【この記事の要約】
JPCZ(ジェイピーシーゼット)とは、冬の日本海にできる長さ1,000キロほどの雪雲の帯のことです。正式には日本海寒帯気団収束帯といい、線状降雪帯とも呼ばれます。シベリアからの寒気が朝鮮半島北部の山地でいったん二手に分かれ、日本海の上でふたたび合流する。その合流線に沿って雪雲が列をなす現象です。ここで一番大事なのは、JPCZの雪は「狭い範囲に、短時間で、異常な量が降る」という点です。数十キロ離れただけで、片方は晴れ、片方は数時間で数十センチということが起こります。だから広い範囲を見る天気予報では実感しにくく、気づいたときには車が動かなくなっています。気象庁は短時間の大雪に対して「気象防災速報(短時間大雪)」という情報を出しています。2021年6月に「顕著な大雪に関する気象情報」として始まり、2026年5月に名称が変わりました。おおむね3時間で20〜25センチ、6時間で30〜40センチの降雪を観測し、その後も続く見込みのときに発表されます。基準は地点ごとに違います。この情報が出たら、その日は車で出かけないでください。それが唯一の確実な対策です。なお大雪警報・大雪特別警報の名称は、2026年5月の防災気象情報の見直しでは変わっていません。変わったのは大雨・洪水・土砂災害・高潮に関する情報です。
冬の天気予報で、こんな言い方を聞いたことがあると思います。
「日本海に発達した雪雲の帯、JPCZがかかる見込みです」
JPCZ。アルファベット4文字で、説明もなく流れていきます。
私は札幌に住んでいて、防災士として活動しています。冬の相談を受けることがありますが、この言葉の意味を正確に説明できる人には、ほとんど会いません。
それでいて、この4文字は「今日は絶対に車で出かけないでください」という意味を持つことがあります。
知らないままだと、判断ができません。だから、この記事を書きます。
結論|JPCZの予報が出たら、その日は車を使わない
先に結論を書きます。
JPCZがかかると予報された地域では、その日は車での移動をやめてください。
不要不急の外出をしない、という言い方をよく聞きます。しかしJPCZの場合、もっと具体的に言えます。危ないのは、車です。
理由は3つあります。
| 理由 | 中身 |
|---|---|
| 降り方が異常に速い | 3時間で20センチ以上。走っているあいだに道路が埋まります |
| 範囲が狭い | 出発地は晴れていても、30キロ先が猛吹雪ということがあります |
| 1台止まると全部止まる | 立ち往生は連鎖します。1台の脱輪で、後ろの数百台が動けなくなります |
そして立ち往生は、長ければ半日から丸1日を超えます。その状態で車内にいることが、命に関わります。
この記事の後半で、その理由と対処を書きます。
JPCZとは何か
まず言葉から整理します。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 読み方 | ジェイピーシーゼット |
| 正式名称 | 日本海寒帯気団収束帯(にほんかい かんたいきだん しゅうそくたい) |
| 通称 | 線状降雪帯(せんじょうこうせつたい) |
| 大きさ | 長さおよそ1,000キロ |
| できる場所 | 冬の日本海 |
「収束帯」というのは、風がぶつかって集まる線のことです。
風がぶつかると、空気は行き場を失って上に押し上げられます。上昇した空気は冷えて、水蒸気が雲になります。これが線状に並ぶので、細長い雪雲の帯になります。
名称そのものは、1988年に東京大学海洋研究所の浅井冨雄教授が論文で発表したものです。比較的新しい言葉で、天気予報で一般向けに使われるようになったのは、さらに後のことです。
「線状降雪帯」と呼ばれる理由
夏の言葉で線状降水帯を聞いたことがあると思います。次々と積乱雲が同じ場所を通り、記録的な大雨をもたらすものです。
JPCZは、その雪版だと考えてください。
共通しているのは「細長い帯」と「同じ場所に降り続ける」という2点です。
