【この記事の要約】
子どもだけで留守番している時間に、災害が起きる可能性があります。共働きの家庭では、平日の夕方は特にその時間帯にあたります。このとき最も大切なのは、子どもが自分で判断できる状態にしておくことです。そのために必要なのは、難しい知識ではありません。身を守る動作、どこへ逃げるか、誰に連絡するか。この3つを決めて、繰り返し確認しておくだけです。加えて、ラジオの使い方を教えておくと情報を得る手段が増えます。停電すればテレビは映らず、スマートフォンも電池が心配になります。この記事では、留守番中に災害が起きたときの備えを、年齢別の目安も含めて具体的に整理します。
結論:3つだけ決めておけば、子どもは動けます
先に結論をお伝えします。
子どもだけの留守番中に災害が起きたとき、備えとして必要なのは次の3つです。
一つ目は、身を守る動作を体で覚えていること。地震のとき、どこに入って何をつかむか。
二つ目は、逃げる先が決まっていること。家にとどまるのか、外へ出るのか。出るならどこへ行くのか。
三つ目は、連絡する相手と方法が決まっていること。親につながらないとき、次は誰か。
この3つが決まっていれば、子どもは動けます。逆に、これが曖昧なままだと、その場で固まってしまいます。
難しい知識は要りません。むしろ情報を絞ることが大切です。
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なぜこの備えが必要なのか
共働きの家庭では、子どもが一人になる時間があります。
学校から帰ってきて、親が仕事から戻るまでの数時間。この時間帯は、平日の夕方にあたります。
過去の大きな地震を振り返ると、平日の日中や夕方に発生したものが少なくありません。子どもが一人でいる時間に起きる可能性は、決して低くないのです。
親はすぐには帰れません
ここが最も現実的な問題です。
大きな災害が起きれば、公共交通機関は止まります。道路も渋滞します。都市部では、むやみに移動しないことが求められています。
職場から自宅まで、徒歩で何時間かかるかを考えてみてください。5時間、6時間という方も珍しくないはずです。
つまり、子どもは相当の時間を一人で過ごすことになります。
電話はつながりません
もうひとつの現実です。
大きな災害の直後、電話は非常につながりにくくなります。多くの人が一斉に安否確認をするためです。
「電話すればいい」という前提は、崩れると考えてください。だからこそ、災害が起きる前に決めておく必要があります。その場で相談することは、まずできません。
まず教えるべき「身を守る動作」
知識より先に、体の動きです。
地震のとき
教えるのは、次の3つだけで十分です。
- 丈夫な机の下に入り、脚をしっかり握る
- 机がなければ、頭を守ってしゃがむ
- 揺れが収まるまで動かない
3番目が重要です。揺れている最中に外へ出ようとすると、落下物や割れたガラスで怪我をします。
「揺れている間は動かない」を、繰り返し伝えてください。
実際にやってみる
言葉で説明するだけでは、体は動きません。
週末に、家族で「地震です」と声をかけてやってみてください。5分で終わります。
やってみると、いくつか気づくことがあります。机の下に物が詰まっていて入れない。子ども部屋には隠れる場所がない。テレビが倒れてくる位置にある。
こうした問題は、実際にやらないと見つかりません。
子ども部屋の安全を確認する
子どもが一人でいる時間、多くは自分の部屋かリビングにいます。その場所の安全を優先してください。
- 背の高い家具が倒れてこないか
- 本棚の上に重いものを置いていないか
- 窓ガラスに飛散防止フィルムを貼っているか
- テレビが固定されているか
- 逃げ道をふさぐ配置になっていないか
すべてを一度に対策する必要はありません。最も危険だと感じた1か所から手をつけてください。それだけでも、怪我をする可能性は確実に下がります。
「家にいる」か「外へ出る」かを決めておく
次に決めるのが、行動の方針です。
ここは、お住まいの状況によって答えが変わります。あらかじめ家族で決めておいてください。
| 状況 | 基本の方針 |
|---|---|
| 建物に被害がなく、火災もない | 家にとどまる |
