渇水が起きやすい地域はどこか|雨の量ではなく「水源が一つしかないか」で決まります

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【この記事の要約】
渇水が起きやすいかどうかは、雨の量だけでは決まりません。決め手は「降った水を溜めておけるか」です。日本の川は短く、傾斜が急です。降った雨は、数日で海に出てしまいます。だからダムに溜められる量と、流域の広さが効いてきます。この記事では、渇水が起きる条件を三つに整理します。そのうえで、繰り返し渇水になっている地域が、なぜそうなるのかを地形と水の来かたから説明します。瀬戸内、吉野川と香川用水、豊川、そして首都圏。最後に、自分の家の水がどこから来ているかを調べる方法を書きました。5分で終わります。引っ越し先を選ぶときにも使える視点です。

渇水のニュースを見ていると、同じ地名が何度も出てきます。

四国。愛知。そして首都圏。

これは偶然ではありません。渇水が起きやすい条件というものが、はっきりあります。

私は防災士として、災害時の水について書いてきました。その中で分かったことがあります。

渇水は、自分の地域に関係があるかどうかで、必要な備えがまったく変わる災害です。

地震はどこでも起きます。台風もどこにでも来ます。しかし渇水は、起きる場所がかなり決まっています。

だから、まず知るべきは「自分は該当するのか」です。

そして、その答えは意外なところにあります。自分の住んでいる場所ではなく、水を送り出しているダムの場所です。

この記事を読み終えたときに、「うちの水はあのダムから来ている」と言えるようになる。それを目標に書いています。

目次

結論|渇水は、雨の量より「溜められるか」で決まります

先に答えを書きます。

条件 渇水になりやすい
降水量 少ない
川の長さと傾斜 短くて急。すぐ海へ出る
ダムの容量 小さい/数が少ない
水源の数 一つしかない
需要 人口や産業が集中している

いちばん効くのは、上から4番目です。

水源が一つしかない地域が、いちばん弱い

ここが本質だと考えています。

雨が少なくても、水源が複数あれば融通できます。片方が枯れても、もう片方から回せます。

逆に、雨がそこそこ降る地域でも、ダムが一つしかなければ、そのダムが枯れた時点で終わりです。

だから「うちは雨が多いから大丈夫」とは言えません。見るべきは、水源の数です。

日本の水は、どこへ行っているのか

全体像を先に押さえておきます。

国土交通省の資料によると、2019年の全国の水使用量は取水量ベースで約785億立方メートルです。琵琶湖およそ3杯分にあたります。

用途 使用量(2019年・取水量ベース)
農業用水 約533億立方メートル
生活用水 約148億立方メートル
工業用水 約103億立方メートル
合計 約785億立方メートル