ただし、できる仕組みは違います。線状降水帯は暖かく湿った空気が流れ込んで積乱雲が並ぶもの。JPCZは、寒気の流れが地形で分かれて、また合わさることで生まれます。
大雨のほうの仕組みは線状降水帯とゲリラ豪雨は何が違う?に書きました。
なぜ日本海で起きるのか
ここが、この現象のおもしろいところです。日本から1,000キロ以上離れた場所の地形が、関係しています。
①シベリアから寒気が吹き出す
冬になると、シベリア大陸が強く冷えます。冷えた空気は重いので、たまって高気圧になります。これがシベリア高気圧です。
この冷たい空気が、日本のほうへ吹き出してきます。いわゆる冬型の気圧配置です。西に高気圧、東に低気圧という並びなので、西高東低と呼ばれます。
②朝鮮半島北部の山で、風が二手に分かれる
ここが要点です。
吹き出した寒気の流れの途中に、朝鮮半島北部の白頭山(はくとうさん)と、その周りの長白山脈があります。標高2,000メートルを超える山地です。
冷たい空気は重いので、山を乗り越えるのが苦手です。そこで、流れが山を避けて二手に分かれます。
③日本海の上で、ふたたび合流する
山を回り込んだ二つの流れは、山の風下側でまた近づきます。そして日本海の上で、ぶつかります。
ぶつかった場所では空気の行き場がなくなり、上昇気流が生まれます。この合流の線が、そのまま雪雲の列になります。
④暖かい海が、水蒸気を供給し続ける
もうひとつ欠かせない条件があります。日本海が暖かいことです。
日本海には対馬海流という暖流が流れ込んでいます。冬でも海水温は比較的高い。
そこへ氷点下の空気が乗ると、お風呂の湯気のように、海面からさかんに水蒸気が上がります。これが雪雲の材料になります。
つまりJPCZは、シベリアの寒気・朝鮮半島の山・対馬海流の暖かい海という3つがそろって初めて起きます。世界的にも珍しい条件です。
普通の冬型の大雪と、どう違うのか
冬型の気圧配置になれば、日本海側にはいつでも雪が降ります。ではJPCZは何が特別なのでしょうか。
| 普通の冬型の雪 | JPCZによる雪 | |
|---|---|---|
| 降る範囲 | 日本海側の広い範囲 | 帯の下の狭い範囲 |
| 降る強さ | だらだらと続く | 短時間に集中 |
| 予想のしやすさ | 比較的しやすい | かかる場所の予想が難しい |
| 危険の性質 | 積もった雪の重さ・除雪の負担 | 急激な積雪・立ち往生・視界不良 |
一番の違いは「狭くて激しい」ことです。
帯の幅は数十キロしかないことがあります。その帯の下では猛烈に降り、少し外れれば穏やか。その差が極端です。
だから困ります。自分の市町村の予報が「雪」でも、帯がかかるかどうかで結果がまったく違うのです。
もうひとつ、帯は動きます
JPCZの位置は固定ではありません。南北にゆっくり移動します。
朝は北陸にかかっていたものが、夕方には山陰へ下がることがあります。移動が遅いほど、その真下の地域には長時間降り続けます。
予報が難しいのは、この移動の読みが難しいからです。数十キロの差を当てる必要があるからです。
気象庁が出す情報を、どう読むか
ここは実務の話です。
気象防災速報(短時間大雪)
短時間に異常な量の雪が降ったときに出る情報があります。
これは2021年6月に「顕著な大雪に関する気象情報」という名前で始まりました。そして2026年5月に「気象防災速報(短時間大雪)」という名称に変わっています。
古い記事や古い資料では、まだ旧称のままのものが多くあります。どちらの名前で見かけても、同じものだと思ってください。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 発表される目安 | おおむね3時間で20〜25センチ、または6時間で30〜40センチの降雪を観測し、その後も警報級が続く見込みのとき |
| 基準 | 観測地点ごとに異なります |
| 対象 | 本州日本海側の豪雪地帯が中心 |
