しもやけと凍傷は別物|こすらず37〜39度のぬるま湯で15〜30分

しもやけと凍傷は別物|こすらず37〜39度のぬるま湯で15〜30分

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【この記事の要約】
しもやけと凍傷は、名前が似ていますが別のものです。しもやけは血のめぐりが悪くなって起きる炎症で、気温5度前後、氷点下でなくても起こります。いっぽう凍傷は、組織そのものが凍る物理的な損傷です。目安としてマイナス7度以下の冷気に3時間以上さらされると起こるとされています。この記事でいちばんお伝えしたいのは、やってはいけない処置です。こすってはいけません。熱い湯もいけません。たき火やストーブで直接あぶるのも、電気毛布もいけません。正しい方法は、37〜39度のぬるま湯につけて15〜30分かけて温めることです。「介助する人がさわって気持ちよいと感じる温度」が目安になります。そしてもう一つ。一度温めたあとに再び凍らせるのが、いちばん組織を壊します。救助まで時間がかかる状況では、温めない判断が正しいこともあります。災害では、雪かき・車の立ち往生・停電した家のなかで起こります。

雪国に住んでいると、しもやけは身近です。

私も子どものころ、毎年手をかゆくしていました。

ですが凍傷となると、別の話になります。

私は札幌に住んでいて、防災士として活動しています。そして冬の災害の記事を書くたびに、この二つが混同されているのを見てきました。

混同したまま処置をすると、悪化させます。

目次

結論|こすらない、熱い湯を使わない、あぶらない

先に、いちばん大事なことを書きます。

凍傷を疑ったら、やってはいけないことが先です。
こすらない。雪でこするのは論外です。熱い湯を使わない。たき火やストーブの前であぶらない。電気毛布や電気座布団を使わない。水ぶくれをつぶさない。
正しいのは37〜39度のぬるま湯に、15〜30分かけてつけることです。

「冷えたから温める」という発想が、そのまま事故になります。

凍った組織は、感覚がありません。熱さを感じないまま、やけどを重ねてしまいます。

しもやけと凍傷は、何が違うのか

しもやけ(凍瘡) 凍傷
正体 血のめぐりが悪くなって起きる炎症 組織が凍る物理的な破壊
起きる温度 5度前後。氷点下でなくても起こります 目安はマイナス7度以下
時間 くり返し冷やされることで進みます 3時間以上さらされるのが目安
症状 赤く腫れる、かゆい、痛がゆい 感覚がなくなる、白くなる、水ぶくれ
治り方 暖かくなれば治ることが多い 重いと組織が壊死し、手術が必要になります
受診 くり返す場合は皮膚科へ 疑ったら、できるだけ早く医療機関へ

いちばん大事な違いは、感覚があるかどうかです。

しもやけは、かゆい。痛がゆい。つまり感じています。

凍傷は、感覚がなくなります。「痛くないから軽い」ではありません。逆です。

しもやけは、氷点下でなくても起こります

ここが誤解されます。

しもやけが起きやすいのは、5度前後です。

そして、1日の気温差が10度以上あるときに増えるとされています。

ですから真冬より、初冬と早春に多くなります。「そこまで寒くない時期」に出るのは、このためです。

濡れた手袋、汗をかいた靴下。水分があると、さらに起きやすくなります。

凍傷は、組織が凍っています

凍傷では、細胞のなかや周りの水分が凍ります。

氷の結晶が、細胞を物理的に壊します。

さらに、血管のなかでも問題が起きます。血が固まって流れなくなり、その先の組織へ酸素が届かなくなります。

つまり凍った瞬間の損傷と、血流が止まったことによる損傷が、重なります。

凍傷の深さ

深さによって、見え方が変わります。

深さ 見た目 ひとこと
浅い 感覚のない白い斑点 まだ表面だけの段階です
やや深い 水ぶくれと腫れ 真皮まで達しています
より深い 青白く、冷たい。水ぶくれが出る 水ぶくれの中身が透明なら、血が混じるより軽い
最も重い 黒く変色、または灰色で軟らかい 組織が壊死した状態です

