激甚災害とは?指定されても個人に給付はない|本激と局激の違いも解説

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【この記事の要約】
激甚災害とは、被害が特に大きい災害を国が指定し、復旧のための財政支援を手厚くする制度です。ここで最も知っておいていただきたいのは、指定されても個人に直接お金が入るわけではないという点です。支援の対象は、道路や堤防を直す自治体、被害を受けた農林水産業、そして中小企業です。個人が受け取る支援金は、被災者生活再建支援法という別の制度によるものです。もうひとつ誤解が多いのが、本激と局激の違いです。全国規模の本激のほうが補助率が高いと思われがちですが、内閣府は同じ措置なら内容に差はないと説明しています。違うのは対象の広さです。制度の中身と、個人が実際に使える支援の見つけ方を整理します。

目次

結論:自治体と事業者を支える制度です

先に結論をお伝えします。

激甚災害の指定は、被災した個人への給付を決めるものではありません。主に次の3つを支えるための仕組みです。

対象 内容
自治体 道路や堤防などの復旧事業への国の補助を引き上げる
農林水産業 農地や施設の復旧、資金の融通を支援する
中小企業 信用保険の特例により、資金を借りやすくする

ニュースで「激甚災害に指定されました」と聞くと、被災者にお金が配られるように感じるかもしれません。しかし、そうではないのです。

では個人はどうなるのか

個人への支援は、別の制度で用意されています。

  • 被災者生活再建支援金
  • 災害弔慰金、災害障害見舞金
  • 災害援護資金の貸付
  • 住宅の応急修理制度
  • 税や保険料の減免

これらは激甚災害の指定を待たずに動くものが多くあります。

つまり、指定の発表を待つ必要はありません。まず罹災証明書を申請し、窓口で相談してください。

この記事では制度の中身を説明しますが、最初にこの一点をお伝えしておきたいと思いました。指定を待って手続きを止めてしまう方が、実際にいるためです。

激甚災害とはどういう制度か

ここからは、制度の中身を基本から整理していきます。

正式には、激甚災害に対処するための特別の財政援助等に関する法律という長い名前の法律にもとづく制度です。一般に激甚災害法と呼ばれます。

この制度の考え方は明快です。被害が大きすぎて自治体だけでは復旧できない場合、国が費用の負担を増やす。それによって、復旧を早めるというものです。

なぜこの制度が必要なのか

災害で壊れた道路や橋を直すのは、市町村や都道府県の仕事です。

しかし、被害が甚大であれば、費用は自治体の財政規模を超えます。負担できなければ、復旧は進みません。

そこで国が補助の割合を引き上げます。自治体の持ち出しが減り、復旧に着手しやすくなります。

要するに、この制度は「復旧のスピードを上げるための仕組み」なのです。

個人への給付ではないと聞くと、冷たい制度に感じるかもしれません。しかし、道路が直り、水道が通り、学校が再開しなければ、生活は戻りません。

その意味では、住民の暮らしを支える制度でもあります。効き方が間接的なだけです。

指定は政令で行われます

激甚災害の指定は、内閣が政令を定めることによって行われます。

手続きの流れは次のとおりです。

  1. 各省庁が被害の額を調べ、内閣府へ報告する
  2. 内閣府が気象庁と協議し、災害の範囲を確定する
  3. 内閣法制局が政令の案を審査する
  4. 中央防災会議が審議し、答申する
  5. 閣議で決定し、政令が公布される

この過程には時間がかかります。災害の発生から、おおむね1か月から2か月とされています。

本激と局激の違い

ここが、この制度で最も誤解されている部分だと感じています。

激甚災害の指定には2つの型があります。

比較 本激 局激
正式な呼び方 激甚災害 局地激甚災害
対象の決め方 災害そのものを指定する 市町村を単位として指定する
範囲 地域を限定しない 基準を満たす市町村のみ
政令で定める事項 災害名と適用する措置 災害名、措置、対象の市町村

