冬の室温はWHOが18度以上を勧告|日本の居間は平均16.7度、脱衣所は12.6度

冬の室温はWHOが18度以上を勧告|日本の居間は平均16.7度、脱衣所は12.6度

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【この記事の要約】
世界保健機関(WHO)は、冬の室内温度を最低でも18度以上にするよう強く勧告しています。2018年に公表された「住まいと健康に関するガイドライン」でのことです。そして高齢者や子ども、慢性疾患のある方には、それより暖かい室温が推奨されています。では、日本の家はどうか。国土交通省のスマートウェルネス住宅等推進事業調査(2019年発表)によれば、居間の室温の平均は16.7度、脱衣所は12.6度でした。WHOの基準を、居間ですら下回っています。脱衣所にいたっては、6度も低い。ここに、前の記事で書いた事実と結びつく点があります。屋内での凍死が、屋外の3倍以上あるという統計です。日本の家は、寒いのです。この記事で提案することは、ひとつだけです。温度計を、寝室と脱衣所に置いてください。暖房の効いた居間の温度は、みなさん体感で分かります。問題は、暖房のない部屋の温度を、誰も知らないことです。数字を知らなければ、対策のしようがありません。温度計は数百円から買えます。そして18度という基準を持っていれば、自分の家が安全な側にいるのかどうかが、初めて判断できます。

前の記事で、驚くべき統計を書きました。

屋内での凍死が、屋外の3倍以上ある。

雪山でも路上でもなく、家の中で亡くなっている方のほうが多いのです。

その記事を書きながら、私はずっと考えていました。なぜ、家の中でそんなことが起きるのか。

調べていくうちに、答えのひとつにたどり着きました。日本の家は、思っているより寒いのです。

私は札幌に住んでいて、防災士として活動しています。北海道の家は暖かいと言われますが、それでも「家全体が18度以上」という条件を満たしているかというと、自信がありません。

