関東大震災とは?死者10万5千人のうち9万1千人が火災|火災旋風と、いま首都直下で想定される27万棟の焼失を防災士が解説

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【この記事の要約】
結論から言います。関東大震災は、揺れではなく火が人を殺した災害でした。死者・行方不明者105,385人のうち、火災による死者が91,781人。およそ87%です。東京の陸軍被服廠跡という広い空き地では、四方から火が押し寄せる火災旋風により、一か所でおよそ38,000人が亡くなりました。「広い場所へ逃げれば安全」が成り立たなかったのです。そして、この構造はいまも残っています。首都直下地震の最新の被害想定では、全壊・焼失約40万棟のうち27万棟が火災による焼失とされています。ただし感震ブレーカーの普及で焼失は約34%減らせると試算されており、これは今日から手が届く対策です。

目次

結論|燃えた理由は、いまも同じ場所にあります

1923年の出来事を、昔話として読まないでください。人を殺した仕組みは、ほとんど変わっていません。

三つだけ、覚えて帰ってください

一、大地震のあとの火事は、消せません。断水し、道が塞がり、消防が同時多発の火災に追いつきません。

二、逃げた先が安全とは限りません。火は風に乗って追ってきます。広場でも焼けます。

三、いまの出火原因の多くは、電気です。だから、避難するときにブレーカーを落とすことに意味があります。

この三つが、10万人の死から取り出せる、いまも使える結論です。

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何が起きたのか

まず、事実を確認します。

1923年9月1日、11時58分

マグニチュード7.9。相模湾を震源とする地震が、関東一帯を襲いました。

死者・行方不明者は105,385人。明治以降の日本で、最大の地震災害です。

そのうち、火災による死者が91,781人

項目
死者・行方不明者の総数 105,385人
うち火災による死者 91,781人(およそ87%)
東京の火災による死者 6万6千人超
神奈川県の火災による死者 約2万5千人
住家の全潰 109,713棟

建物の下敷きで亡くなった方より、焼けて亡くなった方のほうが、はるかに多いのです。

阪神・淡路大震災では、逆に窒息・圧死が77.0%でした。同じ大地震でも、命の奪われ方はまったく違います。その比較は過去の震災は何が人の命を奪ったかにまとめました。

