【この記事の要約】
結論から言います。同じタオルが、目的によって正反対の働きをします。保冷剤や凍らせたペットボトルを長持ちさせたいなら、厚く巻いてください。タオルのふわふわの中には空気がたくさん入っていて、その空気の層が熱を遮ります。けれど体を早く冷やしたいときに厚く巻くと、いつまでも冷えません。このときは薄手のタオル1枚です。そして直接肌に当てると凍傷になります。1枚は必ずはさんでください。さらに、タオルが濡れると断熱の効果は落ちます。水は空気より熱をよく伝えるからです。この記事では、その仕組みと、停電したときの冷蔵庫やクーラーボックスへの応用までまとめます。
結論|巻くか巻かないかは、目的で決まります
タオルの使い方で迷うのは、二つの目的が混ざっているからです。
| やりたいこと | 正しい使い方 | 理由 |
|---|---|---|
| 保冷剤を長持ちさせたい | 厚く巻く | 空気の層が、外の熱を遮ります |
| 体を早く冷やしたい | 薄手を1枚だけ | 厚いと、冷たさが体に届きません |
| 凍らせたペットボトルを持ち歩く | 厚く巻く | 溶けにくく、結露も受け止められます |
| 飲み物を冷たいまま運ぶ | 厚く巻く | 同じ理屈です |
| 肌に当てる | 必ず1枚はさむ | 直接当てると凍傷になります |
「冷やす」と「冷たさを保つ」は、別のことです。ここを分けて考えると、迷わなくなります。
ひとことで言えば
熱を通したくないなら、厚く。熱を通したいなら、薄く。
タオルは、熱の通り道をふさぐ道具です。ふさぎたいのか、通したいのか。それだけを考えてください。
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なぜタオルを巻くと、冷たさが長持ちするのか
ここが、この記事のいちばん面白いところです。
熱の伝わり方には、三つあります
保冷剤が溶けるのは、外の熱が入ってくるからです。その熱の入り口が、三つあります。
一つめは、伝導です。物どうしが触れて、熱が直接伝わることです。
二つめは、対流です。空気が動いて、熱を運んでくることです。
三つめは、放射です。触れていなくても、赤外線として熱が届くことです。
タオルは、この三つを同時にふさぎます。だから効きます。
空気は、熱を伝えにくい物質です
タオルがふわふわしているのは、繊維のあいだにたくさんの空気を含んでいるからです。
そして空気は、とても熱を伝えにくい物質です。金属や水と比べると、けた違いに伝えません。
つまり、タオルを巻くというのは、保冷剤のまわりに「空気の壁」を作ることです。断熱材と同じ働きをしています。
動かない空気であることが、大事です
ここが、少し込み入ったところです。
空気は熱を伝えにくいのですが、動いてしまうと熱を運びます。扇風機の風で涼しく感じるのは、空気が動いて熱を運び去るからです。
タオルの中の空気は、繊維に囲まれて動けません。だから、熱を運ぶことができません。
「たくさんの空気を、動かないように閉じ込める」。これが断熱の正体です。
だから、ふわふわで乾いたタオルが効きます
ここから、実用的な結論が出ます。
一、ふわふわのタオルほど効きます。空気をたくさん含むからです。使い込んで薄くなったタオルは、効果が落ちます。
二、乾いたタオルを使ってください。これが、いちばん見落とされます。
水は、空気よりずっと熱をよく伝えます。濡れたタオルでは、せっかくの空気の層が水に置き換わってしまいます。
結露でタオルが濡れてきたら、取り替えるか、外側にもう1枚重ねてください。
ゆるく巻くのが、こつです
きつく巻くと、空気が押し出されます。空気が減れば、断熱の効果も減ります。
ふんわりと、空気を含ませたまま包む。これが正しい巻き方です。
冬に着るダウンジャケットが、押しつぶすと暖かくなくなるのと同じ理屈です。
体を冷やすときは、逆です
ここを間違えると、熱中症の応急処置が効かなくなります。
厚く巻いたら、冷えません
当たり前のことですが、意外に見落とされます。断熱するということは、冷たさも伝わらないということです。
