洪水が起こる原因・理由とは?自然・人為・気候変動の要因を地形・気象・都市構造から徹底解説【2026年最新版】

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洪水が起こる原因・理由とは?自然・人為・気候変動の要因を地形・気象・都市構造から徹底解説【2026年最新版】

「洪水はなぜ起きるのか?」毎年のように日本各地で洪水・水害が発生しています。しかし「なぜ洪水が起きるのか」を正確に理解している方は意外に少ないです。

「大雨が降ったから」という一言で片付けられがちですが、実際には地形・気象・都市構造・人間の活動など、複数の要因が複雑に絡み合っています。

洪水の原因を正確に知ることは、洪水から身を守るための「備え」に直結します。

「どこに住めばリスクが低いか」「なぜこの地域で洪水が多いのか」「将来はどうなるのか」——これらの疑問に答えるには、洪水が起きるメカニズムの理解が不可欠です。

この記事では、以下の内容を国土交通省・気象庁・内閣府・国立防災科学技術研究所の資料をもとに徹底解説します。

  • 洪水の定義と種類(外水氾濫・内水氾濫・高潮・津波との違い)
  • 洪水が起こる自然的な原因(気象・地形・地質)
  • 洪水が起こる人為的な原因(都市化・森林破壊・河川改修)
  • 気候変動が洪水リスクを高めるメカニズム
  • 日本で洪水が多い理由(地理的・気候的特性)
  • 洪水が起きやすい地形・場所の特徴
  • 洪水と土砂災害・高潮の違いと関係
  • 洪水リスクを高める複合要因
  • 洪水の原因を踏まえた正しい備え方

【情報の出典について】
本記事は国土交通省「水害の現状と課題」・気象庁「大雨・洪水に関する気象情報の解説」・内閣府「防災白書」・国立防災科学技術研究所「洪水・水害に関する研究資料」・国土交通省「気候変動を踏まえた水災害対策のあり方について」等の公的資料にもとづいています。防災ベース編集部が専門的な内容をわかりやすく解説しました。

目次

洪水とは何か:定義と種類の整理

まず「洪水」という言葉の定義を正確に理解することが重要です。日常的に「洪水」という言葉を使いますが、水害の種類によって原因・メカニズム・対策が異なります。

洪水の定義

国土交通省の定義では「洪水」とは「河川・下水道の水が溢れて浸水被害をもたらす現象」です。広義には「浸水被害全般」を指す言葉として使われることもあります。

水害・浸水被害はその発生原因・場所によって以下の種類に分類されます。

種類 発生メカニズム 主な被害地域
外水氾濫(がいすいはんらん) 河川の水が増水して堤防を越える・堤防が決壊して氾濫する 河川沿いの低地・氾濫原(はんらんげん)
内水氾濫(ないすいはんらん) 大雨で下水道・排水路の排水能力を超えた雨水が道路・住宅地に溢れる 都市部・低地・河川に囲まれた地域
高潮(たかしお) 台風・低気圧による気圧低下・強風で海面が異常に上昇し沿岸部が浸水する 海岸沿い・湾岸都市・河川の河口部
津波(つなみ) 地震・海底火山噴火による海水の急激な変動で大波が押し寄せる 沿岸部・湾口・河川の河口
土石流・洪水型土砂災害 大雨で山腹・河床の土砂が水と混合して流下する 山間部・渓流沿い・扇状地

この記事では主に「外水氾濫・内水氾濫」を「洪水」として解説します。高潮・津波は洪水とは異なるメカニズムで発生しますが、複合的に発生することもあります。

洪水が起こる自然的な原因

洪水が発生するには「水の発生源」と「水が溢れる条件」が必要です。自然的な原因から詳しく解説します。

原因①:集中豪雨・短時間強雨

洪水の最も直接的な原因は「大量の降雨」です。特に「短時間に集中して降る豪雨」は洪水リスクを大幅に高めます。

短時間強雨(ゲリラ豪雨)とは

短時間強雨とは「1時間に30mm以上の強い雨」を指します。1時間に50mm以上になると「非常に激しい雨」と気象庁は分類しています。

1時間に80mm以上の「猛烈な雨」では、都市部の下水道の排水能力を大幅に超えます。下水道の設計排水能力は一般的に「1時間に50mm程度の降雨」を基準としています。

