洪水対策の砂袋・土嚢(どのう)完全ガイド|積み方・作り方・必要な枚数・代用品・効果的な使い方を徹底解説【2026年最新版】
「洪水が来るかもしれない。とにかく土嚢を積まないと」「砂袋ってどこで手に入るの?何枚必要なの?」「土嚢の正しい積み方がわからない」
台風・大雨の前夜、このような焦りを感じた経験はありませんか?土嚢(どのう)・砂袋は「洪水・浸水から建物を守るための最も基本的な浸水対策道具」です。
しかし「なんとなく積めばいい」という認識で使うと、十分な効果が発揮されません。正しい積み方・使い方を知っているかどうかで、浸水被害の有無が大きく変わることがあります。
この記事では以下の内容を、国土交通省・消防庁・内閣府・各都道府県の防災資料をもとに徹底解説します。
- 土嚢・砂袋とは何か(基本知識と浸水防止の仕組み)
- 土嚢は洪水を「完全には防げない」という重要な前提
- 土嚢袋の種類と選び方
- 砂袋(土嚢)の正しい作り方
- 洪水対策・浸水防止のための正しい積み方
- 設置場所別の土嚢の使い方(玄関・ガレージ・窓・排水口)
- 必要な土嚢の数の目安
- 土嚢の入手方法(市役所・ホームセンター・自治体配布)
- 土嚢の代用品(水嚢・吸水土嚢・止水板など)
- 使用後の土嚢の処分方法と注意点
- 土嚢だけに頼ることの限界と「逃げる決断」の重要性
【情報の出典について】
本記事は国土交通省「洪水・浸水対策に関する資料」・消防庁「水害時の対応マニュアル」・内閣府「避難情報に関するガイドライン」・国土技術政策総合研究所「浸水対策技術」・各都道府県・市区町村の防災資料にもとづいています。防災ベース編集部が専門的な内容をわかりやすく解説しました。
土嚢・砂袋とは何か:基本知識と浸水防止の仕組み
土嚢(どのう)とは「麻・ポリプロピレン・ナイロンなどの素材で作られた袋に、砂・土などを詰めたもの」です。英語では「sandbag(サンドバッグ)」と呼ばれます。
洪水・浸水対策としての土嚢の歴史は古く、日本では江戸時代から河川の水防工事に使われてきた伝統的な防災資材です。
土嚢がなぜ浸水を防げるのか
土嚢が浸水を防ぐ仕組みは非常にシンプルです。砂や土が詰まった重い袋を積み重ねることで「水の流れを物理的に遮断する壁」を作ります。
水はわずかな隙間・低い場所を見つけて流れ込もうとします。土嚢を積むことで「水が侵入できる経路(玄関・窓・シャッターの隙間・排水口など)をふさぐ」ことが基本的な原理です。
また、土嚢に詰められた砂・土には若干の透水性があります。
完全な防水壁ではなく「水の流れを減速・遮断し、室内への浸水量を最小化する」というのが土嚢の正確な役割です。
土嚢が有効な浸水深の目安
土嚢は万能ではありません。浸水深(水位の高さ)が深くなるほど、土嚢による防水効果は低下します。
一般的に「土嚢で有効な浸水深の目安は30〜50cm程度まで」とされています。
浸水深が1mを超えるような大規模な洪水では、水圧が強くなって土嚢が押し流されたり・隙間から水が侵入したりします。
土嚢はあくまで「軽微な浸水・短時間の浸水を防ぐための補助的な手段」として位置づけてください。
🚨 最重要:土嚢を積むことと避難は別問題です
「土嚢を積んだから大丈夫」という考え方は非常に危険です。
土嚢は洪水を完全には防げません。
洪水警報(新制度では氾濫警報・危険警報)が発表された場合、土嚢を積む作業よりも「早期避難」を優先してください。
「土嚢を積んでいたら避難が遅れて命を落とした」という悲劇を防ぐために、この点を必ず覚えておいてください。
土嚢は「避難する時間的余裕がある段階での補助的措置」です。
土嚢袋の種類と選び方
土嚢袋にはいくつかの種類があります。目的・用途に合わせて選ぶことが大切です。
麻袋(まぐさ)
伝統的な土嚢袋の素材です。麻は天然素材で通気性・透水性があり、砂・土を詰めた際に安定感があります。
ただし「濡れると重くなる・カビが生えやすい・長期保管に向かない」という欠点があります。現代では水防活動(河川の堤防補強など)に使われることが多いです。