「水ぶくれの中身の色」は、覚えておく価値があります。

透明であれば、血が混じっている場合より損傷は軽いとされています。

ただしこれは深さの見当をつけるためのもので、診断ではありません。水ぶくれが出ている時点で、医療機関を受診してください。

最初の見た目では、深さは分かりません

ここも重要です。

凍傷は、温めたあとに本当の深さが分かります。

凍っているあいだは、どこも白く硬く見えます。血流が戻ってから、生きている組織と死んだ組織の差が出てきます。

ですから現場で「軽い」と判断しないでください。

どこがなりやすいか

部位 理由
手の指・足の指 心臓から遠く、血流が最後に回ります
耳 薄く、露出しており、帽子で隠れないことが多い
鼻・頬 常に外気にさらされます
あご マフラーからはみ出しやすい部分です

耳がいちばん忘れられます。

ニット帽をかぶっていても、耳が出ていることがあります。耳まで覆う形か、耳あてが要ります。

そして本人は気づきません。感覚がなくなるからです。周りの人が、白くなっていないか見てください。

やってはいけないこと

ここが、この記事のいちばん重要な部分です。

やってはいけないこと なぜ
こする(雪でこするなど) 凍った組織は壊れやすく、摩擦で損傷が広がります
たき火・ストーブの前であぶる 感覚がないため、やけどを重ねます
電気毛布・電気座布団を使う 同じ理由です。温度の調節ができません
熱い湯につける 急激すぎる加温は組織を痛めます
水ぶくれをつぶす 感染のもとになります
締めつける 血流をさらに悪くします
温めたあとに、また冷やす 再び凍らせるのが、最も組織を壊します

「雪でこする」は、いまでも言い伝えとして残っています。

これは、してはいけません。凍った組織に摩擦を加える行為そのものです。

「再凍結させない」が、判断を左右します

ここは、覚えて帰っていただきたい点です。

一度温めた組織が、もう一度凍る。これが最も深い損傷を作ります。
ですから「温めたあと、また寒い場所へ戻る」状況では、あえて温めないという判断があります。

山で遭難した人が、足を温めずに自力で歩いて下山するという話があります。あれは、凍ったまま歩いたほうが、温めて歩けなくなるより良いという判断です。

災害時に置き換えると、こうなります。

暖かい場所へ移動できる見込みがあるなら、温める。その見込みがなく、再び冷える環境に戻るなら、温めずに保護だけして搬送を待つ。

正しい応急処置

順 やること
1 暖かい場所へ移す。濡れた衣類・手袋・靴下を外す
2 締めつけるもの(指輪・時計・きつい靴)を外す
3 37〜39度のぬるま湯につける。介助者がさわって気持ちよい温度が目安
4 15〜30分かける。完全に温まるまで待つ
5 清潔な布でそっと包む。指の間には布をはさむ
6 できるだけ早く医療機関へ

温度計がなければ、「自分の手を入れて気持ちよい温度」でかまいません。

これは覚えやすく、間違いにくい目安です。熱いと感じたら、その時点で高すぎます。

温まってくると、強い痛みが出ます

これは知っておいてください。

血流が戻る過程で、激しい痛みが出ることがあります。

痛みに驚いて、途中でやめてしまう方がいます。ですが中途半端に終えるのが、いちばんよくありません。

痛みは、感覚が戻っている証拠でもあります。

指輪と靴を、早く外してください

温まると、腫れます。

腫れてからでは、指輪は外れません。そして指輪が血流を止めます。

足の場合は、きつい靴やスキーブーツが同じことをします。順番として、締めつけを外すのが先です。

災害では、こういう場面で起きます

場面 なぜ危ないか
雪かき・雪下ろし 手袋が濡れます。濡れた手は急速に冷えます
車の立ち往生 燃料が尽きれば暖房が止まります。長時間動けません
停電した家のなか 暖房が止まり、屋内でも危険な温度になります
避難所の床 床は冷たく、足元から体温を奪われます
屋外での復旧作業 長時間、手先を使う作業が続きます
徒歩での避難 濡れた靴のまま歩き続けることになります

「濡れる」が共通しています。

水は空気より、はるかに速く熱を奪います。濡れた手袋は、していないより悪い場合すらあります。

雪かきをするときは、替えの手袋を必ず用意してください。濡れたら替える。これだけで大きく違います。

車の立ち往生への備えは大雪で危ないのは雪より「動けなくなること」|立ち往生を防ぐ車内の3点にまとめました。

予防|濡らさない、締めつけない、動かす

対策 内容
濡らさない 防水の手袋。濡れたらすぐ替える。替えを持つ
締めつけない きつい靴、きつい手袋は血流を止めます
動かす 指を握って開く。足の指を動かす。血を回します
重ねる 薄手を何枚か重ねるほうが、厚手1枚より暖かい
耳・鼻・頬を覆う 忘れられる部位です
食べる 熱を作るには燃料が要ります
アルコールを避ける 血管がひらいて、熱が逃げます
禁煙する 喫煙は末梢の血流を悪くするとされています

