【この記事の要約】
石油ストーブや石油ファンヒーターの事故は、5年間で269件。うち死亡事故は47件です。そしてその47件のうち31件が70歳以上でした。原因で最も多いのは誤った使い方や不注意で、調査が終わった233件のうち115件を占めます。具体的には、給油中にこぼれた灯油への引火、ガソリンの誤給油、燃えるものがストーブに触れての出火です。守ることは3つです。一、給油の前に必ず火を消す。二、灯油は専用の容器に入れ、ガソリンとは別の場所で保管する。三、給油口のふたを確実に締め、漏れがないか確かめる。さらに冬の停電時には、電気を使わない石油ストーブが暖房の頼りになります。ただし換気を怠れば一酸化炭素中毒が起きます。1時間に1〜2回、数分の換気を守ってください。
こんにちは。防災ベーシックのたにです。札幌で防災士として活動しています。
北海道では、灯油のストーブは暮らしの道具です。そして冬に停電が起きたとき、いちばん頼りになる暖房でもあります。
2018年の北海道胆振東部地震では、真っ暗な中で石油ストーブだけが暖をくれた、という話をいくつも聞きました。
ただし、その道具で毎年人が亡くなっています。
結論|守るのは3つです
一、給油の前に、必ず火を消す。消えたことを確認してから入れる
二、灯油は専用の容器で保管し、ガソリンとは別の場所に置く
三、給油口のふたを確実に締め、漏れていないか確かめてから本体に戻す
この3つで、死亡事故の主な型を防げます。
どれも当たり前に見えると思います。
ですが、事故の原因で最も多いのは「誤使用・不注意」です。知らなかったから起きるのではなく、知っていてもやらなかったから起きています。
数字で見る、ストーブの事故
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 事故の件数 | 石油ストーブ・石油ファンヒーターの事故は、5年間で269件 |
| 死亡事故 | 47件 |
| 年齢 | 死亡事故47件のうち31件が70歳以上。被害者が70歳以上の事故は131件 |
| 原因の最多 | 誤使用・不注意(調査が終わった233件のうち115件) |
| 主な死亡の形 | 給油中にこぼれた灯油への引火、ガソリンの誤給油、可燃物の接触 |
高齢の方に集中している点は、雪下ろしの事故と同じ構図です。
長年使ってきた道具ほど、確認の手順が省かれます。「いつもやっていること」は、いちばん見直されにくい作業です。
事故の型①|給油中の引火
最も多い型です。火をつけたまま給油することで起きます。
灯油がこぼれ、熱い部分に触れて気化し、そこに火が移ります。「少しだから」「すぐ終わるから」という場面で起きています。
| 守ること | 理由 |
|---|---|
| 必ず消火してから給油する | 消えたことを目で確認してください。弱火でも危険です |
| 少し冷ましてから | 消した直後は、本体がまだ高温です |
| 給油は屋外か、換気した場所で | 気化した灯油がこもると、引火の危険が高まります |
| こぼしたら、すぐ拭く | 拭いた布は、そのままゴミ箱に入れない。屋外で乾かしてください |
こぼした灯油を拭いた布を、丸めてゴミ箱に入れないでください。灯油がしみた布は、条件によっては自然に発熱することがあります。
事故の型②|ガソリンの誤給油
これは、起きると被害が大きくなります。
灯油のつもりでガソリンを入れると、爆発的に燃えます。ガソリンは灯油よりはるかに引火しやすく、常温でも火がつく蒸気を出します。
| 防ぎ方 | 内容 |
|---|---|
| 容器を分ける | 灯油は灯油用のポリエチレン容器。ガソリンは金属の専用容器です |
| 置き場所を分ける | 同じ場所に並べない。これが最も確実です |
| ラベルを貼る | 見た目で区別できるようにします |
| 色で区別する | 灯油用の容器は赤や青が一般的です |
ガソリンをポリエチレンの容器に入れるのは、そもそも認められていません。静電気で引火する危険があるためです。
発電機や除雪機のためにガソリンを保管している家庭では、この区別がいっそう大切になります。
事故の型③|燃えるものが触れる
ストーブのまわりに置いたものが、発火する型です。
| 危ないもの | 何が起きるか |
|---|---|
| 洗濯物 | 乾かそうとして近づけ、落ちて燃えます。とくに就寝中が危険です |
| 布団・毛布・座布団 | 寝返りや、立ち上がった拍子に触れます |
