【この記事の要約】
【8月25日 更新】台風19号(ナーラ)は、25日時点でもまだ台風のままです。位置はトンキン湾、中心気圧994ヘクトパスカル。当初「72時間後に熱帯低気圧へ」という予報でしたが、その72時間はすでに過ぎています。海上にとどまり続けているためです。日本への影響はありません。トンキン湾は日本から約3,000キロ離れています。予報では48時間後に華南で熱帯低気圧に変わる見込みです。この記事では、19号の現況と、なぜ日本に来ないのか、そして停滞する台風がなぜ危険なのかをまとめました。
【8月25日 更新】まだ台風のままです
気象庁が25日10時5分に発表した内容です。
台風19号(ナーラ)は、25日の時点でもまだ台風です。位置はトンキン湾、中心気圧994ヘクトパスカル、最大風速18メートル毎秒。
| 時点 | 予想される位置 | 区分 | 中心気圧 |
|---|---|---|---|
| 実況 | トンキン湾 | 台風 | 994hPa |
| 24時間後 | 華南 | 台風 | 994hPa |
| 48時間後 | 華南 | 熱帯低気圧へ | 996hPa |
予報より、かなり長く台風のままです
この記事の最初の版では、「72時間後には熱帯低気圧に変わる予報」と書きました。
その72時間は、すでに過ぎています。それでも、まだ台風です。
理由は、トンキン湾という海の上にとどまり続けていることにあります。台風は海からエネルギーを得ます。陸に上がらなければ、衰えにくい。
停滞する台風は、同じ場所に雨を降らせ続けます。勢力が弱くても、総雨量が大きくなる点が危険です。
日本への影響は、引き続きありません
この点は変わりません。トンキン湾は日本から約3,000キロ離れており、進路も日本へは向いていません。
ベトナム北部・中国南部へ渡航予定の方は、現地の情報を確認してください。
いま日本で警戒が必要なのは台風18号(ソウデル)です。台風18号(ソウデル)の進路と対策をご覧ください。
【8月24日 更新】予報より長く台風のままです
この記事は8月23日21時55分の発表にもとづいて書きました。その後、予報が変わっています。正確を期すため、更新前後を並べて残します。
| 項目 | 8月24日10時(最新) | 8月23日21時(公開時) |
|---|---|---|
| 位置 | トンキン湾 | トンキン湾 |
| 中心気圧 | 990ヘクトパスカル | 992ヘクトパスカル |
| 最大風速 | 20メートル毎秒 | 18メートル毎秒 |
| 最大瞬間風速 | 30メートル毎秒 | 25メートル毎秒 |
| 熱帯低気圧に変わる時期 | 48時間後 | 72時間後 |
わずかに発達しました
公開時は「弱まっていく」という見通しでしたが、実際には少し発達しています。中心気圧が2ヘクトパスカル下がり、風速も上がりました。
ただし、依然として暴風域はありません。台風としては弱い部類であることに変わりはありません。
消える時期は、逆に早まりました
公開時の予報では72時間後でしたが、いまは48時間後に熱帯低気圧へ変わる見込みです。
いま少し強いのに、消えるのは早い。台風の予報は、こうして更新のたびに動きます。一度読んだ数字を確定したものと思わないでください。
日本への影響がないことは、変わりません
位置も進路も、日本の方向を向いていません。この点の結論は変わっていません。
そして、いま備えが必要なのは台風18号(ソウデル)です。940ヘクトパスカルまで発達し、25日に南大東島の至近を通過する予報になっています。
沖縄・南西諸島にお住まいの方は、台風18号の記事をご覧ください。
台風21号が発生しました
この記事で「フィリピンの東の熱帯低気圧が21号になる可能性がある」と書いたものが、8月24日に台風21号(アッサニー)になりました。
こちらも日本への影響はありません。台風21号(アッサニー)にまとめました。
以下は、8月23日の公開時点で書いた内容です。
結論|日本への影響はありません