| 建物が傾いた、大きなひびが入った | 外へ出て避難場所へ |
| 火事が起きた、煙が入ってきた | すぐ外へ出る |
| 津波の想定区域にいる | 高い場所へ逃げる |
| 大雨で浸水が始まった | 2階など高い場所へ |
迷ったときの原則も伝えておいてください。私がすすめているのは「家が安全なら家にいる」です。この判断の考え方は【災害時】避難所へ行くべきか自宅に残るべきか?正しい判断基準と在宅避難・避難所避難の全知識2026年版で詳しく整理しています。
外は落下物や割れたガラスで危険です。むやみに動くより、安全な場所にとどまるほうが確実な場面が多くあります。
ただし例外があります
津波と火災は別です。この2つは、迷わず逃げる必要があります。
沿岸部にお住まいなら、「揺れたら高いところへ」を最優先で教えてください。親を待たずに逃げてよい、と明確に伝えることが大切です。
子どもは、親の指示を待とうとします。「待たなくていい」と伝えておかなければ、その場から動けません。
避難場所は歩いて確認する
地図で教えるだけでは足りません。一緒に歩いてください。
途中にブロック塀があるか、大きな道路を渡るか、目印になる建物はあるか。歩いてみないと分かりません。
できれば、子どもに先導してもらってください。自分で道を思い出せるかどうかが確認できます。親の後ろを歩くだけでは、道は覚えられません。
季節を変えて二度歩くと、さらに確実です。冬は雪や凍結で、夏は草木で、道の見え方が変わります。
連絡の方法を決めておく
3つ目の要素です。
災害用伝言ダイヤル171
電話がつながりにくいときでも、伝言を残せる仕組みです。171にかけて、自宅の電話番号を入力し、録音や再生を行います。
手順は思ったより多く、初めて使うときには戸惑います。だから練習が必要です。
毎月1日と15日などに体験利用ができます。家族で実際にやってみてください。
使い方は171の使い方を完全解説|災害用伝言ダイヤルで家族の安否を確認する方法で詳しく説明しています。
連絡する順番を決める
親につながらないとき、次に誰へ連絡するか。順番を決めておいてください。
- お父さん、お母さん
- 祖父母や親戚
- 近所の決まった家
- 災害用伝言ダイヤル171
3番目が意外に重要です。近所に頼れる方がいれば、事前にお願いしておいてください。「もしものときは声をかけてください」と伝えておくだけで違います。
電話番号を紙に書いておく
これは必ずやってください。
いまの子どもは、家族の電話番号を暗記していないことがほとんどです。スマートフォンの電池が切れれば、連絡先が分かりません。
紙に書いて、いつも持たせるか、家の決まった場所に貼っておいてください。
ランドセルや筆箱に入れておく方法もあります。防水のため、ラミネートやテープで保護しておくと安心です。
ラジオの使い方を教えておく
情報を得る手段として、ラジオは子どもにも扱えます。
なぜラジオなのか
停電すれば、テレビは映りません。スマートフォンは電池が心配になります。通信も混雑してつながりにくくなります。
ラジオは、電池さえあれば動きます。そして操作が単純です。
ボタンを押して、音が出る。それだけなら、小学生でも扱えます。
教えるのは3つだけ
- 電源の入れ方
- 音量の変え方
- 合わせる局(あらかじめ設定しておく)
周波数を探す作業は、子どもには難しいものです。あらかじめ登録しておくか、ダイヤルに印をつけておいてください。
デジタル式で自動選局ができる機種なら、ボタンひとつで済みます。
置き場所を決める
子どもが一人でいる場所の近くに置いてください。リビングや子ども部屋です。
押し入れの奥にしまってあると、非常時に取り出せません。
電池は本体から抜いて保管するのが基本ですが、子どもが自分で入れられるかは確認しておいてください。難しいようなら、入れたままにして定期的に交換する方法もあります。
一緒に聴いてみる
普段からラジオをつけておくと、子どもは自然に慣れます。
週末の朝、料理をしながら流しておく。それだけで、機器への抵抗感がなくなります。
そして、災害時に何が流れるかも伝えておいてください。避難所の場所、給水の情報、道路の状況。こうした内容が分かると、聴く意味が理解できます。