農業用水が、全体の3分の2を占めます

この数字は、渇水を理解するうえで重要です。

生活用水は、全体の2割にも届きません。

だから渇水になったとき、先に削られるのは農業用水です。そこを1割削るだけで、生活用水の数割分に相当します。

2026年8月の愛知用水では、農業用水と工業用水が20%削減される一方、水道用水は10%にとどまっていました。この配分には、こうした背景があります。

そして、影響は遅れて返ってきます

農業用水が減れば、その年の収穫が落ちます。

米や野菜の値段は、渇水が終わってから動きます。

つまり渇水の影響は、蛇口が元に戻ったあとに、食費という形で現れます。

渇水が起きる条件、その一|日本の川は短くて急です

ここが、日本の水事情の土台です。

降った雨は、数日で海に出ます

日本は山が海に迫っています。川は短く、傾斜が急です。

大陸の大河のように、何週間もかけてゆっくり流れることがありません。

降った雨は、あっという間に海へ出てしまいます。

だから日本では、「降ったときに溜める」ことが決定的に重要になります。

だからダムが要ります

ダムは、この地形の弱点を補うために造られています。

梅雨や台風でまとまって降った水を貯めておき、降らない時期に少しずつ流す。

逆に言えば、ダムの容量を超えて降らない年は、蓄えが作れません。

ダムの仕組みはダムの防災における役割とは?洪水調節の仕組みと緊急放流時の行動にまとめました。

雪も、天然のダムです

これは見落とされがちです。

山に積もった雪は、春にかけて少しずつ溶けて川に流れます。つまり数か月かけて放流するダムと同じ働きをします。

だから雪の少ない冬のあとは、春から初夏の川の水量が伸びません。

そこに空梅雨が重なると、夏を迎える前に貯水率が下がります。

渇水の兆候は、前の冬から始まっていることがあります。

渇水が起きる条件、その二|山に遮られる地域があります

日本の中でも、雨の降り方には大きな差があります。

瀬戸内は、二重に遮られています

香川県が繰り返し渇水になる理由を、県が説明しています。

季節風が海から運んでくる水蒸気は、中国山地と四国山地に遮られます。

山を越えるときに雨を落としてしまい、瀬戸内側には乾いた空気が流れ込みます。

結果として、年間を通して降水量が少なくなります。

そのうえ、川が短い

香川県では、これに地形が重なります。

県が挙げている条件はこうです。雨が少ない。川の延長が短い。急勾配ですぐ海に流れ込む。

降らない、溜まらない、留まらない。三つが重なっています。

だから香川県には、ため池が非常に多くあります。これは昔から水不足と付き合ってきた歴史の結果です。

同じ構造は、他にもあります

山に遮られて雨が少なくなる地域は、瀬戸内だけではありません。

盆地や、山陰・山陽の内陸側にも、同じ仕組みが働く場所があります。

自分の地域の年間降水量が、全国平均と比べてどうか。一度調べておくと、感覚がつかめます。

渇水が起きる条件、その三|遠くから水を引いています

ここが、いちばん知っておいてほしい話です。

香川県の水は、徳島県から来ています

香川用水という水路があります。

吉野川の中流、徳島県の池田地点からトンネルで讃岐山脈を抜け、香川県へ水を送っています。

その量は年間2億4,700万立方メートル。県内のほぼ全域に届いています。

もともとは、吉野川の洪水対策と水の安定供給を目的とした吉野川総合開発事業の一環でした。早明浦ダム、池田ダムと合わせて造られたものです。

だから、香川の渇水は高知の雨で決まります

ここが重要です。

早明浦ダムがあるのは、高知県です。そこに降る雨が、香川県の水道を左右します。

香川県で雨が降っていても、高知の山に降っていなければ、貯水率は回復しません。

逆に香川が晴れていても、高知に大雨が降れば貯水率は上がります。

つまり「自分の窓の外」は、まったく参考になりません。

これは、香川に限った話ではありません

都市の水道は、たいてい遠くから水を引いています。

山あいのダムから、長い管とトンネルを通って、平野の街まで運ばれます。

だから「近所の川が流れているから大丈夫」という判断は、成り立ちません。

見るべきは、自分の水道が使っているダムの貯水率、それ一つです。

繰り返し渇水になっている水系

2026年に実際に制限がかかった水系を見てみます。共通点があります。

吉野川水系(早明浦ダム)

四国の水がめと呼ばれます。徳島・香川・高知・愛媛の広い範囲に水を供給しています。

2026年8月27日0時時点の貯水率は23.6%でした。前日から2.0ポイント下がっています。

ダム管理開始以降の平均貯水率は80.6%です。平均の3分の1を下回っていました。

そして8月28日9時から第四次取水制限に入りました。

このダムが弱いのは、依存している人と地域が多すぎるからです。ここが枯れると、代わりがありません。

豊川用水(宇連ダム・大島ダム)

愛知県の東三河地域に水を送っています。

2026年8月21日9時から第1回の節水対策が始まりました。農業用水・水道用水・工業用水がそれぞれ5%削減です。

このときの貯水率は29.6%でした。

この水系は、2026年の冬から春にかけても厳しい状況が続いていました。同じ年に二度、渇水を経験していることになります。

愛知用水(牧尾ダム)

