カセットボンベが寒いと使えない理由と対処法|湯せんは危険、正しい温め方

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【この記事の要約】
寒い日にカセットこんろの火が弱くなるのは、故障ではありません。ボンベの中のガスが気化しにくくなるためです。一般的なカセットボンベに使われるブタンは、およそ0度を下回ると気化しにくくなり、氷点下では火がつかないこともあります。対策は三つ。ボンベを人肌程度に温めておくこと、寒冷地用のボンベに変えること、そして室内の暖かい場所で保管することです。ただし、湯せんや直火で温めるのは破裂につながる危険な行為です。この記事では、なぜ寒いと使えなくなるのか、安全な対処法、寒冷地向け製品の選び方、そして正しい保管と廃棄の方法を、高圧ガス販売主任者の資格を持つ防災士の立場から解説します。

目次

結論:寒さで火が弱くなるのは正常。対策は「温度」と「ボンベの種類」

先に結論をお伝えします。カセットボンベが寒いと使えなくなる現象は、製品の不良ではありません。ガスの性質によるものです。

対策は次の三つです。

一つ目は、使う前にボンベを暖かい室内に置いておくこと。手で握って人肌に温める程度でも効果があります。

二つ目は、寒冷地でも使えるボンベを選ぶこと。イソブタンやプロパンを配合した製品なら、低温でも気化します。

三つ目は、保管場所を見直すこと。物置や車庫など冷える場所に置いたままでは、いざというときに使えません。

そして絶対にやってはいけないのが、火であぶる、湯せんする、ストーブの前に置くといった強制的な加熱です。ボンベ内の圧力が上がり、破裂の危険があります。

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なぜ寒いとカセットボンベが使えなくなるのか

仕組みを理解しておくと、対策の意味が分かります。少し丁寧に説明します。

カセットボンベの中には、液体になったガスが入っています。振ると音がするのは、液体が動いているからです。

この液体は、ボンベの中で少しずつ気体に変わっています。気体になった分が、こんろへ送られて燃えます。

つまり、燃焼に必要なのは「気体になったガス」です。液体のままでは燃えません。

ところが、液体から気体に変わるには、ある程度の温度が必要です。温度が下がると、気化する量が減ります。

気化が追いつかなくなると、ボンベの中の圧力が下がります。圧力が下がれば、こんろへ送られるガスの量も減ります。その結果、火が弱くなり、最終的には消えてしまいます。

ブタンという気体の性質

一般的なカセットボンベに使われているのは、ブタンというガスです。正確にはノルマルブタンと呼ばれます。

ブタンが気体に変わる温度、つまり沸点は、およそマイナス0.5度です。この温度を下回ると、気化しにくくなります。

実際の使用では、気温が10度を下回るあたりから火力の低下を感じ始めます。5度前後では明らかに弱くなり、0度付近ではほとんど使えなくなります。

ガスの種類 おおよその沸点 使える温度の目安
ノルマルブタン 約マイナス0.5度 おおむね5度以上
イソブタン 約マイナス11.7度 おおむね氷点下5度程度まで
プロパン 約マイナス42度 厳冬期でも使用可能

この表を見ると、なぜ寒冷地用の製品が存在するのかが分かります。低い沸点のガスを混ぜることで、寒さに強くしているのです。

使っているうちに冷えていく現象

もう一つ知っておきたい性質があります。ガスを使い続けると、ボンベ自体が冷えていくという点です。

液体が気体に変わるとき、周囲から熱を奪います。気化熱と呼ばれる現象です。打ち水で涼しくなるのと同じ原理です。

そのため、長時間使い続けると、ボンベの表面が冷たくなります。冬場でなくても、鍋を長く煮込んでいると火力が落ちることがあるのは、これが理由です。

ボンベに霜がついていたら、かなり冷えているサインです。いったん使用を止めて、温度が戻るのを待ってください。

この性質があるため、気温が低い場所では悪循環が起きます。もともと寒くて気化しにくいところへ、使用によってさらに冷える。火力の低下が加速していきます。冬に「最初は使えたのにすぐ弱くなった」と感じるのは、この二重の冷え込みが原因です。

