【この記事の要約】
被災すると、お金は入ってくる前に出ていきます。支援金が届くまでには時間がかかるからです。そのあいだ、支払いを止められる仕組みがあります。医療機関の窓口負担、国民健康保険料、国民年金保険料、税金、公共料金。いずれも法律や条例に根拠のある制度です。ただし、ほとんどが申請しないと動きません。この記事では、国民健康保険法第44条・第77条、国民年金の免除、緊急小口資金といった制度を、根拠とあわせて整理しました。手続きの順番と、見落としやすい落とし穴もまとめています。
被災したあと、いちばん苦しいのは「出ていくばかりで、入ってこない時期」です。
支援金の制度はあります。しかし、罹災証明の発行を待ち、申請をして、審査を経て、振り込まれる。ここに数週間から数か月かかります。
その間も、保険料の納付書は届きます。医療機関では窓口負担を求められます。税金の納期限も来ます。
私はここで、多くの方がつまずくのを見聞きしてきました。
入ってくるお金を待つだけでなく、出ていくお金を止める。これが、被災直後の家計を守るもうひとつの方法です。
この記事では、支払いを止められる制度を整理します。すべて根拠を書きます。
結論:被災したら、払わなくてよくなるお金があります
先に一覧を示します。
| 何を | どうなるか | 窓口 |
|---|---|---|
| 医療機関の窓口負担 | 減額・免除・徴収猶予 | 市町村の国保担当 |
| 国民健康保険料(税) | 減免・徴収猶予・納期限延長 | 市町村の国保担当 |
| 国民年金保険料 | 申請により免除 | 年金事務所・市町村 |
| 厚生年金保険料 | 事業主の申請により納付猶予 | 年金事務所 |
| 税金 | 減免・徴収猶予・還付 | 市町村・税務署 |
| 公共料金 | 支払期限の延長など | 各事業者 |
そして、すぐに現金が必要なときに借りられる制度もあります。後半でまとめます。
なぜ、これらが知られていないのか
理由ははっきりしています。ほとんどが申請主義だからです。
黙っていても、向こうからは来ません
被災したという事実を役所が把握していても、自動的に減免されるわけではありません。
本人が申請して、初めて手続きが始まります。
災害の直後は、住まいのこと、家族のこと、片付けのことで頭がいっぱいになります。保険料の減免まで思い至らないのが普通です。
そして、案内が届きにくい
被災すると、郵便が届かなくなることがあります。避難していれば、なおさらです。
広報紙も、掲示板も、見る余裕がありません。
だから、平時に知っておく意味があります。この記事を今読んでいる意味は、そこにあります。
① 医療機関の窓口負担|国民健康保険法第44条
まず、いちばん見落とされている制度から書きます。
災害は「特別の理由」にあたります
国民健康保険法第44条は、次のように定めています。
保険者は、特別の理由がある被保険者で、保険医療機関等に一部負担金を支払うことが困難であると認められるものに対し、一部負担金の減免又は徴収猶予の措置を採ることができる(国民健康保険法第44条第1項の趣旨)
この「特別の理由」について、厚生労働省は貧困、災害、不作、不漁、世帯主または組合員の事故による不在などを挙げています。
災害は、明確に含まれています。
何が減るのか
減免の対象になるのは、医療機関や薬局の窓口で払う自己負担分です。
やり方は三通りあります。減額、免除、そして徴収猶予です。
免除になれば、窓口で払わずに受診できます。徴収猶予なら、支払い時期を先送りできます。
誰が決めるのか
ここが重要です。判断するのは保険者、つまり市町村です。
法律は「措置を採ることができる」と定めているだけで、対象や割合は自治体が決めます。
そのため、災害ごと、自治体ごとに扱いが違います。大きな災害では、国が事務連絡を出して自治体に周知を促すこともあります。
実際、厚生労働省は令和7年9月にも、被災した被保険者の国民健康保険料等の取り扱いについて再周知の事務連絡を出しています。
持病がある方は、特に確認してください
