【この記事の要約】
四国には日本最大級の活断層である中央構造線断層帯が東西に走っています。地震調査研究推進本部は、四国地域で今後30年以内にマグニチュード6.8以上の地震が発生する確率を9〜15パーセントと評価しています。四国は南海トラフ地震の想定震源域にも重なるため、二重のリスクを抱えた地域です。この記事では、四国の活断層の特徴、発生確率の読み方、そして今すぐできる備えを解説します。
【この記事の信頼性について】この記事は、防災士資格を持つ私が、地震調査研究推進本部(地震本部)の長期評価をもとに執筆しています。地震の発生確率は評価の更新によって変わります。最新の数値は地震本部の公式発表をご確認ください。
結論から先に言うと、四国は活断層と南海トラフという二つの地震リスクを同時に抱える地域です。
南海トラフ地震に注目が集まりがちですが、内陸の活断層による直下型地震も見過ごせません。揺れ方も、備え方も異なります。
私は防災士として、四国にお住まいの方には「南海トラフだけを想定した備え」では不十分だとお伝えしています。この記事では、四国の活断層について整理していきます。
四国を横断する中央構造線断層帯
四国で最大規模の活断層が、中央構造線断層帯です。
同じように区間ごとに評価されている例として、熊本県の日奈久断層帯とは?割れ残った2区間と30年確率、熊本で警戒すべき理由があります。2016年の地震で一部だけが動き、南側の区間が残っている状態です。
四国を東西に横断する形で走っており、徳島県から愛媛県にかけて、島を大きく二分するように延びています。日本列島を縦断する巨大な断層系の一部であり、その規模は国内最大級です。
この断層帯は複数の区間に分かれており、区間ごとに地震の規模と発生確率が評価されています。
断層帯が「区間」に分かれる理由
長大な活断層は、全体が一度に動くとは限りません。過去の活動履歴や地形の特徴から、まとまって動く可能性が高い範囲ごとに区切って評価されます。
これを起震断層の区間分けと呼びます。区間ごとに評価することで、より現実的な地震像を描けるようになります。
地震調査委員会による四国地域の評価
地震調査研究推進本部は、四国地域の活断層について地域評価を公表しています。
それによると、四国地域で今後30年以内にマグニチュード6.8以上の地震が発生する確率は、9〜15パーセント(中央値10パーセント)と評価されています。
この数字だけを見ると、低く感じるかもしれません。ですが、その受け止め方には注意が必要です。
発生確率の数字をどう読むか
ここが最も誤解されやすいところです。
活断層の地震は、発生間隔が数千年から数万年と非常に長いのが特徴です。そのため30年間という短い期間で切り取ると、確率は小さな数字になります。
比較のために、日常のリスクと並べてみます。
| 出来事 | 30年間で遭遇する確率の目安 |
|---|---|
| 四国でM6.8以上の内陸地震 | 9〜15パーセント |
| 火災で罹災する | 1〜2パーセント程度 |
| 交通事故で負傷する | 20パーセント程度 |
火災保険に入る方は多いはずです。四国の内陸地震は、火災に遭う確率より高いということになります。数字の絶対値ではなく、他のリスクとの比較で捉えると実感がつかめます。
「0パーセントに近い」区間もある
中央構造線断層帯の各区間を見ると、30年確率が0〜0.4パーセントとされている区間もあります。
これは「安全」という意味ではありません。直近で活動したばかりで、次までの時間がまだ経過していないという意味です。時間が経てば確率は上がっていきます。
活断層型地震と南海トラフ地震の違い
四国のリスクを理解するには、この2つの違いを知っておく必要があります。
| 項目 | 活断層型(直下型) | 南海トラフ(海溝型) |
|---|---|---|
| 震源の深さ | 浅い(10〜20キロ程度) | 比較的深い |
| 揺れの特徴 | 局地的だが激しい | 広範囲で長時間 |
| 津波 | 基本的に発生しない | 大津波のおそれ |
| 発生間隔 | 数千〜数万年 | 100〜200年程度 |
| 予測のしやすさ | 難しい | 比較的研究が進む |