この基準を超える雨が降ると、下水道管が満管になり内水氾濫が発生します。

線状降水帯による長時間・大量降雨

近年、日本各地で「線状降水帯」による豪雨被害が増加しています。線状降水帯とは「積乱雲が帯状に連なり・同じ地域に長時間大雨をもたらす現象」です。

気象庁の定義では「長さ50〜300km・幅20〜50km程度の帯状の強雨域」を線状降水帯としています。線状降水帯は数時間〜十数時間にわたって同じ地域に大雨を降らせ続けるため、河川水位が急激に上昇します。

2020年7月の熊本豪雨・2023年の奥能登豪雨など、近年の大規模水害の多くは線状降水帯が原因でした。

原因②:台風・熱帯低気圧

台風は日本の洪水被害の主要な原因のひとつです。台風が洪水を引き起こすメカニズムは複数あります。

台風による洪水発生の4つのメカニズム

  • 大量の降雨:台風は大量の水蒸気を含んでおり、通過する地域に数百mm〜1,000mmを超える豪雨をもたらすことがある
  • 強風による高潮:台風の強風が海水を沿岸方向に吹き寄せ、海面を異常上昇させる。これが高潮となり河川の河口部から逆流することもある
  • 気圧低下による海面上昇:台風中心部の気圧が低いと「吸い上げ効果」で海面が上昇する。気圧が1hPa低下するごとに海面が約1cm上昇する
  • 満潮との重なり:台風の高潮が満潮のタイミングと重なると浸水被害が大幅に悪化する

原因③:融雪洪水

融雪洪水とは「春先の気温上昇や雨による急激な融雪で河川が増水する現象」です。特に日本海側の豪雪地帯では、春の温かい雨が大量の雪を一気に融かし洪水を引き起こすことがあります。

北海道・東北・北陸・山間部では融雪洪水が毎年のように発生しています。

融雪洪水の特徴は「雨が降っていないのに河川水位が急上昇する」という点で、見落とされやすい洪水原因のひとつです。

原因④:地形による雨水の集中

同じ量の雨が降っても、地形によって洪水リスクは大きく異なります。地形が洪水リスクに与える影響は非常に大きいです。

洪水を引き起こしやすい地形的条件

  • 流域面積が大きい河川:広い流域から集まった雨水が一つの河川に集中する。流域面積が大きいほど増水量が多い
  • 河床勾配が急→緩に変わる地点:山地から平野に出る場所では水の流速が急激に落ちるため、水が溢れやすくなる
  • 蛇行・屈曲した河川:河川が大きく曲がっている場所では増水時に外岸が浸食・決壊しやすい
  • 合流点(支流と本流の合流する場所):複数の河川が合流する地点では増水が重なりやすく洪水リスクが高い
  • 扇状地・氾濫原(低地):過去に河川が氾濫して作られた平坦な低地。地盤が低く排水しにくい
  • 窪地・海抜ゼロメートル地帯:周囲より地盤が低いため、水が集まりやすく排水できない