定期的に受診し、薬を飲み続けている方にとって、窓口負担は毎月確実に発生する支出です。
被災して収入が途絶えたとき、これが受診をためらう理由になってしまうことがあります。
受診を我慢しないでください。そのための制度です。市町村の国保担当窓口に相談してください。
なお、具体的にどの治療を受けるべきか、薬をどうするかといった判断は、必ず医師にご相談ください。この記事が扱うのは費用の制度だけです。
② 国民健康保険料(税)|第77条
窓口負担だけでなく、保険料そのものも減免の対象になります。
根拠は法律にあります
国民健康保険法第77条、第81条、そして地方税法の規定にもとづき、保険者の判断で、徴収猶予・納期限の延長・減免ができることとされています。
厚生労働省の文書では、被災した被保険者について「被害状況に応じて適切な措置を講じられること」が求められています。
自治体の負担にはならない仕組みがあります
「減免してもらったら、自治体に迷惑がかかるのでは」と気にする方がいます。
その心配は要りません。
被災した被保険者の保険料および一部負担金の減免額については、特別調整交付金が交付される仕組みになっています。
制度として、そこまで設計されています。遠慮せずに申請してください。
③ 国民年金保険料|損害が2分の1以上なら免除
年金の保険料にも、災害を理由とした免除があります。
条件は、はっきり決まっています
日本年金機構は、次のように案内しています。
震災、風水害、火災その他これらに類する災害により、住宅、家財その他の財産につき、被害金額がその価格の概ね2分の1以上の損害を受けたとき(日本年金機構「被災したとき」より)
この場合、本人の申請にもとづいて、国民年金保険料の納付が免除されます。
「2分の1以上」という基準の意味
ここは、所得による通常の免除とは別の枠組みです。
通常の免除は所得の基準で判断されます。しかし災害による免除は、財産の被害額で判断されます。
つまり、収入があっても、被害が大きければ対象になりうるということです。
この点は誤解されやすいので、覚えておいてください。
免除された期間は、どうなるのか
免除を受けた期間は、受給資格期間には算入されます。年金を受け取る権利そのものは守られます。
ただし、将来受け取る年金額の計算上の扱いは、免除の種類によって変わります。
あとから納める追納という仕組みもあります。詳しい条件は年金事務所で確認してください。
窓口はどこか
お近くの年金事務所、または市区町村の国民年金担当窓口です。
災害の直後は窓口が混み合います。電話で確認してから行くほうが、二度手間になりません。
④ 厚生年金保険料|会社員の場合
会社にお勤めの方の厚生年金保険料は、個人が申請するものではありません。
日本年金機構は「納付が困難となった場合は、事業主の申請に基づき、保険料の納付の猶予を受けることができる場合があります」と案内しています。
手続きをするのは会社側です。
勤務先も被災している場合、この制度を知らないことがあります。従業員から情報を伝えることで、会社全体が助かる場面があります。
そして、給与の支払いが遅れることがあります。会社のシステムや金融機関が動かなければ、振込日が来ても入金されません。会社が悪いわけではない場面があるということも、頭に置いておいてください。
事業の継続についてはBCPとは何かにまとめました。
⑤ 税金|減免・猶予・還付という三つの道
税については、大きく三つの方向があります。
減免
固定資産税や住民税などの地方税は、各自治体の条例にもとづいて減免されることがあります。
家屋が全壊・半壊した場合の固定資産税など、被害の程度に応じた基準が設けられているのが一般的です。
ただし、基準は自治体ごとに違います。必ずお住まいの市町村で確認してください。
徴収猶予・納期限の延長
減免まで至らなくても、納める時期を先送りできる場合があります。
大きな災害では、地域を指定して一律に納期限が延長されることもあります。
還付|すでに払った税が戻る
所得税には、災害で財産に損害を受けたときに税を軽くする仕組みがあります。
