【この記事の要約】
災害で家族を亡くしたとき、災害弔慰金という制度があります。生計を維持していた方が亡くなった場合は500万円、それ以外の方の場合は250万円が支給されます。重い障害が残った場合には災害障害見舞金があり、生計維持者で250万円以下、その他の方で125万円以下となります。さらに、生活を立て直すための資金を借りられる災害援護資金という制度もあり、貸付の限度額は350万円です。これらは災害弔慰金の支給等に関する法律にもとづくもので、申請しなければ受け取れません。市区町村が窓口です。制度の中身と、申請の際に知っておきたい点を整理します。
結論:3つの制度があります。申請が必要です
先に結論をお伝えします。
災害で人的な被害を受けた場合、次の3つの制度があります。
| 制度 | 対象 | 金額 | 返済 |
|---|---|---|---|
| 災害弔慰金 | 災害で亡くなった方の遺族 | 500万円または250万円 | 不要 |
| 災害障害見舞金 | 重い障害が残った方 | 250万円以下または125万円以下 | 不要 |
| 災害援護資金 | 負傷や住居の被害を受けた世帯 | 限度額350万円 | 必要 |
前の2つは給付です。返す必要はありません。最後のひとつは貸付なので、返済の義務があります。
自動的には支給されません
ここが、この記事で最も重要な点です。見落とすと制度そのものを使えません。
これらの制度は、申請しなければ受け取れません。役所が自動的に手続きを進めてくれるわけではないのです。
家族を亡くした直後に、制度を調べて申請する。それは非常に酷なことです。しかし、知らなければ受け取れません。
だからこそ、平常時に知っておく意味があります。
周囲が支えてください
もし身近な方が被災し、家族を亡くされたなら、こうした制度があることを伝えてあげてください。
本人が手続きに向かえる状態とは限りません。周囲の一言が、大きな助けになります。
災害弔慰金とは
災害で亡くなった方の遺族に対して支給される、弔慰の意を表すためのお金です。
根拠となるのは、災害弔慰金の支給等に関する法律です。昭和48年に制定されました。
金額は2種類です
| 亡くなった方の立場 | 支給額 |
|---|---|
| 生計を維持していた方 | 500万円 |
| その他の方 | 250万円 |
生計を維持していた方とは、その世帯の収入を主に支えていた方を指します。
共働きの場合など、判断が難しいこともあります。窓口で確認してください。
誰が受け取れるのか
誰でも受け取れるわけではなく、受け取る順番が法律で定められています。
- 配偶者
- 子
- 父母
- 孫
- 祖父母
この順番で、先の順位の方がいれば、その方が受け取ることになります。
また、これらの方がいない場合、同居または生計を同じくしていた兄弟姉妹が対象になることがあります。
対象になる災害
誤解されやすい点ですが、すべての災害が対象になるわけではありません。一定の規模が必要とされています。
おおむね、次のような規模の災害が該当します。
- 1つの市町村で、5世帯以上の住居が滅失した災害
- 都道府県内で、災害救助法が適用された市町村がある災害
- 都道府県内で、5世帯以上の住居が滅失した市町村が複数ある災害
細かい要件は複雑です。該当するかどうかを自分で判断せず、市区町村に確認してください。
行方不明の場合
つらい話になりますが、遺体が見つからない場合の扱いにも触れておきます。
通常、行方不明の状態では死亡が確定しません。しかし災害では、特例的に死亡が認定される仕組みがあります。
一定の期間が経過し、生存が絶望的と判断される場合、家庭裁判所の手続きを経ずに死亡届を出せることがあります。
手続きは複雑なため、市区町村や弁護士会に相談してください。
災害との因果関係
災害によって亡くなったと認められる必要があります。
建物の倒壊や津波による直接の死亡だけでなく、避難生活での体調悪化などが認められる場合もあります。いわゆる災害関連死です。
判断は市町村が設置する審査会などで行われます。時間がかかることもあります。
災害関連死という考え方
