冬の深夜の地震が最悪になる理由|日本海溝で死者19.9万人、逃げたあとの低体温症4.2万人

冬の深夜の地震が最悪になる理由

・当サイトはアフィリエイト広告(Amazonアソシエイト・楽天市場・各種ASP)およびGoogleアドセンスを利用しています。
・記事内リンク経由でご購入いただいた場合、サイト運営者に紹介料が発生することがあります。
・掲載内容は収益に左右されず、公的機関の資料・メーカー公表仕様などの確認できる情報をもとに作成しています。

スポンサーリンク

【この記事の要約】
巨大地震の被害が最も大きくなるのは「冬の深夜」です。内閣府の想定では、日本海溝沿いの巨大地震が冬の深夜に起きると死者は約19万9千人、千島海溝沿いでは約10万人にのぼります。理由は2つあります。眠っていて避難を始めるまでに時間がかかること、そして雪と凍結で逃げる速度が落ちることです。さらに、津波から逃れたあとに低体温症で命を落とすおそれのある人が、日本海溝で約4万2千人、千島海溝で約2万2千人と見込まれています。冬の地震では、逃げ切ったあとの寒さも敵になります。備えは3つです。一、寝室に防寒着と靴を置き、すぐ出られるようにする。二、避難経路を冬の条件で歩いてみる。三、避難先で体を冷やさない物を持ち出し袋に入れる。

こんにちは。防災ベーシックのたにです。札幌で防災士として活動しています。

地震は季節を選びません。ですが、起きる季節によって、被害の大きさはまったく変わります。

北海道や東北の太平洋側では、日本海溝と千島海溝で巨大地震が起きる可能性が指摘されています。その被害想定を見ると、最も多くの命が失われるのは「冬の深夜」です。

この記事では、なぜ冬の深夜が最悪になるのか、そしてその条件の中で何ができるのかを考えます。

目次

結論|冬の地震は「逃げる速さ」と「逃げたあとの寒さ」が命を分ける

一、寝室に防寒着と靴を置き、すぐに外へ出られるようにする
二、避難経路を、雪と凍結のある冬の条件で一度歩いてみる
三、持ち出し袋に、体を冷やさない物(アルミシート、帽子、手袋、カイロ)を入れる
冬の地震では、津波から逃げ切っても、寒さで命を落とすおそれがあります。

夏の地震なら、パジャマのまま外に出ても、しばらくは耐えられます。

冬の北海道や東北では、それができません。氷点下の夜に、濡れた体で屋外にいれば、短い時間で体温が奪われます。逃げる速さと、逃げたあとの暖かさ。冬の地震では、この2つを同時に考える必要があります。

内閣府の被害想定|冬の深夜が最悪になる

内閣府は、日本海溝と千島海溝沿いの巨大地震について、季節と時間帯ごとに被害を想定しています。

項目 日本海溝 千島海溝
死者(冬の深夜) 約19万9千人 約10万人
低体温症要対処者 約4万2千人 約2万2千人
建物被害(冬の夕方) 約22万棟 約8万4千棟

「低体温症要対処者」という言葉に注目してください。

これは、津波からは逃げられたものの、そのあと寒さの中で低体温症になり、命の危険にさらされる人を指します。冬の地震に特有の被害として、国がはっきり数字を出しているのです。

なぜ冬の深夜が最悪なのか

理由 中身
眠っている 揺れで目を覚まし、状況を理解し、動き出すまでに時間がかかります
暗い 停電すれば真っ暗です。足元が見えず、避難の速度が落ちます
雪と凍結 積雪や凍った路面で、歩く速さが大きく落ちます。転倒もします
寒さ 着替える時間が必要になり、その分だけ避難が遅れます
避難後の寒さ 避難先で暖が取れなければ、低体温症になります

