服の色で熱中症リスクは変わる|白と黒で表面温度20℃差、実験データで解説

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【この記事の要約】
服の色で、日なたでの表面温度は大きく変わります。国立環境研究所が9色のポロシャツを炎天下に並べた実験では、白がほぼ気温どおりの約30℃だったのに対し、黒と深緑は50℃を超えました。その差は20℃以上です。ただし、ここで誤解しないでいただきたいことがあります。服の表面が50℃でも、体温が50℃になるわけではありません。服と肌の間には空気の層があり、通気性が熱の伝わり方を左右します。そして研究者自身が指摘しているのは、色を選ぶことより日陰に入ることや日傘を使うことのほうが重要だという点です。この記事では、実験データを示したうえで、実際にどう選べばよいかを整理します。

目次

結論:白と黄が有利。ただし色より日陰が効きます

先に結論をお伝えします。

日なたで過ごすなら、白や黄色といった明るい色が有利です。濃い色は日射を吸収し、表面温度が大きく上がります。

ただし、順番を間違えないでください。優先順位は次のとおりです。

  1. 日陰に入る、日傘を使う
  2. 通気性のよい素材と形を選ぶ
  3. 色を明るいものにする

色は3番目です。黒い服を白に替えても、炎天下に立ち続けるなら熱中症の危険は残ります。

逆に言えば、日陰にいるときや室内では、色の差はほとんど生じません。日射がなければ、吸収する光そのものがないためです。

「白い服を着たから大丈夫」という考え方は、危険です。この点を押さえたうえで、以下をお読みください。

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実験で分かった色ごとの温度差

それでは、実際の数値を見ていきましょう。

国立環境研究所が行った実験では、色だけが異なる9枚のポロシャツを屋外に並べ、表面温度の変化を測定しています。

実験の条件

項目 内容
対象 色だけが異なるポロシャツ9枚
気温 約30℃
ほとんどない
時間帯 日中の直射日光下
測定時間 5分間
測定方法 サーモグラフィによる表面温度

注目していただきたいのが、たった5分という点です。長時間ではありません。

結果

グループ 表面温度の傾向
最も低い 白、黄 白は気温とほぼ同じ約30℃
やや高い グレー、赤 中間の水準
さらに高い 紫、青 中間より上
最も高い 緑、深緑、黒 50℃を超えた

