【この記事の要約】
屋根に太陽光パネルがあっても、停電したら電気は使えません。正確には、手動で「自立運転」に切り替えないかぎり使えないのです。そして切り替えても、使えるのは専用コンセント1つから最大1,500Wまで。冷蔵庫と照明とスマホの充電は動きますが、エアコンやIHは動きません。さらに夜と雨の日は発電しないため、使えません。この弱点を埋めるのが蓄電池で、4人家族なら7〜10kWhが目安、本体価格は180万〜300万円程度が相場とされます。電気自動車を電源にするV2Hなら10〜80kWhと桁が変わります。この記事では、切り替えの手順と、それぞれの限界をまとめます。
停電の記事を書いていて、いちばん驚かれるのがこの話です。
太陽光発電を載せている家でも、停電したら電気が使えません。
「発電しているのに、どうして」と思われるはずです。理由から説明します。
結論|切り替えないと、1ワットも使えません
先に結論を書きます。
停電すると、太陽光発電は自動的に停止します。そして手動で「自立運転」に切り替えたときだけ、専用のコンセントから電気が使えるようになります。
切り替えても、条件があります。
| 条件 | 内容 |
|---|---|
| 使える電力 | 最大1,500Wまで |
| 使える場所 | 自立運転用の専用コンセント(1つ)だけ |
| 使える時間 | 発電しているあいだだけ。夜は使えません |
| 天気 | 雨や曇りでは、発電量が落ちて不安定になります |
家じゅうのコンセントが使えるようになるわけではありません。ここが、いちばん誤解されている点です。
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なぜ自動で使えないのか
不便に思えますが、理由があります。
電線に電気を送り返さないためです
普段、太陽光発電は電力会社の送電線とつながっています。発電した電気を売っているのは、そのためです。
停電しているということは、その送電線のどこかが壊れているということです。そこへ電気を送り込んだら、どうなるでしょうか。
復旧作業をしている人が感電します。
だから、停電を検知すると太陽光発電は自動的に止まります。これは安全のための仕組みであって、故障ではありません。
自立運転は、家を切り離す操作です
自立運転への切り替えとは、家を送電線から電気的に切り離し、太陽光を独立した電源として使う操作です。
切り離すからこそ、安全に使えます。そして切り離した状態では、専用コンセント以外には電気が回りません。使える場所が限られるのは、この構造によるものです。
切り替えの手順
機種によって細部は異なりますが、おおまかな流れは共通しています。
一、分電盤の主電源ブレーカーを切る。
二、太陽光発電用のブレーカーを切る。
三、パワーコンディショナーを操作して、自立運転モードに切り替える。機種によっては、自立運転切替盤という別の装置を操作します。
四、自立運転用コンセントに、使いたい家電のプラグを差す。
復旧したときは、逆の手順で戻します。自立運転のまま放置しないでください。
いちばん大事なのは、事前に確認しておくことです
この手順を、停電してから調べるのでは間に合いません。暗く、慌てている状況で、説明書を探すことになります。
いま、確認しておいてください。
一、自立運転用コンセントが、家のどこにあるか。パワコンの近く、洗面所、玄関脇。設置場所は家によって違います。「見たことがない」という方が実は多いのです。
二、パワコンのどのボタンを操作するか。説明書を、パワコンの近くに置いておくのが確実です。
三、家族の誰でもできるようにしておく。自分が家にいるとはかぎりません。
できれば、晴れた日に一度やってみてください。手順を体で覚えられます。
1,500Wで、何が動くのか
この数字の意味を、家電に置き換えます。
| 家電 | 消費電力の目安 | 判定 |
|---|---|---|
| スマートフォンの充電 | 10〜20W | 余裕で動く |
| LED照明 | 数W〜数十W | 余裕で動く |
| 扇風機 | 30〜50W | 動く |
| 冷蔵庫 | 100〜300W | 動く(起動時は大きくなります) |
| テレビ | 100〜200W | 動く |
