台風24号は7日に熱帯低気圧へ変わりました|雨は10日ごろまで続きます

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【この記事の要約】
2026年9月1日、台風24号「クロヴァン」が日本の南で発生しました。気象庁の1日13時05分の発表では、北緯22.5度・東経131.8度、最大風速18メートル(最大瞬間25メートル)です。その後、予想に反して発達しました。3日9時に985ヘクトパスカルまで下がり、15時は990ヘクトパスカル・最大風速20メートルです。ここで、この台風のいちばん重要な点をお伝えします。危険なのは台風本体ではありません。本州付近へ南下してくる秋雨前線に、この台風が水蒸気を送り込むことが問題です。その結果、台風から遠く離れた場所で大雨になるおそれがあります。報道では9月4日から6日ごろにかけて、東日本から西日本、沖縄・奄美を中心に警報級の大雨となる可能性が伝えられています。つまり、台風の進路図を見て「自分の場所からは遠い」と判断してはいけない台風です。見るべきは台風の位置ではなく、前線の位置と、お住まいの地域に出ている警報です。なお同じ日、南シナ海では台風18号が「復活台風」として再発生しています。こちらは日本への直接の影響はありません。

【9月8日 更新】台風24号は、7日午前9時に南大東島付近で熱帯低気圧に変わりました。9月1日の発生から、6日間の経過でした。
ですが、危険は終わっていません。熱帯低気圧は秋雨前線とともに北上し、8日から9日にかけて九州や四国に接近。その後は前線に取り込まれながら本州付近を通過する見込みです。
大雨への警戒は、10日ごろまで続きます。関東甲信は8日にかけてと10日、東海は10日にかけて、近畿は8日午後から10日が対象です。
そして、これまでの雨で地盤が緩んでいます。少ない雨でも土砂災害の危険度が高い状態です。

台風24号が発生しました。

ただし、この台風の記事は、いつもと少し書き方を変えます。

理由があります。この台風は、本体が来るかどうかで危険が決まらないからです。

私は札幌に住んでいて、防災士として活動しています。台風の記事をこの夏に何本も書いてきましたが、今回はいちばん誤解されやすい型だと感じています。

目次

結論|台風の位置ではなく、前線を見てください

先に、いちばん大事なことを書きます。

台風24号は、発生時の見込みに反して発達しました。3日9時で985ヘクトパスカル、最大風速23メートルです。ただし、風より問題なのは雨です。南下してくる秋雨前線に水蒸気を供給し、台風から遠く離れた場所に大雨を降らせるおそれがあります。
ですから「台風がこちらに来ないから大丈夫」という判断は、成り立ちません。

台風の進路図を見て安心する。これが、この型でいちばん多い誤りです。

いま、どこにあるのか

経過|台風としての終わり(9月7日9時)

項目 内容
名前 台風24号(クロヴァン)
熱帯低気圧に変わった日時 9月7日 午前9時
場所 南大東島付近
発生から 9月1日の発生から6日間
最も強かったとき 9月3日9時、985ヘクトパスカル・最大風速23メートル
特徴 沖縄本島付近を反時計回りにループしました
その後 熱帯低気圧として北上。8〜9日に九州・四国へ接近
3日9時の値 985ヘクトパスカル・最大風速23メートル
発生時(9月1日) 994ヘクトパスカル前後・最大風速18メートル

発生から2日で、中心気圧が9ヘクトパスカル下がりました。

発生時は最大風速18メートル。台風の基準である17.2メートルを、わずかに超えた状態でした。いまは23メートルです。

予想は外れることがあります。私は9月1日の時点で「大きく発達しない見込み」と書きました。そのとおりにはなりませんでした。ですから、古い記事の数字ではなく、最新の発表を見てください。

今後の進路の見込み

報じられている見通しを整理します。

日時 位置の見込み
9月3日21時 北緯27度55分・東経128度25分(990ヘクトパスカル)
9月4日9時 北緯29度20分・東経127度30分。ここが最も北です
9月5日9時 北緯27度40分・東経126度50分。南へ引き返します
9月6日9時 北緯25度20分・東経128度00分。さらに南下

北へ進んだあと、引き返してきます。

4日9時の北緯29度20分が最も北で、そこから6日にかけて北緯25度20分まで南下する予想です。一回転するような複雑な動きをとり、迷走するおそれがあるとされています。

