西高東低とは?冬型の気圧配置の読み方と、等圧線の間隔でわかる寒さ

西高東低とは?冬型の気圧配置の読み方と、等圧線の間隔でわかる寒さ

・当サイトはアフィリエイト広告(Amazonアソシエイト・楽天市場・各種ASP)およびGoogleアドセンスを利用しています。
・記事内リンク経由でご購入いただいた場合、サイト運営者に紹介料が発生することがあります。
・掲載内容は収益に左右されず、公的機関の資料・メーカー公表仕様などの確認できる情報をもとに作成しています。

スポンサーリンク

【この記事の要約】
西高東低とは、日本の西に高気圧、東に低気圧がある気圧の並びのことです。冬に典型的に現れるので「冬型の気圧配置」とも呼ばれます。西にあるのはシベリア高気圧、東にあるのは日本の東やオホーツク海方面で発達した低気圧です。この並びになると、日本には北西の季節風が吹き込みます。大陸から来る乾いた冷たい空気が、暖かい日本海の上で水蒸気をもらって雪雲になり、日本海側に雪を降らせます。そして山を越えると水分を失うので、太平洋側は乾いた晴天になります。同じ日に、片側は大雪で片側は快晴。これが冬の日本で起きる理由です。天気図での見分け方は簡単です。等圧線が南北方向に縦じま模様になっていたら、冬型です。そしてその線の間隔が狭いほど、風が強く、寒くなります。「冬型が強まる」という表現は、この線が混んでくることを指しています。逆に「冬型がゆるむ」と聞いたら、雪はやみますが、今度は晴れて放射冷却で朝が冷え込みます。この記事では、天気図の読み方と、そこから何を判断できるかを整理します。

冬の天気予報では、必ずと言っていいほどこの言葉が出てきます。

「西高東低の冬型の気圧配置が続くでしょう」

学校で習った記憶がある方も多いと思います。ただ、それを聞いて何が分かるのかというと、案外あいまいです。

私は札幌に住んでいて、防災士として活動しています。北海道では、この言葉が生活に直結します。

西高東低と聞けば、翌日の除雪の量が想像できます。言葉と実際の生活が、つながっているのです。

この記事では、そのつなげ方を書きます。天気図を読めるようになると、予報を待たずに自分で見当がつけられるようになります。

難しい話にはしません。見るのは、線の間隔だけです。

目次

結論|等圧線の間隔を見てください

先に結論を書きます。

天気図で見るべきなのは、等圧線の「間隔」です。

等圧線というのは、気圧が同じ場所を結んだ線のことです。天気図に描かれている、あの曲線です。

線の様子 意味すること
縦じま模様になっている 冬型の気圧配置です
線の間隔が狭い 風が強い。寒気も強い。大雪になりやすい
線の間隔が広い 風は弱い。冬型がゆるんでいる
線が日本列島を横切って何本もある 冬型が強く、日本海側は荒れます

