【この記事の要約】
「スマホがあるから防災ラジオはいらない」という意見をよく見かけます。私の結論は、必要だが1台で十分、というものです。ラジオが必要な理由は明快で、通信回線を使わないからです。大規模災害では基地局が被災し、回線が混雑し、スマートフォンの電池も尽きます。そのすべてと無関係に電波が届くのがラジオです。一方で、いらないと言われる理由にも一理あります。高機能な多機能ラジオを買っても使いこなせない、手回し充電は思ったより回さないと使えない、そもそも普段使わないから存在を忘れる。この記事では、賛否それぞれの言い分を突き合わせたうえで、どんな人に必要でどんな人には不要か、そして買うなら何を選ぶべきかを整理します。
結論:必要です。ただし高機能なものは要りません
先に結論をお伝えします。防災ラジオは必要だと私は考えています。
理由はひとつです。通信回線を使わずに情報を受け取れる手段が、ほかにないからです。
ただし、条件があります。高機能で高価なものを買う必要はありません。むしろ、機能が多すぎる製品は使いこなせずに終わります。
必要なのは、乾電池で動き、ワイドFMに対応し、ライトが付いた1台です。2,000円台から手に入ります。
「いらない」と言われる理由の多くは、実は「高すぎるものを買おうとしている」ことに起因しています。安価で確実なものを1台。それが私の答えです。
「いらない」と言われる理由を検証する
まず、否定的な意見を正面から見ていきます。どれももっともな指摘を含んでいます。
理由1:スマートフォンで足りる
最も多い意見です。ラジオアプリがあれば、全国の放送が聴けます。地域を絞った情報も手に入ります。
平常時であれば、これは正しい指摘です。私も日常的にはスマートフォンを使います。
しかし、災害時には前提が崩れます。詳しくは後述しますが、通信回線が使えなくなる場面が現実に起こります。
理由2:普段使わないから存在を忘れる
これも的を射た指摘です。
押し入れの奥にしまい込み、何年も触らない。いざというときに電池が液漏れしていて動かない。よくある話です。
この問題は、ラジオが不要という結論にはつながりません。保管と点検の仕方を変えれば解決します。後半で具体的に触れます。
理由3:手回し充電が思ったより使えない
これは実務に即した、鋭い指摘です。
手回しは、想像以上に体力を使います。1時間聴くために数分回し続ける必要があり、腕が疲れます。
また、内蔵充電池は使わないでいると劣化します。いざ回しても充電できない、ということが起こります。
ただしこれは、手回しに頼りすぎることの問題です。乾電池で動く機種を選び、電池を備えておけば解決します。
理由4:地域の細かい情報が流れない
「全国ニュースばかりで、自分の地域のことが分からない」という声もあります。
これは半分正しく、半分誤解です。全国放送だけを聴いていればそのとおりですが、災害時には臨時災害放送局やコミュニティFMが地域情報を流します。
知らないだけで、手段は用意されています。
理由5:ラジオ自体が古い技術だと感じる
感覚的な理由ですが、無視できません。
ラジオを聴く習慣のない世代にとって、そもそも馴染みのない機器です。使い方が分からない、という不安もあるでしょう。
しかし技術が古いことと、役に立たないことは別です。むしろ単純な仕組みだからこそ、災害に強いという面があります。
それでも必要だと考える理由
ここからが本題です。私が必要だと考える根拠を示します。
根拠1:通信回線を使わない
突き詰めれば、これに尽きます。
スマートフォンで情報を得るには、通信回線が必要です。そして災害時、この回線は次の理由で使えなくなります。
- 基地局が倒壊や浸水で機能を失う
- 基地局の非常用電源が数時間から数日で尽きる
- 安否確認の通信が集中し、回線が混雑する
- 通信制限がかかる
ラジオは、これらすべてと無関係です。放送局と送信所が生きていれば、電波は届きます。
受信する側は電池さえあれば動きます。この単純さが強みです。
根拠2:スマートフォンの電池を温存できる
ここは見落とされやすい、しかし重要な観点です。
災害時、スマートフォンの最も重要な役割は連絡手段です。家族の安否確認、救助の要請、位置情報の共有。
