冬の血圧は寒さで上がる|家庭135/85と、災害で薬が切れる問題

冬の血圧は寒さで上がる|家庭135/85と、災害で薬が切れる問題

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【この記事の要約】
血圧は、冬に上がります。寒さで血管が縮むためです。そこへ塩分の多い食事、運動不足、体重の増加が重なり、冬は一年で最も条件が厳しくなります。高血圧の基準は、診察室で140/90、家庭で135/85(いずれもmmHg)です。家庭のほうが低く設定されているのは、診察室では緊張で高く出やすいためです。そして防災の観点で、いちばんお伝えしたいことがあります。災害では、薬が切れます。被災して薬を持ち出せなかった、避難が長引いて処方が受けられない。降圧薬を急にやめると、血圧が跳ね上がることがあります。これは災害のたびに問題になってきました。対策は、お薬手帳のコピーと、数日分の予備を持ち出し袋に入れておくことです。そして避難所の食事は、塩分が多くなりがちです。寒さ・薬の中断・塩分・ストレス・睡眠不足。冬の災害では、この5つが同時に来ます。

冬になると、血圧が上がります。

これは、感覚の話ではありません。

私は札幌に住んでいて、防災士として活動しています。冬の記事を書くたびに、寒さと血圧の話に行き当たってきました。

ヒートショックも、脳卒中も、心筋梗塞も、入口は同じです。

目次

結論|冬は上がる。そして災害では、薬が切れます

先に、いちばん大事なことを書きます。

冬に血圧が上がるのは、寒さで血管が縮むからです。これは避けられません。
ですから対策は「温度差を減らす」ことと「測って知ること」になります。
そして災害への備えとしては、お薬手帳のコピーと数日分の予備の薬です。降圧薬を急にやめると、血圧が跳ね上がることがあります。

持ち出し袋に薬を入れている方は、多くありません。

ですが災害時、いちばん困るのはここです。

基準を、確認しておきます

測る場所 高血圧とされる値 ひとこと
診察室 140/90 mmHg 以上 病院で測ったとき
家庭 135/85 mmHg 以上 基準が5低く設定されています

家庭の基準が低いのには、理由があります。

診察室では、緊張で高く出やすいためです。いわゆる「白衣高血圧」と呼ばれるものです。

逆に、病院では正常なのに家庭では高いという場合もあります。だからこそ、家庭で測る意味があります。

ただし、これは診断の基準であって、治療の目標値とは別です。目標値は年齢や持病によって変わります。ご自身の目標値は、主治医にご確認ください。

なぜ冬に上がるのか

①寒さで、血管が縮みます

これが主な理由です。

身体は、体の中心の温度を保とうとします。そのために、手足の血管を細くします。

細い管に同じ量を流すには、強い圧力が必要です。結果として、血圧が上がります。

②塩分が増えます

冬は、味の濃いものが増えます。

冬に増えるもの ひとこと
鍋物 汁を飲むと、塩分が多くなります
ラーメン・うどん 汁を残すかどうかで大きく変わります
味噌汁・スープ 温まるので回数が増えます
漬物・干物 保存のために塩を使います
おでん・煮物 煮汁が染みています

温かいものを食べたくなる季節と、塩分が多い料理は重なります。

③運動が減ります

寒くて外に出ない。雪で歩けない。日が短くて散歩に出ない。

身体を動かす機会が、まとめて減ります。

④体重が増えます

食べる量が増え、動く量が減る。冬に体重が増える方は多いはずです。

そして体重の増加は、血圧に影響します。

冬は、脳卒中と心筋梗塞が増える季節です

血圧が上がるだけでは終わりません。

冬には、次の条件が同時にそろいます。

条件 影響
血圧が上がる 血管への負担が増えます
脱水になりやすい 血液が濃くなり、固まりやすくなります
温度差が大きい 血圧が急激に変動します
運動不足 血のめぐりが悪くなります
入浴で血圧が大きく動く 脱衣所と湯船の温度差

