土砂災害警戒情報とは?大雨警報との違い・警戒レベル4の意味と避難の判断を解説【2026年最新】

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【この記事の要約】
土砂災害警戒情報は、都道府県と気象庁が共同で発表する情報です。警戒レベル四に相当し、土砂災害の危険がある場所にいる人が避難を終えているべき最終ラインを示します。この情報の特徴は、今の雨ではなく二時間先を予測して出される点にあります。つまり、発表された時点ではまだ災害は起きていません。だからこそ間に合うのです。この記事では、大雨警報との違い、発表を支える土壌雨量指数という考え方、解除されたときの正しい受け止め方、そして「この情報が出ていなくても避難してよい場合」までを整理しました。空振りが多いと言われる理由と、それでもこの情報を信頼してよい理由もお伝えします。

結論からお伝えします。土砂災害警戒情報が発表されたら、それは避難の最終ラインです。土砂災害の危険がある場所にいるなら、その時点で避難を終えている必要があります。

「避難を始める」ではありません。「終えている」です。ここが、この情報を理解するうえでいちばん大事なところだと私は思っています。

私は防災士として、知人から大雨のときの判断について相談を受けることがあります。そこでよく聞くのが「警戒情報は出ていたけれど、まだ大丈夫だと思った」という言葉です。無理もありません。この情報が出た時点では、外はただの大雨で、多くの場合まだ何も起きていないからです。

でも、それこそがこの情報の設計思想です。何も起きていないうちに知らせる。そのために作られた仕組みなのです。

目次

土砂災害警戒情報とは何か

土砂災害警戒情報は、大雨によって土砂災害の危険が高まったときに、都道府県と気象庁が共同で発表する情報です。原則として市町村ごとに発表されます。

対象になるのは、土石流とがけ崩れです。地すべりは、雨との対応関係が異なるため、この情報の直接の対象には含まれていません。ここは意外と知られていない点です。

なぜ二つの機関が共同で出すのか

この「共同発表」という形式には理由があります。

土砂災害が起きるかどうかは、雨だけでは決まりません。雨の降り方と、その土地の地質や地形、斜面の状態がかけ合わさって決まります。

気象庁は、雨を見る専門機関です。どれだけ降ったか、これからどれだけ降るかを予測できます。一方、その地域の地盤がどれくらいの雨で崩れるのかを知っているのは、都道府県の砂防部局です。過去にどこで崩れたか、どんな地質か、どこに危険な渓流があるかを蓄積しています。

この二つが組み合わさって、はじめて「この市町村で、これだけ降ったら危ない」という判断ができます。だから、どちらか一方では出せないのです。

発表される単位

発表は、原則として市町村単位です。かつては都道府県単位でしたが、二〇一〇年五月に市町村単位へ細分化されました。より狭い範囲で、必要な地域にだけ出せるようになったわけです。

ただし、市町村単位というのは、それでもまだ広い範囲です。同じ市の中でも、山あいの地区と平野部では危険度がまったく違います。そのため、より細かく見たいときには後述する危険度分布と組み合わせて使います。

大雨警報との違い

ここが、いちばん混乱しやすいところです。大雨のときには、似たような名前の情報がいくつも出ます。整理します。

情報 警戒レベル 意味 とるべき行動
大雨注意報 レベル2相当 災害のおそれがある 避難先と経路を確認する
大雨警報(土砂災害) レベル3相当 重大な災害のおそれがある 高齢者や体の不自由な方は避難を始める
土砂災害警戒情報 レベル4相当 命に危険が及ぶ土砂災害のおそれが著しく高い 危険な場所から全員が避難する
大雨特別警報 レベル5相当 数十年に一度の状況 命を守る最善の行動をとる

大雨警報と土砂災害警戒情報は、段階がひとつ違います。大雨警報は準備の合図、土砂災害警戒情報は避難完了の期限だと考えてください。

もうひとつ、混同されやすいのが「記録的短時間大雨情報」です。これは、その地域にとって数年に一度しかないような激しい雨が実際に降ったことを知らせるものです。土砂災害警戒情報が「これから危ない」を伝えるのに対し、記録的短時間大雨情報は「今すごい雨が降った」という実況の情報です。性格が違います。