そこへ情報収集の負担まで乗せると、電池はあっという間に減ります。ラジオアプリは通信を使い続けるため、消費も大きくなります。
情報収集はラジオに任せ、スマートフォンは連絡用に温存する。この役割分担が現実的です。
根拠3:長時間動く
乾電池式のラジオは、機種によりますが数十時間から100時間以上動くものがあります。
スマートフォンで動画やアプリを使い続ければ、数時間で電池が尽きます。この差は大きいものです。
停電が数日続く場面では、この持続力が効いてきます。
根拠4:ながら聴きができる
意外に大切な点です。
ラジオは、片付けをしながら、食事をしながら聴けます。画面を見る必要がありません。
避難所や停電中の自宅では、手を動かしながら情報を得られることに価値があります。
また、家族全員が同時に聴けます。一人がスマートフォンの画面を見て、内容を伝えるより効率的です。
根拠5:情報が整理されている
インターネットの情報は玉石混交です。災害時には、不確かな情報や意図的なデマも流れます。
放送は、内容を確認したうえで流されます。速報性では劣ることもありますが、正確さでは信頼できます。
混乱した状況で、何を信じるか迷わずに済む。これも実務的な利点です。
どんな人に必要で、どんな人には不要か
すべての人に等しく必要とは限りません。整理します。
| 状況 | 必要度 | 理由 |
|---|---|---|
| 高齢の家族がいる | 高い | スマートフォンの操作が難しい場合がある |
| 一人暮らし | 高い | 情報を教えてくれる人がいない |
| 山間部・離島に住んでいる | 高い | 通信網の復旧が遅れやすい |
| 停電しやすい地域 | 高い | 電池で動く手段が必要 |
| 車で移動が多い | 中 | カーラジオで代替できる部分がある |
| 大容量の電源を備えている | 中 | スマートフォンの充電に余裕がある |
| 家族全員が情報機器に慣れている | 中 | それでも通信断には無力 |
「不要」と言い切れる状況は、実はほとんどありません。ポータブル電源を持っていても、通信網が止まれば情報は入らないためです。
強いて言えば、カーラジオを常に使える環境にあり、車がすぐ近くにある方は優先度が下がります。
ただし車にも制約があります。バッテリーが上がる恐れがあるため長時間は使えませんし、大雪で埋もれた状態でエンジンをかければ一酸化炭素中毒の危険があります。津波の想定区域では、そもそも車に近づけない場合もあります。
「車があるから大丈夫」と考えるのは、条件つきの安心だと理解しておいてください。
集合住宅と戸建てでも事情が違います
マンションの高層階では、停電するとエレベーターが止まります。外の様子を見に行くだけでも大仕事になります。
部屋の中にいながら状況を把握できる手段の価値は、こうした環境ほど高くなります。
一方、鉄筋コンクリートの建物は電波が入りにくいという弱点もあります。窓際で受信できるかを、あらかじめ確かめておいてください。
スマートフォンとラジオの比較
両者を並べて整理します。優劣ではなく、性質の違いとして見てください。
| 項目 | スマートフォン | ラジオ |
|---|---|---|
| 通信回線 | 必要 | 不要 |
| 電池の持ち | 数時間から1日程度 | 数十時間以上 |
| 地域を絞った情報 | 得意 | 臨時放送局やコミュニティFMで可能 |
| 双方向のやりとり | できる | できない |
| 情報の信頼性 | 玉石混交 | 確認されたものが流れる |
| ながら聴き | しにくい | 得意 |
| 家族での共有 | 1人ずつ | 全員で同時に聴ける |
この表を見れば分かるとおり、両者は補い合う関係です。どちらか一方を選ぶ話ではありません。
FMチューナー内蔵のスマートフォンという中間解
一部の機種には、FMチューナーが内蔵されています。これなら通信回線を使わずに受信できます。
ただし対応機種は限られています。またイヤホンをアンテナとして使う必要がある機種もあり、イヤホンがないと受信できません。
そして最大の問題は、電池を消費することです。連絡手段としてのスマートフォンを守るなら、やはり別にラジオがあるほうが安心です。