補助率に差はありません

「本激のほうが手厚いのでは」と考える方が多いのですが、これは正確ではありません。

内閣府は、同じ法律にもとづく同じ措置であれば、本激と局激で内容に差はないと説明しています。

違うのは、どこまでを対象とするかという範囲です。支援の中身そのものではありません。

二重に適用されることはありません

ある災害が本激に指定され、特定の措置が適用されたとします。

この場合、同じ措置が局激として重ねて適用されることはありません。二重の補助を防ぐためです。

ただし、本激で適用されなかった措置について、局激として別に指定されることはあります。

そのため、ひとつの災害で本激と局激の両方の名前が出てくることがあります。矛盾しているわけではなく、措置ごとに整理されているだけです。

本激より局激のほうが多い

報道されるのは本激が中心です。しかし件数で見れば、局激のほうが多くなります。

大きく報道されない災害でも、特定の市町村が局激に指定されていることがあります。

お住まいの地域が対象かどうかは、自治体の広報で確認してください。

指定されない災害も多くあります

付け加えておきたいことがあります。

毎年多くの災害が起きますが、そのすべてが激甚災害に指定されるわけではありません。基準に届かないものが大半です。

しかし、指定されなかったからといって、被害が小さいとは限りません。ある家庭にとっては、住まいを失う出来事だったかもしれないのです。

制度の基準は、あくまで自治体の復旧事業を支えるためのものです。個々の被災者の苦しさを測る物差しではありません。

この点を理解しておくと、報道との距離の取り方が変わります。「大きく報道されなかった災害の被災者」も、支援の対象になりえます。

早期指定という運用

指定までに1か月から2か月かかると述べました。しかし、これでは復旧の着手が遅れます。

そこで、早く指定する運用が行われています。

基準を明らかに超える場合

被害の見込み額が、指定の基準を大きく上回ることが明らかな場合があります。

こうしたときは、確定した額を待たずに指定します。局地激甚災害についても、本激と同じ時期に指定されます。

これを早期局激指定と呼びます。

見込みで判断します

通常、指定は査定を終えた事業費にもとづいて判断されます。査定には時間がかかります。

早期指定では、査定前の見込み額で判断します。そのぶん早く決まります。

年末にまとめて指定される分については、確定した額で判断されます。

「指定される見込み」という発表

大きな災害では、正式な指定の前に「指定される見込み」と発表されることがあります。

これは自治体が安心して復旧に着手できるようにするためのものです。予算の裏づけが見えれば、工事を発注できます。

もし正式な指定を待っていたら、その間の工事は自治体が全額を負担する覚悟で進めることになります。それでは着手をためらう自治体が出てきます。

見込みを示すことには、こうした実務上の意味があります。報道で「指定される見込み」と流れたら、復旧が動き出す合図だと考えてください。

指定されると何が変わるのか

指定されると具体的に何が適用されるのか、分野ごとに見ていきます。

分野 主な措置
公共土木施設 道路、河川、橋などの復旧事業への補助を引き上げる
農地・農業用施設 復旧事業への補助を引き上げる
林道・漁港 復旧事業への支援
中小企業 信用保険の特例により、保証を受けやすくする
公営住宅 建設への補助(一定の割合が定められている)
その他 堆積した土砂の排除、学校施設の復旧など

