【この記事の要約】
多くの自治体が、防災行政無線の放送を屋内で聞ける「戸別受信機」を無償で貸し出しています。市販の防災ラジオとは別物で、避難情報がその地域に絞って自動で流れる点が最大の違いです。ただし対象者は自治体によって大きく異なります。すべての世帯に貸し出す自治体もあれば、要介護認定を受けた方や障害者手帳をお持ちの方に限る自治体、土砂災害警戒区域に住む高齢者世帯に限る自治体もあります。つまり「うちの自治体はどうか」を調べなければ分かりません。この記事では、戸別受信機とは何か、市販ラジオとの違い、対象者のパターン、申請の流れ、賃貸住宅での注意点、そして対象外だった場合の代わりの手段までを整理します。
結論:まず自治体の防災担当課に問い合わせてください
先に結論をお伝えします。
戸別受信機は、多くの自治体で無償貸与されています。費用がかからないのであれば、対象になるか確認しない手はありません。
ただし、ここが重要な点です。対象者の条件は自治体によってまったく違います。
全世帯に貸し出す自治体もあります。一方で、要介護認定を受けた方や障害者手帳をお持ちの方に限る自治体、災害の危険区域に住む高齢者世帯だけを対象とする自治体もあります。
この違いは、インターネットで一般的な情報を調べても分かりません。お住まいの市区町村のウェブサイトを見るか、防災担当課に問い合わせるのが確実です。
電話1本、あるいは検索1回で済みます。対象であれば、無料で情報の手段がひとつ増えます。
戸別受信機とは何か
まずは言葉の説明から始めます。聞き慣れない用語かもしれません。
戸別受信機とは、防災行政無線の放送を屋内で受信するための専用機器です。自治体によっては「防災ラジオ」「屋内受信機」と呼ぶこともあります。
防災行政無線は、屋外に設置されたスピーカーから避難情報などを流す仕組みです。街なかで、夕方にチャイムが鳴るのを聞いたことがあるでしょう。あれと同じ設備です。
戸別受信機は、その放送を家の中で直接受け取れるようにしたものです。
なぜ必要とされているのか
屋外スピーカーには、大きな弱点があります。聞こえないのです。
次のような場面で、内容が届きません。
- 大雨や強風のとき。雨音や風の音でかき消される
- 窓を閉め切っているとき。特に気密性の高い住宅
- 夜間や就寝中
- スピーカーから遠い場所や、建物の陰
- 反響して言葉が重なり、聞き取れない
皮肉なことに、最も情報が必要な大雨のときほど聞こえにくくなります。この問題を解決するのが戸別受信機です。
自動で音が鳴ります
市販のラジオとの決定的な違いがここです。
戸別受信機は、緊急の放送があると自動で電源が入り、音が鳴ります。こちらが操作する必要はありません。
就寝中でも起こしてくれます。この機能があるかどうかで、夜間の災害への対応が変わります。
市販の防災ラジオとの違い
この2つは別物です。名前が似ているため混同されやすいので、表で整理しておきます。
| 項目 | 戸別受信機 | 市販の防災ラジオ |
|---|---|---|
| 受信する内容 | その自治体の防災行政無線 | AM・FMの放送 |
| 情報の範囲 | 市区町村単位。非常に具体的 | 全国から地域まで幅広い |
| 自動起動 | 緊急放送で自動的に鳴る | 自分で電源を入れる必要がある |
| 入手方法 | 自治体から貸与または販売 | 店舗や通販で購入 |
| 費用 | 無償の自治体が多い | 2,000円台から |
| 持ち運び | 据え置きが基本の機種もある | 携帯できる |
| 転居時 | 返却が必要。転居先では使えない | どこでも使える |
この表を見ると分かるとおり、両者は補い合う関係です。
戸別受信機は、自宅にいるときの避難情報を確実に受け取るためのもの。市販のラジオは、避難先や停電時に幅広い情報を得るためのものです。
どちらか一方ではなく、両方あるのが理想です。
戸別受信機だけでは足りない理由
戸別受信機には、いくつか制約があります。
まず、受信できるのはその自治体の放送だけです。市区町村の境界を越えると使えません。転居すれば返却することになります。
次に、流れる情報は避難に関するものが中心です。全国的な状況や、隣接地域の被害は分かりません。
