冬の避難所で広がる感染症|ノロにアルコールは効きにくい、嘔吐物は0.1%で処理する

冬の避難所で広がる感染症

・当サイトはアフィリエイト広告(Amazonアソシエイト・楽天市場・各種ASP)およびGoogleアドセンスを利用しています。
・記事内リンク経由でご購入いただいた場合、サイト運営者に紹介料が発生することがあります。
・掲載内容は収益に左右されず、公的機関の資料・メーカー公表仕様などの確認できる情報をもとに作成しています。

スポンサーリンク

【この記事の要約】
冬の避難所では、感染症が広がりやすくなります。寒さで窓を閉め切り、人が密集し、断水で手が洗えない。インフルエンザや新型コロナ、ノロウイルスなどの胃腸炎が、一度入ると一気に広がります。とくに注意が要るのはノロウイルスです。アルコールが効きにくく、消毒には次亜塩素酸ナトリウム(家庭用の塩素系漂白剤を薄めたもの)を使います。濃度の目安は、手すりやドアノブに0.02%、嘔吐物の処理に0.1%です。守ることは3つです。一、トイレのあとと食事の前に手を清潔にする。水がなければウェットティッシュと消毒で代わりに。二、換気を短時間でも定期的に。三、体調が悪くなったら、我慢せずに運営の人に伝える。体調の判断や治療は、必ず医師や保健師に相談してください。

こんにちは。防災ベーシックのたにです。札幌で防災士として活動しています。

冬に大きな災害が起きると、避難所の生活は、寒さとの戦いになります。そしてもう一つ、見落とされがちな戦いがあります。感染症です。

2024年1月の能登半島地震では、避難所で新型コロナやインフルエンザの感染が広がったことが報じられました。冬という季節と、避難所という環境が重なると、感染症はふだんよりずっと広がりやすくなります。

この記事では、冬の避難所で感染症が広がる理由と、一人ひとりができる予防をまとめます。医療に関わる内容なので、一般的な事実と公的機関の案内に基づいて書いています。症状があるときの判断や治療は、必ず医師や保健師に相談してください。

目次

結論|手を清潔に、換気、そして我慢しない

一、トイレのあとと食事の前に、手を清潔にする(水がなければウェットティッシュと手指の消毒で代わりに)
二、寒くても、短時間の換気を定期的に行う
三、体調が悪くなったら、我慢せずに運営の人や保健師に伝える
感染症は、一人の我慢が、避難所全体に広がる原因になります。

三つめがいちばん大切です。

避難所では、「迷惑をかけたくない」と体調不良を隠す方がいます。ですが、隠しているあいだに周りへうつり、避難所全体に広がります。早く伝えることが、周りを守ることにもなります。

なぜ冬の避難所で、感染症が広がりやすいのか

条件 感染症への影響
窓を閉め切る 寒さで換気がおろそかになり、ウイルスが室内にとどまります
人が密集する 体育館に大勢が寝泊まりし、距離がとれません
断水で手が洗えない トイレのあとも食事の前も、手を洗えないことがあります
空気が乾燥している 冬は湿度が低く、インフルエンザなどが広がりやすい季節です
体力が落ちている 寒さ、睡眠不足、ストレスで、体の抵抗力が弱まります
トイレが不衛生になる 断水で流せず、汚れがたまります

冬は、もともと感染症が流行する季節です。そこに避難所の密集と断水が加わるので、ふだんの冬より、はるかに広がりやすい条件になります。

冬の避難所で気をつけたい感染症

感染症 主なうつり方 予防の要点
インフルエンザ せきやくしゃみの飛沫、手を介して マスク、換気、手指の消毒
新型コロナ 飛沫、エアロゾル(空気中を漂う小さな粒) 換気、マスク、距離をとる
ノロウイルスなどの胃腸炎 嘔吐物や便、それに触れた手を介して 手洗い、次亜塩素酸ナトリウムでの消毒、嘔吐物の正しい処理
かぜ 飛沫、手を介して 手洗い、換気

この中で、避難所でとくに厄介なのがノロウイルスです。理由は次の節で説明します。

ノロウイルスが避難所で厄介な理由

特徴 避難所での意味
ごく少ない量のウイルスでうつる 嘔吐物のわずかな飛び散りからでも広がります
アルコールが効きにくい 手指の消毒用アルコールだけでは、十分に防げません
乾いた嘔吐物からも舞い上がる 処理が不十分だと、乾いたあとも感染源になります
症状が治っても、便にウイルスが出続ける 回復した人のトイレからも広がることがあります