| ノートパソコン | 50〜100W | 動く |
| 炊飯器 | 350〜1,300W | 単独ならぎりぎり |
| 電子レンジ | 1,000〜1,500W | 単独でも厳しい |
| ドライヤー | 約1,200W | 厳しい |
| 電気ケトル | 約1,200W | 厳しい |
| エアコン | 起動時に大きな電力 | 動きません |
| IHクッキングヒーター | 1,400〜3,000W | 動きません |
優先順位が、はっきりします
この表から言えることは単純です。
熱を出すものは、動きません。電子レンジ、ドライヤー、ケトル、IH。電気で熱を作る家電は、どれも1,000Wを超えます。
逆に、情報と冷蔵は守れます。スマホの充電、照明、冷蔵庫、テレビ。命に直結する部分は、1,500Wで足ります。
だから、自立運転で最初につなぐべきは冷蔵庫とスマートフォンの充電です。夏なら扇風機を足します。
複数つなぐときは、合計で1,500Wを超えないようにしてください。超えると停止します。
夜と雨の日は、使えません
もうひとつの、決定的な弱点です。
太陽光は、発電しているあいだしか使えません。蓄える機能がないからです。
日が沈めば止まります。雨や曇りの日は、発電量が落ちて不安定になります。雲が流れるたびに出力が変わるため、家電が止まったり動いたりを繰り返すこともあります。
そして重要なのは、災害と天気は連動しているということです。
台風で停電したなら、その日は雨です。大雨で停電したときも同じです。いちばん電気が欲しい日に、太陽光は当てになりません。
地震による停電なら晴れている可能性はありますが、夜は必ず来ます。
停電は、どのくらい続くのか
備える規模を決めるには、想定が要ります。
原因によって、復旧の速さが違います
| 原因 | 復旧の傾向 |
|---|---|
| 落雷・設備の一時的な不具合 | 数分から数時間 |
| 台風による倒木・電柱の被害 | 数日に及ぶことがある |
| 大規模な地震 | 広範囲で長期化しやすい |
| 大雪による着雪・倒木 | 復旧作業自体が難しく、長引きやすい |
短時間の停電なら、備えはほとんど要りません。問題は、数日に及ぶ場合です。
復旧の順番があります
電力会社は、影響の大きいところから復旧します。病院や避難所のような重要施設、そして多くの世帯が復旧する幹線から順に。
つまり戸数の少ない地域や、山間部は後回しになりやすいということです。同じ災害でも、家によって停電の長さが変わります。
あわせて、建物の中の設備が壊れていると、電気が来ても使えません。浸水した分電盤や配線は、点検してからでないと通電できません。
電気が止まると、何が止まるか
意外なものが連鎖します。備える優先順位を決めるために、整理しておいてください。
| 止まるもの | 影響 |
|---|---|
| 冷蔵庫 | 食品が傷む。夏なら数時間で危険になります |
| 照明 | 夜間の行動ができなくなる |
| エアコン・暖房 | 夏は熱中症、冬は低体温症の危険 |
| 給水ポンプ | マンションでは断水します |
| エレベーター | 高層階の生活が難しくなる |
| スマートフォンの充電 | 情報と連絡の手段を失う |
| 電気式の給湯器 | お湯が使えない |
| オートロック・電動シャッター | 開閉に手動の操作が必要になる |
集合住宅では、停電がそのまま断水になります。受変電設備や給水ポンプが止まるためです。仕組みはマンションの断水は停電で起きるにまとめました。
夏と冬で、優先順位が変わります
冬の停電は、着込めばしのげます。寝袋、ダウン、厚手の靴下。電気を使わずに体温を守れます。
夏の停電は、着込むことでは解決しません。ここが決定的に違います。エアコンが止まれば、室温は上がる一方です。
そして熱中症で搬送された方の38.1%は、屋外ではなく住居で発症しています。詳しくは停電対策【夏編】と【冬編】をご覧ください。
停電したら、まず何を見るか
設備の話の前に、順番があります。
一、家の中だけか、外もかを確かめてください。窓から外を見て、近所の明かりが消えていれば地域の停電です。ついていれば、自分の家の中の原因です。