冬の脱水については冬のかくれ脱水は尿の色で気づく|不感蒸泄900mLと、トイレを我慢する危険に書きました。

入浴時の血圧変動はヒートショックは脱衣所で始まる|浴槽の死者5,824人と39〜41度の上限に整理しています。

家庭で測る

知ることが、最初の対策です。

いつ測るか

タイミング 条件
朝 起きて1時間以内。トイレを済ませてから
朝 朝食の前。薬を飲む前
夜 寝る前
共通 座って1〜2分、落ち着いてから測る

「薬を飲む前」が抜けやすい条件です。

飲んだあとに測ると、薬の効果が入った値になります。それでは、薬なしの状態が分かりません。

測り方で気をつけること

  • カフ(腕帯)は、心臓と同じ高さに
  • 背もたれのある椅子に座り、足を組まない
  • 測る前にトイレを済ませる
  • 直前の運動、入浴、喫煙、カフェインを避ける
  • 寒い部屋で測らない
  • 毎日同じ条件で測る

「寒い部屋で測らない」を入れました。

冬の朝、暖房を入れる前に測ると、当然高く出ます。条件が毎日変わると、比べられません。

1回の値で判断しない

血圧は、一日のなかでも動きます。

一度高い値が出ただけで、慌てないでください。大事なのは、続けて記録することです。

記録があれば、受診のときに医師が判断しやすくなります。

温度差が生まれる場面

場面 対策
脱衣所・浴室 入浴前に暖める。湯温は39〜41度
夜中のトイレ トイレに小さな暖房を置く
朝の起床時 寝室を先に暖める。起きてすぐ動かない
玄関・ゴミ出し 薄着で外へ出ない
雪かき 寒さと運動が同時に来ます。準備運動をする
屋外での作業 こまめに屋内へ戻る

雪かきは、とくに条件が悪くなります。

寒い場所で、いきなり全身を使う運動をするからです。そして多くの方が、朝いちばんにやります。

朝は、もともと血圧が上がりやすい時間帯です。準備運動をしてから出る、短時間で区切る。これだけでも違います。

災害では、薬が切れます

ここからが、この記事のいちばん重要な部分です。

何が起きるのか

状況 起きること
薬を持ち出せなかった その日から飲めなくなります
かかりつけ医が被災した 処方を受けられません
薬局が閉まっている 手に入りません
何の薬か説明できない これがいちばん多い問題です
避難が長引く 数日分では足りなくなります

「何の薬か説明できない」を、強調しておきます。

災害時には、医療チームが避難所に入ることがあります。ですが「白くて丸い薬」では、処方できません。

薬の名前が分かれば、代わりの薬を出してもらえる可能性があります。

降圧薬を急にやめると

血圧が跳ね上がることがあります。

薬の種類によっては、中断によって急激に上がるとされています。

これは、自己判断でやめてよいものではありません。災害時であっても、可能なかぎり続けるべきものです。

入手が難しい場合は、避難所の医療班や保健師に相談してください。制度として支援が用意されています。

災害では、血圧そのものも上がります

薬の問題だけではありません。

要因 内容
強いストレス 被災そのものと、先の見えない不安
睡眠不足 避難所では眠れません
塩分の多い食事 配給はパン、おにぎり、カップ麺が中心になります
寒さ 冬の避難所は冷えます
運動不足 狭い場所で動きません
飲酒が増えることがある 血圧に影響します

冬の災害では、これが全部そろいます。

寒くて、眠れなくて、塩分の多いものを食べて、薬が切れる。

備えとして、何を用意するか

備え 内容
お薬手帳のコピー 持ち出し袋へ。写真を撮ってスマホにも
薬の予備(数日分) 受診のたびに入れ替えます
血圧手帳・記録 ふだんの値が分かります
かかりつけ医の名前と連絡先 紙に書いておく
血圧計 避難が長引くとき役立ちます
減塩の非常食 選択肢として持っておく

お薬手帳の写真を、スマホに撮っておいてください。

今日、1分でできます。紙のコピーと両方あれば、どちらかは残ります。

そして薬の予備は、受診のたびに入れ替えてください。入れっぱなしでは期限が切れます。

ただし予備を作れるかどうかは、処方の状況によります。「災害用に少し多めに出してもらえないか」を、主治医にご相談ください。

避難所の食事と、塩分

避難所の食事は、塩分が多くなりがちです。

保存がきくもの、調理が要らないものが中心になるためです。

できること ひとこと
汁を残す カップ麺の汁を飲まないだけで、大きく変わります
漬物を控える 少量でも塩分が多い
水分をとる ただしトイレの確保が前提です
野菜や果物があれば食べる 配給に出ることがあります
持病を申し出る 配慮された食事が用意される場合があります