ここは、この記事のなかでも特に知っておいていただきたい論点です。対象外だと思い込んで申請しない方が多いためです。
災害で直接亡くなったわけではなくても、災害が原因で亡くなったと認められる場合があります。
どういう場合が該当するのか
過去に認められてきた例として、次のようなものがあります。
- 避難所での生活による体調の悪化
- 持病の治療が中断されたことによる悪化
- 停電で医療機器が使えなくなったこと
- 過労や精神的な負担による発症
- 車中泊による健康被害
災害から時間が経ってからの死亡でも、認められることがあります。
申請しなければ判断されません
「災害で直接亡くなったわけではないから対象外だろう」と考えて、申請しない方がいます。
しかし、該当するかどうかを判断するのは市町村です。まず申請してください。
記録が判断を助けます
認定にあたっては、災害との関係を示す資料が重要になります。
- 避難所での生活状況
- 通院や服薬の記録
- 医師の意見
- 災害前後の体調の変化
可能な範囲で記録を残しておいてください。日記のようなものでも構いません。
災害障害見舞金とは
こちらは、災害によって重い障害が残った場合の制度です。
| 対象者の立場 | 支給額 |
|---|---|
| 生計を維持していた方 | 250万円以下 |
| その他の方 | 125万円以下 |
弔慰金のちょうど半額にあたる水準です。ただし「以下」と定められており、障害の程度によって額が決まります。
重い障害とは
法律で定められた程度の障害が対象になります。
両眼の失明、両上肢や両下肢の機能を失うといった、日常生活に著しい支障が生じる状態が想定されています。
該当するかどうかは、医師の診断にもとづいて判断されます。
あきらめずに相談してください
対象が限られる制度ではあります。しかし、該当するかどうかを自分で判断する必要はありません。
怪我が重い場合は、まず窓口で相談してください。
災害援護資金とは
3つ目の制度です。前の2つと違い、こちらは貸付になります。
被災した世帯が、生活を立て直すために必要な資金を借りられる制度です。給付ではない点に注意してください。
限度額は350万円
貸付の限度額は350万円です。被害の内容によって、金額が段階的に定められています。
| 被害の内容 | 貸付額の考え方 |
|---|---|
| 世帯主が1か月以上負傷 | 負傷のみの場合と、家財や住居の被害を伴う場合で異なる |
| 家財の3分の1以上の損害 | 被害の程度に応じて設定 |
| 住居の半壊 | 被害の程度に応じて設定 |
| 住居の全壊 | より高い額が設定される |
| 住居の全体が滅失または流失 | 限度額の350万円まで |
おおむね150万円から350万円の範囲で設定されます。
所得の制限があります
この制度には、世帯の所得による要件が設けられています。
一定の所得を超える世帯は対象になりません。世帯の人数によって基準が変わります。
該当するかは、市区町村の窓口で確認してください。
返済が必要です
給付ではなく貸付です。据置期間を経たあと、返済が始まります。
借りる前に、返済の見通しを立ててください。すでに住宅ローンを抱えている場合は、特に慎重な判断が必要です。
ローンの負担が重い場合は災害で住宅ローンが残ったら|信用情報に載らない被災ローン減免制度もあわせてご覧ください。
申請の手続き
ここからは、3つの制度に共通する手続きの流れを説明します。
窓口は市区町村
3つの制度は、いずれも市区町村が窓口になります。都道府県ではありません。
大きな災害では、被災者支援の相談窓口が設けられます。そこでまとめて相談できます。
必要になるもの
| 書類 | 備考 |
|---|---|
| 申請書 | 窓口で受け取る |
| 死亡診断書または死体検案書 | 弔慰金の場合 |
| 医師の診断書 | 見舞金の場合 |
| 戸籍謄本 | 続柄の確認のため |
| 住民票 | 世帯の状況の確認 |
| 罹災証明書 | 援護資金の場合など |
| 本人確認書類 | 申請者のもの |
| 振込先の口座が分かるもの | 通帳など |
災害で書類を失っている場合もあります。その事情を窓口で伝えてください。再発行の方法を案内してもらえます。