津波は、到達まで数十分しかない地域があります。

その数十分のうち、目を覚まして着替えるのに何分使うか。雪道を歩くのに、夏の何倍かかるか。その差が、そのまま生死を分けます。

建物被害が最大になるのは「冬の夕方」

建物の被害は、深夜ではなく冬の夕方に最大になると想定されています。

理由は、屋根に積もった雪の重みで、建物が倒れやすくなること、そして夕食の支度で火を使い、暖房もついている時間帯で、火災が起きやすいことです。

関東大震災では、死者の多くが火災によるものでした。冬の夕方の地震は、その条件に近づきます。

冬の地震で、何が起きるのか

起きること なぜ冬に深刻になるか
停電 暖房が止まります。FF式もファンヒーターも使えません
断水・水道管の破裂 揺れと凍結が重なり、水が長く止まります
火災 暖房器具が倒れる、灯油がこぼれる。空気が乾燥し、燃え広がりやすい
建物の倒壊 屋根の雪の重みが加わり、倒れやすくなります
避難の遅れ 雪と凍結で移動が遅くなり、津波から逃げ切れない
避難所の寒さ 体育館は冷えます。暖房が足りず、低体温症や体調悪化が起きます

冬の地震は、いくつもの災害が重なる形で起きます。

地震そのもの、津波、火災、停電、寒さ。夏なら別々に考えられるものが、冬には同時にやってきます。

備え①|寝室を「すぐ出られる部屋」にする

冬の深夜の地震では、寝室から外に出るまでの時間が、最初の関門です。

置くもの 理由
防寒着(上着、帽子、手袋) 着替える時間を減らします。枕元か、寝室の出口近くに
靴 割れたガラスで足を切らないため。冬靴なら雪道も歩けます
懐中電灯(ヘッドライト) 停電した真っ暗な中で動くため。両手が空くヘッドライトが便利です
眼鏡 見えないと動けません。落ちて割れない場所に
携帯電話 情報と連絡のため

靴を寝室に置くのは、奇妙に感じるかもしれません。

ですが、揺れで窓ガラスや食器が割れると、床はガラスの破片だらけになります。暗い中を素足で歩けば、足を切って動けなくなります。冬なら、そのまま雪道を歩ける冬靴を置いておくと、玄関で履き替える時間も省けます。

寝室の家具を固定する

眠っている間に家具が倒れてくれば、逃げる前に動けなくなります。

阪神・淡路大震災では、亡くなった方の約77%が建物の倒壊や家具の転倒による窒息・圧死でした。寝室には、倒れてくる家具を置かないか、しっかり固定してください。

備え②|避難経路を、冬の条件で歩いてみる

津波の避難経路は、夏に確かめただけでは足りません。

冬に変わること 確かめること
歩く速さ 雪道で避難先まで何分かかるか。夏の時間と比べてください
道幅 除雪で寄せられた雪で、道が狭くなっています
凍った坂 高台へ上る坂が凍っていないか。手すりはあるか
暗さ 夜、街灯が消えたら足元が見えるか
避難ビル・タワー 冬でも入れるか。外階段が凍っていないか

一度、冬の夕方に、避難先まで実際に歩いてみてください。
夏と同じ時間では着かないことに、多くの方が驚きます。
その差を知っておくことが、冬の津波避難の出発点です。