この記事では、数字を並べます。WHOが示した基準と、日本の家の実態です。この2つを並べると、なぜ屋内で凍死が起きるのかが見えてきます。

そして最後に、今日からできる、いちばん簡単なことを書きます。

目次

結論|温度計を、寝室と脱衣所に置いてください

先に結論を書きます。

今日できることは、温度計を買って、暖房のない部屋に置くことです。数百円で買えます。そして「18度」という数字を、判断の基準として持ってください。

なぜこれが最初にくるのか。理由があります。

居間の温度は、体感で分かります。暖房が効いていて、家族がいて、寒ければすぐ気づきます。

問題は、それ以外の部屋です。寝室、脱衣所、トイレ、廊下。ここの温度を知っている人は、ほとんどいません。

そして、統計が示すとおり、危険は暖房の効いていない場所で起きています。

WHOは、何と言っているのか

2018年のガイドライン

世界保健機関(WHO)は2018年に「住まいと健康に関するガイドライン」を公表しました。

そのなかで、冬場の室内温度を最低でも18度以上にするよう、強く勧告しています。

「推奨」ではなく「強く勧告」という表現が使われている点に、注目してください。

なぜ18度なのか

寒い住宅では、循環器の病気が起こりやすくなることが背景にあります。

冷えた室内では、体は熱を逃がさないよう血管を縮めます。その結果、血圧が上がります。

WHOのガイドラインでは、不整脈や心不全といった循環器の疾患、そして肺炎や喘息といった呼吸器の疾患への影響が指摘されています。

ここは慎重に書きます。個々の健康影響や、ご自身の体調との関係については、必ず医師にご相談ください。私が書けるのは、WHOがそう勧告しているという事実までです。

高齢者と子どもには、さらに暖かく

WHOは、高齢者・子ども・慢性疾患のある方には、18度よりさらに暖かい室温を推奨しています。

つまり18度は「最低ライン」であって、目標ではありません。

ここは、誤解されやすいところだと思います。18度に届いたから安心、という数字ではありません。

日本の家は、何度なのか

ここからが本題です。

国土交通省の調査

国土交通省のスマートウェルネス住宅等推進事業調査(2019年発表)によると、次のような結果でした。

場所 平均室温 WHOの最低基準18度との差
居間 16.7度 1.3度 低い
脱衣所 12.6度 5.4度 低い

暖房が効いているはずの居間ですら、基準を下回っています。

そして脱衣所は12.6度。これは、裸になる場所の温度です。

冬の朝、この温度の部屋で服を脱いでいることになります。

この数字が意味すること

日本の住宅は、「部屋を暖める」という考え方で作られてきました。

居間にストーブを置いて、そこだけ暖める。廊下も、脱衣所も、寝室も、暖房の対象外です。

その結果、家のなかに大きな温度差が生まれます。

移動 温度の変化
居間 → 廊下 暖かい場所から、冷えた場所へ
居間 → 脱衣所 平均で4度以上の差
居間 → トイレ 同じく、大きく下がります
居間 → 寝室 そして、そこで何時間も過ごします

最後の行が、いちばん重要です。

脱衣所やトイレにいる時間は、数分です。しかし寝室では、何時間も過ごします。

そして就寝中は動きません。体が熱を作る量が減った状態で、冷えた部屋に長時間いることになります。

寝室が、いちばんの盲点です

ここを掘り下げます。

暖房を切って寝る

多くの家庭で、寝るときには暖房を切ります。

理由はさまざまです。火事が心配、乾燥する、電気代がかかる、つけっぱなしは体に悪い気がする。

どれも理解できる理由です。私自身、そうしてきました。

しかし、暖房を切れば部屋は冷えていきます。そして明け方、放射冷却でいちばん冷え込む時間に、その部屋にいることになります。

放射冷却の仕組みは放射冷却とは?晴れた朝ほど冷える3つの条件に書きました。

布団の中と、部屋の温度は別です

布団の中は暖かい。それは事実です。

しかし、顔は布団の外に出ています。そして呼吸で冷たい空気を吸い込みます。

また、夜中にトイレに起きたときが問題になります。暖かい布団から、冷えた廊下へ。この温度差が、体に負担をかけます。

一人で寝ている場合

これがもっとも注意が必要な状況です。

体調が悪くなっても、気づく人がいません。そして低体温症は、本人が気づけない症状です。

判断力が落ちるのが初期の症状なので、「寒いから暖房をつけよう」という判断ができなくなります。

低体温症の症状については低体温症とは?深部体温35度以下で起きることに書きました。

18度という数字を、どう受け止めるか

ここで一度、この数字の位置づけを整理しておきます。

快適な温度ではありません

18度は、多くの方が「肌寒い」と感じる温度です。

実際、イギリスの基準では人が健康でいられる温度として21度前後が示されているという紹介もあります。

つまりWHOの18度は、「これを下回ると健康への影響が出はじめる水準」と受け取るのが近いと思います。

目標ではなく、下限です

ここを取り違えると、対策の方向がずれます。

受け取り方 結果
18度を目標にする 18度に届いたら対策をやめてしまう
18度を下限にする 下回っている場所を見つけて、そこから直す

後者で考えてください。とくに高齢の方や、小さなお子さんのいるご家庭では、より暖かい室温が推奨されています。

すべての部屋で達成する必要はありません

現実的に、家じゅうを18度以上に保つのは難しい家庭が多いはずです。

私自身、北海道に住んでいても、家の隅々まで18度あると言い切る自信はありません。

ですから優先順位をつけてください。長い時間を過ごす場所から順に、対策していく。それで十分だと思います。

まず、測ってください

対策の話に入ります。そして、最初にやることは「測ること」です。

なぜ測るのか

感覚は、あてになりません。

とくに高齢になると、寒さを感じにくくなることがあります。本人が「寒くない」と言っていても、室温は低いということが起こります。

そして慣れてしまうという問題もあります。毎年その温度で過ごしていれば、それが普通になります。

数字にすれば、比べられます。18度という基準があれば、上か下かがはっきりします。

どこに置くか

優先 場所 理由
1 寝室 過ごす時間が長く、暖房がないことが多い
2 脱衣所 調査で平均12.6度。裸になる場所です
3 トイレ 夜間に使い、暖房がないことが多い
4 居間 比較の基準として