検索してこられた方がいちばん知りたいのは、そこだと思います。先に答えます。
位置が、日本から遠すぎます
台風19号(ナーラ)は、トンキン湾にあります。ベトナム北部と中国の海南島に挟まれた湾です。
日本からの距離は、おおよそ3,000キロ。東京から沖縄までがおよそ1,500キロなので、その倍の距離です。そして、進路も日本の方向を向いていません。
勢力も、強くありません
中心気圧は992ヘクトパスカル、中心付近の最大風速は18メートル毎秒です。
台風と呼ばれる基準は、最大風速およそ17.2メートル毎秒以上。19号は、その基準をわずかに超えたところにあります。
そして、暴風域はありません。強風域だけが、南西に220キロ、北東に165キロ広がっています。暴風域がないということは、風速25メートル毎秒以上の風が吹く範囲がないということです。
そして、まもなく台風でなくなります
気象庁の予報では、72時間後には熱帯低気圧に変わるとされています。
台風19号という名前で呼ばれる期間は、あと3日ほどということです。そのあとは熱帯低気圧として扱われ、番号でも名前でも呼ばれなくなります。
台風19号(ナーラ)の現況
気象庁が8月23日21時55分に発表した内容です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 名前 | ナーラ(Narra) |
| 位置 | トンキン湾 |
| 中心気圧 | 992ヘクトパスカル |
| 最大風速 | 18メートル毎秒 |
| 最大瞬間風速 | 25メートル毎秒 |
| 暴風域 | なし |
| 強風域 | 南西220キロ・北東165キロ |
今後の予報
| 時点 | 位置 | 区分 | 中心気圧 | 予報円 |
|---|---|---|---|---|
| 24時間後 | トンキン湾 | 台風 | 992hPa | 120km |
| 48時間後 | トンキン湾 | 台風 | 994hPa | 210km |
| 72時間後 | 華南 | 熱帯低気圧 | 998hPa | 300km |
ほとんど動かず、その場で弱まっていくという予報です。3日間、トンキン湾の周辺にとどまります。気象庁の予報でも、進む方向は「不定」、速さは「ほとんど停滞」とされています。
なぜ日本に来ないのか
仕組みを知っておくと、次の台風が発生したときにも自分で判断できるようになります。
台風は、風に流されて動きます
台風は自分の意思で進むわけではありません。周囲の風に流されて移動します。
日本付近に来る台風の多くは、まず太平洋高気圧のふちに沿って北上し、その後偏西風に乗って北東へ向かうという経路をたどります。
19号は、その流れに乗っていません
トンキン湾は、大陸に近い内側の海です。日本へ向かう風の流れから外れています。
そして、周囲の風が弱いため、ほとんど動けずにいます。予報でも「ほとんど停滞」とされています。
陸地に近いことも、弱まる理由です
台風のエネルギー源は、暖かい海から供給される水蒸気です。
陸地に近づけば、その供給が細ります。トンキン湾は三方を陸に囲まれた浅い湾で、台風が発達し続けるには不利な場所です。
だから、日本の備えを変える必要はありません
19号について、日本で何かを準備する必要はありません。
ただし、同じ時期に別の台風が日本へ向かっています。そちらは後で書きます。
影響を受ける地域
日本ではありませんが、影響を受ける場所はあります。
ベトナム北部
トンキン湾に面しているのは、ベトナム北部の沿岸です。ハノイやハロン湾のある地域が含まれます。
暴風域はありませんが、強風と雨は続きます。そして停滞するぶん、雨が長引く可能性があります。
中国の海南島・広西・広東
湾の反対側は中国です。72時間後には華南へ進む予報になっています。
熱帯低気圧に変わったあとも、雨は残ります。台風でなくなることと、雨がやむことは別です。
停滞する台風は、雨が長引きます
ここは、日本の防災にも通じる考え方です。
台風が速く通り過ぎれば、雨の時間は短くて済みます。停滞すれば、同じ場所に降り続けます。