| 位置づけ | 大雨でいう記録的短時間大雨情報の、雪の版にあたります |
大事なのは、この情報が「予報」ではなく「もう降っている」という知らせだという点です。
つまりこれが出たときには、すでに事態は起きています。出てから車を出すのは、手遅れです。
大雪警報は、2026年の見直しの対象外です
ここは混乱しやすいので、はっきり書きます。
2026年5月に、防災気象情報の体系が大きく変わりました。ただし変わったのは、大雨・洪水・土砂災害・高潮に関する情報です。
大雪警報・大雪特別警報・暴風雪警報の名称は、変わっていません。「レベル3大雨警報」のように警戒レベルの数字を付ける表記も、雪には適用されていません。
雪の情報は、これまでどおりの読み方でかまいません。
いつ、どこを見るか
| タイミング | 見るもの | 判断すること |
|---|---|---|
| 前日の夜 | 気象庁の週間予報・各地の気象情報 | 明日の予定を変えるかどうか |
| 当日の朝 | 大雪警報・暴風雪警報の有無 | 車を出すかどうか |
| 移動中 | 高速道路・国道の通行止め情報 | 引き返すかどうか |
| 随時 | 雨雲(雪雲)レーダー | 帯がいまどこにあるか |
レーダーは、雪でも使えます。日本海に細長い筋が見えていたら、それがJPCZです。
見方は豪雨レーダーの見方と使い方に整理しました。雪の場合も、帯がどこへ動いているかを追う使い方は同じです。
いちばん危ないのは、車の立ち往生です
ここからが本題です。
大雪による死亡事故で多いのは除雪作業中の事故ですが、JPCZの場合、まず起きるのは車の立ち往生です。
なぜ連鎖するのか
大型トラックが1台、上り坂で登れなくなる。それだけで車線がふさがります。
後ろの車は動けません。動けないまま雪が降り続けます。そして、後ろの車も雪に埋まります。
そのころには、除雪車も現場に入れません。渋滞の列が、除雪車の進路をふさいでいるからです。
これが、立ち往生が何時間も何十時間も続く理由です。
車内にいることの、本当の危険
一酸化炭素中毒です。
寒いので、エンジンをかけて暖房をつけます。当然のことです。
しかし雪がマフラー(排気管)をふさぐと、排気ガスが車の下にたまり、車内へ入ってきます。
一酸化炭素は無色で無臭です。気づけません。眠くなり、そのまま意識を失います。
立ち往生したら、まずマフラーの周りの雪をどけてください。そして降り続けているあいだは、1時間おきに確認してください。これが最優先です。
スコップを積んでいない車は、この作業ができません。だから車載のスコップは、あれば便利なものではなく、命に関わる道具です。
車に積んでおくもの
| もの | 用途 | 優先度 |
|---|---|---|
| スコップ | マフラー周りの除雪。これが最優先 | 最優先 |
| 毛布・寝袋 | エンジンを切っても耐えられるように | 最優先 |
| 飲み物・食べ物 | 半日以上を想定する | 高 |
| 携帯トイレ | 車外に出られません | 高 |
| モバイルバッテリー | 連絡と情報のため | 高 |
| 長靴・手袋・防寒着 | 除雪のために外へ出る | 高 |
| 牽引ロープ・スタック脱出用の板 | 自力での脱出 | 中 |
| 解氷スプレー | ドアやワイパーの凍結 | 中 |
燃料は、冬のあいだは半分を切ったら入れる。これを習慣にしてください。立ち往生中、燃料は暖房そのものです。
脱出の手順は雪でスタックしたときの脱出方法に詳しく書きました。
家にいる場合に備えること
車に乗らなければ安全かというと、そうでもありません。
停電への備え
雪の重みで送電線が切れたり、電柱が倒れたりします。着雪による停電は、大雪のたびに起きています。
冬の停電は、夏の停電とは危険度が違います。暖房が止まるからです。
石油ストーブでも、多くの機種は電気で点火します。エアコンは当然止まります。電気を使わない暖房手段が家に一つもない、という家庭は少なくありません。
停電への備えは長期停電への備えに整理してあります。