置く高さにも、少し注意があります。

冷たい空気は下にたまるので、床に近いほど温度は低くなります。座って過ごす場所、寝る場所の高さで測るのが実態に近くなります。

いつ見るか

朝いちばんです。

一日でもっとも冷え込むのは、日の出の直前ごろ。その時間に、自分の家が何度になっているかを知ってください。

起きてすぐ、暖房をつける前に見る。それが、その部屋の本当の温度です。

費用をかけずに、室温を上げる方法

「暖房を強くしてください」と言うのは簡単ですが、燃料費や電気代の問題があります。

まずは、費用のかからない方法から書きます。

窓を対策する

熱がいちばん逃げるのは、窓です。

やること 費用
厚手のカーテンに替える 手持ちのもので代用できます
カーテンを床まで届く長さにする 短いと、下から冷気が流れ込みます
日が暮れる前にカーテンを閉める 無料。暗くなってからでは遅い
断熱シートを窓に貼る 数百円から
すきまテープを貼る 数百円から

「日が暮れる前にカーテンを閉める」は、無料でできて効果があります。

暗くなってから閉めるのでは、すでに熱が逃げたあとです。まだ明るいうちに閉めてください。

床からの冷えを断つ

冷たい空気は、床にたまります。

そして床に接していると、そこから熱が逃げていきます。

やること 効果
ラグやカーペットを敷く 床からの冷えを大きく減らせます
寝具の下に敷物を足す 掛けるより、敷くほうが効く場面があります
スリッパをはく 足元から冷えます

「掛けるより敷く」は、避難所の対策でも同じことが言われています。

冬の避難所については冬の避難所は床が最優先に書きました。

暖める空間を小さくする

家じゅうを暖めようとしないでください。燃料も電気も足りません。

ドアを閉めて、使う部屋を絞る。そして、その部屋だけをしっかり暖める。これが現実的です。

ただし、寝室を「使わない部屋」に含めないでください。ここが、多くの家庭で抜け落ちる点です。

部屋ごとの温度差が、なぜ問題なのか

室温そのものだけでなく、部屋と部屋の温度差も問題になります。

体は、急な変化に対応します

暖かい部屋から寒い場所へ移ると、体は熱を逃がさないよう血管を縮めます。

そして暖かい湯につかると、今度は血管が広がります。短い時間のあいだに、大きく変化することになります。

これはヒートショックと呼ばれ、冬に注意が呼びかけられています。

一般に呼びかけられている対策としては、脱衣所や浴室をあらかじめ暖めておくこと、湯温を上げすぎないこと、家族に声をかけてから入浴することなどがあります。ただし、ご自身の体調や持病に応じた判断については、必ず医師にご相談ください。この記事で個別の医学的な助言はできません。

脱衣所を暖める、簡単な方法

方法 費用
入浴前に浴室のふたを開けておく 0円。湯気で脱衣所まで暖まります
シャワーを出して浴室を暖める 水道代とガス代のみ
小型の暖房器具を置く 器具代。水回りでの使用可否を必ず確認してください
脱衣所のドアを、入浴前に開けておく 0円。居間の暖気を回します

「浴室のふたを開けておく」は、費用0円でできます。入浴の少し前に開けておくだけで、湯気が脱衣所まで届きます。

ただし水回りで暖房器具を使う場合は、その器具が浴室や脱衣所で使えるものかを必ず確認してください。感電や故障の危険があります。

夜中のトイレ

ここも、温度差が生まれる場面です。

暖かい布団から出て、冷えた廊下を通り、冷えたトイレへ。しかも判断力が働きにくい、眠い状態でのことです。

できることは、枕元に上着を置いておくくらいのことです。それでも、何もしないよりは違います。

暖房費を我慢していませんか

ここは、書きにくいことですが書きます。

暖房費を気にして、寒さを我慢する。これは実際に起きています。

とくに一人暮らしの高齢の方の場合、「自分ひとりだから」と考えて、暖房を控えることがあります。

離れて暮らす家族ができること

「暖房をつけて」と言うだけでは、たいてい変わりません。

できること なぜ効くか
温度計を送る 数字が見えれば、本人も判断できます
灯油を送る、費用を持つ 我慢する理由そのものをなくします
「何度になってる?」と聞く 「寒くない?」より、状態が分かります
寝具を厚いものに替える 暖房費をかけずに、寝ている間を守れます