雑損控除と、災害減免法による軽減免除。この二つです。
どちらか有利なほうを選ぶのが基本的な考え方です。すでに源泉徴収されている場合、還付されることがあります。
くわしくは雑損控除と災害減免法にまとめました。
領収書と写真が、あとで効きます
税の手続きでは、被害の証明と、支出の証明が求められます。
片付けを始める前に、被害の状況を写真に撮ってください。これは何度でも書きます。
そして、片付けや修理にかかった費用の領収書は、捨てずに取っておいてください。
罹災証明については罹災証明書の取り方にまとめました。
⑥ 公共料金|電気・ガス・水道・通信
ライフラインの料金にも、災害時の措置があります。
支払期限の延長が基本です
大きな災害では、電力会社・ガス会社・水道事業者が、被災地域を指定して支払期限を延長することがあります。
通信事業者も、料金の減免や、修理費用の減額などを実施することがあります。
使えていない期間の料金
建物が損壊して住めなくなった場合、基本料金の扱いについて相談できることがあります。
そのまま契約が続いていると、住んでいないのに基本料金だけ請求され続けます。
「今は住んでいない」ということを、事業者に伝えてください。
ただし、災害ごとに扱いが変わります
公共料金の措置は、法律で一律に決まっているわけではありません。
その災害ごとに、各事業者が発表します。お使いの事業者のお知らせを確認してください。
すぐ現金が要るとき|緊急小口資金
支払いを止めても、手元に現金がなければ生活は回りません。
そのための貸付制度があります。
いくら借りられるのか
緊急小口資金は、緊急かつ一時的に生計の維持が困難になった場合に、少額の費用を貸し付ける制度です。
通常の貸付上限は10万円以内です。
そして災害時の特例では、かかり増しの経費に対応するため、特に必要な場合に上限を20万円以内に引き上げる措置がとられています。
窓口はどこか
実施主体は都道府県社会福祉協議会、受付窓口は市町村社会福祉協議会です。
役所ではありません。ここを間違えると、たらい回しになります。
借金であることは、忘れないでください
これは貸付です。給付ではありません。
返済が必要です。据置期間が設けられますが、いずれ返す前提の制度です。
支援金や義援金と混同しないでください。まず給付される制度を確認し、それでも足りないときの手段として考えるのが順番です。
そして、返済の見込みを立ててから借りてください。被災直後は、収入がいつ戻るかが読めません。「とりあえず上限まで」ではなく、当面の生活に本当に要る額にとどめるのが安全です。
あわせて、給付される支援金の制度も確認してください。激甚災害に指定されるとどうなるかにまとめました。
時系列で見る|いつ、何が必要になるか
お金の出入りは、時間とともに形を変えます。整理しておきます。
| 時期 | 出ていくお金 | 使える手 |
|---|---|---|
| 当日〜3日 | 食料・水・日用品 | 手元の現金 |
| 1週間 | 仮の宿泊費・移動費 | 預金の払戻し・緊急小口資金 |
| 2週間〜1か月 | 家財の買い直し・片付け費用 | 保険料等の減免申請 |
| 1〜3か月 | 仮住まいの家賃・修理費 | 支援金・税の還付 |
| 3か月〜 | 住まいの再建 | 各種融資・債務整理 |
この表を見ると、支援金が届く時期と、お金が必要になる時期がずれていることが分かります。
だから、支払いを止める制度が効いてきます。入るのを待つのではなく、出るのを減らす。これが時間差を埋める方法です。
世帯の形によって、効く制度が違います
同じ災害でも、家族の構成によって困りごとは変わります。
持病のある方がいる世帯
最優先は、医療機関の窓口負担の減免です。
受診と服薬が途切れることが、いちばんの危険だからです。費用を理由に中断しないでください。
そして、お薬手帳の写しは平時から持ち出せる場所に置いてください。処方の内容が分かれば、手続きが早く進みます。
治療や薬の判断そのものは、必ず医師にご相談ください。
高齢の家族がいる世帯
年金を受け取っている方は、保険料の免除より介護保険の利用者負担の減免が効くことがあります。