二、家の中だけなら、分電盤を見てください。ブレーカーが落ちていれば、原因を取り除いてから戻します。漏電ブレーカーが落ちている場合は、無理に戻さないでください。
三、地域の停電なら、電力会社の停電情報を確認してください。復旧の見込みが出ていれば、備えの使い方が決まります。
四、冷蔵庫は開けないでください。開けなければ、保冷はしばらくもちます。開けるたびに冷気が逃げます。
五、暗くなる前に、明かりを手元に集めてください。日が落ちてから探すのは、危険です。
やってはいけないこと
| やってはいけない | 理由 |
|---|---|
| 発電機を屋内・車庫で使う | 一酸化炭素中毒で死亡します |
| カセットこんろを換気せず使う | 同じく中毒の危険があります |
| ろうそくで明かりを取る | 倒れて火災になります。電池式のライトを |
| 浸水した家電の電源を入れる | 感電・発火。点検を受けてからです |
| 垂れ下がった電線に触れる | 感電します。近づかず通報を |
| 復旧後にすべての家電を一度に入れる | 再び落ちます。使うものから順に |
停電が復旧したあとに火災が起きることがあります。倒れた家電や傷んだコードに、いきなり電気が通るためです。避難するときは、ブレーカーを落としてから出てください。
設置してから気づく、よくある後悔
導入を検討する段階で知っておくと、選び方が変わります。
「自立運転コンセントが遠い」
パワコンの近くに設置されることが多く、屋外や納戸にあることもあります。そこから延長コードを引くことになります。
延長コードは、束ねたまま使わないでください。熱がこもって発火につながります。詳しくは電気火災とは?にまとめました。
「容量を小さくしすぎた」
費用を抑えようとして小容量を選び、1日ももたなかったという声があります。
逆に、大きくしすぎて費用を回収できないという判断もあります。動かしたいものを先に決めることが、ここでも効きます。
「エアコンが動かなかった」
200Vに対応していない機種を選ぶと、エアコンやIHは使えません。特定負荷型なら、そもそも回路に入っていないこともあります。
カタログの容量だけを見ると、ここを見落とします。
「浸水して使えなくなった」
蓄電池もパワコンも、精密機器です。1階の低い位置に設置していると、浸水で動かなくなります。
水害のリスクがある土地なら、設置の高さを施工業者と相談してください。ハザードマップの確認が、ここでも判断材料になります。
「訪問販売で契約してしまった」
災害のあとには、必ず不安を利用する業者が現れます。その場で契約せず、複数社から見積もりを取ってください。
手口は台風で被災した後にやること|修理業者トラブルの防ぎ方にまとめています。
だから蓄電池、という話になります
この弱点を埋めるのが蓄電池です。昼に発電した電気をためて、夜に使えます。
容量と価格の目安
相場として示されている数字を挙げます。
| 容量 | 1kWhあたりの目安 |
|---|---|
| 3〜5kWh(小容量) | 約33万円 |
| 5〜9kWh(中容量) | 約23万円 |
| 9〜13kWh(標準) | 約19万円 |
| 13kWh以上(大容量) | 約15万円 |
大きいほど、1kWhあたりの単価は下がります。
そして4人家族の場合、適した容量は7〜10kWh程度、本体価格は約180万〜300万円が目安とされています。
これに工事費が加わります。安い買い物ではありません。
何日もつのか
一般的な家庭の1日あたりの電力使用量は、季節や世帯によって大きく変わりますが、10kWh前後と言われることが多くあります。
つまり10kWhの蓄電池は、普段どおりに使えば1日分ということになります。
ただし、停電時は普段どおりには使いません。冷蔵庫と照明と通信に絞れば、数日もたせることも可能です。太陽光と組み合わせれば、昼に充電して夜に使うサイクルが回ります。
これが、太陽光と蓄電池をセットで導入する意味です。片方だけでは、どちらも中途半端になります。
全負荷型と特定負荷型
蓄電池を選ぶときに、必ず出てくる分かれ道です。
特定負荷型は、あらかじめ決めた回路にだけ電気を送ります。冷蔵庫とリビングの照明、といった形です。容量を節約できます。
全負荷型は、家じゅうのコンセントが使えます。そのぶん電気の減りが速くなります。