だから、勢力が弱くても、停滞する台風は警戒が必要です。総雨量は「強さ×時間」で決まります。
ベトナム・中国南部へ渡航予定の方へ
該当する方は、確認しておいてください。
まず、航空会社の運航情報を見てください
暴風域がなくても、視界不良や横風で欠航や遅延が出ることがあります。
予約している便の運航状況は、航空会社の公式サイトで確認できます。旅行サイトの情報は遅れることがあります。
現地の気象情報の見方
日本の気象庁のサイトでも、台風の位置と進路は確認できます。海外の台風も対象です。
より詳しい現地の警報は、その国の気象機関が発表します。言語の壁がある場合は、航空会社やホテルに確認するのが確実です。
現地で被災した場合
日本とは制度も言語も違います。まず、加入している旅行保険の連絡先を確認してください。
そして、外務省の海外安全ホームページに、渡航先の情報が出ます。「たびレジ」に登録しておくと、現地の情報がメールで届きます。
旅行先での被災については旅行先で被災したらにもまとめました。
8月23日時点|台風が3つ同時に出ていました
8月23日時点の状況です。その後20号と21号は熱帯低気圧に変わり、25日時点で台風は18号と19号の2つになりました。
| 台風 | 名前 | 位置 | 勢力 | 日本への影響 |
|---|---|---|---|---|
| 18号 | ソウデル | 日本の南 | 非常に強い・950hPa | 沖縄・南西諸島 |
| 19号 | ナーラ | トンキン湾 | 992hPa | なし |
| 20号 | ケナリ | 台湾海峡 | 998hPa | なし |
加えて、フィリピンの東に熱帯低気圧があります。12時間後に台風へ発達する予報で、番号が付けば21号になります。
注意すべきは18号です
3つのうち、日本に関係するのは台風18号(ソウデル)だけです。
「非常に強い」勢力で、中心気圧950ヘクトパスカル、最大瞬間風速60メートル毎秒。25日ごろ沖縄の南に達する見込みです。
詳しくは台風18号(ソウデル)の進路と経過をご覧ください。
台風20号については
台湾海峡にあり、24時間後には熱帯低気圧に変わる予報です。日本への影響はありません。
台風20号(ケナリ)に書きました。
藤原効果とは何か
台風が複数あるときに出てくる言葉なので、ここで整理しておきます。
二つの台風が、互いに影響し合う現象です
台風どうしが接近すると、それぞれの周りの風が、相手の動きに影響します。
互いの周りを回るように動く、片方が片方に引き寄せられる、進路が急に変わる。こうした動きが起こることがあります。
1920年代に、日本の気象学者である藤原咲平が研究したことから、この名前がついています。
おおむね1,000キロ以内が目安です
二つの台風の距離が近いほど、影響が強く出ます。目安として、1,000キロ程度まで近づいた場合に起こりやすいとされています。
ただし、必ず起こるわけではありません。それぞれの勢力や、周囲の気圧配置によって変わります。
予報が難しくなります
ここが、防災の観点で重要な点です。
藤原効果が働くと、台風の動きが読みにくくなります。進路が急に変わることもあります。
だから、複数の台風が近くにあるときは、予報がより頻繁に更新されると考えてください。一度見た進路図を信じ込まないでください。
今回はどうか
19号と20号は、およそ1,200キロ離れています。目安とされる距離の外側です。
そして、どちらも弱まっていく予報です。20号は24時間後、19号は72時間後に熱帯低気圧へ変わる見込みです。
18号は、そこからさらに東に離れています。現時点で、大きな相互作用は想定されていません。
台風の名前と番号の仕組み
「ナーラ」という名前が気になった方へ。
番号は、発生した順につきます
その年に発生した順に、1号、2号と番号がついていきます。勢力の強さとは関係ありません。
だから、19号だから18号より強い、ということはありません。実際、18号のほうがはるかに強い台風です。