屋根の雪
JPCZの雪は、短時間で一気に積もります。数日かけて積もる雪と違い、屋根への負担が急に増えます。
ただし降っている最中に屋根に上がるのは、絶対にやめてください。視界がなく、足元も見えません。
除雪は、降りやんでから、明るいうちに、複数人で。これが原則です。
北海道から見ていて、思うこと
私は札幌にいます。北海道は雪に慣れている、と思われがちです。
確かに、装備は整っています。冬タイヤは全員が履いていますし、除雪の体制もあります。
それでも、立ち往生は起きます。
慣れているからこそ「これくらいなら行ける」と判断してしまう。その判断が、JPCZのような普段と違う降り方の前では通用しません。
そして、より危ないのは普段あまり雪の降らない地域に、JPCZの帯が南下したときです。
山陰、近畿北部、東海の山間部。冬タイヤを履いていない車が走っている地域に、記録的な雪が降る。これが最悪の組み合わせです。
過去の大規模な立ち往生の多くは、この形で起きています。
「うちは雪国じゃないから」という感覚が、いちばん危ない。私はそう思っています。
JPCZの情報を、どこで見るか
「JPCZ」という言葉そのものは、気象庁の警報や注意報の名前としては使われません。
警報は「大雪警報」「暴風雪警報」という形で出ます。JPCZは、その原因を説明するときに使われる言葉です。
ですから、探し方に少しコツがあります。
| 見るもの | そこで分かること |
|---|---|
| 気象庁の「各地の気象情報」 | 担当の気象台が出す解説文。ここに帯の位置や見込みが書かれます |
| 気象庁の警報・注意報 | 自分の市町村に何が出ているか |
| 雨雲(雪雲)レーダー | 帯がいまどこにあり、どちらへ動いているか |
| 気象台の記者会見・報道発表 | 大きな災害が予想されるとき、事前に呼びかけが行われます |
| 道路管理者の通行止め情報 | 予防的な通行止めの予告が出ることがあります |
いちばん実用的なのは、レーダーです。
日本海に細長い筋が一本、斜めに伸びているのが見えたら、それがJPCZです。その筋の延長線上に自分の地域があるかどうかを見てください。
そして筋が南北に動いているかどうかを、時間をずらして2回見てください。止まっているなら、その真下は長時間降り続けます。
離れて暮らす家族がいる場合
これは、私が相談を受けることの多い話です。
雪国に高齢の親が一人で住んでいる。このケースでは、心配すべきことが3つあります。
| 心配ごと | できること |
|---|---|
| 除雪中の事故 | 「一人で屋根に上がらない」を約束しておく |
| 停電と暖房 | 電気を使わない暖房が家にあるか、事前に確認しておく |
| 買い物に出られない | 降る前に、数日ぶんの食料と灯油を確保してもらう |
大雪の予報が出た時点で、一度電話をしてください。降ってからでは、除雪の相談も買い物の相談も間に合いません。
そして「無理に除雪しないで」と伝えるだけでは足りません。放っておけば家が傷むと分かっているから、無理をするのです。
地域によっては、自治体や社会福祉協議会が高齢世帯の除雪を支援する制度があります。制度の有無と条件は市町村ごとに違いますので、お住まいの自治体の窓口にご確認ください。雪が降る前に調べておくことをおすすめします。
歩いている人にも、危険があります
車の話を長く書きましたが、徒歩の危険も無視できません。
ホワイトアウト
強い雪と風が同時に起きると、視界が真っ白になって何も見えなくなります。これをホワイトアウトといいます。
怖いのは、方向感覚がなくなることです。
数十メートル先の建物が見えない。自分がどちらを向いているか分からない。結果として、家のすぐ近くで動けなくなるということが実際に起きます。
ホワイトアウトのなかを歩いて移動しようとしないでください。いま建物の中にいるなら、そこにとどまるのが正解です。「すぐそこだから」という判断が、いちばん危険です。