温度計を送るというのは、地味ですが有効だと思っています。

数百円で、毎日目に入ります。そして電話で「今日は何度?」と聞けるようになります。

支援制度がある場合があります

自治体によっては、高齢世帯や低所得世帯を対象にした燃料費の助成制度があります。

制度の有無や条件は市町村ごとに異なりますので、お住まいの自治体の窓口にご確認ください。冬が本格化する前に調べておくとよいと思います。

なぜ、日本の家は寒いのか

ここは、背景の話です。知っておくと、対策の優先順位がつけやすくなります。

暖房の考え方が違います

日本で多い考え方 寒冷地や欧州で多い考え方
暖めるもの 人がいる部屋 家全体
器具 ストーブ、こたつ、エアコン 全館の暖房設備
使わない部屋 暖めない 一定の温度を保つ
結果 部屋ごとの温度差が大きい 家全体が同じくらいの温度

「使わない部屋は暖めない」というのは、合理的な考え方です。燃料も電気も節約できます。

ただ、その結果として家のなかに寒い場所が生まれます。そして、そこで事故が起きています。

断熱の水準

もうひとつが、家そのものの断熱です。

暖房を強くしても、熱が逃げていけば室温は上がりません。穴のあいたバケツに水を入れるようなものです。

とくに古い住宅では、窓が一枚ガラスであったり、壁の断熱が薄かったりします。そうした家では、暖房費をかけても18度に届かないことがあります。

だから「暖房を強くする」より先に「熱を逃がさない」ほうが、費用対効果は高くなります。カーテンや敷物を先に挙げたのは、そのためです。

寒い地域ほど、家は暖かい

これは、意外に思われるかもしれません。

冬の寒さが厳しい地域では、断熱をしっかりしないと生活できません。だから、家の作りがそうなっています。

逆に、冬でもそこまで寒くならない地域では、そこまでの断熱が求められてきませんでした。

その結果、外は暖かいのに、家の中は寒いという状態が生まれます。

この構造は、雪の話とまったく同じです。備えのある地域は条件が厳しくても耐え、備えのない地域は条件がゆるくても被害が出る。

災害のときは、この前提が崩れます

ここまでは、平常時の話です。停電すれば、話が変わります。

暖房が止まったら

18度どころか、外気温に近づいていきます。

断熱のよい家でも、熱を作るものがなければ、いずれ冷えます。時間の問題です。

やること 理由
部屋を1つに絞る 暖める空間を最小にする
カーテンを閉める 窓からの熱の流出を止める
床に敷物を重ねる 段ボールでも効果があります
重ね着と寝袋 部屋を暖めるより、体を包むほうが確実です
水道の水を細く出す 暖房が止まると、家の中の配管も凍ります