そして、警戒レベル五を待ってはいけません。レベル五は、すでに災害が発生しているか、発生していてもおかしくない状態を意味します。避難の計画をレベル五に置くのは、計画として成立していません。

どうやって危険を判断しているのか

「二時間先を予測して出す」と書きました。では、何をもとに予測しているのでしょうか。ここを知ると、この情報への信頼度が変わってきます。

二つのものさしを使う

土砂災害警戒情報の判断には、二つの数値が使われます。

ひとつめが土壌雨量指数です。これは、降った雨が今その土地の地中にどれだけたまっているかを表す指数です。

土に降った雨は、一部が地表を流れ、一部が地中にしみ込み、一部が時間をかけて抜けていきます。この出入りをモデルで計算し、「今、土の中にどれだけ水が蓄えられているか」を数値にしたものが土壌雨量指数です。

これが重要なのは、土砂災害が「今日の雨」だけでは決まらないからです。前の週から降り続いていれば、地中はすでに水を含んでいます。同じ一時間三十ミリの雨でも、乾いた地面に降るのと、飽和した地面に降るのとでは、まったく意味が違います。土壌雨量指数は、その差をとらえます。

ふたつめが六十分間積算雨量です。直近一時間にどれだけ降ったか。こちらは短期的な激しさを表します。

土砂災害は、長く降り続いて地盤が緩んだところに、短時間の強い雨が加わったときに起きやすくなります。だから、長期の指標と短期の指標、両方を見る必要があるのです。

基準線を超えるかどうかで判断する

この二つの数値を、縦軸と横軸にとったグラフを考えます。そこに、一時間ごとの雨の状態を点で打ち、線でつないでいきます。この線は、うねうねと動くことから通称スネークラインと呼ばれています。

グラフには、あらかじめ基準線が引かれています。この線を超えた領域では、過去に土砂災害が発生している、という経験にもとづく線です。

そして、二時間先までの予測を含めたスネークラインが、この基準線を超えると判断されたときに、土砂災害警戒情報が発表されます。

ここが決定的に重要です。この情報は、実況ではありません。予測です。発表された時点で、まだ基準線を超えていないこともあります。二時間後に超える見込みだから、今のうちに知らせているのです。

つまり、この情報には避難のための時間があらかじめ組み込まれているということになります。発表された瞬間から動けば、間に合うように設計されている。逆に言えば、その時間を使わなければ、設計の意味がなくなります。

この情報が生まれた背景

土砂災害警戒情報は、最初からあった仕組みではありません。大きな災害のたびに、少しずつ形を変えてきたものです。その経緯を知っておくと、この情報が何を目指しているのかが見えてきます。

ひとつの転機は、一九九九年六月に広島市や呉市を襲った豪雨災害でした。住宅地の背後で土石流やがけ崩れが多発し、多くの方が亡くなりました。この災害を受けて、二〇〇〇年に土砂災害防止法が制定されます。危険な区域をあらかじめ指定して周知するという、現在の土砂災害警戒区域の仕組みは、ここから始まりました。

ただ、区域を指定するだけでは足りません。「ここが危ない」がわかっても、「いつ危ないか」がわからなければ、避難のきっかけになりません。そこで、雨の状況から発表するタイミングを判断する仕組みとして、土砂災害警戒情報の運用が二〇〇五年に始まりました。そして二〇〇八年三月までに、全都道府県で運用されるようになります。

先ほど触れた通り、当初は都道府県単位の発表でした。県全体に出るため、自分に関係があるのかどうかが判断しづらい。この問題を受けて、二〇一〇年五月に市町村単位へ細分化されました。

さらに、二〇一九年には五段階の警戒レベルが導入されます。それまでは、注意報、警報、警戒情報、特別警報と名前の違う情報が並び、どれが重いのかが直感的にわかりませんでした。数字で順序をつけたことで、比較できるようになったわけです。