そして、据え置き型の機種では持ち出せません。避難先では使えないということです。
だから市販のラジオも別に持っておく必要があります。
対象者は自治体によってまったく違います
ここが、この記事で最もお伝えしたい部分です。
実際の自治体の例を見てみましょう。条件の幅広さに驚かれるはずです。
| 自治体 | 対象 |
|---|---|
| 東京都国立市 | 令和7年度から市内に居住するすべての世帯等 |
| 長崎市 | 要支援1〜2、要介護1〜5の方、身体障害者手帳・精神障害者保健福祉手帳・療育手帳をお持ちの方、障害のある児童、指定難病の方。各世帯1台まで |
| 広島市 | 土砂災害警戒区域等の災害危険区域に住む満65歳以上を含む世帯のうち、スマートフォン等を持っていない世帯など |
| 埼玉県東松山市 | 1世帯または1施設につき1台 |
国立市のように全世帯を対象とする自治体がある一方、広島市のように「危険区域」「65歳以上」「スマートフォンを持っていない」という3つの条件を重ねる自治体もあります。
この差は、財政状況や地域の実情によるものです。制度の良し悪しを比べる話ではありません。
よくある対象者の類型
全国の傾向として、次のような区分が見られます。
- 要介護認定を受けている方がいる世帯
- 身体障害者手帳、精神障害者保健福祉手帳、療育手帳をお持ちの方
- 指定難病の方
- 単身の高齢者、または高齢者のみの世帯
- 土砂災害警戒区域や浸水想定区域に住む世帯
- 屋外スピーカーの音が届きにくい地域の世帯
- 自主防災組織や自治会の役員
- 避難所となる施設、社会福祉施設、学校
要配慮者を中心に据えている自治体が多い、という傾向は共通しています。
対象が広がっている自治体もあります
注目したいのが、国立市のように対象を全世帯へ広げる動きです。
背景には、屋外スピーカーだけでは情報が届かないという反省があると考えられます。過去の災害で「放送は流れていたが聞こえなかった」という指摘が繰り返されてきました。
数年前に問い合わせて対象外だった方も、いまは変わっている可能性があります。もう一度確認してみる価値があります。
費用はかかるのか
多くの自治体では無償貸与です。つまり無料で借りられます。
ただし、次のような形態もあります。
| 形態 | 内容 |
|---|---|
| 無償貸与 | 費用負担なし。最も多い形態 |
| 一部負担 | 数千円程度の自己負担を求める |
| 有償販売 | 実費または補助後の価格で購入する |
| 電池は自己負担 | 本体は無償でも消耗品は利用者負担のことがある |
いずれの形態であっても、同等の機能を持つ機器を自分で買い揃えるより、負担はずっと小さくなります。
なお、貸与の場合は所有権が自治体にあります。転居や不要になったときには返却が必要です。
申請の流れ
手続きは自治体によって異なりますが、おおむね次のような流れです。
一般的な手順
- 市区町村のウェブサイトで対象条件を確認する
- 申請書を入手する(ウェブからの印刷、窓口で受け取る、電子申請)
- 必要事項を記入する
- 身分証明書の写しなど、必要書類を添える
- 郵送、持参、または電子申請で提出する
- 審査を経て、受信機を受け取る、または設置してもらう
国立市の例では、申込書に記入し、身分証明書の写しを添えて郵送または持参する形式です。
長崎市の例では、申請書兼確認同意書を防災危機管理室へ郵送するか、電子申請で手続きします。
必要になりやすい書類
- 申請書または申込書
- 本人確認書類の写し(運転免許証、健康保険証など)
- 介護保険被保険者証の写し(要介護を条件とする場合)
- 障害者手帳の写し(該当する場合)
- 賃貸住宅の場合は所有者や管理者の承諾書
最後の項目は見落とされやすいので、次で詳しく説明します。
賃貸住宅にお住まいの方へ
ここは実務上、最もつまずきやすい点だと感じています。
戸別受信機の設置には、外部アンテナの取り付けや、壁への固定が必要になる場合があります。そのため、賃貸住宅では所有者や管理者の承諾が求められることがあります。