「アルコールが効きにくい」は、ぜひ覚えておいてください。

避難所には手指消毒用のアルコールが置かれていることが多く、それで安心してしまいがちです。ですがノロウイルスには効きにくいため、できるだけ流水と石けんで手を洗うことが大切になります。

消毒には、次亜塩素酸ナトリウムを使う

ノロウイルスの消毒には、次亜塩素酸ナトリウムが効果的です。家庭用の塩素系漂白剤がこれにあたり、水で薄めて使います。

用途 濃度の目安
手すり、ドアノブ、トイレの便座など 0.02%
嘔吐物や便の処理 0.1%

次亜塩素酸ナトリウムは、手や体の消毒には使えません。皮膚を傷めます。
また、酸性の洗剤と混ぜると有毒なガスが出ます。「まぜるな危険」の表示を必ず確かめてください。
薄め方は、製品の濃度によって変わります。製品の表示と、保健所や自治体の案内に従ってください。

嘔吐物の処理のしかた

避難所で誰かが吐いたとき、その処理のしかたで、感染が広がるかどうかが決まります。

順番 やること
1 周りの人を遠ざける。窓を開けて換気する
2 処理する人は、使い捨ての手袋、マスク、できればエプロンをつける
3 嘔吐物をペーパータオルなどで、外側から内側へ静かに拭き取る
4 拭き取ったものはビニール袋に入れ、0.1%の次亜塩素酸ナトリウムをしみ込ませて口を縛る
5 床を0.1%の次亜塩素酸ナトリウムで浸すように拭き、そのあと水拭きする
6 手袋などを外して袋に入れ、流水と石けんで手を洗う

「外側から内側へ」「静かに」がポイントです。

勢いよく拭くと、嘔吐物が飛び散り、ウイルスが広がります。そして処理した人自身が感染しないよう、手袋とマスクは必ずつけてください。

避難所には、このための処理セットが用意されていることがあります。運営の人に声をかけ、一人で抱え込まないでください。

水がないときの手の清潔

断水した避難所では、手を洗う水が十分にないことがあります。

方法 使い方
少量の水と石けん ペットボトルの水を少しずつ使い、石けんで洗う。最も確実です
ウェットティッシュで汚れを取る 目に見える汚れを先に拭き取ります
手指消毒用アルコール 汚れを取ったあとに使う。インフルエンザやコロナには有効ですが、ノロには効きにくい

アルコールは、汚れた手には効果が落ちます。先にウェットティッシュで汚れを拭き取り、それからアルコールを使う。この順番を守るだけで、効果が変わります。

持ち出し袋に、ウェットティッシュと小さな手指消毒液を入れておくと、避難所で自分の手を清潔に保てます。

換気は、寒くても短時間ずつ

冬の避難所では、換気がいちばんおろそかになります。寒いので、誰も窓を開けたがらないからです。

やり方 理由
短時間を、こまめに 長く開け放すと冷えます。数分を、1時間に1〜2回
対角線上の2か所を開ける 空気の通り道ができ、短時間で入れ替わります
換気の時間は、体を覆う 毛布やアルミシートで冷えを防ぎます
ストーブを使う避難所 一酸化炭素の予防のためにも、換気は欠かせません

換気は、感染症の予防と、一酸化炭素中毒の予防を、同時に満たします。石油ストーブを使う避難所では、とくに意識してください。

トイレを清潔に保つ

冬の避難所で、感染が広がりやすい場所の一つがトイレです。

やること 理由
断水したら、水洗トイレを使わない 流せない便がたまり、不衛生になります。携帯トイレや簡易トイレを使います
使ったあと、便座と取っ手を拭く 次に使う人への感染を防ぎます
トイレの前に手指消毒を置く 出たらすぐ手を清潔にできるように
トイレを我慢しない 我慢して水分を控えると、脱水や体調悪化につながります

トイレが不衛生だと、人は水分を控えるようになります。それが脱水やエコノミークラス症候群を招きます。トイレを清潔に保つことは、感染症だけでなく、体調全体を守ることにつながります。