二〇二一年には、避難勧告が廃止され、避難指示に一本化されました。「勧告」と「指示」の違いがわかりにくく、勧告の段階で動かない人が多かったためです。

この流れを振り返ると、ひとつの方向が見えてきます。情報を増やすのではなく、わかりやすくする方向へ変わり続けているということです。裏を返せば、それだけ「情報は出ていたのに逃げられなかった」という事態が繰り返されてきた、ということでもあります。

発表の基準は固定ではありません

もうひとつ、知っておいていただきたいことがあります。基準線は、一度決めたら永久に同じ、というものではありません。

基準は、過去にその地域で土砂災害が発生したときの雨の状況をもとに設定されています。ということは、新しい災害が起きれば、その実績を反映して見直されます。実際、大きな災害の後には基準の検証と改定が行われています。

さらに重要なのが、地震の後の運用です。大きな地震があると、斜面の地盤が緩みます。同じ雨量でも、地震の前より崩れやすくなるわけです。そのため被災地では、通常より低い雨量で発表するように基準を引き下げた、暫定的な運用が行われることがあります。

これは、地震のあった地域にお住まいの方には直接関わる話です。「去年は同じくらいの雨で何も起きなかった」という経験が、そのまま通用しなくなります。地震の後の最初の雨の季節は、いつも以上に慎重に構えてください。

発表されたら何をするか

では、実際に土砂災害警戒情報が出たとき、どう動くか。順番に整理します。

まず、自分がどこにいるかを確認する

この情報が意味を持つのは、土砂災害の危険がある場所にいる人にとってです。市内全域に出ていても、平野部の中心市街地にいるなら、直接の危険はありません。

だから、判断の前提として自分の家や職場が土砂災害警戒区域に入っているかどうかを知っている必要があります。これを知らないと、この情報を受け取っても行動に変換できません。

まだ確認していない方は、大雨の日ではなく、今日この場で調べてください。都道府県が公開している土砂災害警戒区域のマップか、国土交通省の重ねるハザードマップで、五分あれば終わります。詳しい手順は土石流とは?前ぶれ・逃げる方向・危険な場所の調べ方にまとめています。

次に、危険度分布で自分の場所の色を見る

市町村単位の情報だけでは、粗すぎることがあります。そこで使うのが、気象庁の危険度分布、通称キキクルです。

キキクルは、土砂災害の危険度を地図上に色で示します。一キロ四方という細かさで、今いる場所そのものの状況がわかります。色は危険度が上がるにつれ、黄、赤、紫、黒と変化します。

紫は、警戒レベル四に相当します。自分のいる場所が紫になったら、市町村から避難指示が届いていなくても、自分の判断で避難してかまいません。黒は、災害がすでに切迫しているか発生している可能性を示します。

土砂災害警戒情報とキキクルは、対立する情報ではありません。市町村全体の状況を土砂災害警戒情報で、自分のいる地点の状況をキキクルで見る。この二段構えが、いちばん確実です。

そして、明るいうちに動く

土砂災害の犠牲者は、夜間から未明に集中しています。暗いこと、寝ていること、雨音で音が消されること。この三つが重なると、逃げる機会そのものが失われます。

ですから、夕方までに雨の予報が悪ければ、警戒情報を待たずに動いてしまうという判断もあります。空振りになっても、失うのは一晩の不便だけです。

夜になってから警戒情報が出て、外がすでに危険な状態なら、無理に外へ出るより屋内での安全確保に切り替えます。建物の二階以上へ上がり、斜面や谷から最も遠い側の部屋へ移動します。これは次善の策であって、本来の避難ではありません。

解除されたときの受け止め方

ここは、誤解が多い部分です。

土砂災害警戒情報が解除されるのは、雨がやみ、土壌雨量指数が基準を下回る見込みになったときです。ただしこれは、「土砂災害が起きなくなった」という意味ではありません。

地中にしみ込んだ水は、すぐには抜けません。雨がやんだ後、数時間から場合によっては翌日にかけて、斜面が崩れることがあります。実際、雨がやんだ後に発生した土砂災害の事例は少なくありません。