白と黒の差は、20℃以上に達しました。

白がほぼ気温どおりだったという点も見逃せません。つまり白は、日射をほとんど熱に変えていないということです。

一方で黒は、気温より20℃以上高くなりました。同じ場所に同じ時間置いただけで、これだけの差が生まれています。

気温30℃の日に、服の表面が50℃になる。この数字は、直感より大きいのではないでしょうか。

意外だったのは緑です

私がこの実験で最も驚いたのは、緑が黒と同じグループに入っていることでした。

緑は涼しげな印象があります。しかし熱の観点では、黒に近い挙動を示しました。特に深緑は顕著です。

見た目の涼しさと、実際の温度は別物です。この点は覚えておく価値があります。

なぜ色で差が出るのか

仕組みを理解しておくと、実験になかった色に出会ったときにも応用が利きます。

太陽光は、エネルギーを運んでいます。物にあたったとき、そのエネルギーは反射されるか、吸収されるかのどちらかです。

白は反射し、黒は吸収します

白く見えるということは、光をほとんど反射しているということです。反射された光は熱になりません。

黒く見えるということは、光をほとんど吸収しているということです。吸収されたエネルギーは熱に変わります。だから温度が上がります。

色とは、どの波長の光を反射しているかの違いです。そして反射しなかった分が、そのまま熱になります。

中間の色は中間の温度になります

黄色は白に近く、多くの光を反射します。だから温度が上がりにくいのです。

赤やグレーは、その中間です。紫や青はさらに吸収が多くなります。

実験の結果が、この理屈どおりに並んでいることが分かります。

ここが最大の誤解です

最も重要な部分をお伝えします。

服の表面が50℃だからといって、体温が50℃になるわけではありません。

間に空気の層があります

服と肌の間には、わずかな空間があります。ここに空気があり、断熱の役割を果たします。

つまり、服が受け取った熱がそのまま体に伝わるわけではないのです。

ここで効いてくるのが、通気性です。空気が流れれば、服にたまった熱は外へ逃げます。流れなければ、こもります。

ぴったりした服のほうが不利です

この理屈から、ひとつの結論が導けます。

体に密着した服は、空気の層が薄くなります。だから熱が伝わりやすくなります。

逆に、ゆとりのある服は空気の層が厚く、しかも動くたびに空気が入れ替わります。

白でもぴったりした服より、濃い色でもゆとりのある服のほうが涼しい。こうした逆転は、実際に起こりえます。

だから色だけで判断しないでください

色は要素のひとつにすぎません。素材、形、ゆとり、そして日射の有無。これらが組み合わさって、実際の暑さが決まります。

「白だから安全」という単純な話ではないのです。実験の数値は条件をそろえた比較であって、実際の生活はもっと複雑です。

数値を知ったうえで、自分の状況に当てはめて考える。それが正しい使い方だと私は考えています。

色ごとの実用的な評価

実験結果を、日常の選択に落とし込みます。

日なたでの評価 使いどころ
最も有利 基本の選択。ただし汚れと透けに注意
白に次いで有利 白が使いにくい場面の代替
グレー 中程度 汚れが目立ちにくい。汗じみは目立つ
中程度 意外に悪くない。視認性も高い
紫・青 やや不利 短時間の外出なら許容範囲
緑・深緑 不利 涼しげに見えるが温度は高い
最も不利 長時間の日なたは避けたい

実験を行った研究者も、白が汚れやすくて使いにくい場合の代替として、黄色、グレー、赤を挙げています。

白が使いにくい場面

白い服には、実用上の弱点があります。

  • 汚れが目立つ
  • 薄手だと透ける
  • 屋外作業では土や泥がつく
  • 職場の規定で着られないことがある

こうした場合、無理に白にこだわる必要はありません。黄色やグレー、赤でも十分に効果があります。

大切なのは、黒や深緑を避けることです。上位を目指すより、下位を外すほうが現実的です。

手持ちの服を思い浮かべてみてください。夏によく着るものに、黒や深緑が含まれていないでしょうか。もし含まれていたら、暑い日だけ別の1枚に替える。それだけで効果があります。

買い足す必要はありません。すでに持っている服の中から、選び方を変えるだけです。

黒い服が有利な場面もあります

ここまで黒の不利ばかり述べてきましたが、公平に逆の面も見ておきましょう。

紫外線を通しにくい

濃い色の生地は、一般に紫外線を通しにくい性質があります。白い薄手の生地は、光を反射する一方で、透過する分もあります。

日焼けを避けたい場合、濃い色のほうが有利になることがあります。

ただし、これは表面温度とは別の話です。両立させたいなら、薄い色で紫外線対策の加工がされたものを選ぶ、という方法があります。

日陰や室内では差が出ません

繰り返しになりますが、色の差は日射があってこそ生じます。

室内、地下、夜間、曇天。こうした場面では、色を気にする意味はほとんどありません。

会議室で過ごす1日と、炎天下で過ごす1時間では、後者のほうが色の影響が大きいのです。

冬は逆に有利です

季節が変われば、評価も変わります。

冬の晴れた日には、濃い色の服は日射を吸収して暖かくなります。北海道のような寒冷地では、これは利点になります。

「黒は暑い」は、夏の日なたに限った話です。

素材で比べるとどうなるか

色より効く場面が多いのが、素材です。

素材 特徴 暑さへの適性
麻(リネン) 通気性が高く、乾きやすい 高い。しわになりやすい
綿 汗をよく吸うが乾きにくい 中程度。濡れたままだと不快
ポリエステル(機能性) 吸汗速乾の加工品が多い 高い。製品による差が大きい
ポリエステル(一般) 通気性が低いものがある 低い場合がある
レーヨン 肌ざわりがよい 中程度。濡れると弱い