こちらも市町村の窓口です。「介護保険についても減免はありますか」と、明示的に聞いてください。
介護と防災については介護が必要な家族がいる家庭の防災にまとめました。
子育て世帯
子どもの医療費助成は、もともと自治体の制度があります。被災でその手続きが止まっていないかを確認してください。
そして、学用品の再購入や就学援助の制度があります。学校を通じて案内されることが多いので、担任や事務室に聞いてください。
自営業・フリーランス
いちばん影響が大きい層です。収入が止まるうえに、事業の設備も失うことがあるからです。
国民健康保険料と国民年金保険料は、どちらも減免・免除の対象になりえます。
そして、税の予定納税や確定申告についても、猶予や延長の措置があります。税務署に相談してください。
一人暮らし
手続きを代わってくれる人がいません。すべて自分で動く必要があります。
だからこそ、窓口を一度で回る計画が大事になります。市町村の総合相談窓口を最初に訪ねてください。
そして、遠方のご家族に状況を伝えておいてください。書類の郵送先や、連絡の中継役になってもらえます。
保険と、公的制度の違い
混同されやすいので、整理しておきます。
保険は契約、公的制度は権利
火災保険や地震保険は、契約にもとづいて保険金が支払われるものです。加入していなければ、何も出ません。
一方、この記事で扱った減免や免除は、法律や条例にもとづく制度です。加入の有無に関係なく、条件を満たせば対象になります。
両方を使ってください
「保険に入っているから制度は関係ない」ということはありません。両方を並行して進めてください。
保険金の支払いにも審査と時間がかかります。その間の支払いを止めるのが、公的制度の役割です。
地震保険については地震保険とは何かにまとめました。
そして、備蓄はどちらの代わりにもなりません
逆も同じです。お金の制度をいくら知っていても、物がなければ最初の数日をしのげません。
店の棚は空になり、物流は止まります。制度が動き出すのは、そのあとです。
平時にできる準備
被災してから調べるのでは遅い、という部分を書きます。
お住まいの市町村の窓口を、名前で知っておく
国保の担当課、税の担当課、そして社会福祉協議会。この三つの名前と場所を知っているだけで、動き出しが早くなります。
加入している保険の種類を確認する
国民健康保険なのか、会社の健康保険なのか。国民年金なのか、厚生年金なのか。
これが分からないと、どの窓口へ行けばよいかも決まりません。保険証を一度見ておいてください。
重要書類の写真を撮っておく
保険証、年金手帳、通帳の表紙、保険証券。写真に撮ってクラウドに保存しておけば、原本を失っても番号が分かります。
番号が分かれば、手続きは進みます。
家財の写真を、今のうちに撮る
これは意外と知られていません。被災前の状態を記録しておくと、被害の証明がしやすくなります。
部屋ごとに全体を数枚。それだけで十分です。年に一度、撮り直してください。
手続きの順番|何から動くか
制度がいくつもあると、どこから手をつけるか迷います。順番を決めておきます。
一、写真を撮る
何よりも先です。片付ける前に、被害の状況を撮ってください。
建物の外観、壊れた場所、水に浸かった高さ、家財の状態。枚数は多いほどいい。
片付けてしまうと、証明できなくなります。これがすべての手続きの土台になります。
二、罹災証明書を申請する
市町村に申請します。これがないと、動かない制度がたくさんあります。
支援金も、税の減免も、多くが罹災証明の被害区分を基準にしています。
三、市町村の窓口に「まとめて」聞く
ここがコツです。制度ごとに窓口が違うため、一つずつ回ると何日もかかります。
大きな災害では、被災者向けの総合相談窓口が設けられることがあります。まずそこを探してください。
そして、聞き方が大事です。「保険料は減免できますか」ではなく、「被災したのですが、使える制度をすべて教えてください」と聞いてください。
四、年金事務所と社会福祉協議会は、別に行く