車で逃げるべきか

津波の避難は徒歩が原則です。車は渋滞に巻き込まれ、動けなくなるからです。

ただし、積雪寒冷地では事情が少し変わります。避難先まで遠い、高齢の家族がいる、雪で歩けない。こうした地域では、自治体が車での避難を一部認めている場合があります。

お住まいの自治体の津波避難計画で、車の扱いを確認してください。自己判断で全員が車を使えば、渋滞で逃げ切れなくなります。

備え③|逃げたあとに、体を冷やさない

ここが、冬の地震に特有の備えです。

津波から逃げて高台にたどり着いても、そこが屋外なら、寒さとの戦いが始まります。濡れていればなおさらです。

持ち出し袋に入れるもの 役割
アルミの保温シート 体温を逃がしません。軽くて小さく、何枚か入れられます
帽子・手袋・ネックウォーマー 首・頭・手から熱が逃げます。ここを覆うと体感が変わります
使い捨てカイロ お腹や背中に貼ります
着替えの靴下と下着 濡れた衣類は体温を奪い続けます。乾いたものに替えるだけで違います
雨具(ポンチョ) 雪や雨で濡れるのを防ぎ、風も防ぎます
温かい飲み物用の魔法びん 体の内側から温めます

首・頭・手・足を覆う小物は、合わせても200グラムほどです。それだけで体感が大きく変わります。詳しくは冬の避難で先に冷えるのは首・頭・手・足|小物4つ200gで体感が変わりますに書きました。

濡れた服は、脱いでください

津波や雪で濡れた服は、着たままにしないでください。

濡れた服は、乾いた服の何倍もの速さで体温を奪います。寒くても、濡れた服を脱いで乾いたものに替えるか、アルミシートで体を包むほうが、体温を保てます。

低体温症の段階と見分け方は低体温症の3段階|軽度・中等度・高度の見分け方と、急に温めてはいけない理由にまとめました。震えが止まったら危険な段階です。

冬の避難所で気をつけること

避難所になる体育館は、冬はとても冷えます。床からの冷えが強く、暖房も十分でないことが多いのです。

気をつけること 対策
床からの冷え 段ボールやマットを敷いて、床から体を離す
高齢者の体温 寒さを感じにくく、気づかないうちに低体温症になります。周りが声をかけて
感染症 冬はインフルエンザや胃腸炎が広がりやすい。手洗いと換気を
エコノミークラス症候群 寒くて動かなくなると起きやすい。足を動かし、水分をとる
一酸化炭素 ストーブを使う避難所では換気が必要です

高齢の方は、寒さを感じにくくなっています。本人が「寒くない」と言っていても、体温は下がっていることがあります。高齢の家族は寒さを感じにくい|冬の災害で先に守る首・頭・手・足の4か所も参考にしてください。

冬の地震と火災

冬の地震で被害を広げるのは、火災です。

火元 対策
石油ストーブ 対震自動消火装置がついていても、揺れが収まったら火元を目で確かめる
こぼれた灯油 倒れたストーブのまわりに灯油がこぼれていないか
通電火災 停電が復旧したとき、倒れた電気ストーブが再び熱を持って出火します。避難するときはブレーカーを落とす
ガス ガスのにおいがしたら、火も電気のスイッチも触らない

「避難するときはブレーカーを落とす」を覚えておいてください。

停電中に家を離れ、復旧したときに誰もいない家で電気が戻る。倒れた電気ストーブや、傷んだ電気コードから火が出るのが通電火災です。阪神・淡路大震災でも多く起きました。

ストーブの安全な使い方は石油ストーブの死亡事故は5年で47件|給油前に消す、灯油とガソリンを分ける、停電で使える1台に書きました。

後発地震注意情報を知っておく

北海道から三陸沖では、大きな地震のあとに、さらに大きな地震が続く可能性があるとして、「北海道・三陸沖後発地震注意情報」が発表される仕組みがあります。

この情報が出たら、1週間ほどは、すぐに避難できる態勢で過ごすことが求められます。冬なら、寝るときも防寒着と靴を手元に置き、避難経路の雪をどけておく、といった形です。

詳しくは北海道・三陸沖の「後発地震注意情報」とは?発表基準と取るべき行動を解説にまとめています。

過去の冬の地震から分かること

冬の地震は、想定の中の話ではありません。日本はすでに、寒い季節の大地震を何度も経験しています。

地震 冬の条件が影響したこと
東日本大震災(2011年3月11日) 地震の夜、東北の各地で雪が降り、冷え込みました。暖房の乏しい避難所で、体調を崩す方が相次ぎました
能登半島地震(2024年1月1日) 元日の夕方に発生。寒さの中の避難生活が長引き、災害関連死の認定が、直接の死者を上回る状況になりました
釧路沖地震(1993年1月15日) 真冬の北海道で発生。凍った地盤や寒さの中での対応となりました