ポリプロピレン製不織布袋
現在最も広く使われている土嚢袋の素材です。軽量・耐久性が高く・長期保管が可能です。ホームセンター・防災グッズ専門店・インターネット通販で広く販売されています。
一般的なサイズは「横30cm×縦60cm程度」のものが標準です。色は黄色・緑・茶色・白など様々ありますが、機能面での差異は大きくありません。
カラー土嚢袋(UV耐性強化型)
屋外での長期設置を想定した、紫外線(UV)に強い素材で作られた土嚢袋です。通常のポリプロピレン製袋は紫外線で劣化し、数週間〜数ヶ月で破損することがあります。
長期間の浸水対策(常設)を考える場合はUV耐性強化型を選ぶことをおすすめします。
土嚢袋を選ぶときのポイント
- サイズ:標準的な横30cm×縦60cm程度のものが扱いやすい。大きすぎると砂を詰めた際に重くなりすぎる(1袋15〜20kgが扱いやすい重さの目安)
- 素材・強度:ポリプロピレン製が扱いやすく入手しやすい
- 口の縛り方:口を縛るための紐が付いているタイプが便利。なければ結束バンド・ロープで代用可能
- 保管のしやすさ:折り畳んでコンパクトに保管できるものを選ぶ。空の土嚢袋は50〜100枚をまとめてコンパクトに保管できる
砂袋(土嚢)の正しい作り方
土嚢は「土嚢袋に砂・土を詰めて口を縛るだけ」のシンプルな作業ですが、正しい手順とコツがあります。
必要な道具・材料
- 土嚢袋(必要な枚数)
- 砂・土(砂が最適。砂利は隙間が多くなりすぎる)
- スコップ(土嚢専用の小型スコップがあると便利)
- 手袋(革手袋または厚手ゴム手袋推奨)
- 長靴・防水ズボン(大雨の中での作業の場合)
- 縛り用の紐・結束バンド(袋に付いていない場合)
土嚢の作り方:ステップバイステップ
- 袋を広げる:土嚢袋を地面に広げる。できれば2人1組で作業する。1人が袋を持ち・もう1人が砂を入れる作業分担が効率的
- 砂を入れる量を決める:袋の半分〜2/3程度まで砂を入れる。満杯まで入れると重すぎて扱いにくくなる(1袋の重さの目安は15〜20kg)。重すぎる土嚢は積み重ねが不安定になる
- 空気を抜く:砂を入れた後、袋を地面で軽く叩いて空気を抜き・砂を均一に詰める。空気が残っていると積み重ねたときに安定しない
- 口を縛る:袋の口の余った部分を内側に折り込み、紐・結束バンドでしっかり縛る。縛り口は強く締めること。縛り口が下になるように積むと漏れにくい
- 確認する:砂が均等に詰まっているか・口がしっかり縛られているか確認する
砂がない場合に使える土の種類
理想的な充填材は「砂」ですが、砂がない場合は以下の代替材も使用できます。
- 土(普通の庭土):砂より透水性は低いが代用可能。石・木の根・ゴミが混じっていると袋が破れることがあるので除去する
- 砂利(じゃり):重くて安定性はあるが、粒が大きいと隙間が多くなり水が漏れやすい。砂との混合が理想的
- 砕石:緊急時に使用可能だが、袋が破れやすい点に注意
砂袋専用の「吸水土嚢・水で膨らむ土嚢(後述)」を使用する場合は、充填材は不要です。
洪水対策の正しい土嚢の積み方
土嚢は「ただ積めばいい」ではありません。正しい積み方を知ることが、浸水防止効果を最大化するための重要なポイントです。
基本の積み方:レンガ積み(千鳥積み)
土嚢の標準的な積み方は「レンガ積み(千鳥積み・互い違い積み)」です。これは「下の段の土嚢の継ぎ目に・上の段の土嚢の中央が来るように交互にずらして積む方法」です。
建物の煉瓦積みと同じ原理です。縦一直線に積み上げると、継ぎ目から水が一気に入り込みやすくなります。
千鳥積みにすることで継ぎ目がずれ、水の侵入経路を長くして浸水を抑制します。
土嚢の向きと縛り口の位置
土嚢の縛り口(袋の口を縛った部分)は「壁側(内側)」または「下向き」にして積みます。
縛り口を外側(水が来る側)に向けると、縛り口の隙間から水が染み込みやすくなります。縛り口を内側・下向きにすることで、水の侵入を最小限に抑えられます。
土嚢の角・コーナーの処理
