【この記事の要約】
災害時の料理は、レシピを覚えることではありません。何が止まっているかで、作れるものが決まります。止まる可能性があるのは電気・ガス・水道の三つ。どれが止まったかで、選べる調理法が変わります。この記事では、「水が使えない」「火が使えない」「両方使えない」の三つに分けて、それぞれで何ができるかを整理しました。中心になるのはポリ袋を使った湯せん調理です。鍋を洗わずに済み、少ない水で複数の料理を同時に作れます。ただし使う袋の耐熱温度を必ず確認してください。そして味付けは、備蓄している調味料で足ります。特別な材料は要りません。
「災害時のレシピ」と聞くと、身構える方が多いと思います。
でも実際に必要なのは、料理の腕ではありません。止まっているライフラインに合わせて、作り方を選べるかどうかです。
私は札幌に住んでいます。北海道では2018年の胆振東部地震で、道内のほぼ全域が停電しました。あのとき問われたのは「何を作るか」ではなく「何なら作れるか」でした。
そして冬の北海道なら、条件はもっと厳しくなります。暖房も止まり、水道管が凍る可能性まで加わります。
だからこの記事は、レシピ集にしていません。止まったものから逆算する形で組み立てました。そのほうが、実際の場面で使えるからです。
先に結論を書きます。
結論|献立ではなく、止まったものから考えます
電気、ガス、水道。この三つのうち、どれが止まったか。そこから逆算します。
| 止まったもの | できること | 中心になる方法 |
|---|---|---|
| 電気だけ | ほぼ普通に作れる | カセットコンロで加熱 |
| 水道だけ | 加熱はできる | ポリ袋で湯せん |
| 電気とガス | 加熱できない | 水で戻す・そのまま食べる |
| 全部 | 加熱も洗浄もできない | 備蓄水と、そのまま食べられるもの |
「何が使えるか」を先に決めると、迷いが消えます。
いちばん困るのは、水が止まったときです
意外に思われるかもしれません。しかし火が使えても、水がなければ料理は成立しません。
米を研ぐ、野菜を洗う、鍋を洗う、食器を洗う。料理は、加熱よりも水を使う場面のほうが多い。
だから、災害時の調理法は「いかに水を使わないか」を軸に組み立てられています。
中心になるのは、ポリ袋の湯せんです
「パッククッキング」と呼ばれる方法です。これを覚えておけば、多くの場面に対応できます。
やり方は単純です
一、ポリ袋に材料を入れる。
二、空気を抜いて、口を上のほうで結ぶ。
三、鍋に湯を沸かし、袋ごと入れる。
四、加熱したら、袋のまま器に出す。
これだけです。鍋の水は汚れないので、繰り返し使えます。
この方法が優れている理由は、四つあります
| 利点 | なぜ災害時に効くか |
|---|---|
| 鍋を洗わなくていい | 洗い水が要らない |
| 同じ湯で複数作れる | 燃料と水を節約できる |
| 袋のまま食器に出せる | 食器も汚れない |
| 一人ずつ味を変えられる | アレルギーや好みに対応できる |
四つめは、意外と大事です。家族に食物アレルギーの方がいる場合、袋を分ければ同じ鍋で別々に作れます。
ただし、袋選びだけは間違えないでください
ここが唯一の注意点です。
必ず「高密度ポリエチレン」の、耐熱温度を確認した袋を使ってください。耐熱温度は商品に表示されています。
一般的な「ポリ袋」の中には、加熱に向かないものがあります。安価な半透明の袋を、確認せずに使わないでください。
そして鍋底に直接触れないように、皿を一枚敷くのが基本です。袋が鍋肌に触れて溶けるのを防ぎます。
ここは自己流でやらないでください。袋の表示を必ず確認する。それだけで安全に使えます。
この方法は、平時にも使えます
災害のためだけに覚えるのは、もったいない。ふだんの料理でも使えます。
洗い物が減り、少量ずつ作れて、味の違うものを同時に用意できる。忙しい日の夕食にも向いています。
そして何より、使い慣れておくことが最大の備えになります。災害のときに初めてやる方法は、たいてい失敗します。
月に一度でも使っていれば、袋の量も、加熱時間も、体で覚えます。そのときが来ても、迷いません。
状況① 電気だけが止まったとき
いちばん起きやすく、いちばん対応しやすい状況です。