この動きが、なぜ問題なのか。台風が同じ海域に居座り続けるからです。

暖かく湿った空気が、前線へ流れ込み続けます。結果として、本州の大雨が長引きます。

なぜ、引き返してくるのか

台風が反転する理由は、まわりの高気圧です。

4日朝にかけては、太平洋高気圧の縁に沿って北西へ進みます。

ところが、その先で中国大陸から張り出す高気圧に行く手を遮られます。

進めなくなった台風は、5日に一転して南下を始めます。これが「迷走」の中身です。

台風は自分で進路を選びません。まわりの高気圧のすきまを通るだけです。すきまがふさがれば、止まるか、引き返します。

宮崎・鹿児島に、線状降水帯の半日前予測が出ました

9月3日、気象庁は宮崎県と鹿児島県(奄美地方を含む)に線状降水帯の半日前予測を発表しました。

3日夜遅くから、線状降水帯が形成されて大雨災害の危険性が急速に高まる可能性があるとされています。

この予測は、発生を確定させるものではありません。「そうなるかもしれない」という段階で出ます。

ですから外れることがあります。それでも出す理由は、発生してからでは避難が間に合わないからです。

受け取り方は、ひとつだけです。夜になる前に、避難の準備を終えてください。

半日前予測の仕組みと、過去に発表されたときの経緯は線状降水帯の半日前予測とは|東海から九州南部に発表された2026年6月の経緯に書きました。

地域別|警報級の大雨は、いつからいつまでか

警報級の大雨が見込まれる地域
3日(木) 東北から北陸。青森県・秋田県にレベル4土砂災害危険警報
4日(金) 東北から九州にかけて。宮崎・鹿児島は線状降水帯のおそれ
5日(土) 東海から九州にかけて
6日(日) 関東・東海・近畿・四国など太平洋側
7日(月) 関東甲信と東北で、さらに雨量が多くなるおそれ

ご自身の地域の行を見てください。

5日間にわたって、雨の中心が西から東へ移っていきます。いま降っていなくても、順番が回ってきます。

そしてレベル4は、避難を終えているべき段階です。すでに青森県と秋田県では、3日の時点で土砂災害の危険警報が出ています。

レベル4の意味はレベル4土砂災害危険警報は2時間先を予測して出る|避難を終えるべき最終ラインに整理しました。

もうひとつ、本州の南に熱帯低気圧があります

9月5日の時点で、状況がひとつ複雑になりました。

本州の南の海上に、別の熱帯低気圧があります。

そして台風24号は、この熱帯低気圧と連動するように動いています。沖縄本島付近を反時計回りにループしながら、九州の南へ近づく予想です。

台風24号 新しい熱帯低気圧
位置 久米島の北約170キロ 本州の南の海上
動き 反時計回りにループ 秋雨前線の近く
役割 どちらも、前線へ湿った空気を送り続けます

ここが、この記事の最初から一貫している点です。

雨を降らせているのは、台風の本体ではありません。前線です。

そしていまは、水蒸気を送る装置が2つに増えました。台風がゆっくりループしているぶん、供給も長く続きます。

台風は消えました。雨は終わりませんでした

ここが、この記事でいちばん伝えたい点になりました。

台風24号は、7日午前9時に熱帯低気圧へ変わりました。台風としては、終わりました。

ですがその熱帯低気圧は、秋雨前線とともに北上を続けています。8日から9日にかけて九州や四国に接近し、その後は前線に取り込まれながら本州付近を通過する見込みです。

そして大雨は、10日ごろまで続く見込みです。

地域別の警戒期間

地域 警報級の大雨に警戒する期間
北海道 8日 未明〜明け方
東北 7日夜遅くまで/8日午後〜9日
北陸 8日 朝〜9日
関東甲信 8日にかけて/10日
東海 10日にかけて
近畿 7日夜遅くまで/8日午後〜10日
四国 8日午後〜9日

