活断層Sランク一覧【2026年最新】25都道府県32断層帯を都道府県別に掲載|S*の意味と30年確率の正しい読み方を防災士が解説

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【この記事の要約】
国が評価している主要活断層帯のうち、今後30年以内の地震発生確率が3%以上のものがSランクです。政府の地震調査研究推進本部が令和8年(2026年)1月1日を基準日として公表した最新の評価では、全国32の断層帯、活動区間にすると38区間、25の都道府県がこれに該当します。そして「*」がつくのは、前回の地震から平均活動間隔の70%以上の時間がすでに経過していることを示します。この記事では、一次資料から抽出した都道府県別の完全な一覧を掲載し、あわせて3%という数字を「低い」と読んではいけない理由を説明します。最も確率が高いのは糸魚川-静岡構造線断層帯の中北部区間で、14%から30%。マグニチュード7.6の地震が想定されています。

「うちの県に活断層はありますか」。防災の話をしていて、いちばん多く受ける質問のひとつです。

答えは、たいてい「あります」になります。日本には2000以上の活断層が知られていて、そのうち特に規模が大きく社会的影響が大きいものが「主要活断層帯」として国に評価されています。

この記事では、その評価の中でも最上位にあたるSランクを、都道府県別に整理します。数字はすべて、地震調査研究推進本部が公表している一次資料から取りました。

目次

結論|Sランクは3%以上。25都道府県に32の断層帯があります

先に結論を書きます。

Sランクとは、今後30年以内の地震発生確率が3%以上と評価された活断層のことです。

令和8年1月1日を算定基準日とする最新の評価では、これに該当するのは32の断層帯。断層帯は複数の活動区間に分かれることがあるため、区間の数でいえば38区間になります。位置する都道府県は25です。

そして、Sランクのうち大半には「*」がついています。その意味は、後ほど説明します。

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地震の発生回数で1位は中国、日本は4位です。ただし面積あたりでは日本が突出します。地震が多い国ランキング|1位は日本ではありませんにまとめました。

ランクは4段階です

まず、評価の枠組みを確認します。

ランク 30年以内の地震発生確率 位置づけ
Sランク 3%以上 相対的に高い
Aランク 0.1%以上3%未満 やや高い
Zランク 0.1%未満 相対的に低い
Xランク 不明 すぐに地震が起きることが否定できない

ここで、Xランクの説明に注目してください。「不明」とだけ書かれているのではありません。「すぐに地震が起きることが否定できない」と明記されています。

つまりXランクは、安全という意味ではありません。計算に必要な情報が足りないだけです。前回いつ動いたのか、どのくらいの間隔で動いてきたのかが分からなければ、確率は求められません。

「*」は何を意味するのか

報道でも取り上げられている「S*ランク」の*です。

これは地震後経過率が0.7以上であることを示します。

地震後経過率とは、前回の地震から現在までの経過時間を、その断層の平均活動間隔で割った値です。1.0になると、平均的な間隔の分だけ時間が経ったことになります。

言い換えれば、0.7以上とは「前回の地震から、平均的な間隔の70%以上が過ぎている」ということです。

そして*は、Sランクだけにつくものではありません。A*ランクもZ*ランクも存在します。あくまで「時間の経過」を示す記号であって、確率そのものとは別の情報です。

だからS*ランクは、二つの条件が重なった状態ということになります。確率が3%以上であり、なおかつ前回から十分な時間が経っている。今回の一覧で、Sランク38区間のうち36区間に*がついています。

都道府県別|Sランクの活断層一覧

ここからが本題です。地震調査研究推進本部が公表している「主要活断層帯の長期評価の概要(都道府県別)」から、Sランクに該当するものをすべて抜き出しました。算定基準日は令和8年1月1日です。

ひとつ、読み方の注意があります。複数の都道府県にまたがる断層帯は、位置するすべての県に重複して掲載されています。たとえば糸魚川-静岡構造線断層帯は山梨県と長野県の両方に、中央構造線断層帯は6つの県に現れます。