やむを得ず外にいるなら、風下側を背にして、車や建物など風をさえぎるものの陰に入ってください。そして助けを呼んでください。
雪の下の氷
降り始めの雪は、路面の氷を隠します。
新雪はやわらかいので、歩きやすく感じます。ところがその下は、踏み固められて凍った路面です。
転倒は、この境目で起きます。詳しくはブラックアイスバーンの危険に書きました。
雪には、重い雪と軽い雪があります
同じ大雪でも、性質が違います。この違いが、被害の出方を変えます。
| 湿った重い雪 | 乾いた軽い雪 | |
|---|---|---|
| 降りやすい条件 | 気温が0度前後 | 気温が低い(氷点下数度以下) |
| 降りやすい地域 | 本州の日本海側・太平洋側の平地 | 北海道・内陸・山間部 |
| 起きやすい被害 | 着雪による停電・倒木・カーポートの倒壊 | 吹雪・ホワイトアウト・吹きだまり |
| 除雪 | 重くて体力を消耗する | 軽いが、風で何度も積み直される |
JPCZは日本海側にかかるので、地域によってどちらにもなります。
本州の日本海側の平地なら湿った重い雪、北海道や内陸の山沿いなら乾いた軽い雪。備えるべきものが変わります。
湿った雪の地域なら、停電への備えを優先してください。電線への着雪が起きます。
乾いた雪の地域なら、吹きだまりと視界を優先してください。降った雪が風で運ばれ、道路の一部だけが深く埋まります。
前日のうちに決めておくこと
大雪の日にいちばん難しいのは、行くか行かないかの判断です。
朝になって窓の外を見てから決めようとすると、たいてい判断が甘くなります。すでに家を出る時間が迫っているからです。
だから、前日のうちに決めておきます。
| 前日に決めること | 具体的に |
|---|---|
| 職場・学校への連絡の仕方 | 誰に、どの手段で、何時までに伝えるか |
| 行かない条件 | 「大雪警報が出ていたら行かない」など、数字や情報名で決める |
| 代わりの手段 | 在宅で対応できるか。公共交通に替えられるか |
| 家族の予定 | 送迎の必要があるか。誰が家にいるか |
| 買い物 | 2〜3日ぶんの食料と、灯油の残量 |
「行かない条件」を、感覚ではなく情報の名前で決めておくことをおすすめします。
「ひどそうだったら」では、朝に判断できません。「大雪警報が出ていたら」なら、迷いません。
会社に説明しにくい、という問題
これは、防災の記事があまり書かないことです。
行かない判断をしても、職場が理解しないことがあります。それが分かっているから、無理をして出てしまう。
ここについて私が言えるのは、その日の朝ではなく、前もって話しておくということだけです。
大雪の前日に「明日、警報が出たら在宅にさせてください」と伝えるほうが、当日の朝に電話するよりはるかに通りやすいです。
そして立ち往生した場合、その人は職場にも来られず、家にも帰れません。結果として、無理に出勤させるほうが損失は大きくなります。
迂回しようとして、いちばん危ない道に入ってしまう
最後に、実際によく起きる失敗を書きます。
高速道路が通行止めになると、車は一般道へ流れます。
そこで地図アプリが、空いている道を案内します。山越えの県道や、細い峠道です。
この道が、いちばん危険です。理由は3つあります。
| なぜ危ないか | 中身 |
|---|---|
| 除雪の優先度が低い | 幹線道路が優先されます。細い道は後回しです |
| 標高が高い | ふもとが雨でも、峠は雪ということが普通にあります |
| 助けが来にくい | 通る車が少なく、携帯の電波も届かない区間があります |
地図アプリは「空いている道」を教えてくれますが、「除雪されている道」は教えてくれません。
空いているのは、地元の人が危ないと知っていて通らないからかもしれません。
大雪のときは、遠回りでも幹線道路を選んでください。そして、幹線も止まっているなら、それは「引き返す」か「その場にとどまる」を選ぶ場面です。迂回で突破しようとしないでください。