「持病を申し出る」を勧めます。

遠慮される方が多いのですが、避難所では申し出た人にしか配慮できません。

相談の目安

ここは、はっきり書きます。

私は医師ではありません。血圧の目標値も、薬の要否も判断できません。

そのうえで、一般に言われていることを書きます。

状況 考え方
家庭で135/85以上が続く 受診をご検討ください
冬だけ明らかに高い 季節の影響を医師に伝えてください
薬が切れそう 切れる前に相談してください
薬を飲み忘れた 自己判断で倍量にしない。主治医に確認を
強い頭痛、しびれ、言葉が出ない すぐに救急へ。迷わないでください

最後の行は、脳卒中を疑う症状です。

顔の片側が下がる、片腕が上がらない、言葉が出にくい。この3つのどれかがあれば、すぐに119番してください。

塩分を、どこで減らすか

減塩は「全部を薄味にする」と続きません。

効果の大きいところから、順に減らすのが現実的です。

優先 やること 効果
1 麺類の汁を残す ここがいちばん大きい
2 鍋の締めの雑炊を控える 煮詰まった汁が入ります
3 漬物の量を減らす 少量でも塩分が多い
4 かける調味料をやめ、つけて食べる 使う量が減ります
5 だしや香りで補う 薄味でも物足りなさが減ります
6 加工食品を見直す ハム、練り物、干物など

「汁を残す」だけで、かなり変わります。

そして冬は、汁物の回数が増える季節です。ここを意識するだけで、他を我慢しなくて済みます。

災害時は、この順番が逆になります

ただし、避難生活では話が変わります。

配給されるものを選べません。そして食べないという選択肢は、体力の面で取れません。

できるのは「汁を残す」「水分をとる」くらいです。

その代わり、備蓄の段階で減塩のものを混ぜておくことができます。全部でなくて構いません。数食分あれば、選べる日が作れます。

冬に、身体を動かす方法

運動不足も、血圧に影響します。

ですが雪国の冬に「散歩しましょう」と言われても、難しいものです。

方法 ひとこと
雪かきを運動として数える ただし無理は禁物です
屋内で足踏みをする テレビを見ながらでも
階段を使う 屋内で完結します
買い物で歩く 屋内の商業施設なら安全です
ストレッチをする 血のめぐりが良くなります
座ったまま足首を回す 何もできない日でもできます

「屋内の商業施設を歩く」は、雪国では実際に使われている方法です。

転倒の心配がなく、暖かく、明るい。冬季うつの対策にもなります。

ただし、急に始めないでください

寒い場所で、いきなり強い運動をするのは危険です。

とくに雪かきは、その典型です。

準備運動をする。暖かい格好で出る。そして短時間で区切る。

お薬手帳の備え方

ここは具体的に書いておきます。

方法 やり方
スマホで撮る 最新のページを撮影。今日1分でできます
紙のコピー 持ち出し袋へ。停電でも読めます
家族にも共有 離れて暮らす家族に送っておく
電子版を使う アプリの手帳もあります
更新する 処方が変わったら撮り直す

スマホと紙、両方をお勧めします。

スマホは電池が切れます。紙は濡れます。どちらか片方では、失う可能性があります。

持ち出し袋に入れておくもの

  • お薬手帳のコピー
  • 薬の予備(数日分)
  • かかりつけ医の名前と連絡先を書いた紙
  • 保険証のコピー
  • 血圧の記録(直近の値)

保険証のコピーも入れておいてください。災害時は原本がなくても受診できる措置がとられることがありますが、あるほうが確実です。

離れて暮らすご家族がいる方へ

高齢のご家族が、遠方にお住まいの場合です。

やっておくこと 理由
飲んでいる薬を把握しておく 災害時に、代わりに説明できます
かかりつけ医を聞いておく 連絡先も控える
お薬手帳の写真を送ってもらう 離れていても持てます
持ち出し袋に薬があるか確認 本人任せにしない

「薬を把握しておく」は、平時にはやりにくい話です。

ですが災害時、本人が説明できない状態になることもあります。そのとき、家族が知っているかどうかが分かれ目になります。

年末年始に帰省されるなら、そのときに写真を撮らせてもらってください。

まず、家に血圧計はありますか

この記事の対策は、ほとんどが「測る」ことから始まります。

ですが、家に血圧計がないという方も多いはずです。

数千円から手に入ります。そして一度買えば、何年も使えます。

選ぶときの目安を書いておきます。

条件 理由
上腕で測るタイプ 手首式より値が安定しやすいとされています
電池でも動く 停電しても使えます
記録が残る 書き写す手間が減ります
カフが腕に合う 太さが合わないと正しく測れません
持ち運べる大きさ 避難時に持ち出せます