愛知県の知多半島などに水を送っています。

2026年8月26日0時から第2回の節水対策に入りました。農業用水20%、水道用水10%、工業用水20%の削減です。

貯水率は36.4%でした。

三つに共通しているのは、何か

並べてみると、はっきりします。

水系 特徴
吉野川 広い範囲が一つのダムに依存
豊川 限られたダムで地域全体を支える
愛知用水 遠方のダムから長距離で導水

どれも「代わりがない」という点で共通しています。

これが、渇水を繰り返す地域の正体です。雨が少ないから、ではありません。逃げ道がないからです。

首都圏は、なぜ大きな渇水になりにくいのか

逆の例も見ておきます。

ダムの数が多いからです

利根川水系には、複数のダムがあります。一つが減っても、他から融通できます。

さらに、荒川など別の水系からも水を得ています。

水源が分散していると、渇水に強くなります。これは香川県と正反対の構造です。

それでも、油断はできません

ただし、首都圏は需要が桁違いに大きいという弱点を抱えています。

水源が多くても、使う量も多い。複数のダムが同時に減る年には、取水制限が実施されます。

過去にも、利根川水系で取水制限が行われたことがあります。

「首都圏だから安心」ではありません。分散しているぶん、進み方がゆるやかなだけです。

北日本で渇水が少ない理由

私は北海道に住んでいます。ここで渇水のニュースを聞くことは、ほとんどありません。

雪が、時間をかけて溶けるからです

冬の間に積もった雪が、春から初夏にかけて少しずつ川に出ます。

これが巨大なダムの役割を果たしています。

しかも溶けるのに数か月かかります。人工のダムより、はるかにゆっくり放流されます。

ただし、少雪の年は別です

ここは注意しておいてよい点です。

雪が少ない冬のあとは、春の川の水量が伸びません。

雪に頼っている地域ほど、少雪の影響を強く受けます。

暖冬で「雪かきが楽だった」という年は、その先の水を気にしておく価値があります。

渇水になると、街のほうが先に変わります

家の蛇口が変わる前に、公共の場所から水が消えていきます。

止まりやすいものには、順番があります

段階 止まりやすいもの
早い 公園の噴水、修景用の水、打ち水のイベント
公共施設の水景、緑地の散水
学校のプール
洗車場、一部の商業施設の水回り
遅い 家庭の蛇口(給水制限)