原因⑤:土壌の「飽和状態」と地下水位の上昇

土壌が雨水を吸収できなくなることも洪水の重要な原因です。通常、土壌は雨水の一部を吸収・浸透させることで表面を流れる水量を減らします。

しかし長時間の大雨が続くと、土壌が水で飽和状態になります。飽和状態になった土壌はこれ以上水を吸収できません。

降った雨がすべて地表面を流れ(表面流出)、河川に一気に流れ込みます。これが河川の急激な増水・洪水の原因になります。

特に「数日間大雨が続いた後に追加の大雨が来る」というパターンは非常に危険です。土壌がすでに飽和していると、追加の雨がすべて直接河川に流れ込むためです。

洪水が起こる人為的な原因

洪水は自然現象だけで起きるわけではありません。人間の活動・土地利用・都市開発が洪水リスクを高める原因になっています。

人為的原因①:都市化・コンクリート化による透水性の低下

都市化は洪水リスクを大幅に高める最も重要な人為的要因のひとつです。

都市化が洪水を引き起こすメカニズム

自然の土壌・草地は雨水を吸収・浸透させる能力(透水性)を持っています。しかし都市開発が進むと、土壌がコンクリート・アスファルト・建築物に覆われます。

コンクリート・アスファルトは透水性がほぼゼロです。降った雨が土壌に浸透できず、すべてが地表面を流れて排水路・河川に急速に集まります。

この現象を「都市型洪水」または「都市型内水氾濫」と呼びます。

国土交通省の研究によると、同じ量の雨でも「森林・農地の多い地域」と「都市化された地域」では、河川への流出量が大きく異なります。

農地・森林では降雨の30〜50%程度が土壌に浸透・蒸発します。しかし高度に都市化された地域ではほぼ100%が地表流出として河川に流れ込みます。

不透水面積率と洪水リスクの関係

「不透水面積率」とは「コンクリート・アスファルトなど透水性のない面積が流域全体に占める割合」です。

不透水面積率が高いほど洪水ピーク流量が大きくなり、洪水リスクが高まります。東京都の都市部では不透水面積率が70〜90%に達する地区もあります。

人為的原因②:森林破壊・緑地の減少

森林は「緑のダム」と呼ばれることがあります。健全な森林は多量の雨水を土壌・植生が吸収・保持し、河川への流出を緩やかにします。

また樹木の根が土壌を固定することで土砂の流出も防ぎます。しかし森林の伐採・開発による緑地の減少は、この「緑のダム機能」を弱体化させます。

森林が失われた斜面では雨水が土壌に浸透せず、直接河川に流れ込む量が増加します。

特に過去に行われた無秩序な山地開発・スギ・ヒノキの単一樹種植林(下草が育ちにくい)による保水力の低下が問題視されています。

人為的原因③:遊水地・水田・湿地の減少

かつて日本の農村地帯には「遊水地(ゆうすいち)」と呼ばれる低地の水田・湿地が多くありました。遊水地は「洪水時に一時的に水を受け入れ、河川への流入量を調整する」機能を持っています。