過去の災害で通信はどうなったか
「回線が使えなくなる」と言われても、実感がわきにくいかもしれません。具体的に何が起きるのかを整理します。
基地局が止まる仕組み
携帯電話は、近くの基地局と電波をやりとりして通信します。この基地局が止まれば、端末が無事でも圏外になります。
基地局が止まる原因は3つあります。
| 原因 | 内容 |
|---|---|
| 設備の損壊 | 倒壊、浸水、土砂による物理的な被害 |
| 停電 | 非常用電源が尽きると停止する |
| 伝送路の断線 | 基地局は無事でも、光回線が切れると機能しない |
特に注意したいのが2番目です。基地局には非常用のバッテリーや発電機がありますが、無限には持ちません。数時間から長くても数日が目安とされます。
つまり停電が長引けば、被害を受けていない基地局まで順に止まっていきます。
回線の混雑という別の問題
設備が無事でも、通信できないことがあります。
大きな地震のあと、多くの人が一斉に安否確認をします。回線の容量には限りがあるため、つながりにくくなります。
通信各社は、こうした場面で通話を制限することがあります。緊急通報を優先するための措置です。
一般に、音声通話のほうが制限を受けやすく、データ通信のほうがつながりやすい傾向があります。ただし、どちらも保証はありません。
ラジオが受ける影響は別の種類
一方、ラジオの放送が止まる条件は限られます。放送局のスタジオと送信所が機能していれば、放送は続きます。
放送局は非常用電源を備え、災害時の放送継続を前提に運営されています。停波した例がないわけではありませんが、通信網に比べれば頑健です。
そして受信する側は、電池さえあれば動きます。ここが決定的な違いです。
ラジオが届ける情報の中身
「ニュースしか流れない」という誤解を解いておきます。災害時のラジオでは、次のような情報が扱われます。
- 地震の規模、震度、津波の有無
- 被害の状況と、危険な地域
- 避難所の開設状況と場所
- 給水所の位置と時間
- ライフラインの復旧見通し
- 営業している店舗や医療機関
- 交通機関の運行状況
- 行方不明者や安否に関する情報
特に臨時災害放送局が開設されると、その地域に特化した情報が流れます。「どこで水がもらえるか」といった、生活に直結する内容です。
私が重要だと考えるのは、これらが「まとめて」流れることです。インターネットで同じ情報を集めようとすれば、複数のサイトを回る必要があります。電池も時間も消耗します。
聴くべき局の優先順位
災害時、まずどこに合わせるべきか。目安を示します。
- NHKラジオ第1。全国的な状況と、地域を切り替えた放送が入る
- 地元の民放。より地域に近い情報を扱う
- コミュニティFM。市町村単位の細かい情報
- 臨時災害放送局。開設されていれば最も具体的
上から順に、範囲が広いものから狭いものへ並んでいます。状況に応じて使い分けてください。
買うなら何を選ぶか
必要だと判断した場合、何を基準に選ぶか。優先順位をつけて示します。
最優先の3条件
| 条件 | 理由 |
|---|---|
| 乾電池で動く | 電池を替えれば動き続ける。最も確実 |
| ワイドFM対応 | 90.1〜95MHz。AM停波後も地元局を聴ける |
| ライトが付いている | 停電時に明かりを兼ねられる |
この3つを満たしていれば、防災用として十分に機能します。逆に、どれか1つでも欠けていると、肝心なときに困る可能性が出てきます。
あると便利な機能
- 手回し充電。電池が尽きた最後の手段になる
- ソーラー充電。日中に少しずつ充電できる
- スマートフォンへの給電。ただし効率は高くない
- 防水性能。雨天の避難や屋外で使う場合
- サイレン。助けを求めるときに使える
これらは「あれば良い」ものです。なくても困りません。予算に余裕があるとき、あるいは置き場所の都合でまとめたいときに検討してください。
むしろ避けたい機種
次のような製品は、防災用としておすすめしません。
- 内蔵充電池のみで、乾電池が使えない機種
- FM受信範囲が76〜90MHzまでの機種
- 極端に安く、受信感度が低い機種
- 操作が複雑で、家族が使えない機種