機種選びで迷う場合は防災用情報収集グッズの選び方とおすすめ10選【2026年最新版】ラジオ・スマホ・アプリを徹底解説が参考になります。
年齢別の目安
できることは、年齢によって変わります。目安を示します。
| 年齢 | できること | 大人が補うこと |
|---|---|---|
| 小学校低学年 | 身を守る動作。決まった場所で待つ | 一人にする時間を短くする。近所に見守りを頼む |
| 小学校中学年 | ラジオを聴く。電話をかける | 避難の判断は極力させない。連絡先を持たせる |
| 小学校高学年 | 避難場所まで一人で行ける | 判断の基準を具体的に伝えておく |
| 中学生以上 | 状況を見て判断できる | 兄弟がいる場合の役割を決めておく |
低学年のうちは、判断を求めないほうが安全です。「家にいて待つ」を基本とし、その状態が安全であるよう住まいを整えてください。
高学年になれば、状況に応じた行動ができるようになります。ただし、判断の基準を具体的に伝えておく必要があります。
兄弟がいる場合
上の子に下の子を任せる場面が想定されます。
このとき、上の子に過度な責任を負わせないでください。「守らなければ」という思いから、無理な行動をとることがあります。
伝えるべきは「二人とも安全な場所にいること」です。下の子を助けようとして、上の子まで危険にさらされる事態は避けたいところです。
家に備えておきたいもの
子どもが一人でも使えるものを中心に挙げます。
| 品目 | 理由 |
|---|---|
| ラジオ(乾電池式) | 停電でも情報が得られる。操作が単純 |
| 懐中電灯 | 暗闇で動ける。子ども用に軽いもの |
| 笛(ホイッスル) | 助けを呼ぶ。声より少ない力で長く鳴らせる |
| 飲み物と軽食 | 親の帰宅まで持ちこたえる |
| スリッパか靴 | 割れたガラスから足を守る |
| 連絡先を書いた紙 | スマートフォンが使えないときの命綱 |
| ヘルメットか防災頭巾 | 落下物から頭を守る |
特に見落とされやすいのが、靴です。
地震では、床にガラスや食器の破片が散乱します。裸足やスリッパでは、動くだけで怪我をします。
子どもの寝る場所と、普段いる場所に、履けるものを置いておいてください。
笛は特におすすめです
もし家具の下敷きになったり、閉じ込められたりしたとき、声を出し続けるのは体力的に困難です。
笛なら、少ない力で長く音を出せます。子どもの力でも十分に鳴らせます。声を出し続けて喉を痛めると、助けを呼ぶ手段そのものを失いかねません。
鳴らし方も伝えておいてください。短く区切って何度も吹くほうが、人の耳に届きやすくなります。長く鳴らし続けると体力を消耗します。
ランドセルや、部屋の決まった場所に置いておいてください。首から下げる場合は、遊具などに引っかかる危険があるため、外して保管する運用が安全です。
災害の種類ごとに教えること
ひとくちに災害といっても、取るべき行動は異なります。お住まいの地域で起こりうるものに絞って教えてください。
地震のとき
最優先は、身を守る動作です。そのあとに次の確認をします。
- 揺れが収まってから、周りを見る
- 火が出ていないか確かめる
- 靴かスリッパを履く
- 玄関のドアを開けておく
- ラジオをつける
4番目について補足します。建物がゆがむと、ドアが開かなくなることがあります。逃げ道を確保する意味で、揺れが収まったら開けておくよう伝えてください。
ただし、無理に開けようとして怪我をしないよう、「開かなければあきらめてよい」とも伝えておきます。
大雨・洪水のとき
地震と違い、事前に情報が出ます。この点は子どもにとって有利です。
教えるのは、「水が来たら上へ」というひとつの原則です。外へ出るより、家の2階へ上がるほうが安全な場面が多くあります。
浸水想定区域にお住まいなら、自宅の何階まで水が来る想定かを確認しておいてください。平屋であれば、早めの避難が必要になります。
台風のとき
台風は、来ることが数日前から分かります。つまり、子どもを一人にしないという選択が可能です。
接近が予想される日は、早めに帰宅する。学童保育の利用を調整する。こうした対応で、そもそもリスクを避けられます。
それでも一人になる場合は、窓から離れることを伝えてください。強風で飛来物がぶつかると、ガラスが割れます。カーテンを閉めておくだけでも、破片の飛散を減らせます。