なぜ、それほど燃えたのか

四つの条件が重なりました。

一、昼食の支度をしている時刻でした

11時58分。各家庭が、かまどや七輪で火を使っていた時間です。

いまと違い、当時は火を落とす仕組みがありません。揺れで倒れた火が、そのまま家に燃え移りました。

二、木造の家が密集していました

都市部は、木と紙でできた家がすき間なく並んでいました。一軒燃えれば、隣に移ります。

そして道が狭い。消防車も逃げる人も、思うように動けません。

三、水道が断たれました

水道管が壊れ、消火栓から水が出ませんでした。消防は、水を持たずに火に向かうことになります。

これは、いまの地震でも起きます。大地震のあと、消火栓が使えるとは限りません。

四、強い風が吹いていました

当時、日本海側に台風がありました。そのため関東には強い風が吹き込んでいたのです。

風は、火を運びます。飛び火して、離れた場所から新しい火が生まれていきます。

この四つが重なると、火は消せません。そして四つのうち、いまも残っているものが複数あります。

火災旋風|逃げた先で、38,000人

この震災で、最も多くの命が失われた場所の話です。

広い空き地に、人が集まりました

東京の本所にあった、陸軍被服廠の跡地。広大な空き地で、周りに燃えるものが少ない場所でした。

火から逃れようと、多くの人がここへ避難します。家財道具を大八車に積んで。身の回りのものを持ち出すのは、当然の行動でした。

そこへ、炎の渦が来ました

四方から燃え広がった火が、この空き地を取り囲みます。そして、炎を巻き上げる巨大な渦が発生しました。

火災旋風と呼ばれる現象です。大規模な火災が起きると、上昇気流が渦を巻き、炎そのものが竜巻のように動きます。

逃げ場はありませんでした。この一か所で、およそ38,000人が亡くなっています。

持ち込んだ荷物が、燃えるものになりました

ここが、つらい事実です。

人々が命がけで運び込んだ家財道具が、そのまま燃料になりました。空き地に、燃えるものを集めてしまったのです。

この教訓は、いまも生きています。避難するときに、大量の荷物を持ち出さないでください。持てるだけの、必要なものだけです。

「広い場所なら安全」ではありません

この震災が残した、最も重い教訓です。

広さだけでは、安全は決まりません。周りに何があるか、風がどう吹くか、逃げ道が残っているかで決まります。

だから、避難場所は自治体が指定したものを使ってください。広域避難場所は、周辺の状況を含めて検討されています。

そして逃げる先を、二つ以上決めておいてください。一つが使えないことがあります。

火は、どう広がるのか

逃げる判断をするために、火の動き方を知っておいてください。

三つの広がり方があります

広がり方 仕組み 止め方
接炎 隣の建物に、炎が直接触れる 建物のあいだを空ける
輻射(ふくしゃ) 離れていても、熱で発火する 距離を取る。壁を燃えにくくする
飛び火 燃えた破片が風に乗って飛ぶ 風向きを見る。屋根を燃えにくくする