特に1番目は要注意です。内蔵電池は数年で劣化します。乾電池が使えなければ、劣化した時点で使えなくなります。
価格の目安
ワイドFM対応の防災ラジオは、2,000円台から購入できます。手回しやソーラーを備えた多機能型でも、5,000円前後が中心です。
1万円を超える製品もありますが、受信性能を重視する方向けです。一般的な防災用途では、そこまでの投資は必要ありません。
多機能ラジオは本当に必要か
ここは意見が分かれる部分です。私の考えを述べます。
最近の防災ラジオは、実に多くの機能を備えています。手回し、ソーラー、スマートフォンへの給電、サイレン、読書灯、時計、温度計。
これらは魅力的に見えますが、冷静に考える必要があります。
スマートフォンへの給電は期待しすぎない
最も誤解されやすいのがこの機能です。
手回し発電でスマートフォンを充電できると聞くと、心強く感じます。しかし実際には、効率が高くありません。
数分回して得られる電力は、通話数分ぶんという水準です。スマートフォンを満充電にするには、現実的でない時間を回し続けることになります。
非常時の最後の手段としては意味がありますが、これを主たる充電手段と考えないでください。モバイルバッテリーを別に用意するほうが確実です。
ソーラー充電も補助的
ソーラーパネルも同様です。防災ラジオに付いているパネルは小さく、発電量は限られます。
晴天下で長時間当てて、ようやく少し充電できるという水準です。曇りや室内では、ほとんど期待できません。
あって困るものではありませんが、これを理由に高い機種を選ぶ必要はないと考えています。
機能が多いほど壊れやすい
もうひとつの観点です。機構が複雑になるほど、故障の可能性は増えます。
手回しハンドルの破損、内蔵電池の劣化、端子の接触不良。こうした故障は、機能が多い製品ほど起こりやすくなります。
災害時に動かなければ、機能の多さは意味を持ちません。
結局どう考えるか
私の整理はこうです。
| 方針 | 構成 | 考え方 |
|---|---|---|
| 単機能に絞る | 乾電池ラジオ+別途モバイルバッテリー | それぞれが得意なことに専念する。故障のリスクも分散 |
| 多機能でまとめる | 手回し・ソーラー付き1台 | 荷物は減るが、性能はどれも中途半端になりがち |
持ち出し袋の容量に余裕があるなら、前者をおすすめします。ラジオはラジオとして、充電は充電として備えるほうが確実です。
ただし、荷物を極力減らしたい方や、置き場所が限られる方には多機能型にも合理性があります。ご自分の状況で判断してください。
「いらない」を「使える」に変える工夫
買っても使わない、という問題を解決する方法を挙げます。
置き場所を決める
押し入れの奥は最悪の場所です。取り出すのに時間がかかり、存在も忘れます。
おすすめは寝室の枕元です。夜間に地震が起きたとき、手を伸ばせば届く位置に置いてください。
ライト付きの機種なら、明かりとしても即座に使えます。
乾電池は本体から抜いておく
長期間入れたままにすると、液漏れを起こします。端子が腐食すると、その機器は使えなくなります。
電池は袋にまとめ、本体と一緒に置いてください。使うときに入れれば間に合います。
日常の中でも動かしておく
これが最も効果的です。
週末の朝、料理をしながらラジオをつけてみるだけで構いません。地元の放送を聴いていると、その地域の話題が入ってきます。
普段から使っていれば、操作に迷いません。電池の残量にも気づけます。何より、存在を忘れません。
年に数回、動作を確かめる
防災用品点検の日は3月1日、6月1日、9月1日、12月1日の年4回です。この機会にラジオも確認してください。
電源が入るか、放送が受信できるか、手回しが機能するか。3点を見れば十分です。所要時間は5分ほどです。
あわせて、電池の使用推奨期限と液漏れの有無も確認してください。備蓄している乾電池は、数年で期限を迎えます。
この確認を年4回続けていれば、いざというときに動かないという事態はまず起こりません。
家族で共有しておくこと
ラジオを買っただけでは、備えは完成しません。
災害時、家族の誰が最初にラジオを手にするか分かりません。使えるのが一人だけでは意味がないのです。
次の3つを共有しておいてください。