ガスと水道が生きていれば、ほぼ普通に作れます
都市ガスやプロパンが止まっていなければ、コンロは使えます。ただし、電気で点火するタイプのガスコンロは動きません。
その場合はカセットコンロを使います。電気を一切使わないので、停電時の主力になります。
ただし、冷蔵庫の中身が問題になります
停電が長引くと、冷蔵庫の中のものから傷みます。だから、食べる順番が決まります。
一、冷蔵室のもの。牛乳、肉、魚、開封済みのもの。
二、冷凍室のもの。凍っているぶん、冷蔵室より長くもちます。
三、常温保存のもの。備蓄食品は最後です。
冷蔵庫の扉は、開ける回数を減らしてください。何が入っているかを紙に書いて、扉に貼っておくと開ける回数が減ります。
冷凍庫は、開けなければ保冷剤になります
凍った食品は、それ自体が氷の塊です。扉を閉めたままにしておけば、庫内はしばらく低温を保ちます。
詰まっているほど長持ちします。すき間が多いと、そのぶん早く温まります。
停電が予想されるときは、ペットボトルに水を入れて凍らせておくと、すき間が埋まって保冷力が上がります。解ければ飲み水にもなります。
この段階で、備蓄を消費しないこと
ここが実務上の要点です。
停電した瞬間に非常食を開ける方がいますが、順番が逆です。傷むものから食べる。備蓄は、その先のために取っておきます。
状況② 水道だけが止まったとき
ここでポリ袋の湯せんが効いてきます。
洗い物をゼロにする組み立て
水が貴重なので、洗う場面を作らないのが基本方針です。
一、食器にラップを敷く。食べ終わったらラップだけ捨てます。皿は汚れません。
二、調理はポリ袋の中で完結させる。鍋も汚れません。
三、湯せんに使った水は捨てない。次の調理にも、洗い物にも使えます。
この三つで、水の消費が大きく変わります。
湯せんで作れるもの
| 作るもの | 入れるもの |
|---|---|
| ごはん | 無洗米と、同量よりやや多めの水 |
| 蒸し野菜 | 切った野菜と、少量の水 |
| スープ | 水と、粉末スープや缶詰 |
| 親子丼風 | 卵、缶詰、めんつゆ |
| 温めなおし | レトルト食品を袋のまま |
無洗米が使えるところが重要です。研ぐ必要がないので、水を使いません。
備蓄する米は、無洗米にしておくと災害時に効きます。
加熱時間は、材料によって変わります
ごはんなら20〜30分程度、野菜なら10分前後が目安です。ただし火力や量で変わります。
一度、平時に作ってみてください。自分の家のコンロで、どれくらいかかるか分かります。
状況③ 電気もガスも止まったとき
加熱ができません。ここからは「作る」というより「組み合わせる」段階になります。
水で戻せるものが主力になります
アルファ米は、水でも作れます。15℃の水で60分が目安です。
冬場は水温が低く、さらに時間がかかります。早めに準備を始めてください。
作り方の詳細はアルファ米(アルファ化米)とは?にまとめました。
そのまま食べられるものを、組み合わせる
缶詰、レトルト、パン、シリアル、栄養補助食品。加熱せずに食べられるものは、意外と多くあります。
ここで大事なのは「組み合わせて満足度を上げる」という発想です。
たとえば、クラッカーに缶詰のパテをのせる。シリアルにロングライフ牛乳をかける。切り干し大根を水で戻して、ツナ缶と和える。
それぞれ単体で食べるより、ずっと食事らしくなります。
スナック菓子が使える場面があります
ニュースで取り上げられることがある、じゃがいものスナック菓子を使った即席ポテトサラダ。お湯や牛乳でふやかして、マヨネーズと和えるという手法です。
これはふざけた話ではありません。スナック菓子は、乾燥していて長持ちし、味が付いていて、そのままでも食べられます。備蓄として合理的な性質を持っています。
ただし塩分は高めです。水分が限られる状況では、食べすぎに注意してください。
子どもがいる家庭では、これが効きます
災害時、子どもは食欲が落ちます。見慣れないものを食べたがりません。
普段から食べているお菓子が備蓄にあると、それだけで安心材料になります。カロリーも取れます。
子ども向けの備えは子供用防災グッズ完全ガイドにまとめました。
状況④ 全部止まったとき
もっとも厳しい状況です。ここでは料理を考えません。