いちばん怖いのが飛び火です。火の見えない場所に、突然新しい火が生まれます。

関東大震災でも、火は連続的に広がっただけではありません。強風に乗った火の粉が、離れた場所に次々と火をつけました。

だから、「まだ火は遠いから大丈夫」という判断が通用しません。風下にいるなら、距離は安全の理由になりません。

風上へ、風に直角に逃げてください

逃げる方向には、原則があります。

火から遠ざかるだけでなく、風の流れから外れてください。火は風に乗って追ってきます。

風下へまっすぐ逃げると、火と同じ方向に進むことになります。風に対して横へ、あるいは風上へ。

これは、鉄砲水や土石流から逃げるときの「流れに直角に」という原則と同じ考え方です。正面から逃げるのではなく、進路から外れる。

煙は、火より速く来ます

火災で亡くなる方の多くは、火傷ではなく煙による中毒や窒息です。

煙は、水平方向には人の歩く速さより速く、階段のような縦の空間では、走るより速く上がります。

だから、姿勢を低くして、口と鼻を布で覆って進んでください。濡らせるなら、濡らしたほうが有効です。

煙からの逃げ方は火事から身を守る方法に詳しくまとめました。

あの日、人はどう動いたのか

記録から見えてくる、行動の教訓です。

荷物を持って逃げました

くり返しますが、これが被害を大きくしました。

当時の人にとって、家財道具は生活そのものです。持ち出そうとするのは、自然な判断でした。責められることではありません。

けれど結果として、大八車が道を塞ぎ、避難が遅れ、集めた家財が燃料になりました。

いまも同じことが起こりえます。車で逃げようとして渋滞が起き、車ごと焼かれる。形を変えて、同じ構図です。

戻ってしまった人がいました

いったん避難したのに、忘れ物を取りに、あるいは家族を探しに戻る。それで巻き込まれた方がいます。

だから、家族の集合場所を、事前に決めておいてください。探しに行かなくて済む状態を作ることが、戻る判断を防ぎます。

そして電話はつながりません。災害用伝言ダイヤルの使い方を、家族で一度練習しておいてください。毎月1日と15日には、体験できる日が設けられています。

正しい情報が届きませんでした

混乱の中で、事実でない話が広がりました。そしてそれが、いわれのない暴力につながっています。

これは、この災害を語るときに省いてはいけない部分です。災害のあとには、不安から生まれた誤った情報が人を傷つけます。

いまはインターネットがあるぶん、広がる速さが比べものになりません。

できることは決まっています。確かめていない情報を、広めないこと。見分け方は震災デマの見分け方と対策にまとめました。

木造密集地域という、いまの課題

100年前の条件が、いまも残っている場所があります。

どういう場所か

古い木造住宅が密集し、道が狭く、公園などの空き地が少ない地域です。都市部の各地に残っています。

ここで火が出ると、こうなります。

一、消防車が入れません。道幅が足りない。

二、隣へすぐ移ります。建物のあいだが空いていない。

三、逃げ道が限られます。行き止まりの路地があります。

四、同時多発すると、手が回りません。消防は、一度にすべてへ行けません。

自分の地域が該当するかを調べる

自治体が、地図として公開していることが多くあります。「(市区町村名)不燃化」「木造住宅密集地域」で検索してみてください。

東京都をはじめ、多くの自治体が地域ごとの「火災危険度」を公表しています。揺れやすさとは別の指標です。

該当するなら、優先すべき対策が変わります。備蓄より先に、感震ブレーカーと避難路の確認です。

該当地域では、逃げ方が変わります

一、避難は早めに。火が見えてからでは、道が使えなくなります。

二、経路を二つ以上。行き止まりに追い込まれないように。

三、車を使わない。狭い道では、車が最大の障害になります。

四、近所と話しておく。誰がどこにいるかが分かっていると、救助が速くなります。

建物の耐火性能も、変わってきました

いい話もあります。

燃えにくい建物が増えています

いまの建築基準では、地域や建物の規模に応じて、燃えにくい構造が求められます。特に市街地では、外壁や屋根に一定の性能が必要です。

関東大震災の当時と比べれば、都市が燃え広がる速さは確実に下がっています。

それでも27万棟が焼失すると想定されるのは、古い建物が残っているためです。

建て替えなくても、できることがあります

一、感震ブレーカー。出火そのものを減らします。

二、住宅用火災警報器。早く気づけば、逃げられます。10年で交換が目安です。

三、消火器初期の段階なら、消せることがあります。

四、防炎品のカーテンや寝具。燃え広がる速さが変わります。

そして、建物そのものが心配なら、耐震診断のときに一緒に相談してください。倒れなければ、逃げられます。手順は耐震診断と補助金にまとめました。

いま、首都直下地震で想定されていること

100年前の話ではありません。いまの想定にも、火災が大きく残っています。

焼失27万棟、火災による死者1.2万人

国が公表している首都直下地震(都心南部直下地震・M7.3)の被害想定によると、こうなっています。

項目 想定
死者 最大およそ1.8万人
全壊・焼失する建物 およそ40万棟
うち揺れによる全壊 およそ11万棟
うち火災による焼失 およそ27万棟
火災による死者 およそ1.2万人