中小企業への支援は重要です

個人事業主を含む中小企業にとって、この措置は実質的な意味を持ちます。

災害で店舗や設備が損なわれれば、事業を続けるための資金が必要になります。しかし被災した事業者は、金融機関から見れば貸し倒れのおそれが高い相手です。

信用保険の特例があれば、保証を受けやすくなります。結果として、資金を借りられる可能性が上がります。

農林水産業への支援

農地が流された、施設が壊れた、といった被害への支援です。

これらは復旧に多額の費用がかかる一方、事業者個人では負担しきれません。国が補助を引き上げることで、農業や漁業を続けられるようにします。

指定の基準はどう決まるのか

どれくらいの被害で指定されるのか。気になるところだと思います。

金額と財政規模で判断されます

基準は中央防災会議が定めています。おおまかに言えば、被害額が自治体の財政規模に対してどれだけ大きいかで判断されます。

単純な被害額だけではありません。同じ10億円の被害でも、大きな市と小さな町村では意味が違うためです。

小さな自治体ほど、少ない被害額でも基準に達しやすくなります。これは、財政力の弱い自治体を支える設計になっているということです。

死傷者の数では決まりません

誤解されやすい点です。

激甚災害の基準は、あくまで復旧事業の費用にもとづきます。人的な被害の大きさで決まるものではありません。

そのため、犠牲者が出た災害でも、施設の被害が小さければ指定されないことがあります。逆に、人的被害が少なくても、道路や農地の被害が大きければ指定されます。

制度の目的が「復旧事業の財政支援」であることを思い出せば、理屈は理解できます。

災害の種類は問いません

地震、台風、豪雨、大雪、噴火、津波。いずれも対象になりえます。

被害の大きさが基準を満たすかどうかだけが判断材料です。

制度の歴史

成り立ちを知ると、目的が理解しやすくなります。

大きな災害を経て作られました

この制度の骨格は、中央防災会議の決定を経て1960年代に整えられました。

それ以前は、大きな災害が起きるたびに、その都度特別な法律を作って対応していました。

しかし、それでは時間がかかります。あらかじめ基準と措置を定めておき、条件を満たせば自動的に適用する。この考え方に切り替えたのが激甚災害法です。

あらかじめ決めておく意味

災害が起きてから制度を作るのでは、復旧が遅れます。

基準が決まっていれば、被害額を算定するだけで判断できます。国会での議論を待つ必要もありません。

この「事前に決めておく」という発想は、防災の考え方そのものです。個人の備えと同じ構造だと私は感じています。

制度は見直されてきました

基準や措置の内容は、災害の実態に応じて改められてきました。

被害の様相は時代とともに変わります。制度もそれに合わせて更新されます。古い情報を参照する際は、この点に注意してください。

混同されやすい制度

災害時には、似た名前の制度がいくつも登場します。整理しておきます。

制度 目的 主な対象
激甚災害の指定 復旧事業への財政支援 自治体、事業者
災害救助法の適用 発災直後の応急的な救助 被災者全般
被災者生活再建支援法 住宅を失った世帯への給付 個人・世帯
特定非常災害の指定 行政手続きの期限延長など 被災者全般