優先するのは、水分です
食べるより先に、飲むこと。脱水は数日で命に関わります。
1人1日3リットルが目安です。飲用だけなら1.5リットル程度ですが、調理と衛生を含めると3リットルになります。
食べるものは、開けたら終わりのものを
缶詰、栄養補助食品、乾パン、ようかん。調理も器具も要らないものです。
そして甘いものを一つ入れておいてください。糖分は即効性のエネルギーになり、気持ちも落ち着きます。
この段階では、衛生が最優先になります
水が使えないと、手が洗えません。汚れた手で食べることが、感染につながります。
ウェットティッシュとアルコール消毒は、食料と同じくらい大事な備蓄です。
食中毒は、災害時にとくに起きやすくなります。「もったいない」で古いものを食べないでください。
実際に作れるもの、五つ
ここから具体例です。どれも特別な材料を使いません。
① ポリ袋ごはん
基本にして、いちばん使う方法です。
無洗米1合に対して、水は同量よりやや多め。袋に入れて空気を抜き、上のほうで結びます。
沸騰した湯に、皿を敷いた鍋で20〜30分。火を止めて、そのまま10分ほど蒸らします。
できあがったら袋のまま器に出す。器は汚れません。
コツを一つ。袋の中で米を平たくならしてから加熱すると、火の通りが均一になります。
② 缶詰の温めなおし
もっとも簡単で、失敗しません。
缶を開けて中身を袋に移し、湯に入れるだけ。5分程度で温まります。
冷たいまま食べるのと、温かいのとでは、気持ちの回復がまるで違います。
サバの味噌煮、焼き鳥、おでん。温めるだけで、食事らしくなります。
③ 切り干し大根とツナの和えもの
火を使いません。水だけで作れます。
切り干し大根を水に15〜20分ほどつけて戻し、水気を絞る。ツナ缶とめんつゆで和えるだけ。
この一品には、意味があります。不足しがちな食物繊維とたんぱく質が、同時に取れます。
そして切り干し大根は、常温で長く保存できて、軽い。備蓄として優秀です。
④ 高野豆腐の含め煮
湯せんで作れます。
袋に高野豆腐と、めんつゆを薄めたものを入れる。10分ほど湯せんすれば、味が入ります。
高野豆腐はたんぱく質が豊富で、乾燥しているので軽い。そして常温で長期保存できます。
災害備蓄として、もっと評価されてよい食材だと考えています。
⑤ スナック菓子のポテトサラダ
話題になることのある方法です。
じゃがいものスナック菓子を器に入れ、お湯または牛乳を注いでふやかす。マヨネーズと和えれば、ポテトサラダに近いものになります。
これは合理的な発想です。スナック菓子は乾燥していて長持ちし、味が付いていて、そのままでも食べられます。
ただし塩分が高い点は忘れないでください。水が限られる状況では、食べすぎに注意が要ります。
⑥ 湯せんの応用|同じ鍋で三品を同時に作る
これが、この方法のいちばんの強みです。
ごはんの袋、おかずの袋、汁物の袋。三つを同じ鍋に入れて、まとめて加熱できます。
ただし加熱時間が違うので、入れる順番を変えてください。時間のかかるごはんを先に入れ、途中からおかずを足します。
袋には油性ペンで中身を書いておくと、取り出すときに迷いません。
燃料も水も一度で済みます。災害時に、これは大きな差になります。
調理器具は、何があれば足りるか
| 優先 | もの | 役割 |
|---|---|---|
| 1 | カセットコンロとボンベ | 唯一の熱源になる |
| 2 | 耐熱のポリ袋 | 調理と保存を兼ねる |
| 3 | 鍋(深めのもの) | 湯せんに使う |
| 4 | ラップ | 食器を汚さない |
| 5 | キッチンばさみ | まな板が要らない |
| 6 | 缶切り | プルタブでない缶に |
キッチンばさみが効きます
見落とされがちですが、これがあると包丁とまな板が要りません。
まな板を使えば、洗う必要が出ます。ハサミなら、拭くだけで済みます。
野菜も、肉も、袋も切れる。災害時の調理では、包丁より出番が多いと思います。
鍋は、深めのものを一つ
湯せんをするので、袋がしっかり沈む深さが要ります。
浅い鍋だと、袋が湯から出て加熱ムラができます。
避難所と在宅で、条件が変わります
| 在宅避難 | 避難所 | |
|---|---|---|
