災害が少ない県ランキング|海も活火山もないのは埼玉・滋賀・奈良、地震は住所で調べる

災害が少ない県ランキング|活火山111・活断層2,000本の日本で、比較的安全なのはどこか

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【この記事の要約】
「日本で一番災害が少ない県」を、一つの数字で決めることはできません。地震の起こりやすさは、同じ市の中でも地盤によって大きく変わるからです。そこでこの記事では、誰が調べても同じ答えになる事実で比べます。海がない(津波がない)、活火山がない、台風が上陸しない。この3つの条件を満たすのは、埼玉県・滋賀県・奈良県の3県です。海のない県は栃木・群馬・埼玉・山梨・長野・岐阜・滋賀・奈良の8県、活火山のない府県は21あります。台風の上陸が多いのは鹿児島県(45回)、高知県(26回)、和歌山県(25回)です(気象庁、1951年以降)。ただし、3県にも災害はあります。埼玉は大きな川の洪水、滋賀と奈良は活断層や南海トラフ地震の影響を受けます。地震の確率は、県ではなく自分の住所で調べてください。その方法も説明します。

地震・津波・台風・大雨・洪水・土砂災害・火山噴火。日本はこれだけ多様な自然災害のリスクを持つ国です。

それでも都道府県によってリスクの大きさは全く異なります。

移住先を検討している・テレワークで居住地を変えたい・老後の安全な場所に住みたいという方に向けて、この記事を書いています。

重要な前提として、日本に完全に安全な地域は存在しません。ある災害リスクが低い地域でも、別の災害リスクが高い場合があります。

この記事では、災害の種類別にリスクの低い都道府県を整理し、総合的な評価につなげます。

【この記事の信頼性について】
本記事は内閣府防災情報・気象庁・国土交通省ハザードマップポータル・国土交通省国土数値情報・産業技術総合研究所地質調査総合センター・内閣府南海トラフ地震対策・首都直下地震対策の公式データ・防災ベーシック編集部の独自分析をもとに作成しています。自然災害のリスク評価は年々更新されるため、最新データは各省庁の公式サイトで確認することを推奨します。

目次

結論|3つの条件で見ると、埼玉・滋賀・奈良

先に答えを書きます。

海がない(津波の心配がない)、活火山がない、台風が上陸しない。
この3つを満たす県は、埼玉県・滋賀県・奈良県の3県です。
ただし、地震と大雨はどの県でも起きます。3県にもそれぞれの弱点があります。

「一番少ない県」を一つに決めない理由は、次の節で説明します。先に表で全体を見てください。

海のない8県と、活火山・台風の上陸

県 海(津波) 活火山 台風の上陸 気をつけたい災害
埼玉県 なし なし 0回 荒川・利根川の洪水、首都直下地震
滋賀県 なし なし 0回 琵琶湖西岸断層帯などの活断層、南海トラフ地震
奈良県 なし なし 0回 南海トラフ地震、紀伊山地の土砂災害
栃木県 なし あり(那須岳、日光白根山など) 0回 火山、大雨
群馬県 なし あり(浅間山、草津白根山など) 0回 火山、大雪
山梨県 なし あり(富士山) 0回 富士山の噴火、南海トラフ地震
長野県 なし あり(浅間山、御嶽山など) 0回 火山、活断層、土砂災害
岐阜県 なし あり(御嶽山、焼岳、白山など) 0回 火山、活断層、大雨

活火山は気象庁の111火山の一覧をもとに、山頂や主な範囲がある県に割り当てています。台風の上陸は、台風の中心が海岸線に達した場所で数えるため、海のない県は数え方の上で0回になります。

「上陸0回」は、台風の影響がないという意味ではありません。上陸した台風は内陸まで進み、大雨と強い風をもたらします。海のない県でも、台風による大雨の被害は起きています。表の「0回」は、あくまで「海岸に上陸していない」という意味です。