この順番には意味があります。命や衛生に関わらないものから止めています。

だから、街の様子が先行指標になります

ここは使える視点です。

近所の公園の噴水が止まった。市のイベントで打ち水が中止になった。

こうした変化は、ニュースになる前に目に見えます。

「そういえば止まっているな」と気づいたら、自分の水系の貯水率を一度見てください。

学校のプールは、影響が大きい

小中学校のプールには、大量の水が要ります。

渇水が進むと、授業が中止になったり、水の入れ替え回数が減らされたりします。

お子さんがいる家庭では、ここで初めて渇水を実感することが多いはずです。

逆に言えば、プールの話が出たら、相当進んでいます。

ため池という、もう一つの答え

渇水を繰り返してきた地域には、先人の工夫が残っています。

香川県に、ため池が多い理由

雨が少ない。川が短い。ダムができるより、ずっと前の話です。

そこで人々は、降った水をその場に溜める方法を選びました。それがため池です。

小さな池を無数に作り、それぞれの集落で管理する。分散型の水源です。

ダムのような大きな設備はありませんが、一つが枯れても、全部が同時に枯れるわけではありません。

考え方は、今も使えます

ため池の発想は、「大きな一つ」より「小さな複数」です。

これは家庭でも同じことが言えます。

20リットルのポリタンク1個より、10リットルを2個のほうが実際には使えます。運べるからです。

浴槽と、バケツと、ペットボトル。用途ごとに分けて持つほうが、生活が回ります。

ただし、ため池には別のリスクがあります

ここは防災の観点で触れておきます。

ため池は、豪雨や地震で決壊することがあります。下流に集落があれば、被害が出ます。

近くにため池がある方は、ハザードマップでため池の浸水想定を確認しておいてください。

渇水では味方になり、豪雨では警戒対象になる。同じ設備が、災害によって役割を変えます。

渇水を、家族に伝えるとき

ここは実務的な話です。

「節水して」だけでは、動きません

これは防災全般に共通することですが、抽象的な呼びかけは行動を変えません。

「水を大事に」と言われても、何をすればいいか分かりません。

やることを、一つだけ決める

効くのは、これです。

「歯みがきのときはコップに汲む」とだけ決める。

「風呂の水は抜かない」とだけ決める。

一つが定着してから、次を足す。最初から10個伝えると、どれも残りません。

子どもには、理由を説明してください

「なぜ今それをするのか」が分かると、続きます。

「今、高知の山に雨が降っていないから、水が減っているんだよ」

こう言えるようになるために、自分の水源を調べておく価値があります。

そして、これは学校の自由研究にもなります。自分の家の水がどこから来ているかを追う。地図と、水道局の資料だけでできます。

高齢のご家族には、注意点を先に伝えてください

節水の話をすると、飲む水まで控えてしまう方がいます。

だから伝える順番を変えてください。

「飲む水は減らさなくていい。減らすのは、洗う水と流す水だけ」

この一文を先に言う。そのあとで具体的な方法を話します。

渇水は夏に起きます。脱水と熱中症のほうが、はるかに危険です。

そして、解除されたときも伝えてください

これは忘れられがちです。

制限が解除されても、家族に伝えないと、節水の生活が惰性で続きます。

とくに高齢のご家族は、水分を控える習慣が残ってしまうことがあります。

「もう普通に使っていいですよ」と、はっきり伝えてください。

自分の水系を調べる|5分で終わります

ここからが、この記事の実用部分です。

なぜ調べる価値があるのか

渇水のニュースは、全国の話として流れます。しかし、あなたに関係があるのは一つの水系だけです。

同じ県でも、地域によって水源は違います。隣町が取水制限でも、自分の町は無関係ということが普通に起きます。

逆もあります。県内でニュースになっていなくても、他県のダムの水を使っていることがあります。

調べ方は三つ

一、水道局のサイトを見る。「水源」「浄水場」「水道水はどこから」といった項目に書かれています。多くの自治体が公開しています。

二、広報紙や検針票を見る。水源の説明が載っていることがあります。

三、水道局に電話する。いちばん確実です。「うちの地区の水源はどこですか」と聞けば教えてくれます。

一度調べれば、以後ずっと使えます。

調べたら、三つをメモしてください

調べること なぜ必要か
水源のダム名 貯水率を見る対象が決まる
そのダムがある場所 どこの雨を気にすればいいか分かる
水源が複数あるか 一つだけなら、より注意が要る

とくに二つ目が大事です。

香川県の例で見たとおり、自分の街に降る雨は関係ありません。ダムのある山に降るかどうかです。

天気予報を見るとき、その地域の雨を確認する習慣がつきます。

貯水率は、毎日公表されています

国土交通省、水資源機構、各都道府県。それぞれが管理するダムの数字を出しています。

毎日見る必要はありません。夏に一度か二度、確認するだけで十分です。

そして平年値と比べてください。絶対値ではなく、平年との差で判断します。

引っ越し先を選ぶときの視点

これは、あまり語られない話です。

水の来かたは、住み心地に効きます

地震のリスクやハザードマップは、家を探すときに調べる方が増えました。

しかし水源まで調べる人は、ほとんどいません。

渇水を繰り返す地域では、数年に一度、節水の生活が来ます。数か月続きます。

それを知ったうえで住むのと、知らずに住むのとでは、心構えが違います。

調べておくとよいこと

一、その地域が過去に取水制限を受けた回数。自治体のサイトや報道で分かります。

二、水源が一つか、複数か。一つなら、リスクは高くなります。

三、ため池が多いかどうか。ため池が多い地域は、歴史的に水不足と付き合ってきた土地です。

三つ目は、地図を見れば分かります。景色が教えてくれる情報です。

だからといって、避ける必要はありません

誤解のないように書いておきます。

渇水は、命に直結する災害ではありません。地震や洪水とは危険度が違います。

そして、備え方も難しくありません。浴槽に水を張る。無洗米にする。それだけで大半は乗り切れます。

知っておけば、慌てずに済む。その程度の話です。

渇水に強い家にする

地域は選べなくても、家のほうは変えられます。

水源を一つ増やす

いちばん効くのが、これです。

手段 使える用途
浴槽に水を張る習慣 トイレ・掃除。費用ゼロ
雨水タンク 庭の水やり・掃除
ポリタンクの常備 汲み置き全般
井戸(あれば) 生活用水。飲用は要検査