- ラジオの置き場所
- 電池の場所と交換の仕方
- 地元の放送局の周波数
3番目は、紙に大きく書いてラジオと一緒に保管することをおすすめします。停電の暗闇で細かい数字を探すのは、想像以上に難しい作業です。
NHKと地元の民放、そしてコミュニティFMがあればその周波数。これだけ書いておけば十分です。
私がこの共有を強調するのは、備えを知っているのが一人だけという家庭が多いためです。その人が不在のときに災害が起きれば、備蓄はないのと同じになります。
点検の最後に5分だけ、家族へ伝える時間を取ってください。それだけで備えの実効性は大きく変わります。
私が北海道で考えていること
私は札幌に住んでいます。2018年の胆振東部地震では、全道が停電するブラックアウトを経験しました。
あのとき最も苦しかったのは、何が起きているか分からないことでした。
スマートフォンは持っていましたが、電池を消耗させたくないという不安がつきまといます。テレビは映りません。外は暗く、近所の様子も分かりません。
復旧の見通しも、どこで水が手に入るのかも分からない。あの不安は、経験しないと伝わりにくいかもしれません。
情報がないと、人は判断ができなくなります。動くべきか、待つべきか。その判断材料がないまま夜を過ごすのは、想像以上に消耗します。
ラジオは「安心のための道具」でもある
ラジオの価値は、情報を得ることだけではないと私は感じています。
誰かの声が聞こえている、という状態そのものに意味があります。真っ暗で静かな部屋にいると、不安は増幅されます。
放送が続いているというだけで、社会がまだ動いていることが分かります。これは心理的に大きな支えになります。
2,000円の道具にそこまでの意味があるのか、と思われるかもしれません。しかし私は、この点も含めて必要だと考えています。
「使わなかった」が最良の結果です
防災用品には、ひとつ特徴があります。使わずに済むことが最も望ましい、という点です。
消火器を使う機会がないほうがよいのと同じで、防災ラジオも出番がないまま年を越すのが理想です。
だからこそ「買ったのに使わなかった、無駄だった」という感想は、実は成功を意味しています。
この感覚を持っていないと、備えは続きません。使わなかったことを損だと感じてしまうと、次の更新をしなくなります。
保険に近い性質のものだと考えてください。掛け捨てになるのが最良の結果です。
それでも迷う方へ
ここまで読んでも判断がつかない方には、こう申し上げます。
まず、家に1台もラジオがないかどうかを確認してください。カーラジオも含めてゼロなら、迷わず1台用意することをおすすめします。
すでに何かしらある方は、それがワイドFMに対応しているか、乾電池で動くかを確かめてください。両方満たしていれば、買い足す必要はありません。
判断の分かれ目は、ここだけです。難しく考える必要はありません。
よくある質問
Q. 防災ラジオは本当に必要ですか
A. 必要だと考えています。理由は通信回線を使わずに情報を得られる唯一の手段だからです。ただし高機能な製品である必要はありません。乾電池で動き、ワイドFM対応で、ライトが付いた2,000円台の1台で十分です。
Q. スマートフォンがあれば足りませんか
A. 平常時は足りますが、災害時は別です。基地局の被災、回線の混雑、電池切れのいずれかが起これば使えなくなります。またスマートフォンの電池は連絡手段として温存すべきです。役割を分けることをおすすめします。
Q. 手回し充電は実用的ですか
A. 最後の手段としては有効ですが、これに頼る設計はおすすめしません。1時間聴くために数分回し続ける必要があり、体力を使います。乾電池で動く機種を選び、予備の電池を備えておくほうが確実です。
Q. どこに置いておくのがよいですか
A. 寝室の枕元をおすすめします。夜間の地震に手を伸ばせば届く位置です。押し入れの奥は最悪の置き場所で、取り出しに時間がかかるうえ、存在自体を忘れてしまいます。
Q. 電池は入れたままでよいですか
A. 抜いておいてください。長期間入れたままにすると液漏れを起こし、端子が腐食して機器が使えなくなります。電池は袋にまとめ、本体と一緒に保管すれば十分間に合います。
Q. 地域の細かい情報は流れますか