活火山がない21府県

気象庁が指定する活火山は全国に111あります。それが1つもない府県は、次の21府県です。

茨城、埼玉、千葉、福井、愛知、三重、滋賀、京都、大阪、兵庫、奈良、和歌山、鳥取、岡山、広島、徳島、香川、愛媛、高知、福岡、佐賀

近畿・中国・四国と、関東の一部に集まっています。ただし、県内に活火山がなくても、近くの県の火山灰が降ることはあります。富士山が噴火すれば、関東の広い範囲に火山灰が積もると想定されています。

台風の上陸が多い都道府県(気象庁)

順位 都道府県 上陸数
1 鹿児島県 45回
2 高知県 26回
3 和歌山県 25回
4 静岡県 22回
5 長崎県 18回
6 宮崎県 14回
7 愛知県 12回
8 千葉県 9回
9 熊本県 8回
10 北海道、徳島県 7回

統計期間:1951年〜2026年の台風第5号まで。気象庁「台風の統計資料」による。

上陸が多いのは、九州南部と、太平洋に面した紀伊半島・四国・東海です。日本海側や瀬戸内海沿岸、東北は少なくなっています。

なぜ「一番少ない県」を一つに決めないのか

「日本一災害が少ない県ランキング」を一つの数字で示しているサイトもあります。ですが、この記事ではあえてそうしていません。理由は、地震の数字が、測る地点で大きく変わるからです。

地震の起こりやすさを示す代表的な数字に、「今後30年以内に震度6弱以上の揺れに見舞われる確率」があります。地震調査研究推進本部(地震本部)が公表し、防災科学技術研究所のJ-SHISで地図として見られます。

この確率は、およそ250メートル四方の区画ごとに、その場所の地盤を反映して計算されています。
たとえば水戸市では、市役所の位置で約81%、茨城県庁の位置では約48%と、同じ市の中でも倍近く違います(J-SHIS、2020年版で確認)。

県庁所在地の1地点の数字で「県の順位」を決めると、どの地点を選ぶかで順位が入れ替わります。そして、あなたが住む場所の数字は、県庁所在地の数字とは別物です。

だからこの記事では、県の順位ではなく、自分の住所で調べる方法をお勧めします。

自分の住所の地震の確率を調べる方法

手順 やること
1 防災科学技術研究所の「J-SHIS Map」を開く
2 「今後30年間に震度6弱以上の揺れに見舞われる確率」の地図を選ぶ
3 住所や地名で検索し、自宅の場所を表示する
4 地図の色と、その地点の確率を確かめる

引っ越し先を比べるなら、候補の住所どうしを、この地図で比べてください。県単位で比べるより、ずっと正確な判断ができます。あわせて、国土交通省の「重ねるハザードマップ」で洪水・土砂災害・津波の想定も見ておくと安心です。

活断層の調べ方は自宅の近くに活断層はある?無料で調べる方法と結果の正しい読み方にまとめています。

埼玉・滋賀・奈良の弱点

県 主な弱点 確かめること
埼玉県 荒川・利根川など大きな川の下流にあたり、低い土地が広い。首都直下地震の影響も受ける 洪水の浸水想定、家の標高
滋賀県 琵琶湖西岸断層帯などの活断層がある。南海トラフ地震の揺れも想定される 近くの活断層、地盤
奈良県 南海トラフ地震の揺れ。南部の紀伊山地は大雨と土砂災害が多い 土砂災害警戒区域、地震の確率

「3条件を満たす県」は、災害がない県ではありません。津波・火山・台風の上陸という3つの心配が小さい県、という意味です。地震と大雨は、どの県でも自分の住所で確かめてください。