都道府県 断層帯(活動区間) ランク 30年以内の発生確率 想定される規模
北海道 黒松内低地断層帯 S*ランク 2%~5%以下 M7.3程度以上
サロベツ断層帯 S*ランク 4%以下 M7.6程度
山形県 新庄盆地断層帯(東部) S*ランク 5%以下 M7.1程度
山形盆地断層帯(北部) S*ランク 0.003%~8% M7.3程度
庄内平野東縁断層帯(南部) S*ランク ほぼ0%~6% M6.9程度
神奈川県 塩沢断層帯 Sランク 4%以下 M6.8程度以上
三浦半島断層群(主部/武山断層帯) S*ランク 6%~11% M6.6程度もしくはそれ以上
三浦半島断層群(主部/衣笠・北武断層帯) S*ランク ほぼ0%~3% M6.7程度もしくはそれ以上
新潟県 櫛形山脈断層帯 S*ランク 0.3%~5% M6.8程度
長岡平野西縁断層帯 S*ランク 3%以下 M8.0程度
十日町断層帯(西部) S*ランク 3%以上 M7.4程度
高田平野断層帯(高田平野東縁断層帯) S*ランク ほぼ0%~8% M7.2程度
富山県 砺波平野断層帯・呉羽山断層帯(砺波平野断層帯東部) S*ランク 0.04%~6% M7.0程度
砺波平野断層帯・呉羽山断層帯(呉羽山断層帯) S*ランク ほぼ0%~5% M7.2程度
石川県 森本・富樫断層帯 S*ランク 2%~8% M7.2程度
山梨県 糸魚川-静岡構造線断層帯(北部区間) S*ランク 0.01%~16% M7.7程度
糸魚川-静岡構造線断層帯(中北部区間) S*ランク 14%~30% M7.6程度
糸魚川-静岡構造線断層帯(中南部区間) S*ランク 0.9%~8% M7.4程度
長野県 糸魚川-静岡構造線断層帯(北部区間) S*ランク 0.01%~16% M7.7程度
糸魚川-静岡構造線断層帯(中北部区間) S*ランク 14%~30% M7.6程度
糸魚川-静岡構造線断層帯(中南部区間) S*ランク 0.9%~8% M7.4程度
木曽山脈西縁断層帯(主部/南部) S*ランク ほぼ0%~4% M6.3程度
境峠・神谷断層帯(主部) S*ランク 0.02%~13% M7.6程度
阿寺断層帯(主部/北部) S*ランク 6%~11% M6.9程度
岐阜県 木曽山脈西縁断層帯(主部/南部) S*ランク ほぼ0%~4% M6.3程度
高山・大原断層帯(国府断層帯) S*ランク ほぼ0%~5% M7.2程度
阿寺断層帯(主部/北部) S*ランク 6%~11% M6.9程度
静岡県 塩沢断層帯 Sランク 4%以下 M6.8程度以上
富士川河口断層帯(ケースa) S*ランク 10%~18% M8.0程度
富士川河口断層帯(ケースb) S*ランク 2%~11%もしくはそれ以下 M8.0程度
滋賀県 琵琶湖西岸断層帯(北部) Sランク 1%~3% M7.1程度
京都府 奈良盆地東縁断層帯 S*ランク ほぼ0%~5% M7.4程度
大阪府 上町断層帯 S*ランク 2%~3% M7.5程度
兵庫県 中央構造線断層帯(石鎚山脈北縁西部区間) S*ランク ほぼ0%~12% M7.5程度
奈良県 奈良盆地東縁断層帯 S*ランク ほぼ0%~5% M7.4程度
中央構造線断層帯(石鎚山脈北縁西部区間) S*ランク ほぼ0%~12% M7.5程度
和歌山県 中央構造線断層帯(石鎚山脈北縁西部区間) S*ランク ほぼ0%~12% M7.5程度
島根県 宍道(鹿島)断層(ケース2) S*ランク 0.9%-6% M程度もしくはそれ以上
弥栄断層 S*ランク ほぼ0%~6% M7.7程度
広島県 安芸灘断層帯 S*ランク 0.1%~10% M7.2程度
山口県 菊川断層帯(中部区間) S*ランク 0.1%~4% M7.6程度
安芸灘断層帯 S*ランク 0.1%~10% M7.2程度
周防灘断層帯(周防灘断層帯主部区間) S*ランク 2%~4% M7.6程度
徳島県 中央構造線断層帯(石鎚山脈北縁西部区間) S*ランク ほぼ0%~12% M7.5程度
愛媛県 中央構造線断層帯(石鎚山脈北縁西部区間) S*ランク ほぼ0%~12% M7.5程度
福岡県 福智山断層帯 S*ランク ほぼ0%~3% M7.2程度
警固断層帯(南東部) S*ランク 0.3%~6% M7.2程度
長崎県 雲仙断層群(南西部/北部) S*ランク ほぼ0%~4% M7.3程度
熊本県 日奈久断層帯(八代海区間) S*ランク ほぼ0%~16% M7.3程度
日奈久断層帯(日奈久区間) S*ランク ほぼ0%~6% M7.5程度
大分県 中央構造線断層帯(石鎚山脈北縁西部区間) S*ランク ほぼ0%~12% M7.5程度
周防灘断層帯(周防灘断層帯主部区間) S*ランク 2%~4% M7.6程度