能登半島地震の経験は、とくに重く受け止める必要があります。

建物の倒壊などで直接亡くなった方に加えて、その後の避難生活の中で亡くなる方が多く出ました。寒さ、持病の悪化、体力の低下。冬の避難生活そのものが、命を奪う原因になったのです。

冬の地震では、「地震の瞬間」を生き延びても、終わりではありません。
その後の数日から数週間を、寒さの中でどう過ごすか。そこまでが、冬の地震への備えです。

災害関連死の仕組みについては災害関連死はどう認定されるのか|申請しないと認められない理由に書きました。

東日本大震災の夜の寒さ

東日本大震災は3月の地震でしたが、東北ではまだ真冬のような寒さでした。

津波から逃れた方の多くは、濡れたまま、暖房のない場所で夜を明かしました。毛布が足りず、身を寄せ合って寒さをしのいだという証言が数多く残っています。日本海溝の被害想定で「低体温症要対処者」という項目が設けられたのは、この経験があったからだと言えます。

冬の地震に備えた、持ち出し袋の見直し

一般的な持ち出し袋は、季節を問わない中身になっていることが多いと思います。冬の間だけ、中身を入れ替えることを勧めます。

冬に加えるもの 夏に入れ替えてよいもの
アルミの保温シート(複数枚) 冷却シート、うちわ
ニット帽、手袋、ネックウォーマー 日よけの帽子
厚手の靴下、下着の替え 薄手の着替え
使い捨てカイロ(貼るタイプ) —
携帯できる毛布、または寝袋 —

衣替えと同じ時期に、持ち出し袋も衣替えをする。そう決めておくと、忘れずに済みます。10月と4月が目安です。

持ち出し袋の置き場所も、冬は変える

ふだん押し入れの奥にある持ち出し袋は、冬の深夜には取り出せません。

寝室の出口か、玄関の近くに置いてください。防寒着と一緒にしておけば、揺れのあと、それをつかんで出るだけになります。

子どもと高齢者がいる家庭の、冬の地震対策

家族 冬の地震で困ること 備え
乳幼児 体が小さく、体温を失うのが早い 抱っこひもで抱えて逃げる。おくるみや防寒着を枕元に
小学生 夜中に起こされて動けない、泣いて動かない ふだんから「揺れたら靴を履いて玄関へ」と練習しておく
高齢の家族 着替えと移動に時間がかかる。寒さを感じにくい 寝室を1階の出口近くに。避難の手伝いを誰がするか決めておく
持病のある家族 薬が切れる、医療機器の電源が止まる 薬を持ち出し袋にも分けて入れる

高齢の家族の寝室を、1階の出口近くに移すことは、冬の地震対策として効果が大きい方法です。

2階から暗い階段を下りるのは、揺れのあとでは危険です。出口までの距離が短いほど、逃げる時間を短くできます。冬の間だけでも、検討する価値があります。

避難の手伝いを、誰がするか

一人で避難できない家族がいるなら、誰が手伝うかを決めておいてください。

家族の中で決めるだけでなく、近所の人と話しておくことも大切です。自治体には、避難に支援が必要な人の名簿(避難行動要支援者名簿)を作る仕組みがあります。登録しておくと、地域の支援者に情報が共有されることがあります。

冬の夜、実際に揺れたら|最初の5分

時間 やること
揺れている間 布団をかぶって頭を守る。無理に動かない
揺れが収まったら ヘッドライトをつけ、靴を履き、防寒着をはおる
1〜2分 津波のおそれがあれば、家族に声をかけてすぐ外へ。待たない
2〜3分 ストーブの火を確認。ブレーカーを落とす(時間があれば)
その後 高いところへ。途中で引き返さない