冬の脱水については冬のかくれ脱水は尿の色で気づく|不感蒸泄900mLと、トイレを我慢する危険に書きました。

体調が悪くなったら

症状 やること
発熱、せき、のどの痛み マスクをつけ、運営の人や保健師に伝える
吐き気、嘔吐、下痢 すぐに伝える。トイレを分けるなどの対応が取られることがあります
水分がとれない、ぐったりしている 脱水の危険があります。医師や救護班へ
高齢者や乳幼児の体調不良 重くなりやすいので、早めに相談を

避難所によっては、体調の悪い人のための別の部屋やスペースが用意されます。感染を広げないためと、体調の悪い人がゆっくり休めるためです。

それを使うのは、恥ずかしいことではありません。自分と周りの両方を守る行動です。

嘔吐や下痢のときの水分補給

嘔吐や下痢が続くと、体から水分と塩分が失われます。とくに高齢者や子どもは、脱水が進みやすくなります。

経口補水液は、失われた水分と塩分を補うのに適しています。少しずつ、こまめに飲むのが基本です。飲めない、飲んでも吐いてしまう、尿が出ないといった場合は、医療の対応が必要です。医師や救護班に相談してください。

持ち出し袋に入れておきたいもの

もの 用途
マスク 自分を守り、せきが出るときは周りを守ります。多めに
ウェットティッシュ 水がないときの手や体の清潔に
手指消毒液(小さなもの) 汚れを拭いたあとに
使い捨て手袋 嘔吐物の処理や、トイレの掃除に
携帯トイレ 断水時、不衛生なトイレを使わずに済みます
体温計 自分や家族の体調を確かめます
常備薬・処方薬 持病の悪化を防ぎます

マスクとウェットティッシュは、避難所ですぐに足りなくなる品です。自分の分を持っていくと安心です。

避難所に着いたら、最初に考えること

避難所での過ごし方は、最初に場所を決めるところから始まります。感染症の面から見ると、選び方にもこつがあります。

考えること 理由
トイレのすぐ近くは避ける 人の出入りが多く、胃腸炎が出たときに影響を受けやすい場所です
出入口の真横も避ける 冷気が入り、人の往来が多い場所です
隣の人との間に、少しでも間をあける 段ボールの仕切りなどがあれば活用します
家族でまとまる 体調の変化に気づきやすくなります

ただし、場所は選べないことも多いと思います。後から来た人ほど、空いている場所に入るしかありません。選べないときは、仕切りや荷物で自分の周りに小さな区切りを作るだけでも、飛沫を防ぐ助けになります。

食事の衛生

避難所の食事も、感染症が広がる経路になります。

気をつけること 理由
食べる前に手を清潔にする おにぎりやパンを手で持って食べることが多いからです
配られた食事は早めに食べる 室温に置いたままにすると傷みます。暖房のある部屋ではとくに
食べ残しを取っておかない 時間がたった食品は、食中毒の原因になります
食器や箸を共有しない 使い捨ての物か、自分専用の物を使います

「もったいないから、あとで食べよう」は、避難所では危険です。

冬でも、暖房の効いた室内では食品が傷みます。配られたおにぎりや弁当は、その日のうちに食べきってください。食べきれない量なら、配る人に伝えて量を調整してもらうほうがよいと思います。

口の中を清潔に保つ|見落とされがちな予防

避難生活では、歯みがきがおろそかになります。水が限られ、洗面所も混み、つい後回しになるからです。

ですが、口の中の清潔は、高齢者の肺炎を防ぐうえで大切です。口の中の細菌が、飲み込む力の弱った高齢者の肺に入ると、誤嚥性肺炎を起こすことがあります。過去の震災でも、避難生活の中で肺炎にかかって亡くなる方が多くいました。

水が少ないときの方法 やり方
少量の水で歯みがき コップ1杯ほどの水で、みがいてすすぐ
歯みがきシート・ウェットティッシュ 指に巻いて、歯と歯ぐきを拭きます
うがい 食後に口をすすぐだけでも、食べかすが減ります
入れ歯の手入れ 外して洗い、清潔に保ちます

持ち出し袋に、歯ブラシと歯みがきシートを入れておいてください。とくに高齢の家族がいる場合は、忘れずに。

避難生活で亡くなる「災害関連死」の仕組みは災害関連死はどう認定されるのか|申請しないと認められない理由にまとめています。

高齢者・乳幼児・持病のある人

感染症にかかると重くなりやすい人がいます。周りの人も含めて、気にかけてください。

対象 気をつけること
高齢者 熱が出にくく、症状に気づきにくいことがあります。食欲や元気の変化に注意
乳幼児 嘔吐や下痢で、脱水が早く進みます
持病のある人 感染症をきっかけに、持病が悪化することがあります
妊娠中の人 体調の変化を早めに相談してください