間隔が狭いほど、風が強い。これだけ覚えておけば、天気図から寒さと荒れ方が読み取れます。

理由は単純です。等圧線が混んでいるということは、狭い距離のあいだに気圧の差が大きいということだからです。気圧の差が大きければ、風は強く吹きます。

西高東低とは何か

言葉のとおりです。西に高気圧、東に低気圧。それだけです。

西にあるもの|シベリア高気圧

冬になると、シベリア大陸が強く冷えます。

冷えた空気は重くなります。重い空気が大陸の上にたまると、そこは気圧が高くなります。これがシベリア高気圧です。

大陸は海と違って、冷えやすく暖まりやすい性質があります。だから冬の大陸は、極端に冷えます。

この高気圧は非常に大きく、そして強力です。地球上でもっとも強い高気圧のひとつだと言われています。

この巨大な冷たい空気のかたまりが、日本の冬をつくっています。

東にあるもの|発達した低気圧

一方、日本の東やオホーツク海の方面には、低気圧が居座ります。

冬は、南の暖かい空気と北の冷たい空気の温度差が大きくなります。この温度差が、低気圧を発達させるエネルギーになります。

だから冬の低気圧は、よく発達します。急速に発達すれば、いわゆる爆弾低気圧になります。

詳しくは爆弾低気圧とは?気象庁が使わない言葉の意味に書きました。

その間に、日本があります

西に高気圧、東に低気圧。その真ん中に日本列島があります。

風は、気圧の高いところから低いところへ吹きます。つまり、西から東へ風が流れます。

ただし、地球が自転している影響で、風はまっすぐには吹きません。結果として、日本には北西からの風が吹き込むことになります。

これが北西の季節風です。冬のあいだ、ずっと吹き続けます。

そして、この風が日本海を渡るところから、日本の冬の物語が始まります。次の章で、その過程を追います。

なぜ、日本海側だけ雪が降るのか

ここが、冬の日本のいちばん面白いところだと思っています。

①大陸から来る空気は、乾いています

シベリアから吹き出す空気は、冷たくて、そして乾いています。

大陸の内陸部には、水がありません。だから、水蒸気を含んでいないのです。

この段階では、雪の材料がありません。

もし日本海がなければ、この空気はそのまま乾いた冷たい風として日本を通り過ぎるだけでした。雪国は、存在しなかったことになります。

②日本海の上で、水蒸気をもらいます

日本海には、対馬海流という暖流が流れ込んでいます。

冬でも、日本海の海水温は比較的高いままです。そこへ氷点下の空気が乗ります。

すると何が起きるか。お風呂から湯気が上がるのと同じことが、日本海全体で起きます。

海面から、さかんに水蒸気が上がります。そして同時に、熱ももらいます。

暖められて水蒸気を含んだ空気は、上へ昇ります。昇れば冷えて、雲になります。こうして雪雲が生まれます。

③日本の山にぶつかって、雪を落とします

雪雲を含んだ風は、日本海側の陸地にたどり着きます。

そこには山があります。奥羽山脈、越後山脈、飛騨山脈、中国山地。

風は山にぶつかると、上へ持ち上げられます。持ち上げられた空気はさらに冷えて、雲が発達します。

そして雪を降らせます。これが、日本海側の雪です。

④山を越えたあとは、乾いた風になります

雪を降らせた空気は、水分を失っています。

その状態で山を越えて、太平洋側へ下りていきます。

下りるときには、空気は圧縮されて温度が上がります。乾いていて、少し暖かい風。これが太平洋側に吹きます。

関東でいう「からっ風」がこれです。

だから冬の太平洋側は、晴れて乾燥します。火事が増えるのも、この時期です。

日本海側 太平洋側
天気 雪・くもり 晴れ
湿度 高い 非常に低い
日照時間 短い 長い
主な災害 大雪・なだれ・停電 火災・乾燥・強風
朝の冷え込み くもりなのでゆるい 晴れるので厳しい

同じ気圧配置が、正反対の天気を生みます。これが日本の冬の特徴です。

天気図の読み方

ここからは、実際に天気図を見るときの話です。

見分け方は、縦じま

冬型の天気図は、見ればすぐに分かります。

等圧線が南北方向に、縦じま模様に並びます。日本列島の上を、何本もの線が縦に横切ります。

夏の天気図と比べると、違いは明らかです。夏は太平洋高気圧が大きく張り出して、線がゆったりと丸く描かれます。冬は、線が縦に密集します。

間隔で強さを測る

線が混んでいるほど、風が強い。これが基本です。

天気予報で「冬型が強まる」と言うのは、この線の間隔が狭くなることを指しています。

逆に「冬型がゆるむ」と言えば、線の間隔が広がることです。

予報の表現 天気図では 実際に起きること
冬型が強まる 等圧線が混む 強い北西風。日本海側は大雪
冬型が続く 縦じまが維持される 雪が降り続きます
冬型がゆるむ 等圧線の間隔が広がる 雪はやむ。ただし晴れて冷え込みます
冬型が崩れる 縦じまがなくなる 低気圧や高気圧が通り、天気が変わります

「冬型がゆるむ」を、安心と受け取らないでください

ここは、大事な注意点です。

冬型がゆるむと、雪はやみます。しかし危険がなくなるわけではありません。

むしろ、次の3つが起きます。

起きること 説明
朝の冷え込み 晴れて風が弱まるので、放射冷却が強まります
路面の凍結 溶けた雪の水が、夜のうちに凍ります
なだれ 気温が上がると、積もった雪がすべりやすくなります