地盤が緩んでいます。少ない雨でも危険です

ここが、いまいちばん重要な点です。

9月に入ってから、各地で雨が降り続いています。地面は、すでに水を含んだ状態です。

地面が水を含める量には、限りがあります。限界に近づいているほど、同じ雨量でも危険度が上がります。

これまでの大雨と長雨で地盤が緩んでおり、比較的少ない雨でも土砂災害の危険度が高まっているとされています。
「先週より雨が弱いから大丈夫」は、成り立ちません。

土砂災害は、雨がやんだあとに起きることもあります。土砂災害警戒情報が解除されるまで、警戒を続けてください。

時期 地域 内容
7日 未明〜朝 関東 1時間に80ミリ以上の猛烈な雨のおそれ。線状降水帯の予測も
6日夜〜7日夜 近畿 警報級の大雨のおそれ
7日 東日本〜東北 前線の活動が活発になることが確実とされています
8日午後〜9日 近畿 ふたたび警報級の大雨のおそれ

秋雨前線が、本州の南から北上しています。

台風が弱まっても、前線そのものは残ります。そして北上した前線が、東日本から東北に雨を降らせます。

この記事は最初から、「危険なのは台風本体ではなく前線」と書いてきました。台風が消えることで、その構図がいっそうはっきりした形です。

関東の状況は関東に線状降水帯の半日前予測|7日昼前まで、24時間で250ミリのおそれにまとめました。

1時間に80ミリとは

気象庁の表現では「猛烈な雨」です。

息苦しくなるような圧迫感があり、雨で前が見えなくなります。

そしてこれが未明から朝にかけて予想されています。暗い時間帯です。避難の判断は、それより前に済ませておく必要があります。

被災地では、同じ場所に再び降ります

令和8年8月の豪雨で被災した地域が、再び雨の範囲に入ります。

一度大雨を受けた土地は、地盤がゆるんだままです。

同じ雨量でも、被害が出る水位が下がっています。前回大丈夫だったから、今回も大丈夫とはなりません。

該当する地域にお住まいの方は、いつもより早い段階で避難の判断をしてください。

大雨のピークは6日から7日です

秋雨前線は3日に南下し、4日から5日にかけて本州の南岸付近に停滞する予想です。

報じられている24時間予想降水量を、整理します。

地域 24時間予想降水量
四国・九州南部 200〜300ミリ
東海・近畿 150〜200ミリ
東北・北陸 120ミリ
九州の太平洋側 5日夕方までに、多い所で300ミリ以上