一覧から読み取れる、三つの傾向

25都道府県38区間という数字を並べ替えると、いくつかのことが見えてきます。

一、中部地方に集中しています

地方別に数えると、偏りがはっきりします。

地方 該当する都道府県の数 内訳
北海道 1 北海道
東北 1 山形県
関東・中部 8 神奈川県、新潟県、富山県、石川県、山梨県、長野県、岐阜県、静岡県
近畿 6 滋賀県、京都府、大阪府、兵庫県、奈良県、和歌山県
中国 3 島根県、広島県、山口県
四国 2 徳島県、愛媛県
九州 4 福岡県、長崎県、熊本県、大分県

関東・中部地方だけで8県。全体の3分の1近くを占めます。新潟から静岡にかけて、日本列島を横切るように断層が並んでいることが分かります。

なかでも長野県は6区間で最多です。糸魚川-静岡構造線断層帯の3区間に加え、木曽山脈西縁断層帯、境峠・神谷断層帯、阿寺断層帯を抱えています。

二、関東で該当するのは神奈川県だけです

意外に思われるかもしれません。東京都、埼玉県、千葉県、茨城県、栃木県、群馬県には、Sランクの主要活断層帯がありません。

ただし、これを「関東は内陸地震が少ない」と読むのは誤りです。理由を三つ書きます。

一、関東平野は厚い堆積層に覆われています。活断層があっても地表に痕跡が現れにくく、見つかっていない可能性があります。

二、関東の地震リスクの主役は海溝型です。相模トラフや、フィリピン海プレートの内部で起きる地震があります。首都直下地震として想定されているものの多くは、活断層による地震ではありません。

三、Aランクや Xランクの断層は存在します。この記事はSランクだけを扱っているため、一覧に出てこないだけです。

三、*がつかないSランクは、2つだけです

38区間のうち、36区間に*がついています。逆に言えば、*がつかないものは2つしかありません。

神奈川県と静岡県にまたがる塩沢断層帯、そして滋賀県の琵琶湖西岸断層帯(北部)です。

これは「安全」という意味ではありません。前回の地震からの経過時間が、平均活動間隔の70%にまだ達していない、あるいは平均活動間隔が不明で経過率を計算できない、ということです。