| 調理 | 自分でできる | 基本は配給 |
| 火の使用 | 可能 | 制限されることが多い |
| 食材 | 家の備蓄と冷蔵庫 | 持参分と配給 |
| アレルギー対応 | 自分で管理できる | 対応が難しい場合がある |
在宅避難のほうが、食事の自由度は高い
家が無事なら、在宅でしのぐほうが食事はよくなります。自分の備蓄と器具が使えるからです。
避難所では火気の使用が制限されることが多く、調理は基本的にできません。
在宅避難の判断は避難所へ行くべきか自宅に残るべきかにまとめました。
避難所へ行くなら、そのまま食べられるものを持つ
調理を前提にした備蓄は、避難所では活きません。
持ち出し袋に入れるのは、開けてすぐ食べられるもの。栄養補助食品、ようかん、クラッカー。
そしてアレルギーがある方は、必ず本人用を持参してください。配給が対応しているとは限りません。
日数が延びるほど、食事の役割が変わります
これは、被災した方の話を聞いていて強く感じることです。
| 時期 | 食事の役割 | 優先すること |
|---|---|---|
| 当日〜2日 | とにかくエネルギー | そのまま食べられるもの |
| 3日〜1週間 | 体調の維持 | 温かいもの、たんぱく質 |
| 1週間以降 | 気持ちの回復 | 味の変化、いつもの味 |
最初の2日は、味を気にしなくていい
ここは割り切ってください。食べられれば十分です。
混乱していて、食欲も落ちています。無理に調理しようとせず、開けて食べられるものを選んでください。
3日目から、温かいものが効いてきます
ここで差が出ます。
温かい食事は、体温を上げ、気持ちを落ち着かせます。とくに冬の被災では、これが体調を左右します。
カセットコンロが「あってよかった」と言われるのは、この時期です。
1週間を過ぎると、飽きが問題になります
同じものが続くと、食欲が落ちます。食べられるのに食べない、という状態です。
これを防ぐのが、ふりかけ、のり、めんつゆ、ジュースで戻すアルファ米といった小さな工夫です。
数十円の備蓄が、この時期にいちばん効きます。
家族の状況別に、考えることが違います
小さなお子さんがいる家庭
食べ慣れたものを備蓄してください。災害時に、初めてのものは食べません。
そして甘いものを必ず入れる。気持ちが落ち着き、カロリーも取れます。
離乳食の時期なら、ベビーフードをそのまま備蓄するのが確実です。加熱しなくても食べられるものを選んでください。
高齢のご家族がいる家庭
硬いもの、乾いたものは食べにくくなります。乾パンは、高齢の方には向きません。
おかゆのレトルト、やわらかい缶詰、ゼリー飲料。飲み込みやすいものを、別に用意してください。
そして水分を取る量が減りがちです。脱水に気をつけてください。
持病がある方
食事制限がある場合、配給が対応できるとは限りません。
塩分やたんぱく質の制限がある方は、自分用の備蓄を分けて確保しておいてください。
そして食事内容について迷ったときは、必ず医師にご相談ください。この記事は一般的な備えの話であって、個別の療養の指示ではありません。
備蓄を「食べ切れる形」にしておく
最後に、備蓄そのものの持ち方です。
大袋より、小分けが向いています
大容量のほうが安く見えますが、災害時は開けたら食べ切る必要があります。
冷蔵庫が使えないので、保存がききません。1食分ずつ小分けになっているほうが、無駄が出ません。
「主食だけ」に偏らないこと
備蓄をそろえると、米やパンなど主食に偏りがちです。
しかし実際に困るのは、おかずと汁物です。ごはんだけでは食が進みません。
主食、おかず、汁物。この三つが揃って、はじめて食事になります。
年に一度、食べて入れ替える
これがローリングストックの本体です。
食べてみることに意味があります。味が口に合うか、家族が食べられるか、作り方に迷わないか。
賞味期限が切れてから捨てるのは、もったいない。期限の前に食べて、買い足す。それだけです。
非常食の比較は非常食13商品のカロリー・保存年数比較表にまとめました。
水を、どれだけ節約できるか
災害時の調理は、結局ここに行き着きます。水をどう温存するか。
1人1日3リットルの内訳
| 用途 | おおよその配分 |
|---|---|
| 飲用 | 1.5リットル前後 |