寒いときの安全な対処法

では、実際に寒い場所で使いたいとき、どうすればよいのか。安全な方法を挙げます。

方法1:使う前に暖かい室内に置いておく

最も簡単で安全な方法です。使う数時間前から、暖房の効いた部屋にボンベを置いておきます。

ボンベ全体の温度が上がっていれば、しばらくは安定して使えます。

停電で暖房が使えない場合でも、屋外や玄関よりは居室のほうが暖かいはずです。少しでも温度の高い場所を選んでください。

方法2:手で握って温める

使用中に火力が落ちてきたら、いったん火を止め、ボンベを手で握ってみてください。

人の手は約36度です。ボンベを温めるには十分な熱源になります。数分握っているだけで、気化が回復することがあります。

この方法の良いところは、温めすぎる心配がまったくないことです。人の体温を超える温度には決して上がりません。

方法3:使い捨てカイロを貼る

使い捨てカイロをボンベの側面に貼る方法もあります。カイロの温度は40度から60度程度です。

ただし、こんろに装着した状態で貼るのは避けてください。機種によっては、装着部の温度が上がりすぎて安全装置が働きます。

予備のボンベを温めておく用途に使うのが適しています。

方法4:タオルや布で包む

温めるというより、冷やさない工夫です。ボンベを布で包んでおくと、外気で急速に冷えるのを防げます。

これも予備のボンベに対して有効です。使用中のボンベを包むのは、機種によっては熱がこもるため推奨されません。

方法5:複数のボンベを交代で使う

冷えたら別のボンベに交換し、冷えたほうを温める。この繰り返しで、長時間の使用に対応できます。

災害時に長く調理する場合、この方法が最も現実的です。ボンベを多めに備えておく意味は、単に燃料が足りるかどうかだけでなく、こうした運用のしやすさにもあります。

絶対にやってはいけない温め方

ここは特に強調したい部分です。以下の方法は、重大な事故につながります。

やってはいけない行為 起こりうること
火であぶる 内圧が急上昇し破裂する
熱湯で湯せんする 内圧が上がり破裂の危険がある
ストーブの前や上に置く 加熱により破裂する
こんろの2台並べ使用 隣の熱でボンベが加熱される
大きな鉄板や網を載せる 輻射熱がボンベ部分にこもる
車内に放置する 夏場は高温になり破裂の危険

カセットボンベには、通常40度以上になる場所での使用や保管をしないよう表示されています。これは安全上の重要な基準です。

特に注意していただきたいのが、こんろを2台並べて使う場面です。鍋を囲むときにやりがちですが、隣のこんろの熱がボンベを加熱します。事故の報告も出ています。

また、こんろの幅を超える大きな調理器具を使うのも危険です。熱が反射してボンベ収納部にこもります。取扱説明書に記載されたサイズを守ってください。

破裂すると何が起きるか

ボンベが破裂すると、中の液化ガスが一気に噴き出します。近くに火があれば、爆発的に燃え上がります。

屋内であれば、家財が燃えるだけでは済みません。人が重いやけどを負います。閉め切った室内なら、爆発で壁や窓が損傷することもあります。

「少し温めるだけ」という軽い気持ちが、取り返しのつかない結果を招きます。温めるなら人肌まで。この原則を守ってください。

寒冷地用ボンベの選び方

寒い環境で確実に使いたいなら、専用の製品を選ぶのが最も確実です。

製品名に「パワーガス」「ハイパワー」「寒冷地用」「ウインター」といった表記があるものが該当します。イソブタンやプロパンを配合し、低温でも気化するよう設計されています。

選ぶときの確認点

  • パッケージにガスの成分が記載されているか
  • 使用可能な温度の目安が示されているか
  • 自分の持っているこんろに適合するか
  • 製造からの年数が新しいか

ここで重要な注意点があります。寒冷地用ボンベは、一般的なカセットこんろで使えない場合があります。ガスの圧力が高いためです。

特に、アウトドア用のバーナーに使う専用ガスと、家庭用カセットこんろのボンベは規格が異なることがあります。必ず、こんろの取扱説明書で適合するボンベを確認してください。