塩沢断層帯の場合、最新の活動時期が特定できていないため、経過率が「不明」となっています。それでも確率は4%以下と評価され、Sランクに入っています。

主な断層帯を、もう少し詳しく

数値だけでは像を結びにくいので、代表的なものを補足します。

糸魚川-静岡構造線断層帯

この一覧で最も確率が高い断層帯です。新潟県の糸魚川から、長野県を縦断し、静岡県へ抜ける大きな構造線に沿っています。

北部、中北部、中南部の3区間に分かれ、中北部区間が14%から30%と突出しています。想定される規模はマグニチュード7.6程度。

この区間は、諏訪湖から松本にかけての人口の多い地域を通っています。数字の高さと、住んでいる人の多さが重なる場所です。

富士川河口断層帯

想定される規模がマグニチュード8.0と、この一覧で最大です。静岡県の富士川の河口付近に位置します。

評価は二つのケースに分けられています。ケースaでは30年確率が10%から18%、ケースbでは2%から11%もしくはそれ以下。どちらもSランクです。

上町断層帯

大阪の市街地の直下を、南北に走っています。30年確率は2%から3%、想定される規模はマグニチュード7.5程度。

数字そのものは他より低く見えます。しかし、この断層帯の危険は人口の密度にあります。大阪市の中心部が真上にあり、同じ規模の地震でも被害の総量が桁違いになります。

森本・富樫断層帯

石川県の金沢市付近を通る断層帯です。30年確率は2%から8%、規模はマグニチュード7.2程度。

こちらも県庁所在地の市街地に近い位置にあります。

警固断層帯

福岡県の博多湾から市街地を抜ける断層帯です。南東部の30年確率は0.3%から6%、規模はマグニチュード7.2程度。

2005年の福岡県西方沖地震では、この断層帯の北西側が動いたとされています。南東部は、その隣で残っている区間にあたります。

中央構造線断層帯

この一覧で、最も多くの県にまたがる断層帯です。兵庫県、奈良県、和歌山県、徳島県、愛媛県、大分県の6県に現れます。

石鎚山脈北縁西部区間の30年確率はほぼ0%から12%、規模はマグニチュード7.5程度。四国を東西に横断する日本最大級の断層系の一部です。

四国の状況は四国の活断層と地震発生リスク|中央構造線断層帯の30年確率と備えにまとめました。

日奈久断層帯

熊本県の断層帯です。八代海区間がほぼ0%から16%、日奈久区間がほぼ0%から6%。

2016年の熊本地震で動いたのは、この断層帯の北端にあたる高野-白旗区間と、隣接する布田川断層帯の布田川区間でした。残る2区間は、いまもSランクとして残っています。

家を探すとき、この一覧をどう使うか

引っ越しや家の購入を控えている方から、よく聞かれることがあります。活断層を避けて住むべきかどうか、です。

私の考えを書きます。避けることを最優先にする必要はありません。理由は二つあります。

一、日本で活断層から完全に離れることは、現実的ではありません。知られている活断層だけで2000以上あり、しかも未発見のものもあります。避け続ければ、住める場所がなくなります。

二、地震で人が亡くなる直接の原因は、断層そのものではありません。建物の倒壊と、家具の転倒です。同じ揺れを受けても、建物が耐えれば命は助かります。

そのうえで、家探しのときに見ておくと役に立つ点を挙げます。

建物の建築年です。1981年6月に耐震基準が大きく変わり、2000年にも木造住宅の基準が改められました。いつ建てられたかは、耐震性を推し量る最初の手がかりになります。

地盤です。同じ地震でも、柔らかい地盤では揺れが増幅されます。埋め立て地や、かつて川や沼だった土地では液状化の危険もあります。古い地図や地名から、その土地の来歴が分かることがあります。

そして、ハザードマップです。地震だけでなく、洪水や土砂災害の想定もあわせて見てください。ハザードマップの見方にまとめました。

断層の位置を知ることは、この判断材料のひとつにすぎません。数字に振り回されず、建物と地盤を見てください。

表の見方をひとつ。「ほぼ0%〜12%」のように幅の広い数字が並ぶことがあります。これは調査結果に幅があり、確率を一点に絞り込めないという意味です。上限が3%を超えるため、Sランクとして扱われています。

確率が高い順に見ると

一覧のなかで、特に数値が大きいものを抜き出します。

断層帯(区間) 30年確率 規模 都道府県
糸魚川-静岡構造線断層帯(中北部区間) 14%〜30% M7.6程度 山梨県・長野県
富士川河口断層帯(ケースa) 10%〜18% M8.0程度 静岡県
三浦半島断層群(主部/武山断層帯) 6%〜11% M6.6程度もしくはそれ以上 神奈川県
阿寺断層帯(主部/北部) 6%〜11% M6.9程度 長野県・岐阜県
森本・富樫断層帯 2%〜8% M7.2程度 石川県
上町断層帯 2%〜3% M7.5程度 大阪府

最上位は、糸魚川-静岡構造線断層帯の中北部区間です。30年以内に14%から30%。この数字は、日本の内陸の活断層としては突出しています。

そして富士川河口断層帯は、想定される規模がマグニチュード8.0。内陸の活断層としては最大級です。この断層帯は評価が二つのケースに分けて示されており、確率にも幅があります。