※被害想定は見直しが行われており、数値は前提条件によって変わります。

建物の被害の3分の2以上が、火災によるものです。そして死者の相当部分も。

100年前と、構造は変わっていません。木造の家が密集した地域が、いまも都市部に残っているためです。

ただし、大きく減らせると分かっています

ここからが、この記事でいちばんお伝えしたい部分です。

試算では、感震ブレーカーなどの普及によって、地震火災による焼失棟数がおよそ14.4万棟、率にして約34%減らせるとされています。

27万棟のうち、3分の1が消せるということです。建物を建て替えなくても、道を広げなくても。

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出火原因の多くは、電気です

いまの地震火災は、火を使っていなくても起きます。

阪神・淡路では、原因が判明した火災の約6割が電気

関東大震災は、かまどの火が原因でした。けれど、いまは違います。

阪神・淡路大震災では、出火原因が判明した火災のおよそ6割が、電気によるものだったとされています。

いまのガス機器は、揺れを感知して自動的に止まります。止まらないのが、電気です。

通電火災という仕組み

これが、いちばん知っておいてほしい現象です。

地震で停電します。そのとき、電気ストーブが倒れたまま、電源が入った状態で放置されます。あるいは、家具の下敷きになったコードが傷つきます。

人は避難します。家は無人になります。

そして数日後、電気が復旧します。倒れたストーブに再び電流が流れ、布団に触れたまま発熱します。傷ついたコードがショートします。

誰もいない家から、火が出ます。これが通電火災です。

詳しい仕組みは電気火災とは?にまとめました。

だから、ブレーカーを落とすことに意味があります

避難するときに、分電盤のブレーカーを落としてください。これだけで、通電火災は防げます。

費用はゼロ、時間は数秒です。けれど、慌てて逃げるときに思い出せる人は多くありません。

だから、玄関に貼り紙をしておく方法があります。「ブレーカー」と書いた紙を、靴を履く場所から見える位置に。

感震ブレーカーという答え

思い出せなくても、機械がやってくれる方法があります。

揺れると、自動で電気を止めます

感震ブレーカーは、一定以上の揺れを感知すると、自動的に電気の供給を止める装置です。

避難のときに落とし忘れても、そもそも家にいなくても、機械が止めます。

種類と、費用の目安

種類 仕組み 費用の目安
簡易タイプ おもりやばねでブレーカーを落とす 数千円。自分で取り付けられます
コンセントタイプ その差込口だけ止める 1か所あたり数千円から
分電盤タイプ(後付け) 分電盤に取り付ける 数万円。工事が必要
分電盤タイプ(内蔵) 分電盤ごと交換 十数万円。工事が必要

数千円の簡易タイプでも、効果はあります。まずここから始めて構いません。

そして、多くの自治体が設置費用の補助を出しています。「(市区町村名)感震ブレーカー 補助」で検索してみてください。

普及率は、まだ2〜3割です

内閣府の調査では、感震ブレーカーが設置されている住宅は、火災の危険が高い密集地域でも30.5%、それ以外の地域では20.3%にとどまっています。

10軒のうち7軒から8軒には、付いていません。

これほど費用対効果の高い対策が、これほど普及していない。逆に言えば、いま付ければ、想定被害を確実に減らせるということです。

注意点もあります

正直に申し上げます。感震ブレーカーには、弱点があります。

一、夜に作動すると、真っ暗になります。だから、停電時に自動で点く足元灯を併せて用意してください。

二、医療機器を使っている場合は、注意が必要です。在宅酸素や人工呼吸器を使っている家庭では、電源が切れると命に関わります。導入の前に、必ず医師や機器メーカーに相談してください。

三、遅延型を選ぶ方法があります。揺れてすぐではなく、数分後に切れるタイプです。避難する時間を確保できます。

今日できること

関東大震災の教訓を、行動に変えます。

一、避難場所を二つ決める。自治体が指定した広域避難場所を確認してください。

二、玄関に「ブレーカー」と書いた紙を貼る。今日、5分でできます。

三、感震ブレーカーを調べる。簡易タイプなら数千円です。自治体の補助も確認してください。

四、住宅用火災警報器の電池と設置年を確かめる。10年を超えたものは交換時期です。

五、消火器の期限を見る。期限切れのものは、いざというとき使えません。

六、逃げるときに持つものを絞る。大八車の教訓です。

火災への備え全体は火事から身を守る方法にまとめました。

9月1日が防災の日になった理由

この震災が、日付として残っています。

関東大震災の発生日です

9月1日は、1923年に関東大震災が起きた日です。そこから防災の日が定められました。

ただし、制定は1960年で、直接のきっかけには前年の伊勢湾台風がありました。経緯は防災の日は9月1日にまとめています。

この時期を、点検の日に使ってください

8月30日から9月5日は防災週間です。備蓄の期限を見て、家族と話す。それだけで十分です。

1年に一度、思い出す日があること。それが、この日付が残されている意味だと思っています。

7日間の使い方は防災週間とは?にまとめました。

震災が残した、いまも続く仕組み

この災害のあとに生まれたものが、いくつもあります。

制度として残ったもの

残ったもの 内容
防災の日 9月1日。この震災の発生日です
広域避難場所という考え方 火災から逃れるための、大規模な避難先
市街地の不燃化 燃えにくい建物を増やし、延焼を止める
防火帯・道路の拡幅 火の広がりを、道で断ち切る
耐震・耐火の建築基準 その後、地震のたびに見直されてきました