注目していただきたいのが、綿です。

綿は汗を吸うが、乾きません

綿のTシャツは肌ざわりがよく、汗をよく吸います。

しかし、乾くのが遅いという弱点があります。濡れた生地が肌に張りつくと、空気の層が失われます。すると熱がこもり、かえって暑く感じます。

大量に汗をかく場面では、吸汗速乾の加工がされたものを選ぶほうが快適です。

汗が乾くことが冷却です

人の体は、汗が蒸発するときに熱を奪うことで冷えます。

逆に言えば、汗が蒸発しなければ体は冷えません。濡れたまま張りついた服は、この冷却の仕組みを妨げます。

速乾性が重視される理由は、ここにあります。

形とゆとりで比べる

素材と並んで見落とされやすい要素です。

要素 涼しい方向 理由
ゆとり ゆったり 空気の層が厚く、入れ替わる
襟元 開いている 熱が抜ける
場面による 後述します
長すぎない 裾から空気が入る

長袖と半袖はどちらがよいか

意外に思われるかもしれませんが、一概には言えません。

直射日光が強い場所では、長袖のほうが涼しく感じることがあります。腕の皮膚に日光が直接あたらないためです。

砂漠地帯の民族衣装が長袖でゆったりしているのは、この理屈によるものです。

ただし、通気性のない厚手の長袖では逆効果です。薄手でゆとりのあるものに限ります。

日陰が多い場所なら半袖

直射日光を浴びない場所では、肌が露出しているほうが熱を逃がしやすくなります。

屋内と屋外を行き来する場面では、半袖に薄手の羽織りものを組み合わせる方法が現実的です。

色以外に見落とされがちな要素

服そのもの以外にも、影響する要素があります。

帽子の有無は大きい

頭は日射を最も強く受ける部分です。しかも脳は熱に弱い器官です。

帽子をかぶるだけで、頭部への直射日光を遮れます。色は服と同じ理屈で、明るいほうが有利です。

つばの広いものを選んでください。首の後ろまで覆えるものであれば、さらに効果があります。

靴と地面の関係

見落とされやすいのが足元です。

夏のアスファルトは、気温をはるかに超える温度になります。その上に立てば、下からも熱を受けます。

厚い底の靴のほうが、地面の熱が伝わりにくくなります。薄いサンダルで長時間アスファルトの上にいるのは、想像より負担が大きい行為です。

下着も影響します

外側の服だけを工夫しても、内側が汗を含んだままでは効果が薄れます。

吸汗速乾の下着を組み合わせると、汗が外へ運ばれて蒸発しやすくなります。

逆に、綿の下着に速乾のシャツを重ねると、下着が濡れたままになり、せっかくの機能が生きません。組み合わせで考えてください。

重ね着が有利になることもあります

意外な話をひとつ。

濃い色の服しか選べない場面では、内側に明るい色を重ねる方法があります。外側で吸収された熱が、内側の層で少し遮られます。

ただし通気性が落ちれば逆効果です。薄手で風が通るものに限ります。

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気温だけで判断しないでください

服装を決めるとき、多くの方は気温を見ます。しかし気温だけでは足りません。

湿度が高いと汗が乾きません

体を冷やすのは、汗が蒸発するときの気化熱です。湿度が高いと、この蒸発が進みません。

気温30℃で湿度が低い日と、気温30℃で湿度が高い日では、体への負担がまったく違います。

湿度が高い日ほど、通気性と速乾性の重要度が上がります。色より優先すべき場面です。

暑さ指数という考え方

気温、湿度、日射などをまとめて評価する指標があります。暑さ指数と呼ばれるものです。

数値が高いほど危険度が上がり、31以上は原則として運動を中止すべき水準とされています。

服装の工夫では補いきれない領域があります。指数が高い日は、そもそも外に出ない判断も必要です。

詳しくは暑さ指数WBGTとは?31℃以上は危険、5段階の目安と気温との違いを解説で解説しています。

風の有無も効きます

実験は風がほとんどない条件で行われました。これは重要な前提です。

風があれば、服にたまった熱は運び去られます。同じ黒い服でも、無風の日と風のある日では体感が変わります。

扇風機やハンディファンが役に立つのは、この理屈によるものです。空気を動かすこと自体に効果があります。

場面ごとの選び方

ここまで見てきた内容を、実際の生活の場面に当てはめていきます。

場面 優先する要素 具体的な選択
屋外作業 色と通気性の両方 明るい色、ゆとりのある長袖、速乾素材
通勤 素材と形 色の自由度が低いため、薄手で通気性を重視
子どもの外遊び 色と帽子 明るい色。帽子は必須
スポーツ 速乾性 吸汗速乾の機能性素材
屋内中心 気にしなくてよい 色の影響はほぼない
避難所生活 速乾性と替え 洗濯が難しいため乾きやすいもの