3%を「低い」と読まないでください

ここが、この記事でいちばんお伝えしたいところです。

30年で3%。この数字を見て、多くの方が「ほとんど起きない」と感じると思います。その感覚が、活断層の危険を過小評価させます。

比較する相手を間違えています

3%という数字は、日本の主要活断層のなかで最上位に位置します。大半の活断層はZランク、つまり0.1%未満です。

活断層が動く間隔は、数千年から数万年に一度です。その長い周期のなかで、たった30年を切り取って3%というのは、きわめて高い数字なのです。

Zランクでも、安全ではありません

一次資料には、はっきりこう書かれています。

Zランクでも、活断層が存在すること自体、当該地域で大きな地震が発生する可能性を示す。

これは重要な注意書きです。ランクは相対的な評価であって、絶対的な安全を保証するものではありません。

2016年の熊本地震が示したこと

この点を、現実の災害が示しています。

2016年の熊本地震は、布田川断層帯と日奈久断層帯が関わった地震でした。そして日奈久断層帯は、いまも一部の区間がS*ランクのまま残っています。

八代海区間はほぼ0%から16%、日奈久区間はほぼ0%から6%。2016年に動いたのは別の区間であり、これらは割れ残っています。

詳しくは日奈久断層帯とは?割れ残った2区間と30年確率布田川断層帯とは?2016年に動いた区間と、動いていない区間の違いにまとめました。

ひとつの断層帯が動いても、隣の区間は残ります。これが活断層の怖さです。

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この一覧に載っていない危険もあります

数字を扱う以上、その限界も書いておかなければなりません。

一、確率を計算できない断層があります

Xランクがそれです。平均活動間隔が分かっていない、前回の活動時期が特定できていない。そうした断層は、確率の欄が「不明」になります。

この一覧で確率が高く見えないからといって、その県が安全だということにはなりません。Xランクの断層が県内にある場合、危険は数字として現れていないだけです。

二、主要活断層帯だけが活断層ではありません

国が長期評価を行っているのは、規模が大きく社会的影響が大きい主要活断層帯です。日本には2000以上の活断層が知られており、その大半は評価の対象外です。

規模が小さくても、真下で動けば大きな揺れになります。

三、知られていない活断層があります

これがいちばん重要かもしれません。

地表に痕跡が現れていない活断層は、発見されていません。過去には、知られていなかった場所で大きな地震が起きた例もあります。

つまり、一覧に自分の県がなくても、内陸の地震が起きない保証はありません。

自分の家の下は、どうなっているか

都道府県単位では、大きすぎて実感がわかないと思います。知りたいのは、自分の家がどうかということのはずです。

これは、無料で調べられます。

産業技術総合研究所の活断層データベース、国土地理院の地図、そして自治体が公表している被害想定。住所を入れるだけで、近くに活断層があるかどうかが分かります。

手順と、結果の読み方は自宅の近くに活断層はある?無料で調べる方法と結果の正しい読み方にまとめました。

ひとつだけ、先に注意を書いておきます。活断層が見つかったからといって、家を売る必要はありません。知ったうえで、建物の耐震性と家具の固定に手を打つ。それが正しい使い方です。

内陸の地震は、何が違うのか

活断層による地震には、海溝型の地震とは異なる特徴があります。備え方も変わります。

揺れ始めるまでの時間がありません

震源が浅く、真下にあります。緊急地震速報が間に合わないことが多くなります。

速報は、最初に届くP波を捉えて、遅れて来るS波の到達を知らせる仕組みです。震源が近ければ、二つの波がほぼ同時に届きます。だから、揺れてから身を守るのでは間に合いません。

備えは、揺れる前にすべて終わっている必要があります。

揺れが強くなります

マグニチュードが7程度でも、震源が浅く直下であれば、震度7になり得ます。2016年の熊本地震も、内陸で起きた地震でした。

建物と家具が、直接の脅威になります

強い揺れが短時間で襲うため、建物の倒壊と家具の転倒が、そのまま人の命に関わります。

やることは決まっています。建物の耐震性を確かめること。そして家具を固定すること。

家具の固定は、費用の割に効果が大きい対策です。突っ張り棒で地震対策|家具転倒防止の選び方・取り付け方にまとめました。

そのあとの生活を、自分で支えることになります

内陸の地震では、道路や水道といったライフラインが局所的に断たれます。支援が届くまでの数日を、自分でしのぐ必要があります。

備えの全体像は地震の防災グッズおすすめ完全ガイド、被災後の手続きは被災した後にやることの全体像にまとめています。

この評価は、誰がどう作っているのか

数字の出どころを知っておくと、受け取り方が変わります。

評価しているのは、地震調査研究推進本部です。1995年の阪神・淡路大震災をきっかけに設置されました。

それまで、地震の調査研究は各機関がばらばらに行っていました。成果を一元的にまとめて国民に伝える仕組みがなかったという反省から生まれた組織です。

そのなかの地震調査委員会が、活断層の長期評価や、毎月の地震活動の評価を行っています。

組織の役割は地震本部とは?阪神・淡路大震災を機に生まれた組織の役割地震調査委員会とは?にまとめました。

そして、この評価は更新されます。新しい調査結果が出れば、確率もランクも変わります。今回の数字は令和8年1月1日時点のものです。

よくある質問

Sランクとは何ですか

今後30年以内の地震発生確率が3%以上と評価された活断層です。地震調査研究推進本部による4段階の相対評価のうち、最上位にあたります。

S*ランクの「*」はどういう意味ですか

地震後経過率が0.7以上であることを示します。前回の地震から、その断層の平均活動間隔の70%以上の時間がすでに経過しているという意味です。*はSランクだけでなく、A*やZ*としてもつきます。

