石油ストーブの死亡事故は5年で47件|給油前に消す、灯油とガソリンを分ける、停電で使える1台

石油ストーブの死亡事故は5年で47件

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【この記事の要約】
石油ストーブや石油ファンヒーターの事故は、5年間で269件。うち死亡事故は47件です。そしてその47件のうち31件が70歳以上でした。原因で最も多いのは誤った使い方や不注意で、調査が終わった233件のうち115件を占めます。具体的には、給油中にこぼれた灯油への引火、ガソリンの誤給油、燃えるものがストーブに触れての出火です。守ることは3つです。一、給油の前に必ず火を消す。二、灯油は専用の容器に入れ、ガソリンとは別の場所で保管する。三、給油口のふたを確実に締め、漏れがないか確かめる。さらに冬の停電時には、電気を使わない石油ストーブが暖房の頼りになります。ただし換気を怠れば一酸化炭素中毒が起きます。1時間に1〜2回、数分の換気を守ってください。

こんにちは。防災ベーシックのたにです。札幌で防災士として活動しています。

北海道では、灯油のストーブは暮らしの道具です。そして冬に停電が起きたとき、いちばん頼りになる暖房でもあります。

2018年の北海道胆振東部地震では、真っ暗な中で石油ストーブだけが暖をくれた、という話をいくつも聞きました。

ただし、その道具で毎年人が亡くなっています。

目次

結論|守るのは3つです

一、給油の前に、必ず火を消す。消えたことを確認してから入れる
二、灯油は専用の容器で保管し、ガソリンとは別の場所に置く
三、給油口のふたを確実に締め、漏れていないか確かめてから本体に戻す
この3つで、死亡事故の主な型を防げます。

どれも当たり前に見えると思います。

ですが、事故の原因で最も多いのは「誤使用・不注意」です。知らなかったから起きるのではなく、知っていてもやらなかったから起きています。

数字で見る、ストーブの事故

項目 内容
事故の件数 石油ストーブ・石油ファンヒーターの事故は、5年間で269件
死亡事故 47件
年齢 死亡事故47件のうち31件が70歳以上。被害者が70歳以上の事故は131件
原因の最多 誤使用・不注意(調査が終わった233件のうち115件)
主な死亡の形 給油中にこぼれた灯油への引火、ガソリンの誤給油、可燃物の接触

高齢の方に集中している点は、雪下ろしの事故と同じ構図です。

長年使ってきた道具ほど、確認の手順が省かれます。「いつもやっていること」は、いちばん見直されにくい作業です。

事故の型①|給油中の引火

最も多い型です。火をつけたまま給油することで起きます。

灯油がこぼれ、熱い部分に触れて気化し、そこに火が移ります。「少しだから」「すぐ終わるから」という場面で起きています。

守ること 理由
必ず消火してから給油する 消えたことを目で確認してください。弱火でも危険です
少し冷ましてから 消した直後は、本体がまだ高温です
給油は屋外か、換気した場所で 気化した灯油がこもると、引火の危険が高まります
こぼしたら、すぐ拭く 拭いた布は、そのままゴミ箱に入れない。屋外で乾かしてください

こぼした灯油を拭いた布を、丸めてゴミ箱に入れないでください。灯油がしみた布は、条件によっては自然に発熱することがあります。

事故の型②|ガソリンの誤給油

これは、起きると被害が大きくなります。

灯油のつもりでガソリンを入れると、爆発的に燃えます。ガソリンは灯油よりはるかに引火しやすく、常温でも火がつく蒸気を出します。

防ぎ方 内容
容器を分ける 灯油は灯油用のポリエチレン容器。ガソリンは金属の専用容器です
置き場所を分ける 同じ場所に並べない。これが最も確実です
ラベルを貼る 見た目で区別できるようにします
色で区別する 灯油用の容器は赤や青が一般的です

ガソリンをポリエチレンの容器に入れるのは、そもそも認められていません。静電気で引火する危険があるためです。

発電機や除雪機のためにガソリンを保管している家庭では、この区別がいっそう大切になります。

事故の型③|燃えるものが触れる

ストーブのまわりに置いたものが、発火する型です。

危ないもの 何が起きるか
洗濯物 乾かそうとして近づけ、落ちて燃えます。とくに就寝中が危険です
布団・毛布・座布団 寝返りや、立ち上がった拍子に触れます
スプレー缶 熱で破裂します。ストーブの近くに置かないでください
カーテン 風であおられて触れます
新聞・雑誌 床に置いたものが、いつの間にか近づいています