期限があります
申請には期限が設けられます。災害や自治体によって異なります。
「落ち着いてから」と考えているうちに、期限が過ぎることがあります。まず窓口で、いつまでに何をすべきかを確認してください。
支給までの時間
審査を経るため、申請から支給までには時間がかかります。
特に災害関連死の認定が必要な場合は、数か月に及ぶこともあります。
その間の生活費については、別の制度を検討してください。
ほかに使える支援
ここまで挙げた3つ以外にも、あわせて確認しておきたい制度があります。組み合わせて使えるものが少なくありません。
| 制度 | 内容 |
|---|---|
| 被災者生活再建支援金 | 住宅の被害に対する給付。最大300万円 |
| 義援金 | 寄付の配分。災害ごとに額が決まる |
| 生活福祉資金の特例貸付 | 当面の生活費 |
| 遺族年金 | 要件を満たせば公的年金から支給される |
| 生命保険 | 加入していれば保険金 |
| 労災保険 | 勤務中や通勤中の被災の場合 |
複数の制度を重ねて利用できます。ひとつを受けたから、ほかが受けられなくなるわけではありません。
勤務中に被災した場合
見落とされやすい点です。
仕事中や通勤の途中に災害に遭った場合、労災保険の対象になることがあります。
勤務先に確認してください。勤務先が被災して機能していない場合は、労働基準監督署に相談できます。
遺族年金という選択肢
公的年金の加入者が亡くなった場合、遺族に年金が支給される仕組みがあります。
災害に限った制度ではありませんが、要件を満たせば対象になります。年金事務所で確認してください。
一時的な給付だけでなく、継続的な収入の見通しを立てることも重要です。
生命保険の請求
加入していれば、保険金を請求できます。
災害による死亡でも、原則として支払われます。地震などの大規模な災害では、免責の規定が設けられている契約もありますが、実際には支払われることが多くあります。
証券が見つからなくても、契約を照会する仕組みがあります。生命保険協会に相談してください。
手続きを支える人へ
この記事を、ご本人ではなく周囲の方が読んでいる場合もあると思います。
代わりに調べてあげてください
家族を亡くした直後に、制度を調べる余力はありません。
周囲の方が窓口に問い合わせ、必要な書類を確認する。それだけでも大きな支援になります。
付き添うことができます
窓口へ一人で行くのは、精神的な負担が大きいものです。
同行してあげてください。説明を一緒に聞き、メモを取る。これも実務的な助けになります。
急かさないでください
一方で、注意も必要です。
「早く手続きしないと」と急かすことが、本人の負担になる場合があります。
期限は伝えつつ、本人のペースを尊重してください。代わりにできることは代わりにやる。それが最も助けになります。
話を聞くことも支援です
制度の説明より、話を聞くことのほうが必要な時期があります。
解決しようとしなくて構いません。そばにいるだけで意味があります。
災害後の心理については災害心理学とは?正常性バイアス・PTSD・避難行動・サイコロジカルファーストエイドまで徹底解説【防災ベース】で扱っています。
税金の扱い
受け取ったお金に税金がかかるのかどうか。ここも多くの方が気にされる点です。
非課税とされています
災害弔慰金と災害障害見舞金は、所得税の課税対象になりません。
また、これらを受け取ったことで、ほかの支援が減額されることも基本的にありません。
差し押さえられません
これらの給付は、差し押さえが禁じられています。
債務がある場合でも、返済に充てるよう強制されることはありません。生活の再建に使えます。
債務整理の手続きでも、手元に残せる財産として扱われます。
災害関連死を防ぐために
ここで制度の話から少し離れます。しかし、この記事で最も重要な部分かもしれません。
過去の災害では、直接の被害より災害関連死のほうが多かった例もあります。避けられた死が含まれているということです。
避難所での健康を守る
環境の悪化が、体調に直結します。
- 床に直接寝ると、体が冷えて体力を奪われる
- 水分を控えるとエコノミークラス症候群の危険が高まる