A. 流れます。災害時には自治体が臨時災害放送局を開設することがあり、避難所や給水の情報が放送されます。またコミュニティFMは市町村単位の情報を扱います。全国放送だけがラジオではありません。
Q. いくらくらいのものを買えばよいですか
A. 2,000円台から購入できます。手回しやソーラーを備えた多機能型でも5,000円前後が中心です。1万円を超える製品は受信性能を重視する方向けで、一般的な防災用途ではそこまでの投資は必要ありません。
Q. 避けたほうがよい機種はありますか
A. 内蔵充電池のみで乾電池が使えない機種は避けてください。内蔵電池は数年で劣化し、その時点で使えなくなります。またFM受信範囲が76〜90MHzまでの機種も、AM停波後に地元局が聴けなくなる可能性があります。
Q. 買ったのに使わないまま終わりそうです
A. 日常の中で気軽につけてみてください。週末の朝、家事をしながら流しておくだけで十分です。普段から使っていれば操作に迷わず、電池の残量にも気づけます。何より存在を忘れません。
Q. 手回しでスマートフォンを充電できますか
A. 仕組みとしてはできますが、効率は高くありません。数分回して得られるのは通話数分ぶん程度です。満充電には現実的でない時間がかかります。最後の手段として考え、モバイルバッテリーを別に用意することをおすすめします。
Q. ソーラー充電は役に立ちますか
A. 補助的なものと考えてください。防災ラジオに付いているパネルは小さく、晴天下で長時間当ててようやく少し充電できる水準です。曇りや室内ではほとんど期待できません。これを理由に高い機種を選ぶ必要はありません。
Q. 単機能と多機能、どちらがよいですか
A. 持ち出し袋に余裕があるなら、乾電池ラジオとモバイルバッテリーを別々に持つ構成をおすすめします。それぞれが得意なことに専念でき、故障のリスクも分散します。荷物を減らしたい方には多機能型にも合理性があります。
Q. 災害時はどの局を聴けばよいですか
A. まずNHKラジオ第1で全国的な状況をつかみ、次に地元の民放、そしてコミュニティFMへと範囲を狭めていくのが基本です。臨時災害放送局が開設されていれば、最も具体的な生活情報が得られます。
Q. 家族に高齢者がいます。何に気をつければよいですか
A. 操作が単純な機種を選んでください。ボタンが少なく、表示が大きいものが適しています。よく聴く局の周波数をあらかじめ登録するか、紙に大きく書いて本体に貼っておくと、迷わず使えます。
この記事とあわせて読まれています
- ワイドFMとは?90.1MHz以上に対応していないラジオでは聴けません
- 防災ラジオの電池はどのくらい持つ?30時間以上を選ぶ理由と備蓄本数
- 手回し充電は何分回せばいい?2〜3分で1時間の目安と正しい回し方
この記事とあわせて読まれています
まとめ
防災ラジオの必要性について、要点を整理します。
- 結論として必要。ただし高機能なものは要らない
- 最大の理由は通信回線を使わずに情報を得られること
- 基地局の被災、回線混雑、電池切れのいずれとも無関係に届く
- スマートフォンの電池を連絡手段として温存できる
- 「いらない」と言われる理由の多くは、高すぎる製品を想定している
- 必要な条件は乾電池・ワイドFM対応・ライトの3つ
- 内蔵充電池のみの機種は避ける。数年で劣化する
- 置き場所は寝室の枕元。押し入れの奥は最悪
- 電池は本体から抜いて、袋にまとめて一緒に保管する
- 日常でも使うと、存在を忘れず操作にも慣れる
「防災ラジオはいらない」という意見は、それ自体が間違っているわけではありません。使わない高価な機器を買うくらいなら、いらないという判断も理解できます。
しかし2,000円台の1台で、通信が途絶えても情報が届く状態を作れるとしたら、話は変わります。
防災の備えは、金額をかければ安心が増えるというものではありません。むしろ、使えるものを確実に用意することのほうが重要です。
高機能な製品を買って押し入れにしまうより、単純な1台を枕元に置くほうが、はるかに役に立ちます。
必要なのは、立派な防災ラジオではありません。確実に動く1台です。まずはそこから始めてみてください。