ストーブのまわり1メートルには、何も置かない。
これを家族で決めておくと、迷わずに済みます。

一酸化炭素中毒を防ぐ|換気の考え方

火を使う暖房は、部屋の酸素を使い、燃えた分だけ排気を出します。

締め切った部屋で使い続けると、不完全燃焼が起き、一酸化炭素が発生します。

守ること 内容
1時間に1〜2回、数分の換気 窓を2か所開けると、空気が通り抜けます
寝るときは消す 眠っている間は、異変に気づけません
給気口をふさがない 雪や家具でふさぐと、空気が入りません
頭痛・吐き気・眠気 中毒の初期症状です。すぐ換気して、外の空気を吸ってください

一酸化炭素は無色無臭です。気づけるのは体に出る変化だけです。

この仕組みは、大雪の立ち往生で起きる中毒と同じです。詳しくは大雪の立ち往生で危ないのは寒さより一酸化炭素|22分で1000ppm、マフラーを掘るに書きました。

雪で給排気口がふさがれる

屋外に給排気口があるFF式ストーブや、壁掛けの暖房機では、雪による事故が起きています。

吹き溜まりや、屋根からの落雪で口がふさがれると、排気が室内に戻ります。

雪が降った日は、家のまわりを一周して、給排気口が出ているか確認してください。屋根の雪下ろしをしたあとも同じです。

一酸化炭素中毒の症状を、家族で共有する

中毒は、本人より周りの人が先に気づくことがあります。症状を家族で知っておいてください。

段階 症状 やること
軽い 頭痛、めまい、吐き気、だるさ すぐに窓を開け、ストーブを消す。外の空気を吸う
中程度 強い頭痛、嘔吐、判断力の低下、眠気 外へ連れ出し、119番通報
重い 意識がもうろうとする、けいれん、意識を失う 119番通報。呼吸がなければ胸骨圧迫

「家族が同時に頭痛を訴える」のは、とくに注意すべき合図です。

風邪なら、全員が同じ時間に具合を悪くすることは少ないはずです。同じ部屋にいた人が、そろって頭痛や吐き気を訴えたら、まず換気してください。原因はストーブかもしれません。

ペットの様子がおかしいのも手がかりになります。体の小さな動物は、人より先に影響を受けることがあります。

回復したように見えても、受診を

一酸化炭素中毒は、その場で回復しても、数日から数週間後に症状が出ることがあります。頭痛、物忘れ、集中力の低下などです。

意識を失うほどの状態になった方は、元気そうに見えても医療機関を受診してください。

停電したときの暖房として

ここが、防災の観点でいちばん大切な部分です。

暖房の種類 停電時
電気を使わない石油ストーブ(対流式・反射式) 使えます。停電時の主力になります
石油ファンヒーター 使えません。送風と着火に電気が要ります
FF式ストーブ 使えません。給排気に電気を使います
エアコン 使えません
カセットガスストーブ 使えます。ボンベの備えが必要です

ここを誤解している家庭が多くあります。

「うちは灯油のストーブだから停電でも大丈夫」と思っていたら、ファンヒーターやFF式で、まったく使えなかった。北海道の停電では、実際に起きたことです。

北海道胆振東部地震の停電については北海道胆振東部地震とは?日本初のブラックアウトで295万戸が停電にまとめています。

停電に備えるなら、電気の要らない1台を

電気を使わない石油ストーブを、1台だけ持っておくという備え方があります。

利点 注意点
停電でも暖が取れる 換気が必須です
上で湯を沸かせる、煮炊きができる 種類によっては天板が使えないものもあります
電池も要らない(マッチ着火のものもあります) 点火装置が電池式なら、電池の備えを
灯油があれば長く使える 灯油は年を越すと劣化します。古い灯油は使わないでください

灯油の保管

守ること 理由
灯油専用の容器を使う ペットボトルや食品の容器に移さないでください。事故と誤飲のもとです
直射日光を避ける 日光に当たると劣化が進みます。変質した灯油は不完全燃焼を起こします
火の気のない場所に置く ストーブや給湯器のそばに置かない
越冬した灯油は使わない 1年たった灯油は、においや色が変わります。販売店に相談して処分してください
容器を車内に放置しない 夏の車内は高温になり、容器が変形します