ですから、自宅に戻るかどうかの判断は、警戒情報の解除ではなく、市町村が出す避難指示の解除に従ってください。市町村は、現地の状況や斜面の点検結果を踏まえて判断しています。気象条件だけで決まる警戒情報とは、判断の材料が違います。

もうひとつ。一度解除されても、再び雨が強まれば再発表されます。「さっき解除されたから今日はもう平気」という判断は危険です。梅雨末期や台風接近時には、同じ日に発表と解除が繰り返されることもあります。

情報を受け取る手段

土砂災害警戒情報は、いくつもの経路で届きます。ひとつに頼らず、複数用意しておくのが安全です。

緊急速報メール。多くの市町村が、避難指示とあわせて携帯電話へ配信しています。設定を切っていないか、一度確認しておくとよいと思います。

気象庁のサイトと防災アプリ。キキクルもここで見られます。大雨の日は、開いたままにしておくのが確実です。

テレビとラジオ。速報として流れます。ただし、市町村単位の細かい情報までは伝えきれないことがあります。

防災行政無線。屋外スピーカーからの放送です。ただ、大雨のときは雨音でほとんど聞き取れないことがあります。豪雨のなかで屋外スピーカーの声を聞き取るのは、実際には相当難しいと考えておいた方がよいでしょう。

ここで注意したいのが、停電と通信障害です。土砂災害が起きるような大雨では、停電が起きることがあります。スマートフォンの電池が切れれば、情報は途絶えます。

だからこそ、電池式のラジオが今も有効です。消費電力が小さく、電波の届く範囲が広い。停電しても使えます。選び方は防災ラジオの選び方にまとめています。モバイルバッテリーとあわせて、雨の季節の前に確認しておきたいところです。

空振りが多いという批判について

土砂災害警戒情報には、「よく出るけれど、実際には何も起きない」という声があります。これは事実です。発表されても土砂災害が起きないケースの方が、はるかに多いのです。

でも、私はこれを欠陥だとは思いません。理由を説明させてください。

土砂災害は、局地的に起きます。市町村の中の、ある特定の斜面、ある特定の渓流で起きます。一方、情報は市町村全体に出ます。ですから、市内のどこかで危険が高まれば発表されますが、実際に崩れるのはそのうちの一か所だけ、ということが起こります。市内全域で崩れることはまずありません。

つまり、市町村単位で見れば空振りに見えても、危険が実在しなかったわけではないのです。

そして、この情報が担っているのは予測です。予測を厳しくすれば空振りが減りますが、そのぶん見逃しが増えます。土砂災害における見逃しは、人が亡くなることを意味します。空振りの代償は一晩の不便、見逃しの代償は命。どちらに寄せるべきかは、はっきりしています。

ここは家族で共有しておく価値があると思います。「今回も何も起きなかったね」ではなく、「今回は起きない側だったね」と言えるかどうか。この受け止め方の差が、次の一回の行動を変えます。

情報が出ていなくても避難してよい場合

最後に、これも重要な論点です。土砂災害警戒情報が出ていないからといって、安全とは限りません。次のような場合は、情報を待たずに動いてかまいません。

キキクルで自分の場所が紫になっているとき。市町村全体の基準に達していなくても、自分の地点の危険度は上がっています。

前ぶれと思われる現象に気づいたとき。山鳴り、川の水が急に濁る、流木が混ざる、雨が降り続いているのに川の水位が下がる、腐った土のにおいがする。とくに水位の低下は、上流で土砂が川をせき止めている可能性を示す危険な兆候です。

斜面に変化が見えたとき。がけに割れ目ができた、小石が落ちてくるようになった、これまで出ていなかった湧き水が出はじめた、あるいは出ていた湧き水が止まった。

過去にその場所で土砂災害が起きているとき。同じ場所は繰り返します。地形の条件が変わらないからです。

近くで地震があった後の大雨のとき。地震で緩んだ斜面は、その後の雨に弱くなります。同じ雨量でも、地震前より危険度が上がっています。

情報は、判断を助ける道具です。判断そのものを代わりにしてくれるものではありません。最終的に決めるのは、その場にいる自分です。

家族で使える形にしておく

ここまでの内容を知っていても、大雨の当日にゼロから判断しようとすると、たいてい遅れます。雨の音がして、外が暗くて、家族の意見が割れて、そのうち道が冠水する。この流れは、何度も繰り返されてきたものです。