水田はその構造上、水を一定量ためることができ「洪水緩衝機能」があります。農地転用・宅地開発・圃場整備によって水田・遊水地・湿地が大幅に減少しました。

これにより洪水時に水を一時的に受け入れる「バッファ(緩衝)」が失われ、洪水ピーク流量が増大しました。

人為的原因④:河川の直線化・コンクリート護岸

近代の治水事業では「洪水を早く海に流す」という考え方のもとで、多くの河川が直線化・コンクリート護岸化されました。

河川を直線化すると流速が上がり、水が素早く下流へ流れます。これは上流の洪水リスクを下げる一方で「下流への流量が増える」という問題を生じさせます。

また、コンクリート護岸では河岸の植生が失われ、土壌への浸透・蒸発散が減少します。

さらに「自然の蛇行河川」は川の流れを緩め・流量のピークを分散させる機能を持っていましたが、直線化によってこの機能が失われました。

人為的原因⑤:地盤沈下

地盤沈下も洪水リスクを高める重要な人為的要因です。地盤沈下は「地下水の過剰汲み上げ・重い建築物による圧密・軟弱地盤の自然圧縮」によって起きます。

かつて工業用水・農業用水としての地下水の大量汲み上げにより、東京・大阪・名古屋などの大都市では大規模な地盤沈下が発生しました。

地盤が沈下すると「海抜ゼロメートル以下」の土地が出現し、洪水・高潮のリスクが極めて高くなります。

東京の江東区・墨田区・葛飾区・江戸川区などには「海抜ゼロメートル地帯」が広がっており、洪水・高潮に対して脆弱な状態が続いています。

気候変動が洪水リスクを高めるメカニズム

近年、気候変動が洪水の頻度・規模を変化させていることが科学的に明らかになっています。

国土交通省の「気候変動を踏まえた水災害対策のあり方について(2020年)」では、気候変動による洪水リスクの深刻化が明確に警告されています。

メカニズム①:大気中の水蒸気量の増加

地球温暖化によって気温が上昇すると、大気中の「水蒸気量」が増加します。物理学的に「大気温度が1℃上昇すると大気が含める水蒸気量が約7%増加」します。

水蒸気量が増えると「降雨量の増加・降雨強度の増大」が起きます。つまり、同じ台風・低気圧が来ても、気温が高い状態では「より多くの雨を降らせる」ことになります。

メカニズム②:短時間強雨・極端降水の増加

気象庁のデータによると、日本国内で「1時間に50mm以上の短時間強雨」の発生頻度は増加傾向にあります。

1980年代と比較して、2010年代以降の短時間強雨の発生回数は約1.4〜1.5倍に増加しているとされています。

また「過去に経験のないような大雨(線状降水帯・記録的大雨)」の発生頻度も増加しています。

メカニズム③:台風の強大化

気候変動によって「台風の最大強度が増す」という研究が多く発表されています。

温暖化により海面水温が上昇すると、台風のエネルギー源(水蒸気の蒸発量)が増加します。強い台風はより多くの雨を降らせ・より激しい高潮を引き起こします。

国土交通省の試算では「2℃の温暖化シナリオでは、現在と比較して洪水の発生頻度が2〜4倍になる」とも試算されています。

メカニズム④:海面上昇による高潮・洪水リスクの増大

気候変動による海面上昇は、沿岸部・河川の河口部での洪水・高潮リスクを高めます。

IPCC(気候変動に関する政府間パネル)の報告書では「2100年までに最大1m程度の海面上昇が起きる可能性がある」とされています。

海面が上昇すると「河川から海への排水が困難になる」「高潮の被害が拡大する」「既存の堤防の防護機能が相対的に低下する」などの影響があります。

メカニズム⑤:降雪量の変化と融雪洪水

気温上昇により、降水が「雪でなく雨として降る」地域・季節が変化しています。

積雪が少なくなる一方で「春先の急激な融雪が起きにくくなる」地域もある反面、「冬に積もった雪が春の暖かい雨で一気に融ける」という融雪洪水のリスクが高まる地域もあります。

また気温上昇によって雨期・乾期のパターンが変化し「集中して大雨が降る時期」と「乾燥する時期」の差が大きくなる傾向があります。

日本で洪水が多い理由:地理的・気候的特性

日本は世界的に見ても「洪水が多い国」のひとつです。その理由は日本の地理的・気候的特性に深く根ざしています。

理由①:急峻な地形と短い河川

日本の国土の約70%は山地・丘陵地で構成されています。国土面積に対する山地の割合は世界的に見ても高い水準です。

日本の河川は「山から海まで距離が短い(平均的な主要河川の長さはヨーロッパの主要河川の1/10以下)」という特徴があります。

例えば、ライン川(ドイツ〜オランダ)は約1,230kmですが、日本最長の信濃川でも約367kmです。

短い河川では雨水が素早く下流に集まるため、水位上昇が急激です。

また河床勾配(川の傾斜)が急なため流速が速く、増水した際の破壊力が大きくなります。

理由②:モンスーン気候・梅雨・台風

日本はモンスーン(季節風)の影響を強く受ける地域に位置しています。梅雨(6〜7月)・秋雨前線・台風シーズン(7〜10月)という「大雨の季節」が毎年繰り返されます。