子どもは特に注意が必要です

子どもは大人より背が低く、地面からの照り返しを強く受けます。アスファルトの表面温度は、気温よりはるかに高くなります。

また、体温を調節する機能が未熟で、自分で不調を訴えられないこともあります。

明るい色の服と帽子を組み合わせ、こまめに日陰へ入れてください。子どもの熱中症は子どもの熱中症の症状・重症度チェック・応急処置・予防法を徹底解説【年齢別対応あり】で詳しく扱っています。

高齢の方への配慮

高齢になると、暑さを感じにくくなります。汗をかく量も減ります。

本人が「暑くない」と言っていても、体には負担がかかっています。服装の助言は、周囲から行うほうが確実です。

職場で色を選べない場合

制服や作業着が決まっていて、色を選べない方も多いはずです。その場合の考え方を示します。

選べない要素は諦め、選べる要素に集中する

色が固定されているなら、そこは変えられません。しかし、ほかの要素は工夫できます。

  • 下に着る肌着を吸汗速乾のものにする
  • サイズにゆとりのあるものを選ぶ
  • 襟元のボタンを開ける
  • 休憩時に上着を脱ぐ
  • 帽子を明るい色にする

帽子は比較的自由が利くことが多い部分です。ここだけでも明るくできれば、頭部への負担は下がります。

空調服という選択肢

近年は、小型のファンを内蔵した作業服があります。服の内側に風を送り、汗の蒸発を促す仕組みです。

色の工夫とは次元の違う効果があります。屋外作業が長時間に及ぶ職種では、検討する価値があります。

職場に働きかける

熱中症対策は、事業者の義務として位置づけられるようになりました。

作業着の見直しを提案するのは、正当な要望です。実験データという根拠があれば、話も進めやすくなります。

この記事の数値を、そのまま資料として使っていただいて構いません。

色の効果を過信しないための整理

ここまでの内容を、あらためて位置づけ直します。

対策 効果の大きさ 手間と費用
そもそも外に出ない 非常に大きい なし
日陰を選んで移動する 大きい なし
日傘をさす 大きい 傘代のみ
水分と塩分をとる 大きい 飲料代
通気性のよい服にする 中程度 買い替えが必要な場合も
服の色を明るくする 中程度 手持ちで対応可能
帽子をかぶる 中程度 帽子代のみ