「締めつけない」は見落とされます。

暖かくしようとして、靴下を何枚も重ねる方がいます。靴がきつくなれば逆効果です。足の血流が止まります。

厚い靴下を履くなら、それに合う大きさの靴が要ります。

お酒で温まる、は間違いです

寒いときに酒を飲むと、身体が温かく感じます。

あれは、皮膚の血管がひらいて、体の中心の熱が表面へ出てきているだけです。

実際には、熱を捨てています。そして判断力も落ちます。

吹雪のなかや、車の立ち往生では、命に関わります。

受診の目安

ここは慎重に書きます。

私は医師ではありませんので、診断や治療の判断はできません。

そのうえで、一般に言われていることを書きます。

状態 考え方
感覚がない、白くなっている 凍傷が疑われます。受診してください
水ぶくれができた 受診してください
温めても感覚が戻らない 受診してください
色が黒や灰色に変わった すぐに受診してください
しもやけがくり返す 皮膚科へ。他の病気が隠れていることもあります
糖尿病など持病がある 血流の問題が重なります。早めに相談してください

「温めても感覚が戻らない」は、はっきりした受診の合図です。

迷ったら受診してください。凍傷は、初期の見た目で深さが判断できません。

いちばん怖いのは、本人が気づかないことです

凍傷の厄介なところを、もう一度書きます。

進むほど、感覚がなくなります。

痛ければ、人は手を止めます。暖かい場所へ戻ります。ですが感覚がなくなると、その合図が来ません。

雪かきを続けてしまう。作業をやめない。そして家に戻ってから、指が白いことに気づきます。

だから、周りの人が見ます

見る場所 何を見るか
指先 白くなっていないか。硬くなっていないか
耳 本人からは見えません。周りが見てください
鼻の頭・頬 白い斑点が出ていないか
くちびる 色が変わっていないか

耳は、本人には絶対に見えません。

作業を一緒にしている人が、声をかけるしかありません。「耳、白くなってるよ」の一言です。

一人で作業しないという原則

雪国では、除雪も雪下ろしも一人でやりがちです。

ですが、凍傷も転落も、一人だと発見が遅れます。

誰かに見てもらう。あるいは、時間を決めて連絡を入れる。この程度でも違います。

高齢のご家族が一人で作業される場合は、作業前と作業後に電話をする約束にしておくと、異変に早く気づけます。

しもやけの手当て

凍傷の話が続いたので、しもやけのほうも書いておきます。

こちらは、命に関わるものではありません。ただ、かゆみは相当につらいものです。

やること 内容
濡れをとる まず、濡れた手袋や靴下を外して乾かします
ゆっくり温める ぬるま湯につけて、じんわり血を回します
やさしく動かす 指を握って開く。マッサージは強くしない
保湿する 乾燥は悪化のもとです
かきむしらない 傷から感染することがあります
くり返すなら受診 皮膚科で塗り薬が出ることがあります

「濡れをとる」が最初です。

しもやけは、冷やされることをくり返して起きます。濡れたままだと、その状態が続きます。

しもやけをくり返す方へ

毎年なる、という方がいます。

共通しているのは、血のめぐりの条件です。

見直す点 ひとこと
靴がきつくないか 厚い靴下を履くなら、大きめの靴が要ります
汗で蒸れていないか 汗も「濡れ」です。替えの靴下を持ちます
手袋が薄すぎないか 作業用の薄手は、長時間には向きません
1日の気温差が大きい時期か 初冬と早春に多くなります
喫煙していないか 末梢の血流に影響するとされています

そして、くり返す場合は一度、皮膚科にご相談ください。

別の病気が背景にあることもあります。ここは私が判断できる領域ではありません。

雪かきの前後で、確認すること

雪かきは、凍傷が起きるいちばん身近な場面です。

いつ やること
出る前 替えの手袋を用意する。耳まで覆う帽子をかぶる
出る前 軽く身体を動かしておく
作業中 手袋が濡れたら替える。我慢しない
作業中 30分に一度は屋内に戻る
作業後 手・耳・鼻の色を見る。白くなっていないか
作業後 濡れた衣類をすぐ脱ぐ