玄関・車庫の入口などの角(コーナー)部分は、土嚢の積み方に特に注意が必要です。角部分は「水圧が集中しやすい場所」です。
コーナー部分では土嚢を「L字型」に重ねるように積み、角をしっかり覆います。「コーナーの土嚢が浮いている・隙間がある」と、そこから水が大量に流入します。
土嚢と設置面の隙間をふさぐ
土嚢を積んだ後、地面・床面との接触部分に隙間が生じることがあります。この隙間から水が入り込むことがあるため、以下の方法で補完します。
- 土嚢の下にビニールシート・防水シートを敷いて水の浸透を軽減する
- 土嚢と地面の隙間には粘土・モルタル・テープなどを詰める(緊急措置として)
- 小さな土嚢・「小土嚢」を隙間に詰めて補完する
複数段積みの際の安定性確保
土嚢を2段以上積む場合、上段が外側にせり出して崩れやすくなります。安定性を高めるために「各段ごとに足で踏み固めながら積む」ことが重要です。
国土交通省の水防工法資料では「土嚢を積んだら足でしっかり踏みつけて密着させること」が明記されています。踏み固めることで土嚢同士の密着度が上がり、水圧への耐性が向上します。
設置場所別の土嚢の使い方
浸水対策として土嚢を使う場所ごとに、効果的な使い方を解説します。
玄関・出入口への設置
玄関は「最も浸水しやすい場所のひとつ」です。ドアの外側に土嚢を積むことが基本ですが、以下の点に注意してください。
- ドアの開き方向を確認する。外開きドアの場合、土嚢でドア自体を塞いでしまうとドアが開かなくなる(避難ルートを塞がないよう注意)
- 玄関ドアの外側に土嚢を積む場合、ドアの左右・下部も含めて「ドア全体を囲むように」積む
- 段差(上がり框)がある場合、室内と外の段差の高さまで土嚢で壁を作ることが目標
- ドアの隙間には「水のう・テープ・防水粘土」で補完する
ガレージ・シャッター前への設置
ガレージのシャッターは「下部に隙間があることが多く、浸水しやすい場所」です。シャッター前に土嚢を積む場合の注意点は以下の通りです。
- シャッターの下部全体をカバーするよう、横方向に隙間なく積む
- シャッターの幅が広い場合は多くの土嚢が必要になる。事前に必要枚数を計算しておく
- シャッターと地面の隙間(スキマ)には吸水テープ・水のうを組み合わせるとより効果的
窓・換気口への対応
窓は通常「閉めれば水は入らない」と思われがちですが、浸水深が窓の高さを超えると水圧でガラスが割れることがあります。特に「地下・半地下の窓」や「地盤面に近い低い位置の窓」は浸水リスクが高いです。
- 地面レベルに近い窓の外側に土嚢を積んで水圧を軽減する
- 換気口・通気口(基礎部分のガラリなど)は土嚢・防水テープでふさぐ
- エアコンの室外機のドレンホースから水が逆流する場合があるため、高水位が予想される場合はホースを折り曲げて塞ぐ
排水口・トイレへの対応
内水氾濫・高潮の場合、下水道の水圧が上昇して「トイレ・排水口から汚水が逆流する」現象が起きます。この逆流は土嚢では防げません。
トイレの逆流対策には「専用の逆流防止プラグ・逆流防止弁」を使用してください。緊急時の代替措置として「便器にビニール袋を被せて重石(土嚢)を乗せる」方法も一時的な対策として有効です。
洗面台・風呂・台所の排水口は「排水口キャップ」と「重石(水を入れたバケツ・土嚢)」で塞ぎます。
駐車場・車の浸水対策
大切な車を浸水から守る最善策は「洪水が来る前に高い場所(立体駐車場の上層階・高台)に車を移動する」ことです。
車を移動できない場合、低い地盤の駐車場での浸水を遅らせる補助的な手段として土嚢が使えます。ただし「車が水没しそうな状況では、車を守ることより自分が逃げることを最優先」にしてください。
必要な土嚢の数の目安
「何枚の土嚢を準備すればよいか」は、住宅の形状・浸水深・設置箇所によって異なります。以下は目安として参考にしてください。
| 設置箇所 | 標準的な開口幅の目安 | 必要な土嚢枚数の目安(高さ30cm・2段積みの場合) |
|---|---|---|
| 玄関ドア(標準的な幅90cm) | 幅90cm・高さ30cm | 約4〜6枚(1段)、約8〜12枚(2段) |