体を冷やしたいのに厚いタオルで包んでしまうと、保冷剤は長持ちしますが、体は冷えません。目的と手段が逆になっています。
体を冷やすときは、薄手のタオルかハンカチを1枚だけ。これが正解です。
直接当ててはいけません
では、何も巻かなければいちばん冷えるのか。そうですが、やってはいけません。
凍った保冷剤を直接肌に当てると、凍傷になります。感覚がなくなってから気づくので、被害が大きくなります。
特に危ないのが、眠っている方、意識のはっきりしない方、高齢の方、小さなお子さんです。「冷たい」と言えないまま、皮膚が傷みます。
1枚はさむ。そして、ときどき外して皮膚の色を見る。これを守ってください。
冷やす場所は、三か所です
体を効率よく冷やすには、太い血管が皮膚の近くを通っているところを冷やします。
一、首の左右。
二、わきの下。
三、足の付け根。
血液が冷やされて全身を回るので、体全体の温度が下がります。おでこを冷やすのは、気持ちよくはなりますが、体温を下げる効果は高くありません。
熱中症の応急処置の全体は熱中症とは?完全ガイドにまとめました。
停電したときの冷蔵庫も、同じ原理です
ここから、防災の話になります。
開けないことが、最強の断熱です
停電したら、冷蔵庫を開けないでください。これがすべてです。
中の冷気は、いわば大きな「動かない空気の層」です。扉を開けるたびに、それが流れ出ていきます。
そして冷たい空気は下に、暖かい空気は上に動きます。だから、上開きの冷凍庫のほうが冷気が逃げにくいのです。
毛布で包むと、さらにもちます
冷蔵庫の外側を、毛布やタオルケットで包んでください。タオルを巻くのと、まったく同じ理屈です。
ただし放熱する部分をふさがないよう注意してください。停電中は問題ありませんが、電気が戻ったあともそのままにすると、冷えなくなります。
復旧したら、必ず外してください。
凍らせたペットボトルを、庫内に入れておく
ふだんから冷凍庫に凍らせた水を入れておくと、停電したときに保冷剤の代わりになります。
そして溶ければ、飲み水になります。一つで二つの役目を果たします。
入れる場所は、冷蔵室の上のほうです。冷たい空気は下に降りるので、上に置くほうが全体が冷えます。
夏の停電への備えは停電対策【夏編】にまとめています。
クーラーボックスを長持ちさせる
避難のときにも、日常でも使えます。
すき間を作らないでください
中が空いていると、そこの空気が動いて熱を運びます。対流が起きるからです。
だから、すき間にはタオルや新聞紙を詰めてください。これだけで、もちがはっきり変わります。
新聞紙が効くのも、くしゃくしゃにすると空気を含むからです。原理はタオルと同じです。
保冷剤は上に置きます
冷たい空気は下に降ります。だから、保冷剤を上に置くと、冷気が全体に行き渡ります。
下に置くと、冷気がそこにたまって上まで届きません。
置き場所と、開ける回数
日陰に置いてください。直射日光は、放射で熱を送り込みます。
車の中に置くなら、トランクより、日の当たらない足元のほうがましです。
そして開ける回数を減らすこと。冷蔵庫と同じです。飲み物用と食料用を分けると、開ける回数が減ります。
冬も、まったく同じ原理です
断熱に、夏も冬もありません。熱の出入りをふさぐという点で、同じです。
湯たんぽにタオルを巻く
お湯が冷めにくくなり、同時に低温やけどを防げます。保冷剤と凍傷の関係と、まったく同じ構図です。
直接肌に当てないでください。低温やけどは、熱いと感じない温度で、じわじわ起きます。
重ね着が暖かい理由
厚い服1枚より、薄い服を重ねたほうが暖かい。これも、服と服のあいだに空気の層ができるからです。
だから、きつい服を重ねても暖かくなりません。空気が入る余裕が要ります。
冬の停電への備えは停電対策【冬編】にまとめました。
段ボールが暖かい理由
避難所で床に段ボールを敷くのは、波形の内部に空気の層があるからです。
冷たい床から体温が奪われるのを防ぎます。これも同じ原理です。
一つの原理を知っておくと、道具がなくても代わりを思いつけます。これが、防災でいちばん役に立つ知識の形です。
身のまわりの断熱材は、みんな空気でできています
この仕組みが分かると、家じゅうの道具の意味が見えてきます。