メーカーは、自社製のこんろには自社製のボンベを使うよう案内しています。これは安全上の理由があります。守ってください。

価格差をどう考えるか

寒冷地用のボンベは、一般的な製品より割高です。3本セットで数百円の差が出ることもあります。

普段の鍋料理であれば、標準的なボンベで十分です。室内は暖かいためです。

一方、災害時の備蓄としては、寒冷地用を一定量そろえておく価値があります。冬に停電すれば、室温は屋外に近づいていきます。そのとき、標準品では火がつかない可能性があるためです。

私は、備蓄用として両方を組み合わせることをおすすめしています。日常使いは標準品、非常用は寒冷地用という分け方です。

他の熱源と比べてどうか

災害時の調理手段は、カセットこんろだけではありません。それぞれの特徴を整理しておきます。

熱源 長所 短所
カセットこんろ 燃料が入手しやすく安価 寒さに弱い、換気が必要
アウトドア用ガスバーナー 低温に強い製品がある 燃料の入手性がやや劣る
アルコールストーブ 低温でも比較的安定 火力が弱く、炎が見えにくい
固形燃料 保管が容易で長期保存できる 火力調整ができない
電気ケトル・電気鍋 換気が不要で安全 停電時は使えない

この中で、燃料の入手しやすさという点ではカセットボンベが群を抜いています。スーパーやコンビニ、ホームセンターで手に入り、価格も安定しています。

一方、寒さに弱いという弱点があります。だからこそ、この記事で扱っている対策が意味を持ちます。

私は、主力をカセットこんろに置きつつ、固形燃料を補助として持っておく組み合わせが現実的だと考えています。固形燃料は場所を取らず、長期間保存できます。

ポータブル電源という選択肢

近年は、大容量のポータブル電源が普及してきました。これがあれば、停電時でも電気調理器具が使えます。

火を使わないため、換気の心配がありません。閉め切った室内でも安全に使えます。この点は大きな利点です。

ただし、加熱調理は消費電力が大きく、蓄えた電気をすぐに使い切ります。湯を沸かす程度なら可能でも、長時間の煮込みには向きません。

カセットこんろの代わりというより、併用する位置づけで考えるとよいでしょう。

災害時にカセットこんろが果たす役割

ここで、防災の観点から整理しておきます。

災害でライフラインが止まったとき、復旧が最も遅いのはガスです。電気は数日、水道は1週間から数週間、都市ガスは1か月以上かかることもあります。

その間、調理の手段を確保できるかどうかが、生活の質を大きく左右します。

温かい食事は、体温を保つだけでなく、気持ちの面でも支えになります。避難生活が長引くほど、その意味は大きくなります。

どれくらい備えるべきか

一般的な目安として、1人1週間あたり6本程度とされています。4人家族の1週間分なら、24本ほどです。

ただし、これは調理の頻度によって変わります。1本あたりの燃焼時間は、強火で約60分から70分が目安です。

用途 おおよその使用時間
湯を沸かす(1リットル) 5分前後
ご飯を炊く(3合) 20分前後
汁物を作る 15分前後
1日3食分の調理 1時間前後

この表から計算すると、1日1本前後が目安になります。冬場は火力が落ちるため、余裕を見て多めに備えてください。

ローリングストックで管理する

カセットボンベには使用期限の表示がないことが多いのですが、製造から7年以内の使用が推奨されています。ゴムパッキンが劣化するためです。

底面や側面に製造年月が刻印されています。備蓄品を点検するときは、ここを確認してください。

おすすめは、普段の鍋料理で使いながら買い足していく方法です。備蓄が自然に入れ替わり、古いものが残りません。

カセットこんろ本体の選び方

ボンベの話をしてきましたが、こんろ本体にも寒さへの配慮がある製品があります。

近年の製品には、ボンベの温度低下を抑える仕組みを備えたものがあります。こんろの熱の一部をボンベ収納部へ導き、気化を助ける構造です。

製品によって呼び名は異なりますが、寒い場所での使用を想定した設計になっています。屋外で使う機会が多い方は、こうした製品を検討する価値があります。

安全装置の有無を確認する

本体を選ぶ際に、必ず確認していただきたいのが安全装置です。

機能 役割
圧力感知安全装置 ボンベの圧力が上がるとガスを遮断する
容器着脱機構 異常時にボンベが自動で外れる
立ち消え安全装置 火が消えたときにガスを止める
圧力調整機構 ガスの供給量を安定させる