| スプレー缶 | 熱で破裂します。ストーブの近くに置かないでください |
| カーテン | 風であおられて触れます |
| 新聞・雑誌 | 床に置いたものが、いつの間にか近づいています |
ストーブのまわり1メートルには、何も置かない。
これを家族で決めておくと、迷わずに済みます。
一酸化炭素中毒を防ぐ|換気の考え方
火を使う暖房は、部屋の酸素を使い、燃えた分だけ排気を出します。
締め切った部屋で使い続けると、不完全燃焼が起き、一酸化炭素が発生します。
| 守ること | 内容 |
|---|---|
| 1時間に1〜2回、数分の換気 | 窓を2か所開けると、空気が通り抜けます |
| 寝るときは消す | 眠っている間は、異変に気づけません |
| 給気口をふさがない | 雪や家具でふさぐと、空気が入りません |
| 頭痛・吐き気・眠気 | 中毒の初期症状です。すぐ換気して、外の空気を吸ってください |
一酸化炭素は無色無臭です。気づけるのは体に出る変化だけです。
この仕組みは、大雪の立ち往生で起きる中毒と同じです。詳しくは大雪の立ち往生で危ないのは寒さより一酸化炭素|22分で1000ppm、マフラーを掘るに書きました。
雪で給排気口がふさがれる
屋外に給排気口があるFF式ストーブや、壁掛けの暖房機では、雪による事故が起きています。
吹き溜まりや、屋根からの落雪で口がふさがれると、排気が室内に戻ります。
雪が降った日は、家のまわりを一周して、給排気口が出ているか確認してください。屋根の雪下ろしをしたあとも同じです。
一酸化炭素中毒の症状を、家族で共有する
中毒は、本人より周りの人が先に気づくことがあります。症状を家族で知っておいてください。
| 段階 | 症状 | やること |
|---|---|---|
| 軽い | 頭痛、めまい、吐き気、だるさ | すぐに窓を開け、ストーブを消す。外の空気を吸う |
| 中程度 | 強い頭痛、嘔吐、判断力の低下、眠気 | 外へ連れ出し、119番通報 |
| 重い | 意識がもうろうとする、けいれん、意識を失う | 119番通報。呼吸がなければ胸骨圧迫 |
「家族が同時に頭痛を訴える」のは、とくに注意すべき合図です。
風邪なら、全員が同じ時間に具合を悪くすることは少ないはずです。同じ部屋にいた人が、そろって頭痛や吐き気を訴えたら、まず換気してください。原因はストーブかもしれません。
ペットの様子がおかしいのも手がかりになります。体の小さな動物は、人より先に影響を受けることがあります。
回復したように見えても、受診を
一酸化炭素中毒は、その場で回復しても、数日から数週間後に症状が出ることがあります。頭痛、物忘れ、集中力の低下などです。
意識を失うほどの状態になった方は、元気そうに見えても医療機関を受診してください。
停電したときの暖房として
ここが、防災の観点でいちばん大切な部分です。
| 暖房の種類 | 停電時 |
|---|---|
| 電気を使わない石油ストーブ(対流式・反射式) | 使えます。停電時の主力になります |
| 石油ファンヒーター | 使えません。送風と着火に電気が要ります |
| FF式ストーブ | 使えません。給排気に電気を使います |
| エアコン | 使えません |
| カセットガスストーブ | 使えます。ボンベの備えが必要です |
ここを誤解している家庭が多くあります。
「うちは灯油のストーブだから停電でも大丈夫」と思っていたら、ファンヒーターやFF式で、まったく使えなかった。北海道の停電では、実際に起きたことです。
北海道胆振東部地震の停電については北海道胆振東部地震とは?日本初のブラックアウトで295万戸が停電にまとめています。
停電に備えるなら、電気の要らない1台を
電気を使わない石油ストーブを、1台だけ持っておくという備え方があります。
| 利点 | 注意点 |
|---|---|
| 停電でも暖が取れる | 換気が必須です |
| 上で湯を沸かせる、煮炊きができる | 種類によっては天板が使えないものもあります |
| 電池も要らない(マッチ着火のものもあります) | 点火装置が電池式なら、電池の備えを |
| 灯油があれば長く使える | 灯油は年を越すと劣化します。古い灯油は使わないでください |
灯油の保管
| 守ること | 理由 |
|---|---|
| 灯油専用の容器を使う | ペットボトルや食品の容器に移さないでください。事故と誤飲のもとです |
| 直射日光を避ける | 日光に当たると劣化が進みます。変質した灯油は不完全燃焼を起こします |