共通しているのは、たった一つです
| もの | 空気をどう閉じ込めているか |
|---|---|
| タオル | 繊維のあいだの、細かいすき間 |
| ダウンジャケット | 羽毛が空気をかかえこむ |
| セーター・フリース | 毛羽立ちのあいだ |
| 発泡スチロール | 無数の小さな泡 |
| 段ボール | 波形の内部の空洞 |
| くしゃくしゃの新聞紙 | 紙と紙のあいだ |
| 複層ガラス(ペアガラス) | 2枚のガラスにはさまれた空気の層 |
| グラスウール(家の断熱材) | 細い繊維のあいだ |
| エアキャップ(気泡緩衝材) | 粒の一つひとつが空気 |
| 雪(かまくら) | 雪の粒のあいだの空気 |
どれも、素材そのものが優れているのではありません。空気をたくさん、動かないように抱え込む形をしているのです。
だからこそ、つぶれると効かなくなります。ぺしゃんこのダウン、水を吸った断熱材、押し固めた新聞紙。すべて同じ理由で効果を失います。
代わりを思いつけるようになります
これが、原理を知る最大の利点です。
保冷剤がない。それなら、凍らせたペットボトル。それもなければ、濡らしたタオルを風に当てる。
クーラーボックスがない。それなら、段ボール箱の内側にエアキャップを貼り、すき間に新聞紙を詰める。
毛布が足りない。それなら、服を重ねて着る。あいだに空気が入るように、ゆるめに。
床が冷たい。それなら、段ボールを敷く。新聞紙でも構いません。
災害のときに手に入るものは、いつも限られています。「動かない空気を閉じ込める」という一点で考えれば、代わりは必ず見つかります。
季節と場面ごとの、使い方
具体的な場面に落とします。
夏の外出|凍らせたペットボトルの持ち歩き
タオルを巻いて、かばんに入れてください。溶けるのが遅くなり、結露でかばんの中が濡れるのも防げます。
そして溶けた分から、少しずつ飲めます。凍らせるときは、8割ほどにしておいてください。満杯だと、凍って膨らんで容器が変形します。
炭酸飲料は凍らせないでください。破裂することがあります。
夏の車内|置き去りにしないこと
ここは、原理の話より優先してお伝えします。
夏の車内は、短時間で危険な温度に達します。「少しだけだから」で、子どももペットも命を落とします。
保冷剤を積んでいても、まったく足りません。エアコンを切って車を離れないでください。
停電の夜|冷凍庫を先に開けない
冷蔵室より、冷凍室のほうが長くもちます。凍った食品そのものが、大きな保冷剤になっているからです。
ですから、食べる順番は冷蔵室から。冷凍室は最後まで開けないでください。
そして溶けかけた冷凍食品は、その日のうちに火を通して食べてください。再冷凍はおすすめしません。
避難所|床からの冷えを断つ
体温を奪うのは、空気だけではありません。触れている床が、いちばん熱を奪います。伝導だからです。
だから、掛けるものより、敷くものを優先してください。段ボール、マット、毛布。まず下に敷きます。
これは冬だけの話ではありません。夏でも、夜の体育館の床は冷えます。
冬の寝室|湯たんぽの正しい使い方
タオルを巻いて、寝る前に布団へ入れてください。そして、寝るときには足元から少しずらします。
一晩中、同じ場所に触れていると低温やけどになります。44度ほどの温度でも、数時間当たり続ければ起こります。
眠っている人は、熱さを訴えられません。保冷剤の凍傷と、まったく同じ構図です。
この原理が効かない場面もあります
万能ではありません。限界も知っておいてください。
一、湿度が高いと、体は冷えません
汗が蒸発することで、体は熱を逃がしています。湿度が高いと、汗が蒸発せず、この仕組みが働きません。
ですから、気温が同じでも、湿度が高い日のほうが危険です。この考え方を数字にしたのが暑さ指数です。
詳しくは暑さ指数(WBGT)とは?をご覧ください。
二、断熱は「冷やす」ことではありません
何度でも申し上げます。タオルは、冷たさを作りません。あるものを保つだけです。
暑い部屋で保冷剤にタオルを巻いても、部屋は涼しくなりません。涼しくするには、エアコンか、風か、外の涼しい空気が要ります。
