【この記事の要約】
マンションの断水は、戸建てと事情が違います。最大の理由は、多くの建物がポンプで各階へ水を押し上げているからです。停電すればポンプが止まり、水道が生きていても蛇口から水が出ません。つまりマンションでは「停電=断水」になりうるのです。さらに厄介なのが排水です。上の階が流した水が下の階であふれる逆流が起こることがあります。断水中はトイレを流さないでください。加えて、エレベーターが止まれば水は階段で運ぶことになります。10階なら往復20分以上かかります。この記事では、集合住宅に固有の事情と、その対策を整理します。
結論:停電したら、まず蛇口を確認してください
先に結論をお伝えします。
マンションにお住まいなら、覚えておいていただきたいことが3つあります。
一つ目は、停電すると断水する可能性が高いこと。多くのマンションはポンプで水を各階へ送っています。電気が止まればポンプも止まります。
二つ目は、断水中にトイレを流さないこと。排水管が壊れていると、下の階であふれます。
三つ目は、水の運搬を階段で行う前提を持っておくこと。エレベーターは停電で止まり、復旧には点検が必要です。
この3つを知っているかどうかで、対応がまったく変わります。順に説明します。
なぜマンションは停電で断水するのか
ここが、戸建て住宅との最大の違いになります。
水道管の水圧だけで届く高さには限りがあります。そのため多くのマンションでは、いったん水をためて、ポンプで各階へ送っています。
給水方式の違い
| 方式 | 仕組み | 停電時 |
|---|---|---|
| 受水槽方式 | 地上のタンクにためてポンプで屋上へ送る | ポンプ停止で断水。タンクの残りは使える場合あり |
| 高置水槽方式 | 屋上のタンクから重力で各階へ配る | タンクに残っていれば、しばらく出る |
| 加圧給水方式 | ポンプで直接加圧して各階へ送る | ポンプ停止で即座に断水 |
| 直結給水方式 | 水道管の圧力をそのまま利用 | 停電の影響を受けにくい |
ご自宅がどの方式かによって、停電したときの状況が変わります。
低層の建物では直結給水が使われることがあります。この場合、停電しても水は出ます。
一方、加圧給水方式では停電と同時に水が止まります。近年の建物に多い方式です。
調べ方
管理会社か管理組合に聞くのが確実です。管理規約や建物の設備仕様書に記載があります。
手がかりとして、屋上に大きなタンクが見えるなら高置水槽方式、敷地内に地上タンクがあれば受水槽方式の可能性が高くなります。
この確認は、今日できることです。数分の問い合わせで、災害時の見通しが立ちます。
なお、同じ建物でも低層階と高層階で系統が分かれていることがあります。大規模なマンションでは、途中階に中間水槽を設けている場合もあります。ご自宅がどの系統に属するかまで聞いておくと、より正確に把握できます。
タンクに残った水は使えるのか
高置水槽や受水槽がある建物では、停電後もしばらく水が出ることがあります。
ただし、無制限ではありません。
持続時間の考え方
タンクの容量は、そのマンションの1日の使用量に応じて設計されています。おおむね半日分程度を見込んでいる建物が多いとされます。
停電直後は「まだ出る」と安心しがちですが、全住戸が同時に使えば、あっという間に空になります。
だから、停電に気づいた時点ですぐに水をためてください。これが最も重要な初動です。
すぐにやること
- 浴槽に水を張る
- 鍋やバケツに水をためる
- 飲用の分をペットボトルや容器に移す
- 洗濯機に水をためておく(生活用水として)
この作業は、数分で終わります。しかし水が止まってからでは手遅れです。
非常用電源がある建物もあります
近年の大規模マンションでは、非常用発電機を備えている場合があります。給水ポンプがその対象に含まれていれば、停電中も水が使えます。
ただし燃料には限りがあり、多くは数時間から十数時間程度です。また、対象がエレベーターや共用部の照明のみで、給水ポンプは含まれない建物もあります。
ご自宅の建物がどうなっているか、管理組合に確認しておいてください。
最も危険なのは排水の逆流です