「電池でも動く」を、防災の観点から挙げました。

停電中こそ、血圧が上がりやすい状況です。そのときに測れないのでは、意味が半減します。

お酒と、たばこについて

冬は、家で飲む機会が増えます。

そして「寒いから温まるために飲む」という方が多くいます。

血圧への影響
飲んだ直後 血管がひらき、一時的に下がります
その後 上がります。習慣的な飲酒は血圧を上げるとされています
体温 温かく感じますが、実際は熱を逃がしています
入浴と組み合わせる 危険です。飲酒後の入浴は避けてください

「飲酒後の入浴」だけは、はっきり避けてください。

血圧が下がりやすい状態で、さらに下がる場面に入ることになります。

そして喫煙は、吸うたびに血圧を上げるとされています。寒い屋外で吸えば、寒さの影響も加わります。

どちらも、量や可否については医師にご相談ください。ここでお伝えできるのは、一般的な傾向までです。

記録の残し方

測るだけでは、もったいないところがあります。

記録があると、受診のときに話が変わります。

方法 ひとこと
血圧手帳に書く 薬局でもらえることがあります
スマホのアプリに入れる グラフで見られます
血圧計の記憶機能を使う 書かなくても残ります
ノートに書く 形式は問いません

大事なのは、続けられる方法を選ぶことです。

そして高い値だけを書かないでください。低い日も含めて記録するから、全体の傾向が分かります。

災害に備えるなら、紙も残す

アプリだけに入れていると、スマホの電池が切れた時点で見られなくなります。

直近の値だけでも、紙に書いて持ち出し袋に入れておいてください。

避難先で医療者に見せるとき、これがあるかないかで説明の手間が変わります。

家のなかで、どこを暖めるか

全部の部屋を暖めるのは、費用の面で現実的ではありません。

優先順位をつけてください。

優先 場所 理由
1 脱衣所 裸になる場所。温度差が最大です
2 トイレ 夜中に行きます。家で最も冷える場所のひとつ
3 寝室 起床時の負荷を減らします
4 廊下 移動のたびに温度差を受けます
5 洗面所 朝、冷たい水を使います

脱衣所とトイレが上位に来ます。

どちらも長くいる場所ではありません。ですが、温度差がいちばん大きい場所です。

そしてこの2か所は、いずれも血圧が急変する場面と結びついています。入浴と、夜中の起床です。

窓を先に手当てする

暖房を入れても、窓から熱が逃げれば効きません。

断熱シートや厚手のカーテンで、まず窓をふさいでください。

脱衣所やトイレの窓は小さいので、手当てもしやすい場所です。費用も知れています。

「災害高血圧」という言葉があります

被災後に血圧が上がる現象は、以前から知られています。

大きな地震のあと、その地域で血圧が高くなることが報告されてきました。

原因はひとつではありません。

要因 内容
ストレス 被災の衝撃、余震への不安、生活の見通しが立たない
睡眠の乱れ 避難所では眠れません
塩分 配給食は塩分が多くなりがちです
薬の中断 もっとも直接的な要因です
運動不足 狭い場所で動けません
寒さ 冬の災害では、これが加わります

そして血圧が上がった状態が続くと、脳卒中や心筋梗塞が増えます。

災害による死は、建物の倒壊や津波だけではありません。そのあとの生活のなかでも起こります。

災害関連死については熊本地震と災害関連死|直接死50人に対し関連死228人に書きました。直接の被害より、そのあとの死が多かった事例です。

だから、備えの意味があります

薬を持ち出す。お薬手帳を持つ。血圧計を入れておく。

これらは地味な備えです。ライトや水のように、目に見えて役立つ実感がありません。

ですが持病のある方にとっては、いちばん効く備えです。

朝が、いちばん高くなります

血圧は、一日のなかで動きます。

そして朝、起きたあとに上がることが知られています。

時間帯 状態
就寝中 もっとも低くなります
起床後 活動に備えて上がっていきます
冬の朝 そこへ寒さが重なります
日中 活動に応じて変動します
夜 下がっていきます