ですから、平常時のうちに決めておきます。私が相談を受けたときに必ずおすすめしているのが、次の四つを紙に書き出しておくことです。

一つめ、避難のスイッチを数字で決める。「土砂災害警戒情報が出たら」「キキクルが紫になったら」「日没の三時間前の時点で大雨警報が出ていたら」。曖昧な言葉ではなく、判断がひとつに定まる条件にします。人によって解釈が変わる基準は、いざというとき機能しません。

二つめ、避難先を複数決める。指定避難所が土砂災害警戒区域の中にある、というケースは実際にあります。まずそこを確認し、危険なら別の候補を用意します。警戒区域外の親戚宅、丈夫な建物の高い階、宿泊施設。三つあれば、どれかは使えます。

三つめ、経路を確認する。避難先が安全でも、そこへ行く道が危険では意味がありません。渓流沿いの道、アンダーパス、冠水しやすい交差点。地図の上で経路をたどり、危ない箇所に印をつけておきます。

四つめ、誰が誰に連絡するかを決める。離れて暮らす家族がいるなら、避難したことを誰にどう伝えるかまで決めておきます。停電や通信障害で連絡がつかない状況も想定しておきたいところです。

この四つをまとめたものが、いわゆるマイ・タイムラインです。市町村が作成用の様式を配布していることも多いので、探してみてください。書き出す作業そのものに意味があります。書けないところが、そのまま準備の足りていないところだからです。

高齢の家族がいる場合

避難に時間がかかる方がいるなら、判断の基準をひとつ前倒しします。土砂災害警戒情報ではなく、大雨警報が出た段階、つまり警戒レベル三で動くのが本来の設計です。レベル三は「高齢者等避難」という名前がついています。

ただ、実際にはここが最も動きにくい段階でもあります。外はまだそれほど荒れておらず、本人も「まだ大丈夫」と言うからです。だからこそ、事前に本人を交えて決めておくことが効いてきます。当日の説得ではなく、平常時の合意です。

施設や事業所を運営している場合

高齢者施設や障害者施設、保育所、病院などが土砂災害警戒区域に含まれている場合、避難確保計画の作成と避難訓練の実施が法律で義務づけられています。土砂災害防止法にもとづくものです。

これは形式を整えるための書類ではありません。過去の災害では、こうした施設で入所者が亡くなる被害が繰り返し起きています。自力での避難が難しい方が多く、移動に時間がかかるためです。該当する施設では、避難開始の判断を一般家庭より早い段階に置く必要があります。

よくある質問

土砂災害警戒情報と避難指示は、どちらが先に出ますか

多くの場合、土砂災害警戒情報を受けて市町村が避難指示を出します。ただし、市町村が独自の判断で先に出すこともありますし、逆に警戒情報が出ても避難指示が出ないこともあります。避難指示を待つ必要はありません。警戒情報が出た時点で、危険な場所にいるなら動いてください。

地すべりも土砂災害警戒情報の対象ですか

いいえ、対象は土石流とがけ崩れです。地すべりは、雨の量と発生の関係が土石流やがけ崩れとは異なり、地下水の状態に大きく左右されるため、この情報の枠組みには含まれていません。地すべりのおそれがある地域では、自治体が別の形で観測や注意喚起を行っていることがあります。地すべりについては地すべりとは?前兆・危険な場所の見分け方、がけ崩れについてはがけ崩れとは?前兆と危険な範囲の見積もり方にまとめました。

マンションに住んでいても関係ありますか

建物が土砂に流される危険という点では、木造家屋より格段に安全です。ただ、一階部分が土砂でふさがれれば出入りができなくなり、電気や水道も止まります。土砂災害警戒区域内のマンションにお住まいなら、孤立への備えは必要です。断水時の対応はマンションの断水対策にまとめています。