いま歩いている広い道路や、近所の大きな公園。その一部は、火を止めるために作られています。

それを知っていると、避難場所の意味が変わって見えてきます。

横網町公園という場所

被服廠跡は、いま公園になっています。そこには慰霊のための施設があり、当時の資料が残されています。

東京にお住まいの方、あるいは訪れる機会のある方は、一度足を運んでみてください。数字では伝わらないものがあります。

全国の防災センターや、体験できる施設は防災センター 全国一覧にまとめました。

地方に住んでいる方へ

首都直下の話は、遠く感じるかもしれません。けれど、火災の構造は都市の規模を選びません。

地方の市街地にも、木造密集地はあります

古い城下町や商店街には、木造の建物が密接して並ぶ区画が残っています。

そして地方ほど、消防の到着に時間がかかることがあります。消防団が中心の地域もあります。

「都会の問題」ではありません。自分の住む地域の火災危険度を、一度確認してください。

雪国では、また事情が違います

私の住む北海道のような地域では、冬の地震に固有の問題があります。

暖房器具を使っている時間が長い。そのぶん、出火の機会が増えます。

石油ストーブが倒れる危険があります。いまの製品は転倒時に消える仕組みを持っていますが、上に物が落ちれば話は別です。

そして道路が雪で狭くなり、消防車が入りにくくなります。避難も、雪の中を歩くことになります。

冬の停電と暖房の備えは停電対策【冬編】にまとめました。

火を使う暖房には、換気が要ります

地震のあと、停電した部屋で燃焼式の暖房を使うことがあります。このとき、換気を忘れると一酸化炭素中毒が起きます。

色もにおいもないため、気づいたときには動けなくなっています。仕組みは災害時の一酸化炭素中毒とは?にまとめました。

子どもに、どう伝えるか

数が大きすぎて、実感を持ちにくいテーマです。

数字ではなく、行動で伝えてください

「10万人が亡くなった」と言っても、伝わりません。けれど、こう言えば伝わります。

「広い公園に逃げた人が、荷物を持って行ったせいで、そこが燃えてしまったんだよ」。

そして、こうつなげます。「だから、逃げるときは持てるものだけにしようね」。

過去の出来事が、今日のルールに変わります。それが、伝えるということだと思っています。

一緒に決めておくこと

一、集合場所。家が使えないときに、どこで会うか。

二、逃げる道。実際に一緒に歩いてみてください。

三、火を見たらどうするか。近づかない、大人を呼ぶ、離れる。

四、家に一人でいるとき。揺れたら何をするか。

子どもだけで留守番しているときの約束は子どもが留守番中に地震が起きたらにまとめました。

よくある質問

Q. 火災旋風は、いまでも起きますか

起こりうると考えられています。大規模な火災が同時に広がり、強い上昇気流が生じる条件がそろえば、発生する可能性があります。

ですから、「火の手が複数の方向から見える」という状況になる前に動いてください。囲まれてからでは、選択肢がありません。

Q. 地震のとき、まず火を消すべきですか

いいえ。まず身を守ってください。

かつては「揺れたらすぐ火を消す」と教えられていました。けれど、揺れている最中に火元へ向かうと、転倒や熱傷の危険があります。

いまのガス機器やガスメーターは、揺れを感知して自動的に止まります。火を消すのは、揺れが収まってからで構いません。

Q. マンションでも、火災の心配はありますか

建物自体は燃えにくくできています。ただし、室内の家財は燃えます。

そして、周りが木造密集地域なら、外からの延焼と、煙の影響を受けます。窓を閉め、状況によっては上階へ避難する判断もあります。

集合住宅での火災は火事から身を守る方法で触れています。

Q. 木造密集地域かどうか、どう調べますか

自治体が地図を公開していることが多くあります。「(市区町村名)不燃化」「木密」などで検索してみてください。

また、地震のハザードマップに「火災危険度」の項目がある自治体もあります。揺れやすさだけでなく、燃えやすさも見てください。

調べ方はハザードマップの見方にまとめました。

Q. 100年前の災害を知って、何になりますか

いまの被害想定が、なぜ火災中心なのかが分かります。

数字だけ見ても、実感は湧きません。けれど、広場に逃げた人が荷物ごと焼かれたと知れば、避難の仕方が変わります。

過去の記録は、統計ではなく「そのとき人がどう動いたか」の記録です。そこにしかない情報があります。

Q. 感震ブレーカーは、賃貸でも付けられますか