四国の200〜300ミリは、9月のひと月ぶんに近い量です。

そして雨は7日で終わりとは限りません。台風と熱帯低気圧が前線へ水蒸気を送り続けるため、来週にかけて大雨が長引くおそれがあります。

7日(月)には上空の気圧の谷が進んでくるため、発達した雨雲が北へ広がります。関東や東北の太平洋側でも、雨が強まる見込みです。

土砂災害、低い土地の浸水、河川の増水と氾濫に、厳重な警戒が必要です。

雨が続くほど、地面は水を含みます。後半になるほど、同じ雨量でも危険度は上がります。

名前の由来|カンボジアが提案した木の名前

「クロヴァン」は、カンボジアが提案した名前です。

クメール語で、カルダモンという木を指すとされています。

台風の名前は、14の国と地域が提案した140個のアジア名を、発生順に繰り返し使う仕組みになっています。

名前の決まり方は台風の名前は誰が決めるのかに書きました。日本が提案した名前が、すべて星座名である理由も整理しています。

本題|秋雨前線に、水蒸気を送り込みます

ここが、この記事のいちばん重要な部分です。

台風は「水蒸気の運び屋」になります

台風は、暖かい海から大量の水蒸気を吸い上げています。

そして、その水蒸気を周囲へ供給します。台風の周りには、湿った空気の流れが生まれます。

この流れが、本州付近に南下してくる秋雨前線に届きます。

前線は、水蒸気を受け取ると活発になります

前線は、暖かい空気と冷たい空気の境目です。

そこへ湿った空気が流れ込むと、持ち上げられて雲になり、雨が降ります。

供給される水蒸気が多いほど、雨は強く、長く続きます。

つまり、台風が来なくても、台風のせいで大雨になります。台風は南にいるまま、水蒸気だけが前線に届く。そして前線のある場所で、記録的な雨が降ることがあります。

だから、遠い場所が危険になります

報道では、9月4日から6日ごろにかけて、東日本から西日本、沖縄・奄美を中心に警報級の大雨となるおそれが伝えられています。

また9月3日から5日ごろには、関東から四国などで大雨のおそれがあるとも報じられています。

これらの地域は、台風の中心から離れています。

それでも大雨になるのが、この組み合わせの特徴です。

この仕組みは秋雨前線と台風が重なると危険な理由|台風が来なくても大雨になる仕組みに、くわしく書きました。今回の台風は、まさにこの型です。

この型の台風が、なぜ誤解されやすいのか

①進路図を見て、安心してしまいます

台風情報で最初に目に入るのは、進路の予報円です。

自分の住む場所が円の外にあれば、「今回は関係ない」と判断してしまいます。

しかし前線による大雨は、予報円とはまったく別の場所で起こります。

②「発達しない」と聞いて、油断します

発生時の発表は、994ヘクトパスカル、大きく発達しない見込みでした。

そして、実際には発達しました。これが、予報を一度だけ見て判断してはいけない理由です。

仮に発達しなかったとしても、この台風の危険は変わりませんでした。実際、風の被害という意味では、それほど大きくないかもしれません。

けれど危険なのは風ではなく、雨です。そして雨をもたらすのは、台風本体ではなく前線です。

③台風が遠ざかっても、雨は続きます

台風が南へ進路を変えても、前線はそのまま残ります。

「台風が離れたから終わった」とはなりません。前線が北上または南下して抜けるまで、雨は続きます。

何を見て、何をするか

見るもの

見るもの 分かること
お住まいの市町村の警報・注意報 これが最優先です。台風の位置ではありません
キキクル(危険度分布) いま、どこが危ないかが色で分かります
雨雲レーダー 雨の帯がどこにあり、どちらへ動いているか
天気図の前線の位置 前線が自分の地域にかかるかどうか
台風の進路予想 参考程度に。これだけで判断しないでください

キキクルの見方はキキクルとは?気象庁の危険度分布の見方に書きました。紫と黒の違い、避難を始める色を整理しています。

いま、やっておくこと

大雨は9月4日ごろからと見込まれています。まだ数日あります。

やること 理由
ハザードマップを確認する 自宅が浸水想定区域か、土砂災害警戒区域か
側溝や排水口を掃除する 詰まっていると、水があふれます
避難先と経路を決める 降り始めてからでは判断できません
スマートフォンを充電する 停電に備える
飲料水と食料を用意する 数日ぶん
車の給油 停電するとスタンドも止まります

「側溝や排水口の掃除」は、いま数分でできて、効果があります。

とくにベランダの排水口は見落とされます。詰まっていると、雨水が室内へ入ります。

大雨が始まったら

川や側溝を見に行かないでください。

これは、毎年繰り返される事故です。増水した水路の縁は見えず、足を取られます。

そして夜間の避難は危険です。暗いと、冠水した道路と水路の区別がつきません。

明るいうちに判断してください。

大雨で、実際に何が起きるのか

「警報級の大雨」と言われても、具体的に何が起きるのかは伝わりにくいと思います。整理しておきます。

起きること 説明
内水氾濫 川があふれなくても、排水が追いつかず道路や家が浸水します
外水氾濫 川の水が堤防を越える、または壊れてあふれる
土砂災害 雨がやんだあとに起きることがあります
アンダーパスの冠水 道路の低い部分に水がたまり、車が水没します
停電 倒木や設備の浸水によって
交通の乱れ 鉄道の運転見合わせ、道路の通行止め

「内水氾濫」を、いちばん最初に置きました。

近くに川がなくても起こるからです。下水や排水路の処理能力を超える雨が降れば、水が行き場を失って地上にあふれます。

詳しくは内水氾濫は川があふれなくても起きるに書きました。

土砂災害は、雨がやんでからも起きます

ここは、繰り返し伝えたい点です。

地面にしみ込んだ水は、すぐには抜けません。降り終わったあとも、地中の水は増え続けることがあります。

ですから「雨がやんだから安全」ではありません。土砂災害警戒情報が解除されるまで、警戒を続けてください。

避難の判断を、いつするか

大雨は9月4日ごろからと見込まれています。判断の順番を決めておきます。

タイミング やること
いま(数日前) ハザードマップの確認。避難先と経路を決める
前日 買い出し、充電、排水口の掃除、車の移動
降り始め キキクルと警報を確認する
明るいうち 避難するなら、ここで判断してください
夜間 外は危険。建物の2階以上へ移ることを考える