名前は、140個を順番に使います
北西太平洋で発生する台風には、あらかじめ用意された140個の名前が順番につけられます。
日本を含む14の国と地域が名前を提出しており、提出国の言葉が使われます。動物、植物、星座などが多い。
140個を使い切ると、また最初に戻ります。およそ5年周期で一巡する計算です。
日本が提出した名前もあります
日本の提出分は、星座の名前で統一されています。コイヌ、ヤギ、ウサギ、カジキなど。
ニュースで聞き慣れない名前が出てきたら、どこかの国の言葉だと思ってください。
大きな被害を出した名前は、引退します
甚大な被害をもたらした台風の名前は、使われなくなることがあります。提出国からの申し出で、別の名前に差し替えられます。
これは、被害の記憶と結びついた名前を繰り返し使わないための配慮です。
台風の強さと大きさは、別のものです
19号を見るときにも、この区別が役に立ちます。
強さは、中心付近の最大風速で決まります
| 階級 | 最大風速 |
|---|---|
| (表記なし) | 33メートル毎秒未満 |
| 強い | 33〜44メートル毎秒 |
| 非常に強い | 44〜54メートル毎秒 |
| 猛烈な | 54メートル毎秒以上 |
19号は18メートル毎秒なので、階級の表記がつきません。台風の下限に近い勢力です。
一方の18号は45メートル毎秒で「非常に強い」。同じ台風でも、まったく違う存在です。
大きさは、強風域の半径で決まります
強風域とは、風速15メートル毎秒以上の風が吹く範囲のことです。
19号の強風域は、南西に220キロ、北東に165キロ。小さい部類です。
弱い台風でも、雨は降ります
ここを誤解しないでください。風が弱いことと、雨が少ないことは別です。
停滞する台風は、同じ場所に長く雨を降らせます。19号がトンキン湾で3日間ほとんど動かないという予報は、その意味では警戒すべき要素です。
強さの見方は台風のhPa(ヘクトパスカル)とは?にも書きました。
海外の台風を、日本から追う方法
渡航予定がある方や、家族が現地にいる方へ。
気象庁のサイトで見られます
日本の気象庁は、北西太平洋で発生した台風すべてを追跡しています。日本に来ない台風も対象です。
位置、中心気圧、最大風速、5日先までの予報円。19号のような遠方の台風でも、同じ情報が出ています。
更新は3時間ごと。日本に近づいた台風は1時間ごとになります。
現地の気象機関も見てください
実際の警報や避難の指示は、その国の気象機関が出します。日本の気象庁は、他国に警報を出す立場にありません。
ベトナムや中国の警報は、現地の機関が発表します。言語の壁がある場合は、滞在先のホテルや航空会社に確認するのが確実です。
外務省の「たびレジ」を使ってください
渡航先を登録しておくと、現地の安全情報がメールで届きます。無料です。
そして、大使館からの連絡先にもなります。災害時に安否確認の対象になるという意味もあります。
航空便の情報は、航空会社の公式で
旅行予約サイトの情報は、更新が遅れることがあります。運航の可否は、航空会社の公式サイトが最も速い。
そして、欠航が決まる前に「条件付き運航」になることがあります。目的地に着陸できなければ引き返す、という条件です。
台風が接近する国での、基本的な行動
海外にいる場合、日本と条件が違います。
避難所の場所が分かりません
日本なら、ハザードマップと避難所が整備されています。海外では、その情報にたどり着くのが難しい。
だから、ホテルにとどまるのが基本になります。近代的な建物であれば、多くの場合はそのほうが安全です。
ホテルのスタッフは、その地域の事情を知っています。指示があれば従ってください。
停電と断水を想定してください
台風が接近すれば、停電が起こりえます。スマートフォンは早めに充電しておいてください。
そして、飲み水を部屋に確保する。ペットボトルを数本買っておくだけで違います。
現金を持っておいてください
停電すれば、カードも電子決済も使えません。現地通貨の小額紙幣を、いくらか手元に。