南海トラフ地震は津波対策が中心になります。一方、活断層型地震は建物の倒壊と家具の転倒が主なリスクです。備え方の重点が変わります。
直下型は逃げる時間がない
活断層型地震の最大の特徴は、震源が浅く、揺れが突然襲ってくることです。
緊急地震速報が間に合わないこともあります。事前の警報に頼れないため、揺れが来る前の備え、つまり住宅の耐震化と家具固定が決定的に重要になります。
四国が抱える二重のリスク
四国は、南海トラフ地震の想定震源域に面しています。同時に、内陸には中央構造線断層帯が走っています。
つまり、海からの巨大地震と、足元からの直下型地震の両方に備える必要がある地域です。
沿岸部では津波対策が優先されますが、内陸部では建物の耐震性が最優先になります。同じ四国でも、住んでいる場所によって備えの重点が変わることを理解しておいてください。
大地震の後に活断層の活動が高まる可能性
専門家からは、南海トラフのような巨大地震の前後に、内陸の活断層の活動が活発化する可能性が指摘されています。
プレートの動きによって内陸にたまったひずみが、巨大地震をきっかけに解放されるという考え方です。過去の南海地震の前後に、内陸で被害地震が起きた記録も残っています。
ただし、これは確定した予測ではありません。あくまで注意すべき可能性として受け止め、日頃の備えにつなげることが大切です。
自宅が活断層の上にあるか調べる方法
活断層の位置は、公的機関のウェブサイトで確認できます。
産業技術総合研究所の「活断層データベース」や、国土地理院の「都市圏活断層図」で、断層線の位置を地図上で見ることができます。国土交通省の「重ねるハザードマップ」でも一部確認できます。
自宅の真上を断層が通っている場合、地表がずれることによる直接的な被害を受ける可能性があります。
断層から離れていれば安全か
断層の真上でなければ安全、というわけではありません。
マグニチュード7クラスの地震が起きれば、震源から数十キロ離れた場所でも強い揺れに見舞われます。地盤が軟弱な場所では、揺れがさらに増幅されます。
断層の位置は参考情報のひとつとして捉え、地盤の状況や建物の耐震性とあわせて総合的に判断してください。
今すぐできる備え
活断層型地震に対して最も効果が高いのは、住宅の耐震化です。
1981年6月以前に建築確認を受けた建物は、旧耐震基準で建てられています。この時期の木造住宅にお住まいの場合は、耐震診断を受けることを強くおすすめします。
多くの自治体が、耐震診断や耐震改修に補助金を用意しています。四国各県・各市町村でも制度が整備されていますので、お住まいの自治体の窓口で確認してみてください。
家具の固定は最優先
直下型地震では、揺れが始まってから身を守る余裕がほとんどありません。
寝室に背の高い家具を置かない、置く場合は必ず固定する。この対策だけで、就寝中に被災した際の危険を大きく減らせます。費用も数千円から始められます。
中央構造線断層帯の主な区間
四国を通る中央構造線断層帯は、いくつかの区間に分けて評価されています。
| 区間 | 想定される地震規模 | 30年確率 |
|---|---|---|
| 讃岐山脈南縁−石鎚山脈北縁東部 | M8.0程度 | 0〜0.4パーセント |
| 石鎚山脈北縁(岡村断層) | M7.3〜8.0程度 | 0〜0.4パーセント |
個々の区間の確率は低く見えますが、四国全体としてM6.8以上が起きる確率は9〜15パーセントと評価されています。区間ごとの数字と地域全体の数字は、意味が異なる点に注意してください。
なぜ地域評価が導入されたのか
個別の断層ごとの確率だけでは、地域のリスク全体が伝わりにくいという課題がありました。
そこで地震本部は、地域単位でまとめた評価を公表するようになりました。四国地域の9〜15パーセントという数字は、この地域評価によるものです。住民が自分の地域のリスクを把握しやすくするための工夫だと理解してください。
四国の地形と活断層の関係
中央構造線は、四国の地形そのものを形づくってきました。
断層を境に、北側は讃岐山脈などのなだらかな地形、南側は四国山地の険しい地形と、地質が大きく異なります。吉野川が東西にまっすぐ流れているのも、断層に沿って侵食が進んだためです。