三、体調が悪いときは、冷やすだけでは足りません
ここは、いちばん大事な限界です。
意識がはっきりしない、呼びかけへの反応がおかしい、水を自分で飲めない。この状態は、冷やしながら救急車を呼ぶ場面です。
保冷剤で様子を見ていてよい段階ではありません。判断の線は熱中症とは?完全ガイドにまとめました。
なぜ溶けるときに、まわりが冷えるのか
もう一歩だけ、仕組みに踏み込みます。ここが分かると、なぜ氷が強力なのかが腑に落ちます。
氷は、溶けるあいだ0度のままです
不思議に思えますが、事実です。氷に熱を加えても、溶けきるまで温度は上がりません。
加えた熱は、温度を上げるのではなく、氷という固い形を壊して水にするために使われます。
つまり氷は、まわりから熱を吸い取りながら、自分は0度を保ち続けます。これが、氷が強力な理由です。
だから、溶けきるまでが勝負です
ここから、実用的な結論が二つ出ます。
一、溶けた水は、捨てないでください。クーラーボックスの中の冷たい水は、それ自体が冷たさを保っています。捨てると、そこに暖かい空気が入ります。
二、大きい塊のほうが長持ちします。細かい氷は表面積が大きく、早く溶けます。長く保ちたいなら、大きく凍らせてください。
逆に、早く冷やしたいときは細かい氷です。ここでも、目的で選び方が変わります。
汗も、同じ仕組みです
汗が蒸発するときも、体から熱を奪っていきます。液体が気体になるために、熱が要るからです。
だから、濡れたタオルを首に当てて風を送ると、よく冷えます。保冷剤がなくても使える方法です。
そして、これが湿度が高いと涼しくならない理由でもあります。空気がすでに水を含んでいると、汗が蒸発できません。
扇風機だけで乗り切ろうとするのが危険なのは、ここに理由があります。気温が体温を超えると、風は熱を運んでくる側に回ります。
子どもと高齢の方には、特別な注意が要ります
同じ方法が、同じように使えるとは限りません。
子どもは、暑さの影響を強く受けます
体が小さいぶん、外の温度の影響を受けやすくなります。そして、地面に近いほど照り返しを受けます。
ベビーカーの高さは、大人が感じている暑さとは違います。しゃがんで、その高さの空気を確かめてみてください。
保冷剤を使うときは、必ずタオルを1枚はさみ、様子を頻繁に見てください。子どもは「冷たすぎる」とうまく言えません。
高齢の方は、暑さを感じにくくなります
暑さやのどの渇きを感じる力が、年齢とともに弱くなります。本人が「暑くない」と言っても、体は限界に近いことがあります。
そして皮膚の感覚も鈍くなるため、凍傷にも低温やけどにも気づきにくくなります。
保冷剤も湯たんぽも、使ったら必ず時間を決めて確認してください。「本人が何も言わない」は、安全の根拠になりません。
ペットにも、同じ配慮を
犬や猫は、汗で体温を下げられません。ハアハアと呼吸することでしか、熱を逃がせない動物もいます。
タオルで包んだ保冷剤を、寝床のそばに置いてやると、自分で近づいたり離れたりして調節します。
直接触れさせないこと。そして、逃げられる場所を作っておくこと。これが大事です。
やってはいけないこと
まとめて挙げます。
| やってはいけない | 何が起きるか |
|---|---|
| 保冷剤を直接肌に当てる | 凍傷。感覚がなくなってから気づきます |
| 体を冷やすのに厚く巻く | いつまでも冷えません |
| 濡れたタオルで保冷剤を包む | 断熱の効果が落ちます |
| きつく巻く | 空気が抜けて、効果が減ります |
| 停電中に冷蔵庫を何度も開ける | 冷気が逃げます |
| 眠っている人に保冷剤を当てたまま放置 | 凍傷。訴えられません |
| 復旧後も冷蔵庫を毛布で包んだまま | 放熱できず、冷えなくなります |
冷やす道具を、どう選ぶか
売り場にはたくさん並んでいます。働き方の違いで整理すると、選べます。
四つのタイプがあります
| 種類 | 仕組み | 向いている場面 | 弱点 |
|---|---|---|---|
| 保冷剤・氷 | 溶けるときに熱を奪う | 体を冷やす。食品を保つ | 凍らせる手間。溶ける |
| 冷却シート(額に貼る) | 水分が蒸発する | 気持ちを落ち着ける | 体温はほとんど下がりません |