年金は年金事務所、緊急小口資金は社会福祉協議会。市町村役場では完結しません。
ここを知らずに「役所で全部聞いたから大丈夫」と思ってしまう方がいます。
五、勤務先にも伝える
厚生年金の猶予は、会社が申請します。被災した事実を、勤務先に伝えてください。
見落としやすい落とし穴
実務で問題になりやすい点を挙げます。
在宅被災者は、支援から漏れやすい
家が損壊しても、避難所に行かず自宅にとどまる方がいます。これを在宅被災者と呼びます。
ペットがいる、高齢の家族がいる、仕事がある。理由はさまざまです。
問題は、避難所にいないと、情報も支援も届きにくいことです。
配布物のお知らせ、相談窓口の案内、申請の期限。すべて避難所を中心に流れます。
自宅にとどまる場合こそ、自分から情報を取りに行ってください。市町村のサイト、広報、そして避難所に足を運んで掲示を見る。これが要ります。
「一部損壊だから対象外」と決めつけない
罹災証明の区分が軽いと、あきらめてしまう方がいます。
制度によって、対象となる区分は違います。ある制度で対象外でも、別の制度では対象になることがあります。
自己判断で終わらせず、窓口で確認してください。
申請には期限があります
多くの制度に期限が設けられています。災害から数か月というものが少なくありません。
落ち着いてから、と思っているうちに過ぎてしまう。これがいちばん多い失敗です。
減免されても、届出は必要
減免が決まっても、自動で口座振替が止まるとは限りません。
引き落としが続いていないか、通帳を確認してください。
「支援を受けるのは申し訳ない」と思わないでください
これは何度でも書きます。
減免額には交付金の裏づけがあり、支援制度には予算がついています。使われることを前提に設計された仕組みです。
遠慮して生活が立ち行かなくなるほうが、社会にとっても損失です。
この記事で扱わないこと
線引きを、はっきり書いておきます。
資産運用や、お金の増やし方は書きません
私は防災士であって、ファイナンシャルプランナーでも金融の専門家でもありません。
どの金融商品を持つべきか、貯蓄をいくら確保すべきか。そうした判断について書くことはしません。
この記事が扱うのは、すでに用意されている公的な制度だけです。
個別の可否は、窓口が判断します
減免されるかどうか、いくら減るか。これは制度の運用主体が、個別に判断します。
この記事は、制度が存在することと、どこに相談すればよいかをお伝えするものです。
制度は変わります
金額も、条件も、災害ごとの特例も、変わります。
必ず、そのときの公式発表を確認してください。
相談するときの伝え方
窓口での聞き方ひとつで、引き出せる情報が変わります。
被害の程度を、具体的に伝える
「大変な目に遭いました」では、判断ができません。
床上何センチまで浸水した。屋根の何割が飛んだ。家財のうち何が使えなくなった。数字と事実で伝えてください。
写真を持っていけば、話が早く進みます。
収入がどうなったかも伝える
減免の判断では、被害の程度だけでなく、支払える状況かどうかも見られます。
勤務先が被災して休業している。自営で店が使えない。収入が止まっている事実は、必ず伝えてください。
断られても、理由を聞く
「対象外です」と言われたら、「何が理由で対象外なのか」を聞いてください。
条件が分かれば、別の制度に当たれます。書類が足りないだけ、という場合もあります。
担当者の名前と、相談した日を控える
大きな災害では、窓口が混乱します。誰にいつ何を聞いたかを記録しておくと、話が振り出しに戻りません。
そして、相談した記録が残っていること自体が、あとで効く場面があります。
よくある質問
Q. 会社員でも、これらの制度は使えますか
制度によります。
国民健康保険と国民年金は、加入している方が対象です。会社の健康保険に入っている方は、健康保険組合や協会けんぽに、それぞれの措置があります。
税の減免や還付、公共料金の措置、緊急小口資金は、雇用形態を問いません。
Q. 罹災証明がまだ出ていません。待つべきですか
いいえ。先に窓口へ相談してください。