予定の変更を、早めに判断する
「行けるかもしれない」と粘ると、移動そのものができなくなります。
空港が閉鎖されれば、再開まで数日かかることもあります。宿の延泊を早めに確保するほうが、結果として楽です。
旅行先での被災については旅行先で被災したらにまとめました。
この記事の位置づけについて
正直に書いておきます。
日本にお住まいの方には、備えの必要がありません
台風19号について、日本国内で何かを準備する必要はありません。
この記事は、「台風19号」と検索した方に、日本への影響がないことをはっきり伝えるために書いています。
番号だけでは、危険度が分かりません
ニュースで「台風19号が発生」と聞けば、身構えるのが自然です。けれど、番号は発生順につくだけで、危険度とは無関係です。
いま日本にとって重要なのは18号であって、19号でも20号でもありません。番号の大きさに惑わされないでください。
見るべきなのは、位置と勢力です
台風の情報を見るときは、次の三つを確認してください。
一、いまどこにあるか。日本からの距離が最初の判断材料です。
二、どこへ向かうか。予報円の中心が日本に近づいているかどうか。
三、暴風域があるか。暴風域のない台風は、勢力が限られています。
この三つで、自分に関係があるかどうかは判断できます。
停滞する台風が、なぜ危険なのか
19号の特徴である「停滞」について、もう少し書きます。日本の防災にも通じる話です。
雨量は「強さ×時間」で決まります
1時間に30ミリの雨が3時間降れば90ミリ。1時間に20ミリでも、10時間降れば200ミリです。
後者のほうが総量は多い。弱くても長ければ、被害は大きくなります。
地盤は、降り続けると限界を超えます
土は、ある程度までは水を含むことができます。それを超えると、斜面が崩れます。
だから、降り始めからの総雨量が重要になります。強い雨が短時間で終われば持ちこたえる地盤でも、弱い雨が降り続ければ崩れます。
河川は、時間差で増水します
雨がやんでも、川はすぐには下がりません。上流に降った雨が、下流に届くまで時間がかかるためです。
停滞する台風では、この時間差が積み重なります。雨がやんだあとに氾濫するということが起こりえます。
日本でも、同じことが起きています
速度の遅い台風や、停滞する前線による豪雨は、日本でも繰り返し大きな被害を出してきました。
「勢力が弱いから大丈夫」という判断が、いちばん危ない。見るべきは、風だけでなく、降り続く時間です。
秋雨前線と台風が重なる仕組みは秋雨前線と台風が重なると危険な理由にまとめました。
8月から9月は、台風が最も多い時期です
19号・20号が同時に出ていることの背景です。
海面水温が、年間で最も高くなります
台風のエネルギー源は、暖かい海から供給される水蒸気です。海が暖まりきる8月から9月に、発生の条件がそろいます。
だから、この時期は複数の台風が同時に存在することが珍しくありません。
上陸が最も多いのは9月です
発生数だけなら8月が多いのですが、日本への上陸が最も多いのは9月とされています。
理由は、太平洋高気圧の位置が変わり、日本列島に向かう経路をとりやすくなるためです。
つまり、これからが本番です
18号・19号・20号が出ている8月下旬は、シーズンの入り口にすぎません。
備蓄の点検、持ち出し袋の確認、ハザードマップの見直し。いま余裕があるうちに済ませておいてください。
台風全般の備えは台風の完全ガイドに整理しています。
台風情報の、正しい見方
19号のような遠い台風でも、近い台風でも、見方は同じです。
進路図の線を、追わないでください
ニュースで示される進路図には、予想の中心を結んだ線が引かれています。この線の上を通るとは限りません。
実際には、予報円のどこかを通るという意味です。円は先へ行くほど大きくなります。
予報円は、勢力の大きさではありません
よくある誤解です。予報円が大きいのは、位置が定まっていないという意味であって、台風が大きいわけではありません。