「30分に一度戻る」は、面倒に感じられると思います。

ですが雪かきは、事故が多い作業です。凍傷だけでなく、心臓への負担や転落もあります。

雪下ろしの事故については雪下ろしで死なないための7つの鉄則|死者の9割が65歳以上、一人で屋根に登らないに書きました。

手袋の選び方

条件 理由
防水であること 濡れが最大の敵です
きつくないこと 締めつけは血流を止めます
中に薄手をもう一枚 外側を外しても、素手にならずに済みます
替えがあること 1組では足りません
手首が覆われること 袖口からの雪の侵入を防ぎます

「替えがある」がいちばん重要です。

高価な手袋を1組買うより、ふつうの手袋を2組持つほうが有効です。

車で動けなくなったとき、足を守る

大雪の立ち往生では、足先から冷えます。

やること 理由
靴のひもをゆるめる 締めつけを外し、血を回します
足の指を動かし続ける じっとしているのがいちばん危ない
濡れた靴下を替える 車に替えを積んでおいてください
毛布やシートで足を包む 座席に座ったままでもできます
マフラーの雪を除く 暖房を使うなら、一酸化炭素中毒を防ぐのが先です

暖房を使う前に、必ずマフラーの周りの雪をどけてください。

凍傷を防ごうとして、一酸化炭素中毒になっては元も子もありません。この順番だけは動かせません。

詳しくは雪で車が埋まると一酸化炭素中毒に|マフラー除雪で濃度はほぼ0になるをご覧ください。

避難所では、床から冷えます

体育館の床は、想像以上に冷たいものです。

そして人は、足元から体温を奪われます。

対策 効果
床に直接寝ない 段ボール、マット、なんでも一枚はさむ
厚手の靴下を替えで持つ 濡れたら替えられます
スリッパを持ち込む 床に素足をつけずに済みます
足首を覆う くるぶしは冷えやすい部位です

段ボール一枚で、体感はかなり変わります。

冬の避難所で何を優先するかは冬の避難所は床が最優先|2024年能登で起きた寒さと感染症を防ぐ3手当てに整理しました。

子どもの雪遊びで、気をつけること

子どもは、自分から「冷たい」と言いません。

楽しいので、我慢します。

やること 理由
時間を決めて呼び戻す 本人の申告を待たない
手袋と靴下の替えを持たせる 必ず濡らして帰ってきます
耳まで覆う帽子 耳は忘れられます
帰ったら手足を見る 色が白くなっていないか確認します
長靴のなかを確認 汗で濡れていることがあります

「時間を決めて呼び戻す」が、いちばん確実です。

30分なら30分と決めて、一度戻す。そのときに手袋を替えれば、続けて遊べます。

「まだ大丈夫」と思ってしまう理由

凍傷が進むまで作業を続けてしまうのには、理由があります。

寒さは、少しずつ慣れてしまうからです。

外に出た直後は「寒い」と感じます。ところが10分もすると、その感覚が薄れます。

身体が慣れたわけではありません。感じ方が鈍っただけです。

そして手足の血管は、さきほどから細くなり続けています。

時間で区切るしかありません

感覚があてにならない以上、時計で判断するしかありません。

30分作業したら戻る。寒いと感じるかどうかで決めない。

これは熱中症の対策と同じ構造です。のどが渇く前に飲む、と言われるのと同じ理由です。

備えておくもの

凍傷を防ぐために家に置いておくものは、特別なものではありません。

もの 置き場所 ひとこと
替えの手袋 玄関 これが最重要です。2組以上
替えの靴下 玄関と車 汗と雪、どちらでも濡れます
耳まで覆う帽子 玄関 耳あてつきでも構いません
ネックウォーマー 玄関と車 鼻まで上げられるもの
使い捨てカイロ 車と持ち出し袋 予防に使う。凍傷の患部には当てません
毛布・アルミシート 車 立ち往生に備えます
温度計 屋内 室温を数字で見るため