国立市の案内でも、社宅や賃貸住宅の場合は管理者の承諾が必要とされています。都営住宅については、住宅供給公社との調整が別途必要と記載されています。
手続きを進める順番
次の順で進めると、無駄がありません。
- 自治体に問い合わせ、対象かどうかと設置方法を確認する
- 工事や固定が必要かを聞く
- 必要であれば、管理会社や大家さんに相談する
- 承諾を得たうえで申請する
いきなり管理会社へ相談すると、何を承諾すればよいか分からず話が進みません。まず自治体に確認し、必要な内容を把握してから相談してください。
据え置きだけで済む機種もあります
すべての機種が工事を伴うわけではありません。卓上に置いて使える機種であれば、承諾が不要な場合もあります。
この点も、問い合わせの際に確認しておいてください。
設置場所と使い方
受け取ったあとに必要となる実務も、あわせて整理しておきます。
置く場所を選ぶ
電波を受信する機器ですから、置き場所によって受信状況が変わります。
- 窓の近く。電波が入りやすい
- 金属の棚や家電の近くは避ける。ノイズや遮蔽の原因になる
- 寝室に置くと、夜間の放送で起きられる
- 家族が集まるリビングも候補
受信状況が悪ければ、場所を変えて確かめてみてください。多くの機種は、置き場所の調整で改善します。
音量の設定
普段は小さくしておき、緊急時は自動で大きくなる機種があります。設定を確認しておいてください。
また、聴力に不安のある方向けに、光で知らせる機能を備えた機種もあります。必要であれば、申請時に相談してみてください。
停電時に動くかを確認する
これは必ず確認していただきたい点です。
機種によって、電源の方式が異なります。家庭用電源のみのもの、乾電池も使えるもの、内蔵電池を持つものがあります。
災害時には停電が伴うことが多いものです。停電中に動かなければ、肝心なときに使えません。
乾電池が使える機種であれば、予備を必ず備えておいてください。使うサイズと本数も、受け取ったときに確認しておきましょう。
どんな放送が流れるのか
実際に何が聞こえるのかを知っておくと、必要性の判断がしやすくなります。
緊急時に流れる内容
- 避難指示、高齢者等避難、緊急安全確保
- 気象警報や土砂災害危険警報(2026年5月に土砂災害警戒情報から改称)
- 河川の水位に関する情報
- 避難所の開設状況
- 津波警報(沿岸の自治体)
- 国民保護に関する情報
- 行方不明者の捜索協力の呼びかけ
- 断水や停電など、生活に関わる連絡
特に価値が高いのは、市区町村単位の具体性です。「○○地区に避難指示」という形で、自分に関係するかどうかがすぐ分かります。
全国放送では、この粒度の情報は流れません。ここが戸別受信機の強みです。
平常時にも放送があります
緊急時以外にも、日常的な放送が流れる自治体があります。時報のチャイム、行事の案内、防犯の呼びかけなどです。
この点を煩わしく感じる方もいるかもしれません。多くの機種では、平常時の放送の音量を下げたり、切ったりできる設定があります。
ただし緊急放送は、設定にかかわらず強制的に鳴る仕組みになっているのが一般的です。ここは安全のための設計です。
録音や再生ができる機種もあります
聞き逃したときのために、放送を録音して再生できる機種があります。
放送は一度きりで、聞き取れなかった場合に困ります。この機能があると安心です。
受け取る際に、そうした機能があるかを確認しておいてください。
制度が広がってきた背景
なぜいま、戸別受信機が注目されているのか。少し背景に触れます。
近年の災害では、「情報が届かなかった」という課題が繰り返し指摘されてきました。
避難情報は発表されていた。屋外スピーカーからも放送された。それでも住民に届かず、逃げ遅れる。こうした事例が各地で報告されています。
原因のひとつが、屋外スピーカーの限界です。豪雨の音は想像以上に大きく、屋内では放送があったことすら気づけません。
国も整備を促してきました
この課題を受けて、国は自治体による戸別受信機の配備を後押ししてきました。財政的な支援の仕組みも設けられています。
その結果、対象を広げる自治体が増えています。かつては要配慮者に限られていた制度が、全世帯へ拡大する例も出てきました。