身近な地形の成り立ちを知ると、活断層が遠い存在ではないことが実感できます。毎日見ている景色そのものが、断層の活動の産物なのです。
地表で断層を見られる場所もある
四国には、中央構造線の露頭(地層が地表に現れている場所)を観察できるスポットがあります。
整備された見学施設もあり、異なる種類の岩石が接している境界を実際に見ることができます。教科書の図では分かりにくい断層の姿を、目で確かめられる貴重な機会です。
お住まいの近くにこうした場所があれば、家族で訪れてみるのも防災学習になります。地質という長い時間の視点に触れると、備えの必要性が自然に理解できます。
断層沿いは平野になりやすい
断層に沿った場所は、地盤が削られて平地になりやすい傾向があります。そのため、人が住みやすく、市街地が形成されてきました。
結果として、断層の近くに人口が集中しているという構図があります。四国に限らず、日本各地で見られる特徴です。
耐震基準の変遷を知っておく
| 時期 | 基準 | 特徴 |
|---|---|---|
| 1981年5月以前 | 旧耐震基準 | 震度5程度を想定 |
| 1981年6月以降 | 新耐震基準 | 震度6強〜7でも倒壊しない設計 |
| 2000年6月以降 | 2000年基準 | 木造の接合部・地盤調査が強化 |
過去の地震では、旧耐震基準の建物に被害が集中する傾向が繰り返し確認されています。ご自宅の建築時期を確認しておいてください。
マグニチュードと震度の違い
地震の話では、マグニチュードと震度という2つの言葉が出てきます。混同されやすいので整理しておきます。
| 用語 | 意味 | 特徴 |
|---|---|---|
| マグニチュード | 地震そのものの規模 | 1回の地震につき1つの値 |
| 震度 | 各地点での揺れの強さ | 場所ごとに異なる |
マグニチュードは電球の明るさ、震度はその光が届いた場所での明るさに例えられます。同じ地震でも、震源に近ければ震度は大きく、遠ければ小さくなります。
マグニチュードは1増えると約32倍
マグニチュードは対数で表されるため、数値が1大きくなるとエネルギーは約32倍になります。2大きくなると約1,000倍です。
四国で想定されているM8.0級は、M7.0の約32倍のエネルギーを持つ地震という意味になります。数字の小さな差が、実際には大きな違いを表しています。
活断層とは何か、あらためて整理する
活断層とは、過去に繰り返し動いてきて、これからも動く可能性がある断層のことです。
地下の岩盤には、プレートの動きによって常に力が加わっています。この力に耐えきれなくなった岩盤が、ある面に沿って急激にずれる。この現象こそが地震であり、ずれた面が断層です。
おおむね数十万年以内に繰り返し活動した証拠がある断層が、活断層として扱われています。
断層のずれ方には種類がある
| 種類 | 動き方 |
|---|---|
| 横ずれ断層 | 水平方向に食い違う |
| 逆断層 | 片側がのし上がる(押される力) |
| 正断層 | 片側がずり落ちる(引っ張られる力) |
中央構造線断層帯は、主に右横ずれの性質を持つ断層として知られています。地表では、川の流路が断層を境にずれている様子が確認できる場所もあります。
活断層の調査方法
活断層の評価は、どのように行われているのでしょうか。
研究者は、断層を横切る溝を掘って地層の断面を観察する「トレンチ調査」という手法を使います。地層のずれ方から、過去にいつ、どのくらいの規模で動いたかを読み取ります。
この調査で得られた活動履歴から、平均的な活動間隔を割り出し、最後の活動からの経過時間と組み合わせて発生確率が計算されています。
確率には幅がある理由
四国地域の評価が9〜15パーセントと幅を持っているのは、調査データに不確かさがあるためです。
数千年前の出来事を地層から読み解くため、年代の推定には誤差が伴います。この誤差を正直に反映した結果が、幅のある表示になっています。「正確に分からないから幅がある」と理解しておいてください。
県別に見た四国の地震リスク
四国4県は、それぞれ地理的な条件が異なります。重点的に備えるべき内容も変わってきます。