| 掃き出し窓(幅180cm) | 幅180cm・高さ30cm | 約8〜10枚(1段)、約16〜20枚(2段) |
| ガレージシャッター(幅270cm) | 幅270cm・高さ30cm | 約12〜15枚(1段)、約24〜30枚(2段) |
| 一般住宅の全開口部 | 玄関・掃き出し窓2〜3か所・勝手口 | 最低50〜100枚が目安 |
国土交通省の水防活動資料では「1世帯あたり最低30〜50枚の土嚢袋を備蓄することが望ましい」とされています。
ただし、これは「軽微な浸水(床下浸水〜床上浸水30cm程度)」を想定した枚数です。より深い浸水が予想される地域では、さらに多くの土嚢が必要です。
ハザードマップで「想定浸水深が50cm以上」の地域にお住まいの方は「土嚢だけでの対応は限界がある」という認識も重要です。
土嚢の入手方法
土嚢袋・砂袋はどこで手に入るのでしょうか。主な入手方法を解説します。
①市区町村役場・消防署での無償配布
多くの市区町村では「洪水・台風時に土嚢の無償配布または貸し出し」を行っています。
台風が接近した際に「市役所・区役所・消防署・公民館等で土嚢の無償配布を行います」という告知が出ることがあります。
ただし「配布は先着順・数量限定」のことが多く、台風接近直前には行列ができることもあります。
事前に「自分の市区町村では土嚢の配布・貸し出しを行っているか」「どこで受け取れるか」「砂は自分で調達する必要があるか」を確認しておくことをおすすめします。
②ホームセンターでの購入
カインズ・コーナン・コメリ・ナフコなどのホームセンターでは、土嚢袋・砂が常時販売されています。
土嚢袋は「50枚入り・100枚入り」のパックで1,000〜3,000円程度で販売されています。砂は「20kgの砂袋」が300〜600円程度で販売されています。
ただし「台風・大雨の前夜にはホームセンターの土嚢袋・砂が売り切れる」ことが全国各地で毎年起きています。「大雨の前に買いに行こう」では手遅れになる可能性があります。
③インターネット通販での事前購入・備蓄
Amazonや楽天市場などのECサイトでは、土嚢袋・吸水土嚢などが平時に購入できます。
「いざというときに買えない」リスクを回避するため、平時の今のうちに購入して備蓄しておくことを強くおすすめします。
空の土嚢袋は「50〜100枚を折り畳んでコンパクトに保管」できます。砂は重くて保管スペースが必要なため「吸水土嚢(後述)」を代わりに備蓄する方法もあります。
土嚢の代用品:水のう・吸水土嚢・止水板
土嚢は「砂が必要・重い・準備に時間がかかる」という欠点があります。近年では「土嚢の代用品・補完品」として優れた浸水対策グッズが開発されています。
①水のう(みずのう):最も手軽な代用品
水のうとは「大きなビニール袋などに水を入れて、土嚢の代わりとして使うもの」です。東京都や大阪市などの自治体も「水のうは土嚢の代わりとして有効」と公式に推奨しています。
水のうの作り方は非常に簡単です。
- 45Lまたは90Lのゴミ袋を2重にする(破れ防止)
- 袋の中に水を半分〜2/3程度入れる
- 袋の口をしっかり縛る(空気を少し残すと変形して隙間を埋めやすくなる)
- 設置したい箇所に並べる
水のうは「砂が不要・水道水で作れる・空気を残すと変形して隙間を埋めやすい」という利点があります。
一方「砂を詰めた土嚢より水圧への耐性がやや低い・水を使うため水道が使えない状況では作れない」という欠点もあります。
②吸水土嚢(きゅうすいどのう):水で膨らむ土嚢
吸水土嚢とは「高吸水性ポリマーを袋に封入したもので、水を吸収すると膨らんで土嚢と同じ機能を果たす製品」です。
使い方は「水(雨水・水道水・浸水してきた水など)に浸すだけ」でよく、砂・スコップ・重労働が不要です。乾燥時の重さは約400〜500gのものが、水を吸収すると約15〜20kgに膨らみます。
コンパクトに保管できるため「事前備蓄に最適な土嚢代用品」として近年急速に普及しています。