そして、屋内で換気せずに燃焼するものを使わないでください。

カセットコンロ、炭、屋外用のバーナー。一酸化炭素中毒の事故が実際に起きています。一酸化炭素は無色無臭で、気づけません。

冬の停電の備えは停電対策【冬編】にまとめました。

電気を使わない暖房があるか

これは、いま確認しておいてください。

石油ストーブでも、点火や送風に電気を使う機種があります。コンセントを抜いて動くかどうか、一度試してみてください。

ひとつもないなら、それが冬のいちばん大きな弱点です。

北海道から見ていて、思うこと

北海道の家は、断熱がしっかりしています。本州の家より、冬の室内は暖かいことが多いと思います。

それは、寒さが厳しいからそうならざるを得なかった、という面があります。

逆に言えば、寒さがそこまで厳しくない地域では、家がそこまで作られていないということです。

国土交通省の調査で居間の平均が16.7度というのは、全国の平均です。

そして興味深いことに、冬の寒さが厳しい地域ほど、室温が高いという傾向が知られています。家の作りが違うからです。

つまり「暖かい地域のほうが、家の中は寒い」ということが起こり得ます。

これは、雪の話と同じ構造だと思います。備えのある地域は、条件が厳しくても対応できる。備えのない地域は、条件がゆるくても被害が出る。

大雪警報の基準が市町村で4倍違うという話も、根は同じです。詳しくは大雪警報の基準は市町村で違うに書きました。

部屋別の、優先順位と具体策

すべてを一度にはできません。順番をつけます。

第1位|寝室

理由は3つあります。過ごす時間がいちばん長いこと、動かないので熱を作れないこと、そして一人になる時間だということ。

やること 費用の目安
温度計を置く 数百円。まずこれです
敷布団の下に断熱材や敷物を足す 手持ちのもので代用可。床からの冷えが最大です
カーテンを厚く、床まで届く長さに 買い替えるなら数千円
枕元に上着を置く 0円。夜中に起きたとき用
寝具を1枚足す 手持ちの毛布で十分です

第2位|脱衣所と浴室

調査で平均12.6度。裸になる場所としては、低すぎます。

ここは、入浴の前に暖めるという方法が使えます。浴室のふたを開けておくだけでも違います。

第3位|トイレ

滞在時間は短いのですが、夜中に使うことが問題になります。

ドアを少し開けておく、便座の保温を使う。できることは限られますが、廊下との温度差を減らすだけでも違います。

第4位|廊下

移動するだけの場所ですが、家全体の温度差を作っている場所でもあります。

ここを暖めるのは現実的ではないので、ドアを閉めて、暖かい部屋の熱を逃がさないという使い方をしてください。

今年の冬に、測ってほしいこと

この記事は「何度にしてください」と言う記事ではありません。「何度なのか知ってください」という記事です。

理由を、もう一度書きます。

知らない場合 知っている場合
寒いかどうかは感覚で判断する 18度という基準と比べられる
どこが弱点か分からない いちばん低い部屋が分かる
対策の効果が分からない カーテンを替えて何度上がったかが分かる
家族に説明できない 数字で伝えられる

