが日本を逸れたのは、この配置が関係しています。
ただし、これは常に変わります。9月に高気圧が後退すれば、同じ場所で生まれた台風が日本に来ます。
予報円の見方を、もう一度
複数の台風が出ているいまは、この見方が特に効きます。
予報円は「中心が入る範囲」です
よくある誤解を先に書きます。
予報円は、暴風域の広がりではありません。台風の中心が、70%の確率で入る範囲です。
つまり円の外に出る可能性も30%あります。
そして円の端に自分の地域がかかっているなら、直撃の可能性が十分にあるということです。
円が大きい日は、準備を早める
予報円が大きいということは、気象庁でも進路を絞り込めていないという意味です。
藤原の効果がはたらいているときは、まさにこの状態になります。
円が大きいときほど、早めに動いてください。「進路が確定してから準備する」は、確定したときには間に合いません。
予報は、更新されるたびに変わります
台風情報は1日に何度も更新されます。
朝の予想と夜の予想が違うのは、普通のことです。間違っていたわけではありません。
だから一度見て安心しない。これが複数の台風が出ているときの基本です。
9月に向けて、いま確認しておくこと
22号・23号への備えは不要ですが、時間はあります。この時期にやっておくと楽になることを書きます。
家の外まわり
| やること | 理由 |
|---|---|
| 雨どい・側溝の掃除 | 詰まっていると、少ない雨でも溢れる |
| 飛びそうなものの確認 | 植木鉢、物干し竿、自転車 |
| アンテナ・屋根の点検 | 台風前に業者は混み合う |
| 窓のガタつき | 強風時の破損につながる |
いちばん上が、いちばん効きます。そして自分でできます。
雨どいの詰まりは、外からは見えません。脚立が必要な高所は、無理をせず業者に頼んでください。台風が近づいてからでは、どこも受けてくれません。
家の中
停電の備えを、夏のあいだに使い切っていないか確認してください。
今年は猛暑でした。モバイルバッテリーを使い切ったまま充電していない、という家庭は多いはずです。
ライトの電池も同じです。台風の停電は夜に起きることが多く、そのとき電池が切れていると何もできません。
情報の受け取り方
台風のときは、停電と通信障害が同時に起きることがあります。
スマートフォンだけに頼らない手段を、一つ用意しておいてください。電池式のラジオが確実です。
そして自治体の防災メールに登録しておく。これは無料で、5分で終わります。
やらなくていいこと
最後に、これも書いておきます。
影響のない台風のたびに、水や食料を買い足す必要はありません。
今月は10個発生しました。そのたびに買っていたら、家が備蓄で埋まります。
普段からローリングストックで回しておき、実際に接近が予想されたときに不足分だけ足す。これで十分です。
やり方はローリングストックは「買い足して古い順に食べる」だけにまとめました。
「強い」と「大きい」は、別の話です
台風情報で混同されやすい部分です。ここを分けて見られると、危険の読み方が変わります。
強さは、中心付近の風速で決まります
| 階級 | 最大風速 |
|---|---|
| (階級なし) | 33メートル未満 |
| 強い | 33メートル以上〜44メートル未満 |
| 非常に強い | 44メートル以上〜54メートル未満 |
| 猛烈な | 54メートル以上 |
階級が付かない台風もあります。「強い」より下は、単に「台風」と呼ばれます。
大きさは、強風域の広がりで決まります
| 階級 | 強風域の半径 |
|---|---|
| 大型(大きい) | 500キロ以上〜800キロ未満 |
| 超大型(非常に大きい) | 800キロ以上 |
強風域とは、風速15メートル以上の風が吹いているか、吹く可能性がある範囲です。
組み合わせで、危険の形が変わります
ここが実用的な部分です。
| タイプ | 起きること |
|---|---|
| 強いが小さい | 中心付近だけ激烈。逸れれば影響は小さい |
| 弱いが大きい | 広範囲が長時間、風雨にさらされる。交通への影響が長引く |
| 強くて大きい | 最も危険。広範囲で長時間、強い風雨 |
「弱いが大きい」を軽く見ないでください。
階級が付かない台風でも、強風域が広ければ数日にわたって船や飛行機が止まります。そして雨が長く続けば、土砂災害の危険は上がります。
そして、大きさは変わります
接近するにつれて、強さは落ちるのに大きさは増すことがあります。
北上して冷たい海に入ると中心の勢力は弱まりますが、温帯低気圧に変わる過程で風の範囲が広がるためです。
「弱まったから安心」が通用しないのは、これが理由です。
台風が来ると決まったら、何を見るか
22号・23号では不要ですが、9月以降のために書いておきます。
時系列で、見るものが変わります
| 時期 | 見るもの | やること |
|---|---|---|
| 5日前 | 進路予想・予報円 | 予定の変更を検討する |
| 3日前 | 予報円の絞り込み | 買い物を済ませる |
| 前日 | 暴風域に入る時刻 | 外まわりの片づけ、風呂に水 |
| 当日 | 警報・避難情報・キキクル | 明るいうちに避難を判断 |