罹災証明の発行には時間がかかります。そのあいだにも申請できる手続きや、事前に準備できる書類があります。
「証明が出てから」と待っているうちに、期限が来ることがあります。
Q. 持ち家ではなく賃貸です。関係ありますか
あります。
家財の損害は、賃貸でも発生します。国民年金の免除は「住宅、家財その他の財産」の被害額で判断されます。家財だけでも対象になりえます。
保険料の減免や税の還付も、持ち家に限られるものではありません。
Q. 減免を受けると、あとで不利になりませんか
年金については、免除期間の扱いを確認しておくのが確実です。受給資格期間には算入されますが、年金額の計算上の扱いは免除の種類によります。
追納できる場合もあります。年金事務所で、ご自身の場合を確認してください。
Q. 医療費が心配で、受診を控えています
控えないでください。
窓口負担の減免・免除・徴収猶予は、まさにそのための制度です。市町村の国保担当窓口に相談してください。
そして、治療や服薬をどうするかの判断は、必ず医師にご相談ください。費用を理由に自己判断で中断しないでください。
Q. 借金の返済が苦しくなりました。どうすればよいですか
まず、返済を止めてから相談するのではなく、相談してから止めるのが順番です。
金融機関には、災害時に返済条件を変更する措置があります。金融庁が金融機関に対して要請する枠組みがあり、災害のたびに発動されています。
それでも立ち行かない場合には、自然災害債務整理ガイドラインという仕組みがあります。信用情報に登録されずに債務を整理できる制度です。
くわしくは自然災害債務整理ガイドラインをご覧ください。
Q. 制度の情報は、どこで確認するのが確実ですか
三つあります。
ひとつめはお住まいの市町村の公式サイトです。災害時には「被災者支援」のページが作られます。
ふたつめは内閣府防災情報のページです。制度の全体像がまとまっています。
みっつめは各制度の所管窓口です。年金は日本年金機構、貸付は社会福祉協議会、税は国税庁と市町村。
SNSで流れてくる情報は、必ず一次情報で確かめてください。災害時には、善意の誤情報も広がります。
Q. どこに相談すればよいか分かりません
まず市町村の役所です。総合窓口で「被災した」と伝えてください。
そのうえで、年金は年金事務所、貸付は社会福祉協議会、税の還付は税務署。この三つは別だと覚えておいてください。
覚えておくのは、三つです
災害のときに、制度名は思い出せません。だから絞ります。
一、片付ける前に、写真を撮る
これがすべての土台です。証拠がなければ、どの制度も動きません。
二、支払いは、止められる
医療費、保険料、年金、税、公共料金。払えないときは、払わずに済ませる道があります。
滞納して督促を受ける前に、窓口へ行ってください。相談した記録が残ることに意味があります。
三、申請しなければ、始まらない
ほとんどが申請主義です。黙っていても、誰も気づいてくれません。
そして期限があります。落ち着いてから、では間に合わないことがあります。
被災後にやることの全体像は被災後にやることにまとめました。
まとめ
被災すると、お金は入る前に出ていきます。支援金が届くまでの時間差が、家計をいちばん苦しめます。
そのあいだ、支払いを止める制度があります。
医療機関の窓口負担と国民健康保険料は、国民健康保険法第44条・第77条にもとづき、市町村の判断で減免・徴収猶予ができます。国民年金保険料は、財産の被害が概ね2分の1以上なら申請により免除されます。税は減免・猶予・還付の三つの道があります。
そして手元の現金が尽きたときには、緊急小口資金という貸付制度があります。上限は10万円以内、災害時に特に必要な場合は20万円以内です。窓口は市町村の社会福祉協議会です。
ただし、ほとんどが申請しないと動きません。そして期限があります。
今日できることを、ひとつだけ書きます。お住まいの市町村のサイトで、「被災者支援」のページを一度開いてみてください。
平時に一度見ておくだけで、いざというときの動き出しがまるで変わります。
災害時の現金の持ち方は災害時の現金はいくら必要かにまとめました。