災害救助法との違い

災害救助法は、発災直後に働く制度です。避難所の設置、応急仮設住宅の提供、食料や飲料水の供給、医療の提供などを行います。

実施するのは都道府県です。適用は災害の直後に決まるため、激甚災害の指定より早く動きます。

つまり、時間軸が違います。災害救助法が直後の救助、激甚災害が復旧の段階と考えてください。

被災者生活再建支援法との違い

個人が支援金を受け取れるのは、こちらの制度です。

住宅が全壊した世帯には基礎支援金100万円、建て直す場合はさらに加算支援金200万円が支給されます。

この制度は、激甚災害の指定とは連動していません。指定されていなくても、条件を満たせば支給されます。

詳しくは被災した後にやること全ガイド|時系列でわかる手続きと生活再建の順番で解説しています。

特定非常災害との違い

行政上の手続きに関する制度です。運転免許の有効期限を延ばす、期限内にできなかった手続きの扱いを緩めるといった措置がとられます。

被災した方の生活に直接関わりますが、金銭の給付ではありません。

指定を待つ必要はありません

最も大切な実務的助言です。

激甚災害の指定には、1か月から2か月かかります。この間、何もせずに待つのは大きな損失です。

先に進めるべきこと

  1. 片付ける前に写真を撮る
  2. 罹災証明書を申請する
  3. 保険会社に連絡する
  4. 市区町村の相談窓口へ行く
  5. 支払いの猶予を相談する

これらはすべて、激甚災害の指定と関係なく進められます。

特に写真は、時間が経つほど撮れなくなります。指定の発表を待つ理由はありません。

手続きの起点となる罹災証明書については罹災証明書の申請方法|判定6区分と、納得できないときの再調査の頼み方にまとめています。

指定の有無で支援金は変わりません

繰り返しになりますが、重要な点です。

被災者生活再建支援金の額は、住宅の被害の程度で決まります。激甚災害に指定されたかどうかでは変わりません。

「指定されなかったから、うちは何も受けられない」という理解は誤りです。

立場ごとに見るべき点

この制度が自分にどう関わるかは、立場によって変わります。整理します。

立場 激甚災害の指定との関わり 先に動くべきこと
住宅が被害を受けた個人 直接の関わりは薄い 写真、罹災証明書、保険、支援金
中小企業・個人事業主 信用保険の特例が使える 商工会議所や金融機関へ相談
農林水産業 復旧事業への補助が上がる 関係団体や自治体へ相談
自治会・町内会 地域施設の復旧に関わる場合も 自治体の担当課へ確認

住宅が被害を受けた方へ

激甚災害の指定は、直接の支援にはつながりません。しかし、無関係でもありません。

地域の道路や上下水道の復旧が早まれば、生活の再建も早まります。間接的には効いてきます。

ただし、ご自身の手続きは指定と切り離して進めてください。

事業をされている方へ

この制度が最も実質的に効くのが、この立場です。

災害後の資金繰りは、事業の存続を左右します。信用保険の特例によって保証を受けやすくなれば、選択肢が広がります。

指定の有無と適用される措置を確認し、早めに金融機関へ相談してください。融資の審査にも時間がかかります。

農業や漁業をされている方へ

農地の復旧や施設の再建には、大きな費用がかかります。

補助率が引き上げられれば、負担は軽くなります。あわせて、天災による資金の融通を支える制度もあります。

関係団体や自治体の担当窓口で、使える制度を確認してください。

個人が使える制度を探す順番

激甚災害の話から離れ、実務に落とし込みます。

被災した個人が支援を探すとき、次の順番で確認するのが確実です。

1. 市区町村の窓口

最も確実な入り口です。大きな災害では、被災者支援の相談窓口が設けられます。

ここでまとめて相談できます。罹災証明書と本人確認書類を持って行ってください。

2. 自治体の広報と公式サイト

使える制度の一覧が公表されます。国の制度だけでなく、その自治体独自の支援も載ります。

独自の支援は見落とされやすい部分です。見舞金や修理費の補助が用意されていることがあります。

3. 社会福祉協議会

生活資金の貸付や、ボランティアの手配を担っています。

片付けが自分でできない場合も、ここに相談してください。

4. 弁護士会の無料相談

大きな災害では、無料の法律相談が実施されます。

住宅ローン、賃貸契約、相続、事業の債務。法律が関わる問題は、専門家に聞くのが早道です。

5. 保険会社

公的な制度とは別に、契約している保険を確認してください。

火災保険が風水害を対象にしている場合があります。地震保険に入っていれば、地震による被害も補償されます。

ニュースの読み方

報道を正しく受け取るための視点を示します。

「激甚災害に指定へ」が意味すること

この見出しを見たとき、次のように読んでください。

  • 被害が国の基準を超えるほど大きい
  • 自治体の復旧事業に、国の補助が上乗せされる
  • 中小企業が資金を借りやすくなる
  • 個人への給付が決まったわけではない