| 火の気のない場所に置く | ストーブや給湯器のそばに置かない |
| 越冬した灯油は使わない | 1年たった灯油は、においや色が変わります。販売店に相談して処分してください |
| 容器を車内に放置しない | 夏の車内は高温になり、容器が変形します |
古い灯油を「もったいないから」と使うのは、やめてください。
変質した灯油は、不完全燃焼を起こし、一酸化炭素が出やすくなります。機器の故障の原因にもなります。
シーズン初めの点検
秋に一度、確認しておくべきことがあります。
| 確認 | 内容 |
|---|---|
| 試運転する | 寒くなる前に一度つけて、異常な音やにおいがないか確かめます |
| 去年の灯油が残っていないか | 残っていれば抜き取り、新しい灯油を入れます |
| ほこりを取る | 内部にたまったほこりは、においと不完全燃焼の原因になります |
| 電池を交換する | 点火装置や、安全装置の電池を確認します |
| 置き場所を決める | まわり1メートルに何もない場所を選びます |
試運転は、屋外や換気のよい場所で行ってください。去年の灯油が残っていると、においが出ます。
地震が起きたときのストーブ
冬に地震が起きれば、暖房が火元になります。
| 装置 | 働き |
|---|---|
| 対震自動消火装置 | 一定以上の揺れで、自動的に消火します。現在の石油ストーブには備わっています |
| 給油時自動消火装置 | カートリッジタンクを抜くと消える仕組みのものがあります |
| 不完全燃焼防止装置 | 酸素が減ると止まります |
ただし、装置があっても安心はできません。
古い製品では働かないことがあります。また、揺れで倒れた家具や落ちた洗濯物が、消えたストーブの上に乗ることがあります。地震のあとは、必ず火元を目で確認してください。
阪神・淡路大震災では、倒壊による窒息・圧死に次いで、火災が被害を広げました。家具の固定と、火元の確認はつながっています。
灯油とガソリンは、何がそんなに違うのか
「どちらも燃える油」と考えていると、危険の差が見えません。決定的に違うのは、火がつき始める温度です。
| 灯油 | ガソリン | |
|---|---|---|
| 引火点(火がつく蒸気が出る温度) | おおむね40度以上 | マイナス40度前後 |
| 常温では | そのままでは火がつきにくい | 常温でも、火のつく蒸気を出し続けています |
| こぼしたとき | しみ込んだ布などが危険 | 周囲に蒸気が広がり、離れた火種でも引火します |
| 容器 | 灯油用ポリエチレン容器 | 金属の専用容器。ポリ容器は認められていません |
ガソリンは、火を近づけなくても引火します。静電気でも十分です。
だから誤給油が起きると、ストーブの中で爆発的に燃えます。消そうとして近づいた人が、大やけどを負う事故が起きています。
容器を置く場所を、いま決めてください
発電機、除雪機、草刈り機。家庭でガソリンを扱う機会は、意外にあります。
灯油は玄関側、ガソリンは物置の奥、というように場所そのものを分けてください。
ラベルより、置き場所を分けるほうが確実です。暗い中で、手探りで運ぶ場面を想像してみてください。
ストーブ火災は、いつ起きているか
| 場面 | なぜ起きるか |
|---|---|
| シーズン初め(10月〜11月) | 久しぶりに使い、ほこりや古い灯油のまま点火してしまいます |
| 朝いちばん | 寒くて急ぎ、確認が雑になります |
| 就寝中 | つけたまま眠り、洗濯物や布団が触れます |
| 給油のとき | 面倒で、火を消さずに入れてしまいます |
| 来客や外出の前後 | 気が急いて、消し忘れが起きます |
「シーズン初め」に注意が集まるのには理由があります。
半年ぶりに動かす機器は、内部にほこりがたまり、灯油が残って変質しています。国も、この時期に点検を呼びかけています。
子どもと高齢の家族がいる家庭で
| 相手 | 気をつけること |
|---|---|
| 小さな子ども | やけどが多いのはストーブのガード部分です。触れないよう柵を置いてください |
| 高齢の家族 | 熱さを感じにくく、低温やけどが起きます。長時間当たり続けないように |
| 給油を頼む場合 | 重い容器を運ぶ作業です。腰や転倒の危険があるので、無理をさせないでください |
| ペット | 尾や毛が触れて焦げる事故があります |