「明るいうちに」が、いちばん重要です。

暗くなると、冠水した道路と水路の区別がつきません。すでに浸水が始まっている場所を歩いて避難するのは、非常に危険です。

その場合は、建物の2階以上など、より安全な場所へ移ることを考えてください。

避難の判断基準は避難所へ行くべきか自宅に残るべきかに整理しました。

もうひとつの動き|台風18号が復活しました

同じ9月1日、南シナ海で台風18号「ソウデル」が再発生しています。

これは、8月28日に中国大陸へ達して熱帯低気圧に変わっていた台風18号が、ふたたび発達して台風の基準に戻ったものです。

一度弱まった台風が再び発達することを「復活台風」と呼びます。同じ低気圧だと認められた場合、番号は元のまま引き継がれます。

だから、この台風は24号ではなく18号のままです。

南シナ海の18号について、日本への直接の影響はありません。

詳しくは台風18号が復活台風にに書きました。

いま、2つの台風が同時にあります

台風18号(ソウデル) 台風24号(クロヴァン)
場所 南シナ海 日本の南
状態 復活台風として再発達 発生したばかり。ほぼ停滞
日本への影響 直接の影響なし 前線を活発化させます

注意すべきは、24号のほうです。

2026年の台風を、ふり返っておきます

今年は、記録的な年になっています。

できごと 内容
8月の発生数 10個。1966年以来60年ぶりの記録
8月末までに 23号まで発生
9月1日 24号が発生。同日、18号が復活

ただし、数が多いことと危険が大きいことは別です。

8月の10個のうち、日本に大きな被害をもたらしたものは限られていました。多くは日本のはるか東や、中国方面へ向かっています。

台風の危険は、発生した数ではなく進路で決まります。

8月の全体像は台風24号のたまごが日本の南ににまとめました。

そして、ここからが本番です

9月から10月は、本州にとって台風の本番です。

理由があります。太平洋高気圧が弱まり、台風が日本列島に沿って北上しやすくなるからです。

8月の台風の多くが日本のはるか東を通ったのは、太平洋高気圧が強く、その縁を回っていたためです。

その高気圧が後退すると、台風の通り道が日本列島に近づきます。

そして今回の24号は、その入り口にあたる台風です。

秋の台風には、特有の危険があります

秋の特徴 説明
秋雨前線がある 台風本体が来なくても大雨になります
移動が速くなる 偏西風に乗ると、進む速度が上がります
本州に上陸しやすい 高気圧の後退で、進路が日本寄りに
雨が長引く 前線が停滞すると、何日も降り続きます

1行目が、今回まさに起きようとしていることです。

動きが遅い台風は、なぜ危ないのか

台風24号は、4日以降動きが遅くなり、迷走する見込みです。

ゆっくり動く台風には、速い台風とは別の危なさがあります。

①水蒸気を送り続けます

台風が同じ場所にとどまれば、暖かい海から水蒸気を吸い上げ続けます。

そして、その水蒸気を前線へ送り続けます。供給が止まらないので、雨も止まりません。

短時間の激しい雨より、長時間降り続く雨のほうが、土砂災害と河川の増水につながります。

②地面が、限界に近づきます

地面が水を含める量には、限りがあります。

降り始めのうちは、雨は地面にしみ込みます。しかし含みきれなくなると、そこから先はすべて表面を流れます。

ですから「同じ強さの雨でも、後半のほうが危険」です。

気象庁のキキクルは、この「地面にたまった水の量」も計算に入れています。雨の強さだけでなく、色を見てほしい理由がここにあります。

③予報が、当たりにくくなります

ゆっくり動く台風は、まわりの風に流されにくい状態です。

進む方向を決める要因が弱いため、予報の幅が広がります。

実際、9月5日から6日ごろの進路には不確実性があるとされています。一度見た進路図を、そのまま信じないでください。

線状降水帯になる条件が、そろいます

線状降水帯は、次の条件がそろうと発生しやすくなります。

条件 今回の状況
大量の水蒸気が流れ込む 台風が供給します
持ち上げるしくみがある 秋雨前線と、地形
上空と下層の風がそろう 台風の周辺では、そろいやすくなります
同じ場所に雲が並ぶ 前線が動かなければ、並び続けます