冬の朝は、条件が最も悪くなります。

もともと上がる時間帯に、寒い部屋で布団から出るという負荷が加わります。

朝にやらないほうがいいこと

  • 暖房を入れずに、いきなり布団から出る
  • 薄着でゴミ出しに行く
  • 起きてすぐ雪かきを始める
  • 寒い部屋で急に動く

タイマーで、起きる前に暖房が入るようにしてください。

これは費用がかかりますが、効果ははっきりしています。寝室が暖まっていれば、起床時の負荷が減ります。

雪かきが、なぜ危ないのか

この記事で、もう一度書いておきたい話です。

雪かきは、いくつもの悪条件が重なる作業です。

条件 内容
寒い 血管が縮み、血圧が上がります
朝である もともと血圧が上がる時間帯
急に始める 準備運動なしの全身運動
力む 重い雪を持ち上げると、いきむことになります
汗をかく 脱水にもつながります
一人でやる 倒れても気づかれません

「力む」を見落とさないでください。

重いものを持ち上げるとき、人は息を止めていきみます。そのとき血圧は一時的に大きく上がります。

対策は簡単です。息を止めない。一度に大量の雪をすくわない。

そして湿った雪は重くなります。同じ量でも、日によって負荷が変わります。

災害のあと、血圧はいつ戻るのか

被災後に上がった血圧は、すぐには戻らないことがあります。

時期 状況
発災直後 強いストレスで大きく上がります
避難生活中 睡眠不足、塩分、運動不足が続きます
仮設住宅へ移ったあと 環境が変わり、生活の再建も始まります
年単位 生活が落ち着くまで、影響が残ることがあります

「落ち着いたから大丈夫」とは限りません。

避難所を出たあとも、受診を続けてください。そして血圧を測る習慣を、早めに取り戻してください。

血圧計を持ち出し袋に入れておくのは、そのためでもあります。

停電したとき、血圧はどうなるか

冬の停電は、血圧にとって最悪の条件です。

起きること 血圧への影響
暖房が止まる 室温が下がり、血管が縮みます
家全体が冷える 逃げ場がありません
不安と情報不足 ストレスが加わります
眠りが浅くなる 寒さと不安で
電気式の血圧計が使えない 電池式なら使えます
食事が偏る 調理できず、保存食中心に

「電池式の血圧計」を挙げました。

コンセントから電源をとるタイプは、停電すると使えません。電池でも動くものを選んでおくと、こうした場面で役立ちます。

停電中に、まずやること

  • 1つの部屋に集まって、そこだけ暖める
  • 厚着をする。とくに首・頭・手・足
  • 薬を飲む時間を、いつもどおりに保つ
  • 温かい飲み物をとる
  • 薬が残り少なければ、早めに相談する

「薬を飲む時間を保つ」は、忘れられがちです。

生活が乱れると、服薬の時間も乱れます。スマホのアラームを設定しておいてください。

冬の停電への備えは停電対策【冬編】低体温症を防ぐ準備・グッズ・行動マニュアルにまとめています。

私が、この記事を書いた理由

血圧の話は、防災のサイトではあまり書かれません。

ですが避難所を扱った記事を書くたびに、同じことに行き当たりました。

持病のある方が、いちばん困る。そして困りごとの中心は、たいてい薬です。

非常持ち出し袋の中身のリストを見ると、水、食料、ライト、ラジオと並びます。薬が入っていないリストも珍しくありません。

ですがライトがなくても、数日は生きられます。薬が切れると、そうはいきません。

そして冬は、血圧にとっていちばん厳しい季節です。寒さと災害が重なったとき、この記事を思い出していただければと思います。

今日できること

やること 時間
お薬手帳をスマホで撮る 1分
持ち出し袋に薬が入っているか見る 3分
次の受診で、予備の相談をする —
血圧計の電池を確認する 1分

いちばん上から始めてください。

よくある質問

Q. 冬だけ血圧が高いのですが、心配ですか?

季節による変動は、多くの方に見られます。

ただし「冬だから仕方ない」で済ませてよいかは、医師の判断です。

家庭で測った記録を持って、受診してください。季節差があること自体が、伝える価値のある情報です。

Q. 血圧計は、どんなものがいいですか?

上腕で測るタイプが一般に勧められています。

手首式は手軽ですが、心臓と同じ高さに保つのが難しく、値が安定しにくいとされています。

災害時の備えとしては、電池で動くものが役立ちます。停電しても使えます。

Q. 雪かきの前に、気をつけることはありますか?

いくつかあります。

  • いきなり始めない。準備運動をする
  • 暖かい格好で出て、暑くなったら1枚脱ぐ
  • 短時間で区切る
  • 朝いちばんを避けられるなら避ける
  • 一人でやらない