また、200Vの機器(エアコンやIH)に対応しているかどうかも製品によって異なります。エアコンを動かしたいなら、ここを確認してください。
電気自動車という選択肢
もうひとつ、桁の違う手段があります。
V2Hとは
V2Hは、電気自動車にためた電気を家に供給する仕組みです。専用の充放電器を設置して、車と家の電気系統をつなぎます。
停電を検知すると、系統から切り離して車から家へ給電を始めるという動作をします。
容量が桁違いです
電気自動車のバッテリー容量は、車種によって10〜80kWh。家庭用蓄電池の7〜10kWhと比べると、大容量の車なら数倍から10倍近くになります。
満充電の電気自動車があれば、一般家庭の数日分の電力をまかなえるとされています。
そして太陽光と組み合わせれば、昼に発電した電気を車に充電し、夜は車から家へ給電するというサイクルが回せます。停電が長引いても、電気を使い続けられる形になります。
ただし、条件があります
一、V2H対応の車であること。すべての電気自動車が対応しているわけではありません。
二、充放電器の設置が必要です。機器代と工事費がかかります。
三、車がそこにあること。外出中に被災すれば、家に電気は来ません。
四、車の電気を使えば、車が動かせなくなります。避難に使う予定があるなら、その分は残す判断が要ります。
ポータブル電源との比較
ここまで読んで、「そこまでの投資は難しい」と感じられた方も多いと思います。現実的な比較をします。
| 導入のしやすさ | 容量 | 向いている場面 | |
|---|---|---|---|
| モバイルバッテリー | すぐ買える | 0.07kWh前後 | スマホの充電のみ |
| ポータブル電源 | すぐ買える | 0.5〜2kWh程度 | 数日の停電。照明と通信 |
| 太陽光(自立運転) | 設置済みなら0円 | 1,500Wまで/昼だけ | 昼間の冷蔵庫と充電 |
| 家庭用蓄電池 | 180万〜300万円程度 | 7〜10kWh | 夜も含めた数日 |
| V2H+電気自動車 | 車+充放電器 | 10〜80kWh | 長期の停電 |
費用対効果でいえば、多くの家庭にはポータブル電源が現実的です。数万円から手に入り、工事も要りません。
選び方は防災用ポータブル電源おすすめ一覧とポータブル電源とモバイルバッテリーの違いにまとめました。
そして、太陽光をすでに載せているなら、自立運転の確認は0円でできます。まずそこからです。
補助金について
蓄電池やV2Hには、国や自治体の補助制度が用意されていることがあります。
ただし、制度の内容と金額は年度によって変わります。予算に達した時点で受付が終了することもあります。
そして、耐震診断の補助と同じ原則が当てはまります。
交付決定を受ける前に契約や着工をすると、対象外になります。「先に工事を進めましょう、補助金は後から出ます」という業者の説明は、いったん止めて確認してください。
この原則は耐震診断とは?費用の目安と補助金の実額にも書きました。補助金に共通する落とし穴です。
導入を考えるときに確認すること
順番に挙げます。
一、いまの太陽光で、自立運転が使えるか。これが最初です。0円でできる確認です。
二、停電時に何を動かしたいか。容量から考えると、判断を誤ります。動かしたいものを決めてから、必要な容量を逆算してください。
三、エアコンを動かしたいか。200V対応と全負荷型が必要になり、費用が変わります。夏の停電では、これが命に関わります。理由は熱中症の完全ガイドに書いたとおりです。
四、何日分を想定するか。大規模な災害では、復旧に数日以上かかることがあります。備え方は停電長期化への備えにまとめました。
五、設置場所の水害リスク。蓄電池やパワコンを1階の低い位置に置くと、浸水で使えなくなります。ハザードマップで浸水想定を確認したうえで、設置場所を決めてください。調べ方はハザードマップの見方にあります。
六、複数社から見積もりを取る。同じ容量でも金額に差が出ます。訪問販売で即決しないでください。
燃やす発電機は、屋内で使わないでください
最後に、命に関わる注意を書きます。
停電が長引くと、発電機を検討する方がいます。ここに危険があります。
2026年8月、千葉県の豪雨で停電した住宅の室内で発電機を使った30代の男性が、一酸化炭素中毒で亡くなりました。