日本の自然災害リスクを知るための基本的な視点

日本の国土面積は世界の約0.28%に過ぎません。しかし世界で発生するマグニチュード6.0以上の地震の約18%が日本で発生しています(気象庁データ)。

活火山の数は111(気象庁)です。台風は平年で約25個が発生し、そのうち約12個が日本に接近し、約3個が上陸します(気象庁の平年値)。

都道府県ごとの災害リスクを評価する際、以下の視点が重要です。

  • 活断層の分布:日本全国に約2,000本以上の活断層が確認されている
  • 南海トラフ・日本海溝・千島海溝などの海溝型巨大地震の被害想定区域
  • 津波の浸水想定区域(内閣府・各都道府県の最大クラス想定)
  • 台風の通過頻度・上陸・接近の歴史的データ
  • 洪水ハザードマップ(国土交通省)における浸水想定区域の面積
  • 土砂災害警戒区域・特別警戒区域の指定数
  • 活火山からの距離・噴火影響範囲

単一の指標だけで安全性を評価することは不可能であり、複数の災害リスクを組み合わせた総合評価が必要です。

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地震リスクが低い都道府県

地震リスクを評価する主要な指標は、文部科学省・国土交通省・気象庁が共同で作成する全国地震動予測地図(J-SHIS)です。

この地図は今後30年以内に震度6弱以上の揺れが発生する確率を地点ごとに示しています。

地震リスクが比較的低い地域

全国地震動予測地図(2024年版)のデータで、今後30年以内に震度6弱以上の揺れが発生する確率が比較的低い地域は以下の通りです。

都道府県・地域 震度6弱以上の発生確率(目安) 主なリスク要因
北海道(内陸中部・道北) 比較的低い(ただし千島海溝型は除く) 千島海溝型地震のリスクは近年再評価され上方修正。道東・道南は注意が必要
富山県 地点によって差が大きい(J-SHISで住所ごとに確認) 活断層は存在するが南海トラフの直接影響圏外。ただし呉羽山断層帯に注意
石川県(内陸部) 地域によって異なる 2024年1月の能登半島地震(M7.6)で能登地方は大きな被害を受けた。金沢以南は比較的低リスクとされていたが見直しが進む
鳥取県・島根県 地点によって差が大きい(J-SHISで住所ごとに確認) 活断層はあるが南海トラフの直接影響圏外。ただし2000年の鳥取県西部地震(M7.3)・2016年の鳥取中部地震(M6.6)の実績あり
青森県(北部)・岩手県(北部) 比較的低い 東日本大震災の教訓から太平洋岸は津波リスクに注意。内陸部は地震リスク低め
秋田県 比較的低い(内陸は注意) 1983年日本海中部地震(M7.7)・1993年北海道南西沖地震の津波被害の歴史あり。2023年の奥羽山脈断層帯の評価見直し

重要な注意点として、2024年1月の能登半島地震(M7.6)は、それまで地震リスクが比較的低いとされていた北陸地方に甚大な被害をもたらしました。

地震動予測地図は確率論的な評価であり、低確率地域でも大地震が発生することを示した出来事でした。

地震リスクの評価は定期的に見直されているため、最新のJ-SHIS(https://www.j-shis.bosai.go.jp/)で自分の居住地の最新確率を確認することを推奨します。

地震リスクが高い地域

逆に地震リスクが高いとされる地域は以下の通りです。

  • 南海トラフ巨大地震の被害想定区域:静岡・愛知・三重・和歌山・徳島・高知・宮崎・大分(特に高リスク)
  • 首都直下地震の被害想定区域:東京・神奈川・埼玉・千葉
  • 千島海溝型巨大地震の被害想定区域:北海道東部(根室・釧路・十勝等)
  • 中央構造線沿い:大阪・奈良・愛媛

津波リスクが低い都道府県

津波リスクを完全に回避できる確実な方法は、海岸線を持たない内陸県に住むことです。

海のない内陸県(津波リスクゼロ)