これらの装置は、事故を防ぐために設けられています。特に圧力感知安全装置は、ボンベが加熱されたときに働く重要な仕組みです。

古い製品には備わっていないものもあります。長く使っているこんろがあるなら、この機会に見直してみてください。

製品の寿命も考える

カセットこんろ本体にも寿命があります。おおむね10年が目安とされています。

ゴム部品の劣化、ガス通路の詰まり、点火装置の摩耗などが起こります。備蓄用として押し入れに入れっぱなしの製品は、一度動作を確認してみてください。

いざというときに点火しない、という事態は避けたいところです。年に一度は動作確認をしておくことをおすすめします。

屋外で使うときの注意点

冬にカセットこんろを屋外で使う場面もあります。避難所の屋外スペース、キャンプ、除雪作業の合間などです。

屋外では、寒さに加えて風という問題が加わります。

風があると、炎が流されて鍋に熱が届きません。火力が落ちたように感じますが、原因は風です。さらに、風で火が消えると、ガスが漏れ続ける危険もあります。

風よけを使うのが基本ですが、ここにも注意点があります。こんろ全体を囲むような風よけは避けてください。熱がこもり、ボンベが加熱されます。

風よけは、風上側だけに立てる。あるいは、こんろ専用に設計されたものを使う。この二つを守ってください。

雪の上で使うとき

雪の上に直接こんろを置くと、下から冷やされます。また、雪が溶けてこんろが傾き、鍋が倒れる危険もあります。

板やコンテナなど、平らで断熱性のあるものを敷いてください。段ボールでも、ないよりはるかにましです。

安定した水平面を確保することは、やけど事故を防ぐうえでも重要です。

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正しい保管方法

保管の仕方も、いざというときの使えるかどうかを左右します。

  • 直射日光の当たらない場所に置く
  • 40度以上になる場所を避ける
  • 湿気の多い場所を避ける(缶が錆びる)
  • 火気の近くに置かない
  • 子どもの手が届かない場所にする
  • できるだけ室内の温度が安定した場所を選ぶ

冬季の観点から言えば、物置や車庫での保管は避けたいところです。氷点下になれば、取り出した直後は使えません。

また、車内保管は季節を問わず危険です。夏の車内は驚くほど高温になります。破裂事故の原因になります。

錆にも注意する

湿気の多い場所に置いておくと、缶が錆びます。錆びた缶は強度が落ち、破裂の危険が高まります。

備蓄品を点検するときは、缶の表面も見てください。錆や変形、へこみがあるものは使わないでください。

室内で使うときの換気を軽視しない

停電時、暖房が使えない部屋でカセットこんろを使う場面を想像してください。寒いので、窓は閉めたくなります。

しかし、ここで換気を怠ると別の危険が生まれます。一酸化炭素中毒です。

ガスが燃えるには酸素が必要です。閉め切った部屋で燃焼を続けると、酸素が減っていきます。酸素が不足すると、不完全燃焼が起こります。このとき発生するのが一酸化炭素です。

一酸化炭素は無色無臭で、気づくことができません。最初の症状は頭痛や眠気です。暖かい部屋で眠気が来れば、多くの人はそのまま眠ってしまいます。

調理中は、必ず窓を少し開けてください。寒くても、これは省略できません。

暖房目的での使用は想定されていない

停電時に「カセットこんろで暖を取れないか」と考える方がいます。これは避けてください。

カセットこんろは調理器具です。暖房器具として設計されていません。長時間の連続使用は、本体の過熱やボンベの加熱につながります。

また、暖房として使えば必然的に長時間の燃焼になり、一酸化炭素のリスクも高まります。

寒さは、防寒着や毛布、湯たんぽで対処してください。湯を沸かして湯たんぽに入れるという使い方であれば、調理器具としての範囲に収まります。

使い終わったボンベの処分

意外と迷うのが、使い切ったあとの処分です。

まず、中身を完全に使い切ってください。振って音がしなくなるまで使います。

ガスが残っている場合は、風通しのよい屋外で、火の気のない場所でガス抜きをします。多くの製品には、ガス抜き用のキャップや機構が備わっています。取扱説明書に従ってください。