雪がやんだ翌朝が、いちばん転倒事故が多い。これは覚えておいてください。

詳しくは放射冷却とは?晴れた朝ほど冷える3つの条件に書きました。

上空の寒気も、あわせて見ます

天気予報では、もうひとつの数字がよく出てきます。

「上空5,500メートル付近にマイナス36度の寒気が流れ込む」といった表現です。

なぜ上空を見るのか

地上の気温だけでは、雪の降り方が分からないからです。

雪雲が発達するかどうかは、海面の温度と、上空の空気の温度の差で決まります。

差が大きいほど、空気は激しく上昇します。激しく上昇すれば、雲は高く発達し、雪は強く降ります。

日本海の海面温度はすぐには変わりません。ですから、上空にどれだけ冷たい空気が来るかが、決め手になります。

よく使われる目安

高さ よく言及される温度 意味
上空およそ1,500メートル マイナス6度前後 雪になるかどうかの目安に使われます
上空およそ5,000〜5,500メートル マイナス30度台 強い寒気。大雪になりやすい

これらは目安であり、地域や条件によって変わります。ただ、予報でこうした数字が出てきたら「強い寒気なのだな」と受け取ってください。

そしてこの寒気の強さと、等圧線の混み具合の両方がそろったときが、いちばん荒れます。

季節による移り変わり

西高東低は、冬のあいだずっと続くわけではありません。

時期 気圧配置の傾向
11月〜12月 冬型が現れ始めます。初雪の時期です
12月〜2月 冬型がもっとも強くなります
2月〜3月 冬型がゆるみ、南岸低気圧が増えます
3月〜4月 低気圧と高気圧が交互に通る、春の天気に

2月から3月にかけては、注意が必要な時期です。

冬型がゆるむ一方で、本州の南を低気圧が通るようになります。これが南岸低気圧で、太平洋側に雪を降らせます。

つまり冬の後半は、日本海側の雪が落ち着いてきたころに、太平洋側の雪が始まるという形になります。

詳しくは南岸低気圧とは?東京に雪が降る仕組みに書きました。

なぜ「西高東低」が冬にだけ現れるのか

もう少しだけ、仕組みを掘り下げます。ここが分かると、季節の移り変わりも読めるようになります。

陸と海の、暖まり方の違い

陸は、暖まりやすく冷えやすい。海は、暖まりにくく冷えにくい。

これが、季節ごとの気圧配置を決める土台になっています。

季節 大陸 気圧配置
強く冷える 比較的暖かい 大陸が高気圧。西高東低
強く暖まる 比較的冷たい 海が高気圧。南高北低

冬と夏で、高気圧の位置が入れ替わります。

冬は大陸が冷えて重い空気がたまり、そこが高気圧になります。夏は逆に、太平洋高気圧が張り出してきます。

だから風の向きも逆になります。冬は北西から、夏は南東から。これが季節風です。

だから、春と秋は天気が変わりやすい

冬型から夏型へ、あるいはその逆へ移り変わる時期が、春と秋です。

どちらの高気圧も決定的に強くないので、低気圧と高気圧が交互に通ります。

「三寒四温」や「天気は西から変わる」という言い方は、この時期のことを指しています。

逆に言えば、冬に西高東低が続くのは、それだけ安定した状態だということです。数日単位で同じ天気が続くのは、そのためです。

冬型のときに起きる、災害の全体像

西高東低が強まると、日本各地で同時に別々のことが起こります。整理しておきます。

日本海側で起きること

起きること 説明
大雪 短時間に積もり、交通が止まります
車の立ち往生 もっとも多い被害です。連鎖して長時間化します
着雪による停電 湿った雪が電線に張りつき、重みで切れます
なだれ 積雪が増えたあと、気温が上がると起きやすくなります
屋根の雪 重みで家が傷みます。落雪も危険です
除雪中の事故 雪害で亡くなる方の多くは、この作業中です
高波 冬の日本海は非常に荒れます

太平洋側で起きること

起きること 説明
火災 乾燥と強風。冬に火災が多いのは、この組み合わせのためです
強風による被害 看板や物干し竿が飛びます
朝の冷え込み 晴れるので、放射冷却が強く働きます
体調への影響 乾燥は、のどや肌に負担をかけます
物流の遅れ 日本海側の交通が止まると、荷物が届きません