19号の予報円は、72時間後に半径300キロまで広がります。勢力は弱まっていくのに、円は大きくなる。不確実性が増すからです。
見るべきは「暴風域に入る確率」です
気象庁は、各地点が暴風域に入る確率を発表しています。
これは進路図と違い、自分の地域の数字として読めます。行動の判断に直接使えます。
19号のように暴風域がない台風では、この情報は発表されません。それ自体が「暴風の心配がない」という答えになります。
更新のたびに、予報は変わります
一度見た情報を信じ込まないでください。台風の予報は、3時間ごとに更新されます。
とくに72時間より先は、大きく変わることがあります。19号の「72時間後に熱帯低気圧」という予報も、確定ではありません。
情報源は、一次情報を
気象庁の台風情報が一次情報です。まとめサイトやSNSの情報は、古いことがあります。
とくに海外の台風は、更新が止まったまま残っている記事が検索に出ることがあります。発表時刻を必ず確認してください。
この記事にも、8月23日21時55分発表という時点を明記しています。最新の状況は気象庁でご確認ください。
よくある質問
Q. 台風19号は日本に来る可能性がありますか
現時点の予報では、ありません。72時間後には熱帯低気圧に変わり、進路も華南へ向いています。
台風は予報が変わることがありますが、この距離と勢力から日本へ向かう経路は考えにくい状況です。
Q. 「ナーラ」という名前はどこから来ていますか
台風の名前は、北西太平洋の周辺国が提出した140個の名前を、順番に使う仕組みで決まっています。日本を含む14の国と地域が加盟する台風委員会が管理しています。
発生順に上から使い、140個を使い切ると、また最初に戻ります。年ごとや勢力で決まるわけではありません。
Q. 台風が3つ同時に出るのは珍しいことですか
特別に珍しい現象ではありません。海面水温が高く、対流が活発な時期には複数が同時に発生します。
8月から9月にかけては、その条件がそろいやすい時期です。
Q. 台風同士が影響し合うことはありますか
あります。藤原効果と呼ばれる現象です。
二つの台風が接近すると、互いの周りを回るように動いたり、進路が変わったりすることがあります。おおむね1,000キロ以内に近づいた場合に起こりやすいとされています。
19号と20号は、現時点でおよそ1,200キロ離れています。どちらも弱まっていく予報なので、大きな相互作用は想定されていません。
Q. 日本の台風情報はどこで見ればよいですか
気象庁の台風情報が一次情報です。位置、勢力、予報円がすべて確認できます。
そして、暴風域に入る確率という情報があります。進路図の線を追うより、こちらのほうが行動の判断に使えます。
Q. トンキン湾とは、どこですか
ベトナム北部と中国の海南島に囲まれた湾です。南シナ海の北西の奥にあたります。
ハノイやハロン湾のあるベトナム北部の沿岸と、中国の広西チワン族自治区、海南島に面しています。
三方を陸に囲まれた浅い湾なので、台風が発達し続けるには不利な場所です。19号が弱いまま停滞しているのは、この地形も関係しています。
Q. 熱帯低気圧に変わったら、もう安全ですか
いいえ。風は弱まりますが、雨は残ります。
台風か熱帯低気圧かの区別は、最大風速だけで決まります。17.2メートル毎秒を下回れば熱帯低気圧です。
雨の量とは関係ありません。熱帯低気圧に変わってから大雨になった例は、いくつもあります。
Q. 日本の台風シーズンはいつまでですか
発生自体は一年中ありますが、日本への接近・上陸が多いのは7月から10月です。
とくに9月が上陸のピークとされています。太平洋高気圧の位置が変わり、日本へ向かう経路をとりやすくなるためです。
10月以降も油断はできません。秋の台風は、秋雨前線と重なって大雨になることがあります。
Q. 台風の情報を毎日追う必要がありますか
その必要はありません。むしろ、追いすぎると疲れます。
大事なのは、自分の地域に近づいたときに気づける状態にしておくことです。