低温やけどは、気づきにくい傷です。44度程度でも、長く当たり続ければ皮膚の深い部分まで傷つきます。「熱い」と感じない温度だからこそ、眠ってしまいます。
停電の夜を、どう暖かく過ごすか
冬の停電では、ストーブがあっても部屋全体を暖め続けるのは難しいことがあります。灯油には限りがあり、換気もしなければなりません。
そこで考え方を変えます。家全体ではなく、一部屋を暖める。部屋ではなく、体を暖める。
| 方法 | 効果 |
|---|---|
| 家族が1部屋に集まる | 暖める面積が減り、人の体温も足されます |
| 窓に段ボールや毛布を当てる | 熱が逃げるのは主に窓です。ここをふさぐと体感が変わります |
| 床に敷物を重ねる | 床からの冷えを止めます |
| 湯たんぽを作る | ストーブで沸かした湯を使えます。就寝時はストーブを消せます |
| 重ね着と帽子 | 頭から熱が逃げます。室内でも帽子は有効です |
湯たんぽは、停電の夜にいちばん役に立つ道具のひとつです。
火を使わずに朝まで暖かく、一酸化炭素の心配もありません。ストーブで湯を沸かし、湯たんぽを用意してから消す。この流れを作っておくと、眠るときに火を消せます。
暖房器具ごとの、危険と備え
家にある暖房を、危険の種類で整理しておきます。同じ「暖房」でも、注意する点はまったく違います。
| 暖房 | 主な危険 | 停電時 |
|---|---|---|
| 石油ストーブ(対流式・反射式) | 給油時の引火、一酸化炭素、接触による火災 | 使えます |
| 石油ファンヒーター | 給油時の引火、一酸化炭素 | 使えません |
| FF式ストーブ | 給排気口が雪でふさがれること | 使えません |
| 電気ストーブ・ハロゲンヒーター | 接触による火災、低温やけど。一酸化炭素は出ません | 使えません |
| こたつ | 内部のコードの傷み、低温やけど | 使えません |
| カセットガスストーブ | 一酸化炭素、ボンベの加熱 | 使えます |
| 湯たんぽ | 低温やけど、熱湯によるやけど | 使えます |
「電気ストーブは安全」と思われがちですが、火災の件数では上位に入ります。
炎が見えないぶん、近くに物を置いても平気だと感じてしまうためです。布団や洗濯物が触れれば、同じように燃えます。
停電に備えるなら、2種類を持つ
電気に頼る暖房と、頼らない暖房。両方を持っておくのが、冬の停電への備えです。
ふだんはエアコンやファンヒーターで構いません。停電したときに切り替えられる1台があるかどうかが、分かれ目になります。
停電が長引いたときの、灯油の配分
北海道胆振東部地震の停電は、地域によっては数日に及びました。そのとき問題になるのが、灯油の残量です。
| 考え方 | 内容 |
|---|---|
| 1部屋だけ暖める | 家全体を暖めようとすると、灯油が一気に減ります |
| つけっぱなしにしない | 暖まったら消す。冷えたらつける。換気の時間にもなります |
| 夜は湯たんぽに切り替える | 眠っている間は消す。安全と節約が両立します |
| 買い足しは早めに | 停電するとスタンドの給油機も止まります。寒波の前に入れてください |
停電と大雪が重なると、配達も来ません。灯油は「切らしてから買う」ものではなく、「予報を見て買う」ものだと考えてください。
給油の正しい手順
毎日やる作業だからこそ、順番を一度決めてしまうのがいちばん確実です。
| 順番 | やること |
|---|---|
| 1 | ストーブを消す。炎が消えたことを目で確認する |
| 2 | カートリッジタンクを取り出し、ストーブから離れた場所へ運ぶ |
| 3 | 容器が灯油用であることを確認する(ガソリンの容器でないか) |
| 4 | 給油ポンプで入れる。入れすぎないよう、目盛りを見ながら |
| 5 | ふたを確実に締める。逆さにして漏れないか確かめる |
| 6 | タンクの外側についた灯油を拭き取る |
| 7 | 本体に戻し、正しくはまったことを確認してから点火する |
3番目は、ガソリンを持っている家庭では省かないでください。
そして5番目の「逆さにして確かめる」が、いちばん省かれやすい工程です。ふたが斜めにはまっていると、本体にセットした瞬間に灯油があふれます。
給油ポンプの消し忘れ
電動の給油ポンプには、満タンで自動的に止まるものがあります。ですが、止まらない製品や、故障していることもあります。
給油中にその場を離れて、あふれた灯油が床に広がる事故も起きています。給油の間は、離れないでください。
もしストーブから火が出たら