条件は、そろいうる状況です。

ただし、発生するかどうかを何日も前から言い当てることはできません。気象庁が「線状降水帯が発生するおそれ」を伝えるのは、半日前ほどです。

ですから発表を待ってから動くのでは、遅くなります。いまのうちに準備を終えておいてください。

地域ごとに、注意する時期が違います

地域 注意する時期 おもな心配
沖縄・奄美 9月3日ごろから 台風本体と前線の両方。風と雨
九州南部 9月4日から6日ごろ 台風の接近と、前線の大雨
西日本 9月4日から6日ごろ 前線による大雨。台風は離れています
東日本 9月3日から6日ごろ 前線による大雨
北日本 前線の北上しだい 最新の予報を確認してください

西日本と東日本の欄を、見てください。

台風は九州の南にいます。それでも、この地域が大雨になるおそれがあります。

これが、今回いちばん伝えたいことです。

天気図で、前線をどう見るか

「前線を見てください」と書きましたが、見方が分からないと使えません。

天気図では、前線は線と記号で描かれています。

記号 意味
三角と半円が交互 停滞前線。秋雨前線はこれです
三角が並ぶ 寒冷前線。通過時に激しい雨と風
半円が並ぶ 温暖前線。前方で長い雨

見るのは、線が自分の地域にかかるかどうかです。

そして停滞前線は、名前のとおり動きが遅い前線です。かかったら、しばらく抜けません。

秋雨前線のしくみは秋雨前線とは?台風との組み合わせが危険な理由に整理しました。

停電に、どう備えるか

大雨と強風では、停電が起こります。

今回は風がそれほど強くない見込みですが、備えの手間は同じです。やっておいて損はありません。

備えるもの ひとこと
モバイルバッテリー 満充電にしておく。前日で間に合います
懐中電灯 ろうそくは使わないでください。火事のもとです
飲料水 一人1日3リットルが目安
加熱せずに食べられるもの 停電すると調理が難しくなります
ラジオ 電池式。通信が止まっても聞けます
浴槽に水をためる 断水したときの生活用水になります

「浴槽に水をためる」は、断水の備えです。

飲むためではありません。トイレを流すために使います。

大雨のときの持ち出し品は洪水避難の持ち物リストに、優先順位つきでまとめました。

車で移動する予定がある方へ

大雨のとき、車は安全な場所ではありません。

とくに危ないのは、アンダーパスです。

道路が線路や別の道路の下をくぐる部分。ここは周囲より低いので、水がたまります。

そして、入ってしまうと水圧でドアが開きません。

状況 判断
道路が冠水している 進まない。引き返す
水深が分からない 入らない。深さは見た目で分かりません
水が入り始めた すぐに車から出る。窓を開けておく
河川敷や地下の駐車場に停めている 降り出す前に、高い場所へ移す

「降り出す前に移す」が、いちばん確実です。

浸水が始まってから車を取りに行って、亡くなる方がいます。車より、ご自身を優先してください。

過去にも、同じ型がありました

台風本体ではなく、台風が送り込む水蒸気で大雨になる。

これは、秋にたびたび起きてきた型です。

台風が日本から離れた場所にあるのに、本州で記録的な雨が降る。そして「台風は来ていないのに、なぜ」と言われます。

理由は、いつも同じです。前線があったからです。

秋は、夏の暖かい空気と、北から来る冷たい空気がぶつかる季節です。境目である前線が、日本付近に停滞します。

そこへ台風が水蒸気を送る。この組み合わせが、秋の大雨の典型です。

ですから9月から10月は、台風の進路図だけを見て判断しない習慣を持ってください。

離れて暮らす家族がいる方へ

今回の大雨が見込まれるのは、東日本から西日本です。

ご自身が別の地域にお住まいでも、ご家族が対象の地域にいることがあります。

そのときに、やっておくと役に立つことを書きます。

やること 理由
いまのうちに電話しておく 降り始めてからでは、避難の相談が間に合いません
相手の住所でハザードマップを見る 本人より、離れている側のほうが冷静に見られます
避難先を、一緒に決めておく 行き先が決まっていれば、動けます
連絡が取れないときの手段を決める 災害用伝言ダイヤル。番号は171です