火事のとき
これは例外なく「外へ出る」です。
消そうとしなくてよい、荷物を取りに戻らなくてよい、と明確に伝えてください。子どもは、大切なものを持ち出そうとすることがあります。
煙は上にたまります。姿勢を低くして移動することも教えておいてください。
停電だけが起きたとき
実は、これが最も起こりやすい事態です。
台風や大雪では、建物に被害がなくても停電することがあります。このとき、子どもは暗闇の中に取り残されます。
懐中電灯の場所を教え、実際に暗い部屋でつけてみてください。ろうそくは火災の危険があるため、子どもには使わせないでください。子どもでも扱いやすい一台は防災用懐中電灯の選び方とおすすめ10選【2026年最新版】ルーメン・電池・種類を徹底比較で選べます。
学校にいる時間帯との違い
子どもが学校にいる時間なら、先生が判断してくれます。引き渡し訓練の手順に従って、保護者が迎えに行くことになります。
一方、留守番中には誰もいません。この違いは大きなものです。
学校からの帰り道も想定する
意外に見落とされるのが、下校中の時間帯です。
この時間に災害が起きたら、学校へ戻るのか、家へ向かうのか。決めておいてください。
一般には、近いほうへ向かうのが基本です。ただし通学路の状況によります。ブロック塀の多い道、川沿い、崖の下。危険な箇所を一緒に確認しておいてください。
学童保育や習い事の場合
放課後の居場所は、家だけとは限りません。
学童保育、塾、習い事。それぞれの場所で、災害時にどう対応するかを確認しておいてください。多くの施設では方針が決まっています。
どこにいるときに何が起きたら、誰が迎えに行くのか。曜日ごとに整理しておくと確実です。
家族の約束をひとつの紙にまとめる
ここまで挙げた内容を、一枚の紙にまとめることをおすすめします。
頭の中の取り決めは、時間が経つと曖昧になります。紙にすれば、子どもがいつでも確認できます。
書いておく項目
| 項目 | 書く内容の例 |
|---|---|
| 地震のとき | 机の下へ。揺れが止まるまで動かない |
| 家にいるか出るか | 家が無事なら家にいる |
| 逃げる場所 | ○○小学校(グラウンド) |
| 連絡する順番 | お母さん→おばあちゃん→○○さん宅 |
| 電話番号 | それぞれの番号を記入 |
| 伝言を残す方法 | 171にかけて自宅の番号を入れる |
| ラジオの場所 | リビングの棚の上 |
| 懐中電灯の場所 | 玄関の靴箱の中 |
冷蔵庫や、子ども部屋の壁など、目につく場所に貼ってください。
子どもと一緒に作る
親が作って渡すより、一緒に書くほうが記憶に残ります。
「避難する場所はどこにしようか」と問いかけて、子どもに考えてもらってください。自分で決めたことは忘れません。
字を書ける年齢なら、書く作業も任せましょう。時間はかかりますが、その分だけ身につきます。
年に一度は見直す
進級すれば通学路が変わることがあります。引っ越しや、家族構成の変化もあります。
防災の日である9月1日など、日を決めて見直してください。年に一度で十分です。
このとき、ラジオの電池も一緒に確認すると効率的です。防災ラジオの電池は何が正解か|乾電池・充電池・内蔵バッテリーの使い分けで交換の目安をまとめています。
子どもを怖がらせない伝え方
ここは、多くの親御さんが悩む部分だと思います。
災害の話は、子どもにとって怖いものです。恐怖を強く植えつけると、いざというときに固まってしまいます。
「できること」を中心に伝える
被害の恐ろしさではなく、対処の方法を中心に話してください。
「地震が来たら机の下に入れば大丈夫」という伝え方であれば、子どもは安心して覚えられます。
逆に「家が壊れる」「死ぬかもしれない」という話は、不安だけを残します。
遊びの要素を入れる
訓練を楽しい体験にする工夫も有効です。
- 「地震だ」と言われたら何秒で机の下に入れるか、時間を計る
- 暗くした部屋を懐中電灯で歩いてみる
- 非常食を試食して、好きな味を選んでもらう
- 持ち出し袋に入れるものを、自分で1つ選ばせる
自分で選んだり決めたりしたことは、記憶に残ります。押しつけると忘れます。
できたことをほめる