3行目が、いちばん大きいと思います。

対策をしても、効果が見えなければ続きません。温度計があれば、やったことが数字で返ってきます。

よくある質問

Q. 18度は、暑すぎませんか?

18度は「最低ライン」です。快適な温度という意味ではありません。

実際、18度は肌寒く感じる方が多いと思います。それでもWHOは、健康を守る最低限としてこの数値を示しています。

そして高齢者・子ども・慢性疾患のある方には、それより暖かい室温が推奨されています。

Q. 何度に設定すればいいですか?

暖房の設定温度と、実際の室温は違います。

設定を20度にしても、部屋の隅や床の近くは、それより低いことがあります。だから、温度計で実際の室温を測ってください。

ご自身の体調に合わせた適切な室温については、持病のある方はとくに、医師にご相談ください。

Q. 寝るときも暖房をつけるべきですか?

これは、住宅の状況や器具の種類によって判断が変わります。

安全性の面では、就寝中の使用が想定されていない器具を使い続けるのは避けるべきです。取扱説明書をご確認ください。

暖房を切る場合は、寝具を厚くする、床からの冷えを断つ、部屋の断熱を上げるといった方法で補ってください。

Q. 温度計は、どんなものがいいですか?

数字が大きく表示されるものが実用的です。

とくに高齢の方に使っていただく場合、小さい文字では見てもらえません。

湿度も一緒に測れるものが多く売られています。冬は乾燥も問題になるので、両方分かると便利です。

Q. 断熱のリフォームは、したほうがいいですか?

効果は期待できますが、費用の判断は個々のご事情によります。

私はファイナンシャルプランナー等の資格を持っておらず、投資としての判断について助言はできません。

ただ、自治体によっては断熱改修への補助制度があります。制度の有無や条件は市町村ごとに異なりますので、窓口にご確認ください。

Q. 家全体を18度にするのは、現実的ではありません

そのとおりだと思います。すべての部屋を基準まで上げるのは、多くの家庭で難しいはずです。

ですから優先順位をつけてください。

私が優先すべきだと考えるのは、寝室です。過ごす時間がいちばん長く、動かず、一人になる時間だからです。

Q. 電気代が上がるのが心配です

その心配は、当然だと思います。この記事でも、費用のかからない方法を先に書きました。

お伝えできるのは、「熱を逃がさない」ほうが「熱を足す」より安いということです。

カーテンを閉める、床に敷物を敷く、すきまをふさぐ。これらは一度やれば、その冬ずっと効き続けます。暖房を強くするのは、そのあとで構いません。

なお、私はファイナンシャルプランナー等の資格を持っておらず、光熱費の節約についての専門的な助言はできません。

Q. 賃貸なので、断熱の工事はできません

工事をしなくてもできることは、いくつもあります。

この記事で挙げた対策のうち、カーテン、敷物、すきまテープ、断熱シートは、賃貸でも使えます。退去時にはがせるものを選んでください。

とくに窓の断熱シートと、床の敷物は、費用のわりに効果が大きい対策です。

ただし、のりや両面テープを使うものは、原状回復の条件を管理会社にご確認ください。

Q. 加湿は関係ありますか?

体感温度に影響します。同じ室温でも、乾燥していると寒く感じます。

ただし加湿しても、室温そのものが上がるわけではありません。低体温症を防ぐという観点では、まず室温です。

また、加湿しすぎると結露やカビの原因になります。製品の使用方法に従ってください。

Q. こたつがあれば大丈夫ですか?

こたつの中は暖かくても、部屋の温度は上がりません。

そしてこたつで寝てしまうと、体の一部だけが暖まった状態が続きます。上半身は冷えたままということが起こります。

低温やけどの危険もあります。こたつで眠らないようにしてください。

まとめ|今日やることは、ひとつです

要点 内容
WHOの勧告 冬の室内温度は最低18度以上(2018年)
高齢者・子どもなど それよりさらに暖かい室温を推奨
日本の実態 居間16.7度/脱衣所12.6度(国土交通省調査・2019年発表)
いちばんの盲点 寝室。長時間、動かず、一人になる
最初にやること 温度計を置いて、朝いちばんに見る
費用0円の対策 暗くなる前にカーテンを閉める/床に敷物
停電時 部屋を絞る・体を包む・換気せず燃焼させない

今日できることは、ひとつだけです。

温度計を、寝室に置いてください。

数百円です。そして、明日の朝いちばんに見てください。

18度を超えていれば、ひとまず基準は満たしています。下回っていれば、そこが弱点だと分かります。

分かってしまえば、対策は選べます。カーテンを替えるのか、敷物を足すのか、暖房を入れるのか。

けれど数字を知らないうちは、何も選べません。

屋内での凍死が屋外の3倍以上という統計を、私はしばらく忘れられないと思います。その多くは、温度計があれば気づけたのかもしれません。

それは言いすぎかもしれません。事情はそれぞれで、温度計ひとつで防げるほど単純ではないはずです。

ただ、数百円のもので、家のいちばん寒い場所が分かる。それだけは確かです。

この冬、一度だけ測ってみてください。そして、離れて暮らすご家族にも、ひとつ送ってみてください。

「今日は何度?」と聞けるようになります。それが、いちばん確実な見守りになると思っています。

【この記事について】
室温に関する勧告は、世界保健機関(WHO)が2018年に公表した「住まいと健康に関するガイドライン」によるものです。日本の住宅の室温は国土交通省のスマートウェルネス住宅等推進事業調査(2019年発表)で示された数値を引用しました。いずれも調査時点の平均値であり、住宅の構造・地域・世帯によって実際の室温は大きく異なります。この記事は、室温と健康に関する公的な基準を紹介し、ご自宅の状態を把握していただくことを目的としています。健康への影響、持病との関係、ご自身に適した室温についての判断は行っていません。体調に不安がある場合や、寒さで具合が悪くなった場合は、必ず医師にご相談ください。暖房器具の使用方法は、必ず製品の取扱説明書に従ってください。断熱改修や燃料費の助成制度は市町村ごとに異なります。

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9月1日は防災の日/8月30日〜9月5日は防災週間

1年に一度、備えを点検する日です。10分でできることから始めてください。

この記事を書いた人

北海道札幌市在住の防災・サバイバル情報発信者です。2018年の北海道胆振東部地震を機に「誰でも今日から始められる防災」をモットーに活動を開始し、実際に試した防災グッズのレビューや家族構成別の備え方をわかりやすくお伝えしています。実践的で信頼できる情報を提供できるよう、がんばっています!

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