「玄関に替えの手袋」を、いちばん上に置きました。

雪かきの途中で家に戻り、わざわざ探すことはしません。その場になければ、濡れた手袋のまま続けます。

置き場所まで決めておくことに、意味があります。

風があると、条件は一気に悪くなります

気温だけを見て判断すると、危険を見誤ります。

風は、身体のまわりにできた暖かい空気の層を吹き飛ばします。

同じ気温でも、風が強いほど熱を奪われる速さが上がります。これが体感温度の正体です。

条件 起きること
風速1メートルにつき 体感温度はおよそ1度下がるといわれます
風速10メートルなら 気温0度でも、体感はマイナス10度前後
吹雪のなか 風に加えて濡れが重なります
地吹雪 晴れていても、積もった雪が舞い上がって同じ状態になります

「今日は0度だから大丈夫」は成り立ちません。

風速10メートルの日は、マイナス10度の日として支度してください。

地吹雪については地吹雪は晴れていても起きる|積もった雪が舞い上がる3条件と吹きだまりに書きました。

顔をおおうことの意味

鼻と頬が凍傷になりやすいのは、常に風を受けるからです。

ネックウォーマーを鼻まで上げるだけで、条件が変わります。

ただし呼気で濡れるという問題があります。濡れたまま風を受けると、かえって冷えます。

長時間の作業では、替えを用意するか、通気のある素材を選んでください。

屋内でも起こります

凍傷というと、吹雪の山を思い浮かべる方が多いと思います。

ですが、停電した家のなかでも起こりえます。

北海道では、真冬に暖房が止まれば室温は氷点下まで下がります。屋内でも凍傷の条件はそろいます。

実際、屋内での凍死は年間1000人前後で推移しており、その多くは北海道より南の県です。この点は凍死は屋内で起きています|年間1000人前後、北海道より南の県で増えているに書きました。

「家のなかだから安全」ではありません。暖房が止まった家は、風がないだけの屋外です。

重ね方の考え方

装備の話も、少しだけ書いておきます。

層 役割 選び方
肌に触れる層 汗を肌から離す 綿は避ける。濡れたら乾きません
中間の層 空気をためて保温する フリースや薄手のダウン
外側の層 風と水を防ぐ 防風・防水のあるもの