ここが、マンションに固有の最大の落とし穴です。見落とすと、自分だけでなく他の住戸にも被害を広げてしまいます。
地震のあと、水が出るようになったからといって、すぐにトイレを流さないでください。
何が起きるのか
マンションの排水は、縦に通った1本の管を複数の住戸が共有しています。
地震でこの管が損傷したり、途中で詰まったりしていると、上の階が流した水は下へ行けません。行き場を失った水と汚物は、低層階の排水口から噴き出します。
つまり、自分がトイレを流したことで、下の階の住人に被害を与えることになります。
被害は深刻です
汚水があふれれば、床材や壁が汚染されます。清掃と復旧には大きな費用がかかります。
そして原状回復の責任をめぐって、住人同士のトラブルに発展することもあります。
知らなかったでは済まない問題です。そして被害を受ける側になる可能性も、与える側になる可能性も、どちらもあります。
建物全体で共有しておくべき知識だと、私は考えています。
いつまで流してはいけないのか
管理組合または管理会社から、排水管の点検結果が知らされるまでです。
目視で確認できる範囲ではありません。専門業者による点検が必要になります。
それまでは、携帯トイレを使ってください。
携帯トイレは必須です
戸建てなら、庭に穴を掘るという選択肢もあります。マンションにはそれがありません。
集合住宅にお住まいなら、携帯トイレは選択肢ではなく必需品です。
目安として、1人1日5回として、7日分なら35回分になります。4人家族なら140回分です。かさばりますが、必要な量です。
選び方は防災用衛生・清潔グッズの選び方とおすすめ15選【2026年最新版】断水時の清潔維持で扱っています。
エレベーターが止まる問題
3つ目の固有事情です。
停電すればエレベーターは止まります。そして電気が復旧しても、すぐには動きません。
復旧に点検が必要です
地震のあと、エレベーターは安全装置が働いて停止します。再稼働には保守業者の点検が要ります。
大きな地震では、地域中のエレベーターが同時に止まります。業者の数には限りがあるため、順番待ちになります。
数日から、場合によっては1週間以上動かないこともあります。
水を階段で運ぶという現実
この状況で、給水所から水を運ぶことになります。
| 階数 | 階段の往復にかかる時間の目安 |
|---|---|
| 3階 | 5分程度 |
| 5階 | 10分程度 |
| 10階 | 20分以上 |
| 15階以上 | 30分以上。荷物があれば大幅に増える |
これは水を持たない場合の目安です。10キロの水を持てば、さらに時間がかかり、休憩も必要になります。
高層階ほど備蓄が重要になります
結論として、上の階に住むほど、家に置いておく水の量を増やすべきです。
10階以上にお住まいなら、7日分の備蓄を目標にしてください。運搬の負担を考えれば、3日分では足りません。
飲用だけで1人1日3リットル、7日で21リットル。4人家族なら84リットルです。2リットルのペットボトルで42本になります。
かさばりますが、階段で運ぶ労力と比べれば、置いておくほうがはるかに現実的です。
運ぶときの工夫
備蓄していても、それでも運ばなければならない場面は出てきます。階段での運搬に絞って要点を挙げます。
1回の量を減らす
平地なら10リットルを推奨しますが、階段では話が別です。5リットル程度に抑えてください。
重い荷物を持って階段を降りるのは、上るより危険です。膝への負担が大きく、踏み外せば大怪我になります。
背負う
リュック型の給水袋があると、手すりをつかめます。階段では、これが安全性を大きく左右します。
専用品がなくても、給水袋をリュックに入れれば同じことができます。
複数人で分担する
一人で何往復もするより、家族や近隣で人数を分けたほうが効率的です。
特に高齢の方が単独で階段を使うのは避けてください。可能なら、若い世代が担当を引き受けてください。
給水所での実務全般は給水車・給水所の使い方|容器は10リットル以下、水は3日で使い切るにまとめています。
受水槽の水を使えることがあります
意外に知られていない選択肢です。
受水槽方式の建物では、地上のタンクに水が残っている場合があります。
非常用給水栓