日本の内陸県(海岸線なし)は以下の8県です。

  • 栃木県
  • 群馬県
  • 埼玉県
  • 山梨県
  • 長野県
  • 岐阜県
  • 奈良県
  • 滋賀県

ただしこれらの県が地震・洪水・土砂災害のリスクがないというわけではありません。

特に長野・山梨・岐阜・群馬は急峻な山地を抱えており、大地震時の土砂崩れ・河川の閉塞(天然ダム)リスクがあります。

沿岸県でも津波リスクの低い地域

海に面していても、地形的に津波の浸水リスクが低い内陸・高台の地域は多数存在します。

日本海側は太平洋側と比べて南海トラフ巨大地震の津波リスクが低い地域が多いですが、日本海側でも過去に大規模な津波(1983年日本海中部地震・1993年北海道南西沖地震等)が発生した実績があります。

居住地ごとの津波浸水想定は国土交通省ハザードマップポータルサイト(disaportal.gsi.go.jp)で確認できます。

台風リスクが低い都道府県

台風リスクの評価には、台風の上陸・接近頻度・過去の被害実績・地形による風速・降水量の違いが重要です。

台風リスクが比較的低い地域

地域 理由 注意点
北海道(北部・内陸部) 台風が日本本土に上陸する頃には温帯低気圧化して勢力が弱まるケースが多い。旭川・稚内・留萌などは台風の直撃が少ない 近年は勢力を保ったまま北上する台風が増加。2016年の台風10号(上陸・甚大な被害)は気候変動の影響を示す事例
東北北部(青森・秋田・岩手北部) 太平洋側は台風の影響を受けることがあるが、日本海側・内陸部は比較的台風の直撃が少ない 秋雨前線との組み合わせで大雨になるケースあり
長野県(内陸・山岳地帯) 周囲を山脈(北・南・中央アルプス)に囲まれた盆地・高原地帯は台風の風速が弱まるケースあり 台風による大雨で千曲川・天竜川等の洪水リスクがある。2019年台風19号では千曲川が氾濫し甚大な被害(北陸新幹線車両センター水没等)
山陰(鳥取・島根) 台風の主要な進路(九州・四国・紀伊半島ルート)から外れることが多い 日本海に抜けた台風が山陰を直撃するケースも過去に存在

台風リスクが高い地域

  • 沖縄県:日本で最も台風の上陸・通過が多い都道府県(年間平均7〜8個が接近)
  • 鹿児島県・宮崎県・高知県:台風の上陸・通過頻度が高く、大雨・強風による被害が多い
  • 東京都(伊豆諸島):台風の進路上に位置する離島を多く抱える
  • 和歌山県・三重県(紀伊半島):台風時の紀伊山地への地形性降雨が極端な豪雨をもたらす。2011年台風12号(紀伊半島大水害・死者行方不明者88名)の教訓

洪水リスクが低い都道府県

洪水リスクは地形(標高・傾斜)・河川の規模・流域面積・降水量の組み合わせで決まります。

洪水リスクが比較的低い地域の特徴

大河川の洪水平野・ゼロメートル地帯を持たない高原・山岳地帯は洪水リスクが低い傾向にあります。

  • 長野県(高原・盆地部):標高が高く、大河川の下流低地部がない。ただし千曲川(信濃川上流)・天竜川・木曽川の上流域は増水リスクあり
  • 群馬県(山間部):赤城山・榛名山・妙義山などに囲まれた内陸高原地帯は洪水リスクが低め。ただし利根川源流域の上流域に当たる
  • 山梨県(甲府盆地は注意・山間部は低リスク):甲府盆地は釜無川・笛吹川の氾濫原に当たるため注意が必要
  • 鳥取県・島根県(山間部):大河川の下流低地部が少なく、日本海側の低地部のみ注意が必要

洪水リスクが高い地域

  • 大河川の下流低地・ゼロメートル地帯:東京都江東区・江戸川区・江東5区・埼玉県東部・愛知県尾張地方・大阪府北摂・淀川流域
  • 2018年西日本豪雨の被災地:岡山県倉敷市真備町・広島県呉市・愛媛県宇和島市
  • 令和2年7月豪雨(2020年)の被災地:熊本県球磨川流域(人吉市・芦北町等)