「布団をかぶる」は、冬の深夜ならではの行動です。

寝ている間に揺れたら、起き上がって机の下に入るより、その場で布団をかぶって頭を守るほうが早く確実です。布団は、落ちてくる物から体を守ってくれます。

そして、ブレーカーやストーブの確認は「時間があれば」です。津波のおそれがある地域では、逃げることを最優先にしてください。火の確認のために逃げ遅れては、意味がありません。

冬の地震で、家にとどまる場合

津波の心配がない地域で、家が無事なら、自宅で過ごす「在宅避難」が選択肢になります。冬の避難所の寒さを考えると、安全な家にとどまるほうが体への負担は小さいことが多いのです。

確認すること 内容
建物は安全か 大きなひび、傾き、屋根の雪の重みで危険がないか。迷ったら避難所へ
暖房は使えるか 停電していれば、電気を使わない暖房があるか
水は出るか 断水していれば、備蓄の水で何日しのげるか
余震に耐えられるか 家具が倒れてこない部屋で過ごせるか
火の元は安全か ストーブのまわり、ガスのにおいがないか

家にとどまる場合でも、暖房が確保できなければ危険です。

停電した冬の家は、時間とともに冷えていきます。電気を使わない暖房がなく、室温が下がり続けるなら、暖房のある避難所へ移る判断が必要です。移動は明るいうちに、余震と足元に気をつけて行ってください。

家の中で暖を保つ工夫

方法 効果
家族が1部屋に集まる 暖める面積が減り、人の体温も加わります
窓に段ボールや毛布を当てる 熱が最も逃げる窓をふさぎます
床に敷物を重ねる 床からの冷えを止めます
重ね着と帽子 室内でも帽子は効果があります
湯たんぽ ストーブで沸かした湯を使い、眠るときは火を消せます

北海道と東北の太平洋側にお住まいの方へ

日本海溝・千島海溝の想定で被害が大きいのは、北海道から東北にかけての太平洋沿岸です。

この地域には、津波が到達するまでの時間が短い場所があります。そして冬は、雪と寒さで避難がさらに難しくなります。

やっておくこと 理由
津波ハザードマップで、自宅の浸水想定を見る 逃げる必要があるか、どこまで逃げればよいかが分かります
最寄りの避難場所・津波避難ビルを確認する 冬でも入れるか、外階段が使えるかも
家族で「揺れたら、どこへ逃げるか」を決める 家族を待たずに、各自が逃げる。集合場所を決めておく
地域の避難訓練に参加する 冬の訓練があれば、なお役に立ちます

「家族を待たずに、各自が逃げる」は、津波避難の鉄則です。

家族を探しに戻って、津波に巻き込まれる。過去の津波で、何度も繰り返されてきたことです。集合場所を決めておけば、ばらばらに逃げても、あとで会えます。

北海道の地震の起き方については北海道はどこで地震が起きるのか|5つの震源域と石狩低地東縁断層帯を防災士が解説にまとめています。

札幌に住んでいて、考えていること

札幌は海から離れていて、日本海溝や千島海溝の地震で津波が来る場所ではありません。

それでも、冬の地震への備えは必要だと考えています。2018年の北海道胆振東部地震で、北海道全域が停電したからです。あれが9月でなく1月だったら、札幌の家々で暖房が止まり、水道管が凍り、多くの人が寒さの中で夜を過ごすことになったはずです。

津波が来ない地域でも、冬の地震は「寒さの災害」になります。
停電、暖房の停止、水道の凍結。揺れで家が壊れなくても、暮らしは止まります。

だから私の家では、冬の間は電気を使わないストーブを1台出しておき、灯油を切らさないようにしています。そして寝室には、防寒着と靴、ヘッドライト。特別な備えではありませんが、冬の深夜の揺れを想像すると、これだけは欠かせないと思っています。