受水槽に、直接水を取り出せる蛇口が付いている建物があります。停電でポンプが止まっても、ここからなら水を取れます。
ただし、位置と使い方を知らなければ意味がありません。管理組合に確認しておいてください。
また、勝手に開けてよいものではありません。管理者の判断で開放されるのが通常です。
水質には注意が必要です
受水槽の水は、長時間ためられていた可能性があります。停電が長引けば、さらに滞留します。
飲用にする場合は、管理会社の案内に従ってください。生活用水としてなら、より広く使えます。
断水に気づいたときの手順
実際に水が出なくなったとき、何から確認するかを整理しておきます。
手順1:ほかの蛇口も試す
まず、台所以外の蛇口も開けてみてください。洗面所、浴室、トイレの手洗い。
1か所だけ出ないなら、その蛇口や配管の問題です。全部出ないなら、建物全体または地域の断水です。
手順2:停電しているか確認する
照明やブレーカーを確認してください。
停電していれば、ポンプ停止による断水の可能性が高くなります。この場合、電気が復旧すれば水も戻ります。
停電していないのに水が出ないなら、地域の断水か、建物の設備故障です。
手順3:近隣の住戸を確認する
可能であれば、隣や上下の階の状況を聞いてみてください。
自分の部屋だけなら、専有部分の問題です。この場合は管理会社ではなく、水道業者への連絡になります。
手順4:情報を集める
建物全体の断水であれば、次を確認します。
- エントランスの掲示板
- 管理会社からの連絡(メール・掲示・館内放送)
- 自治体の水道局サイト
- ラジオや自治体のSNS
停電を伴う場合、館内放送も使えないことがあります。掲示板を直接見に行くほうが確実です。
手順5:水をためる
まだ少しでも出るなら、すぐにためてください。判断を待っている間に完全に止まります。
順番としては、飲用の容器を優先し、次に浴槽です。
復旧したときの注意
水が戻っても、すぐに通常どおり使わないでください。
まず濁りを確認する
復旧直後の水は、配管内の錆や砂が混じって濁ることがあります。
蛇口を開けてしばらく流し、透明になるまで待ってください。最初は飲用ではなく、掃除などに使うのが安全です。
浄水器のフィルターに注意
濁った水を浄水器に通すと、フィルターが目詰まりします。
復旧直後は浄水器を通さず、そのまま流してください。水が澄んでから、浄水器の使用を再開します。
給湯器の確認
断水中に給湯器を運転すると、故障の原因になります。
復旧後は、まず水だけを流してから給湯器を使ってください。取扱説明書に断水後の手順が記載されている機種もあります。
排水の確認が済むまでトイレは流さない
繰り返しになりますが、最も重要な点です。
水が出るようになったことと、排水管が無事であることは別の話です。管理組合からの案内を待ってください。
マンションならではの備え
戸建てとは優先順位が変わります。整理します。
| 備え | マンションでの重要度 | 理由 |
|---|---|---|
| 携帯トイレ | 非常に高い | 排水逆流のリスク。代替手段がない |
| 飲料水の備蓄 | 非常に高い | 階段運搬が困難。多めに必要 |
| 浴槽の水張り | 高い | 停電時に真っ先にやる初動 |
| リュック型給水袋 | 高い | 階段で手すりを使えるため |
| カセットコンロ | 中 | 電気やガスが止まる場合に備える |
| 庭での代替手段 | なし | そもそも庭がない |
最も重要なのが携帯トイレです。マンションでは、これが欠けると生活が成り立ちません。
置き場所の問題
マンションは収納が限られています。これが備蓄を難しくしています。
工夫としては、次のような方法があります。
- ベッドの下に平らな箱で収める
- クローゼットの上部を活用する
- 玄関の靴箱の上や下に置く
- 水はローリングストックにして、日常の消費に組み込む
最後の方法が現実的です。飲み水として日常的に使い、減った分を買い足す。こうすれば「備蓄のための場所」を特別に確保しなくて済みます。
階数によって変わる注意点
同じマンションでも、住む階によって直面する問題が違います。