土砂災害リスクが低い都道府県

土砂災害リスクは、地質(花崗岩・脆弱な地質の分布)・傾斜・降水量の組み合わせで決まります。

土砂災害警戒区域の指定数で見るリスク

国土交通省のデータによると、土砂災害警戒区域(イエローゾーン)・土砂災害特別警戒区域(レッドゾーン)の指定数が多い都道府県は広島県・兵庫県・長崎県・新潟県・岐阜県・静岡県などです。

一方で指定数が少ない(平坦な地形が多い)都道府県の例は以下の通りです。

  • 北海道(東部・平野部):十勝平野・石狩平野など大規模な平野部は土砂崩れリスクが低い。ただし日高山脈・大雪山等の山岳部は別
  • 千葉県・埼玉県・東京都(平野部):関東平野の平坦部は土砂崩れのリスクが低い。ただし千葉県の房総丘陵・東京都の多摩丘陵は別
  • 沖縄県(本島平坦部):本島の地形は比較的平坦で急傾斜地が少ない(ただし離島・やんばる地域は除く)

土砂災害リスクが高い地域の特徴

以下の条件に当てはまる地域は土砂災害リスクが高くなります。

  • 花崗岩が風化してできたマサ土(真砂土)が急傾斜地に堆積した地域:広島県・岡山県・山口県・長崎県など西日本に多く分布
  • 脆弱な地層(第三紀層・火山砕屑物等)が分布する急傾斜地:新潟県・長野県北部・静岡県など
  • 中国山地・紀伊山地・四国山地・九州山地などの年間降水量が多い急峻な山岳地帯

火山噴火リスクが低い都道府県

火山噴火リスクは、活火山の有無・火山からの距離によって決まります。

活火山が存在しない・距離が遠い都道府県

気象庁が常時観測する活火山111火山の分布から、火山噴火リスクが低い地域を以下に示します。

  • 関東平野部(茨城県・千葉県・埼玉県・東京都平野部):富士山・浅間山から一定距離があるが、大噴火時の降灰リスクは存在する
  • 中国地方(岡山県・広島県・山口県内陸部):近傍に活火山がない。ただし九州の火山大噴火時の降灰リスクは存在
  • 四国(高知県・愛媛県・徳島県・香川県):四国内に活火山はないが、九州の火山大噴火時の影響を受ける可能性がある
  • 北陸(富山県・石川県・福井県):近傍に活火山がない地域

火山噴火リスクが高い地域

  • 北海道:有珠山・樽前山・十勝岳・摩周湖周辺・知床硫黄山など活火山が多数
  • 東北:蔵王山・吾妻山・那須岳・秋田焼山・鳥海山など
  • 関東・中部:富士山・浅間山・草津白根山・御嶽山(2014年噴火・死者58名)・伊豆大島・三宅島・新島・硫黄島
  • 九州:阿蘇山(世界最大級のカルデラ)・雲仙岳・霧島山(新燃岳)・桜島(ほぼ毎日噴火)・口永良部島

特に富士山は南海トラフ巨大地震と連動して噴火する可能性が指摘されており、大規模噴火時の降灰は東京・神奈川・埼玉・静岡・山梨に甚大な影響を与えると想定されています。

内閣府の富士山ハザードマップ改定(2021年)では、最大クラスの噴火時に首都圏に最大10cmを超える降灰が及ぶシミュレーション結果が公開されています。

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総合的に見た「比較的安全な都道府県」

ここまでの各災害リスクを総合的に評価した場合、比較的多面的なリスクが低い都道府県・地域の傾向をまとめます。

【重要な前提】
以下の評価は相対的なリスク比較であり、絶対的に安全な地域を保証するものではありません。自然災害は予測困難であり、低リスク地域でも大規模災害が発生する可能性があります。居住地の選定には、各省庁の公式ハザードマップを必ず確認してください。