つまり、この制度は動いている最中です。数年前の情報が今も正しいとは限りません。
スマートフォンでは代わりにならない層がいます
「いまはスマートフォンがあるから不要では」という見方もあります。
しかし、スマートフォンを持たない方、持っていても通知の設定ができない方は一定数います。特に高齢の単身世帯では珍しくありません。
そうした方にとって、戸別受信機は避難情報を受け取る唯一の手段になりえます。
誰も取り残さないという観点から、この制度には意味があると私は考えています。
対象外だった場合の代わりの手段
問い合わせた結果、対象外だったという方も多いはずです。その場合の選択肢を挙げます。
1. 自治体の防災メールやアプリ
ほとんどの自治体が、無料の防災メール配信や公式アプリを用意しています。避難情報がその地域に絞って届きます。
戸別受信機に最も近い機能です。まずこれを登録してください。
ただし、通信回線を使うという弱点があります。基地局の被災や回線の混雑では届きません。
2. 緊急速報メール
携帯電話に自動で届く仕組みです。特別な登録は不要ですが、機種によっては設定が無効になっていることがあります。
一度、設定を確認しておいてください。
3. 市販の防災ラジオ
2,000円台から購入できます。乾電池で動き、ワイドFMに対応し、ライトが付いたものを選んでください。
防災行政無線の内容そのものは流れませんが、地元の放送局が避難情報を伝えることは多くあります。
4. コミュニティFM
お住まいの地域にコミュニティFMがあれば、市町村単位の情報が得られます。災害時には特に頼りになります。
周波数を調べて、ラジオに登録しておいてください。
5. 有償で購入できる場合もあります
貸与の対象外でも、実費で購入できる制度を持つ自治体があります。
「対象外です」と言われたら、「購入することはできますか」と重ねて聞いてみてください。制度があれば案内してもらえます。
複数の手段を組み合わせる
ここまで見てきたとおり、どの手段にも弱点があります。
| 手段 | 強み | 弱み |
|---|---|---|
| 戸別受信機 | 自動で鳴る。地域に特化 | 対象が限られる。転居先では使えない |
| 防災メール・アプリ | 地域を絞った情報が届く | 通信障害に弱い |
| 緊急速報メール | 登録不要で自動的に届く | 通信障害に弱い。情報の種類が限られる |
| 市販ラジオ | 通信を使わない。持ち出せる | 自分で操作する必要がある |
| 屋外スピーカー | 誰でも聞ける | 雨や風で聞こえない |
私がおすすめするのは、最低3つを確保することです。
通信を使うもの(メールやアプリ)、通信を使わないもの(ラジオ)、そして自動で知らせてくれるもの(戸別受信機か緊急速報メール)。この3系統があれば、どれかが使えなくなっても情報が途切れません。
問い合わせるときに聞くべきこと
実際に自治体へ連絡する際、何を聞けばよいかをまとめます。メモ代わりに使ってください。
- 戸別受信機の貸与制度はありますか
- 対象になるのはどのような世帯ですか
- 我が家は対象になりますか(家族構成や住所を伝える)
- 費用はかかりますか
- 対象外の場合、購入することはできますか
- 設置に工事は必要ですか
- 賃貸住宅ですが、承諾書は必要ですか
- 停電時も使えますか。乾電池は使えますか
- 申請から受け取りまで、どれくらいかかりますか
- 転居するときはどうすればよいですか
担当課の名称は、防災課、危機管理課、防災危機管理室など自治体によって異なります。代表電話にかけて「防災の担当につないでください」と伝えれば問題ありません。
問い合わせの際は、住所と家族構成を手元に用意しておくと話が早く進みます。対象かどうかの判断に必要な情報だからです。
離れて暮らす家族のために
この制度で私が最も大切だと考えているのは、要配慮者への支援という側面です。
高齢の親が一人で暮らしている。屋外スピーカーの音は聞こえにくい。スマートフォンも持っていない。こうした状況は珍しくありません。
この場合、避難情報が届く手段がほとんどありません。戸別受信機は、その空白を埋めます。
手続きを代わりに進める
高齢の方にとって、制度を調べて申請書を書く作業は負担です。