北海道胆振東部地震の経緯は北海道胆振東部地震とは?日本初のブラックアウトで295万戸が停電にまとめています。

今日からできること

かかる時間 やること
5分 寝室に、防寒着・靴・ヘッドライトを置く
10分 持ち出し袋に、アルミシート・帽子・手袋・カイロを足す
10分 ハザードマップで、自宅が津波の浸水想定に入るか確かめる
30分 冬の夕方に、避難先まで歩いてみる
家族の話し合い 揺れたらどこへ逃げるか、集合場所をどこにするか

最初の2つは、合わせて15分で終わります。今夜、寝る前にやってみてください。

被害想定の数字を、どう受け止めるか

約19万9千人という数字を見て、「どうせ助からない」と感じた方もいるかもしれません。

ですが、この想定は「対策が進まなかった場合」を前提にしています。内閣府は、すばやい避難、津波避難施設の整備、寒さへの備えといった対策を進めれば、死者を大きく減らせるとしています。

対策 減らせる被害
揺れたらすぐに避難する 津波による死者。最も効果が大きい対策です
津波避難タワー・避難ビルの整備 高台が遠い地域での逃げ遅れ
防寒の備え 逃げたあとの低体温症
建物の耐震化・家具の固定 倒壊や転倒による死傷、逃げ遅れ

いちばん効くのは、個人ができる「すぐに逃げる」です。

設備の整備は行政の仕事ですが、揺れたらすぐに動けるかどうかは、一人ひとりの準備で決まります。寝室の防寒着と靴は、その準備のいちばん小さな単位です。

よくある質問

Q. 冬の深夜に地震が起きたら、まず何をすればよいですか

揺れている間は、頭を守って身を低くしてください。揺れが収まったら、津波のおそれがある地域なら、すぐに高いところへ逃げます。

着替えに時間をかけすぎないことが大切です。枕元の防寒着をはおり、靴を履いて、すぐ出る。細かい準備は、安全な場所に着いてからです。

Q. 雪が積もっていて、避難が遅れそうです

ふだんから、避難経路の雪をどけておくことが一番の備えです。とくに玄関から道路までの間は、毎日の除雪で確保しておいてください。

そして地域で、避難経路の除雪を話し合っておくことも大切です。個人では限界があります。

Q. 津波のおそれがない内陸でも、冬の地震への備えは必要ですか

必要です。津波がなくても、停電で暖房が止まり、水道が止まることは内陸でも起きます。

家が無事なら、家の中で寒さをしのぐ備えが中心になります。電気を使わない暖房、毛布、水と食料。雪国の備蓄と同じ考え方です。

Q. 低体温症は、どのくらいで起きますか

条件によって大きく変わります。気温が低いほど、風が強いほど、体が濡れているほど、早く進みます。

とくに濡れた状態で風に当たると、短時間で危険な状態になります。気温が氷点下でなくても起きることがあります。濡れない、風を避ける、首・頭・手を覆う。この3つが基本です。

Q. 冬に津波避難ビルへ逃げたら、屋上で待つことになりますか

建物によります。屋上しか開放されていない避難ビルもあれば、屋内の階に入れる建物もあります。

屋上で待つ場合は、寒さと風にさらされます。津波は何度も押し寄せ、警報が解除されるまで数時間以上かかることがあります。アルミシートや防寒着が、ここで命を守ります。近くの避難ビルが冬にどう使えるか、自治体に確かめておくと安心です。