雪の降らない地域にとって、冬型でいちばん怖いのは火災です。

空気が乾いていて、強い風が吹いている。火が出れば、あっという間に燃え広がる条件がそろっています。

気象庁は「乾燥注意報」を出しています。冬型が続く時期には、太平洋側で頻繁に発表されます。

この注意報が出ているときは、火の取り扱いに、いつも以上に気をつけてください。

同じ日本海側でも、降り方は違います

「日本海側は大雪」と一括りにされますが、実際には地域差が大きくあります。

風上と風下

北西の風がどこから来て、どこにぶつかるか。これで降る場所が決まります。

山の風上側は、空気が持ち上げられるので雪が降ります。風下側は、下降気流になるので晴れます。

ですから山を一つ隔てただけで、天気がまったく違うということが起こります。

海からの距離

雪雲は日本海の上でつくられます。ですから、海に近いほど雪雲が届きやすくなります。

ただし、山に近いほうがよく降るという面もあります。空気が持ち上げられるからです。

このバランスによって、海沿いに多く降るのか、山沿いに多く降るのかが変わります。これが「里雪」と「山雪」と呼ばれる違いです。

北海道と本州の違い

同じ日本海側でも、北海道と本州では雪の性質が違います。

北海道 本州の日本海側
気温 より低い 0度前後のことが多い
雪の性質 乾いた軽い雪 湿った重い雪
起きやすい問題 吹雪・地吹雪・吹きだまり 着雪・停電・屋根の重み
除雪の負担 量は多いが、軽い 量は少ないが、重い

ですから、備えるべきものも変わります。

北海道なら、視界と吹きだまりへの備え。本州の日本海側なら、停電と屋根への備え。同じ「大雪」でも、優先順位が違います。

冬型が続くときの、生活の備え

強い冬型が数日続くと分かったとき、何をしておくとよいのか。

やること 理由
灯油を買っておく 降り出すと、買いに行けません。売り切れることもあります
食料を数日ぶん 店に行けないだけでなく、店に商品が届きません
車に給油する 立ち往生したとき、燃料は暖房です
常備薬を確認する 薬は代えがきかず、切らすと困ります
スマートフォンを充電 停電に備える
現金を用意する 停電すると、カードも電子決済も使えません

灯油は、意外と見落とされます。

寒くなってから慌てて買いに行く人が集中するので、配達も店頭も混み合います。そして雪が降れば、配達そのものが遅れます。

冬型が強まる予報が出たら、まず灯油の残量を見てください。

停電に備える

冬の停電は、暖房の停止を意味します。

石油ストーブでも、点火や送風に電気を使う機種があります。コンセントを抜いて動くかどうか、一度試しておいてください。

電気を使わない暖房手段が一つもない場合、それが冬のいちばん大きな弱点です。

備えは長期停電への備えにまとめました。

この知識を、何に使うのか

天気図が読めると、何が変わるのでしょうか。

①予報の一歩先が読める

天気予報は、明日や明後日のことを教えてくれます。

しかし天気図を見れば、その気圧配置がいつまで続きそうかが、なんとなく分かります。

強い冬型が数日続くと分かれば、買い物の量も、予定の組み方も変わります。

②地域による違いが分かる

ニュースは全国向けに作られています。「日本海側は大雪」と言われても、自分の地域がどうなのかは分かりません。

気圧配置を理解していれば、自分の住む場所が風上なのか風下なのか、山のどちら側なのかが分かります。

③家族に説明できる

これは意外に大事なことだと思っています。

「明日は冬型が強まるから、車はやめておこう」と根拠つきで言えるかどうかで、家族の納得は変わります。

「なんとなく危なそうだから」では、動いてもらえません。

冬型のときの、車と道路

冬型が強まった日に、いちばん被害が出るのが車です。

朝、車を出す前に

やること 理由
屋根の雪をすべて落とす ブレーキで前に落ちて、視界がゼロになります
ライトとナンバーの雪を落とす 相手から見えません
マフラーのまわりを確認 雪でふさがると、排気が車内に入ります
窓の霜を完全に落とす 覗き穴だけ作って走るのは危険です
燃料を確認する 半分を切っていたら、給油してから出発する