被害の規模を示す目安としては有用です。しかし、個人の支援を判断する材料にはなりません。

自分の市町村が対象かを確認する

局激の場合、対象は市町村単位です。同じ都道府県でも、指定される市町村とされない市町村があります。

事業を営んでいる方は、この点を確認してください。自治体の広報や公式サイトで公表されます。

指定は複数回に分かれます

ひとつの災害について、指定が段階的に行われることがあります。

早期に指定される分と、年末にまとめて指定される分があるためです。最初の発表で対象外でも、あとから加わることがあります。

私が北海道で感じていること

私は札幌に住んでいます。2018年の胆振東部地震では、全道が停電するブラックアウトを経験しました。

言葉だけが独り歩きします

災害のたびに、激甚災害という言葉が報道されます。しかし、中身を説明されることはあまりありません。

結果として、「指定されればお金がもらえる」という漠然とした印象だけが残ります。

実際に相談を受けたときにも、指定の発表を待って手続きを始めていない方がいました。その間に、できたはずのことがあったのです。

制度は分かれています

日本の災害支援は、複数の法律に分かれています。ひとつの制度がすべてを担うわけではありません。

複雑で分かりにくいのは事実です。しかし、分かれているからこそ、指定を待たずに動ける部分があります。

「激甚災害に指定されなかったから何もない」ではなく、「自分が使える制度は何か」と考えてください。

窓口で聞くのが最短です

制度の全体を個人が把握するのは、現実的ではありません。私自身も、すべてを暗記しているわけではありません。

大切なのは、相談する場所を知っていることです。市区町村の窓口、社会福祉協議会、弁護士会の無料相談。ここに行けば、使える制度を教えてもらえます。

この記事で覚えていただきたいのは、制度の細部ではありません。「指定を待たずに窓口へ行く」という一点です。

2018年に見えたこと

胆振東部地震のあと、道内の多くの市町村が支援の対象になりました。

しかし住民の側から見れば、その事実がどう自分に関わるのかは分かりにくいものでした。道路が直る、水道が復旧する。目に見える形になるまでには時間がかかります。

制度は確かに動いていました。ただ、それを実感できるのは、生活が落ち着いてからだったのです。

知識は不安を減らします

制度の名前を知っていても、被害が減るわけではありません。

それでも、知っている意味はあります。「指定されなかったから見捨てられた」と誤解せずに済むからです。

災害後は、正確でない情報が広がりやすい時期でもあります。制度の輪郭を知っていれば、振り回されずに済みます。

寒冷地では復旧に時間がかかります

北海道で考えておきたいのが、冬季の復旧です。

凍結期には土木工事が難しくなります。雪が積もれば、被害の確認すら進みません。

結果として、復旧が春まで持ち越されることがあります。制度が動いていても、現場の作業には季節の制約があるのです。

よくある質問

Q. 激甚災害に指定されると個人にお金が入りますか

A. 入りません。この制度は、自治体の復旧事業への補助、農林水産業への支援、中小企業の資金繰り支援が中心です。個人が受け取る支援金は、被災者生活再建支援法という別の制度によるものです。

Q. 誰がどうやって指定するのですか

A. 内閣が政令を定めることで指定されます。各省庁が被害額を報告し、内閣府が気象庁と協議して範囲を確定し、内閣法制局が審査、中央防災会議が答申したうえで閣議決定されます。発生からおおむね1か月から2か月かかります。

Q. 本激と局激はどう違いますか

A. 本激は災害そのものを指定し、地域を限定しません。局激は市町村を単位として指定します。政令で定める事項も、局激では対象の市町村が加わります。

Q. 本激のほうが補助率は高いのですか

A. 高くありません。内閣府は、同じ法律にもとづく同じ措置であれば内容に差はないと説明しています。違うのは対象とする範囲であって、支援の中身ではありません。

Q. 早期指定とは何ですか

A. 被害の見込み額が基準を大きく上回ることが明らかな場合、査定の確定を待たずに指定する運用です。局地激甚災害についても本激と同じ時期に指定されます。自治体が早く復旧に着手できるようにするためです。

Q. 指定されるまで手続きを待つべきですか

A. 待たないでください。写真の撮影、罹災証明書の申請、保険会社への連絡、支払い猶予の相談。これらはすべて指定と関係なく進められます。特に写真は、時間が経つほど撮れなくなります。

Q. 指定されなければ支援金はもらえませんか