Q. 冬の地震のとき、灯油ストーブはつけたまま逃げてよいですか

揺れを感知して自動で消える装置がついている製品がほとんどですが、目で確認してから出られれば理想です。

ただし津波のおそれがある地域では、逃げることが最優先です。火の確認に時間をかけて逃げ遅れることのないよう、確認は「通りすがりに見る」程度にとどめてください。

Q. 冬の避難所に持って行くと役立つものは何ですか

床に敷くマットか段ボール、そして寝袋です。

体育館の床は、想像以上に冷えます。床から体を離すだけで、夜の寒さは大きく変わります。持ち出し袋に入らなければ、避難所で段ボールをもらえることもあります。遠慮せずに頼んでください。

Q. 冬の地震に備えて、車にも何か積んでおくべきですか

毛布とスコップを勧めます。

地震のあと、車の中で夜を過ごす方がいます。余震で家に入るのが怖い、避難所がいっぱい、ペットがいる。理由はさまざまです。冬の車中泊では、毛布がなければエンジンをかけ続けることになり、雪でマフラーがふさがれれば一酸化炭素中毒の危険があります。

詳しくは大雪の立ち往生で危ないのは寒さより一酸化炭素|22分で1000ppm、マフラーを掘るに書きました。エコノミークラス症候群にも気をつけ、足を動かし、水分をとってください。

Q. 夏に避難訓練をしたことがあります。それで十分ではありませんか

十分ではありません。夏の訓練で分かるのは、夏の条件での避難時間です。

冬は、着替え、雪道、暗さ、凍った坂が加わります。同じ道でも、かかる時間はまったく違います。一度でよいので、冬の条件で確かめてください。地域で冬の避難訓練が行われていれば、参加する価値があります。

まとめ

要点 内容
最悪の条件 冬の深夜。日本海溝で死者約19万9千人、千島海溝で約10万人
冬特有の被害 低体温症要対処者が日本海溝で約4万2千人、千島海溝で約2万2千人
理由 眠っていて動き出しが遅い、雪と凍結で逃げる速さが落ちる
寝室 防寒着・靴・ヘッドライトを置く。家具を固定する
避難経路 冬の条件で一度歩いてみる。夏と時間が違います
逃げたあと アルミシート、首・頭・手の防寒、乾いた着替え
火災 火元の確認、避難時はブレーカーを落とす

冬の地震の想定は、数字だけを見ると、どうしようもない規模に感じられます。

ですが、この数字は「何もしなかった場合」の想定でもあります。すばやく避難し、避難施設を整え、寒さに備えることで、被害は大きく減らせるとされています。寝室に防寒着と靴を置く。その一つから始めてください。

冬の地震は、いつ来るかは選べません。ですが、来たときにどう動くかは、今夜のうちに決めておけます。寝室の枕元を見直すところから、始めてみてください。防寒着と靴、そしてヘッドライト。その三つがあれば、冬の深夜でも最初の一歩が踏み出せます。

そしてもう一つ、家族と「揺れたら、どこで会うか」を一言だけ話しておいてください。冬の夜の混乱の中で、その一言が家族をつなぎます。集合場所が決まっていれば、ばらばらに逃げても、あとで必ず会えます。

【出典】
内閣府「日本海溝・千島海溝沿いの巨大地震の被害想定」(死者数、低体温症要対処者数、建物被害、冬の深夜・夕方が最悪となる理由)/北海道「日本海溝・千島海溝沿いの巨大地震の被害想定について」/内閣府・気象庁(北海道・三陸沖後発地震注意情報)
避難の方法や、車での避難の扱いは、自治体によって異なります。お住まいの市町村の津波避難計画とハザードマップをご確認ください。

スポンサーリンク
よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

9月1日は防災の日/8月30日〜9月5日は防災週間

1年に一度、備えを点検する日です。10分でできることから始めてください。

この記事を書いた人

北海道札幌市在住の防災・サバイバル情報発信者です。2018年の北海道胆振東部地震を機に「誰でも今日から始められる防災」をモットーに活動を開始し、実際に試した防災グッズのレビューや家族構成別の備え方をわかりやすくお伝えしています。実践的で信頼できる情報を提供できるよう、がんばっています!

目次