マフラーの確認は、駐車中に雪が積もった場合にとくに重要です。一酸化炭素は無色無臭で、気づいたときには手遅れになります。

走っているとき

いちばん危ないのは、風の通り道です。

橋の上、海沿いの直線、切り通し、建物の切れ目。こうした場所では、急に横風を受けます。

そして雪が積もっていれば、そこで地吹雪が起きます。数十メートル先が見えなくなることがあります。

視界がなくなったときに、してはいけないのが急ブレーキです。後ろの車も同じように見えていません。追突されます。

ハザードランプをつけて、速度を落として、できるだけ路肩の広い場所を探す。これが基本です。

除雪車を追い越さない

除雪車はゆっくり走ります。しかしその前方は、まだ除雪されていません。

追い越した先で自分が動けなくなれば、除雪そのものを止めることになります。

後ろについて走るのが、結果としていちばん速く、いちばん安全です。

北海道から見ていて、思うこと

北海道では、西高東低が生活のリズムそのものです。

冬型が強まれば、朝に除雪をします。冬型がゆるめば、路面が凍るので歩き方を変えます。

この切り替えを、みんな無意識にやっています。天気図を読んでいるわけではなく、体で覚えているのです。

ただ、私が気になっているのはその体で覚えた感覚が、他の地域では通用しないということです。

同じ「冬型が強まる」でも、北海道と北陸と山陰では、起きることが違います。雪の性質も、降る量も、地形も違うからです。

だからこそ、仕組みで理解しておく価値があると思っています。

仕組みが分かっていれば、引っ越しても、旅行先でも応用が効きます。経験は場所に縛られますが、仕組みは持ち運べます。

「冬将軍」という言葉について

ニュースでよく使われる言葉に「冬将軍」があります。

これは気象庁の用語ではありません。報道や一般の表現として使われている言い方です。

意味としては、強い寒気が流れ込んで、厳しい寒さや大雪をもたらす状態を指しています。つまり、この記事で説明してきた「冬型が強まった状態」のことです。

言葉の由来は、ロシアの厳しい冬が軍隊を退けた歴史から来ているとされます。ただし、これは語源の説明であって、気象の定義ではありません。

実務としては、「冬将軍が来る」と聞いたら、天気図で等圧線の間隔を確認する。それが正しい受け取り方です。言葉の強さではなく、実際の気圧配置と警報で判断してください。

予報でよく出る言い回しを、翻訳しておきます

冬の天気予報には、決まった言い回しがあります。意味を知っておくと、行動に直せます。

予報の表現 実際の意味
「強い冬型の気圧配置」 等圧線が混んでいる。日本海側は大雪、太平洋側は強風
「この冬いちばんの寒気」 上空の気温が非常に低い。雪雲が発達しやすい
「日本海側では平地でも大雪」 普段あまり降らない海沿いにも積もります。里雪型です
「山沿いを中心に大雪」 標高の高い場所に集中します。山雪型です
「冬型は次第にゆるむ」 雪はやみます。ただし晴れて、翌朝は冷え込みます
「日本海に発達した雪雲の帯」 JPCZです。狭い範囲に短時間で異常な量が降ります
「風が強く、吹雪くところも」 視界が悪くなります。車の運転は避けてください

とくに注意してほしいのが、下から2番目です。

「日本海に発達した雪雲の帯」という表現は、JPCZ(日本海寒帯気団収束帯)のことを指しています。これがかかる地域では、数時間で数十センチ積もることがあります。

詳しくはJPCZとは?日本海寒帯気団収束帯が大雪を起こす仕組みに書きました。

よくある質問

Q. 西高東低は、冬にしか起きませんか?

ほぼ冬に限られます。シベリア大陸が強く冷えることが条件だからです。

秋の終わりや春の初めに、一時的に現れることはあります。いわゆる「寒の戻り」や、11月の初雪はこの形です。

ただし、冬の真ん中ほど強くはなりません。

Q. 等圧線の間隔が狭いと、なぜ風が強いのですか?

短い距離のあいだに、気圧の差が大きいからです。

坂道に例えると分かりやすいと思います。急な坂ほど、ボールは速く転がります。

等圧線が混んでいるということは、気圧の坂が急だということ。だから空気は速く動きます。それが強い風です。

Q. 太平洋側に住んでいます。冬型は関係ありますか?

大いに関係します。雪が降らないだけで、影響は受けています。

太平洋側で起きること 説明
乾燥 湿度が非常に低くなり、火災が増えます
強い風 からっ風。体感温度が下がります
朝の冷え込み 晴れるので、放射冷却が強く働きます
物流の遅れ 日本海側の交通が止まると、荷物が届きません