古い灯油を「もったいないから」と使うのは、やめてください。

変質した灯油は、不完全燃焼を起こし、一酸化炭素が出やすくなります。機器の故障の原因にもなります。

シーズン初めの点検

秋に一度、確認しておくべきことがあります。

確認 内容
試運転する 寒くなる前に一度つけて、異常な音やにおいがないか確かめます
去年の灯油が残っていないか 残っていれば抜き取り、新しい灯油を入れます
ほこりを取る 内部にたまったほこりは、においと不完全燃焼の原因になります
電池を交換する 点火装置や、安全装置の電池を確認します
置き場所を決める まわり1メートルに何もない場所を選びます

試運転は、屋外や換気のよい場所で行ってください。去年の灯油が残っていると、においが出ます。

地震が起きたときのストーブ

冬に地震が起きれば、暖房が火元になります。

装置 働き
対震自動消火装置 一定以上の揺れで、自動的に消火します。現在の石油ストーブには備わっています
給油時自動消火装置 カートリッジタンクを抜くと消える仕組みのものがあります
不完全燃焼防止装置 酸素が減ると止まります

ただし、装置があっても安心はできません。

古い製品では働かないことがあります。また、揺れで倒れた家具や落ちた洗濯物が、消えたストーブの上に乗ることがあります。地震のあとは、必ず火元を目で確認してください。

阪神・淡路大震災では、倒壊による窒息・圧死に次いで、火災が被害を広げました。家具の固定と、火元の確認はつながっています。

灯油とガソリンは、何がそんなに違うのか

「どちらも燃える油」と考えていると、危険の差が見えません。決定的に違うのは、火がつき始める温度です。

灯油 ガソリン
引火点(火がつく蒸気が出る温度) おおむね40度以上 マイナス40度前後
常温では そのままでは火がつきにくい 常温でも、火のつく蒸気を出し続けています
こぼしたとき しみ込んだ布などが危険 周囲に蒸気が広がり、離れた火種でも引火します
容器 灯油用ポリエチレン容器 金属の専用容器。ポリ容器は認められていません

ガソリンは、火を近づけなくても引火します。静電気でも十分です。

だから誤給油が起きると、ストーブの中で爆発的に燃えます。消そうとして近づいた人が、大やけどを負う事故が起きています。

容器を置く場所を、いま決めてください

発電機、除雪機、草刈り機。家庭でガソリンを扱う機会は、意外にあります。

灯油は玄関側、ガソリンは物置の奥、というように場所そのものを分けてください。
ラベルより、置き場所を分けるほうが確実です。暗い中で、手探りで運ぶ場面を想像してみてください。

ストーブ火災は、いつ起きているか

場面 なぜ起きるか
シーズン初め(10月〜11月) 久しぶりに使い、ほこりや古い灯油のまま点火してしまいます
朝いちばん 寒くて急ぎ、確認が雑になります
就寝中 つけたまま眠り、洗濯物や布団が触れます
給油のとき 面倒で、火を消さずに入れてしまいます
来客や外出の前後 気が急いて、消し忘れが起きます

「シーズン初め」に注意が集まるのには理由があります。

半年ぶりに動かす機器は、内部にほこりがたまり、灯油が残って変質しています。国も、この時期に点検を呼びかけています。

子どもと高齢の家族がいる家庭で

相手 気をつけること
小さな子ども やけどが多いのはストーブのガード部分です。触れないよう柵を置いてください
高齢の家族 熱さを感じにくく、低温やけどが起きます。長時間当たり続けないように
給油を頼む場合 重い容器を運ぶ作業です。腰や転倒の危険があるので、無理をさせないでください
ペット 尾や毛が触れて焦げる事故があります