| 通過後 | 河川の水位 | 雨がやんでも川に近づかない |
3日前の買い物が、いちばん重要です。前日には売り切れます。
当日、いちばん大事な判断
暗くなる前に決めてください。
夜の避難は危険です。冠水した道路の側溝やマンホールが見えません。実際、夜間の移動中の事故は繰り返し起きています。
「まだ大丈夫そうだから、様子を見て夜に判断する」。これがいちばん避けたい形です。
明るいうちに、避難するかしないかを決める。残ると決めたなら、2階に必要なものを上げておく。
通過後も、油断しないでください
台風が過ぎたあとに川が増水することがあります。上流に降った雨が、時間差で下流に届くためです。
晴れているのに川の水位が上がるのは、この仕組みです。
そして山では、雨がやんだあとに土砂崩れが起きます。地中に染み込んだ水が、時間をかけて地盤を緩めるからです。
「雨がやんだ=安全」ではありません。
台風のあとの停電で、気をつけること
復旧したときが、いちばん危ない瞬間です。
停電中に電源が入ったままだった家電に、いきなり通電します。倒れた暖房器具や、水に濡れた配線から火が出ることがあります。
停電したら、まずブレーカーを落としてください。そして復旧してから、1台ずつ確認して戻します。
手順は停電復旧後にやること6段階にまとめました。
飛行機や新幹線を予約している方へ
台風が来ると決まったら、予定変更の手数料が無料になることがあります。
航空会社は、台風が予想される路線について事前に特別対応を発表します。欠航が決まる前でも、変更や払い戻しができる場合があります。
発表を待たずに自分でキャンセルすると、通常の手数料がかかります。まず公式の案内を確認してください。
2026年8月の台風10個を、ふり返ります
記録の月になったので、ここに残しておきます。来年以降、比較の材料になります。
日本に影響したもの、しなかったもの
| 台風 | 主な影響 | 日本への影響 |
|---|---|---|
| 15号 | 日本列島 | 大きかった |
| 16号・17号 | 限定的 | 小〜中 |
| 18号 | 日本方面 | 警戒対象になった |
| 19号(ナーラ) | 中国・ベトナム方面 | なし |
| 20号(ガエナリ) | 台湾方面 | なし |
| 21号(アッサニー) | 海上 | なし |
| 22号(アータウ) | 日本のはるか東 | なし |
| 23号(バンラン) | 日本のはるか東 | なし |
10個のうち、日本で本当に警戒が必要だったのは数個です。
これが「発生数は危険の指標にならない」という話の実例です。
15号のときに何が起きたか
今月、いちばん影響が大きかったのが15号でした。
私はこのサイトで台風ごとに記事を書いていますが、読まれ方がまったく違いました。
15号のときは、公開から数日で検索が集中しました。ピークは接近の前日から当日です。
一方、19号から23号のように日本に来ない台風では、検索そのものが起きません。
これは当然のことですが、逆に言えば、人は接近が分かってから調べ始めるということです。
そこに、備えの難しさがあります
接近が分かってから調べる。そのとき、店の棚はもう薄くなっています。
私が「影響のない台風が出ているいまが準備の時期」と書くのは、これが理由です。
誰も焦っていないときにしか、落ち着いて準備はできません。
なぜ2026年は、これほど多いのか
正直に書きます。単一の原因を断定することは、私にはできません。
ただ、条件として挙げられているものは整理できます。
海水温
台風は、暖かい海がエネルギー源です。海水温が高い状態が続けば、台風が生まれやすくなります。
そして生まれた台風が、勢力を保ちやすくなります。
高気圧の配置
前に書いたとおり、太平洋高気圧の張り出し方で進路が決まります。
今年8月に日本を逸れた台風が多かったのは、この配置が影響しています。
逆に言えば、配置が変われば、同じ場所で生まれた台風が日本に来ます。
ただし、断定は避けます
「温暖化のせいで台風が増えた」と単純に言い切ることは、私はしません。気象の要因は複数が絡み合っていて、私はその研究者ではないからです。
言えるのは、記録として1966年以来の数字が出たという事実までです。
そして数が多い年であっても、備え方は変わりません。自分の地域に来るかどうかを見て、来るなら備える。それだけです。
北海道から見ていて、思うこと
私は札幌に住んでいます。ここでの台風の受け取り方は、本州とかなり違います。
「台風は来ない」という感覚が、まだ残っています
北海道では長いあいだ、台風は本州で弱まってから来るものとされてきました。
実際、上陸するころには熱帯低気圧に変わっていることが多かった。
しかし、それが変わってきています。
2016年8月、17日からの1週間で3つの台風(7号・11号・9号)が北海道に上陸しました。
さらに8月30日夕方、台風10号が岩手県大船渡市付近に上陸します。東北地方の太平洋側への台風上陸は、統計史上初めてでした。
岩手県岩泉町では高齢者福祉施設が氾濫した川の濁流に襲われ、9人が亡くなりました。この災害の死者・行方不明者は全国で27人にのぼっています。