ただし「使用後はポリマーが膨らんだ状態になり・通常の土嚢袋と同様の廃棄処分が必要」という点を覚えておいてください。
③止水板(しすいばん):最も効果が高い浸水対策器具
止水板とは「玄関・開口部に設置する専用の防水パネル」です。アルミ・鋼板・樹脂などの素材でできており、開口部にはめ込むことで高い防水性能を発揮します。
土嚢と比べて「設置が早い・防水効果が高い・繰り返し使用できる」という大きな利点があります。
一方「初期費用が高い(1セット数万円〜数十万円)・住宅の開口部サイズに合わせたカスタム品が必要」という欠点もあります。
浸水リスクが高い地域にお住まいの方・重要な施設の管理者は、止水板の導入を強くおすすめします。
④防水テープ・気密テープ
ドア・窓・シャッターの隙間を防水テープ・気密テープでふさぐことも、軽微な浸水対策として有効です。
土嚢・止水板と組み合わせることで、隙間からの浸水を減少させます。布テープ・防水テープ・ブチルテープなど、粘着力の高いテープを選んでください。
⑤市販の簡易止水シート・止水ゲル
近年は「シートタイプの止水材」「ゲル状の浸水防止材」なども販売されています。設置が簡単で即席の止水対策として利用できますが、効果・耐久性は製品によって異なります。
補助的な浸水対策グッズとして、土嚢・止水板と組み合わせて使用するのが効果的です。
使用後の土嚢の処分方法と注意点
洪水後に使用した土嚢は、どのように処分すればよいのでしょうか。
使用後の土嚢の処分の流れ
洪水後の土嚢には「汚染された泥・水・場合によっては有害物質」が含まれている可能性があります。使用後の土嚢を処分する際の基本的な流れは以下の通りです。
- 自治体に処分方法を確認する:使用済み土嚢の処分方法は市区町村によって異なる。水害後は臨時の「がれき・土嚢の受け入れ場所」が設置されることがある。まず自治体に確認する
- 袋と中身を分けて処分する:土嚢袋(プラスチック製の場合)とその中の砂・土は分けて処分する。砂・土は「土砂・泥の回収場所」へ。袋は「プラスチックごみ」として処分(自治体の指示に従う)
- 汚染された土嚢の取り扱い:洪水の泥水を吸った土嚢には「大腸菌・レジオネラ菌などの病原菌」が含まれている可能性がある。素手での取り扱いは避け、ゴム手袋・防護眼鏡・マスクを着用して作業する
- 作業後は手をしっかり洗う:土嚢の片付け後は石鹸で手を十分に洗う。傷がある部分への汚染土の接触には特に注意する
再利用できる土嚢・できない土嚢
洪水に使用した土嚢袋を再利用する場合は注意が必要です。
ポリプロピレン製の土嚢袋は「洗浄・乾燥後に再使用可能」なものもありますが、破損・劣化がある場合は廃棄してください。
中の砂・土が汚染されている場合は、再利用せずに廃棄することをおすすめします。
「吸水土嚢(高吸水性ポリマー型)」は一度使用すると再利用できません。使用後はビニール袋に入れて廃棄してください。
土嚢の保管・備蓄の方法
土嚢袋を事前に備蓄するためのポイントを解説します。
空の土嚢袋の保管方法
空の土嚢袋(ポリプロピレン製)は「折り畳んでコンパクトに保管」できます。
50枚で1袋分程度のスペースに収まるため、クローゼット・押し入れ・倉庫に保管しやすいです。
ただし「直射日光・紫外線が当たる場所での長期保管は避ける」ことが大切です。UV(紫外線)によって袋が劣化し、使用時に破れる可能性があります。
砂の備蓄方法
砂を事前に備蓄する場合は「蓋付きのポリバケツ・プラスチックコンテナ」に入れて保管します。袋のまま保管すると、袋が破れて砂が散乱することがあります。
雨水が混入しないよう、蓋をして保管してください。砂が湿ってしまうと「土嚢が重くなりすぎる・カビが生える」リスクがあります。
吸水土嚢の保管方法
吸水土嚢(水で膨らむ土嚢)は「密封状態を維持して保管」することが最も重要です。湿気が高い場所での保管は「使用前に中のポリマーが吸湿して膨らむ・性能が低下する」原因になります。
乾燥した場所で密封袋に入れたまま保管してください。製品によって「使用期限・保管期限」が設定されているものがあります。