一酸化炭素は無色で無臭です。そして「窓を開ければ大丈夫」は成り立ちません。出力3キロワットの発電機を20平方メートルの部屋で使う場合、必要な換気量は毎分およそ83立方メートル。窓やドアの開放では確保できません。
蓄電池やポータブル電源は、燃やしません。だから屋内で使えます。これが、燃料式の発電機に対する決定的な利点です。
詳しくは災害時の一酸化炭素中毒|換気では防げない理由をご覧ください。
費用をどう考えるか
ここが、いちばん判断の分かれるところです。
「元が取れるか」だけで考えると、答えが出ません
蓄電池を電気代の節約だけで見ると、回収に長い年数がかかります。そこだけを見れば、割に合わないという結論になります。
ただ、防災の設備は、保険に近い性質があります。使わずに済めば、それがいちばんよい。火災保険も地震保険も、同じ考え方で入るものです。
ですから、判断はこう分けてください。
| 目的 | 向いている選択 |
|---|---|
| 電気代を下げたい | 太陽光+自家消費。蓄電池は必須ではありません |
| 停電で困りたくない | 蓄電池、またはポータブル電源 |
| 医療機器を止められない | 蓄電池。予備の電源も別に用意 |
| 費用を最小にしたい | ポータブル電源とカセットこんろ |
在宅医療の方は、話が変わります
在宅酸素、人工呼吸器、たん吸引。これらは、止まれば命に直結します。
この場合は、費用対効果ではなく「絶対に止めない」を基準に設計してください。そして電力会社への事前登録と、かかりつけ医・機器メーカーへの停電時の相談を、設備より先に済ませてください。
設備は壊れることがあります。連絡先を知っていることのほうが、確実です。
設置していない家が、いまできること
この記事を読んで「うちには太陽光がない」と思った方へ。ここからが本題かもしれません。
優先順位はこうなります
一、モバイルバッテリー。数千円です。スマートフォンが2〜3回充電できれば、情報と連絡は守れます。まずここからで構いません。
二、乾電池と電池式のライト・ラジオ。停電の夜に、いちばん効きます。単三と単四を、多めに。
三、カセットこんろとボンベ。電気もガスも止まったとき、温かいものが作れます。ただし換気を必ず。
四、ポータブル電源。数万円から。冷蔵庫を短時間動かしたり、扇風機を回したりできます。
五、蓄電池や太陽光。数十万円から数百万円。ここは、家の計画と一緒に考えるものです。
選び方はポータブル電源のおすすめと選び方とポータブル電源とモバイルバッテリーの違いにまとめました。
先に決めるのは、金額ではありません
「停電したとき、何を動かしたいか」です。
スマートフォンだけなら、モバイルバッテリーで足ります。冷蔵庫を止めたくないなら、ポータブル電源では時間が限られます。エアコンを動かしたいなら、蓄電池の全負荷型が要ります。
動かしたいものを決めれば、必要な容量が決まり、金額が決まります。順番が逆になると、買ってから足りないことに気づきます。
今日、5分でできること
一、太陽光があるなら、自立運転コンセントの場所を探してください。取扱説明書をなくしていたら、メーカー名と型番でウェブ検索すれば出てきます。
二、分電盤の位置を確認してください。停電が家の中の原因か外の原因かを見分けるのに使います。
三、家族に、切り替えの手順を伝えてください。停電するとき、あなたが家にいるとは限りません。
この3つは、お金がかかりません。それでいて、いちばん効きます。
よくある質問
太陽光があれば停電でも電気が使えますか
自動では使えません。手動で自立運転に切り替えたときだけ、専用コンセントから使えます。家じゅうのコンセントが使えるようになるわけではありません。
なぜ停電すると自動で止まるのですか
復旧作業をしている人の感電を防ぐためです。停電は送電線のどこかが壊れている状態なので、そこへ電気を送り返すと危険になります。安全のための仕組みであり、故障ではありません。
自立運転では何ワットまで使えますか
最大1,500Wです。専用コンセント1つからの供給になります。複数つなぐ場合は、合計でこの数字を超えないようにしてください。
エアコンは動きますか