北海道でも被害は大きく、アメダス225地点のうち89地点で、8月の降水量が観測史上1位を更新しました。十勝川水系と石狩川水系で堤防が決壊し、日高山脈の東側では道路や橋が流されています。
「北海道は台風が来ない」という前提が崩れた年として記憶されています。
勢力を保ったまま北上する台風が増えています
理由の一つは、北の海の水温です。
台風は冷たい海の上では弱まります。その海が以前より暖かければ、弱まらずに到達します。
本州で「弱まったから安心」と報じられても、北日本ではまだ勢力を保っている場合があります。
だから、9月以降の情報を見てください
北海道や東北にお住まいの方には、特にお伝えしたいことです。
8月に日本を逸れた台風が多かったからといって、この秋が穏やかとは限りません。
9月から10月は、偏西風に乗って速度を上げた台風が、北まで届きやすい時期です。
そして北日本では、台風と秋雨前線が重なると、川が一気に増水します。土地が平らで、農地を流れる川が多いためです。
いま影響のない台風を眺めているこの時期に、近くの川のハザードマップを一度開いておいてください。
番号が大きい台風を、どう扱うか
毎年この時期になると、番号が20を超えます。そのたびに不安になる必要はありません。
見るのは3つだけです
| 見るもの | 意味 |
|---|---|
| 発生場所 | ウェーク島近海なら、日本の東。影響しにくい |
| 進路予想 | 予報円が自分の地域にかかるか |
| 予報円の大きさ | 大きいほど、予想が定まっていない |
番号と名前は、判断材料になりません。
情報は、公式で確認してください
台風の情報は、気象庁の台風情報が基本です。
民間の予報会社も独自の予想を出しています。複数を見て、予想が割れているかどうかを確認するのは有効です。
ただし避難の判断は、自治体の避難情報に従ってください。予報会社の情報で避難を決めるものではありません。
よくある質問
Q. 台風22号・23号に備える必要はありますか
ありません。どちらも日本のはるか東を北上する予想で、接近しない見通しです。
Q. 1か月に10個も発生して、異常気象ですか
記録としては60年ぶりですが、過去にも起きています。1966年8月、そして1951年以降で3回目です。
初めてのことではありません。
Q. 発生数が多い年は、被害も大きくなりますか
そうとは限りません。被害は発生数ではなく、進路と上陸時の勢力で決まります。
むしろ発生が多い年は、ひとつひとつが発達しきらない傾向があります。
Q. 藤原の効果があると、必ず進路が変わりますか
必ずではありません。2つの台風の距離、大きさ、勢力の差によって、影響の出方が変わります。
ただし予想が難しくなるのは確かです。予報円が大きくなる傾向があります。
Q. 22号と23号は、合体しますか
一方が他方に吸収される形になることはあります。ただし今回の予想では、23号が22号を追い越す動きとされています。
Q. 「アータウ」はどこの国の名前ですか
米国が提案した名前で、パラオ語で嵐雲を意味します。
台風の名前は、日本を含む14の国と地域が提案したものを順番に使っています。
Q. 番号が大きいほど強いのですか
関係ありません。番号はその年の発生順に付けられるだけです。
Q. 今年は台風が多いので、9月以降も多いですか
予測できません。8月に多かったからといって、9月以降が多いとは限りません。
ただし9月から10月は、本州に直撃しやすい時期です。数に関係なく、警戒が必要な季節に入ります。
Q. 影響がない台風の記事を読む意味はありますか
あると考えています。
影響がないときに仕組みを知っておくと、本番で慌てません。藤原の効果も、進路が読めなくなる理由も、危険が迫っているときには落ち着いて読めません。
Q. この記事の情報はいつ時点のものですか
2026年8月28日時点で公表されていた情報をもとに書いています。台風の進路や勢力は変わります。
最新の情報は、気象庁の台風情報や、お住まいの自治体の発表をご確認ください。
まとめ
台風22号(アータウ)と23号(バンラン)は、日本に接近しません。備える必要はありません。
どちらもウェーク島近海で発生しました。日本から見て、はるか東の海上です。そこから北上しても、日本列島には届きません。
ただし、記録としては見ておく価値があります。
23号の発生で、今月の台風は10個になりました。1か月に10個は1966年8月以来、60年ぶりです。
そして2026年は1月から8月まで、毎月台風が発生しています。1951年以降で3回目です。
それでも、これは危険の指標ではありません。
10個のうち、日本に大きな影響を与えたものは限られます。19号は中国・ベトナム方面、20号は台湾方面、21号から23号は日本のはるか東です。
台風の危険度は、数ではなく進路で決まります。
今日できることを、ひとつだけ書きます。
台風の情報を見るとき、番号ではなく発生場所を確認してください。
ウェーク島近海なら、日本の東です。フィリピンの東やマリアナ諸島付近なら、注意が要ります。
この見方を覚えておくと、番号が大きくなるたびに不安になることがなくなります。
そして9月から10月が、本州にとっての本番です。影響のない台風が出ているいまのうちに、ハザードマップと停電の備えを確認しておいてください。