とくに、高齢のご家族の場合です。

高齢の方は、避難に時間がかかります。ですから警戒レベル3「高齢者等避難」の段階で動いてください。

そして「まだ大丈夫」と言われることが多いです。本人の感覚ではなく、ハザードマップと発表されている情報で判断してください。

情報は、どこで確認するか

確認先 分かること
気象庁のホームページ 台風情報、警報・注意報、キキクル
お住まいの市町村の防災情報 避難情報と、開設された避難所
川の防災情報 河川の水位と、氾濫の危険度
テレビ・ラジオ 停電時はラジオが使えます

避難の指示を出すのは、市町村です。

気象庁が出すのは警報と注意報。「避難してください」と言うのは、お住まいの市町村です。

ここを混同すると、待つべき情報を間違えます。両方を見てください。

警戒レベルと、動くタイミング

避難情報には、5段階のレベルがついています。

レベル 情報 やること
1 早期注意情報 心構えを高める
2 大雨・洪水注意報 避難先と経路を確認する
3 高齢者等避難 時間のかかる方は、ここで避難を始める
4 避難指示 全員が危険な場所から離れる
5 緊急安全確保 すでに災害が起きている段階。命を守る行動

レベル5は、避難の合図ではありません。

すでに安全な避難が難しくなった段階で出るものです。ここを待ってはいけません。

避難を終えるのは、レベル4までです。

そしてレベル3は「高齢者等」と書かれていますが、対象は年齢だけではありません。小さなお子さんがいるご家庭、体の不自由な方、その付き添いの方も含まれます。

移動に時間がかかると思う方は、レベル3で動いてください。

私が、この記事を書いた理由

私は札幌に住んでいます。今回の大雨の見込みには、入っていません。

それでも書いたのは、この型がいちばん見落とされるからです。

台風の記事は、進路図とともに読まれます。そして進路図は、自分が対象かどうかを一目で教えてくれるように見えます。

けれど今回は、その一目が外れます。

進路図の外にいる方が、大雨に遭う可能性があります。

ですから、この記事の見出しに台風の進路ではなく前線を置きました。覚えて帰っていただきたいのは、その一点だけです。

よくある質問

Q. 台風は自分の地域に来ませんが、備える必要はありますか?

あります。この台風の危険は、本体の接近ではないからです。

台風が南にあるまま、水蒸気だけが秋雨前線に届いて大雨になります。

ですから台風の進路図ではなく、お住まいの地域に出ている警報を見てください。

Q. 「発達しない」なら、たいしたことはないのでは?

風という意味では、そのとおりかもしれません。

しかし危険なのは雨です。そして雨の量は、台風の強さだけでは決まりません。

前線がどこにあり、どれだけ湿った空気が流れ込むか。それが雨の量を決めます。

Q. いつまで警戒すればいいですか?

前線が抜けるまでです。

台風が遠ざかっても、前線が残っていれば雨は続きます。「台風が去った」を終わりの合図にしないでください。

そして雨がやんだあとも、川の水位が下がるまでには時間がかかります。土砂災害も、雨がやんだあとに起こることがあります。

Q. 沖縄・奄美では、何に注意すればいいですか?

台風の接近そのものに注意が必要です。

進路の見込みでは、9月4日ごろに奄美群島の近海に達するとされています。沖縄・大東島や奄美への接近のおそれが伝えられています。

ただし進路には不確実性があります。最新の情報を確認してください。

Q. 台風24号は、なぜ動きが遅いのですか?

台風を流す上空の風が弱いためと考えられます。

台風は、自力で進むというより周りの風に流されて動きます。

流す風が弱いと、その場にとどまります。そして動きが遅いほど、進路の予想は難しくなります。

また停滞する台風は、同じ海域から水蒸気を供給し続けます。これも、前線を活発にする要因になります。

Q. 「警報級の大雨」とは、どういう意味ですか?

大雨警報が出るような雨、という意味です。

実際に警報が出るかどうかは、そのときの状況によります。ただし「その可能性がある」と伝えられている段階です。

そして大雨警報の基準は、市町村ごとに違います。お住まいの地域の基準は、気象庁の「警報・注意報発表基準一覧表」で確認できます。

Q. ハザードマップは、どこで見られますか?

お住まいの市町村の窓口と、ホームページで配っています。

国土交通省の「重ねるハザードマップ」でも、住所を入れて確認できます。

見るのは、次の3つです。

  • 自宅が浸水想定区域に入っているか。入っているなら、想定される深さ
  • 土砂災害警戒区域、または特別警戒区域に入っているか
  • 指定された避難場所と、そこまでの経路