訓練のあとは、できた点を具体的にほめてください。
「よくできたね」より、「揺れが止まるまで動かなかったのがよかったね」のほうが、何が正しいかが伝わります。
親の側の備え
子どもの準備と同時に、大人側も整えておく必要があります。
帰宅ルートを知っておく
職場から自宅まで、徒歩で帰る経路を確認しておいてください。所要時間も把握しておきましょう。
ただし、都市部ではむやみに移動しないことが求められています。安全が確認できるまで職場にとどまる判断も必要です。
子どもが一人で過ごせる時間を延ばすことが、結果的に安全につながる場面もあります。
連絡が取れないことを前提に
「連絡が取れないから、すぐ帰らなければ」と焦る気持ちは自然です。しかし、危険な移動は避けてください。
そのためにも、事前の取り決めが効いてきます。何時間かかっても必ず迎えに行く、それまでは決めた場所で待つ。この約束があれば、双方が落ち着いていられます。
近所との関係を作っておく
最も現実的な備えかもしれません。
近所に顔見知りがいれば、いざというときに子どもの様子を見てもらえます。「うちの子が一人でいる時間があります」と伝えておくだけでも違います。
共助という言葉は大げさに聞こえますが、実態はこうした日常の関係です。
私が防災士として感じていること
私は北海道の札幌に住んでいます。2018年の胆振東部地震では、全道が停電するブラックアウトを経験しました。
あの地震は午前3時すぎに起きました。多くの家庭では、家族が一緒にいた時間帯です。
もしあれが平日の夕方だったらと考えると、状況はまったく違ったはずです。子どもだけの家庭が、暗闇の中に取り残されることになります。
情報がないことの不安
あのとき私が痛感したのは、情報が入らないことの不安でした。大人でもそうでしたから、子どもならなおさらでしょう。
何が起きているのか分からない。いつ復旧するのか分からない。親がいつ帰ってくるのかも分からない。
ラジオがあれば、少なくとも状況は分かります。人の声が聞こえているだけでも、心細さは和らぎます。
子どもにラジオの使い方を教えておく意味は、情報を得ること以上に、ここにあると私は考えています。
完璧を目指さない
ここまで多くのことを挙げてきましたが、すべてを一度にやる必要はありません。
まずは、身を守る動作を一度だけやってみる。それだけでも十分に価値があります。
次の機会に避難場所まで歩く。その次に171を体験する。少しずつ積み上げてください。
子どもは、教えれば覚えます
防災の話をするとき、「子どもには難しいのでは」と考える方がいます。
しかし私は、逆だと感じています。子どもは、大人より素直に手順を覚えます。そして繰り返し身につけたことは、いざというときに体が動きます。
難しいのは、大人のほうかもしれません。知識があるぶん、あれこれ考えて動けなくなることがあります。
だからこそ、教える内容は絞ってください。多くを伝えるより、3つを確実に覚えてもらうほうが役に立ちます。
備えは、親の安心にもなります
最後にひとつ付け加えます。
この備えは、子どもを守るためのものです。同時に、親が落ち着いていられるためのものでもあります。
「うちの子は分かっている」と思えることは、災害時の判断を助けます。焦って危険な移動をせずに済みます。
その意味でも、家族で取り決めをしておく価値があります。
よくある質問
Q. 何歳から留守番中の備えを教えるべきですか
A. 一人で留守番をさせる年齢になったら、その時点で必要です。小学校低学年であれば「身を守る動作」と「決まった場所で待つ」の2つに絞ってください。判断を求める内容は、年齢が上がってから加えていきます。
Q. まず何から教えればよいですか
A. 身を守る動作です。地震のとき、机の下に入って脚を握り、揺れが収まるまで動かない。この3つだけを繰り返し伝えてください。実際にやってみるのが最も効果的です。5分で終わります。
Q. 家にいるべきか、外へ逃げるべきか、どう教えますか
A. 「家が安全なら家にいる」を基本にしてください。外は落下物や割れたガラスで危険です。ただし津波と火災は例外で、迷わず逃げる必要があります。沿岸部では「揺れたら高いところへ、親を待たなくてよい」と明確に伝えてください。
Q. 電話がつながらないときはどうすればよいですか