高齢者は、感染しても熱が出にくいことがあります。「熱がないから大丈夫」と思わず、いつもより元気がない、食事が進まない、ぼんやりしているといった変化に気づいたら、早めに相談してください。

高齢の家族の冬の体調管理は高齢の家族は寒さを感じにくい|冬の災害で先に守る首・頭・手・足の4か所にも書きました。

避難所の運営に関わる方へ

自主防災組織や町内会で、避難所の運営に関わる方もいると思います。感染症の面で、運営側が準備しておきたいことをまとめます。

準備 内容
体調の悪い人のための場所 別の部屋か、区切ったスペースを、あらかじめ決めておく
嘔吐物の処理セット 手袋、マスク、ペーパータオル、ビニール袋、次亜塩素酸ナトリウムをひとまとめに
換気の時刻を決める 「毎時0分と30分に数分」など、決めておくと守られます
手指消毒の置き場所 トイレの出口、食事の配布場所、出入口
受付での体調の聞き取り 発熱や嘔吐がある人を、最初から分けて案内できます

感染症は、避難所が開いた最初の数日で入り込むことが多いとされます。受付で体調を聞き、症状のある人を最初から分けるだけで、広がり方が変わります。

冬の避難生活を、少しでも健康に

感染症の予防は、体の抵抗力を保つこととつながっています。

やること 理由
体を冷やさない 寒さで体力が落ちると、感染症にかかりやすくなります
眠る 睡眠不足は抵抗力を下げます。耳栓やアイマスクが役立ちます
水分をとる 冬は渇きを感じにくく、脱水が進みます
体を動かす 血の流れを保ち、エコノミークラス症候群も防ぎます

耳栓とアイマスクは、避難所で眠るための小さな道具です。体育館は夜も明るく、物音が絶えません。眠れないと体力が落ち、感染症にかかりやすくなります。持ち出し袋に入れておく価値があります。

能登半島地震の避難所で起きたこと

2024年1月1日の能登半島地震は、真冬に起きた大きな地震でした。避難生活は長期に及び、冬の避難所の課題がいくつも表に出ました。

課題 何が起きたか
断水の長期化 水道の復旧に長い時間がかかり、手洗いやトイレが大きな問題になりました
感染症 避難所で新型コロナやインフルエンザの感染が広がったことが報じられました
寒さ 暖房や毛布が十分に行き渡らない時期がありました
災害関連死 避難生活の中で亡くなる方が多く、関連死の認定が直接死を上回る状況になりました

断水が長引いたことは、感染症の広がりと深く関わっていました。手が洗えない、トイレが流せない。水がないことが、そのまま感染症の広がりやすさになります。

能登半島地震の経緯は能登半島地震とは?関連死470人は直接死228人の2倍|孤立と断水が示した「3日分では足りない地域」にまとめています。

札幌で考えていること

札幌で冬に大きな地震が起きれば、停電で暖房が止まり、避難所には多くの人が集まると思います。窓を閉め切った体育館で、大勢が冬を過ごすことになります。

そのとき、一人ひとりが持ち出し袋にマスクとウェットティッシュを入れているかどうかで、避難所の感染の広がりは変わるはずです。避難所に用意される物は、最初の数日は足りないことが多いからです。

自分のマスクとウェットティッシュを持っていく。
それは自分を守るだけでなく、避難所の限られた物資を、本当に必要な人に回すことにもつながります。

感染症を広げないための、避難所での1日

ここまでの内容を、避難所での1日の流れに落としてみます。

時間 やること
起きたら 体調を確かめる。家族の様子も見る。熱っぽい、お腹がおかしいなどがあれば早めに伝える
朝食の前 手を清潔にする。水がなければ拭き取ってから消毒
食後 口をすすぐか、歯をみがく
日中 換気の時間には体を覆う。体を動かし、水分をとる
トイレのあと 必ず手を清潔にする
夕食の前後 朝と同じく、手の清潔と口の清潔
寝る前 体を冷やさない準備。耳栓やアイマスクで眠れる工夫を