| 階層 | 主な課題 | 優先すべき備え |
|---|---|---|
| 1〜2階 | 排水の逆流被害を受けやすい | 浸水対策。逆流防止の情報収集 |
| 3〜5階 | 階段運搬は可能だが負担がある | 3日分以上の備蓄 |
| 6〜9階 | 階段運搬がかなり厳しい | 5日分以上の備蓄 |
| 10階以上 | 運搬が現実的でない | 7日分の備蓄。共同での助け合い |
低層階には、意外な弱点があります。排水の逆流被害を最初に受けるのが、この階層だからです。
上の階が流した水は、下へ集まります。管が詰まっていれば、低層階の排水口があふれます。
低層階の方にお願いしたいこと
もし逆流の兆候があれば、すぐに管理組合へ報告してください。
排水口から水が上がってくる、ゴボゴボと音がする、においが強い。こうした変化が最初の合図です。
早く伝われば、上階の住民に使用停止を呼びかけられます。被害を最小限に抑えられます。
高層階の方にお願いしたいこと
「自分の部屋は無事だから」と流さないでください。被害を受けるのは下の階です。
また、階段の上り下りができる体力があるなら、高齢の住民の運搬を手伝ってください。10階の往復は、若い世代でも重労働です。80代の方には不可能です。
断水と同時に起きやすいこと
マンションでは、断水が単独で起きるとは限りません。連鎖する事象を整理します。
| 事象 | マンションへの影響 |
|---|---|
| 停電 | 給水ポンプ停止、エレベーター停止、オートロック解除 |
| ガス停止 | 給湯不可。調理も不可 |
| 通信障害 | 管理会社との連絡が取れない |
| 排水管損傷 | トイレ・風呂・台所すべて使用不可 |
1行目のオートロックについて補足します。
オートロックが解除されます
停電すると、多くのマンションでオートロックが開放状態になります。防火や避難のため、そう設計されているためです。
つまり、誰でも建物内に入れる状態になります。
災害時に治安が急激に悪化することは稀ですが、玄関の施錠は普段以上に意識してください。特に女性の一人暮らしでは、この点を知っておく価値があります。
調理の手段を確保する
マンションではオール電化の住戸も多く、停電すれば調理ができません。
カセットコンロがあれば、湯を沸かせます。断水中でも、備蓄した水を使って温かいものが食べられます。
ただし、換気には注意してください。窓が開けられる状態かを確認してから使ってください。
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管理組合との関わり
マンションでは、個人の備えだけでは限界があります。
確認しておきたいこと
- 給水方式(受水槽・高置水槽・加圧・直結のどれか)
- 非常用発電機の有無と、給水ポンプが対象かどうか
- 受水槽の非常用給水栓の位置
- 断水時の連絡体制
- 共用部の防災備蓄の内容
これらは総会や管理組合への問い合わせで確認できます。
提案してみる価値もあります
防災備蓄が不足していると感じたら、管理組合に提案してみてください。
マンション全体で携帯トイレや給水タンクを備えている建物もあります。個人で全てを抱えるより、共同で持つほうが効率的な品目もあります。
また、階段での運搬を助け合う体制を決めておくだけでも、高齢の住民にとって大きな安心になります。
共同備蓄という考え方
個人で持つより、建物全体で持つほうが合理的な品目があります。
| 品目 | 適した持ち方 | 理由 |
|---|---|---|
| 飲料水 | 個人 | 各戸の人数で必要量が違う |
| 携帯トイレ | 個人+共同の予備 | 基本は個人。不足分を共用部から補う |
| 大型の給水タンク | 共同 | 使用頻度が低く、保管場所を取る |
| 発電機 | 共同 | 個人では管理が難しい |
| 台車・リヤカー | 共同 | 運搬時に共用できる |
台車は特におすすめしたい品目です。1台あれば、複数の世帯が順番に使えます。管理組合の予算でも導入しやすい価格帯です。
防災訓練で階段を歩いてみる
訓練の際に、実際に水を持って階段を上ってみることをおすすめします。