いちばん上が、いちばん効きます。そして無料です。

風呂の水を、次に沸かすまで抜かない。それだけで、家の中に200リットルの水源ができます。

ただし小さなお子さんがいる家庭では、必ず蓋をして、風呂場の扉に鍵をかけてください。浅い水でも溺水事故は起きます。

使う量そのものを下げておく

渇水になってから慌てるより、普段の使用量を下げておくほうが楽です。

節水シャワーヘッドに替える。無洗米にする。洗濯をまとめる。

どれも一度やれば、あとは何もしなくて済みます。

具体的な減らし方は渇水の節水は何から減らすかにまとめました。

普段の米を無洗米にしておけば、渇水のときに何もしなくて済みます。備蓄ではなく、置き換えです。

汲む道具を、先に置いておく

時間給水になってから買いに行くと、売り切れています。

折りたためる給水袋なら、使わないときに場所を取りません。

ポリタンクを買うなら、10リットル以下にしてください。20リットルは満水で20キロになり、実際には運べません。

容器の扱いは給水車・給水所の使い方|容器は10リットル以下、水は3日で使い切るにまとめました。

折りたためる給水袋は、渇水にも地震の断水にも使えます。どちらでも役に立つ道具です。

集合住宅と戸建てで、渇水の受け方が違います

同じ地域でも、住まいの形で影響が変わります。

マンションは、水圧の影響を受けやすい

減圧給水になると、高い階ほど先に出が悪くなります。

水を上まで押し上げる力が足りなくなるからです。

同じ建物の中でも、1階は普通に出て、最上階では細くしか出ない。そういう差が生まれます。

だから高層階の方は、出ているうちに汲み置きをする必要が、戸建てより高くなります。

マンションの水まわりの弱点はマンションの断水は停電で起きるにまとめました。

受水槽があるかどうかで変わります

建物によっては、いったんタンクに水を溜めてから各戸に配ります。

この場合、タンクの分だけ余裕があります。時間給水になっても、しばらくは出続けます。

逆に、水道管から直接各戸に届く方式なら、制限がそのまま反映されます。

自分の建物がどちらかは、管理会社に聞けば分かります。

戸建ては、溜める場所を作りやすい

庭やベランダに、雨水タンクやポリタンクを置けます。

浴槽に加えて、外にもう一つ水源を持てる。これは戸建ての利点です。

ただし、屋外に置いた水は夏場に藻が発生します。飲用には使わず、掃除や庭の水やりに限ってください。

渇水は、気候の変化でどうなるのか

ここは、慎重に書きます。将来の予測を断定するつもりはありません。

降る量より、降り方が問題です

近年、雨の降り方が変わってきたと言われます。

降るときは激しく降り、降らないときはまったく降らない。

これは、ダムにとって都合が悪い降り方です。

激しく降れば、洪水を防ぐために放流せざるをえません。溜められる量には限りがあるからです。

そして降らない期間が長引けば、蓄えが尽きます。

つまり「洪水と渇水は、同じ年に来ます」

これは矛盾しているようで、していません。

同じ地域が、夏に洪水で、秋に渇水になることがあります。

降水量の合計は平年並みでも、偏っていれば、どちらも起きます。

だから「今年は雨が多かったから渇水はない」とは言えません。いつ降ったかが問題です。

私たちにできることは、変わりません

気候の話は大きすぎて、個人ではどうにもなりません。

できるのは、自分の水系を知り、使う量を下げておくこと。これだけです。

そして、それで十分に間に合います。

渇水と、他の災害の関係

渇水と猛暑は、同時に来ます

雨が降らない年は、晴れる年です。つまり気温が上がります。

ここで問題が起きます。節水したい気持ちと、水分を取らなければいけない事情がぶつかります。

答えははっきりしています。飲む水は減らさないでください。

減らすのは、洗う水と流す水です。飲用の量は、家庭全体から見ればごくわずかです。

渇水と山火事

乾燥が続くと、山や草地が燃えやすくなります。

そして消火にも水が要ります。渇水は、火災への備えという面も持っています。

屋外での火の扱いには、いつも以上に注意してください。

渇水と農作物

前に書いたとおり、農業用水が先に削られます。

その年の収穫に影響し、値段は少し遅れて動きます。

渇水が終わったあとの食費まで含めて、渇水の影響です。