低温やけどは、気づきにくい傷です。44度程度でも、長く当たり続ければ皮膚の深い部分まで傷つきます。「熱い」と感じない温度だからこそ、眠ってしまいます。

停電の夜を、どう暖かく過ごすか

冬の停電では、ストーブがあっても部屋全体を暖め続けるのは難しいことがあります。灯油には限りがあり、換気もしなければなりません。

そこで考え方を変えます。家全体ではなく、一部屋を暖める。部屋ではなく、体を暖める。

方法 効果
家族が1部屋に集まる 暖める面積が減り、人の体温も足されます
窓に段ボールや毛布を当てる 熱が逃げるのは主に窓です。ここをふさぐと体感が変わります
床に敷物を重ねる 床からの冷えを止めます
湯たんぽを作る ストーブで沸かした湯を使えます。就寝時はストーブを消せます
重ね着と帽子 頭から熱が逃げます。室内でも帽子は有効です

湯たんぽは、停電の夜にいちばん役に立つ道具のひとつです。

火を使わずに朝まで暖かく、一酸化炭素の心配もありません。ストーブで湯を沸かし、湯たんぽを用意してから消す。この流れを作っておくと、眠るときに火を消せます。

暖房器具ごとの、危険と備え

家にある暖房を、危険の種類で整理しておきます。同じ「暖房」でも、注意する点はまったく違います。

暖房 主な危険 停電時
石油ストーブ(対流式・反射式) 給油時の引火、一酸化炭素、接触による火災 使えます
石油ファンヒーター 給油時の引火、一酸化炭素 使えません
FF式ストーブ 給排気口が雪でふさがれること 使えません
電気ストーブ・ハロゲンヒーター 接触による火災、低温やけど。一酸化炭素は出ません 使えません
こたつ 内部のコードの傷み、低温やけど 使えません
カセットガスストーブ 一酸化炭素、ボンベの加熱 使えます
湯たんぽ 低温やけど、熱湯によるやけど 使えます

「電気ストーブは安全」と思われがちですが、火災の件数では上位に入ります。

炎が見えないぶん、近くに物を置いても平気だと感じてしまうためです。布団や洗濯物が触れれば、同じように燃えます。

停電に備えるなら、2種類を持つ

電気に頼る暖房と、頼らない暖房。両方を持っておくのが、冬の停電への備えです。
ふだんはエアコンやファンヒーターで構いません。停電したときに切り替えられる1台があるかどうかが、分かれ目になります。

停電が長引いたときの、灯油の配分

北海道胆振東部地震の停電は、地域によっては数日に及びました。そのとき問題になるのが、灯油の残量です。

考え方 内容
1部屋だけ暖める 家全体を暖めようとすると、灯油が一気に減ります
つけっぱなしにしない 暖まったら消す。冷えたらつける。換気の時間にもなります
夜は湯たんぽに切り替える 眠っている間は消す。安全と節約が両立します
買い足しは早めに 停電するとスタンドの給油機も止まります。寒波の前に入れてください

停電と大雪が重なると、配達も来ません。灯油は「切らしてから買う」ものではなく、「予報を見て買う」ものだと考えてください。

給油の正しい手順

毎日やる作業だからこそ、順番を一度決めてしまうのがいちばん確実です。

順番 やること
1 ストーブを消す。炎が消えたことを目で確認する
2 カートリッジタンクを取り出し、ストーブから離れた場所へ運ぶ
3 容器が灯油用であることを確認する(ガソリンの容器でないか)
4 給油ポンプで入れる。入れすぎないよう、目盛りを見ながら
5 ふたを確実に締める。逆さにして漏れないか確かめる
6 タンクの外側についた灯油を拭き取る
7 本体に戻し、正しくはまったことを確認してから点火する

3番目は、ガソリンを持っている家庭では省かないでください。

そして5番目の「逆さにして確かめる」が、いちばん省かれやすい工程です。ふたが斜めにはまっていると、本体にセットした瞬間に灯油があふれます。

給油ポンプの消し忘れ

電動の給油ポンプには、満タンで自動的に止まるものがあります。ですが、止まらない製品や、故障していることもあります。

給油中にその場を離れて、あふれた灯油が床に広がる事故も起きています。給油の間は、離れないでください。

もしストーブから火が出たら

順番 やること
1 大声で周りに知らせる。「火事だ」と叫ぶ
2 消火器を使う。炎の根元をねらって噴射します
3 炎が天井に届いたら、消火をやめて逃げる
4 逃げるときは、部屋の扉を閉める。火と煙の広がりを遅らせます
5 119番通報。逃げてから電話してください