そのうえで、自治体の指示に従って出してください。穴を開けるかどうかは、自治体によって扱いが異なります。近年は「穴を開けずに出す」とする自治体が増えています。

安易に穴を開けると、残ったガスに引火する事故が起きています。必ず、お住まいの地域のルールを確認してください。

持ち出しと移動時の扱い

避難所へ移動するとき、カセットボンベを持っていくべきかどうか。判断が分かれる場面です。

まず前提として、避難所によっては火気の使用が制限されています。持ち込みそのものを断られることもあります。事前に自治体の方針を確認しておくと迷いません。

在宅避難を選ぶ場合は、家にある備蓄をそのまま使えます。冬季の在宅避難では、カセットこんろの価値は非常に高くなります。

車で移動する際の注意点も挙げておきます。車内は日差しで高温になります。冬でも、日の当たる車内は想像以上に温度が上がります。長時間の車内放置は避けてください。

また、荷物の下敷きになって缶が変形すると危険です。しっかりした箱に入れて運んでください。

集合住宅のベランダ保管は避ける

収納場所に困り、ベランダに置く方がいます。これはおすすめできません。

夏は直射日光で高温になり、冬は氷点下まで下がります。温度変化が最も激しい場所です。さらに雨や雪で缶が錆びます。

室内の、温度が安定した場所を確保してください。押し入れの下段や、床下収納などが適しています。

私が高圧ガスを扱う立場から伝えたいこと

私は高圧ガス販売主任者の資格を持っています。この分野の基本を学んだ立場から、あらためて申し上げます。

カセットボンベは、家庭にある製品の中でも、扱いを誤ると被害が大きくなるもののひとつです。それでいて、日用品として気軽に使われています。

この「危険性と手軽さのギャップ」が、事故の背景にあると私は考えています。

とはいえ、恐れる必要はありません。守るべきことは、突き詰めれば三つだけです。40度以上にしない。適合するボンベを使う。使用中に外から加熱しない。この三点を守れば、危険な事態はほぼ避けられます。

そして寒さの問題も、性質を知っていれば落ち着いて対処できます。火が弱いのは壊れたからではなく、ガスが気化していないから。そう理解できれば、無茶な温め方に走ることもありません。

北海道の冬を前提に考える

私は札幌に住んでいます。冬に停電すれば、室温は短時間で下がります。暖房が止まれば、家の中でも一桁台の気温になることがあります。

その状況で、標準的なカセットボンベは頼りになりません。だからこそ、寒冷地用の備蓄が必要だと考えています。

これは北海道に限った話ではありません。本州でも、冬の停電時には同じことが起こります。「屋内だから大丈夫」という前提は、あくまで暖房が動いていてこそ成り立つものだと考えてください。