気象庁や自治体の防災アプリで、通知を設定しておく。それだけで足ります。あとは、備蓄と持ち出し袋を平時に整えておけば、慌てずに済みます。
この記事は、随時更新します
台風の情報は、時間とともに変わります。
更新の基準
次のいずれかが起きた場合に、この記事を更新します。
一、進路が大きく変わり、日本に近づく可能性が出た場合。現時点では想定されていませんが、台風の予報は変わります。
二、勢力が予報より発達した場合。いまは弱まる見込みですが、海面水温や気圧配置によっては変わりえます。
三、熱帯低気圧に変わった場合。その時点で、台風19号としての経過は終わります。
更新しない場合もあります
予報どおりに弱まり、そのまま消えていく場合は、大きな更新を行いません。
変化がないことを繰り返し書いても、読む方の役には立たないからです。この記事は、記録として残します。
いま優先して見ていただきたいもの
19号ではなく、台風18号(ソウデル)です。
「非常に強い」勢力で、中心気圧950ヘクトパスカル、最大瞬間風速60メートル毎秒。25日ごろ沖縄の南に達する見込みです。
沖縄や南西諸島にお住まいの方、そのあたりへ渡航予定の方は、台風18号(ソウデル)の記事をご覧ください。
そして、フィリピンの東にある熱帯低気圧にも注意してください。台風21号になる可能性があります。
Q. 台風の「強風域」と「暴風域」は何が違いますか
風の強さの基準が違います。
強風域は、風速15メートル毎秒以上の風が吹いている、または吹く可能性がある範囲です。
暴風域は、風速25メートル毎秒以上。こちらに入ると、屋外での行動が危険になります。
19号には暴風域がありません。強風域だけです。一方の18号には、半径150キロの暴風域があります。この差が、危険度の差です。
Q. 風速25メートル毎秒とは、どれくらいですか
気象庁の目安では、屋外での行動が危険になり、樹木が倒れ始めるレベルとされています。
看板やトタンが飛び、走行中の車が横転する危険も出ます。暴風域に入る前に、屋内へ移動してください。
18号の最大瞬間風速は60メートル毎秒です。これは、屋外にいれば命に関わる強さです。
Q. 海外の台風で、日本の飛行機が欠航することはありますか
あります。目的地の空港が閉鎖されれば、日本発の便も欠航します。
そして、機材繰りという問題があります。現地で足止めされた機体が戻らなければ、次の便にも影響します。
直接台風の影響を受けない路線でも、遅延が連鎖することがあります。渡航予定がある方は、前日から運航情報を確認してください。
Q. 家族が現地にいます。連絡が取れないときは
まず、通信障害の可能性を考えてください。停電すれば基地局も止まります。連絡が取れないこと自体は、必ずしも異常ではありません。
そのうえで、外務省の海外安全ホームページと、現地の日本国大使館・総領事館の発信を確認してください。大きな災害があれば、邦人の安否確認に関する情報が出ます。
渡航前に「たびレジ」に登録していれば、大使館が連絡先を把握しています。次に海外へ行く方は、出発前に登録しておいてください。無料で、数分で終わります。
そして、滞在先のホテル名と連絡先を、家族で共有しておく。これがあるだけで、確認の手段が一つ増えます。
まとめ|19号は日本に関係しません
最後に整理します。
この記事の要点
一、台風19号(ナーラ)は日本に影響しません。トンキン湾にあり、約3,000キロ離れています。
二、勢力は弱く、暴風域はありません。72時間後には熱帯低気圧に変わります。
三、影響を受けるのはベトナム北部と中国南部です。渡航予定の方は運航情報の確認を。
四、いま注意すべきは台風18号(ソウデル)です。非常に強い勢力で、25日ごろ沖縄の南へ。
五、フィリピンの東に、次の台風の卵があります。21号になる可能性があります。
あわせて読みたい
日本に接近している台風は台風18号(ソウデル)に、もう一つの台風は台風20号(ケナリ)にまとめました。
台風の基本は台風の完全ガイド、発生の仕組みは「台風のたまご」とは?にあります。