燃えている灯油に水をかけないでください。油が飛び散り、火が広がることがあります。消火器か、濡らしたタオルやシーツで覆う方法をとります。

初期消火ができる目安は「炎が天井に届くまで」です。
それを超えたら、消そうとせずに逃げてください。消火より、自分が生きて外に出ることが先です。

住宅用火災警報器を確認する

住宅用火災警報器は、すべての住宅で設置が義務づけられています。

ただし電池の寿命はおおむね10年です。設置から時間がたっている家では、鳴らない可能性があります。ストーブを出す前に、ボタンを押して音が鳴るか確かめてください。

札幌で暮らして、実感していること

北海道の家庭では、ストーブの給油は日課です。毎日、あるいは一日に何度も入れます。

だからこそ、一度決めた手順が崩れやすい。急いでいる朝、疲れて帰った夜。「今日だけは」と火をつけたまま入れる場面は、誰にでもあります。

私自身が気をつけているのは、給油する場所を決めておくことです。ストーブのそばでは給油しない、玄関の土間で入れる、と決めてしまえば、火のついたストーブのそばで灯油を扱う場面そのものがなくなります。

そしてもう一つ。北海道の暖房の主役はFF式です。停電すれば止まります。胆振東部地震のあと、電気を使わないストーブを1台買い足した家庭は少なくありません。

集合住宅で気をつけること

マンションやアパートでは、石油ストーブの使用そのものが禁止されていることがあります。

確認すること 理由
管理規約・賃貸契約 灯油の持ち込みや、開放式ストーブの使用を禁じている建物があります
灯油の保管場所 ベランダに置くと、日光で劣化し、隣戸への延焼の原因にもなります
換気の条件 気密性が高く、換気しないと一酸化炭素がたまりやすい建物が多い
停電時の代わり 石油ストーブが使えないなら、カセットガスストーブや湯たんぽで備えます

気密性の高い住宅ほど、換気を意識してください。

古い木造の家はすき間風が換気の役割をしていましたが、新しい住宅では空気が入れ替わりにくく、一酸化炭素がたまるのが早くなります。

ストーブを出す日に、10分でやること

シーズン初めに、次の6つだけ確認してください。10分で終わります。

確認 見るところ
1 去年の灯油がタンクに残っていないか。残っていれば抜く
2 本体と吹き出し口のほこりを取る
3 点火用の電池を新しくする
4 住宅用火災警報器のボタンを押して、鳴るか確かめる
5 ストーブのまわり1メートルに物がないか
6 灯油とガソリンの置き場所が分かれているか

とくに1番目が大切です。去年の灯油が残ったまま点火すると、においが出るだけでなく、不完全燃焼と故障の原因になります。

よくある質問

Q. 給油するときは、火を消せばすぐ入れてよいですか

少し待ってください。消した直後は本体が高温です。

とくに、こぼれた灯油が熱い部分に触れると気化します。消火を確認し、落ち着いてから給油するのが安全です。

Q. カートリッジタンクのふたは、どのくらい締めればよいですか

止まるまで確実に締め、逆さにしても漏れないことを確認してください。

ふたが緩んでいると、本体にセットしたときに漏れます。そこに火が入ると火災になります。「カチッと音がするまで」など、製品の説明に従ってください。

Q. 寝るときにストーブを消すと、寒くて眠れません

気持ちは分かりますが、消してください。

代わりに、寝具を厚くする、湯たんぽを使う、部屋を先に暖めておくという方法があります。眠っている間は、不完全燃焼にも火災にも気づけません。

冬の室温については冬の室温はWHOが18度以上を勧告|日本の居間は平均16.7度、脱衣所は12.6度に書きました。

Q. 一酸化炭素の警報器は必要ですか

火を使う暖房を使う家庭では、あると安心です。

一酸化炭素は、においも色もありません。人が気づく前に知らせてくれる道具は、この場面では有効です。家庭用のものが市販されています。

Q. 停電のときに、カセットガスストーブは使えますか

使えます。ただし、石油ストーブと同じで換気が必要です。

そしてボンベの消費が早い点に注意してください。1本で数時間しか持たないものが多く、長い停電では本数が要ります。ボンベは高温になる場所に置かないでください。

Q. 灯油はどのくらい備えておけばよいですか

家庭の使い方によります。目安としては、真冬に1週間しのげる量です。

ただし灯油は越冬させないほうがよいので、シーズン中に使い切れる量にしてください。大雪の予報が出たら早めに買い足すほうが、備蓄を増やすより現実的です。

大雪になると、配達が止まり、スタンドも混みます。寒波の予報が出た時点が、買い時です。

Q. 灯油をこぼしてしまいました。どう片づければよいですか

まず火の気を遠ざけ、窓を開けて換気してください。

こぼれた灯油は、新聞紙や布で吸い取ります。吸い取った紙や布は、屋外の風通しのよい場所で乾かしてから処分してください。丸めて室内のゴミ箱に入れると、においがこもり、発火の危険もあります。