色の工夫は、効果としては中程度です。しかし手持ちの服でできるため、費用がかかりません。

費用対効果で見れば、優れた選択だと言えます。ただし、これだけに頼るのは危険です。

組み合わせて初めて効きます

ひとつの対策で完璧になることはありません。

明るい色の服を着て、帽子をかぶり、日傘をさし、日陰を選んで歩き、こまめに水分をとる。この積み重ねが体を守ります。

逆に、どれかひとつが欠けても致命的にはなりません。だから、できることから始めてください。

色より優先すべき3つのこと

実験を行った研究者は、色を選ぶことより重要な点を指摘しています。

1. 日陰に入る

最も効果が大きい行動です。直射日光を遮れば、色による差そのものが生じません。

移動する際も、日陰のある道を選んでください。遠回りでも、そのほうが体への負担は小さくなります。

2. 日傘を使う

日陰を持ち歩けるという点で、非常に合理的です。

近年は男性用の日傘も増えています。折りたたみ式なら、鞄に入れておけます。

選び方は折りたたみ日傘のおすすめと選び方|遮光率・UVカット率の見方にまとめています。

3. 水分と塩分をとる

服装をどれだけ工夫しても、体内の水分が足りなければ熱中症になります。

汗をかけば水分と塩分の両方が失われます。水だけを飲み続けると、かえって危険な状態になることがあります。

飲み物の選び方は熱中症対策の飲み物【2026年版】おすすめ・NGな飲み物・正しい飲み方・経口補水液までで解説しています。

停電したときの服装

防災の観点から、ひとつ付け加えます。

夏に停電すれば、エアコンが使えなくなります。室内でも熱中症の危険が高まります。

室内なら色より通気性

屋内には直射日光が入りにくいため、色の影響は小さくなります。優先すべきは通気性です。

ゆとりのある薄手の服に着替え、汗をかいたらこまめに替えてください。濡れた服を着続けると、体が冷えないだけでなく、あせもの原因にもなります。

濡らして使う方法

手ぬぐいやタオルを水で濡らし、首に巻くと効果があります。蒸発するときに熱を奪うためです。

首には太い血管が通っており、ここを冷やすと効率よく体温を下げられます。

夏の停電対策全般は停電対策【夏編】2026年最新版|熱中症を防ぐ準備・グッズ・行動マニュアルを徹底解説にまとめています。

私が北海道で考えていること

私は札幌に住んでいます。北海道は涼しいと思われがちですが、事情は変わってきました。

暑さに慣れていない地域の危うさ

北海道の住宅には、エアコンがない家がまだ多くあります。暑さへの備えという発想そのものが、根づいていませんでした。

しかし近年は、道内でも35℃を超える日が出るようになりました。備えのない地域が急に暑くなる。これは危険な組み合わせです。

暑さに体が慣れていない人は、同じ気温でも熱中症になりやすいことが知られています。

服装は最も手軽な対策です

エアコンの設置には費用がかかります。住宅の断熱改修はさらに大がかりです。

その点、服装を変えることには費用がかかりません。手持ちの服から明るい色を選ぶ。それだけでできます。

効果は日陰に入ることには及びません。しかし、今日から誰でもできる対策であることに価値があります。

知っていれば選べます

緑が黒に近い温度になるという事実を、私は実験の報告を読むまで知りませんでした。涼しげな色だと思い込んでいたのです。

知らなければ、選びようがありません。逆に知っていれば、朝、服を選ぶ数秒のあいだに判断できます。

数秒の判断が、暑い1日の負担を少し軽くしてくれます。

数値で語れることの強さ

私が防災の話をするとき、できるだけ数値を示すようにしています。

「黒い服は暑いですよ」と言われても、多くの人は行動を変えません。感覚の話に聞こえるからです。

しかし「5分で20℃以上の差が出た実験があります」と伝えると、受け止め方が変わります。具体的な数字には、人を動かす力があります。

今回の実験は、公的な研究機関が行ったものです。だからこそ、安心して人に伝えられます。

家族に伝えてください

この記事の内容は、覚えるのが簡単です。白と黄が有利、黒と深緑が不利、そして日陰が最優先。これだけです。

ご家族、特に子どもや高齢の方に伝えてください。本人が気づきにくい相手ほど、周囲からの助言が効きます。

朝、家を出る前のひと言で足ります。「今日は暑いから、その緑じゃなくて白にしたら」。それだけで十分です。

よくある質問

Q. 服の色で本当に温度は変わりますか

A. 変わります。国立環境研究所の実験では、気温約30℃の炎天下に9色のポロシャツを5分置いたところ、白がほぼ気温どおりの約30℃だったのに対し、黒と深緑は50℃を超えました。差は20℃以上です。

Q. どの色がいちばん涼しいですか

A. 白です。次いで黄色が有利でした。白が汚れなどで使いにくい場合は、黄色、グレー、赤が代替として挙げられています。避けたいのは黒、深緑、緑です。

Q. 緑は涼しそうですが違うのですか

A. 違います。実験では、緑と深緑は黒と同じ最も高温のグループに入りました。見た目の涼しさと実際の温度は別物です。特に深緑は注意してください。

Q. 服が50℃なら体温も上がりますか