離れて暮らすご家族が、代わりに調べて手続きを進めてあげてください。多くの自治体では、家族が代理で申請することも可能です。
帰省の機会に、自治体の窓口へ一緒に行くという方法もあります。
設置したあとが大切です
受け取って置くだけでは不十分です。
実際に音が鳴ったとき、どうすればよいかを伝えておいてください。放送を聞いて、避難所へ向かうのか、家にとどまるのか。判断の基準を共有しておく必要があります。
また、電源が入っているか、電池が切れていないかを、帰省のたびに確認してあげてください。
高齢の方は、音が鳴ることを煩わしく感じて電源を切ってしまう場合があります。悪気があるわけではなく、日常の静けさを保ちたいという自然な気持ちからです。
そうしたときは、頭ごなしに注意するのではなく、なぜ必要かを一緒に確認してみてください。平常時の放送だけ音量を下げる設定ができる機種もあります。
使い続けてもらうための工夫まで含めて、初めて備えになります。
私が北海道で感じていること
私は札幌に住んでいます。北海道は面積が広く、自治体によって事情が大きく異なります。
人口の少ない町村では、屋外スピーカーの数にも限りがあります。広い農地や山あいの集落では、放送が届かない場所も出てきます。
こうした地域ほど、戸別受信機の役割は大きくなります。実際、過疎地域の自治体では全世帯に配布している例もあります。
冬の事情も加わります
北海道特有の問題として、冬季の聞こえにくさがあります。
窓を二重にし、断熱を強化した住宅では、屋外の音はほとんど入りません。加えて吹雪の日は、風の音でかき消されます。
暖房をつけ、窓を閉め切った真冬の夜。屋外スピーカーの放送が聞こえる可能性は、ほぼないと考えたほうがよいでしょう。
だからこそ、屋内で受け取れる手段が必要になります。
2018年の経験から
2018年の胆振東部地震では、全道が停電するブラックアウトを経験しました。
あのとき痛感したのは、情報が届かないことの不安です。何が起きているのか、いつ復旧するのか、避難すべきなのか。何も分からない時間が続きました。
停電下では、テレビもインターネットも使えません。そのとき残るのは、電池で動く機器だけです。
戸別受信機が乾電池で動く機種かどうか。この確認が、なぜ重要なのか。あの経験があるからこそ、強くお伝えしたいと思っています。
「知らなかった」で終わらせない
この制度について調べていて、私が強く感じたことがあります。制度はあるのに、知られていないという現実です。
無償で貸し出しているにもかかわらず、申請が伸びない自治体は少なくありません。広報誌に載せても、必要な人に届かないのです。
特に、最も必要としている高齢の単身世帯ほど、情報から遠い場所にいます。
だからこそ、周りから伝える必要があります。ご家族、ご近所、地域の集まり。誰かが知らせなければ、届きません。
この記事を読んで対象に思い当たる方がいたら、ぜひ教えてあげてください。それだけで、避難情報が届く家がひとつ増えます。
よくある質問
Q. 戸別受信機とは何ですか
A. 防災行政無線の放送を屋内で受信するための専用機器です。自治体によっては防災ラジオや屋内受信機とも呼ばれます。緊急放送があると自動で電源が入り、音が鳴る点が市販のラジオと大きく異なります。
Q. 誰でも無料でもらえますか
A. 自治体によって異なります。すべての世帯を対象とする自治体もあれば、要介護認定を受けた方や障害者手帳をお持ちの方、災害危険区域に住む高齢者世帯に限る自治体もあります。お住まいの市区町村に確認してください。
Q. 市販の防災ラジオとは何が違いますか
A. 受信する内容が違います。戸別受信機はその自治体の防災行政無線を受信し、市販ラジオはAM・FMの放送を受信します。また戸別受信機は緊急放送で自動的に鳴りますが、市販ラジオは自分で電源を入れる必要があります。
Q. どこに問い合わせればよいですか
A. 市区町村の防災担当課です。防災課、危機管理課、防災危機管理室など名称は自治体によって異なります。代表電話にかけて「防災の担当につないでください」と伝えれば問題ありません。
Q. 賃貸住宅でも借りられますか