| 県 | 主なリスク | 備えの重点 |
|---|---|---|
| 徳島県 | 中央構造線が県内を横断/南海トラフの津波 | 耐震化と津波避難の両方 |
| 愛媛県 | 中央構造線が県内を横断/瀬戸内側の揺れ | 住宅の耐震化・家具固定 |
| 高知県 | 南海トラフ津波の影響が大きい | 津波避難路・高台への移動 |
| 香川県 | 中央構造線の南側に近接 | 耐震化・ため池の安全確認 |
お住まいの地域がどのタイプに当てはまるかを把握したうえで、備えの優先順位を決めてください。
同じ県内でも差がある
県単位で見るのはあくまで目安です。実際には、同じ市町村内でも地盤の違いによって揺れやすさが変わります。
自治体が公開している揺れやすさマップを確認すると、より具体的なリスクが見えてきます。川沿いの低地や埋め立て地では、周囲より揺れが大きくなる傾向があります。同じ町内でも条件が変わるため、ご自宅の位置で確認してください。
備蓄は「孤立」を想定する
四国の内陸部では、山間地域が広がっています。直下型地震で道路が寸断されると、集落が孤立するおそれがあります。
南海トラフ地震が発生すれば、四国全体が被災地となり、外部からの支援がすぐには届きません。この点は、他地域より長めの備蓄が必要になる理由です。
一般的な目安は3日分ですが、四国では1週間分を目標にしておくと安心です。
| 品目 | 1人あたり1週間分の目安 |
|---|---|
| 飲料水 | 21リットル(1日3リットル) |
| 主食 | 21食分 |
| 簡易トイレ | 35回分 |
| カセットボンベ | 6〜9本 |
一度に揃えるのは大変です。買い物のたびに少しずつ買い足す方法なら、負担を抑えて準備できます。まずは水と主食から始めて、少しずつ品目を増やしていくとよいでしょう。
水の確保が最優先
断水は、地震被害のなかでも復旧に時間がかかる項目です。人は水がなければ数日ももちません。
ペットボトルの備蓄に加えて、風呂の残り湯をためておく習慣も有効です。飲用には使えませんが、トイレを流す生活用水として役立ちます。
また、給水車が来たときに水を運ぶための容器も必要です。ポリタンクや給水袋を用意しておくと、いざというときに困りません。台車やキャリーカートがあると、運搬の負担を大きく減らせます。
過去に四国で起きた内陸地震
四国では、南海地震の記録が有名ですが、内陸の地震も発生しています。
歴史記録をたどると、中央構造線沿いで被害をもたらした地震の記述が残されています。ただし活断層の地震は発生間隔が長いため、人の一生や数世代の記憶では捉えきれません。
「経験したことがない」ことと「起きない」ことは違います。地質学的な時間軸で見れば、繰り返し起きてきた現象なのです。
地盤の揺れやすさを調べる
同じ地震でも、地盤によって揺れの強さは大きく変わります。
やわらかい沖積層が厚い平野部では、揺れが増幅されます。逆に固い岩盤の上では、揺れが比較的小さくなります。
防災科学技術研究所の「地震ハザードステーション(J-SHIS)」では、地盤の揺れやすさや、想定される震度を地図で確認できます。住所を入力するだけで見られるので、一度確認しておくことをおすすめします。
造成地にも注意
丘陵地を切り開いた造成地では、盛土部分と切土部分で揺れ方が異なります。盛土側で地盤が変形し、住宅に被害が出ることがあります。
大規模な盛土造成地の分布は、多くの自治体がマップとして公開しています。あわせて確認しておくと安心です。
直下型地震で何が起きるか
震源が浅い直下型地震では、いくつか特有の現象が起こります。
まず、初期微動(P波)と主要動(S波)の時間差がほとんどありません。「ぐらっ」と来た瞬間には、すでに強い揺れが始まっています。
また、下から突き上げるような上下動が強く出ることがあります。家具が跳ね上がる、床に置いたものが浮くといった現象も報告されています。
緊急地震速報が間に合わない
緊急地震速報は、震源に近い観測点のデータをもとに、遠くの地域へ警報を届ける仕組みです。
震源の真上付近では、警報が届く前に強い揺れが到達してしまいます。これを「直下型の限界」と呼ぶことがあります。速報に頼れないからこそ、事前の備えが決定的に重要になります。