経路の確認まで、やってください。避難場所が安全でも、途中に川や低い道があれば、そこが危険になります。

Q. 避難所へ行くべきですか、それとも自宅にいるべきですか?

ハザードマップの結果で決まります。

浸水想定が浅く、建物が丈夫で、2階以上があるなら、自宅にとどまるほうが安全な場合があります。

一方で土砂災害警戒区域にお住まいなら、建物の階数は関係ありません。斜面から離れてください。

判断の分かれ目は避難所へ行くべきか自宅に残るべきかに整理しました。

Q. 台風24号のあとに、また台風は来ますか?

9月と10月は、台風の多い時期です。

海水温がまだ高く、台風が発生しやすい状態が続きます。

そして秋の台風は、日本付近まで勢力を保ったまま来ることがあります。夏より偏西風が南下し、台風を速く運ぶためです。

今回の備えは、次の台風にもそのまま使えます。片づけずに置いておいてください。

Q. 学校や仕事は、どう判断すればいいですか?

前日の夜の時点で、翌日の予報を確認してください。

鉄道は、大雨のときに計画的に運転を取りやめることがあります。朝になってから知ると、対応が間に合いません。

そして「行けるかどうか」ではなく「帰れるかどうか」で考えてください。

行きは動いていても、帰りに止まることがあります。そうなると、駅で夜を明かすことになります。

まとめ|見るのは前線と、自分の地域の警報です

要点 内容
発生 2026年9月1日、台風24号「クロヴァン」
名前 カンボジアが提案。カルダモンという木のクメール語
台風としての終わり 9月7日午前9時、南大東島付近で熱帯低気圧へ
その後 熱帯低気圧として北上。8〜9日に九州・四国へ接近
発達 985hPaへ発達。発生時の見込みから変わりました
進路 沖縄本島付近を反時計回りにループ。その後、九州の南へ
もうひとつ 本州の南に別の熱帯低気圧。2つで前線に水蒸気を送ります
線状降水帯 宮崎県・鹿児島県(奄美含む)に半日前予測。3日夜遅くから
本当の危険 秋雨前線への水蒸気供給。遠い場所で大雨
警戒の時期 10日ごろまで。関東甲信は8日と10日、東海は10日、近畿は8日午後〜10日
いま最も危ないこと 地盤が緩んでいます。少ない雨でも土砂災害の危険が高い状態です
いちばん大事なこと 台風が消えても、前線は残ります
予想雨量 24時間で四国・九州南部200〜300ミリ、東海・近畿150〜200ミリ
見るもの 台風の進路図ではなく、自分の市町村の警報

この台風について、覚えていただきたいのはひとつだけです。

「台風がこちらに来ないから大丈夫」は、成り立ちません。

台風は日本の南にとどまったまま、水蒸気だけを前線へ送り込みます。そして雨は、前線のある場所で降ります。

いま、まだ数日あります。ハザードマップの確認と、排水口の掃除。この2つを今日のうちに済ませておいてください。

そして9月から10月が、本州にとっての台風の本番です。この記事で書いた備えは、次の台風にもそのまま使えます。

【この記事について】
台風24号の位置・気圧・風速は気象庁が2026年9月1日13時05分に発表した内容にもとづいています。今後の進路と大雨の見込みは、同日時点で報じられていた内容を整理したものです。台風の情報は数時間ごとに更新され、進路の予想には不確実性があります。とくに動きの遅い台風では、予想が変わることがあります。行動の判断にあたっては、必ず気象庁の最新の発表と、お住まいの地域に出ている警報・注意報をご確認ください。避難については、自治体からの呼びかけに従ってください。警報・注意報の基準は市町村ごとに定められています。

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9月1日は防災の日/8月30日〜9月5日は防災週間

1年に一度、備えを点検する日です。10分でできることから始めてください。

この記事を書いた人

北海道札幌市在住の防災・サバイバル情報発信者です。2018年の北海道胆振東部地震を機に「誰でも今日から始められる防災」をモットーに活動を開始し、実際に試した防災グッズのレビューや家族構成別の備え方をわかりやすくお伝えしています。実践的で信頼できる情報を提供できるよう、がんばっています!

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