| 順番 | やること |
|---|---|
| 1 | 大声で周りに知らせる。「火事だ」と叫ぶ |
| 2 | 消火器を使う。炎の根元をねらって噴射します |
| 3 | 炎が天井に届いたら、消火をやめて逃げる |
| 4 | 逃げるときは、部屋の扉を閉める。火と煙の広がりを遅らせます |
| 5 | 119番通報。逃げてから電話してください |
燃えている灯油に水をかけないでください。油が飛び散り、火が広がることがあります。消火器か、濡らしたタオルやシーツで覆う方法をとります。
初期消火ができる目安は「炎が天井に届くまで」です。
それを超えたら、消そうとせずに逃げてください。消火より、自分が生きて外に出ることが先です。
住宅用火災警報器を確認する
住宅用火災警報器は、すべての住宅で設置が義務づけられています。
ただし電池の寿命はおおむね10年です。設置から時間がたっている家では、鳴らない可能性があります。ストーブを出す前に、ボタンを押して音が鳴るか確かめてください。
札幌で暮らして、実感していること
北海道の家庭では、ストーブの給油は日課です。毎日、あるいは一日に何度も入れます。
だからこそ、一度決めた手順が崩れやすい。急いでいる朝、疲れて帰った夜。「今日だけは」と火をつけたまま入れる場面は、誰にでもあります。
私自身が気をつけているのは、給油する場所を決めておくことです。ストーブのそばでは給油しない、玄関の土間で入れる、と決めてしまえば、火のついたストーブのそばで灯油を扱う場面そのものがなくなります。
そしてもう一つ。北海道の暖房の主役はFF式です。停電すれば止まります。胆振東部地震のあと、電気を使わないストーブを1台買い足した家庭は少なくありません。
集合住宅で気をつけること
マンションやアパートでは、石油ストーブの使用そのものが禁止されていることがあります。
| 確認すること | 理由 |
|---|---|
| 管理規約・賃貸契約 | 灯油の持ち込みや、開放式ストーブの使用を禁じている建物があります |
| 灯油の保管場所 | ベランダに置くと、日光で劣化し、隣戸への延焼の原因にもなります |
| 換気の条件 | 気密性が高く、換気しないと一酸化炭素がたまりやすい建物が多い |
| 停電時の代わり | 石油ストーブが使えないなら、カセットガスストーブや湯たんぽで備えます |
気密性の高い住宅ほど、換気を意識してください。
古い木造の家はすき間風が換気の役割をしていましたが、新しい住宅では空気が入れ替わりにくく、一酸化炭素がたまるのが早くなります。
ストーブを出す日に、10分でやること
シーズン初めに、次の6つだけ確認してください。10分で終わります。
| 確認 | 見るところ |
|---|---|
| 1 | 去年の灯油がタンクに残っていないか。残っていれば抜く |
| 2 | 本体と吹き出し口のほこりを取る |
| 3 | 点火用の電池を新しくする |
| 4 | 住宅用火災警報器のボタンを押して、鳴るか確かめる |
| 5 | ストーブのまわり1メートルに物がないか |
| 6 | 灯油とガソリンの置き場所が分かれているか |
とくに1番目が大切です。去年の灯油が残ったまま点火すると、においが出るだけでなく、不完全燃焼と故障の原因になります。
よくある質問
Q. 給油するときは、火を消せばすぐ入れてよいですか
少し待ってください。消した直後は本体が高温です。
とくに、こぼれた灯油が熱い部分に触れると気化します。消火を確認し、落ち着いてから給油するのが安全です。
Q. カートリッジタンクのふたは、どのくらい締めればよいですか
止まるまで確実に締め、逆さにしても漏れないことを確認してください。
ふたが緩んでいると、本体にセットしたときに漏れます。そこに火が入ると火災になります。「カチッと音がするまで」など、製品の説明に従ってください。
Q. 寝るときにストーブを消すと、寒くて眠れません
気持ちは分かりますが、消してください。
代わりに、寝具を厚くする、湯たんぽを使う、部屋を先に暖めておくという方法があります。眠っている間は、不完全燃焼にも火災にも気づけません。
冬の室温については冬の室温はWHOが18度以上を勧告|日本の居間は平均16.7度、脱衣所は12.6度に書きました。
Q. 一酸化炭素の警報器は必要ですか
火を使う暖房を使う家庭では、あると安心です。
一酸化炭素は、においも色もありません。人が気づく前に知らせてくれる道具は、この場面では有効です。家庭用のものが市販されています。