購入後は定期的に確認・交換することをおすすめします。
土嚢の限界と「逃げる決断」の重要性
土嚢・砂袋・止水板などの浸水対策グッズについて学んできましたが、最後に最も重要なことをお伝えします。
土嚢が効かない洪水の規模
土嚢・止水板などの浸水対策器具には「対応できる浸水深・水圧の上限」があります。
- 浸水深が50cmを超えてくると「土嚢が押し流される・隙間から大量の水が入る」リスクが高まる
- 浸水深が1m以上の外水氾濫では「土嚢での対処はほぼ不可能」と考えてよい
- 堤防決壊による突発洪水では「土嚢を積む時間的余裕がなく・水量も制御できない」
ハザードマップで「想定浸水深が1m以上」の地域にお住まいの方にとって、土嚢は「補助的な時間稼ぎ」にはなりますが、浸水を完全に防ぐことはできません。
「財産を守ること」と「命を守ること」を混同しない
土嚢を積む目的は「財産(建物・家財)を守ること」です。これは決して「命を守ること」と同じではありません。
洪水警報(氾濫警報・危険警報)が発表された状況で「土嚢を積み続けること」は、避難するべき時間を失うことを意味します。
「家具をどかしていたら逃げ遅れた」「土嚢を積んでいたら避難が間に合わなかった」という事例が毎年報告されています。
✅ 土嚢と避難の「切り替えライン」を事前に決めておく
「○○警報が出たら土嚢作業を中断して避難する」という「切り替えライン」を事前に家族で決めておくことをおすすめします。
例:「洪水警報(氾濫警報)が出たら作業をやめて避難する」「近くの川の水位が○○mになったら逃げる」など、具体的な基準を決める。
土嚢作業に集中すると「避難のタイミングを失う」という「作業没頭バイアス」に陥りやすいです。
「財産を守ることより・命を守ることが最優先」という原則を家族全員で共有してください。
浸水対策の「多層防御」という考え方
最も安全な洪水対策は「複数の手段を組み合わせた多層防御」です。
- 第1層:リスクを知る:ハザードマップで自宅の浸水リスクを把握する
- 第2層:早期避難:洪水警報・避難情報が出たら早期に避難する
- 第3層:浸水対策器具:土嚢・止水板・水のうで浸水を遅らせる・軽減する
- 第4層:重要物の保護:高い場所への移動・防水バッグへの収納で貴重品を守る
- 第5層:保険:火災保険(水災補償)で万が一の経済的損失をカバーする
土嚢は「第3層」にあたる手段です。
「第2層の早期避難」より後回しにすることは絶対に避けてください。
まとめ:洪水対策の土嚢・砂袋で知っておくべきこと
この記事でお伝えした重要なポイントをまとめます。
- 土嚢の基本:砂・土を詰めた袋を積み重ねて「水の侵入経路を物理的に遮断する」浸水対策器具。浸水深30〜50cm程度まで有効
- 正しい作り方:袋の半分〜2/3程度に砂を詰める(1袋15〜20kg)。空気を抜いて縛り口をしっかり縛る
- 正しい積み方:千鳥積み(レンガ積み)。縛り口は内側または下向き。足で踏み固める。コーナー部分を確実に処理する
- 入手方法:市区町村の無償配布・ホームセンター・ネット通販。台風前夜は品切れになるため事前備蓄が最善
- 代用品:水のう(ビニール袋+水)・吸水土嚢(水で膨らむ土嚢)・止水板・防水テープなどを組み合わせる
- 処分方法:使用後は自治体の指示に従って処分。汚染土嚢は手袋・マスク着用で取り扱う
- 最重要ポイント:土嚢は「財産を守る補助手段」。命を守るための「早期避難」より優先してはならない。警報が出たら作業を中断して逃げる
土嚢・砂袋は正しく使えば「浸水被害を大幅に軽減できる有効な防災器具」です。しかし「土嚢を積んだから大丈夫」という過信が命を危険にさらすことがあります。
土嚢の使い方と同時に「いつ避難するか」の判断基準を家族で話し合っておくことが、洪水から命と暮らしを守るための最善策です。
防災ベースでは今後も洪水・水害から命と暮らしを守るための最新情報をお届けします。

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