揺れたときにどう動くか
強い揺れを感じたら、まず身を守ることが最優先です。
丈夫なテーブルの下に入り、脚をしっかり持つ。テーブルがない場合は、頭を守りながら家具のない場所へ移動する。慌てて外へ飛び出すのは危険です。
揺れが収まってから、火の始末と出口の確保を行います。地震直後にドアが変形して開かなくなることがあるため、揺れが落ち着いたら早めに玄関を開けておくと安心です。
就寝中に揺れた場合
直下型地震は時間帯を選びません。深夜に発生すれば、多くの人が就寝中に被災します。
枕元に懐中電灯とスリッパ、笛を置いておくと、暗闇でガラス片を踏むリスクを減らせます。就寝中の対策は、家具固定とあわせて優先度の高い備えです。
火災への備えも忘れずに
大地震では、揺れによる被害に加えて火災が発生します。特に木造住宅が密集した地域では、延焼のリスクが高まります。
感震ブレーカーを設置しておくと、揺れを感知して自動的に電気を遮断できます。停電が復旧した際に発生する通電火災を防ぐ効果があり、不在時にも機能します。
数千円から設置できるタイプもあり、費用対効果の高い対策のひとつです。自治体によっては購入費用の補助を行っている場合もありますので、あわせて確認してみてください。
耐震診断と改修の進め方
旧耐震基準の住宅にお住まいの場合、次の順で進めるのが一般的です。
- 自治体の窓口で補助制度を確認する
- 耐震診断を受ける(多くの自治体で補助あり)
- 診断結果をもとに改修計画を立てる
- 補助金を申請し、改修工事を実施する
費用面がネックになりがちですが、補助制度を使えば自己負担を大きく減らせます。まずは診断だけでも受けてみることをおすすめします。
部分的な耐震化という選択肢
建物全体の改修が難しい場合、寝室だけを補強する「耐震シェルター」や「防災ベッド」という方法もあります。
就寝中の圧死を防ぐという一点に絞れば、費用を抑えつつ効果を得られます。自治体によっては、これらにも補助制度があります。建物全体の改修が難しいからと諦めず、できる範囲から手をつけることが大切です。
家族での話し合いを済ませておく
直下型地震は前触れなく発生します。家族がばらばらの場所にいるときに起きる可能性のほうが高いはずです。
安否確認の方法、集合場所、避難先を、あらかじめ決めておいてください。災害用伝言ダイヤル(171)の使い方も、家族全員で確認しておくと安心です。
電話は輻輳してつながりにくくなりますが、災害用伝言板やメッセージアプリは比較的つながりやすい傾向があります。複数の手段を用意しておくことをおすすめします。
子どもの学校との取り決め
子どもが学校にいる時間帯に被災した場合の引き渡しルールを、事前に確認しておいてください。
学校で待機するのか、保護者が迎えに行くのか。ルールを知らないまま迎えに向かうと、行き違いになることがあります。
地震保険という選択肢
建物の耐震化とあわせて検討したいのが、地震保険です。
地震による建物・家財の損害は、火災保険だけでは補償されません。地震保険は火災保険とセットで契約する必要があります。
保険金額は火災保険の30〜50パーセントの範囲という上限がありますが、生活再建の資金として大きな支えになります。公的な被災者生活再建支援金だけでは、住宅の再建費用をまかなうのは困難です。
耐震性能による割引がある
地震保険には、建築年割引や耐震等級割引といった制度があります。耐震改修を行うと、保険料の面でもメリットが得られる場合があります。
耐震化を検討する際は、保険料の変化もあわせて確認してみてください。
地域とのつながりを大切にする
大規模災害の直後は、公的な救助がすぐには届きません。過去の地震では、救助された人の多くが家族や近隣住民によって助け出されたという記録があります。
自主防災組織への参加、地域の防災訓練への参加は、いざというときの助け合いにつながります。顔を知っている関係があるかどうかで、救助の初動が変わります。どの家にどんな方が住んでいるかを把握しておくことが、支援が必要な方の見落としを防ぎます。
確率を「自分ごと」にするために
私が防災の話をするとき、確率の数字だけを伝えても行動につながりにくいと感じています。