何階まで運べるか、何分かかるか、途中で休憩が必要か。やってみないと分かりません。
この経験があれば、必要な備蓄量が具体的に決まります。
私が北海道で考えていること
私は札幌に住んでいます。2018年の胆振東部地震では、全道が停電するブラックアウトを経験しました。
あのとき、マンションにお住まいの方から聞いた話が印象に残っています。
「水が出ない理由が分からなかった」
水道が断水したわけではないのに、蛇口から水が出ない。その理由が分からず、混乱したという話でした。
ポンプが止まっているという仕組みを知らなければ、当然のことです。そして知っていれば、停電に気づいた瞬間に水をためられました。
この記事を書いた理由は、まさにここにあります。仕組みを知っていることが、初動の差になります。
冬なら状況はもっと厳しい
あの地震は9月でした。もし真冬だったらと考えると、状況はまったく違います。
暖房が止まり、水も出ず、エレベーターも動かない。高層階では、外気温が氷点下のなか階段を何度も往復することになります。
寒冷地のマンションにお住まいなら、冬を想定した備蓄量を考えてください。
集合住宅は助け合いが機能しやすい場所です
難しさばかり書いてきましたが、良い面もあります。
同じ建物に多くの人が住んでいるということは、それだけ助け合える相手が近いということです。
階段の上り下りができる人が、高齢の住民の分をまとめて運ぶ。この協力があるだけで、負担は大きく変わります。
そのためには、日頃の関係が必要です。挨拶を交わす程度でも、いざというときの声のかけやすさが違ってきます。
設備の弱点は、知っていれば補えます
マンションの水まわりの弱点は、いずれも設備に由来するものです。ポンプ、共用の排水管、エレベーター。個人の努力では変えられません。
しかし、知っていれば備えられます。停電したら水をためる。トイレを流さない。備蓄を多めに持つ。どれも設備を変えずにできることです。
逆に言えば、知らなければ何もできません。だから仕組みの理解が、そのまま備えになります。
戸建てと比べて考えない
防災の情報は、戸建てを前提に書かれていることが少なくありません。
庭に穴を掘る、井戸を使う、雨水をためる。こうした方法は、集合住宅では使えません。
マンションにお住まいなら、自分の住まいに合った方法だけを取り入れてください。使えない情報を集めても、備えは進みません。
よくある質問
Q. なぜマンションは停電すると水が出なくなるのですか
A. 多くのマンションがポンプで各階へ水を送っているためです。水道管の水圧だけでは高い階まで届きません。停電でポンプが止まれば、水道が生きていても蛇口から水が出なくなります。
Q. 自宅がどの給水方式か調べるには
A. 管理会社か管理組合に聞くのが確実です。管理規約や設備仕様書に記載があります。手がかりとして、屋上に大きなタンクがあれば高置水槽方式、敷地内に地上タンクがあれば受水槽方式の可能性が高くなります。
Q. 停電したら最初に何をすべきですか
A. すぐに水をためてください。浴槽に水を張り、鍋やバケツにもためます。飲用分は容器に移してください。タンクに水が残っていても、全住戸が同時に使えばすぐ空になります。数分の作業ですが、止まってからでは手遅れです。
Q. 断水中にトイレを流してはいけないのはなぜですか
A. 排水管が損傷していると、上の階が流した水が下の階の排水口から噴き出すためです。マンションの排水は縦の1本を複数の住戸で共有しています。管理組合から点検結果が知らされるまでは流さないでください。
Q. トイレはどうすればよいですか
A. 携帯トイレを使ってください。戸建てと違い、庭に穴を掘るといった代替手段がありません。集合住宅では選択肢ではなく必需品です。1人1日5回として、4人家族の7日分なら140回分が目安になります。
Q. エレベーターはいつ復旧しますか
A. 電気が戻ってもすぐには動きません。地震では安全装置が働いて停止し、再稼働には保守業者の点検が必要です。大きな地震では地域中のエレベーターが同時に止まるため、数日から1週間以上かかることもあります。
Q. 高層階ではどのくらい備蓄すべきですか