30年で3%は、低い数字ではありませんか

いいえ。活断層が動く間隔は数千年から数万年に一度です。その長い周期から30年を切り取って3%というのは、日本の主要活断層のなかで最上位にあたる高さです。大半の活断層は0.1%未満のZランクです。

いちばん確率が高い活断層はどこですか

糸魚川-静岡構造線断層帯の中北部区間で、30年以内に14%から30%です。山梨県と長野県にまたがり、マグニチュード7.6程度の地震が想定されています。

Zランクなら安心してよいですか

いいえ。一次資料に「Zランクでも、活断層が存在すること自体、当該地域で大きな地震が発生する可能性を示す」と明記されています。ランクは相対的な評価にすぎません。

Xランクはどう受け取ればよいですか

「すぐに地震が起きることが否定できない」という意味です。安全だから不明なのではなく、計算に必要な情報が足りないために確率が求められていない状態です。

自分の県が一覧にありません。安全ですか

そうとはかぎりません。理由は三つあります。確率を計算できないXランクの断層があること。国の評価対象は主要活断層帯にかぎられること。そして、まだ発見されていない活断層があることです。

「ほぼ0%〜12%」という書き方は何ですか

調査結果に幅があり、確率を一点に絞り込めない場合の表記です。上限が3%を超えるため、Sランクとして扱われます。

自分の家の近くに活断層があるか、どうすれば分かりますか

無料で調べられます。産業技術総合研究所の活断層データベースや国土地理院の地図、自治体の被害想定を使います。手順は自宅の近くに活断層はある?無料で調べる方法にまとめました。

活断層の上に家がある場合、引っ越すべきですか

そこまでする必要はないと私は考えています。知ったうえで、建物の耐震性を確かめ、家具を固定する。これが現実的で効果の大きい対応です。

この数字はいつ更新されますか

新しい調査結果が出るたびに見直されます。この記事の数値は、算定基準日が令和8年(2026年)1月1日のものです。

まとめ

要点を整理します。

Sランクは、30年以内の地震発生確率が3%以上の活断層です。全国32の断層帯、38の活動区間、25の都道府県が該当します。

「*」は、前回の地震から平均活動間隔の70%以上が経過していることを示します。Sランク38区間のうち、36区間に*がついています。

3%を低いと読まないでください。数千年に一度動く断層の、たった30年を切り取った数字です。日本の主要活断層のなかでは最上位にあたります。

一覧にない県が安全なわけでもありません。確率を計算できない断層があり、評価対象外の活断層があり、そして未発見の活断層があります。

最後に、この記事でいちばん伝えたいことを書きます。

確率を知ることの意味は、恐れることではありません。数字を見て不安になるだけなら、調べない方がましです。

意味があるのは、その数字を行動に変えたときだけです。家具を固定する。寝室の配置を変える。枕元に靴を置く。建物の耐震診断を受ける。

どれも、今日から取りかかれることです。そして活断層の地震は、来ることが分かっていても、いつ来るかは誰にも分かりません。

だからこそ、備えは今日のうちに。

地震の全体像

地震について、どこから手をつければよいか迷ったら地震の完全ガイドをご覧ください。阪神・淡路大震災の死因は、窒息・圧死が77.0%。そして94.3%の方が、その日のうちに亡くなっています。備えは揺れる前にしか効かないという結論と、震度とマグニチュードの違い、揺れる前・最中・あとの行動をまとめています。

建物そのものの備えは、できていますか

地震で亡くなる原因の8割近くは、建物と家具の下敷きです。阪神・淡路大震災では、窒息・圧死が77.0%を占めました。

自宅が危ないかどうかは、建築年でおおよそ判断できます。境目は昭和56年6月1日と平成12年6月1日の二つ。耐震診断には多くの自治体が補助を出しており、自己負担は数万円に収まることが多くあります。詳しくは耐震診断とは?費用の目安と補助金の実額にまとめました。

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9月1日は防災の日/8月30日〜9月5日は防災週間

1年に一度、備えを点検する日です。10分でできることから始めてください。

この記事を書いた人

北海道札幌市在住の防災・サバイバル情報発信者です。2018年の北海道胆振東部地震を機に「誰でも今日から始められる防災」をモットーに活動を開始し、実際に試した防災グッズのレビューや家族構成別の備え方をわかりやすくお伝えしています。実践的で信頼できる情報を提供できるよう、がんばっています!

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