A. もらえます。被災者生活再建支援金の額は住宅の被害の程度で決まり、激甚災害の指定とは連動していません。「指定されなかったから何も受けられない」という理解は誤りです。

Q. 災害救助法とは何が違いますか

A. 時間軸が違います。災害救助法は発災直後の応急的な救助を行う制度で、避難所の設置や食料の供給などを都道府県が実施します。激甚災害は、その後の復旧段階を支える制度です。

Q. 自分の市町村が対象か知りたいのですが

A. 局激は市町村単位で指定されるため、同じ都道府県でも対象とそうでない市町村があります。自治体の広報や公式サイトで公表されますので、確認してください。

Q. あとから追加で指定されることはありますか

A. あります。ひとつの災害について、早期に指定される分と、年末にまとめて指定される分に分かれることがあります。最初の発表で対象外でも、あとから加わる可能性があります。

Q. どのくらいの被害で指定されますか

A. 被害額が自治体の財政規模に対してどれだけ大きいかで判断されます。単純な金額だけではありません。小さな自治体ほど、少ない被害額でも基準に達しやすくなります。財政力の弱い自治体を支える設計になっているためです。

Q. 犠牲者が多ければ指定されますか

A. 人的被害の大きさでは決まりません。基準は復旧事業の費用にもとづきます。制度の目的が復旧事業への財政支援だからです。犠牲者が出た災害でも、施設の被害が小さければ指定されないことがあります。

Q. どんな災害が対象になりますか

A. 地震、台風、豪雨、大雪、噴火、津波など、種類は問いません。被害の大きさが基準を満たすかどうかだけが判断材料になります。

Q. なぜこういう制度が作られたのですか

A. 以前は大きな災害のたびに、その都度特別な法律を作って対応していました。それでは時間がかかります。あらかじめ基準と措置を定めておき、条件を満たせば適用する仕組みに切り替えたのが激甚災害法です。

Q. 個人が支援を探すにはどうすればよいですか

A. まず市区町村の窓口です。大きな災害では被災者支援の相談窓口が設けられ、まとめて相談できます。次に自治体の広報や公式サイト、社会福祉協議会、弁護士会の無料相談、そして契約している保険会社の順で確認してください。

Q. 事業をしています。何を確認すべきですか

A. 中小企業向けの信用保険の特例が適用されるかどうかです。保証を受けやすくなり、資金を借りられる可能性が上がります。商工会議所や自治体の産業担当部署に相談してください。

まとめ

激甚災害について、要点を整理します。

  • 被害が特に大きい災害を国が指定し、復旧の財政支援を手厚くする制度
  • 根拠となるのは激甚災害法
  • 指定は内閣が政令を定めることで行われる
  • 発生から指定まで、おおむね1か月から2か月
  • 支援の対象は自治体、農林水産業、中小企業
  • 個人への直接の給付はない
  • 本激は災害そのもの、局激は市町村を単位として指定する
  • 本激と局激で、同じ措置なら補助の内容に差はない
  • 本激で適用された措置が、局激として重ねて適用されることはない
  • 基準を大きく超える場合は早期に指定される運用がある
  • 個人の支援金は被災者生活再建支援法という別の制度
  • 指定の有無で支援金の額は変わらない
  • 指定を待たず、写真の撮影と罹災証明書の申請を進める

激甚災害という言葉は、災害の大きさを示す指標として広く使われています。しかし、その中身が正しく伝わっているとは言えません。

最も避けたいのは、指定の発表を待って手続きを止めてしまうことです。個人が使える制度は、指定とは別に動いています。

今日できることをひとつ挙げます。お住まいの市区町村が、被災者支援の窓口をどこに置く方針かを調べてみてください。多くの自治体が地域防災計画で定めています。行き先が分かっていれば、いざというときに迷いません。

制度の名前を覚える必要はありません。困ったときに聞ける場所を知っている。それだけで十分です。

そして事業をされている方は、取引のある金融機関に、災害時の相談窓口があるかを一度確認しておいてください。平常時に聞いておけば、いざというときの動きが早くなります。

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この記事を書いた人

北海道札幌市在住の防災・サバイバル情報発信者です。2018年の北海道胆振東部地震を機に「誰でも今日から始められる防災」をモットーに活動を開始し、実際に試した防災グッズのレビューや家族構成別の備え方をわかりやすくお伝えしています。実践的で信頼できる情報を提供できるよう、がんばっています!

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