- トイレを我慢することが、水分不足につながる
- 食事が偏り、栄養が不足する
- 眠れない状態が続き、判断力が落ちる
3番目は重要です。トイレが不衛生だと、人は水を飲まなくなります。その結果、血栓ができやすくなります。
衛生的なトイレの確保は、命に関わる問題です。
持病のある方は特に注意を
薬が途切れることが、直接の危険になります。
お薬手帳を持ち出せるようにしておいてください。手帳があれば、避難先でも同じ薬を処方してもらえる可能性が高まります。
数日分の薬を持ち出し袋に入れておく方法もあります。かかりつけの医師に相談してみてください。
車中泊のリスク
プライバシーを保てるため、車中泊を選ぶ方がいます。
しかし、狭い空間で同じ姿勢を続けると、血栓ができやすくなります。過去の災害でも、車中泊による健康被害が報告されています。
足を伸ばせる姿勢を確保し、こまめに車外に出て歩いてください。水分も意識してとってください。
寒さと暑さから身を守る
寒冷地では、暖房が失われることが直接の危険になります。低体温症は、屋内でも起こります。
逆に夏であれば、熱中症の危険が高まります。エアコンのない環境で、高齢の方や小さなお子さんは特に注意が必要です。
季節に応じた備えが、そのまま命を守ることにつながります。
もしものときの準備
受け取る側にならないための備えと、なった場合の準備の両方があります。
家族で情報を共有しておく
亡くなった方しか知らない情報があると、残された家族が困ります。
- 加入している保険と証券の場所
- 金融機関の口座
- 住宅ローンの状況
- 勤務先の連絡先
- かかりつけの医療機関
すべてを共有する必要はありません。しかし「どこを見れば分かるか」だけでも伝えておいてください。
書類の保管場所を決める
重要書類が家中に散らばっていると、被災後に探せません。
一か所にまとめ、家族に場所を伝えておく。それだけで手続きの負担が変わります。
写真に撮ってデータで保管しておく方法もあります。原本を失っても、内容は確認できます。
安否確認の方法を決めておく
連絡が取れない時間が長引くほど、不安は募ります。
災害用伝言ダイヤル171の使い方を、家族で確認しておいてください。使い方は171の使い方を完全解説|災害用伝言ダイヤルで家族の安否を確認する方法にまとめています。
受け取ったあとのこと
制度の説明に加えて、お伝えしておきたいことがあります。
急いで使わないでください
まとまった金額が入ります。しかし、被災直後は判断力が落ちています。
この時期に大きな買い物や契約をすると、あとで後悔することがあります。
住まいの再建など、大きな支出は落ち着いてから決めてください。
詐欺に注意してください
給付を受けたことを知って近づいてくる人がいます。
投資の話、高額な商品の販売、修理の勧誘。災害後には、こうした働きかけが増えます。
その場で契約しない。これを守るだけで、多くの被害を防げます。
手口は震災詐欺の手口と対策|義援金詐欺・修理詐欺から身を守る方法で解説しています。
相続の手続きも必要になります
家族を亡くした場合、弔慰金とは別に相続の手続きが発生します。
災害時には、相続の熟慮期間が延長される場合があります。慌てて判断する必要はありません。
弁護士会の無料相談を利用してください。
私が北海道で考えていること
私は札幌に住んでいます。2018年の胆振東部地震では、全道が停電するブラックアウトを経験しました。
語られにくい領域です
この記事で扱った制度は、防災の情報のなかでも語られる機会が少ないものです。
備蓄や避難の話は多くの人に関わります。しかし、家族を亡くした方に向けた制度は、対象となる人が限られます。
だからこそ、情報が届きにくい。そして最も支援を必要とする方に届いていない。この構造は、変える必要があると考えています。
災害関連死を減らしたい
直接の被害で亡くなる方だけでなく、避難生活のなかで亡くなる方がいます。
寒冷地では、暖房が失われることが直接の危険になります。低体温症、持病の悪化、車中泊による健康被害。
制度は、亡くなったあとの支援です。しかし本当に必要なのは、そこに至らないための備えです。