A. そのまま上がるわけではありません。服と肌の間には空気の層があり、断熱の役割を果たします。ここで効くのが通気性で、空気が流れれば熱は外へ逃げます。ぴったりした服より、ゆとりのある服のほうが有利です。

Q. 白い服なら安心ですか

A. 安心はできません。実験を行った研究者も、色を選ぶことより日陰に入ることや日傘を使うことのほうが重要だと指摘しています。白い服で炎天下に立ち続ければ、熱中症の危険は残ります。

Q. 黒い服が有利な場面はありますか

A. あります。濃い色の生地は一般に紫外線を通しにくいため、日焼けを避けたい場合には有利です。また冬の晴れた日には、日射を吸収して暖かくなります。「黒は暑い」は夏の日なたに限った話です。

Q. 室内でも色を気にすべきですか

A. ほとんど気にする必要はありません。色の差は日射があってこそ生じます。室内、地下、夜間、曇天では差はわずかです。屋内での優先事項は通気性と速乾性です。

Q. 素材は何を選べばよいですか

A. 麻や吸汗速乾の機能性素材が有利です。綿は汗をよく吸いますが乾きにくく、濡れて肌に張りつくと空気の層が失われて熱がこもります。大量に汗をかく場面では速乾性を重視してください。

Q. 長袖と半袖はどちらが涼しいですか

A. 場面によります。直射日光が強い場所では、腕に日光が直接あたらない長袖のほうが涼しく感じることがあります。ただし薄手でゆとりのあるものに限ります。日陰の多い場所では半袖が有利です。

Q. 子どもの服装で気をつけることは

A. 明るい色と帽子を組み合わせてください。子どもは背が低く、地面からの照り返しを強く受けます。体温調節の機能も未熟で、不調を訴えられないこともあります。こまめに日陰へ入れてください。

Q. 帽子の効果はどのくらいありますか

A. 大きいと考えてください。頭は日射を最も強く受ける部分で、しかも脳は熱に弱い器官です。色は服と同じ理屈で明るいほうが有利です。つばの広いもの、できれば首の後ろまで覆えるものを選んでください。

Q. 足元は関係ありますか

A. 関係します。夏のアスファルトは気温をはるかに超える温度になり、その上に立てば下からも熱を受けます。厚い底の靴のほうが地面の熱が伝わりにくくなります。薄いサンダルで長時間アスファルトの上にいるのは負担が大きい行為です。

Q. 下着は何を選べばよいですか

A. 吸汗速乾のものを選び、外側の服と組み合わせて考えてください。綿の下着に速乾のシャツを重ねると、下着が濡れたままになり機能が生きません。内側から外へ汗が運ばれる組み合わせが理想です。

Q. 制服で色を選べません

A. 選べる要素に集中してください。肌着を吸汗速乾にする、サイズにゆとりを持たせる、襟元を開ける、帽子を明るい色にする。帽子は比較的自由が利くことが多い部分です。屋外作業が長いなら空調服も選択肢になります。

Q. 湿度は関係しますか

A. 大きく関係します。体を冷やすのは汗が蒸発するときの気化熱ですが、湿度が高いと蒸発が進みません。同じ気温30℃でも湿度によって負担がまったく違います。湿度の高い日ほど、色より通気性と速乾性が重要になります。

Q. 停電して暑いときはどうしますか

A. 室内では色より通気性です。ゆとりのある薄手の服に着替え、汗をかいたらこまめに替えてください。濡らしたタオルを首に巻くのも有効です。首には太い血管があり、効率よく体温を下げられます。

まとめ

服の色と熱中症リスクについて、要点を整理します。

  • 国立環境研究所の実験で、白と黒の表面温度差は20℃以上
  • 気温約30℃の炎天下、わずか5分での結果
  • 白は約30℃、黒と深緑は50℃超
  • 色の順は白・黄、グレー・赤、紫・青、緑・深緑・黒
  • 緑は涼しげに見えるが、黒に近い高温グループ
  • 白が使いにくい場合は黄・グレー・赤が代替
  • 服の表面温度と体温は別物。間の空気層が断熱する
  • ぴったりした服より、ゆとりのある服のほうが涼しい
  • 綿は乾きにくく、濡れて張りつくと熱がこもる
  • 濃い色は紫外線を通しにくいという利点もある
  • 室内や日陰では色の差はほとんど生じない
  • 色より、日陰・日傘・水分補給のほうが重要

服の色は、数ある対策のひとつにすぎません。しかし、費用がかからず、今日から実行できる対策でもあります。

大切なのは、順番を間違えないことです。日陰に入り、通気性のよい服を選び、そのうえで色を明るくする。この順番であれば、色の工夫は確かに効いてきます。

明日の朝、服を選ぶときに思い出してください。深緑のシャツを手に取ったら、隣の白か黄色に替える。それだけで、暑い1日が少し楽になります。

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9月1日は防災の日/8月30日〜9月5日は防災週間

1年に一度、備えを点検する日です。10分でできることから始めてください。

この記事を書いた人

北海道札幌市在住の防災・サバイバル情報発信者です。2018年の北海道胆振東部地震を機に「誰でも今日から始められる防災」をモットーに活動を開始し、実際に試した防災グッズのレビューや家族構成別の備え方をわかりやすくお伝えしています。実践的で信頼できる情報を提供できるよう、がんばっています!

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