特別なことは何もありません。ふだんの生活で当たり前にしていることを、水と場所が限られた中で、意識して続けるだけです。

それが難しいのが避難所です。だからこそ、持ち出し袋にウェットティッシュやマスクを入れておくことが、ふだんの習慣を避難所でも続けるための支えになります。

ペットと一緒に避難するとき

ペットと同行避難する方もいると思います。ペットの衛生も、避難所の感染症予防の一部です。

気をつけること 理由
ペットの居場所は、人の居住スペースと分けられることが多い アレルギーのある人や、衛生への配慮のためです
排せつ物はすぐに片づけ、袋に入れて捨てる におい、衛生の両面で大切です
世話のあとは手を清潔にする 人の食事の前にはとくに
ペット用のシーツや消臭袋を多めに 避難所ではすぐに足りなくなります

ペットを受け入れる避難所かどうかは、事前に自治体で確かめておいてください。受け入れのルールも避難所ごとに違います。

子どもと一緒に避難するとき

子どもは、手を口に入れる、床に座り込む、何でも触るので、感染症にかかりやすくなります。

工夫 内容
床に直接座らせない マットや段ボールを敷いた自分たちの場所で過ごす
手をこまめに拭く 子ども用のウェットティッシュを多めに
おもちゃを共有しすぎない ほかの子と遊ぶ前後に、手を拭く
おむつ替えの場所を決める 運営の人に相談し、食事の場所から離れた所で

乳幼児は、嘔吐や下痢で脱水が早く進みます。おしっこの回数が減った、ぐったりしている、といった変化があれば、すぐに救護班や医師に相談してください。

在宅避難という選択肢

家が安全なら、避難所に行かずに自宅で過ごす「在宅避難」も選択肢です。感染症の面では、人が密集する避難所より、自宅のほうがうつりにくいという利点があります。

ただし、在宅避難ができるのは、家が安全で、暖房や水が確保できる場合です。寒さで体調を崩しては意味がありません。家の安全と、暖を取れるかどうかを見て判断してください。

冬の在宅避難の考え方は雪国の備蓄は閉じ込められる前提で|大雪で止まるのは物流と灯油、半分で補充する習慣にも書きました。

よくある質問

Q. 避難所で、手指消毒用アルコールだけで十分ですか

インフルエンザや新型コロナには有効ですが、ノロウイルスには効きにくいので、十分とは言えません。

できるだけ流水と石けんで手を洗うことを優先してください。水が限られているときは、ウェットティッシュで汚れを拭き取ってからアルコールを使うと、効果が上がります。

Q. 次亜塩素酸ナトリウムと、次亜塩素酸水は同じですか

別のものです。名前が似ていて混同されやすいので注意してください。

この記事でノロウイルスの消毒に挙げているのは、家庭用の塩素系漂白剤にあたる「次亜塩素酸ナトリウム」です。使うときは、製品の表示と、保健所や自治体の案内に従って薄めてください。

Q. 子どもが吐いてしまいました。どうすればよいですか

まず子どもを落ち着かせ、周りの人を遠ざけてください。そして運営の人に伝え、処理の道具を借ります。

嘔吐物は、手袋とマスクをつけて、外側から内側へ静かに拭き取ります。子どもの様子(水分がとれるか、ぐったりしていないか)を見て、気になることがあれば救護班や医師に相談してください。

Q. 感染症を心配して、避難所に行くのをやめてもよいですか

家が危険なら、避難所へ行ってください。感染症より、家にとどまる危険のほうが大きい場合があります。

津波や土砂災害のおそれがある、家が壊れている。そうした場合は、命を守ることが最優先です。避難所で感染を防ぐ工夫をしながら過ごしてください。家が安全なら、在宅避難も選べます。

Q. 予防接種は受けておくべきですか

冬の前に、インフルエンザなどの予防接種を検討することは、災害への備えにもなります。

ただし、接種するかどうか、どの予防接種が合うかは、年齢や持病によって違います。かかりつけの医師に相談して決めてください。

Q. マスクは、どんなときにつければよいですか

せきやくしゃみが出るときは、必ずつけてください。周りへ飛沫を広げないためです。

症状がなくても、避難所のように人が密集し、換気が十分でない場所では、つけておくと予防になります。ただし、息苦しさを感じる方や小さな子どもには無理をさせないでください。体調や年齢に合わせて判断します。

Q. 家族が胃腸炎になりました。同じトイレを使ってよいですか

避難所では、運営の人に伝えてください。体調の悪い人専用のトイレを分けるなどの対応が取られることがあります。

分けられない場合は、使ったあとに便座や取っ手、水を流すレバーを0.02%の次亜塩素酸ナトリウムで拭くと、次の人への感染を減らせます。看病する家族も、こまめに手を洗ってください。