簡易タイプなら、多くの場合そのまま使えます。分電盤のスイッチにおもりやばねを取り付けるもので、工事も配線の変更も要りません。

分電盤ごと交換するタイプは、建物の設備を触ることになります。この場合は管理会社か大家さんに確認してください。

退去時に外せる形であれば、問題になることはまず考えられません。

Q. 停電したまま何日も家を空けます。心配です

ブレーカーを落としてから離れてください。これが最も確実です。

そして、家電のプラグも抜いておくと、さらに安全です。特に、暖房器具とアイロン、ドライヤーのような発熱するものです。

戻ったときは、いきなり全部を通電させないでください。部屋の状況を確認し、使うものから順に電源を入れてください。

Q. 火災保険は、地震による火災も補償されますか

されません。ここは間違えやすい点です。

地震が原因の火災による損害は、火災保険ではなく地震保険の領域です。火災保険だけでは、地震で焼けた家は補償されません。

隣家からの延焼でも、もとの原因が地震であれば同じ扱いになります。証券で、地震保険に入っているかを確認してください。

詳しくは火災保険の見直し方【2026年版】にまとめました。

Q. 9月1日以外にも、地震が起きやすい時期はありますか

ありません。地震に季節はありません。

9月1日が防災の日なのは、関東大震災が起きた日だからであって、その日に地震が起きやすいという意味ではありません。

ただし、被害の出方には季節があります。冬なら低体温症、夏なら熱中症と食中毒。同じ地震でも、その後の生活が変わります。

だからこの日は、「これから来る季節の備えを点検する日」として使うのが実用的です。9月なら、冬に向けた準備を始める時期にあたります。

Q. 昔の写真や映像は、どこで見られますか

国立公文書館や、内閣府の防災情報のページで資料が公開されています。当時の記録映像を集めたアーカイブもあります。

数字を読むより、焼け野原の写真を一枚見るほうが伝わります。家族と一緒に見るなら、そちらをおすすめします。

Q. 家族が別々の場所にいるときに起きたら

探しに行かないでください。関東大震災でも、家族を探して戻り、巻き込まれた方がいます。

決めておくべきことは、二つだけです。集合場所と、連絡の手段です。

集合場所は、自宅以外に一つ用意してください。自宅が使えないことがあります。近所の指定避難所が現実的です。

連絡は、災害用伝言ダイヤルか、伝言板を使います。電話は、まずつながらないと考えてください。

過去の震災から学ぶ

同じ大地震でも、命の奪われ方は違います。自分の住む場所に近いものから読んでください。

まとめ

要点を並べます。

一、関東大震災の死者105,385人のうち、91,781人が火災による死でした。およそ87%です。

二、被服廠跡では、火災旋風により一か所でおよそ38,000人が亡くなりました。

三、広い場所なら安全とは限りません。逃げた人が持ち込んだ家財が、そのまま燃料になりました。

四、首都直下地震の想定でも、全壊・焼失40万棟のうち27万棟が火災です。

五、感震ブレーカーの普及で、焼失は約34%減らせると試算されています。

六、いまの出火原因の多くは電気です。避難するときは、必ずブレーカーを落としてください。

七、それでも普及率は2〜3割にとどまっています。まだ、大きな伸びしろが残されています。

10万人が亡くなった災害から、私たちが受け取れるものは何か。私は、それが「数千円の装置で、被害の3分の1が減る」という一点だと思っています。

100年かけて分かったことです。使わない手はありません。

備え全体の順番は防災は何から始める?最初にやること8ステップに、震災ごとの死因の違いは過去の震災は何が人の命を奪ったかにまとめています。

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9月1日は防災の日/8月30日〜9月5日は防災週間

1年に一度、備えを点検する日です。10分でできることから始めてください。

この記事を書いた人

北海道札幌市在住の防災・サバイバル情報発信者です。2018年の北海道胆振東部地震を機に「誰でも今日から始められる防災」をモットーに活動を開始し、実際に試した防災グッズのレビューや家族構成別の備え方をわかりやすくお伝えしています。実践的で信頼できる情報を提供できるよう、がんばっています!

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