A. 借りられますが、設置に工事や固定が必要な場合、所有者や管理者の承諾を求められることがあります。まず自治体に設置方法を確認し、必要であれば管理会社に相談する順番で進めてください。
Q. 停電したら使えなくなりますか
A. 機種によります。家庭用電源のみのもの、乾電池も使えるもの、内蔵電池を持つものがあります。災害時は停電を伴うことが多いため、受け取る際に必ず確認してください。乾電池式なら予備を備えておきましょう。
Q. 対象外と言われました。ほかに方法はありますか
A. まず「購入することはできますか」と重ねて聞いてみてください。有償で提供する制度がある自治体もあります。並行して、自治体の防災メールやアプリの登録、市販の防災ラジオの購入を検討してください。
Q. 転居するときはどうなりますか
A. 貸与の場合は所有権が自治体にあるため、返却が必要です。転居先の自治体では受信できません。転居先で改めて、その自治体の制度を確認することになります。
Q. 高齢の親のために手続きできますか
A. 多くの自治体で、家族による代理申請が可能です。制度を調べて申請書を用意する作業は高齢の方には負担になりますので、離れて暮らすご家族が進めてあげてください。帰省の機会に窓口へ一緒に行く方法もあります。
Q. どんな放送が流れますか
A. 避難指示や高齢者等避難、気象警報、河川の水位情報、避難所の開設状況などです。市区町村単位で「○○地区に避難指示」という形で流れるため、自分に関係するかがすぐ分かります。平常時は時報や行事の案内が流れる自治体もあります。
Q. 平常時の放送がうるさくないですか
A. 多くの機種では、平常時の放送の音量を下げたり切ったりできます。ただし緊急放送は設定にかかわらず鳴る仕組みが一般的です。安全のための設計ですので、この点はご理解ください。
Q. 聞き逃したときはどうなりますか
A. 録音と再生ができる機種があります。放送は一度きりのため、聞き取れなかった場合に困ります。受け取る際に、この機能があるかを確認しておくとよいでしょう。
Q. スマートフォンがあれば不要ではないですか
A. お持ちの方にとっては優先度が下がります。ただし通信障害では届きません。またスマートフォンを持たない方、通知の設定ができない方にとっては、避難情報を受け取る唯一の手段になりえます。世帯の状況で判断してください。
Q. 戸別受信機があれば、ほかの備えは不要ですか
A. 不要にはなりません。受信できるのはその自治体の放送だけで、持ち出せない機種もあります。避難先や停電時に幅広い情報を得るには、乾電池式の市販ラジオも別に必要です。両方あるのが理想です。
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まとめ
戸別受信機について、要点を整理します。
- 防災行政無線の放送を屋内で受信する専用機器
- 緊急放送があると自動で電源が入り、音が鳴る
- 多くの自治体が無償で貸与している
- 対象者は自治体によってまったく異なる。全世帯の例もあれば、要配慮者に限る例もある
- 市販の防災ラジオとは別物。受信する内容が違う
- 賃貸住宅では管理者の承諾が必要になる場合がある
- 停電時に動くかどうかを必ず確認する
- 対象外でも、有償購入の制度がある自治体がある
- 防災メール、緊急速報メール、市販ラジオと組み合わせる
- 離れて暮らす高齢の家族には、代理で手続きを進める
屋外スピーカーの放送が聞こえない。この問題は、多くの方が経験しているはずです。とくに大雨の日、窓を閉め切っているときは、まず届きません。
その空白を埋める仕組みが、費用をかけずに用意されている自治体は少なくありません。にもかかわらず、制度の存在自体が知られていないのが現状です。
費用がかからない備えは、そう多くありません。対象になるかどうかを調べるだけなら、失うものは何もありません。
そして対象外だったとしても、確認の過程で自治体の防災メールやアプリを知ることになります。その意味でも、問い合わせは無駄になりません。
まずは、お住まいの市区町村のウェブサイトで「戸別受信機」と検索してみてください。それだけで、備えがひとつ増えるかもしれません。