雪下ろしの事故は雪下ろしで死なないための7つの鉄則|死者の9割が65歳以上、一人で屋根に登らないに整理しました。

Q. 避難所で薬が手に入りますか?

災害の規模と時期によります。

医療チームや薬剤師が入り、処方を受けられる場合があります。お薬手帳があれば、話が早く進みます。

まずは避難所の運営本部や保健師に申し出てください。黙っていると、把握されません。

Q. 減塩の非常食はありますか?

減塩をうたった保存食は市販されています。

すべてを減塩にする必要はありませんが、選択肢として少し持っておくと、避難が長引いたときに助かります。

ただし持病の内容によって必要な配慮は違います。制限を受けている方は、主治医や管理栄養士にご相談ください。

Q. 血圧が高いと、自覚症状はありますか?

多くの場合、症状はありません。

だから「静かな病気」と呼ばれることがあります。気づかないまま、血管に負担がかかり続けます。

頭痛や肩こりを高血圧のせいだと考える方がいますが、必ずしも対応しません。症状の有無ではなく、測った数字で判断してください。

Q. 冬だけ薬を増やしてもいいですか?

自己判断では絶対にしないでください。

季節に応じて調整することはありますが、それを決めるのは医師です。

家庭で測った記録を持参して、相談してください。「冬になると高くなる」という情報は、医師にとって有用です。

Q. 数日分の予備の薬は、どうやって作りますか?

受診の際に相談してください。

「災害時に備えて少し多めに」という相談は、可能な場合があります。ただし処方できる日数には制度上の決まりがあり、必ず応じてもらえるとは限りません。

難しい場合でも、お薬手帳のコピーだけは必ず用意してください。こちらは今日できます。

Q. 避難所で血圧を測れますか?

保健師や医療班が巡回している場合、測ってもらえることがあります。

持病があることを申し出ておくと、声をかけてもらいやすくなります。

自分の血圧計を持ち出せていれば、それがいちばん確実です。小型で電池式のものなら、持ち出し袋にも入ります。

Q. 冬に体重が増えました。血圧と関係ありますか?

体重の増加は、血圧に影響するとされています。

冬は食べる量が増え、動く量が減ります。その両方が重なるため、増えやすい季節です。

春までに戻れば大きな問題にならないこともありますが、毎年少しずつ増えていく場合は、受診の際に相談してください。

まとめ|冬は上がる。そして薬を切らさない

要点 内容
基準 診察室140/90、家庭135/85(mmHg)
冬に上がる理由 寒さで血管が縮む。塩分・運動不足・体重増が重なる
測り方 朝は起床1時間以内・排尿後・朝食前・服薬前
温度差の場面 脱衣所、夜中のトイレ、玄関、雪かき
災害時の最大の問題 薬が切れること。急な中断で跳ね上がることがあります
今日できる備え お薬手帳をスマホで撮る。1分で終わります
避難所 持病を申し出る。汁を残す
すぐ救急へ 顔のゆがみ、片腕が上がらない、言葉が出ない

この記事で、ひとつだけ持ち帰っていただくなら、お薬手帳の写真です。

1分で終わります。そして災害のとき、いちばん効きます。

【出典】
日本高血圧学会の診断基準(診察室140/90 mmHg、家庭135/85 mmHg)
医療機関等の公開情報(家庭血圧の測定条件、季節による変動)
本記事は一般的な情報の提供を目的としています。血圧の目標値、薬の要否や増減、中断の可否は、必ず主治医の指示に従ってください。自己判断で服薬をやめないでください。

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9月1日は防災の日/8月30日〜9月5日は防災週間

1年に一度、備えを点検する日です。10分でできることから始めてください。

この記事を書いた人

北海道札幌市在住の防災・サバイバル情報発信者です。2018年の北海道胆振東部地震を機に「誰でも今日から始められる防災」をモットーに活動を開始し、実際に試した防災グッズのレビューや家族構成別の備え方をわかりやすくお伝えしています。実践的で信頼できる情報を提供できるよう、がんばっています!

目次