Q. 避難所で体温計がありません。熱をどう見ればよいですか

救護班や運営の人に相談すれば、体温計を借りられることがあります。

体温計がなくても、寒気、だるさ、顔の赤み、額の熱さで、ある程度は見当がつきます。気になるときは、我慢せずに相談してください。持ち出し袋に小さな体温計を入れておくと安心です。

Q. 避難所で配られた水で、手を洗ってもよいですか

飲み水が十分にあるなら、使って構いません。手を清潔にすることは、感染症予防の基本だからです。

ただし、水が限られているときは、飲み水を優先します。そのときは、ウェットティッシュで汚れを拭き取り、手指消毒を使う方法で代えてください。運営の人に、手洗い用の水の使い方を確かめると安心です。

Q. 体調が悪いことを言い出しにくいです

その気持ちは、多くの方が持っています。避難所では周りに気をつかい、迷惑をかけたくないと感じるものです。

ですが、早く伝えるほど、周りへの感染を防げます。言い出しにくければ、家族や、そばにいる人に代わりに伝えてもらう方法もあります。保健師や救護班は、そのためにいます。遠慮しないでください。

Q. 避難所から自宅に戻ったあとも、気をつけることはありますか

あります。避難所で感染していても、症状が出るのは帰宅後ということがあります。

戻ってから数日は、家族の体調に気を配り、手洗いを続けてください。とくにノロウイルスは、症状が治まったあとも便にウイルスが出続けることがあるので、トイレのあとの手洗いと、便座などの消毒をしばらく続けると安心です。体調に不安があれば、医師に相談してください。

Q. 避難所の消毒は、誰がするのですか

運営する人が中心になりますが、避難者の協力も欠かせません。大勢が過ごす場所を、少ない人数だけで清潔に保つのは難しいからです。

トイレや手すりの拭き掃除を当番制にしている避難所もあります。声がかかったら、できる範囲で協力してください。それが自分の家族を守ることにもつながります。

まとめ

要点 内容
広がる理由 窓の閉め切り、密集、断水、乾燥、体力の低下
注意する感染症 インフルエンザ、新型コロナ、ノロウイルスなどの胃腸炎
ノロの消毒 アルコールは効きにくい。次亜塩素酸ナトリウムを、手すりに0.02%、嘔吐物に0.1%
手の清潔 流水と石けんが基本。なければ拭き取ってからアルコール
換気 寒くても、数分を1時間に1〜2回
体調不良 我慢せず、運営の人や保健師に伝える
持ち出し袋 マスク、ウェットティッシュ、手指消毒液、使い捨て手袋、携帯トイレ

冬の避難所は、寒さと感染症という二つの負担が重なる場所です。そしてその負担は、避難生活が長引くほど大きくなります。

一人ひとりが手を清潔にし、体調が悪ければ早く伝える。それだけで、避難所全体の感染の広がりは変わります。感染症の予防は、自分のためであると同時に、同じ避難所で過ごす人たちのためでもあります。

持ち出し袋を見直すときは、この記事の「入れておきたいもの」の表を一度見てください。マスク、ウェットティッシュ、手指消毒液、使い捨て手袋、携帯トイレ。どれも小さく軽いものですが、冬の避難所では、これが自分と周りの人を守る道具になります。今年の冬が来る前に、そろっているか確かめておくと安心です。

【出典】
厚生労働省(ノロウイルスの消毒、次亜塩素酸ナトリウムの濃度と使い方)/各自治体のノロウイルス対応マニュアル(嘔吐物の処理手順)/報道各社(能登半島地震の避難所での感染症の広がり)
この記事は一般的な情報です。症状があるときの判断、治療、予防接種については、必ず医師や保健師にご相談ください。消毒剤は製品の表示に従って使用してください。

スポンサーリンク
よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

9月1日は防災の日/8月30日〜9月5日は防災週間

1年に一度、備えを点検する日です。10分でできることから始めてください。

この記事を書いた人

北海道札幌市在住の防災・サバイバル情報発信者です。2018年の北海道胆振東部地震を機に「誰でも今日から始められる防災」をモットーに活動を開始し、実際に試した防災グッズのレビューや家族構成別の備え方をわかりやすくお伝えしています。実践的で信頼できる情報を提供できるよう、がんばっています!

目次