| 調理 | 残りの多くを占める |
| 手洗い・歯みがき | 工夫で大きく減らせる |
調理の水を減らせば、飲用に回せます。ここが節約の効きどころです。
減らせる場面は、四つあります
一、米を研ぐ水。無洗米にすれば、まるごと不要になります。
二、鍋を洗う水。ポリ袋の湯せんなら、鍋は汚れません。
三、食器を洗う水。ラップを敷けば、洗う必要がありません。
四、ゆで汁。捨てずに、次の調理や手洗いに回せます。
この四つを実行するだけで、調理に必要な水は大きく減ります。
お風呂の残り湯は、飲用にはできません
断水に備えて浴槽に水を張っておくのは有効です。ただし用途を間違えないでください。
トイレを流す、床を拭く、といった生活用水としてなら十分に使えます。飲用や調理には使わないでください。
断水したときの全体像は断水対策おすすめ完全ガイドにまとめました。
味付けは、備蓄している調味料で足ります
特別なものを買う必要はありません。普段の台所にあるもので十分です。
あると幅が広がる、五つ
| 調味料 | 災害時に効く理由 |
|---|---|
| めんつゆ | これ一つで味が決まる。薄めるだけ |
| マヨネーズ | 加熱なしで味と油分を足せる |
| 粉末だし・コンソメ | 軽く、長持ちし、湯を注ぐだけ |
| 塩 | 汗をかいたときの補給にもなる |
| ごま・のり・ふりかけ | 同じ味に飽きたときに効く |
「ふりかけ」を軽く見ないでください。避難生活が長引くと、味の単調さが食欲を奪います。
数十円のもので、食が進むなら、備蓄としての価値は高い。
油が不足しがちです
意外な盲点です。非常食は、油分が少ないものが多い。
油はカロリーが高く、少量で足りるので効率がよい。マヨネーズやツナ缶の油は、貴重なエネルギー源になります。
ツナ缶の油を捨てないでください。そのまま調味料として使えます。
栄養は、三日を過ぎてから問題になります
最初の1〜2日は、何を食べても大差ありません。問題は、それ以降です。
不足しやすいものが決まっています
| 不足しやすい | 補える備蓄 |
|---|---|
| たんぱく質 | サバ缶、ツナ缶、豆類、高野豆腐 |
| 食物繊維 | 切り干し大根、乾燥わかめ、シリアル |
| ビタミン | 野菜ジュース、フリーズドライ野菜、果物缶 |
| カルシウム | ロングライフ牛乳、小魚、チーズ |
切り干し大根と高野豆腐は、災害備蓄として優秀です。軽く、常温で長持ちし、水で戻せます。
そして加熱なしで戻せるのが強い。水につけておくだけです。
便秘は、避難生活でよく起きます
環境が変わり、食物繊維と水分が減り、体を動かさなくなる。この三つが重なります。
トイレを我慢することも、原因になります。だから携帯トイレの備えは、健康の問題でもあります。
選び方は防災用携帯トイレの選び方にまとめました。
やってはいけないこと
耐熱でない袋で湯せんする
繰り返します。袋の耐熱温度を必ず確認してください。
溶けた袋の成分が食品に混ざる可能性があります。ここは節約する場所ではありません。
室内で炭や練炭を使う
絶対にやめてください。一酸化炭素中毒で命を落とします。
バーベキュー用の炭も同じです。屋外でも、風のない場所や車内は危険です。
換気せずにカセットコンロを使い続ける
カセットコンロも燃焼器具です。締め切った部屋で長時間使えば、酸素が減ります。
寒くても、定期的に窓を開けてください。
においや味に迷ったものを食べる
迷ったら捨ててください。災害時の食中毒は、医療にかかりにくい状況で起きます。
停電した冷蔵庫の中身は、時間で判断してください。「まだ大丈夫そう」は基準になりません。
水を節約しすぎる
これも危険です。脱水は、空腹より早く体に来ます。
食事を減らしてでも、水は飲んでください。
平時にやっておく三つ
一、ポリ袋の湯せんを、一度やってみる
これが最も効きます。手順を体で覚えていれば、本番で迷いません。
休日に、ポリ袋でごはんを炊いてみてください。30分もかかりません。
そして、家にある袋が耐熱かどうかも、そのときに確認できます。
二、無洗米に切り替える
普段の米を無洗米にしておくだけで、災害時に研ぎ水が不要になります。