床にしみ込んだにおいは、なかなか取れません。給油は、こぼしても困らない場所でするのが、いちばんの予防です。

Q. ストーブの上で洗濯物を乾かしてもよいですか

やめてください。落ちた洗濯物が燃える火災は、毎年起きています。

とくに寝ている間や外出中に落ちると、気づいたときには部屋に燃え広がっています。乾かすなら、ストーブから十分に離した物干しを使ってください。

Q. 古いストーブを使い続けても大丈夫ですか

安全装置が働くかどうかを確認してください。

長く使った製品は、対震自動消火装置や不完全燃焼防止装置が、劣化で働かないことがあります。異音、異臭、炎の色が赤っぽい、といった変化があれば、販売店やメーカーに相談してください。

また、リコールの対象になっていないかを一度調べておくと安心です。メーカーの名前と型番で検索できます。

Q. 反射式と対流式は、停電のときどちらがよいですか

用途で選びます。

対流式は円筒形で、部屋全体を暖めます。天板でお湯を沸かせるものが多く、停電時の煮炊きにも使えます。反射式は前方を集中的に暖め、壁際に置けるので狭い部屋に向きます。

停電の備えとしては、湯を沸かせる対流式が使い勝手に優れます。湯たんぽや温かい飲み物を作れるからです。ただしどちらも換気が必要な点は同じです。

Q. 灯油のにおいが気になります。不完全燃焼でしょうか

点火と消火のときに少しにおうのは、多くの製品で起きることです。

ただし、燃えている最中にずっとにおう、目がしみる、炎が赤っぽく揺れるといった場合は、不完全燃焼や灯油の変質が疑われます。すぐに消して換気し、灯油と本体を点検してください。

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まとめ

要点 内容
事故の規模 5年間で269件、死亡47件。うち31件が70歳以上
最多の原因 誤使用・不注意(233件中115件)
守る3つ 給油前に消火/灯油とガソリンを分けて保管/ふたを確実に締める
置き方 まわり1メートルに何も置かない。洗濯物を干さない
換気 1時間に1〜2回、数分。寝るときは消す
停電時 使えるのは電気を使わない石油ストーブ。ファンヒーターとFF式は使えません
灯油の管理 専用容器、日光を避ける、越冬させない

石油ストーブは、停電に強い、数少ない暖房です。だから防災の道具として勧められます。

ただし、火を扱う道具でもあります。勧められるのは、正しく使う前提があってのことです。

給油の前に火を消す。この一手間だけで、死亡事故の主な型のひとつが消えます。

停電した冬の夜、暖かさを保てるかどうかは、道具の数ではなく使い方で決まります。1台のストーブを安全に使い切れることが、いちばんの備えです。

今年の冬、ストーブを出す日に、この記事の「10分でやること」を一度だけ試してみてください。

【出典】
製品評価技術基盤機構(石油ストーブ・石油ファンヒーターの事故件数、死亡事故、年齢の内訳、原因の区分)/消費者庁・経済産業省「シーズン初めの石油ストーブ安全大作戦」(給油時の注意、誤給油の防止)/消防庁(住宅火災の予防)
製品ごとに、取り扱いの条件は異なります。必ずお使いの製品の取扱説明書をご確認ください。古い製品や、異常のある製品は、販売店またはメーカーにご相談ください。

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この記事を書いた人

北海道札幌市在住の防災・サバイバル情報発信者です。2018年の北海道胆振東部地震を機に「誰でも今日から始められる防災」をモットーに活動を開始し、実際に試した防災グッズのレビューや家族構成別の備え方をわかりやすくお伝えしています。実践的で信頼できる情報を提供できるよう、がんばっています!

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