冬の火災が多いのは、この乾燥と強風のためです。空気が乾いていて、風が強い。火が出れば、一気に広がります。

Q. 「冬型の気圧配置」と「西高東低」は、同じ意味ですか?

ほぼ同じものを指しています。

「西高東低」は気圧の並び方を表した言葉、「冬型の気圧配置」はその並びが冬に典型的だということを表した言葉です。

予報では、両方が並べて使われることが多くあります。「西高東低の冬型の気圧配置」という言い方は、同じことを二度言っている形です。

Q. 天気図は、どこで見られますか?

気象庁の公式サイトで公開されています。「天気図」で検索すれば見つかります。

新聞にも掲載されていますし、天気予報アプリでも見られるものがあります。

毎日見る必要はありません。冬に「今日はどうかな」と思ったときに、一度開いてみる。それだけで、予報の理解が深まります。

Q. 等圧線が何本あったら大雪ですか?

本数で決まるものではありません。

目安として言われるのは「日本列島にかかる等圧線の本数が多いほど、冬型が強い」ということですが、地域によって影響は変わります。

本数を数えるより、気象庁の警報・注意報を見るほうが確実です。天気図は全体の傾向をつかむもの、警報は自分の地域の危険を知るもの。役割が違います。

Q. 冬型なのに、雪が降らない日があります。なぜですか?

冬型にも強弱があるからです。

等圧線の間隔が広い「弱い冬型」では、風も弱く、雪雲もあまり発達しません。日本海側でも、くもり程度で終わることがあります。

また、上空の寒気が弱い場合も同じです。海面との温度差が小さければ、雪雲は育ちません。

ですから「冬型=必ず大雪」ではありません。等圧線の間隔と、上空の寒気。この2つを合わせて見てください。

Q. 「JPCZ」と「冬型」は、どう違うのですか?

JPCZは、冬型のときに日本海の上にできる、雪雲の帯のことです。別のものではなく、冬型のなかで起きる現象のひとつです。

冬型になれば日本海側には広く雪が降りますが、JPCZがかかった場所だけは、桁違いに降ります。

つまり冬型は「面」で降らせ、JPCZは「線」で降らせると考えると分かりやすいと思います。

Q. 冬型が続くと、いつまで雪が降りますか?

気圧配置が変わるまで降り続けます。

数日続くこともあれば、1日で終わることもあります。天気予報の週間予報を見れば、いつまで続きそうかが分かります。

そして「何日続くか」は、備えの量を決める材料になります。1日なら家にあるもので足りますが、数日続くなら買い出しが必要です。

まとめ|見るのは、線の間隔です

要点 内容
西高東低とは 西に高気圧、東に低気圧。冬型の気圧配置
西の高気圧 シベリア高気圧。冷えた重い空気がたまったもの
起きる風 北西の季節風
日本海側 暖かい海で水蒸気をもらい、山にぶつかって大雪
太平洋側 水分を失った風が下りてきて、乾いた晴天
天気図の見方 縦じま模様。線の間隔が狭いほど強い
ゆるんだとき 雪はやむが、放射冷却で朝が冷える

今日できることは、ひとつです。

この冬、天気図を一度だけ開いてみてください。

縦じまになっているかどうか。線が混んでいるかどうか。それを見るだけで、その日の天気の理由が分かります。

そして一度分かると、次からは一目で判断できるようになります。これは、覚え直す必要のない知識です。

予報を聞くだけの立場から、自分で見当をつけられる立場へ。その差は、冬のあいだずっと効いてきます。

そして、この記事で書いたことは毎年そのまま使えます。気圧配置の仕組みは、年によって変わるものではありません。

一度覚えれば、来年も再来年も役に立ちます。雪の季節が始まる前の、いまが覚えどきです。

【この記事について】
西高東低の仕組みと天気図の読み方は、気象庁および公開されている気象解説資料をもとに整理しました。上空の気温として挙げた数値は、一般に目安として言及されるものであり、絶対的な基準ではありません。実際の降雪は、地形・海水温・風向きなど多くの条件で変わります。行動の判断にあたっては、必ずお住まいの地域に出ている警報・注意報と、最新の予報をご確認ください。警報・注意報の基準は市町村ごとに定められており、気象庁の「警報・注意報発表基準一覧表」で確認できます。

スポンサーリンク
よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

9月1日は防災の日/8月30日〜9月5日は防災週間

1年に一度、備えを点検する日です。10分でできることから始めてください。

この記事を書いた人

北海道札幌市在住の防災・サバイバル情報発信者です。2018年の北海道胆振東部地震を機に「誰でも今日から始められる防災」をモットーに活動を開始し、実際に試した防災グッズのレビューや家族構成別の備え方をわかりやすくお伝えしています。実践的で信頼できる情報を提供できるよう、がんばっています!

目次