よくある質問

Q. 自分の地域が渇水になりやすいか、どう調べますか

水源のダムが一つか複数かを調べてください。一つしかない地域は、リスクが高くなります。

過去に取水制限を受けた回数も、自治体のサイトや報道で分かります。

Q. 雨が多い地域なら安心ですか

いいえ。雨の量より、溜めておける容量と水源の数で決まります。

雨が多くても、ダムが一つしかなければ、そこが枯れた時点で困ります。

Q. 近所の川が流れていれば大丈夫ですか

関係ありません。都市の水道は、たいてい遠くのダムから引いています。

香川県の水は、高知県にあるダムに降る雨で決まります。

Q. なぜ四国で渇水が多いのですか

広い範囲が一つのダムに依存しているためです。

加えて瀬戸内側は、中国山地と四国山地に水蒸気を遮られて降水量が少なく、川も短く急勾配です。

Q. 首都圏は渇水になりませんか

なります。ただし水源が分散しているため、進み方がゆるやかです。

過去に利根川水系で取水制限が実施されたこともあります。

Q. 北海道や東北は渇水しませんか

起きにくいのは確かです。雪が数か月かけて溶け、天然のダムとして働くからです。

ただし少雪の年は別です。暖冬のあとは、春以降の水量が伸びません。

Q. 貯水率は何%から危険ですか

数字だけでは判断できません。平年値と比べてください。

平年80%の時期に40%を割っていれば深刻です。平年45%の時期の50%なら、平常です。

Q. 農業用水が減ると、私たちに影響はありますか

あります。その年の収穫が落ち、米や野菜の値段が少し遅れて動きます。

渇水が終わったあとに、食費という形で表れます。

Q. 雨が降れば、すぐ解除されますか

まとまった雨が降れば、貯水率は短期間で回復します。

ただし、どこに降ったかが問題です。自分の街ではなく、ダムのある山に降る必要があります。

Q. 引っ越し先を選ぶとき、水源も見るべきですか

見ておいて損はありません。ただし、渇水を理由に地域を避ける必要はないと考えています。

命に関わる災害ではなく、備え方も簡単だからです。

Q. この記事の情報はいつ時点のものですか

2026年8月27日時点で公表されていた情報をもとに書いています。貯水率や制限の状況は日々変わります。

最新の状況は、国土交通省の渇水情報や、お住まいの自治体・水道局の発表をご確認ください。

まとめ

渇水が起きやすいかどうかは、雨の量では決まりません。

決め手は「代わりがあるか」です。

日本の川は短く、傾斜が急です。降った雨は数日で海に出てしまいます。だから、溜めておける容量が要ります。

そして水源が一つしかない地域は、そこが枯れた時点で逃げ道がありません。

2026年に制限がかかった吉野川、豊川、愛知用水。どれも「代わりがない」という点で共通していました。

逆に首都圏が大きな渇水になりにくいのは、ダムが複数あり、別の水系からも水を得ているからです。

そして、いちばん大事なことを書きます。

自分の街に降る雨は、関係ありません。

香川県の水は、高知県の山に降る雨で決まります。都市の水道は、たいてい遠くから引いているからです。

今日できることを、ひとつだけ書きます。

水道局のサイトで、自分の家の水源を調べてください。5分で終わります。

ダムの名前と、その場所。この二つが分かれば、次からはニュースを全部追う必要がなくなります。

そのダムの貯水率だけを、夏に一度か二度見る。それで十分です。

取水制限と給水制限の違いは渇水とは?取水制限と給水制限の違いに、断水全般への備えは断水対策おすすめ完全ガイドにまとめました。

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9月1日は防災の日/8月30日〜9月5日は防災週間

1年に一度、備えを点検する日です。10分でできることから始めてください。

この記事を書いた人

北海道札幌市在住の防災・サバイバル情報発信者です。2018年の北海道胆振東部地震を機に「誰でも今日から始められる防災」をモットーに活動を開始し、実際に試した防災グッズのレビューや家族構成別の備え方をわかりやすくお伝えしています。実践的で信頼できる情報を提供できるよう、がんばっています!

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