| 瞬間冷却パック | 叩くと化学反応で冷える | 電気も冷凍庫も要らない | 使い捨て。持続は短い |
| ネッククーラー(28度で凍る素材) | 常温近くで固まる | 長時間の外出 | 冷たさは穏やか |
冷却シートを、熱中症の応急処置と勘違いしないでください。額に貼っても、体の深いところの温度は下がりません。
冷やすべきは、首の左右、わきの下、足の付け根です。ここは変わりません。
停電を前提にすると、選び方が変わります
保冷剤は、冷凍庫がなければ作れません。停電が続けば、それも溶けます。
だから、備蓄としては瞬間冷却パックを何個か持っておくと安心です。電気がなくても、その場で冷たさを作れます。
ただし、これは応急のものです。数を持てるものではありません。本命は、涼しい場所へ移ることです。
いちばん確実なのは、涼しい場所へ移ることです
正直に申し上げます。道具でしのげる暑さには、限りがあります。
停電でエアコンが止まったら、公共施設や、涼しい場所へ移動することを考えてください。近年は、自治体が涼める場所を開放する取り組みも広がっています。
「家にいる」ことにこだわらないでください。これが、いちばん効く対策です。
今日、確かめておくこと
読んで終わりにしないための、五つです。
一、冷凍庫に、凍らせた水のペットボトルを2〜3本入れる。保冷剤にも、飲み水にもなります。今日できます。
二、乾いたフェイスタオルを、非常持ち出し袋に1枚足す。保冷にも、保温にも、けがの手当てにも使えます。
三、保冷剤の置き場所を、家族に伝える。倒れた人を冷やすのは、たいてい本人以外です。
四、段ボールを2〜3枚、平らにして取っておく。床の断熱に使えます。場所も取りません。
五、冷蔵庫の中身を、少し減らしておく。詰めすぎは冷えが悪くなり、逆に冷凍庫は詰まっているほうがもちます。
どれも、費用はほとんどかかりません。それでいて、暑い日と停電の日の両方に効きます。
持ち出し袋のタオルは、多用途です
タオルは、防災の道具として非常に守備範囲が広いものです。
保冷剤を包む。湯たんぽを包む。首に巻いて日よけにする。止血に使う。ほこりを吸わないよう口を覆う。枕にする。
かさばるのが難点ですが、1枚あるとないとでは、ずいぶん違います。
中身の考え方は非常持ち出し袋の中身にまとめました。
よくある質問
Q. 保冷剤は、どれを選べばよいですか
用途で分かれます。
体を冷やすなら、やわらかいタイプが体に沿います。首や、わきの下に当てやすくなります。
食品を冷やすなら、硬いタイプのほうが長持ちします。凍る温度が低い製品もあります。
そして、凍らせた水のペットボトルは、どちらにも使えて、最後は飲めます。備蓄としては、これがいちばん無駄になりません。
Q. アルミのシートは効きますか
効きます。ただし、効く相手が違います。
アルミが遮るのは、主に放射です。日差しや、まわりの物から届く赤外線をはね返します。
ですから、タオルで包んだうえに、さらにアルミのシートで覆うのがいちばん強くなります。伝導と対流をタオルが、放射をアルミが受け持ちます。
Q. 新聞紙とタオル、どちらが効きますか
くしゃくしゃにした新聞紙なら、遜色ありません。空気を含めるかどうかで決まります。
ぴったり平らに巻いた新聞紙は、あまり効きません。丸めて、ふんわりと詰めてください。
Q. 冷たさが長持ちすると、どのくらい違いますか
条件によって大きく変わるため、時間の数字は申し上げられません。気温、日差し、タオルの厚み、風の有無で変わります。
ただし、巻いたほうが長持ちすることは、確実です。そして、二つ重ねればさらに長くなります。
気になる方は、ご家庭で二つ用意して比べてみてください。同じ保冷剤を、巻いたものと巻かないもので置いておけば、違いはすぐ分かります。
Q. 停電したら、冷蔵庫の中身はどれくらいもちますか
これも条件次第です。開けなければ、しばらくは保たれます。
ただし、いったん温度が上がった食品は、戻しても安全とは限りません。においや見た目に不安があれば、食べないでください。
迷ったら捨てる。災害のあとに食中毒を起こすと、他のすべてが立ちゆかなくなります。