知識を渡すことができます
ご自身が被災しなくても、身近な誰かが被災することはあります。
そのとき「こういう制度があるらしい」と伝えられるかどうか。この一言が、大きな違いを生みます。
手続きを代わりにやってあげることはできません。しかし、存在を教えることはできます。
備えは家族への配慮でもあります
最後にお伝えしたいことがあります。
防災の備えは、自分の身を守るためのものです。同時に、残される家族への配慮でもあります。
家具を固定する、寝室を安全にする、避難経路を確認する。こうした地味な作業が、弔慰金を申請する事態を防ぎます。
この記事が使われずに済むことが、いちばん良い結果です。
2018年に感じたこと
胆振東部地震では、道内で犠牲になった方がいました。
報道では被害の数が伝えられます。しかし数字の一つひとつに、家族がいて生活があったことを忘れないようにしたいと考えています。
そして残された方には、その後の長い時間があります。手続き、住まい、家計。悲しみのなかで、現実的な課題が次々に押し寄せます。
制度は、その負担を少しでも軽くするために存在します。だから、遠慮なく使ってください。
寒冷地の課題
北海道で災害が起きた場合、災害関連死のリスクは季節に大きく左右されます。
冬であれば、暖房を失うことが直ちに命に関わります。避難所の暖房、燃料の確保、そして自宅で耐える方への支援。どれも欠かせません。
「寒さで人は亡くなる」という当たり前の事実を、備えの前提に置いておく必要があります。
制度を知る人が増えることに意味があります
ご自身が対象にならなくても、知識は無駄になりません。
職場の同僚、近所の方、遠方の親戚。誰かが被災したとき、伝えられる情報を持っていることに価値があります。
私がこの記事を書いた理由も、そこにあります。
よくある質問
Q. 災害弔慰金はいくら支給されますか
A. 生計を維持していた方が亡くなった場合は500万円、それ以外の方の場合は250万円です。生計を維持していた方とは、その世帯の収入を主に支えていた方を指します。判断が難しい場合は窓口で確認してください。
Q. 誰が受け取れますか
A. 配偶者、子、父母、孫、祖父母の順です。先の順位の方がいれば、その方が受け取ります。これらの方がいない場合、同居または生計を同じくしていた兄弟姉妹が対象になることがあります。
Q. どんな災害が対象ですか
A. 1つの市町村で5世帯以上の住居が滅失した災害、都道府県内で災害救助法が適用された市町村がある災害などです。要件は複雑なので、自分で判断せず市区町村に確認してください。
Q. 避難生活で亡くなった場合も対象ですか
A. 対象になる場合があります。災害関連死といい、避難所での体調悪化、持病の治療中断、停電で医療機器が使えなくなったことなどが認められた例があります。判断するのは市町村なので、まず申請してください。
Q. 災害から時間が経っていますが対象になりますか
A. なる場合があります。災害から時間が経ってからの死亡でも、災害との関係が認められれば対象です。通院や服薬の記録、医師の意見、災害前後の体調の変化といった資料が判断を助けます。
Q. 災害障害見舞金の金額は
A. 生計を維持していた方で250万円以下、その他の方で125万円以下です。両眼の失明、両上肢や両下肢の機能を失うなど、日常生活に著しい支障が生じる程度の障害が対象になります。
Q. 災害援護資金はいくら借りられますか
A. 限度額は350万円です。世帯主の1か月以上の負傷、家財の3分の1以上の損害、住居の半壊、全壊、滅失または流失といった被害の内容に応じて、おおむね150万円から350万円の範囲で設定されます。
Q. 援護資金には条件がありますか
A. 世帯の所得による要件があります。一定の所得を超える世帯は対象になりません。世帯の人数によって基準が変わるため、市区町村の窓口で確認してください。また貸付なので返済が必要です。
Q. 申請しないと受け取れませんか
A. 受け取れません。役所が自動的に手続きを進めてくれるわけではないため、こちらから申請する必要があります。申請には期限があるので、まず窓口でいつまでに何をすべきかを確認してください。
Q. 税金はかかりますか