梅雨前線は長期間にわたって雨を降らせ、土壌を飽和状態にします。

その後に台風が来ると「すでに飽和した土壌に大量の雨が追加される」という最悪の組み合わせになることがあります。

日本の年間降水量は約1,700mm(世界平均の約2倍)と多雨であり、これが洪水リスクの基盤となっています。

理由③:人口・資産が低地・沿岸部に集中

日本の主要都市(東京・大阪・名古屋・福岡など)のほとんどが「低地・沿岸部・河川の下流域」に立地しています。

国土交通省のデータでは「日本の総人口の約半数・総資産の約75%が洪水浸水想定区域内に存在する」とされています。

洪水リスクの高い低地に人口・資産が集中しているため、洪水が起きると被害が大きくなりやすい構造になっています。

この状況は江戸時代から続く「洪水の多い低地に都市が発展した」という日本特有の歴史的経緯とも関係しています。

理由④:軟弱地盤と地盤沈下

日本の主要都市の多くは「沖積低地(ちゅうせきていち)」に立地しています。沖積低地は過去に河川が運んできた土砂が堆積してできた平坦な低地です。

軟弱な地盤は地盤沈下が起きやすく、既述の通り海抜ゼロメートル地帯を生じさせます。

東京都・大阪府・愛知県には広大な海抜ゼロメートル地帯が存在しており、洪水・高潮に対して構造的に脆弱です。

洪水が起きやすい地形・場所の特徴

洪水リスクの高い「場所」の特徴を理解しておくことは、住む場所を選ぶ際・避難経路を決める際に役立ちます。

洪水が起きやすい場所のリスト

  • 河川の氾濫原(低地):過去に河川が氾濫して形成した平坦な低地。現在は田畑・住宅地になっていることが多い。地名に「川・沼・池・浦・江・津・瀬・洲・渡」などの文字が入っている場所は要注意
  • 旧河道(かつての川の流路):現在の河川の流路が変わる前の古い川の跡。地図・空中写真で帯状の低地として確認できることがある。旧河道は周囲より地盤が低く浸水しやすい
  • 扇状地の末端部:山から平野に出た河川が作る扇形の地形(扇状地)の末端部は、地下水位が高く・浸水しやすい
  • 海抜ゼロメートル地帯:海面と同じかそれ以下の地盤高。洪水・高潮・内水氾濫に対して極めて脆弱
  • 合流点(支流と本流の合流地点):洪水時に複数の増水が重なる危険がある
  • 窪地・谷地(低地):周囲より地形が低い盆地状・谷地状の地形は水が集まりやすい
  • アンダーパス・立体交差の低い部分:周囲の道路より低く、集中的に水が流れ込む「水たまりスポット」になりやすい

ハザードマップで確認する

国土交通省の「ハザードマップポータルサイト(重ねるハザードマップ)」では、全国の洪水浸水想定区域・浸水深を無料で確認できます。

自宅・職場・学校・通勤経路の洪水リスクを事前に確認することを強くおすすめします。

洪水浸水想定区域に入っているかどうかだけでなく「浸水深(何m浸水するか)」「浸水継続時間(何日間浸水するか)」も確認してください。

浸水継続時間が長い地域では、洪水後の生活再建にも時間がかかります。

洪水と土砂災害・高潮の違いと複合発生

洪水は「単独で起きるだけでなく、土砂災害・高潮と複合的に発生する」ことがあります。この複合災害の理解が防災対策を強化する上で重要です。

洪水と土砂災害の複合発生

大雨・台風のときに洪水と土砂崩れ・土石流が同時に起きることがあります。

山間部では「上流域の土砂崩れが河川に流れ込む→河川が閉塞する→上流に水が溜まる→閉塞部分が決壊して土石流・洪水が一気に流下する」という「天然ダム決壊型洪水」が起きることがあります。

2011年の紀伊半島大水害では、山腹崩壊による天然ダムの形成と決壊が深刻な洪水・土砂災害を引き起こしました。

洪水と高潮の複合発生

台風来襲時には「洪水と高潮が同時に起きる」という複合災害が発生することがあります。

内陸部で増水した河川水が流下する一方、台風による高潮が河口部から遡上してくるという「両側から水が来る」最悪のパターンです。

1959年の伊勢湾台風では「強雨による河川増水+台風の高潮」が重なり、愛知・三重・岐阜で5,000人以上が死亡・行方不明になる未曾有の被害が発生しました。

洪水リスクを高める複合要因

洪水は「単一の原因」だけで起きることは少ないです。多くの大規模洪水は「複数の要因が同時に重なる」ことで発生・拡大します。

洪水リスクが最大化する「最悪の組み合わせ」

  • 梅雨による長雨(土壌飽和)+台風の直撃(豪雨):土壌がすでに飽和した状態に台風の大雨が加わる。近年の大規模水害の多くがこのパターン
  • 高潮のピーク+満潮のタイミングの一致:台風の高潮と天文潮(満潮)が重なると浸水深が大幅に増加する
  • 複数の河川が同時に氾濫:大規模な台風・線状降水帯では広域で複数の河川が同時に増水・氾濫する可能性がある
  • 都市部での集中豪雨+下水道能力の超過:都市部の不透水面積が高い地域に短時間強雨が来ると、内水氾濫が急激に発生する
  • 地盤沈下地帯+高潮+洪水の三重苦:海抜ゼロメートル地帯では河川洪水・下水道逆流・高潮が同時に起きることがある

洪水の原因を踏まえた正しい備え方

洪水が起きる原因・メカニズムを理解した上で、どのように備えるかを解説します。

備え①:ハザードマップで「どんな洪水が・どのくらいの深さで起きるか」を確認する

国土交通省のハザードマップポータルサイトで以下を確認してください。

  • 自宅が洪水浸水想定区域に入っているか
  • 想定浸水深(何メートル浸水するか)
  • 浸水継続時間(何日間浸水するか)
  • 自宅付近の河川の危険水位情報