比較的総合リスクが低いとされる地域の傾向

都道府県・地域 低リスクの理由 残存するリスク・注意点
富山県(平野部・砺波平野) 南海トラフの直接被害圏外・台風の上陸が少ない。県内に活火山(弥陀ヶ原)はあるが、平野部からは離れている 呉羽山断層帯の存在・日本海側の津波リスク(1983年・1993年の実績)・豪雪リスク(冬季)・2024年能登半島地震の教訓として北陸全体の地震リスク再評価が進む
福井県(嶺北地方) 南海トラフの直接被害圏外・活火山なし・台風の直撃少ない 若狭湾沿岸の津波リスク・豪雪リスク・活断層(福井平野東縁断層帯等)の存在
滋賀県(北部・高島市周辺を除く) 内陸県(津波リスクなし)・活火山なし・台風の風勢が山地に遮られることが多い 琵琶湖周辺の洪水リスク・比良山断層帯・花折断層帯等の活断層・2018年の台風21号(最大瞬間風速で被害)
奈良県(北部・大和盆地) 内陸県(津波リスクなし)・活火山なし・大和盆地は比較的安定した地盤 奈良盆地東縁断層帯の存在、県南部を通る中央構造線・吉野・十津川など南部山岳地帯の土砂崩れリスク(2011年台風12号で甚大な被害)
鳥取県・島根県(山陰地方) 南海トラフの直接被害圏外・台風の上陸が少ない。鳥取県に活火山はない。島根県には活火山の三瓶山がある 日本海側の津波リスク・2000年鳥取県西部地震(M7.3)・2016年鳥取中部地震(M6.6)の実績で地震リスクは無視できない・冬季の豪雪・大雪リスク
岩手県(内陸部・北上盆地) 太平洋岸の津波被害圏から離れている・台風の直撃少ない 奥羽山脈の活断層リスク・冬季の豪雪・2011年東日本大震災の教訓(内陸部は比較的軽微だったが沿岸は甚大な被害)

2024年能登半島地震が示した教訓:低リスク地域の過信は禁物

2024年1月1日に発生した能登半島地震(M7.6・最大震度7)は、防災の常識を根底から揺さぶりました。

それまで全国地震動予測地図で今後30年の震度6弱以上の発生確率が低く評価されていた石川県能登地方が、予測を覆す大規模地震に見舞われました。

この地震が示した教訓は以下の通りです。

  • 確率論的地震リスク評価はあくまでも確率であり、低確率地域でも大地震は発生する
  • 過去の地震観測データが少ない地域(大地震の発生間隔が長い活断層)は、リスクが過小評価されている可能性がある
  • 半島・離島など地理的に孤立しやすい地形では、地震後の救助・支援到達に時間がかかる
  • 古い木造住宅が密集する集落での人的被害が大きかった(耐震化の重要性)
  • 冬季(1月元旦)の大地震は寒さによる二次被害・孤立リスクが高い

低リスクとされる地域に移住することよりも、どこに住んでいても適切な備蓄・耐震化・ハザードマップの把握・避難計画の策定を行うことが、最も効果的な防災対策です。

移住・居住地選択における総合的な災害リスク評価の方法

移住先・居住地を選ぶ際に実践的な災害リスク評価を行うための具体的な手順を紹介します。

手順①:国土交通省ハザードマップポータルサイトで確認する

国土交通省のハザードマップポータルサイト(disaportal.gsi.go.jp)では、住所を入力するだけで以下のリスクを同時に確認できます。

  • 洪水浸水想定区域(各河川の計画規模・想定最大規模)
  • 土砂災害警戒区域・特別警戒区域
  • 津波浸水想定区域
  • 高潮浸水想定区域
  • 道路冠水想定箇所

手順②:J-SHIS(地震ハザードステーション)で地震リスクを確認する

防災科学技術研究所が運営するJ-SHIS(j-shis.bosai.go.jp)では、地点ごとの今後30年以内に震度5弱以上・6弱以上が発生する確率を確認できます。