味の違いを気にする方もいますが、いまの無洗米は精米技術が上がっており、普通のお米として食べられます。
そして無洗米には、もう一つ利点があります。研ぎ汁が出ないので、排水も減ります。断水しているとき、排水も流せない状況では、これが効いてきます。
三、ラップと耐熱袋を、多めに置く
どちらも安く、場所を取らず、普段も使うので無駄になりません。
ローリングストックの対象に、この二つを入れておいてください。
よくある質問
Q. 普通のポリ袋で湯せんしてもいいですか
いけません。耐熱温度が表示された、加熱調理に対応した袋を使ってください。
「高密度ポリエチレン」で、耐熱温度が100℃以上のものが目安になります。商品の表示を必ず確認してください。
Q. 湯せんに使った水は、飲めますか
袋が破れていなければ、水そのものは汚れません。ただし飲用にするなら、清潔な水を使い、加熱してから使ってください。
実務的には、洗い物や手洗いに回すのが現実的です。
Q. カセットボンベは何本くらい要りますか
使い方によりますが、1本で1時間程度が目安とされることが多くあります。
湯を沸かす程度なら1回数分です。家族4人で1週間なら、6〜9本ほど見ておくと安心です。
ただし製品と火力で変わります。お手持ちのコンロの表示を確認してください。
備蓄本数の考え方は防災用カセットコンロおすすめ12選にまとめました。
Q. 停電した冷蔵庫の中身は、いつまで食べられますか
一律の時間は示せません。気温、扉を開けた回数、庫内の量で大きく変わります。
判断の原則だけ書きます。においや見た目に少しでも異常があれば、食べない。そして、生の肉や魚は最も早く傷みます。
体調に不安があるときは、医師にご相談ください。
Q. 食物アレルギーがある家族がいます
ポリ袋の湯せんが、そのまま答えになります。袋を分ければ、同じ鍋で別々に作れます。
そしてアレルギー対応の非常食を、本人専用に分けて備蓄してください。避難所の配給が対応しているとは限りません。
本人が食べられるものを、いつも持ち歩く。これがいちばん確実です。
Q. 電子レンジが使えるなら、それでいいのでは
使えるなら、それがいちばん早い方法です。ただし電子レンジは電気で動きます。
この記事が想定しているのは、電気が止まっている状況です。停電していなければ、普段どおりの調理で構いません。
問題は、停電が起きてから方法を探すことです。だから平時に、電気がなくても作れる手段を一つ持っておく。それがカセットコンロとポリ袋です。
Q. 赤ちゃんの食事はどうすればいいですか
この記事の方法は、大人と幼児向けです。乳児は別に考えてください。
液体ミルクは、開けてそのまま飲ませられます。停電・断水でも使えるので、備蓄の価値が高い。
ミルクが手に入らない場合の対応はミルクがない!赤ちゃんに何を飲ませる?にまとめました。
覚えておくのは、三つです
一、レシピではなく、止まったものから考える
電気か、ガスか、水道か。どれが止まったかで、選べる方法が決まります。
二、ポリ袋の湯せんを覚える
鍋も食器も汚れず、同じ湯で複数作れて、一人ずつ味を変えられます。
ただし袋の耐熱温度は必ず確認してください。
三、特別な食材は要りません
めんつゆ、マヨネーズ、粉末だし。普段の調味料で味は決まります。
そして無洗米に替えておくこと。これだけで、災害時の水の消費が変わります。
まとめ
災害時の料理は、レシピを覚えることではありません。何が止まっているかで、作れるものが決まります。
電気だけならカセットコンロでほぼ普通に作れます。水道だけならポリ袋の湯せんで、洗い物を出さずに調理できます。電気もガスも止まれば、水で戻すものと、そのまま食べられるものの組み合わせになります。
中心になるのはポリ袋を使った湯せんです。鍋を洗わずに済み、同じ湯で複数の料理を作れて、家族ごとに味を変えられます。
ただし袋の耐熱温度だけは、必ず確認してください。ここは自己流でやらない部分です。
今日できることを、ひとつだけ書きます。
家にあるポリ袋の表示を見て、耐熱温度が書いてあるか確認してください。
書いていなければ、次の買い物で耐熱表示のあるものに替える。数百円で、災害時の選択肢が一つ増えます。
備蓄の回し方はローリングストックは「買い足して古い順に食べる」だけにまとめました。