よくある質問

Q. 何度くらいからカセットボンベは使いにくくなりますか

A. 標準的なブタン製のボンベは、気温10度あたりから火力の低下を感じ始め、5度前後で明らかに弱くなります。0度付近ではほとんど使えません。寒冷地用のイソブタン配合品なら、氷点下5度程度まで使えるものがあります。

Q. ボンベを湯せんしてもよいですか

A. おすすめしません。とくに熱湯は危険です。ボンベ内の圧力が急激に上がり、破裂につながるおそれがあります。温めたいときは、手で握るか、暖かい室内に置いておく方法にしてください。

Q. こんろを2台並べて鍋をしても大丈夫ですか

A. 危険です。隣のこんろの熱でボンベが加熱され、破裂した事故が報告されています。並べる場合は十分に距離を取るか、そもそも1台で調理してください。カセットこんろとホットプレートを並べる場合も同様です。

Q. ボンベに霜がついたのですが、故障ですか

A. 故障ではありません。ガスが気化するときに周囲の熱を奪う、気化熱という現象です。長時間使うと起こります。いったん火を止め、ボンベの温度が戻るのを待ってください。別のボンベに交換するのも有効です。

Q. 寒冷地用のボンベは、どのこんろでも使えますか

A. 使えないことがあります。ガスの圧力が高いため、対応していないこんろでは安全装置が働いたり、不具合が生じたりします。必ず、こんろの取扱説明書で適合するボンベを確認してください。メーカーは自社製品同士の組み合わせを推奨しています。

Q. カセットボンベに使用期限はありますか

A. 明示された期限はありませんが、製造から7年以内の使用が推奨されています。ゴムパッキンが経年で劣化するためです。缶の底面や側面に製造年月が刻印されていますので、備蓄の点検時に確認してください。

Q. 停電時に室内でカセットこんろを使っても大丈夫ですか

A. 調理には使えますが、換気は必ず行ってください。燃焼により酸素が消費され、不完全燃焼が起きると一酸化炭素が発生します。また、暖房目的での使用は想定されていません。長時間の連続使用は避けてください。

Q. 使いかけのボンベは、保管しても問題ありませんか

A. 問題ありません。ただし、こんろに装着したままにしないでください。使用後は必ず取り外し、キャップがある製品はキャップをして保管します。装着したままだと、わずかにガスが漏れる可能性があります。

Q. 中身が残ったまま処分したいときはどうしますか

A. 風通しのよい屋外で、火の気のない場所でガスを抜いてください。多くの製品にガス抜き機構が付いています。抜いたあとは、自治体の指示に従って出します。穴を開けるかどうかは自治体で扱いが異なるため、必ず確認してください。

Q. 冷えたボンベを、そのまま使い続けても問題はありませんか

A. 危険ではありませんが、火力が安定しません。火が弱いまま調理を続けると時間がかかり、結果として消費量が増えます。いったん止めて温めるか、別のボンベに交換したほうが効率的です。

Q. アウトドア用のガス缶と、カセットボンベは同じものですか

A. 別物です。形状も接続方式も異なり、ガスの配合も違います。互いに転用はできません。バーナーには専用のガス缶を、カセットこんろには適合するカセットボンベを使ってください。

Q. 備蓄は何本くらいが適切ですか

A. 1人1週間あたり6本程度が一つの目安です。4人家族なら24本ほどになります。ただし調理の頻度で変わります。冬は火力が落ちて消費が増えるため、多めに見積もってください。普段の鍋料理で使いながら買い足すと、無理なく管理できます。

まとめ

カセットボンベと寒さの関係について、要点を整理します。

  • 寒いと火が弱くなるのは故障ではなく、ガスが気化しないため
  • 標準的なブタンは沸点が約マイナス0.5度で、5度を下回ると弱くなる
  • イソブタンやプロパンを配合した寒冷地用なら低温でも使える
  • 対策は、室内保管・手で握る・カイロを貼る・交代で使う
  • 火であぶる、湯せんする、ストーブの前に置くのは破裂の危険がある
  • 40度以上になる場所での使用と保管は避ける
  • こんろを2台並べると、隣の熱でボンベが加熱され危険
  • 寒冷地用は適合するこんろが限られるため取扱説明書を確認する
  • 備蓄は1人1週間6本が目安、製造から7年以内を使う
  • 処分は中身を出し切り、自治体のルールに従う

冬の災害では、暖かい食事が心と体を支えます。その手段を確実にしておくことが、備えの本質だと私は考えています。

寒さで火が弱いという現象は、多くの方が経験しているはずです。それでも「そういうものだ」と流されてきました。理由を知り、対策を知れば、いざというときの結果が変わります。冬の備えとして、ここは押さえておく価値のある知識です。

今日、家にあるボンベの保管場所と製造年月を確認してみてください。それだけでも、備えは一歩前に進みます。

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この記事を書いた人

北海道札幌市在住の防災・サバイバル情報発信者です。2018年の北海道胆振東部地震を機に「誰でも今日から始められる防災」をモットーに活動を開始し、実際に試した防災グッズのレビューや家族構成別の備え方をわかりやすくお伝えしています。実践的で信頼できる情報を提供できるよう、がんばっています!

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