A. 災害弔慰金と災害障害見舞金は所得税の課税対象になりません。また差し押さえも禁じられているため、債務がある場合でも返済に充てるよう強制されることはありません。債務整理の手続きでも手元に残せます。
Q. ほかにも受けられる支援はありますか
A. 被災者生活再建支援金、義援金、生活福祉資金の特例貸付、遺族年金、生命保険、労災保険などがあります。複数の制度を重ねて利用でき、ひとつを受けたからほかが受けられなくなるわけではありません。
Q. 勤務中に被災した場合はどうなりますか
A. 労災保険の対象になることがあります。仕事中や通勤の途中に災害に遭った場合が該当します。勤務先に確認してください。勤務先が被災して機能していない場合は、労働基準監督署に相談できます。
Q. 生命保険は災害でも支払われますか
A. 原則として支払われます。大規模な災害では免責の規定が設けられている契約もありますが、実際には支払われることが多くあります。証券が見つからなくても契約を照会する仕組みがあるため、生命保険協会に相談してください。
Q. 災害関連死を防ぐにはどうすればよいですか
A. 避難所では床に直接寝ない、水分を控えない、トイレを我慢しないことが重要です。持病のある方はお薬手帳を持ち出せるようにしてください。車中泊は血栓ができやすいため、こまめに車外へ出て歩いてください。
Q. 家族のために準備できることはありますか
A. 加入している保険と証券の場所、金融機関の口座、住宅ローンの状況、勤務先の連絡先などを共有しておいてください。すべてを伝える必要はなく、「どこを見れば分かるか」だけでも手続きの負担が変わります。
Q. 家族が行方不明のままです
A. 災害では、特例的に死亡が認定される仕組みがあります。一定の期間が経過し生存が絶望的と判断される場合、家庭裁判所の手続きを経ずに死亡届を出せることがあります。手続きは複雑なため、市区町村や弁護士会に相談してください。
Q. 相続の手続きも必要ですか
A. 弔慰金とは別に発生します。ただし災害時には、相続の熟慮期間が延長される場合があります。慌てて判断する必要はありません。弁護士会の無料相談を利用してください。
Q. 受け取ったお金はすぐ使ってよいですか
A. 急がないでください。被災直後は判断力が落ちており、大きな買い物や契約をするとあとで後悔することがあります。また給付を知って近づいてくる詐欺もあります。その場で契約しないことを守ってください。
Q. 書類を災害で失いました
A. 窓口でその事情を伝えてください。再発行の方法を案内してもらえます。書類がないことを理由に申請をあきらめないでください。
まとめ
災害弔慰金などの制度について、要点を整理します。
- 災害弔慰金、災害障害見舞金、災害援護資金の3つがある
- 根拠は災害弔慰金の支給等に関する法律
- 弔慰金は生計維持者500万円、その他250万円
- 障害見舞金は生計維持者250万円以下、その他125万円以下
- 援護資金は貸付で、限度額350万円
- 弔慰金の受給順位は配偶者、子、父母、孫、祖父母
- 避難生活での体調悪化なども災害関連死として認められることがある
- 該当するかを自分で判断せず、まず申請する
- 申請しなければ受け取れない。自動的には支給されない
- 期限があるため、早めに窓口で確認する
- 弔慰金と見舞金は非課税で、差し押さえも禁じられている
- 受け取ったあと、急いで使わない。詐欺に注意する
被災後の流れ全体は被災した後にやること全ガイド|時系列でわかる手続きと生活再建の順番にまとめています。
この記事の内容が、ご自身に必要になることを願ってはいません。しかし、身近な誰かに伝える機会はあるかもしれません。
今日できることをひとつ挙げます。「災害弔慰金という制度がある」ということだけ、覚えておいてください。金額や条件は、必要になったときに調べれば十分です。
そしてもうひとつ。避難所で床に直接寝ない、水分を控えない、トイレを我慢しない。この3つを覚えておいてください。
災害関連死の多くは、こうした基本的なことから防げます。制度を使わずに済むほうが、はるかに良い結果です。
備えは、そのためにあります。