同サイトでは活断層の位置・過去の地震記録・地盤の増幅特性も確認できます。

手順③:各都道府県・市区町村の地域防災計画を確認する

各都道府県・市区町村は独自の地域防災計画を策定・公開しています。

移住先の地域防災計画を確認することで、その地域で想定される最大規模の災害シナリオ・避難所の数・防災体制の充実度を把握できます。

手順④:建物の耐震性・地盤を確認する

どれだけリスクの低い地域に住んでいても、建物自体の耐震性が低ければ地震で倒壊するリスクがあります。

1981年以前に建設された旧耐震基準の建物は耐震診断・耐震改修を検討してください。

地盤の液状化リスクは国土交通省の地盤情報データベース・各市区町村の液状化ハザードマップで確認できます。

災害リスクを考慮した移住先として注目される地域

近年、移住先の選定においてリスク分散・防災を意識した選択が注目されています。

ただし以下の情報はあくまでも参考であり、実際の移住前には各地域の最新ハザードマップ・地域防災計画を必ず確認してください。

移住先として防災面での特徴が注目される地域

  • 富山県射水市・高岡市(砺波平野):南海トラフの影響が限定的・近くに活火山がない・比較的安定した地盤・ただし豪雪・日本海津波リスクへの備えは必要
  • 岩手県北上市(北上盆地):東日本大震災の太平洋岸の津波被害からも内陸に位置し比較的軽微。ただし厳しい冬季の備えが必要
  • 福井県坂井市・越前市(嶺北平野):南海トラフ影響圏外・活火山なし。ただし若狭湾の津波リスク・豪雪への備えが必要
  • 長野県松本市・長野市(松本盆地・長野盆地):台風の直撃が少なく、夏涼しい。ただし松本盆地には活断層(牛伏寺断層)があり地震リスクに注意が必要

防災リスクの低い地域でも欠かせない備え

比較的リスクが低いとされる地域に移住・居住する場合でも、以下の備えは絶対に欠かせません。

  • 最低3日分(推奨7日分)の食料・飲料水の備蓄
  • 住宅の耐震診断・耐震改修(1981年以前の建物は特に重要)
  • 家具の転倒防止固定(東京消防庁の調査では、近年の地震でけがをした人の約3〜5割が、家具類の転倒・落下・移動によるもの)
  • 家族全員の避難場所・避難経路の事前確認
  • 火災保険(家財保険・借家人賠償責任保険)・地震保険への加入
  • 防災士・地域の自主防災組織への参加
  • お住まいの市区町村のハザードマップを全員で確認する

あわせて読みたい:【47都道府県別】災害リスクと特徴まとめ|地震・水害・火山・津波を地域別に解説

まとめ:最も重要なのは正確な知識と自分の地域への理解

日本において完全に安全な地域は存在しません。

ただし、各災害の種類ごとにリスクの高低が明確に異なることも事実です。

地震リスクは富山・山陰・東北内陸が比較的低め、津波リスクは内陸8県(栃木・群馬・埼玉・山梨・長野・岐阜・奈良・滋賀)が最低、台風リスクは北海道・東北北部・山陰が低め、火山リスクは中国・四国・北陸が低め、という傾向があります。

しかし2024年能登半島地震が証明したように、低リスク地域とされていた場所でも大規模災害は発生します。

最も重要なことは、住んでいる地域のハザードマップを正確に理解し、自分と家族が取るべき避難行動を平常時から準備することです。

その準備こそが、どの地域に住んでいても命を守る最大の防災対策となります。

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9月1日は防災の日/8月30日〜9月5日は防災週間

1年に一度、備えを点検する日です。10分でできることから始めてください。

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防災ベーシック編集部です。公的機関の情報をもとに、防災・備蓄・災害対策の基本をわかりやすくお伝えします。

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