会社にいるときに発表されたら、帰宅すべきですか

自宅が土砂災害警戒区域にあるなら、帰らない方が安全な場合があります。大雨のなかの移動そのものが危険ですし、山あいを通る道であればなおさらです。会社の建物が安全な場所にあるなら、雨が収まるまでとどまる判断も有効です。帰宅は避難ではありません。

過去に一度も土砂災害が起きていない地域なら安心ですか

いいえ。記録に残っていないだけの可能性がありますし、造成や工事で地形が変われば条件も変わります。二〇二一年に静岡県熱海市で起きた土石流では、上流に積まれていた盛り土が崩落の起点になったことが問題になりました。人の手が加わった土地では、過去の記録があてにならないことがあります。

雨の予報が出ている日、いつから警戒すればよいですか

雨が降り出す前からです。とくに、その前の数日に雨が降っていたかどうかを確認してください。土壌雨量指数の考え方の通り、地中に水がたまっている状態から降る雨は、危険度がまったく違います。雨の降り方の違いについては線状降水帯とゲリラ豪雨は何が違う?もあわせてご覧ください。

車で避難しても大丈夫ですか

早い段階であれば有効です。移動距離を稼げますし、荷物も運べます。ただ、雨が本格化してからの車移動は危険が増します。水深が三十センチほどでもエンジンが止まることがあり、道路の冠水は外から深さが判断できません。アンダーパスや掘り込み構造の道路は、短時間で水没します。車で避難するなら、明るいうちに、雨が強まる前に。この条件を外れたら、徒歩で近くの安全な建物へ向かうか、屋内での安全確保に切り替える方が確実です。渓流沿いの道を通るルートは、そもそも選ばないでください。

ペットがいると避難所に行きづらいのですが

近年は、ペットと一緒に避難できる体制を整える自治体が増えています。ただ、受け入れ方は自治体ごとに異なりますし、避難所ごとにも違います。大雨の当日に調べるのでは間に合いません。今のうちに、お住まいの市町村の方針を確認しておいてください。避難先の選択肢として、警戒区域外の親戚宅や宿泊施設を持っておくことも有効です。

まとめ

土砂災害警戒情報について、押さえておきたい点を整理します。

この情報は、都道府県と気象庁が共同で、原則として市町村単位で発表します。対象は土石流とがけ崩れです。警戒レベル四に相当し、危険な場所にいる人が避難を終えているべき最終ラインを意味します。

判断には、土壌雨量指数と六十分間積算雨量という二つのものさしが使われます。長く降り続いた雨と、直近の激しい雨。その両方を見て、二時間先の予測が基準線を超えると判断されたときに発表されます。実況ではなく予測であり、避難のための時間があらかじめ組み込まれています。

大雨警報は準備の合図、土砂災害警戒情報は避難完了の期限です。段階がひとつ違います。

解除は、安全を意味しません。地中の水はすぐには抜けず、雨がやんだ後に崩れることがあります。自宅に戻る判断は、市町村の避難指示の解除に従ってください。

空振りは多いですが、それは市町村単位で発表される情報の性質によるものです。危険が実在しなかったわけではありません。空振りの代償は一晩の不便、見逃しの代償は命です。

そして、この情報が出ていなくても避難してよい場合があります。キキクルが紫になったとき、前ぶれに気づいたとき、地震の後の大雨のとき。情報は判断を助ける道具であって、判断そのものではありません。

最後にひとつだけ。この情報を行動に変えるには、自分の家が危険な場所かどうかを知っている必要があります。まだ調べたことがなければ、今日のうちに地図を開いてみてください。それが、この情報を意味あるものにする最初の一歩です。

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この記事を書いた人

北海道札幌市在住の防災・サバイバル情報発信者です。2018年の北海道胆振東部地震を機に「誰でも今日から始められる防災」をモットーに活動を開始し、実際に試した防災グッズのレビューや家族構成別の備え方をわかりやすくお伝えしています。実践的で信頼できる情報を提供できるよう、がんばっています!

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