9〜15パーセントという数字は、100人のうち10人程度が30年以内にその地震を経験するという意味でもあります。あるいは、生まれてから30歳になるまでの間に、10回に1回は起きる出来事だと言い換えることもできます。
抽象的な数字を、自分の生活の時間軸に置き換えてみる。そうすると、備えを先送りしていい理由がないことが見えてきます。
「起きてから考える」では間に合わない
地震は、備える時間を与えてくれません。台風なら数日前から準備できますが、直下型地震は突然です。
家具を固定する、耐震診断を申し込む、備蓄を買い足す。どれも平常時にしかできないことです。今日できることを、今日のうちに一つ進めておいてください。
四国以外にお住まいの方へ
中央構造線断層帯は四国だけの話ではありません。九州から近畿、中部地方へと続く、日本列島を横断する巨大な断層系です。
また、日本には約2,000の活断層が確認されています。「自分の地域に活断層はない」と思っていても、未発見の断層が存在する可能性もあります。
この記事で紹介した確率の読み方や、耐震化・家具固定の考え方は、どの地域にお住まいの方にも当てはまります。ぜひ、ご自身の地域の評価も確認してみてください。
よくある質問
Q. 30年で9〜15パーセントは低い数字ではないですか?
A. 活断層の地震は発生間隔が数千年単位のため、30年で切り取ると小さな数字になります。ただし火災で罹災する確率より高く、決して無視できる水準ではありません。
Q. 中央構造線断層帯が動くとどのくらいの地震になりますか?
A. 区間によって異なりますが、マグニチュード7.3から8.0程度の規模が想定されている区間があります。内陸の浅い場所で発生するため、震源近くでは非常に強い揺れになります。
Q. 活断層の上に住んでいたら引っ越すべきですか?
A. 必ずしもそうではありません。まずは建物の耐震性を確認し、必要に応じて耐震改修や家具固定を進めるほうが現実的です。
Q. 南海トラフ地震だけ備えれば十分ではないですか?
A. 不十分です。南海トラフは津波、活断層型は建物倒壊が主なリスクで、備えの重点が異なります。両方を想定しておく必要があります。
Q. 活断層の位置はどこで確認できますか?
A. 産業技術総合研究所の活断層データベース、国土地理院の都市圏活断層図で確認できます。自治体のハザードマップにも記載されている場合があります。
Q. 活断層がない地域なら地震は起きませんか?
A. そうとは限りません。日本には未発見の活断層も存在すると考えられており、過去には活断層が知られていない場所で大地震が発生した例もあります。どの地域でも備えは必要です。
Q. 地震の予知はできるのですか?
A. 現時点で、日時を特定する地震予知は実用化されていません。長期評価による確率は示されますが、「いつ起きるか」を当てるものではありません。「〇月〇日に地震が来る」という情報は根拠のないデマの可能性が高いと考えてください。
Q. 耐震診断はいくらくらいかかりますか?
A. 木造住宅で数万円程度が目安ですが、多くの自治体が補助制度を設けており、自己負担が数千円で済む場合や無料になる場合もあります。まずはお住まいの自治体にご確認ください。
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まとめ
四国には中央構造線断層帯という国内最大級の活断層が東西に走っています。地震本部の評価では、30年以内にマグニチュード6.8以上の地震が発生する確率は9〜15パーセントです。
この数字は、火災で罹災する確率よりも高い水準です。低いと感じるかもしれませんが、備えを先送りしてよい根拠にはなりません。
四国は南海トラフ地震のリスクも抱えています。津波への備えに加えて、直下型地震に対する住宅の耐震化と家具固定を、ぜひ進めておいてください。
確率の数字は、行動を促すために示されているものです。低いから安心するのではなく、限られた時間のなかで何を優先するかを考える材料として使ってください。まずは自宅の建築年を確認する、寝室の家具を一つ固定する。そこから始められます。
この記事が、四国の地震リスクを正しく理解するきっかけになれば嬉しいです。