いちばんの落とし穴は、肌に触れる層に綿を選ぶことです。

綿は汗を吸って、そのまま持ち続けます。濡れた綿は、身体を冷やし続けます。

雪かきのような、汗をかく作業ではとくに重要です。「汗冷え」は、外の寒さと同じくらい危険です。

私が、この記事を書いた理由

札幌に住んでいると、凍傷は遠い話ではありません。

それでも、正しい処置を知っている人は多くありません。

「雪でこする」という言い伝えは、いまも聞きます。ストーブの前で手をあぶる光景も、ふつうに見ます。

どちらも、悪化させる行為です。

そして凍傷は、災害のときに増えます。停電で暖房が止まり、雪かきが続き、車が動けなくなる。そういう場面がそろうからです。

覚えていただきたいのは、たった2つです。

こすらない。あぶらない。この2つを知っているだけで、いちばん多い間違いを避けられます。

よくある質問

Q. しもやけと凍傷を、どう見分ければいいですか?

感覚があるかどうかで見てください。

かゆい、痛がゆい、赤く腫れている。これはしもやけの特徴です。

感覚がない、白い、硬い。これは凍傷を疑う所見です。

ただし境目は連続的です。迷うなら、凍傷として扱ってください。そのほうが安全です。

Q. なぜ雪でこすってはいけないのですか?

凍った組織は、壊れやすくなっているからです。

細胞のなかに氷の結晶がある状態で摩擦を加えると、結晶が周りの組織をさらに傷つけます。

「摩擦で温める」という発想が、そもそも合っていません。

Q. カイロを直接あてても大丈夫ですか?

直接あてないでください。

凍傷の部位は感覚がありません。熱さが分からないまま、低温やけどを起こします。

カイロは予防に使うものです。すでに凍傷を疑う場合は、ぬるま湯を使ってください。

そして予防で使う場合も、肌に直接貼らないでください。衣類の上からです。

Q. 温めたあと、また外に出なければなりません

その場合は、温めない判断があります。

一度温めた組織が再び凍ると、損傷が最も大きくなるためです。

暖かい場所にとどまれる見込みがあるなら温める。戻らなければならないなら、保護して搬送を優先する。この順で考えてください。

Q. 子どもがしもやけになります。防げますか?

基本は同じです。濡らさないことと、締めつけないことです。

子どもは、手袋を濡らしても言いません。雪遊びのあとは、必ず確認してください。

そして長靴のなかは蒸れます。汗で濡れた靴下は、外の雪と同じ働きをします。替えの靴下を持たせてください。

くり返す場合は、皮膚科にご相談ください。

Q. 高齢の家族が心配です

感覚が鈍くなっている点に注意してください。

年齢を重ねると、寒さも痛みも感じにくくなります。本人の申告を待っていると遅れます。

雪かきのあとに、手や耳の色を周りが見る。これを習慣にしてください。

高齢のご家族の防寒については高齢の家族は寒さを感じにくい|冬の災害で先に守る首・頭・手・足の4か所に書きました。

Q. 凍傷と低体温症は、同時に起きますか?

起こります。そして低体温症のほうが優先されます。

凍傷は手足など末端の問題です。低体温症は、身体の中心の温度が下がる全身の問題です。

両方が疑われるときは、まず全身を温めることが優先されます。命に関わるのは低体温症のほうだからです。

低体温症については低体温症とは?深部体温35度以下で起きること|凍死は熱中症の2倍、屋内が3倍に整理しました。

Q. 温めるのに、湯がない場合はどうしますか?

災害時には、湯を用意できないことがあります。

その場合は、人の体温を使ってください。

手の指なら、自分のわきの下にはさむ。足の指なら、介助する人のわきや腹に当てる。

体温はおよそ36〜37度で、ちょうど適した温度帯です。熱すぎることがありません。

ただし介助する人が冷えてしまっては本末転倒です。複数人で交代してください。

Q. マイナス7度以下でなければ、凍傷になりませんか?

目安であって、絶対の基準ではありません。

マイナス7度以下に3時間以上、というのは一般的に言われている条件です。

ですが濡れていれば、もっと高い気温でも起こりえます。風が強ければ、条件はさらに厳しくなります。

気温の数字だけで安心しないでください。

Q. 手袋を外して作業したいのですが

細かい作業では、どうしても外したくなります。

その場合は、時間を区切ってください。

数分で戻す。そして戻したら、指を動かして血を回す。

薄手の手袋を中に一枚入れておけば、外側だけ外して作業できます。素手になる時間をゼロにするのが理想です。

Q. 凍傷の跡は残りますか?

深さによります。

浅いものであれば、跡を残さず治ることもあります。深いものでは、後遺症が残ることがあります。

ただしこれは医師が判断することで、私が申し上げられる範囲を超えます。

治療の見通しについては、受診先の医師にお尋ねください。

まとめ|こすらない、あぶらない、ぬるま湯で待つ

要点 内容
しもやけ 血行不良による炎症。5度前後、氷点下でなくても起こる
凍傷 組織が凍る損傷。目安はマイナス7度以下・3時間以上
見分け かゆい・痛い=しもやけ/感覚がない・白い=凍傷を疑う
やってはいけない こする/あぶる/熱い湯/電気毛布/水ぶくれをつぶす
正しい処置 37〜39度のぬるま湯に15〜30分
最悪の行為 温めたあと、また凍らせること
先に外すもの 指輪・時計・きつい靴。腫れる前に
予防 濡らさない/締めつけない/動かす/耳を覆う
災害時 雪かき、車の立ち往生、停電した屋内
受診 感覚が戻らない、水ぶくれが出た時点で医療機関へ

この冬、雪かきに出るときは替えの手袋をひとつ、玄関に置いてください。

濡れたら替える。それだけで、多くは防げます。

【出典】
MSDマニュアル家庭版「凍傷」(復温の温度37〜39度、所要15〜30分、やってはいけない処置、重症度の見分け方)
医療機関等の公開情報(しもやけと凍傷の違い、発生の目安となる温度と時間)
本記事は一般的な情報の提供を目的としています。診断や治療の判断は行えません。凍傷が疑われる場合や、症状が続く場合は医療機関にご相談ください。

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9月1日は防災の日/8月30日〜9月5日は防災週間

1年に一度、備えを点検する日です。10分でできることから始めてください。

この記事を書いた人

北海道札幌市在住の防災・サバイバル情報発信者です。2018年の北海道胆振東部地震を機に「誰でも今日から始められる防災」をモットーに活動を開始し、実際に試した防災グッズのレビューや家族構成別の備え方をわかりやすくお伝えしています。実践的で信頼できる情報を提供できるよう、がんばっています!

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