Q. 保冷バッグは、なぜ銀色なのですか
放射を反射するためです。日差しや、まわりの物から届く赤外線をはね返します。
そして内側には、発泡させた素材が入っています。こちらが空気の層をつくり、伝導と対流を止めます。
つまり保冷バッグは、三つの熱の入り口を、それぞれ別の素材で受け持っている道具です。タオルで包んで、その上からアルミで覆うのと、考え方は同じです。
Q. 保冷剤は、何度で凍っているのですか
製品によって違います。水と同じ0度で凍るものもあれば、それより低い温度で凍る製品もあります。
低い温度で凍るタイプほど、食品を冷たく保つ力は強くなります。そのぶん、肌に当てたときの凍傷の危険も上がります。
体を冷やす用と、食品用は分けて考えてください。パッケージの表示を見れば分かります。
Q. 停電に備えて、氷を大量に作っておくべきですか
作っておく価値はあります。ただし、製氷皿の細かい氷より、大きな塊のほうが長持ちします。
いちばん扱いやすいのは、ペットボトルや保存容器で凍らせた大きな氷です。溶けても水として使えます。
そして冷凍庫は、詰まっているほうが温度を保ちます。すき間に凍らせた水を入れておけば、それだけで停電に強くなります。
Q. タオルは、何枚くらい備えておけばよいですか
決まった数はありませんが、一人あたり2〜3枚あると困りません。
大判のバスタオルが1枚と、フェイスタオルが数枚。大判は敷く・包む・くるまるのに、小さいものは冷やす・拭く・巻くのに向きます。
新品でなくて構いません。むしろ、汚れてもよい古いタオルのほうが、災害時には気兼ねなく使えます。
Q. エアコンが使えないとき、いちばん効くのは何ですか
順番があります。効く順に並べると、こうなります。
一、涼しい場所へ移る。これに勝るものはありません。
二、風を通す。ただし、気温が体温を超えているときは風だけでは危険です。
三、濡らしたタオルを首に当て、風を送る。蒸発する力を使います。
四、保冷剤を、首・わきの下・足の付け根に当てる。薄手のタオルを1枚はさんで。
五、水分と塩分をとる。冷やすだけでは足りません。
そして、これらを試しても様子がおかしければ、迷わず119番です。
Q. 冷えピタで熱は下がりませんか
体の深いところの温度は、ほとんど下がりません。気持ちがよくなる効果はあります。
風邪で熱があるときに使うぶんには構いません。けれど、熱中症で倒れた人に貼って様子を見るのは、危険です。
そのときに必要なのは、太い血管を冷やすことと、涼しい場所へ移すことです。
Q. 夏の停電で、赤ちゃんをどう守ればよいですか
まず、涼しい場所へ移ることを最優先にしてください。道具でしのごうとしないでください。
移れないあいだは、保冷剤をタオルで包み、ベビーカーや布団のそばに置きます。直接触れさせないでください。
そして汗をこまめに拭き、水分をとらせてください。赤ちゃんは、暑さを言葉で伝えられません。機嫌、汗の量、おむつの濡れ方で判断してください。
まとめ
要点を並べます。
一、タオルのふわふわは、空気の層です。空気は熱を伝えにくいので、断熱材になります。
二、冷たさを保ちたいなら、厚く、ゆるく巻く。
三、体を冷やしたいなら、薄手のタオルを1枚だけ。厚く巻くと、いつまでも冷えません。
四、直接肌に当てないでください。凍傷になります。
五、濡れたタオルでは効きません。水は空気より熱を伝えます。
六、停電したら冷蔵庫を開けない。毛布で包めば、さらにもちます。
七、冬の湯たんぽも、重ね着も、段ボールも、同じ原理です。そして、どれも押しつぶすと効かなくなります。
防災の道具は、たくさんあります。けれど、原理を一つ知っているほうが、応用が利きます。
「動かない空気を、たくさん閉じ込める」。この一文を覚えておけば、道具がない場所でも、代わりを思いつけます。
この記事の内容は、特別な道具を必要としません。家にあるタオルと、冷凍庫の氷だけで実行できます。
防災というと、買いそろえる話になりがちです。けれど、いま持っているものを正しく使うほうが、先に効きます。
備え全体の順番は防災は何から始める?最初にやること8ステップにまとめています。