除雪車を見かけたら
除雪車は、ゆっくり走ります。追い越したくなります。
追い越さないでください。
除雪車の前方は、まだ除雪されていません。追い越した先で自分が動けなくなれば、除雪そのものを止めることになります。
除雪車の後ろについて走るのが、その状況でいちばん安全で、いちばん速い方法です。
よくある質問
Q. JPCZは毎年発生しますか?
冬型の気圧配置が強まれば、毎年何度も発生します。珍しい現象ではありません。
珍しいのは「強いJPCZが、動かずに、同じ場所にかかり続けること」です。大きな災害になるのは、その場合です。
Q. 天気予報で「JPCZ」と言われたら、必ず大雪になりますか?
いいえ。帯がどこにかかるかで、まったく違います。
だから予報を聞いたら、「自分の地域に、いつ、どのくらいかかるのか」まで確認してください。「JPCZが発生」という言葉だけでは、行動を決められません。
Q. 線状降水帯とJPCZは、同じものですか?
別のものです。どちらも細長い帯で、同じ場所に降り続けるという点は共通しています。
しかし線状降水帯は夏の大雨、JPCZは冬の大雪で、できる仕組みも違います。JPCZが「線状降雪帯」と呼ばれるのは、見た目が似ているからです。
Q. 「気象防災速報(短時間大雪)」が出たら、どうすればいいですか?
すでに降っているという知らせなので、外に出ないのが基本です。
すでに車で移動中なら、無理に目的地を目指さず、安全に停められる場所へ入ってください。コンビニ、道の駅、サービスエリアなど、建物のある場所が望ましいです。
路上で止まるのが、いちばん危険です。
Q. 冬タイヤを履いていれば大丈夫ですか?
足りません。冬タイヤは滑りにくくするものであって、積もった雪の中を進む力を与えるものではありません。
車の底が雪に乗り上げれば、タイヤが空回りして動けなくなります。タイヤの種類にかかわらず、そうなります。
チェーンがあれば脱出できる場面はありますが、降っている最中に路上でチェーンを装着するのは、それ自体が危険です。
Q. JPCZは、太平洋側には関係ありませんか?
直接の大雪は、基本的に日本海側です。雪雲は山を越えるあいだに水分を落とすので、太平洋側に着くころには乾いた風になります。
ただし影響がないわけではありません。
物流が止まります。日本海側を通る高速道路や鉄道が不通になれば、荷物は届きません。店の棚が空くという形で、太平洋側にも影響が出ます。
また関ケ原付近や、伊吹山地の切れ目のように、山の低い場所から雪雲が太平洋側へ流れ込む地形もあります。名古屋や滋賀で雪が降るのは、この形です。
Q. 「大雪に関する早期天候情報」というのも見ました。違うものですか?
別のものです。こちらは数日〜2週間ほど先を見越した、早めの注意喚起にあたる情報です。
整理すると、時間の遠い順にこうなります。
| 時間 | 情報 | 使い方 |
|---|---|---|
| 数日〜2週間先 | 早期天候情報 | 予定を組み替える・買い出しをしておく |
| 数日前〜前日 | 気象台の気象情報・週間予報 | 行くか行かないかを決める |
| 当日 | 大雪警報・暴風雪警報 | 行動を止める |
| 降っている最中 | 気象防災速報(短時間大雪) | 外に出ない・その場にとどまる |
下にいくほど、できることが減ります。だから上の段階で動くほど有利です。
Q. 高速道路が通行止めになるのは、なぜですか?
止めたほうが被害が小さいからです。
通行止めにすれば、車が入ってこないので除雪ができます。逆に、車を走らせたまま除雪はできません。
予防的な通行止めは、近年は早めに判断される傾向にあります。不便に感じても、それは立ち往生を防ぐための措置です。
まとめ|覚えておくのは3つです
| 要点 | 内容 |
|---|---|
| JPCZとは | 日本海寒帯気団収束帯。長さ約1,000キロの雪雲の帯。線状降雪帯とも呼ぶ |
| 仕組み | シベリアの寒気が朝鮮半島北部の山で二手に分かれ、日本海で合流して収束する |
| 怖さ | 狭い範囲に、短時間で、異常な量が降る |
| 最大の危険 | 車の立ち往生。そして車内での一酸化炭素中毒 |
| 情報 | 気象防災速報(短時間大雪)。旧称は顕著な大雪に関する気象情報 |
| 大雪警報 | 2026年5月の見直しの対象外。名称は変わっていない |
そして、今日できることを3つに絞ります。
ひとつ目。車にスコップを積む。立ち往生したとき、マフラーの雪をどけられるかどうかが分かれ目になります。
ふたつ目。冬のあいだ、燃料は半分を切ったら入れる。これは習慣にするしかありません。
みっつ目。天気予報でJPCZという言葉が出たら、自分の地域に何時ごろかかるのかまで調べる。言葉だけでは行動を決められません。
雪は、雨と違って積み上がります。降り始めてから対策を考えるのでは、間に合いません。
そして、この記事でいちばん伝えたかったのは、JPCZという言葉を家族と共有してほしいということです。
ニュースで流れたとき、家族の誰かが「今日は車やめよう」と言える。それだけで、この記事の役目は果たせます。
言葉を知らなければ、判断の材料になりません。逆に知っていれば、たった4文字が行動を変えます。
スコップ1本と、給油の習慣。この2つは、今週のうちに終わらせられます。
冬に入る前の、いまのうちに済ませておいてください。
【この記事について】
JPCZの仕組み・名称の由来は公開されている気象解説資料をもとに整理しました。「気象防災速報(短時間大雪)」の発表の目安として挙げた数値はおおむねの目安であり、実際の基準は観測地点ごとに異なります。また情報の名称や運用は変更されることがあります。最新の内容は、必ず気象庁の公式サイトでご確認ください。警報・注意報の基準は市町村ごとに定められています。お住まいの地域の基準は、気象庁の「警報・注意報発表基準一覧表」で確認できます。