「洪水外水氾濫」だけでなく「内水氾濫(下水道氾濫)」のハザードマップも確認してください。多くの自治体が内水氾濫ハザードマップを公開しています。

備え②:気象情報・洪水情報を「早めに・正確に」入手する

洪水は「大雨が始まる数時間前〜数日前」から気象情報で予測できます。以下の情報源を日常的に確認する習慣をつけてください。

  • 気象庁の大雨・洪水警報・特別警報:警報・特別警報は「洪水の危険が高まっている」サインとして最も重要
  • 国土交通省「川の防災情報」:全国の河川の水位・流量をリアルタイムで確認できる無料サービス
  • 自治体の避難情報(警戒レベル1〜5):警戒レベル3(高齢者等避難)の段階で行動を開始する
  • 気象庁「線状降水帯発生情報」:2022年から気象庁が発表を開始した線状降水帯の実況情報

備え③:洪水に特化した防災グッズを揃える

洪水対策には地震対策とは異なる視点が必要です。特に以下のアイテムを優先的に揃えることをおすすめします。

  • 折りたたみ長靴:浸水した道路での避難に不可欠。コンパクトに収納できるタイプが非常持ち出し袋に最適
  • 防水バッグ・ドライバッグ:スマートフォン・財布・重要書類を水濡れから守る
  • ライフジャケット(家族全員分):浸水が深い状況での避難に。家族全員分を揃える
  • スマートフォン防水ケース(IPX8対応):避難中の通信手段を水濡れから守る
  • 止水板・水嚢:玄関・勝手口からの浸水を防ぐ
  • 逆流防止弁:トイレ・排水口からの下水逆流を防ぐ
  • 緊急脱出ツール(ガラスハンマー):車での移動中に水没した場合の脱出に使う
  • ポータブル電源:洪水による長期停電に備える。ソーラーパネルと組み合わせると電力を継続確保できる
  • 防災ラジオ(手回し・ソーラー対応):停電時の情報収集手段として不可欠

備え④:「早めの避難」を心がける

洪水の原因を理解することで「いつ・どのタイミングで逃げるか」が判断しやすくなります。洪水は「起きてしまってから逃げる」のでは遅い場合が多いです。

「大雨が続いて土壌が飽和してきた」「近くの河川の水位が上がっている」「ハザードマップで自宅が浸水想定区域に入っている」——これらの状況を早めに認識して「早逃げ」することが命を守ります。

内閣府のガイドラインでは「警戒レベル3(高齢者等避難)の発令で高齢者・障害者は避難を開始する」「警戒レベル4(避難指示)で全員が避難する」ことが求められています。

まとめ:洪水の原因を知ることが防災の第一歩

洪水が起きる原因は「一つの単純な理由」ではありません。気象・地形・土壌・都市化・森林破壊・気候変動など多数の要因が複雑に絡み合っています。この記事でお伝えした重要なポイントをまとめます。

  • 洪水の直接原因は「大量の降雨(集中豪雨・台風・線状降水帯)」と「地形による雨水の集中」
  • 人為的な原因として「都市化による透水性低下・森林破壊・遊水地の減少・河川直線化・地盤沈下」が洪水リスクを高めている
  • 気候変動によって短時間強雨・台風強大化・海面上昇が進み、洪水の頻度・規模が増大している
  • 日本特有の問題として急峻な地形・短い河川・モンスーン気候・海抜ゼロメートル地帯への人口集中がある
  • 複合要因が重なったときに大規模洪水が発生する。梅雨後の台風・高潮と満潮の重複などが危険
  • 備えの基本はハザードマップの確認・早めの気象情報収集・洪水特化の防災グッズの準備・早めの避難行動

洪水がなぜ起きるかを正確に知ることは、単なる「知識」にとどまりません。

「自分の地域はどんな洪水リスクがあるか」「どのタイミングで逃げるべきか」「何を準備すべきか」という具体的な行動につながります。

防災ベースでは今後も洪水・台風・水害から命と暮らしを守るための最新情報をお届けしていきます。

Image by Pixabay,Unsplash,Freepik,写真AC

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この記事を書いた人

北海道札幌市在住の防災・サバイバル情報発信者です。2018年の北海道胆振東部地震を機に「誰でも今日から始められる防災」をモットーに活動を開始し、実際に試した防災グッズのレビューや家族構成別の備え方をわかりやすくお伝えしています。実践的で信頼できる情報を提供できるよう、がんばっています!

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