A. 災害用伝言ダイヤル171を使います。毎月1日と15日などに体験利用ができますので、家族で練習しておいてください。あわせて、連絡する相手の順番も決めておきましょう。
Q. 子どもは電話番号を覚えていません
A. 紙に書いて持たせてください。いまの子どもは番号を暗記していないことがほとんどで、スマートフォンの電池が切れれば連絡先が分かりません。ランドセルや筆箱に入れ、ラミネートなどで保護しておくと安心です。
Q. ラジオは子どもでも使えますか
A. 使えます。教えるのは電源の入れ方、音量の変え方、合わせる局の3つだけです。周波数を探す作業は難しいので、あらかじめ登録するかダイヤルに印をつけておいてください。自動選局できる機種なら、より簡単です。
Q. 何を家に備えておけばよいですか
A. 乾電池式のラジオ、懐中電灯、笛、飲み物と軽食、履ける靴、連絡先を書いた紙です。特に靴は見落とされがちですが、割れたガラスから足を守るために欠かせません。子どもが普段いる場所に置いてください。
Q. 兄弟がいる場合、上の子に任せてよいですか
A. 過度な責任を負わせないでください。「守らなければ」という思いから無理な行動をとることがあります。伝えるべきは「二人とも安全な場所にいること」です。下の子を助けようとして上の子まで危険にさらされる事態は避けたいところです。
Q. 怖がらせずに伝えるにはどうすればよいですか
A. 被害の恐ろしさではなく、対処の方法を中心に話してください。「机の下に入れば大丈夫」という伝え方なら安心して覚えられます。時間を計る、懐中電灯で暗い部屋を歩くなど、遊びの要素を入れるのも有効です。
Q. 停電しただけの場合はどうしますか
A. 実はこれが最も起こりやすい事態です。台風や大雪では、建物に被害がなくても停電します。懐中電灯の場所を教え、実際に暗い部屋でつけてみてください。ろうそくは火災の危険があるため、子どもには使わせないでください。
Q. 台風が来ると分かっている日はどうすべきですか
A. 台風は数日前から分かるため、そもそも子どもを一人にしない選択が可能です。早めに帰宅する、学童保育の利用を調整するといった対応でリスクを避けられます。それでも一人になる場合は、窓から離れることを伝えてください。
Q. 決めたことを忘れてしまいそうです
A. 一枚の紙にまとめて、冷蔵庫や子ども部屋の壁に貼ってください。地震のときの動作、逃げる場所、連絡の順番、電話番号、ラジオと懐中電灯の場所を書きます。子どもと一緒に作ると記憶に残ります。
Q. どのくらいの頻度で見直せばよいですか
A. 年に一度で十分です。9月1日の防災の日など、日を決めておくと忘れません。進級で通学路が変わることもあるため、内容の確認も兼ねてください。このときラジオの電池も一緒に点検すると効率的です。
Q. 親はすぐに帰れないのですが
A. 都市部ではむやみに移動しないことが求められています。危険な帰宅を急ぐより、事前の取り決めが重要です。「何時間かかっても必ず迎えに行く、それまでは決めた場所で待つ」という約束があれば、双方が落ち着いていられます。
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まとめ
子どもだけの留守番中の備えについて、要点を整理します。
- 必要なのは3つ。身を守る動作、逃げる先、連絡の方法
- 地震では「揺れが収まるまで動かない」を繰り返し伝える
- 実際にやってみると、家の中の問題が見つかる
- 基本は「家が安全なら家にいる」。津波と火災は例外
- 沿岸部では「親を待たずに逃げてよい」と明確に伝える
- 避難場所は地図ではなく、一緒に歩いて確認する
- 電話番号は紙に書いて持たせる
- ラジオは操作を3つに絞れば子どもでも使える
- 靴と笛を、子どもが普段いる場所に置いておく
- 怖がらせず、できることを中心に伝える
子どもが一人でいる時間は、親にとって最も不安な時間帯かもしれません。しかし、備えがあれば不安は小さくできます。
そして備えといっても、特別なことは必要ありません。3つを決めて、たまに確認するだけです。
今度の週末、5分だけ時間を取ってみてください。「地震だよ」と声をかけて、机の下に入ってもらう。そこから始まります。