A. 10階以上なら7日分を目標にしてください。階段での運搬は10階で往復20分以上かかり、水を持てばさらに増えます。飲用だけで1人1日3リットル、4人家族の7日分なら84リットルになります。
Q. 階段で水を運ぶときの注意点は
A. 1回5リットル程度に抑えてください。重い荷物での階段の昇降、特に下りは危険です。リュック型の給水袋なら手すりをつかめます。高齢の方が単独で運ぶのは避け、家族や近隣で分担してください。
Q. 受水槽の水は使えますか
A. 非常用給水栓が付いている建物があります。ただし位置と使い方を事前に知っておく必要があり、開放は管理者の判断で行われます。長時間ためられていた可能性があるため、飲用にする場合は管理会社の案内に従ってください。
Q. 備蓄する場所がありません
A. ローリングストックが現実的です。飲み水として日常的に使い、減った分を買い足せば、備蓄のための場所を特別に確保せずに済みます。ベッドの下、クローゼットの上部、靴箱まわりも活用してください。
Q. 水が出なくなったら何から確認しますか
A. まず他の蛇口も試してください。1か所だけなら配管の問題、全部なら建物または地域の断水です。次に停電の有無を確認します。停電していればポンプ停止が原因で、電気の復旧とともに水も戻ります。そのうえで掲示板や管理会社の連絡を確認してください。
Q. 復旧したらすぐ飲めますか
A. すぐには飲まないでください。配管内の錆や砂が混じって濁ることがあります。しばらく流して透明になるまで待ち、最初は掃除などに使ってください。濁った水を浄水器に通すとフィルターが目詰まりするため、復旧直後は浄水器を使わないでください。
Q. 給湯器に影響はありますか
A. 断水中に運転すると故障の原因になります。復旧後は、まず水だけを流してから給湯器を使ってください。機種によっては取扱説明書に断水後の手順が記載されています。
Q. 低層階で気をつけることは
A. 排水の逆流被害を最初に受けるのが低層階です。排水口から水が上がる、ゴボゴボと音がする、においが強いといった変化があれば、すぐ管理組合へ報告してください。早く伝われば上階に使用停止を呼びかけられます。
Q. 停電するとオートロックはどうなりますか
A. 多くのマンションで開放状態になります。防火や避難のためにそう設計されているためです。誰でも建物内に入れる状態になるので、玄関の施錠を普段以上に意識してください。
Q. 管理組合に何を確認すればよいですか
A. 給水方式、非常用発電機の有無と給水ポンプが対象かどうか、受水槽の非常用給水栓の位置、断水時の連絡体制、共用部の防災備蓄の内容です。総会や問い合わせで確認できます。
まとめ
マンションの断水について、要点を整理します。
- 多くのマンションはポンプで給水しており、停電すると断水する
- 加圧給水方式では停電と同時に水が止まる
- 高置水槽・受水槽があれば、しばらく水が出ることがある
- 停電に気づいたら、すぐ浴槽や容器に水をためる
- 断水中はトイレを流さない。下の階で逆流する恐れがある
- 点検結果が知らされるまで、携帯トイレを使う
- 携帯トイレは選択肢ではなく必需品
- エレベーターは復旧に点検が必要で、数日以上止まることもある
- 10階なら階段の往復に20分以上かかる
- 高層階ほど備蓄を増やす。10階以上は7日分が目標
- 階段で運ぶときは1回5リットル程度に抑える
- 給水方式と非常用設備を管理組合に確認しておく
マンションは、戸建てより災害に強い面もあります。建物自体の耐震性は高く、浸水にも強い階層があります。
しかし水まわりに関しては、固有の弱点を抱えています。電気に依存し、排水を共有し、運搬に階段を使う。この3つが重なります。
今日できることをひとつ挙げます。ご自宅の給水方式を管理会社に聞いてみてください。それだけで、停電したときに何が起きるかが分かります。数分の問い合わせが、その日の行動を決めます。
あわせて、携帯トイレの在庫も数えてみてください。マンションでは、水以上に不足しやすい品目です。
集合住宅は、多くの人が同じ建物で暮らす場所です。備えが行き届けば、その分だけ地域全体の負担も軽くなります。ご自身の備えが、隣の住戸を助けることにもつながります。