動きません。起動時に大きな電力が必要になるためです。IHクッキングヒーター、電子レンジ、ドライヤー、電気ケトルも同様に厳しくなります。熱を作る家電は、ほぼ動かないと考えてください。
夜は使えますか
使えません。太陽光には電気をためる機能がないため、発電しているあいだしか使えません。雨や曇りでも発電量が落ちて不安定になります。
台風の停電では役に立ちますか
期待しにくいのが実情です。台風で停電しているということは、その日は雨だからです。いちばん電気が欲しい日に、太陽光は当てになりません。
蓄電池はいくらぐらいですか
4人家族で適した容量は7〜10kWh程度、本体価格は約180万〜300万円が目安とされます。これに工事費が加わります。1kWhあたりの単価は、容量が大きいほど下がる傾向があります。
蓄電池は何日もちますか
一般的な家庭の1日の使用量は10kWh前後と言われるため、10kWhの蓄電池は普段どおりなら1日分です。冷蔵庫と照明と通信に絞れば、数日もたせることもできます。太陽光と組み合わせれば、昼に充電して夜に使うサイクルが回ります。
全負荷型と特定負荷型はどちらがよいですか
特定負荷型は決めた回路だけに給電し、容量を節約できます。全負荷型は家じゅう使えますが、電気の減りが速くなります。動かしたいものを決めてから選んでください。
電気自動車は非常用電源になりますか
なります。V2Hという仕組みを使えば、車の電気を家に供給できます。バッテリー容量は10〜80kWhと家庭用蓄電池より大きく、満充電なら数日分をまかなえるとされています。ただし対応車種であること、充放電器の設置が必要なこと、そして車の電気を使えば車が動かせなくなる点に注意してください。
まず何から確認すればよいですか
自立運転用コンセントが家のどこにあるかです。0円でできて、いちばん効きます。そして晴れた日に一度、切り替えをやってみてください。停電してから説明書を探すのでは間に合いません。
Q. 停電中に、屋根のパネルは壊れませんか
停電そのものでは壊れません。ただし、台風で飛来物が当たったり、地震で架台がずれたりすることはあります。
そして破損したパネルでも、日が当たっていれば発電を続けます。ここが危ないところです。割れたパネルや外れた配線には、素手で触れないでください。感電します。販売店か施工業者に連絡してください。
Q. 停電中に、蓄電池を太陽光で充電できますか
できる機種と、できない機種があります。ハイブリッド型と呼ばれるものは、停電中も太陽光からの充電に対応していることが多いです。
これができると、昼に充電して夜に使うという運用が、停電が続いても回ります。導入を検討する段階で、必ず確認してください。カタログの容量だけでは分かりません。
Q. 卒FITを迎えたら、蓄電池を入れるべきですか
売電価格が下がったあと、蓄電池をすすめられることがあります。ここでも判断は同じです。
電気代の節約だけを目的にすると、回収の年数が読みにくくなります。停電で困りたくない、という目的が加わって初めて、金額に見合います。
そしてこの時期を狙った訪問販売が増えます。その場で契約せず、複数社の見積もりを並べてください。判断を急がされたら、それ自体が危険な合図です。
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まとめ
要点を整理します。
太陽光があっても、切り替えなければ停電時に電気は使えません。自動では止まります。これは安全のための仕組みです。
切り替えても、専用コンセント1つから最大1,500Wまでです。冷蔵庫、照明、スマホの充電、扇風機は動きます。エアコンとIHは動きません。
夜と雨の日は使えません。そして台風の停電は、雨の日に起きます。
蓄電池は、その弱点を埋めます。4人家族なら7〜10kWh、180万〜300万円程度が目安です。
電気自動車は10〜80kWhと桁が違います。V2Hがあれば、数日分をまかなえます。
最後に、いちばん大事なことを書きます。
今日できるのは、自立運転用コンセントの場所を確認することです。費用はかかりません。5分で終わります。
そして、晴れた日に一度切り替えてみてください。停電した夜に、暗闇のなかで説明書を探すことにならないように。
備え全体の順番は防災は何から始める?最初にやること8ステップにまとめました。