Q. 停電のときに、カセットガスストーブは使えますか
使えます。ただし、石油ストーブと同じで換気が必要です。
そしてボンベの消費が早い点に注意してください。1本で数時間しか持たないものが多く、長い停電では本数が要ります。ボンベは高温になる場所に置かないでください。
Q. 灯油はどのくらい備えておけばよいですか
家庭の使い方によります。目安としては、真冬に1週間しのげる量です。
ただし灯油は越冬させないほうがよいので、シーズン中に使い切れる量にしてください。大雪の予報が出たら早めに買い足すほうが、備蓄を増やすより現実的です。
大雪になると、配達が止まり、スタンドも混みます。寒波の予報が出た時点が、買い時です。
Q. 灯油をこぼしてしまいました。どう片づければよいですか
まず火の気を遠ざけ、窓を開けて換気してください。
こぼれた灯油は、新聞紙や布で吸い取ります。吸い取った紙や布は、屋外の風通しのよい場所で乾かしてから処分してください。丸めて室内のゴミ箱に入れると、においがこもり、発火の危険もあります。
床にしみ込んだにおいは、なかなか取れません。給油は、こぼしても困らない場所でするのが、いちばんの予防です。
Q. ストーブの上で洗濯物を乾かしてもよいですか
やめてください。落ちた洗濯物が燃える火災は、毎年起きています。
とくに寝ている間や外出中に落ちると、気づいたときには部屋に燃え広がっています。乾かすなら、ストーブから十分に離した物干しを使ってください。
Q. 古いストーブを使い続けても大丈夫ですか
安全装置が働くかどうかを確認してください。
長く使った製品は、対震自動消火装置や不完全燃焼防止装置が、劣化で働かないことがあります。異音、異臭、炎の色が赤っぽい、といった変化があれば、販売店やメーカーに相談してください。
また、リコールの対象になっていないかを一度調べておくと安心です。メーカーの名前と型番で検索できます。
Q. 反射式と対流式は、停電のときどちらがよいですか
用途で選びます。
対流式は円筒形で、部屋全体を暖めます。天板でお湯を沸かせるものが多く、停電時の煮炊きにも使えます。反射式は前方を集中的に暖め、壁際に置けるので狭い部屋に向きます。
停電の備えとしては、湯を沸かせる対流式が使い勝手に優れます。湯たんぽや温かい飲み物を作れるからです。ただしどちらも換気が必要な点は同じです。
Q. 灯油のにおいが気になります。不完全燃焼でしょうか
点火と消火のときに少しにおうのは、多くの製品で起きることです。
ただし、燃えている最中にずっとにおう、目がしみる、炎が赤っぽく揺れるといった場合は、不完全燃焼や灯油の変質が疑われます。すぐに消して換気し、灯油と本体を点検してください。
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まとめ
| 要点 | 内容 |
|---|---|
| 事故の規模 | 5年間で269件、死亡47件。うち31件が70歳以上 |
| 最多の原因 | 誤使用・不注意(233件中115件) |
| 守る3つ | 給油前に消火/灯油とガソリンを分けて保管/ふたを確実に締める |
| 置き方 | まわり1メートルに何も置かない。洗濯物を干さない |
| 換気 | 1時間に1〜2回、数分。寝るときは消す |
| 停電時 | 使えるのは電気を使わない石油ストーブ。ファンヒーターとFF式は使えません |
| 灯油の管理 | 専用容器、日光を避ける、越冬させない |
石油ストーブは、停電に強い、数少ない暖房です。だから防災の道具として勧められます。
ただし、火を扱う道具でもあります。勧められるのは、正しく使う前提があってのことです。
給油の前に火を消す。この一手間だけで、死亡事故の主な型のひとつが消えます。
停電した冬の夜、暖かさを保てるかどうかは、道具の数ではなく使い方で決まります。1台のストーブを安全に使い切れることが、いちばんの備えです。
今年の冬、ストーブを出す日に、この記事の「10分でやること」を一度だけ試してみてください。
【出典】
製品評価技術基盤機構(石油ストーブ・石油ファンヒーターの事故件数、死亡事故、年齢の内訳、原因の区分)/消費者庁・経済産業省「シーズン初めの石油ストーブ安全大作戦」(給油時の注意、誤給油の防止)/消防庁(住宅火災の予防)
製品ごとに、取り扱いの条件は異なります。必ずお使いの製品の取扱説明書をご確認ください。古い製品や、異常のある製品は、販売店またはメーカーにご相談ください。




